JP2010029595A - 有害物質除去材及び有害物質除去方法 - Google Patents

有害物質除去材及び有害物質除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有害物質を効率的に捕捉し、速やかに不活性化して人体に対する影響を最小限に抑えるとともに、抗体を容易な方法で担体に担持させることができ、かつ抗体の利用効率を向上させた有害物質除去材を提供すること。
【解決手段】抗体と、当該抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質とが担持されている担体からなる、有害物質除去材。
【選択図】なし

Description

本発明は、本発明は、細菌又はウイルスを選択的に不活性化できる有害物質除去材、およびそれを用いた有害物質除去方法に関する。
近年、細菌、カビ又はウイルスなどが原因となる感染症が社会問題になっており、例えば、病院内や、公共施設など不特定多数の人の集まる場所での大量感染が懸念されている。特に病院内での感染は、抗生物質の乱用などからMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)等の発生を招く原因となることもある。
このことに関し、最近の建築物では全室にダクトを設け、このダクトを通じてエアーコンディショナーにより空気を循環させて建物全体の室温等を調整しているため、このエアーコンディショナーを介して施設内を浮遊する細菌、カビ又はウイルスなどが施設全体に拡散することが多く、特にこのような空気を媒体とした感染ルートを遮断することが有効であると考えられるようになってきている。すなわち、エアーコンディショナーや空気清浄機などの空気流通部に、細菌、カビ、ウイルス又はこれらの媒体として空気中の微細浮遊物(ダスト等)を目の細かいフィルターに吸着させたり、酸化チタンや強酸性の滅菌ゾーンを設けて、ここを通過する細菌、カビ又はウイルスなどを不活性化して除去することが行われている。
しかしながら、吸着による除去では有害物質が細菌やウイルス等であった場合、一度フィルターに捕集された細菌が脱離し再び活性化し、人体に影響を与える可能性がある。また、酸化チタンや強酸性の滅菌ゾーンを通過させて不活性化する方法では、不活性化にある程度時間がかかり、その効果も必ずしも十分でないことが問題視されていた。
特許文献1には、担体に抗体を担持してなる有害物質除去材を用いて気相雰囲気下で有害物質を除去する方法であって、上記抗体の周辺雰囲気を該抗体が活性を示す湿度にすることを特徴とする有害物質除去方法が記載されている。特許文献1には、抗体のFcの部分を担体に結合させることによって、有害物質を捕捉するFabが担体に対して外向きとなり、Fabへの有害物質の接触確率が高くなるので、効率よく有害物質を捕捉することができることが記載されている。しかしながら、特許文献1の方法においても抗体の利用効率は低く、Fab部をより有効に使用するために、抗体または担体に特殊な工程を施す必要があり、生産性が悪いという問題があった。
一方、特許文献2には、結合性蛋白質とN−グリコシド結合複合型糖鎖を有する抗体Fc領域との融合蛋白質分子からなる医薬組成物か記載されている。しかし、特許文献2は、抗体を担持させた有害物質除去材に関するものではない。
特許第3642340号公報 国際公開WO2005/35586号公報
本発明は、従来の有害物質除去材の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、細菌やウイルスなどの微生物由来の有害物質を効率的に捕捉し、速やかに不活性化して人体に対する影響を最小限に抑えるとともに、抗体を容易な方法で担体に担持させることができ、かつ抗体の利用効率を向上させた有害物質除去材を提供することを解決すべき課題とした。また、本発明は、当該有害物質除去材を用いた効率的な有害物質除去方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、抗体と、当該抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質とを担体上に担持させることによって、有害物質を効率的に捕捉し、速やかに不活性化して人体に対する影響を最小限に抑えるとともに、抗体を容易な方法で担体に担持させることができ、かつ抗体の利用効率を向上させた有害物質除去材を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、抗体と、当該抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質とが担持されている担体からなる、有害物質除去材が提供される。
好ましくは、抗体はIgGである。
好ましくは、糖鎖親和性物質は、IgGのFc領域にある糖鎖と共通のオリゴ糖単位を有する物質である。
好ましくは、糖鎖親和性物質は、グルコース、ガラクトース、マノース、キシロース、フコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、又はN−アセチルノイラミン酸の少なくとも1種類を含有する糖鎖である。
好ましくは、糖鎖親和性物質は、担体の表面にコーティングされている。
好ましくは、本発明の有害物質除去材は、糖鎖親和性物質とともに親水性高分子を担体上に有している。
