JP5075554B2 - 有害物質除去材及び有害物質除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有害物質除去材及び有害物質除去方法に関する。より詳しくは、本発明は、抗体を担持した担体を含む有害物質除去材であって、防腐作用および/または防カビ作用を有する材料を含む有害物質除去材、及びそれを用いた有害物質除去方法に関する。
従来の抗体担持フィルターでは、製品保管時ならびに使用時に雑菌が繁殖したりカビが生えたりして十分な抗体の性能が活用できないことがあった。これを防ぐ目的でなされている抗菌加工及び/または抗カビ加工は、製造時における抗体担持液の雑菌やカビの繁殖への対策はなされておらず長時間の製造に対する対策が不十分であった。
特許文献1においては、担体に抗体を担持してなる有害物質除去材につき、抗菌加工および抗カビ加工を施すことについて開示されているが、上記した製造時の雑菌やカビの繁殖への対策はとられていない。そこで、製造時の速効性と製品の保管や使用時の遅効性とを両立する実効的な防腐及び防カビ技術の開発が望まれていた。
また、一般的な防腐技術又は防カビ技術は、そのまま適用されると抗体活性に影響を及ぼす可能性が高いため、抗体担持フィルターのための具体的な技術開発が求められていた。
なお、製造時及び製造後の雑菌やカビの繁殖に着目した技術としては、ハロゲン化銀写真感光材料につき、特許文献2に開示がある。
特許第3642340号 特公平6-64315号公報
本発明の目的は、抗体を担持した担体を含む有害物質除去材であって、抗体活性が損なわれることなく、長時間になり得る製造工程及び製品形態での保管や使用時の双方に対して有効な防腐加工及び防カビ加工がなされた有害物質除去材を提供することである。
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意研究を行った結果、上記課題を解決する防腐作用および/または防カビ作用を有する材料の組み合わせを見出し、この知見をもとに本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記[1]〜[11]を提供するものである。
[1] 抗体を担持した担体を含む有害物質除去材であって、防腐作用および/または防カビ作用を有する材料として少なくも1種類の速効性材料と少なくとも1種類の遅効性材料とを含む有害物質除去材。
[2] 前記速効性材料が、下記一般式[I]で表される化合物を含む[1]に記載の有害物質除去材。
式中、R1は低級アルキレン基を表わし、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。Xはハロゲン原子、ニトロ基、低級アルキル基、−COR2
−SO3Mを表わし、
2は水素原子、−OM、低級アルキル基、低級アルコキシ基、
を表わす。R3、R4は互に同じでも異なっていてもよく水素原子、低級アルキル基、−COR7、−SO27を表わし、R5、R6、は互に同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基を表わし、R7は低級アルキル基を表わし、Mは水素原子、アルカリ金属原子、及び1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表わし、nは0または1から5までの整数を表わす。
[3] 前記遅効性材料が、下記一般式[II] で表される化合物を含む[1]又は[2]に記載の有害物質除去材。
式中、R8は水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、を表わし、アルキル基は環状であってもよい。R9、R10、R11およびR12は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、
、−COR15、−SO215を表わし、R13およびR14は水素原子、アルキル基、−COR15、−SO215を表わし、R15はアルキル基、アルコキシ基を表わす。これらのR9、R10、R11およびR12は互に同じであっても異なっていてもよい。
[4] 前記速効性材料の含量が、前記抗体の含量に対して1〜100質量%である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有害物質除去材。
[5] 前記遅効性材料の含量が、前記抗体の含量に対して0.01〜3質量%である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の有害物質除去材。
[6] 前記担体が、カルボニル基および/またはエーテル基を含有する少なくとも1種類のポリマーからなる[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有害物質除去材。
[7]前記担体が平均繊維径100nm以下の繊維である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有害物質除去材。
[8]前記抗体が鶏卵抗体である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有害物質除去材。
[9]前記抗体及び前記の防腐作用および/または防カビ作用を有する材料が溶解または分散した溶液に前記担体を浸漬することにより製造される[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有害物質除去材。
