JP2009291754A - 有害物質除去材及び有害物質除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い捕集効率、低い圧力損失、並びに長い寿命を同時に達成できる有害物質除去材の提供。
【解決手段】セルロースエステル、ビニロンなどを主成分とする繊維から構成される担体からなる有害物質除去材であって、繊維径が10nm以上1μm以下であり、かつ担体の孔径が100μm以上1mm以下として、繊維の目付量a[g/m2]と膜厚L[cm]の関係が、1≦(a×L)≦100を満たしている、気相中あるいは液相中の有害物質を対象とする除去材。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維から構成される担体からなる有害物質除去材、及びそれを用いた有害物質除去方法に関する。
近年、細菌、カビ又はウイルスなどが原因となる感染症が社会問題になっており、例えば、病院内や、公共施設など不特定多数の人の集まる場所での大量感染が懸念されている。特に病院内での感染は、抗生物質の乱用などからMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)等の発生を招く原因となることもある。
このことに関し、最近の建築物では全室にダクトを設け、このダクトを通じてエアーコンディショナーにより空気を循環させて建物全体の室温等を調整しているため、このエアーコンディショナーを介して施設内を浮遊する細菌、カビ又はウイルスなどが施設全体に拡散することが多く、特にこのような空気を媒体とした感染ルートを遮断することが有効であると考えられるようになってきている。すなわち、エアーコンディショナーや空気清浄機などの空気流通部に、細菌、カビ、ウイルス又はこれらの媒体として空気中の微細浮遊物(ダスト等)を目の細かいフィルターに吸着させたり、酸化チタンや強酸性の滅菌ゾーンを設けて、ここを通過する細菌、カビ又はウイルスなどを不活性化して除去することが行われている。
特許文献1には、静電紡糸法により製造された、平均繊維径が0.01μm以上0.5μm未満の極細繊維集合体層と、平均繊維径が0.5μm以上5μm以下の細繊維集合体層とを備えていることを特徴とする濾過材が記載されている。但し、特許文献1には、担体の孔径、繊維の目付量、膜厚に関する記載はない。
特許文献2には、繊維直径Dと体積空隙率εにより次式で表される空隙構造パラメーターKが0.035以上0.075以下であり、且つ繊維直径Dが14μm以上50μm以下であることを特徴とする長繊維不織布フィルター(K=Dε/(1−ε)(上式中、 D:繊維直径(cm)、ε:体積空隙率))が記載されており、またAOS O95開孔径が160μm以上300μm以下であることを、バブルポイント O50開孔径が100μm以上200μm以下であることが記載されている。しかし、特許文献2には、微細繊維の使用に関する記載はない。
特開2005−218909号公報 特開平7−24232号公報
本発明は、高い捕集効率、低い圧力損失、並びに長い寿命を同時に達成できる有害物質除去材を提供することを解決すべき課題とした。また、本発明は、当該有害物質除去材を用いた効率的な有害物質除去方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、繊維から構成される担体からなる有害物質除去材において、繊維径を10nm以上1μm以下にすると同時に、担体の孔径を100μm以上1mm以下とすることによって、高い捕集効率、低い圧力損失、並びに長い寿命を同時に達成できる有害物質除去材を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、繊維から構成される担体からなる有害物質除去材であって、前記繊維径が10nm以上1μm以下であり、かつ担体の孔径が100μm以上1mm以下であることを特徴とする有害物質除去材が提供される。
好ましくは、前記繊維の目付量(a)[g/m2]と膜厚(L)[cm]の関係は、下記式を満たしている。
1≦(a×L)≦100
好ましくは、繊維は、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、又はポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維である。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の有害物質除去材を用いて、気相中あるいは液相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法が提供される。
好ましくは、気相中の有害物質を除去する。