好ましくは、親水性高分子は、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボン酸基、4級アミノ基のうち、少なくとも1種類の官能基を有する親水性高分子である。
好ましくは、糖鎖親和性物質からなる層の平均厚みは5〜20nmである。
好ましくは、抗体は、ダチョウ由来の抗体である。
本発明によればさらに、上記した本発明の有害物質除去材を用いて、気相中あるいは液相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法が提供される。
本発明によれば、抗体と、当該抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質とを担体上に担持させることにより、抗体の有効担持量を増加させることができ、少量の抗体で有害物質を確実に無効化することができる。さらに、本発明によれば、保存性も向上し、同時に、空中浮遊菌の捕捉率も向上した有害物質除去材を提供することが可能になった。本発明の方法によれば、気相中あるいは液相中の有害物質を効率的に除去できる空気清浄機あるいは液体清浄機を作製できるため、産業において非常に有用である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の有害物質除去材は、抗体と、当該抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質とが担持されている担体からなることを特徴とする。
(1)担体
本発明で用いる担体を形成する主たる材料としては、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、ポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維が好ましい。また、担体を形成する主たる材料としては、ポリアミドを主成分とする繊維も好ましい。本発明でいう主成分とは、全繊維中の質量分率にして25%以上を構成する成分であることを指す。
本発明におけるセルロースエステルとは、セルロースの水酸基を有機酸でエステル化されているセルロース誘導体を指す。エステル化に用いる有機酸は、例えば酢酸・プロピオン酸・酪酸などの脂肪カルボン酸、安息香酸・サリチル酸などの芳香族カルボン酸などがある。単独もしくは併用したものであってもよい。セルロースの水酸基のエステル基置換率について特に制限はないが、柔軟性、耐衝撃性、機械的強度、加工性ならびに寸度安定性の観点から、60%以上であることが好ましい。
本発明における担体を形成する主たる材料の群のなかでは、セルロースアシレート繊維が望ましい。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基を構成する水素原子の一部または全部がアシル基で置換されているセルロースエステルを指す。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、およびブチリル基など挙げられる。これらの基は1種のみが置換されて構成されていてもよいし、2種以上のアシル基が混合置換されていてもよい。アシル基置換度の総和は、柔軟性、耐衝撃性、機械的強度、加工性ならびに寸度安定性のバランスの観点から、好ましくは2.0〜3.0であり、より好ましくは2.1〜2.8であり、特に好ましくは2.2〜2.7である。なかでも、この置換度を満たすセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることが好ましく、セルロースアセテートであることが最も好ましい。一般にセルロースアシレートは、エステル化度によって溶剤が異なることが知られているが、あらかじめエステル化率の高いセルロースアシレートで担体を作製したのちに、アルカリ加水分解処理等を行って表面を親水化してもよい。
セルロースアシレート繊維のみでも十分に実用的な有害物質除去材料を形成することが可能であるが、強度や寸度安定性をさらに向上させる等の目的で、ポリエステル系繊維・ポリオレフィン系繊維・ポリアミド系繊維・アクリル系繊維等との混紡繊維により担体を形成してもよい。混紡繊維を用いる場合には、セルロースアシレート繊維の質量分率は50%以上であることが望ましく、70%以上であることがさらに望ましい。
本発明における担体を形成する主たる材料の群のなかでは、ポリアミド繊維であることも望ましい。
本発明におけるポリアミドとは、化学構造単位にアミド結合を有する線状高分子からなる繊維を指す。
ポリアミドの中でも、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンと、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸との結合体である直鎖型脂肪族ポリアミドが好ましい。特に、ナイロン66が好ましい。
前記のジアミンおよびジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸等を単独または共重合成分として用いた脂肪族ポリアミドを用いることもできる。特に、ε−カプロラクタムの単独使用で製造されるナイロン6が好ましい。
これらの他に、原料の脂肪族ジアミンとして一部または全部をシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1、4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ジアミンを用いた脂肪族ポリアミド、および/または、ジカルボン酸として一部または全部を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリアミドであってもよい。