[10]前記抗体が気相に面している[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有害物質除去材。
[11][1]から[10]のいずれか一項に記載の有害物質除去材を用いて、気相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法。
本発明により、抗体を担持した担体を含む有害物質除去材であって、抗体活性が損なわれることなく、長時間になり得る製造工程及び製品形態での保管や使用時の双方に対して有効な防腐加工及び防カビ加工がなされた有害物質除去材が提供される。本発明の有害物質除去材は製造時の担持液のポットライフが延長しているため生産性が高く、製品の信頼性も高い。本発明の有害物質除去材により、長期間安定した有害物質の除去が可能である。
担体として繊維が用いられる態様の本発明の有害物質除去材においては、抗体の担持による目詰まりを解消する効果もあり、本発明の有害物質除去材が空気清浄機用のフィルターとして用いられる場合に特に有用である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の有害物質除去材は、抗体を担持した担体を含む有害物質除去材であって、防腐作用および/または防カビ作用を有する材料として少なくも1種類の速効性材料と少なくとも1種類の遅効性材料とを含む。
防腐作用および/または防カビ作用としての速効性材料とは、防腐作用および/または防カビ作用の速効性材料であって、主として製造工程(特に抗体担持液の調液・保存時)の雑菌やカビ類の繁殖を抑制する効果を示す材料を意味する。
該速効性材料としては特に限定されず、抗体を含む溶液に対して防腐作用および/または防カビ作用を有し、かつ抗体の活性に影響を与えない材料であればよい。該速効性材料としては、上記一般式[I]で表される化合物を用いることが好ましい。
一般式〔I〕においてR1は直鎖、分枝の低級アルキレン基(例えばエチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基など)を表わし、特に炭素数1から6までのアルキレン基が好ましい。
Xはハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フツ素原子、など)、ニトロ基、低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基など)、−COR2
−SO3Mを表わし、
2は水素原子−OM、低級アルキル基(例えばメチル基、n−プロピル基、tert−ブチル基など)、低級アルコキシ基(例えばメトキシ基、n−ブトキシ基、iso−プロポキシ基など)、
を表わす。
3、R4は互に同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基(例えばメチル基、n−プロピル基、iso−アミル基など)、−COR7、−SO27を表わし、R5、R6は互に同じでも異なっていてもよく水素原子、低級アルキル基(例えばメチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基など)を表わし、R7は低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−アミル基など)を表わし、Mは水素原子、アルカリ金属原子(例えばナトリウム、カリウムなど)及び1価のカチオンを形成するに必要な原子群(例えばアンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンなど)を表わし、nは0または1から5までの整数を表わす。
前記の低級アルキル基、低級アルコキシ基の好しい炭素数は1から6までの範囲のものである。
次に前記一般式〔I〕で表わされる化合物の代表的具体例を以下に示すが一般式〔I〕の化合物はこれらに限定されるものではない。
これらの例示化合物は、試薬として一般的に市販されており、容易に入手可能であり、又対応するフエノール化合物を中間体としてエチレンオキシド類等の反応で容易に合成することも可能である。
防腐作用および/または防カビ作用としての遅効性材料とは、防腐作用および/または防カビ作用の遅効性材料であって、主として製品保管ならびに使用時において腐敗したりカビが発生したりすることを防ぐ効果を示す材料を意味する。
該遅効性材料としては特に限定されず、抗体を担持した担体に対して防腐作用および/または防カビ作用を有し、かつ抗体の活性に影響を与えない材料であればいずれを用いてもよい。該遅効性材料としては上記一般式[II]で表される化合物を用いることが好ましい。