本発明によれば、高い捕集効率、低い圧力損失、並びに長い寿命を同時に達成した有害物質除去材を提供することができる。本発明によれば、気相中あるいは液相中の有害物質を効率的に除去できる空気清浄機あるいは液体清浄機を作製できるため、産業において非常に有用である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の有害物質除去材は、繊維から構成される担体からなる有害物質除去材であって、前記繊維径が10nm以上1μm以下であり、かつ担体の孔径が100μm以上1mm以下であることを特徴とする。
フィルターの繊維を微細化した場合、フィルターの孔径が小さくなるため粒子の捕集効率が向上する。但し、圧力損失も上昇してしまうため、圧力損失を下げるために膜厚を薄くする必要がある。そのため表面積が減少し、またフィルター表面で捕集するため目詰まりを生じやすくなる。本発明においては、繊維を微細化した上で、高い捕集効率、低い圧力損失、並びに長い寿命を満足させることを目的として、担体であるナノファイバーフィルターの孔径を大きくすることによって、体積濾過のフィルター構造にすることができ、高い捕集効率、低い圧力損失、並びに長い寿命を両立させることが可能になった。即ち、繊維径を微細化したフィルターは低い圧力損失及び高い捕集効率を満たすが、長い寿命との両立が難しい。本発明では、フィルターの孔径を大きくすることによって、圧力損失を上昇させることなくナノファイバーの高比表面積の特徴を生かすことが可能となる。
本発明に用いられる繊維の平均繊維径は、10nm以上1μm以下であり、好ましくは20nm以上700nm以下である。なお、平均繊維径は走査型電子顕微鏡(SEM)の観察画像から任意の箇所(例えば、300箇所など)における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めることができる。
本発明で用いる担体の孔径は100μm以上1mm以下であり、好ましくは100μm以上800nm以下である。担体の孔径は、例えば、パームポローメーター(西華産業(株))などの市販の装置を用いて測定することができる。
本発明においては、繊維の目付量(a)[g/m2]と膜厚(L)[cm]の関係が、下記式を満たしていることが好ましい。
1≦(a×L)≦100
繊維の目付量と膜厚は上記式を満たす限り特に限定されないが、繊維の目付量は一般的には0.1〜300g/m2であり、好ましくは0.2〜200g/m2であり、膜厚は一般的には0.1cmから5cmであり、好ましくは0.5cmから5cmである。
担体を形成する主たる繊維としては、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、ポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維が好ましい。また、担体を形成する主たる材料としては、ポリアミドを主成分とする繊維も好ましい。本発明でいう主成分とは、全繊維中の質量分率にして25%以上を構成する成分であることを指す。
本発明におけるセルロースエステルとは、セルロースの水酸基を有機酸でエステル化されているセルロース誘導体を指す。エステル化に用いる有機酸は、例えば酢酸・プロピオン酸・酪酸などの脂肪カルボン酸、安息香酸・サリチル酸などの芳香族カルボン酸などがある。単独もしくは併用したものであってもよい。セルロースの水酸基のエステル基置換率について特に制限はないが、60%以上であることが好ましい。
本発明における担体を形成する主たる材料の群のなかでは、セルロースアシレート繊維が望ましい。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基を構成する水素原子の一部または全部がアシル基で置換されているセルロースエステルを指す。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、およびブチリル基など挙げられる。これらの基は1種のみが置換されて構成されていてもよいし、2種以上のアシル基が混合置換されていてもよい。アシル基置換度の総和は、好ましくは2.0〜3.0であり、より好ましくは2.1〜2.8であり、特に好ましくは2.2〜2.7である。なかでも、この置換度を満たすセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることが好ましく、セルロースアセテートであることが最も好ましい。一般にセルロースアシレートは、エステル化度によって溶剤が異なることが知られているが、あらかじめエステル化率の高いセルロースアシレートで担体を作製したのちに、アルカリ加水分解処理等を行って表面を親水化してもよい。
セルロースアシレート繊維のみでも十分に実用的な有害物質除去材料を形成することが可能であるが、強度や寸度安定性をさらに向上させる等の目的で、ポリエステル系繊維・ポリオレフィン系繊維・ポリアミド系繊維・アクリル系繊維等との混紡繊維により担体を形成してもよい。混紡繊維を用いる場合には、セルロースアシレート繊維の質量分率は50%以上であることが望ましく、70%以上であることがさらに望ましい。
本発明における担体を形成する主たる材料の群のなかでは、ポリアミド繊維であることも望ましい。