更に、脂肪族パラキシリレンジアミン(PXDA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの芳香族ジアミン、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を部分的な原料として用いて、吸水性の低減や弾性率向上を実現したポリアミドも含まれる。また、ポリアクリル酸アミド、ポリ(N−メチルアクリル酸アミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリル酸アミド)などのような側鎖にアミド結合を有するポリマーであってもよい。
ポリアミドの中で最も望ましいのは、ナイロン66またはナイロン6である。アミド結合に由来する適度な吸湿性、適度な長さの長鎖脂肪酸からなる分子鎖を繊維軸配向させやすく比較的延伸性が高いこと、融解熱が高く熱容量が大きいことから動力学的にも速度論的にも溶融しにくい(耐溶融性)、長鎖脂肪鎖からなる分子鎖の可とう性や、アミド結合間の水素結合形成のためにフィブリル化やキンクバンドが生じにくい性質、すなわち繰返し屈伸性など、本発明の担体として好ましい性能を活用することができるためである。
化学構造単位中のアミド結合が、主鎖ではなく側鎖に有するポリアミドも好ましく用いることができる。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N‘−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−ヘキシルアクリルアミド)などのポリアクリルアミドを挙げることができる。一般に側鎖にアミド結合を有するポリマーは親水性が高く膨潤・変形しやすいため、ゲル化現象を利用して物理架橋体を形成させたり、アルキル基を導入させたりするなどの方法により疎水化することが望ましい。
同様に強度や寸度安定性を向上させる目的で、担体を金属・高分子材料・セラミックス等の他の適切な構造材料により補強してもよい。これらの補強材は、有害物質除去材料を供給する側面の実質的な最表面以外の部分(例えば、該側面の反対面や芯材に用いる等)に用いることが望ましい。
本発明におけるビニロンとは、ビニルアルコール単位を65質量%以上含む線状高分子からなり、温度20℃湿度65%の環境に1週間以上放置した後の水分率が7%未満である繊維を指す。ビニルアルコールの水酸基をホルマール化したものであってもよいが、水酸基をホウ酸架橋したポリマーや、公知のアルカリ紡糸法や冷却ゲル紡糸法などの方法により耐水化処理が施された非ホルマール化繊維であってもよい。ビニルアルコール単位以外の成分としてはエチレン鎖、酢酸ビニル鎖などが含まれていてもよいが、ビニルアルコール担体から形成される繊維であることが好ましい。さらに、均質で高配向度・高結晶化度であるために、優れた機械的特性と信頼性が得られるという点で、冷却ゲル紡糸による非ホルマール化繊維であることが最も望ましい。
ビニロンは一般に、他の繊維に対して、高強度、高弾性率、適度な親水性、耐候性、耐薬品性、接着性などに優れており、本発明の担体としてこれらの好ましい性能を活用することができる。
本発明におけるアクリル系とは、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で40%以上含む繊維を指し、例えば、アクリロニトリルのホモポリマーや、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの非イオン性モノマーとアクリルニトリルのコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸などのアニオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマー、あるいは、ビニルピリジン、メチルビニルピリジンなどのカチオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマーなどの例がある。アクリロニトリルとミルクカゼインから形成されるいわゆるプロミックス繊維も本カテゴリーに包含される。
アクリル系の繊維は一般に、有機系湿式紡糸法で製造することが多い。この方法では、紡糸原液が凝固浴中で凝固糸を形成するときに、凝固剤である水がノズルより紡出される紡糸原液中に浸入する一方で、紡糸溶剤が紡出した原液から外部に拡散し、このとき、水と有機溶剤(DMF、DMAcなど)が相互拡散することで重合体が析出して無数の空洞が網目状につながった構造をもつ凝固糸条が形成される。また、凝固過程で溶剤が凝固浴中に拡散することによる体積収縮により形成される繊維断面の変形や表面のマクロフィブリル構造形成による凹凸形成が特徴である。これらの微細構造は本発明で使用する担体の構造としては、比表面積向上や抗体担持のし易さの点で好ましい。
本発明で用いるアクリル系繊維は、原料ポリマーの組成や紡糸法、製造工程内の後処理条件などにより変動するが、一般に、適度な親水性、耐候性が高い、かさ高い繊維が得られやすいという利点がある。