8は水素原子または炭素数1ないし20の置換または未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、tert−オクチル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシエチル基、2−シアノエチル基、スルホブチル基など)、置換、未置換のアリール基(例えばフエニル基、o−メトキシフエニル基、p−クロロフエニル基、p−iso−プロピルフエニル基など)環状アルキル基(例えばシクロヘキシル基など)、置換、未置換のアリール基(例えばフエニル基、2,4−ジニトロフエニル基など)、置換、未置換のアラルキル基(例えばベンジル基、p−メチルベンジル基、p−イソプロピルベンジル基など)を表わし、R9、R10、R11およびR12は水素原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フツ素原子など)、カルボキシル基、スルホ基、置換未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基など)、置換、未置換のアリール基(例えばフエニル基o−メチルフエニル基、p−アセトアミドフエニル基、m−メトキシフエニル基、p−クロロフエニル基など)、置換、未置換のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基、など)、置換、未置換のアリールオキシ基(例えばフエノキシ基、p−クロロフエノキシ基、o−カルボキシフエノキシ基、m−メチルフエノキシ基、m−ニトロフエノキシ基など)、置換、未置換のアラルキルオキシ基(例えばベンジルオキシ基、p−クロロベンジルオキシ基、p−iso−プロピルベンジルオキシ基など)、
、−COR15、SO215を表わしR13およびR14は水素原子、置換未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−シアノエチル基など)、−COR8、−SO28を表わし、R8は置換、未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基2−ヒドロキシエチル基、iso−プロピル基、n−ブチル基など)、置換、未置換のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、メトキシエトキシ基など)を表わす。
9、R10、R11、R12、R13、R14およびR15のアルキル基、およびアルコキシ基の好しい炭素数は1から10の範囲のものである。R9、R10、R11、およびR12は互に同じでも異なっていてもよい。次に上記一般式〔II〕で表わされる化合物(以下化合物IIと称す)の代表的具体例を示すが、上記一般式〔II〕で表わされる化合物はこれらに限定されるものではない。
これら一般式[II]で表される化合物の例示化合物は、試薬として一般的に市販されており、容易に入手可能である。
担体としては、特に限定されないが、繊維が好ましい。繊維としては、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、ポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維が好ましい。また、ポリアミドを主成分とする繊維も好ましい。本発明でいう主成分とは、全繊維中の質量分率にして25%以上を構成する成分であることを指す。
セルロースエステルとは、セルロースの水酸基を有機酸でエステル化されているセルロース誘導体を指す。エステル化に用いる有機酸は、例えば酢酸・プロピオン酸・酪酸などの脂肪カルボン酸、安息香酸・サリチル酸などの芳香族カルボン酸などがある。単独もしくは併用したものであってもよい。セルロースの水酸基のエステル基置換率について特に制限はないが、60%以上であることが好ましい。
本発明において担体として用いられる繊維の群のなかでは、セルロースアシレート繊維が望ましい。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基を構成する水素原子の一部または全部がアシル基で置換されているセルロースエステルを指す。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、およびブチリル基など挙げられる。これらの基は1種のみが置換されて構成されていてもよいし、2種以上のアシル基が混合置換されていてもよい。アシル基置換度の総和は、好ましくは2.2〜3.0であり、より好ましくは2.2〜2.8であり、特に好ましくは2.2〜2.7である。なかでも、この置換度を満たすセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることが好ましく、セルロースアセテートであることが最も好ましい。一般にセルロースアシレートは、エステル化度によって溶剤が異なることが知られているが、あらかじめエステル化率の高いセルロースアシレートで担体を作製したのちに、アルカリ加水分解処理等を行って表面を親水化してもよい。
セルロースアシレート繊維のみでも十分に実用的な有害物質除去材料を形成することが可能であるが、強度や寸度安定性をさらに向上させる等の目的で、ポリエステル系繊維・ポリオレフィン系繊維・ポリアミド系繊維・アクリル系繊維等との混紡繊維により担体を形成してもよい。混紡繊維を用いる場合には、セルロースアシレート繊維の質量分率は50%以上であることが望ましく、70%以上であることがさらに望ましい。
本発明において担体として用いられる繊維の群のなかでは、ポリアミド繊維であることも望ましい。
本明細書においてポリアミドとは、化学構造単位が主としてアミド結合で結合されている線状高分子からなる繊維を指す。
ポリアミドの中でも、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンと、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸との結合体である直鎖型脂肪族ポリアミドが好ましい。特に、ナイロン66が好ましい。