本発明におけるポリアミドとは、化学構造単位にアミド結合を有する線状高分子からなる繊維を指す。
ポリアミドの中でも、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンと、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸との結合体である直鎖型脂肪族ポリアミドが好ましい。特に、ナイロン66が好ましい。
前記のジアミンおよびジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸等を単独または共重合成分として用いた脂肪族ポリアミドを用いることもできる。特に、ε−カプロラクタムの単独使用で製造されるナイロン6が好ましい。
これらの他に、原料の脂肪族ジアミンとして一部または全部をシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1、4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ジアミンを用いた脂肪族ポリアミド、および/または、ジカルボン酸として一部または全部を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリアミドであってもよい。
更に、脂肪族パラキシリレンジアミン(PXDA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの芳香族ジアミン、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を部分的な原料として用いて、吸水性の低減や弾性率向上を実現したポリアミドも含まれる。また、ポリアクリル酸アミド、ポリ(N−メチルアクリル酸アミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリル酸アミド)などのような側鎖にアミド結合を有するポリマーであってもよい。
ポリアミドの中で最も望ましいのは、ナイロン66またはナイロン6である。アミド結合に由来する適度な吸湿性、適度な長さの長鎖脂肪酸からなる分子鎖を繊維軸配向させやすく比較的延伸性が高いこと、融解熱が高く熱容量が大きいことから動力学的にも速度論的にも溶融しにくい(耐溶融性)、長鎖脂肪鎖からなる分子鎖の可とう性や、アミド結合間の水素結合形成のためにフィブリル化やキンクバンドが生じにくい性質、すなわち繰返し屈伸性など、本発明の担体として好ましい性能を活用することができるためである。
化学構造単位中のアミド結合が、主鎖ではなく側鎖に有するポリアミドも好ましく用いることができる。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N‘−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−ヘキシルアクリルアミド)などのポリアクリルアミドを挙げることができる。一般に側鎖にアミド結合を有するポリマーは親水性が高く膨潤・変形しやすいため、ゲル化現象を利用して物理架橋体を形成させたり、アルキル基を導入させたりするなどの方法により疎水化することが望ましい。
同様に強度や寸度安定性を向上させる目的で、担体を金属・高分子材料・セラミックス等の他の適切な構造材料により補強してもよい。これらの補強材は、有害物質除去材料を供給する側面の実質的な最表面以外の部分(例えば、該側面の反対面や芯材に用いる等)に用いることが望ましい。
本発明におけるビニロンとは、ビニルアルコール単位を65質量%以上含む線状高分子からなり、温度20℃湿度65%の環境に1週間以上放置した後の水分率が7%未満である繊維を指す。ビニルアルコールの水酸基をホルマール化したものであってもよいが、水酸基をホウ酸架橋したポリマーや、公知のアルカリ紡糸法や冷却ゲル紡糸法などの方法により耐水化処理が施された非ホルマール化繊維であってもよい。ビニルアルコール単位以外の成分としてはエチレン鎖、酢酸ビニル鎖などが含まれていてもよいが、ビニルアルコール担体から形成される繊維であることが好ましい。さらに、均質で高配向度・高結晶化度であるために、優れた機械的特性と信頼性が得られるという点で、冷却ゲル紡糸による非ホルマール化繊維であることが最も望ましい。
ビニロンは一般に、他の繊維に対して、高強度、高弾性率、適度な親水性、耐候性、耐薬品性、接着性などに優れており、本発明の担体としてこれらの好ましい性能を活用することができる。
本発明におけるアクリル系とは、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で40%以上含む繊維を指し、例えば、アクリロニトリルのホモポリマーや、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの非イオン性モノマーとアクリルニトリルのコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸などのアニオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマー、あるいは、ビニルピリジン、メチルビニルピリジンなどのカチオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマーなどの例がある。アクリロニトリルとミルクカゼインから形成されるいわゆるプロミックス繊維も本カテゴリーに包含される。