本発明で用いるポリウレタンは、単量体相互の結合部分または基本となる基材重合体相互の結合部分が主としてウレタン結合による線状合成高分子からなる繊維を指す。ポリウレタンセグメントを質量比で85%以上含むことが望ましい。低融点で柔らかい分子量数千までのソフトセグメントと、剛直性で凝集力の高い高融点のハードセグメントからなるセグメント化ポリウレタンのブロック共重合であることが望ましい。ソフトセグメントとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル、ハードセグメントとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネートなどで形成されるウレタン基を用いることができる。ポリウレタンは一般に高い弾性を示すのが特徴で、両セグメントの化学構造や分布など高分子鎖の一時構造の違いや、製糸条件の違いなどからくる二次構造の違いによって異なるが、よく伸びる、伸縮回復力が高い、ゴム材料に比べて老化しにくい・細い繊維が得られるなどの特徴があり、本発明の担体として用いた場合にもこれらの性質を活用することができる。
上記の担体のほかにも、酸素プラズマ処理・UVオゾン処理といった気相表面改質処理、親水基を有する化合物の化学修飾処理、親水性高分子のコーティングによる親水表面処理を施すことにより、ポリオレフィン、ポリエステルといった疎水性繊維を含む幅広い種類の担体を用いることが可能である。
担体を構成する繊維の機械的物性ならびに寸法安定性については、乾燥時伸度が25%以上であることが望ましい。ここで乾燥時伸度とは、十分に長い時間かけて乾燥した繊維の20℃における引張試験における破断伸度をさす。一般に乾燥時伸度が10%以上で製布等の加工に適することが、フィルター加工及び実用時の破壊(ろ過効率の低下につながる)を防止するには25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが最も好ましい。これらの要件を満たすことによりフィルターとしての高い性能と信頼性を確保することができる。
担体を構成する繊維の公定水分率は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、3.0%以上6.5%未満であることがより好ましく、5.0%以上6.5%未満であることが最も好ましい。本領域の公定水分率において、担持した抗体の活性の発現と、担体の機械的強度、剛性、環境(特に湿度)に対する寸法安定性が得られ、ひいてはフィルターとしての高い性能と信頼性を示すことができる。
なお、ここで言う水分率とは公定水分率のことであり、公定水分率とは繊維を20℃、相対湿度65%の環境下に長時間放置したときに繊維に含まれる水分率のことを指す。また、他の繊維との混紡繊維の場合にはその混紡繊維全体の公定水分率を指すものとする。
担体を構成する繊維の表面は、数十ナノメートルから数マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造を有することが好ましい。凹凸の形状は、繊維方向と平行方向に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよいし、繊維方向と垂直すなわち軸に対して同心円状に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよく、これらの立体形状は繊維方向と平行方向から垂直方向迄の任意の角度で形成されたものが任意の比率、密度で存在してもよい。公知のセルロースアセテート繊維の紡糸法で得られる試料には、表層のスキン層形成と溶剤乾燥に伴うスキン層の陥没により、繊維断面が不定形の菊型を形成することが知られているが、この凹凸は本発明においても好ましい形態である。
ナノメートルからマイクロメートルスケールの微細な凹凸構造は、空孔状および/または突起状であってもよい。平均径にして50nmから1μmの空孔または突起であることが望ましい。これらサイズの空孔や突起を設けることにより、例えば溶液のキャビテーションや微細分散質を分散させた溶液(例えば硫酸バリウム粒子を分散させたスラリーとの混合)を利用するなどの方法により紡糸工程で形成させたり、アシル基の加水分解や表面酸化処理など方法(例えばアルカリ水溶液により繊維表面をセルロース化したのち、酵素処理により繊維表面にミクロクレーターを発現させたりするなど)により後工程によって形成させたりすることができ、より高機能なフィルターを提供できるようになる。
本発明の有害物質除去材に用いられる繊維の平均繊維径は、50μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましく、100nm以下であることが最も好ましい。なお、本発明の平均繊維径は走査型電子顕微鏡(SEM)の観察画像から任意の300箇所における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めた数値である。
本発明に用いられる繊維の作製法としては、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法や、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化する方法などが挙げられるが、安定な品質を確保するためには、乾式紡糸もしくは湿乾式紡糸法を用いることが好ましい。平均繊維径が100nm以下で均一な繊維を作製するためには、さらに加工技術、2005年、40巻、No.2、101頁、および167頁;Polymer International誌、1995年、36巻、195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁;Journal of Macromolecular Science : Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている電界紡糸法を採用することが好ましい。