前記のジアミンおよびジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸等を単独または共重合成分として用いた脂肪族ポリアミドを用いることもできる。特に、ε−カプロラクタムの単独使用で製造されるナイロン6が好ましい。
これらの他に、原料の脂肪族ジアミンとして一部または全部をシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1、4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジアミンを用いた脂肪族ポリアミド、および/または、ジカルボン酸として一部または全部を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリアミドであってもよい。
更に、脂肪族パラキシリレンジアミン(PXDA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの芳香族ジアミン、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を部分的な原料として用いて、吸水性の低減や弾性率向上を実現したポリアミドも含まれる。また、ポリアクリル酸アミド、ポリ(N−メチルアクリル酸アミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリル酸アミド)などのような側鎖にアミド結合を有するポリマーであってもよい。
ポリアミドの中で最も望ましいのは、ナイロン66またはナイロン6である。アミド結合に由来する適度な吸湿性、適度な長さの長鎖脂肪酸からなる分子鎖を繊維軸配向させやすく比較的延伸性が高いこと、融解熱が高く熱容量が大きいことから動力学的にも速度論的にも溶融しにくい(耐溶融性)、長鎖脂肪鎖からなる分子鎖の可とう性や、アミド結合間の水素結合形成のためにフィブリル化やキンクバンドが生じにくい性質、すなわち繰返し屈伸性など、担体として好ましい性能を活用することができるためである。
同様に強度や寸度安定性を向上させる目的で、担体を金属・高分子材料・セラミックス等の他の適切な構造材料により補強してもよい。これらの補強材は、有害物質除去材料を供給する側面の実質的な最表面以外の部分(例えば、該側面の反対面や芯材に用いる等)に用いることが望ましい。
本明細書において、ビニロンとは、ビニルアルコール単位を65質量%以上含む線状高分子からなり、温度20℃湿度65%の環境に1週間以上放置した後の水分率が7%以下である繊維を指す。ビニルアルコールの水酸基をホルマール化したものであってもよいが、水酸基をホウ酸架橋したポリマーや、公知のアルカリ紡糸法や冷却ゲル紡糸法などの方法により耐水化処理が施された非ホルマール化繊維であってもよい。ビニルアルコール単位以外の成分としてはエチレン鎖、酢酸ビニル鎖などが含まれていてもよいが、ビニルアルコール担体から形成される繊維であることが好ましい。さらに、均質で高配向度・高結晶化度であるために、優れた機械的特性と信頼性が得られるという点で、冷却ゲル紡糸による非ホルマール化繊維であることが最も望ましい。
ビニロンは一般に、他の繊維に対して、高強度、高弾性率、適度な親水性、耐候性、耐薬品性、接着性などに優れており、担体としてこれらの好ましい性能を活用することができる。
本明細書において、アクリル系とは、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で40%以上含む繊維を指し、例えば、アクリロニトリルのホモポリマーや、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの非イオン性モノマーとアクリルニトリルのコポリマー、ビニルベンゼンするスルホン酸、アリルスルホン酸などのアニオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマー、あるいは、ビニルピリジン、メチルビニルピリジンなどのカチオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマーなどの例がある。アクリロニトリルとミルクカゼインのから形成されるいわゆるプロミックス繊維も本カテゴリーに包含される。
アクリル系の繊維は一般に、有機系湿式紡糸法で製造することが多い。この方法では、紡糸原液が凝固浴中で凝固糸を形成するときに、凝固剤である水がノズルより紡出される紡糸原液中に浸入する一方で、紡糸溶剤が紡出した原液から外部に拡散し、このとき、水と有機溶剤(DMF、DMAcなど)が相互拡散することで重合体が析出して無数の空洞が網目状につながった構造をもつ凝固糸条が形成される。また、凝固過程で溶剤が凝固浴中に拡散することによる体積収縮により形成される繊維断面の変形や表面のマクロフィブリル構造形成による凹凸形成が特徴である。これらの微細構造は本発明で使用する担体の構造としては、非表面積向上や抗体担持のし易さの点で好ましい。
本発明で用いるアクリル系繊維は、原料ポリマーの組成や紡糸法、製造工程内の後処理条件などにより変動するが、一般に、適度な親水性、耐候性が高い、かさ高い繊維が得られやすいという利点がある。