アクリル系の繊維は一般に、有機系湿式紡糸法で製造することが多い。この方法では、紡糸原液が凝固浴中で凝固糸を形成するときに、凝固剤である水がノズルより紡出される紡糸原液中に浸入する一方で、紡糸溶剤が紡出した原液から外部に拡散し、このとき、水と有機溶剤(DMF、DMAcなど)が相互拡散することで重合体が析出して無数の空洞が網目状につながった構造をもつ凝固糸条が形成される。また、凝固過程で溶剤が凝固浴中に拡散することによる体積収縮により形成される繊維断面の変形や表面のマクロフィブ
リル構造形成による凹凸形成が特徴である。これらの微細構造は本発明で使用する担体の構造としては、比表面積向上や抗体担持のし易さの点で好ましい。
本発明で用いるアクリル系繊維は、原料ポリマーの組成や紡糸法、製造工程内の後処理条件などにより変動するが、一般に、適度な親水性、耐候性が高い、かさ高い繊維が得られやすいという利点がある。
本発明で用いるポリウレタンは、単量体相互の結合部分または基本となる基材重合体相互の結合部分が主としてウレタン結合による線状合成高分子からなる繊維を指す。ポリウレタンセグメントを質量比で85%以上含むことが望ましい。低融点で柔らかい分子量数千までのソフトセグメントと、剛直性で凝集力の高い高融点のハードセグメントからなるセグメント化ポリウレタンのブロック共重合であることが望ましい。ソフトセグメントとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル、ハードセグメントとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネートなどで形成されるウレタン基を用いることができる。ポリウレタンは一般に高い弾性を示すのが特徴で、両セグメントの化学構造や分布など高分子鎖の一時構造の違いや、製糸条件の違いなどからくる二次構造の違いによって異なるが、よく伸びる、伸縮回復力が高い、ゴム材料に比べて老化しにくい・細い繊維が得られるなどの特徴があり、本発明の担体として用いた場合にもこれらの性質を活用することができる。
担体を構成する繊維の機械的物性ならびに寸法安定性については、乾燥時伸度が25%以上であることが望ましい。ここで乾燥時伸度とは、十分に長い時間かけて乾燥した繊維の20℃における引張試験における破断伸度をさす。一般に乾燥時伸度が10%以上で製布等の加工に適することが、フィルター加工及び実用時の破壊(ろ過効率の低下につながる)を防止するには25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが最も好ましい。
担体を構成する繊維の公定水分率は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、3.0%以上6.7%未満であることがより好ましく、5.0%以上6.5%未満であることが最も好ましい。本領域の公定水分率において、担持した抗体の活性の発現と、担体の機械的強度、剛性、環境(特に湿度)に対する寸法安定性が得られ、ひいてはフィルターとしての高い性能と信頼性を示すことができる。
なお、ここで言う水分率とは公定水分率のことであり、公定水分率とは繊維を20℃、相対湿度65%の環境下に長時間放置したときに繊維に含まれる水分率のことを指す。また、他の繊維との混紡繊維の場合にはその混紡繊維全体の公定水分率を指すものとする。
担体を構成する繊維の表面は、数十ナノメートルから数マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造を有することが好ましい。凹凸の形状は、繊維方向と平行方向に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよいし、繊維方向と垂直すなわち軸に対して同心円状に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよく、これらの立体形状は繊維方向と平行方向から垂直方向迄の任意の角度で形成されたものが任意の比率、密度で存在してもよい。公知のセルロースアセテート繊維の紡糸法で得られる試料には、表層のスキン層形成と溶剤乾燥に伴うスキン層の陥没により、繊維断面が不定形の菊型を形成することが知られているが、この凹凸は本発明においても好ましい形態である。