紡糸に用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
電界紡糸法を採用する場合には樹脂溶液に、さらに塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
本発明の有害物質除去材の担体を構成する繊維同士は部分的に接着することにより三次元ネットワークを形成している構造をもつことが望ましい。かような構造をとることにより、加工ならびに実用上の機械的耐性の向上、ひいては有害物質除去材の信頼性をあげることができる。また本発明の抗体の保持特性を上げることができる。繊維同士の接着は
SEM等の方法で観察することができる。繊維同士の接着点の密度は、該有害物質除去材の投影表面積に対して1mm角辺り10箇所以上存在することが好ましく、100箇所以上であることがより好ましい。
接着点を形成する方法としては、乾式紡糸法で形成される癒着や溶融紡糸法で形成される融着点で形成してもよいし、紡糸後に加熱や、接着剤・可塑化溶剤等の添加による接着点形成処理を行ってもよい。製造コストの観点では適切な溶液処方により乾式紡糸法で癒着点を形成させることが好ましい。
(2)抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質
本発明の有害物質除去材においては、抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質が担体上に担持されている。
抗体は生体内において免疫機構で働く生体高分子である。哺乳類の抗体としてはIgG、IgE、IgD、IgM、IgAの5種がある。鳥類の卵黄に含まれるIgGに相当する抗体をIgYと呼ぶ。上記抗体には通常糖鎖を有しており、いずれの種類の抗体を用いてもよい。本発明の抗体は、基材へ担持して用いること、血清もしくは卵黄中の濃度が高く利用が容易であるという点でIgGまたはIgYの利用が好ましく、IgGが特に好ましい。
IgG抗体には糖鎖と呼ばれる十数個の担当がつながった鎖を持つ。例えばヒトIgGではH鎖におけるN末端から297番目のアミノ酸であるアスパラギン酸(Asn297)に結合している。近年、この糖鎖の構造や機能について研究が進み、糖鎖が抗体の機能発現に重要な役割をもつことがわかってきた。本発明で用いる糖鎖親和性物質は、IgGのFc領域にある糖鎖と共通のオリゴ糖単位を有する物質であることが好ましい。
本発明でいう糖鎖とは各種の糖がグリコキシド結合によってつながりあった一群の化合物を指す。結合する糖の数は2つから数万まで様々である。10個程度までのものをオリゴ糖と呼ぶ。多数のαグルコース分子が直線状に結合したアミロース、セルロースが最も単純な糖鎖の例である。
本発明で用いる糖鎖親和性物質としては、グルコース、ガラクトース、マノース、キシロース、フコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、又はN−アセチルノイラミン酸の少なくとも1種類を含有するユニットが鎖状に結合したものが好ましい。特に糖鎖末端を構成するN-アセチルクルコサミン・N−アセチルノイラミン酸、および側鎖であるフコースの含有率が高いことが好ましい(高効率化および安定化効果が大きい)。
本発明の糖鎖親和性物質の添加量は抗体の0.1質量%〜1000質量%が好ましい。1質量%〜500質量%の間がより好ましく、最も好ましくは5質量%〜200質量%である。これらの要件を満たすときに糖鎖親和性物質は抗体の抗原認識部位への被覆や抗原との反応時の立体障害などによる著しい機能抑制を起こすことなく、本発明の効果を発現することができるからである。
糖鎖親和性物質は、担体の表面にコーティングされていることが好ましい。糖鎖親和性物質からなる層の平均厚みは5〜20nmであることが好ましい。
糖鎖親和性物質は、抗原認識部位の有効活用を可能とするのみならず、親水場の提供及び抗体タンパク質の安定化作用といった機能を示すことができる。
(3)親水性高分子
本発明では、糖鎖親和性物質とともに親水性高分子を担体上に保持させることができる。本発明で用いることができる親水性高分子は、構造中に親水性官能基を有する高分子を意味する。親水性官能基としては特に制限はないが、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボン酸基、4級アミノ基のうち、少なくとも一種類を含有する高分子が好ましくアミノ基、アミド基、4級アミノを有する高分子が最も好ましい。水酸基を有する高分子の例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニルの部分加水分解物、ジアセチルセルロースやエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの部分置換セルロース誘導体などがある。また、グアガム、ペクチン、デンプン、カラギーナン、グルコマンナン、シアリルラクトースなどの天然物またはその合成品であってもよい。中でもポリビニルアルコールが好ましい。アミノ基を有するポリマーの例としては、ポリビニルアミン、ポリアミノカプロン酸メタクリレートなどが挙げられる。キトサンなどの天然物またはその合成品であってもよい。中でもポリビニルアミンが好ましい。