本発明で用いるポリウレタンは、単量体相互の結合部分または基本となる基材重合体相互の結合部分が主としてウレタン結合による線状合成高分子からなる繊維を指す。ポリウレタンセグメントを質量比で85%以上含むことが望ましい。低融点で柔らかい分子量数千までのソフトセグメントと、剛直性で凝集力の高い高融点のハードセグメントからなるセグメント化ポリウレタンのブロック共重合であることが望ましい。ソフトセグメントとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル、ハードセグメントとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネートなどで形成されるウレタン基を用いることができる。ポリウレタンは一般に高い弾性を示すのが特徴で、両セグメントの化学構造や分布など高分子鎖の一時構造の違いや、製糸条件の違いなどからくる二次構造の違いによって異なるが、よく伸びる、伸縮回復力が高い、ゴム材料に比べて老化しにくい・細い繊維が得られるなどの特徴があり、担体として用いた場合にもこれらの性質を活用することができる。
また、本発明で用いる担体を構成する繊維の20℃の水に対する体積膨潤度は1.1%以上10%未満であり、好ましくは1.1%以上8%未満であり、特に好ましくは1.1%以上6%未満であり、最も好ましくは1.1%以上5%未満である。なお、本発明における20℃の水に対する繊維の体積膨潤度とは、乾燥繊維を20℃の純水に1時間浸漬する前後の繊維の密度を密度勾配管法(JIS−K7112)にて求めた体積膨潤度をさす。
担体を構成する繊維の機械的物性ならびに寸法安定性については、乾燥時伸度が25%以上であることが望ましい。ここで乾燥時伸度とは、十分に長い時間かけて乾燥した繊維の20℃における引張試験における破断伸度をさす。一般に乾燥時伸度が10%以上で製布等の加工に適することが、フィルター加工及び実用時の破壊(ろ過効率の低下につながる)を防止するには25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが最も好ましい。
担体を構成する繊維の公定水分率は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、3.0%以上6.5%未満であることがより好ましく、5.0%以上6.5%未満であることが最も好ましい。本領域の公定水分率において、担持した抗体の活性の発現と、担体の機械的強度、剛性、環境(特に湿度)に対する寸法安定性が得られ、ひいてはフィルターとしての高い性能と信頼性を示すことができる。
なお、ここで言う水分率とは公定水分率のことであり、公定水分率とは繊維を20℃、相対湿度65%の環境下に長時間放置したときに繊維に含まれる水分率のことを指す。また、他の繊維との混紡繊維の場合にはその混紡繊維全体の公定水分率を指すものとする。
担体を構成する繊維の表面は、数十ナノメートルから数マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造を有することが好ましい。凹凸の形状は、繊維方向と平行方向に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよいし、繊維方向と垂直すなわち軸に対して同心円状に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよく、これらの立体形状は繊維方向と平行方向から垂直方向迄の任意の角度で形成されたものが任意の比率、密度で存在してもよい。公知のセルロースアセテート繊維の紡糸法で得られる試料には、表層のスキン層形成と溶剤乾燥に伴うスキン層の陥没により、繊維断面が不定形の菊型を形成することが知られているが、この凹凸は本発明においても好ましい形態である。
ナノメートルからマイクロメートルスケールの微細な凹凸構造は、空孔状および/または突起状であってもよい。平均径にして50nmから1μmの空孔または突起であることが望ましい。これらの空孔や突起は、例えば溶液のキャビテーションや微細分散質を分散させた溶液(例えば硫酸バリウム粒子を分散させたスラリーとの混合)を利用するなどの方法により紡糸工程で形成させたり、アシル基の加水分解や表面酸化処理など方法(例えばアルカリ水溶液により繊維表面をセルロース化したのち、酵素処理により繊維表面にミクロクレーターを発現させたりするなど)により後工程によって形成させたりすることができる。
担体として用いられる繊維の平均繊維径は、50μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましく、100nm以下であることが最も好ましい。なお、本明細書において平均繊維径は走査型電子顕微鏡(SEM)の観察画像から任意の300箇所における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めた数値である。
本発明において担体として用いられる繊維の作製法としては、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法や、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化する方法などが挙げられるが、安定な品質を確保するためには、乾式紡糸もしくは湿乾式紡糸法を用いることが好ましい。平均繊維径が100nm以下で均一な繊維を作製するためには、さらに加工技術、2005年、40巻、No.2、101頁、および167頁;Polymer International誌、1995年、36巻、195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁;Journal of Macromolecular Science : Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている電界紡糸法を採用することが好ましい。