ナノメートルからマイクロメートルスケールの微細な凹凸構造は、空孔状および/または突起状であってもよい。平均径にして50nmから1μmの空孔または突起であることが望ましい。これらの空孔や突起は、例えば溶液のキャビテーションや微細分散質を分散させた溶液(例えば硫酸バリウム粒子を分散させたスラリーとの混合)を利用するなどの方法により紡糸工程で形成させたり、アシル基の加水分解や表面酸化処理など方法(例えばアルカリ水溶液により繊維表面をセルロース化したのち、酵素処理により繊維表面にミクロクレーターを発現させたりするなど)により後工程によって形成させたりすることができる。
本発明に用いられる繊維の作製法としては、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法や、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化する方法などが挙げられるが、安定な品質を確保するためには、乾式紡糸もしくは湿乾式紡糸法を用いることが好ましい。平均繊維径が100nm以下で均一な繊維を作製するためには、さらに加工技術、2005年、40巻、No.2、101頁、および167頁;Polymer International誌、1995年、36巻、195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁;Journal of Macromolecular Science : Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている電界紡糸法を採用することが好ましい。
紡糸に用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
電界紡糸法を採用する場合には樹脂溶液に、さらに塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
本発明の有害物質除去材の担体を構成する繊維同士は部分的に接着することにより三次元ネットワークを形成している構造をもつことが望ましい。かような構造をとることにより、加工ならびに実用上の機械的耐性の向上、ひいては有害物質除去材の信頼性をあげることができる。また本発明の抗体の保持特性を上げることができる。繊維同士の接着は
SEM等の方法で観察することができる。繊維同士の接着点の密度は、該有害物質除去材の投影表面積に対して1mm角辺り10箇所以上存在することが好ましく、100箇所以上であることがより好ましい。
接着点を形成する方法としては、乾式紡糸法で形成される癒着や溶融紡糸法で形成される融着点で形成してもよいし、紡糸後に加熱や、接着剤・可塑化溶剤等の添加による接着点形成処理を行ってもよい。製造コストの観点では適切な溶液処方により乾式紡糸法で癒着点を形成させることが好ましい。
本発明では、必要に応じて、各種の有害物質除去要素を担体に担持させてもよい。有害物質除去要素の具体例としては、酵素、抗体、抗菌剤、防カビ剤、触媒、又は強誘電材料などを挙げることができる。
酵素としては、リパーゼなどの加水分解酵素、又はプロテアーゼなどの蛋白質分解酵素などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
抗体の種類は、捕捉しうる有害物質の種類に対応する。抗体により捕捉される有害物質としては、例えば、細菌、カビ、ウイルス、アレルゲン及びマイコプラズマを挙げることができる。具体的には、細菌としては、例えば、グラム陽性菌であるブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)、ミクロコッカス菌、炭疽菌、セレウス菌、枯草菌、アクネ菌などや、グラム陰性菌である緑膿菌、セラチア菌、セパシア菌、肺炎球菌、レジオネラ菌、結核菌などを挙げることができる。カビとしては、例えば、アスペルギルス、ペニシリウス、クラドスポリウムなどを挙げることができる。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイスル(SARSウイルス)、アデノウイルス、ライノウイルスなどを挙げることができる。アレルゲンとしては、花粉、ダニアレルゲン、ネコアレルゲンなどを挙げることができる。
抗菌剤及び防カビ剤としては、有機シリコン第4級アンモニウム塩系、有機第4級アンモニウム塩系、ビグアナイド系、ポリフェノール系、キトサン、銀担持コロイダルシリカ、ゼオライト担持銀系などが挙げられる。そして、その加工法としては、繊維からなる担体に抗菌/防カビ剤を含浸させるまたは塗布する後加工法や、担体を構成する繊維の合成段階で抗菌/防カビ剤を練り込む原糸原綿改質法などがある。
触媒としては、例えば、酸化チタンなどの光触媒などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
強誘電材料としては、フッ化ビニリデン系、又はポリアミド系高分子などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有害物質除去材は、空気清浄機用フィルター、マスク、拭き取りシート、布きん、壁紙、シーツ、カーテンなどに適用することができる。