アミド基を有する高分子の例としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンの単独または、(メタ)アクリレートや酢酸ビニルなどのビニルモノマーなどとの共重合体が挙げられる。また、コラーゲン、ゼラチン、フィブロイン、カゼイン、ケラチン、カゼインなどの天然物またはその合成品であってもよい(本発明のアミド基はペプチド結合を構成するアミド基も含まれる)。中でもポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ゼラチンが好ましい。
ポリカルボン酸基を有する高分子の例としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸などが挙げられる。また、アルギン酸、ヒアルロン酸などの天然物またはその合成品であってもよい。中でも、ポリアクリル酸が好ましい。カルボン酸基は、一部または全部が非解離状態であっても、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの塩を形成していてもよい。
カチオン性高分子も好ましく用いられる。四級アンモニウム塩基はアルキルアミノ基にハロゲン化アルキル等を付加させることにより得られる。四級アンモニウム基を有する構造単位を導出する具体的なモノマーの例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート・メチルクロライド四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド・メチルクロライド四級化物、N,N−ジアリルメチルアミン・メチルクロライド四級化物がある。その他のカチオン性高分子としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン四級塩、四級ホスホニウム基を有する高分子などが例示される。またこれらの共重合物、ジシアンジアミドとホルマリン、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物等のカチオン性高分子が例示される。また、これらのカチオン性基と、カルボン酸・スルホン酸・ホスホン酸などのアニオン性基を有するベタイン高分子であってもよい。
本発明で用いることができる親水性高分子の分子量については、その種類、目的、担持抗体種などによって任意に設定することができるが、一般に重量平均分子量が5000以上100万以下であることが好ましく、1万以上50万以下であることがより好ましく、3万以上30万以下であることが最も好ましい。本発明の親水性高分子の親水性基含有率は、その種類、目的、担持抗体種などによって任意に設定することが、モノマーユニットあたり、0.1基から3基の間であることが好ましく、0.3基から1.5基の間であることがさらに好ましく、0.5基から1基の間であることが最も好ましい。コーティングに用いる高分子は単独で使用してもよいし、複数を混合または、任意のモノマーとの共重合体として用いてもよい。本発明の親水性高分子が、抗体のみならず基材材料との親和性の観点で選択すべきことは当業者にとって自明である。すなわち基材として何を選ぶかによって、好ましい親水性高分子は異なってくる。この観点から上記親水性高分子に、基材との親和性の高い化合物を任意の割合で混合して用いたり、共重合させて用いたりしてもよい。また本発明の糖鎖親和性と親水性高分子の混合比は質量比で1:1〜1:100、好ましくは1:1〜1:20、最も好ましくは1:2〜1:10の間である。
(4)抗体
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体は、特定の有害物質(抗原)に対して特異的に反応(抗原抗体反応)するタンパク質であり、分子サイズが7〜8nmであって、Y字状の分子形態を有する。抗体のY字状分子構造のうち、一対の枝部分をFab、幹部分をFcといい、これらのうち、Fabの部分で有害物質を捕捉する。
前記抗体の種類は、捕捉しうる有害物質の種類に対応する。抗体により捕捉される有害物質としては、例えば、細菌、カビ、ウイルス、アレルゲン及びマイコプラズマを挙げることができる。具体的には、細菌としては、例えば、グラム陽性菌であるブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)、ミクロコッカス菌、炭疽菌、セレウス菌、枯草菌、アクネ菌などや、グラム陰性菌である緑膿菌、セラチア菌、セパシア菌、肺炎球菌、レジオネラ菌、結核菌などを挙げることができる。カビとしては、例えば、アスペルギルス、ペニシリウス、クラドスポリウムなどを挙げることができる。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイスル(SARSウイルス)、アデノウイルス、ライノウイルスなどを挙げることができる。アレルゲンとしては、花粉、ダニアレルゲン、ネコアレルゲンなどを挙げることができる。