紡糸に用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
電界紡糸法を採用する場合には樹脂溶液に、さらに塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
本発明の有害物質除去材の担体を構成する繊維同士は部分的に接着することにより三次元ネットワークを形成している構造をもつことが望ましい。かような構造をとることにより、加工ならびに実用上の機械的耐性の向上、ひいては有害物質除去材の信頼性をあげることができる。また抗体の保持特性を上げることができる。繊維同士の接着は
SEM等の方法で観察することができる。繊維同士の接着点の密度は、該有害物質除去材の投影表面積に対して1mm角辺り10箇所以上存在することが好ましく、100箇所以上であることがより好ましい。
接着点を形成する方法としては、乾式紡糸法で形成される癒着や溶融紡糸法で形成される融着点で形成してもよいし、紡糸後に加熱や、接着剤・可塑化溶剤等の添加による接着点形成処理を行ってもよい。製造コストの観点では適切な溶液処方により乾式紡糸法で癒着点を形成させることが好ましい。
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体は、特定の有害物質(抗原)に対して特異的に反応(抗原抗体反応)するタンパク質であり、分子サイズが7〜8nmであって、Y字状の分子形態を有する。抗体のY字状分子構造のうち、一対の枝部分をFab、幹部分をFcといい、これらのうち、Fabの部分で有害物質を捕捉する。
前記抗体の種類は、捕捉しうる有害物質の種類に対応する。抗体により捕捉される有害物質としては、例えば、細菌、カビ、ウイルス、アレルゲン及びマイコプラズマを挙げることができる。具体的には、細菌としては、例えば、グラム陽性菌であるブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)、ミクロコッカス菌、炭疽菌、セレウス菌、枯草菌、アクネ菌などや、グラム陰性菌である緑膿菌、セラチア菌、セパシア菌、肺炎球菌、レジオネラ菌、結核菌などを挙げることができる。カビとしては、例えば、アスペルギルス、ペニシリウス、クラドスポリウムなどを挙げることができる。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイルス(SARSウイルス)、アデノウイルス、ライノウイルスなどを挙げることができる。アレルゲンとしては、花粉、ダニアレルゲン、ネコアレルゲンなどを挙げることができる。
前記抗体の製造方法としては、例えば、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ウサギ等の動物に抗原を投与し、その血液からポリクローナル抗体を精製する方法、抗原を投与した動物の脾臓細胞と培養癌細胞とを細胞融合し、その培養液または融合細胞を植え込んだ動物の体液(腹水等)からモノクローナル抗体を精製する方法、抗体産生遺伝子を導入した遺伝子組み換え細菌、植物細胞、動物細胞の培養液から抗体を精製する方法、ニワトリに抗原を投与して免疫卵を産ませ、卵黄液を殺菌及び噴霧乾燥して得た卵黄粉末から鶏卵抗体を精製する方法を挙げることができる。これらのうちでも、鶏卵から抗体を得る方法は、容易にかつ大量に抗体が得られ、有害物質除去材の低コスト化を図ることができる。
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体は鶏卵抗体であることが好ましい。
前記担体に抗体を担持する(固定化する)方法としては、前記担体に抗体を物理的に吸着させる方法のほか、担体をγ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを用いてシラン化した後、グルタールアルデヒドなどで担体表面にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、未処理の担体を抗体の水溶液中に浸漬してイオン結合により抗体を担体に固定化する方法、特定の官能基を有する担体にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、特定の官能基を有する担体に抗体をイオン結合させる方法、特定の官能基を有するポリマーで担体をコーティングした後にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法をあげることができる。
ここで、前記の特定の官能基としては、NHR基(RはH以外のメチル、エチル、プロピル、ブチルのうちいずれかのアルキル基)、NH2基、C65NH2基、CHO基、COOH基、OH基を挙げることができる。
また、前記担体表面の官能基を、BMPA(N-β-Maleimidopropionic acid)などを用いて他の官能基に変換した後、その官能基と抗体とを共有結合させる方法もある(BMPAではSH基がCOOH基に変換される)。