空気清浄機用フィルターとして使用する際には、粗塵を除くためのプレフィルター、除塵フィルター、消臭効果を示す光触媒フィルター、他の有害物質を除去する抗菌フィルター、VOC吸着フィルターなど任意の公知のフィルターと組み合わせて使用してもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
酢酸セルロースのN,N−ジメチルホルムアミド/アセトン(DMF/アセトン=2/1)12.5質量%溶液と、ポリビニルアルコールの10質量%水溶液を調製し、図1の装置のシリンジA、Bにそれぞれ添加した。各々のシリンジのニードルに電圧を印加し、同時に電界紡糸を行った。各々のシリンジにおいて、印加電圧10〜20kV、シリンジ送り速度0.001〜0.1mm/minの範囲で調整し、酢酸セルロースとポリビニルアルコールの紡糸量の重量比が酢酸セルロース/ポリビニルアルコール=1/200となるようにして不織布を作製した。その後、前記不織布を水に漬けてポリビニルアルコールを溶解させ、酢酸セルロース単独の不織布N−1を作製した。この不職布の繊維径200mn、膜厚4cm、目付量0.4g/m2であった。
(実施例2)
実施例1において、酢酸セルロースとポリビニルアルコールの紡糸量の重量比が酢酸セルロース/ポリビニルアルコール=1/20となるようにした以外は実施例1と同様にして不織布N−2を作製した。この不職布の繊維径200nm、膜厚2cm、目付量1g/m2であった。
(比較例1)
酢酸セルロースのN,N−ジメチルホルムアミド/アセトン(DMF/アセトン=2/1)12.5質量%溶液を調製し、図2の装置のシリンジに添加した。ニードルに電圧を印加して電界紡糸を行い、不織布H−1を作製した。印加電圧10〜20kV、シリンジ送り速度0.01〜0.1mm/minの範囲で調整した。この不織布の繊維径200nm、膜厚100μm、目付量0.01g/m2であった。
(比較例2)
特表2002−517618号に記載の溶融紡糸法により、酢酸セルロースを用いて不織布H−2を作製した。この不織布の繊維径20μm、膜厚4mm、目付量100g/m2であった。
(孔径測定)
前記N−1〜2及びH−1〜2の各サンプルの孔径をパームポローメーター(西華産業(株))を用いて測定した。その結果を表1に示す。
(フィルタ性能の測定)
前記N−1〜2及びH−1〜2の各サンプルを直径120mmに打ち抜いてサンプルホルダーにセットし、同口径の試験用ダクト内に設置した。粒子発生器(TSI社製)を用いて50〜500nmの微粒子を発生させ、静電分級器(TSI社製)を用いて特定の粒子径の微粒子をダクト内に5.3cm/secの流速で導入した。サンプルホルダーの上流と下流で凝縮粒子カウンター(TSI社製)を用いて粒子数をカウントし、上流と下流での粒子数比から特定の粒子径でのフィルタ効率を算出した。粒子径50〜500nmの範囲で上記の測定を行い、平均の捕集効率を算出した。
また、測定時の圧力損失も測定した。具体的には、直径120mmのサンプルで仕切った箱に差圧計を取り付け、上流側から流量35L/minの清浄空気を送り、1分後の差圧を測定して圧力損失を評価した。また、100nm径の粒子を用いた測定において、圧力損失が1800Paに到達したときの粒子捕集量(寿命)を求めた。結果を表1に示す。
図1は、実施例1及び2で用いた紡糸装置を示す。 図2は、比較例1で用いた紡糸装置を示す。
符号の説明
1 電源
2 シリンジ
3 ニードル
4 基板
5 ポリマー溶液
6 ナノファイバー
11 電源
12 シリンジA
13 シリンジB
14 ポリマー溶液A
15 ポリマー溶液B
16 ニードル
17 基板
18 ナノファイバー

Claims (5)

  1. 繊維から構成される担体からなる有害物質除去材であって、前記繊維径が10nm以上1μm以下であり、かつ担体の孔径が100μm以上1mm以下であることを特徴とする有害物質除去材。
  2. 前記繊維の目付量(a)[g/m2]と膜厚(L)[cm]の関係が、下記式を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の有害物質除去材。
    1≦(a×L)≦100
  3. 繊維が、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、又はポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維である、請求項1又は2に記載の有害物質除去材。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の有害物質除去材を用いて、気相中あるいは液相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法。
  5. 気相中の有害物質を除去する、請求項4に記載の有害物質除去方法。
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