特に本発明においては、飛沫感染が主で、有害物質除去フィルタのターゲットとなる特にインフルエンザ抗体を好ましく使用することができる。インフルエンザ用抗体作製に使用する抗原は、H1N1型、H3N2型、B型の各種抗原、3種混合抗原、鳥インフルエンザH5N1由来のH5リコンビナント蛋白を使用することができる。H5リコンビナント蛋白は、鶏を殺傷するため、鶏卵では抗体を得ることができないが、ダチョウでは免疫が可能である。
前記抗体の製造方法としては、例えば、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ウサギ等の動物に抗原を投与し、その血液からポリクローナル抗体を精製する方法、抗原を投与した動物の脾臓細胞と培養癌細胞とを細胞融合し、その培養液または融合細胞を植え込んだ動物の体液(腹水等)からモノクローナル抗体を精製する方法、抗体産生遺伝子を導入した遺伝子組み換え細菌、植物細胞、動物細胞の培養液から抗体を精製する方法、ダチョウ又はニワトリに抗原を投与して免疫卵を産ませ、卵黄液を殺菌及び噴霧乾燥して得た卵黄粉末からダチョウ卵抗体又は鶏卵抗体を精製する方法を挙げることができる。これらのうちでも、ダチョウ又はニワトリの卵から抗体を得る方法は、容易にかつ大量に抗体が得られ、有害物質除去材の低コスト化を図ることができる。
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体はダチョウ又はニワトリの卵で作製した抗体であることが好ましい。
ダチョウの卵で作製した抗体については、例えば、国際公開WO2007/026689号公報に記載のものを用いることができる。ダチョウの卵を用いる方法によれば、従来法では作製困難であった蛋白質に特異的な抗体を簡単に作製でき、ロット差がなく均一で大量の抗体を作製することができる。ダチョウとは、ダチョウ目(Struthioniformes)に属する鳥類を意味し、中でもダチョウ科(Struthionidae)に属するダチョウ(Struthio camelus)を用いることが好ましい。ダチョウの卵で作製した抗体の作製については、国際公開WO2007/026689号公報の段落番号0007から0034に記載した方法に準じて行うことができる。
本発明の有害物質除去材を構成する担体には、抗菌剤を含有するコーティングを行うなどの抗菌加工及び/または防カビ剤を含有するコーティングを行うなどの抗カビ加工が施されていることが望ましい。抗体は、基本的にはタンパク質であり、特にダチョウ卵抗体は食物であり、また抗体以外のタンパク質を伴う場合もあり、それらは細菌やカビが増殖するための格好の餌となるが、担体に抗菌加工及び/または防カビ加工が施されていれば、かかる細菌やカビの増殖が抑制され、長期間の保管を行うことができる。
抗菌/防カビ剤としては、有機シリコン第4級アンモニウム塩系、有機第4級アンモニウム塩系、ビグアナイド系、ポリフェノール系、キトサン、銀担持コロイダルシリカ、ゼオライト担持銀系などが挙げられる。そして、その加工法としては、繊維からなる担体に抗菌/防カビ剤を含浸させるまたは塗布する後加工法や、担体を構成する繊維の合成段階で抗菌/防カビ剤を練り込む原糸原綿改質法などがある。
前記担体に抗体を固定化する方法としては、担体をγ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを用いてシラン化した後、グルタールアルデヒドなどで担体表面にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、未処理の担体を抗体の水溶液中に浸漬してイオン結合により抗体を担体に固定化する方法、特定の官能基を有する担体にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、特定の官能基を有する担体に抗体をイオン結合させる方法、特定の官能基を有するポリマーで担体をコーティングした後にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法をあげることができるが、本発明においては、抗体を溶解させた溶液を担体に噴霧することによって抗体を簡単に担体に担持させることができる。
本発明の有害物質除去材は、空気清浄機用フィルター、マスク、拭き取りシートなどに用いることができる。
空気清浄機用フィルターとして使用する際には、粗塵を除くためのプレフィルター、除塵フィルター、消臭効果を示す光触媒フィルター、他の有害物質を除去する抗菌フィルター、VOC吸着フィルターなど任意の公知のフィルターと組み合わせて使用してもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
セルロースアセテート(アルドリッチ製、全置換度2.4、数平均分子量3万)のアセトン:水(97:3)溶液(25質量%)を60℃に加温し、直径0.1mmのノズルから、紡速500m/mの速度で空気とともに噴出させ不織布を形成し膜厚85μmの不織布N−1を得た。紡糸筒はヒーターで100℃に加温した。SEMで平均繊維径を測定したところ、8μmであった。
(抗体作製)
不活化インフルエンザウイルス(100μg)の抗原液0.5mLと完全アジュバント0.5mLを混合し、ダチョウ胸部の筋肉内に初回免疫として接種した。2回目以降は同抗原液0.5mLと不完全アジュバント0.5mLを混合し、ダチョウ頚部筋肉内に1週間おきに4週目まで接種した。このダチョウが産んだ卵より、卵黄のみを採取し、撹拌した。この卵黄液10mLとTBS(20mM Tris-HCL(pH7.5)、0.15M NaCL,0.5%NaN)を混和し、10%デキストラン硫酸/TBSを5mL加えて30分撹拌した。1M CaCl/TBSを10mL加え撹拌後、2時間以上静置した。10000rpmで30分遠心し、上清を回収した。上清に最終濃度40%になるように硫安を加え12時間以上静置した。10000rpmで遠心分離し、沈殿を回収した。この沈殿を10mLのTBSに再懸濁し、TBSにて透析した。