更に、前記抗体のFcの部分に選択的に結合する分子(Fcレセプター、プロテインA/Gなど)を担体表面に導入し、それに抗体のFcを結合させる方法もある。この場合、有害物質を捕捉するFabが担体に対して外向きになり、Fabへの有害物質の接触確率が高くなるので、効率よく有害物質を捕捉することができる。
前記抗体は、リンカーを介して担体に担持されていてもよい。この場合、担体上での抗体の自由度が高くなり、有害物質への接近が容易となるので、高い除去性能を得ることができる。リンカーとしては、二価以上のクロスリンク試薬を挙げることができ、具体的にはマレイミド、NHS(N-Hydroxysuccinimidyl)エステル、イミドエステル、EDC(1-Ethyl-3-[3-dimethylaminopropyl]carbodiimido)、PMPI(N-[p-Maleimidophenyl]isocyanate)があり、標的官能基(SH基、NH2基、COOH基、OH基)に選択的なものと非選択的なものとがある。また、クロスリンク間の距離(スペースアーム)もクロスリンク試薬ごとに異なっており、目的の抗体に応じて0.1nm〜3.5nm程度の範囲で選択することができる。有害物質を効率的に捕捉するという観点からは、リンカーとして抗体のFcに結合するものが好ましい。
リンカーを導入する方法としては、抗体にリンカーを結合させておき、それを更に抗体に結合する方法、担体にリンカーを結合させておき、担体上のリンカーに抗体を結合させる方法のいずれも可能である。
前記の速効性材料及び前記の遅効性材料を有害物質除去材に含有させる方法としては、担体に含浸させる方法、上記と同様に担体の特定の官能基と前記材料とを共有結合させる方法、イオン結合により前記担体に固定化する方法などを挙げることができる。
本発明の有害物質除去材の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、抗体を含む溶液(担持液)に担体を浸漬して抗体を担体に担持させることにより製造する方法が挙げられる。前記の速効性材料及び前記の遅効性材料は、上記担持液に溶解又は分散させることが好ましい。抗体ならびに速効性材料及び前記の遅効性材料を含む担持液を用いることにより、抗体を担体に担持させると同時に速効性材料及び前記の遅効性材料とを有害物質除去材に含有させることが可能であるからである。また、該担持液に前記の速効性材料を溶解又は分散させることにより、担持液の調製時や保存時の雑菌やカビ類の繁殖を抑制することができる。
前記の速効性材料は担持液において抗体に対して1〜100質量%、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜40質量%であればよい。また、前記の遅効性材料は担持液において抗体に対して0.01〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.02〜0.05質量%であればよい。速効性材料又は遅効性材料の含有量が少なすぎると十分な防腐作用および/または防カビ作用が得られない恐れがあり、多すぎると抗体の活性に悪影響を及ぼす恐れがある。なお、担持液における抗体、速効性材料、及び遅効性材料の含有量比は、通常本発明の有害物質除去材において担体に担持される抗体、速効性材料、及び遅効性材料の含有量比に反映されるものと考えることができる。
本発明の有害物質除去材によって、気相中又は液相中の有害物質の除去が可能である。
本発明の有害物質除去材は、空気清浄機用フィルター、マスク、拭き取りシートなどに用いることができる。
本発明の有害物質除去材においては、気相に面しているドライな環境においても、抗体の活性が高く、かつ抗体の活性が長続きする。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
(例1) セルロースアセテート(アルドリッチ製、全置換度2.4、数平均分子量3万)のアセトン:水(97:3)溶液(10質量%)を用い、ナノファイバー製造装置(カトーテック製:図1参照)を用いて、シリンジ送り速度0.05mm/min、引加電圧15kVで電界紡糸を行い、さらに真空中80℃8時間乾燥して膜厚85μmの微細不織布試料を作製した。この試料の平均繊維径をSEMで測定したところ、80nmであった。次に、抗原を投与したニワトリが産んだ免疫卵を精製して作製したインフルエンザ抗体(IgY抗体)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解させ、抗体濃度100ppmになるよう調液して担持液を調製した。この担持液に、フェノキシエタノール(I-1)を3ppmとなるように、及び1,2-ベンゾイソチアゾロン(II -1)を0.03ppmとなるように、添加して撹拌した。その後、担持液を0.45μmのフィルターにてろ過した。本担持液に前記N-1を室温で16〜24時間浸漬して繊維表面に抗体と化合物I-1、および化合物II -1を担持させ、試料N-1を得た。
(例2)例1の化合物I-1および化合物II -1を、表1の化合物及び量に置き換えた以外は例1と同様の方法で試料N-2〜4を得た。
(比較例)例1の化合物I-1および化合物II -1ならびに担体を、表1の条件に置き換えた以外は同じ方法にて試料H-1〜6を得た。
[ウイルス不活化効率評価]
供試ウイルス液は精製インフルエンザウイルスをPBSで10倍希釈したもの(20万プラーク/mL)を使用した。上記各試料を5cm角に切り、ウイルス噴霧試験装置の中央に取り付け固定した。上流側に設置したネブライザーに供試ウイルス液を入れ、下流側にウイルス回収装置を取り付けた。エアーコンプレッサ−から圧縮空気を送り、ネブライザーの噴霧口から供試ウイルスを噴霧した。試料下流側にはゼラチンフィルターを設置し、10L/分の吸引流量で5分間試験装置内空気を吸引し、通過ウイルスミストを捕集した。試験後、ウイルスを捕集したゼラチンフィルターを回収し、MDCK細胞を用いたTCID50法(50%細胞感染量測定法)により、試料通過後のウイルス感染価を求めた。試料の有り無しでのゼラチンフィルターのウイルス感染価の比較から、各試料のウイルスの一過性除去率を算出した。結果を表1に示す。
[防腐・防カビ効果評価]
JIS Z-2911にのっとって培養した黒コウジカビ、青カビの胞子懸濁液、ならびに化合物を添加しない(すなわち比較例H-1)上記担持液を40℃24時間静置後に回収した作製した腐敗液を、各々10mLずつ、10cm角に切り出した上記各試料に均一噴霧し、該試料を、40℃90%の環境に1週間静置した。静置後の各試料におけるカビの生長ならびに腐敗の進行を目視により、表2及び表3に示す評価基準に従って評価した。
また静置後の各試料における一過性除去率を上記と同様に評価した。結果を表1に示す。
[圧力損失]
試料(作製直後の試料)に対し線速度0.1m/sで送風したときの上流と下流の圧力差を、マノメータを用いて測定した。結果を表1に示す。
上記の結果から、本発明の有害物質除去材は優れた防カビ効果及び防腐効果を有し、これらの作用によって機能が長く維持されていることがわかる。また、比較例の有害物質除去材と比較して、フィルターの目詰まりが少ないことがわかる。
実施例ならびに比較例で用いた電界紡糸装置の概略図である。
符号の説明
11 電源装置
12 シリンジ
13 ニードル
14 コレクター
15 ポリマー溶液
16 ナノファイバー

Claims (9)

  1. 抗体を担持した担体を含む有害物質除去用フィルターであって、
    防腐作用および/または防カビ作用を有する材料として少なくも1種類の速効性材料と少なくとも1種類の遅効性材料とを含み、
    前記速効性材料が、下記一般式[I]で表される化合物:
    (式中、R 1 は低級アルキレン基を表し、前記低級アルキレン基は直鎖であっても分枝鎖であってもよく、Xはハロゲン原子、ニトロ基、低級アルキル基、−COR 2
    または−SO 3 Mを表し、
    2 は水素原子、−OM、低級アルキル基、低級アルコキシ基、または
    を表し、R 3 、R 4 は互に同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、−COR 7 、または−SO 2 7 を表し、R 5 、R 6 は互に同じでも異なっていてもよく、水素原子、または低級アルキル基を表し、R 7 は低級アルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、及び1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表し、nは0または1から5までの整数を表す。)であり、
    前記遅効性材料が、下記一般式[II] で表される化合物:
    (式中、R 8 は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、アルキル基は環状であってもよく、R 9 、R 10 、R 11 およびR 12 は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、
    、−COR 15 、または−SO 2 15 を表し、R 13 およびR 14 は水素原子、アルキル基、−COR 15 、または−SO 2 15 を表し、R 15 はアルキル基、アルコキシ基を表し、これらのR 9 、R 10 、R 11 およびR 12 は互に同じであっても異なっていてもよい。)
    である有害物質除去用フィルター。
  2. 前記速効性材料の含量が、前記抗体の含量に対して1〜100質量%である請求項1に記載の有害物質除去用フィルター
  3. 前記遅効性材料の含量が、前記抗体の含量に対して0.01〜3質量%である請求項1または2に記載の有害物質除去用フィルター
  4. 前記担体が、カルボニル基および/またはエーテル基を含有する少なくとも1種類のポリマーからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の有害物質除去用フィルター
  5. 前記担体が平均繊維径100nm以下の繊維である請求項1〜4のいずれか一項に記載の有害物質除去用フィルター
  6. 前記抗体が鶏卵抗体である請求項1〜5のいずれか一項に記載の有害物質除去用フィルター
  7. 前記抗体及び前記の防腐作用および/または防カビ作用を有する材料が溶解または分散した溶液に前記担体を浸漬することにより製造される請求項1〜6のいずれか一項に記載の有害物質除去用フィルター
  8. 前記抗体が気相に面している請求項1〜7のいずれか一項に記載の有害物質除去用フィルター
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の有害物質除去用フィルターを用いて、気相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法。
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