(フィルター試料作製)
フコースα1,6 N−アセチルグルコサミン(Calbiochem Novabiochem Novagen製)水溶液を濃度100ppmになるように希釈し、10cm2の不織布試料N-1上に100μLを均一に展開したのち、40℃2時間送風乾燥して基材試料を作製した。
次に上記透析液を水で希釈し、抗体濃度100ppmになるように調製したコーティング液1mLを10cm2の上記基材試料上に均一展開し、室温1時間静置した後に40℃2時間送風乾燥してフィルター試料を得た(2段階コート法とよぶ)。
また、フコースα1,6 N−アセチルグルコサミンと抗体の混合液(各々の濃度は100ppmとなるよう調製)1mLを10cm2の不織布試料上に展開したのち、40℃2時間送風乾燥してフィルター試料を作製した(一括コート法とよぶ)。
さらに、フコースα1,6N−アセチルグルコサミンを、表1の試料に置き換えた以外は同じ方法にてフィルター試料を作製した。また、比較例として抗体のみを担持した水準についても評価をおこなった。SEMによる表面観察(5万倍)では、何れの試料についても未担持フィルターと比較して繊維径・繊維密度・厚みや孔径分布に大きな変化(融着、凝集など)は認められず、均一なフィルター試料を得ることができた。
(ELISA測定)
上記フィルターを0.1mg〜1.0mgの重量になるよう裁断(各水準10試料)し、Nunc製96穴イムノプレートに設置した。次にBlockAce(大日本製薬製)とPBS(-1)を1:1に混合して調製したブロッキング液を200μL添加、37℃1時間静置してブロッキング処理を行った。洗浄液にはTWEEN20 0.05%を含むPBS(-)液を用いた、以下、各工程間に3回ずつ洗浄操作を行った。次にインフルエンザワクチン抗原(北里研究所製)を注入して37℃1時間静置した。次に抗インフルエンザウイルスIgGのHRP標識抗体(AbD製)の20000倍希釈(PBS(-))を注入し37℃1時間静置した。次に3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB、Sigma製)を注入し、15分暗所静置した後、停止液(0.5mol/L硫酸)を注入してから1分間振とうした後、反応液100μLを別のイムノプレートに取り出してマイクロプレートリーダー(バイオラッドラボラトリーズ製)の450nmの吸光度(対照は620nm)を測定した。抗体非担持試料の発色が十分に低いことを確認しブロッキング処理が適正に行われていることを確認した。各々の試料につき、単位重量当たりの発色濃度を比較した。
(注:抗体および高分子材料の重量は基材に対して十分に小さい(〜ppmオーダー)ため無視できる)
(鶏由来抗体との比較)
免疫動物としてダチョウの代わりに鶏を使用した以外は同じ方法にて作製した抗体を用い、R-1,N-1bに相当するR-2,N-1cを作製した。
Figure 2010029595
・ガラクトースβ1,6−N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサシンα1−O−セリン、マンノースα1,3−マンノース、α−メチルグリコシド(Calbiochem Novabiochem Novagen製)
・N−アセチルノイラミン酸(MP Biomedicals製)
・キシロオリゴ糖(和光純薬製)
・2−AAグルコースホモポリマー(Prozyme製)
・糖鎖No44*(増田化学工業製)
*糖類No44 ;末端ピリジルアミド(PA)化コア糖鎖標準試料
Figure 2010029595
本発明の態様は抗体当たりの捕捉抗原量が高く、担持抗体を効率的に利用できることがわかった。
[実施例2]
実施例1のフコースα1,6 N−アセチルグルコサミンを用いた一括コート法(ただし、表2の試験系の抗体コート量は一定となるようあらかじめ調整してある)に、さらに表2の親水性高分子を均一混合した以外は同じ方法にて試料作製、評価を行った。さらに得られたフィルター試料を60℃90%RH1週間静置後の評価も行った。比較のため、糖鎖親和物質を含まない水準(R−1)も同時評価を行った。
また、糖鎖親和性層の平均厚みは、繊維を円柱近似前提にして求めた下記の式によって定義した。
平均厚み=(単位面積あたりの糖鎖親和性層質量)/組成平均密度/(2×単位面積あたりの繊維重量/繊維平均密度・平均繊維径)
Figure 2010029595
表2の結果から、(1)糖鎖親和物質の使用により抗体の利用効率が高まること、(2)親水性高分子との併用でさらにみかけの抗体力価が向上すること、及び(3)親水性高分子との併用により保存性も著しく向上することが分かる。

Claims (10)

  1. 抗体と、当該抗体のFc領域の糖鎖と親和性を有する糖鎖親和性物質とが担持されている担体からなる、有害物質除去材。
  2. 抗体がIgGである、請求項1の有害物質除去材。
  3. 糖鎖親和性物質が、IgGのFc領域にある糖鎖と共通のオリゴ糖単位を有する物質である、請求項1又は2に記載の有害物質除去材。
  4. 糖鎖親和性物質が、グルコース、ガラクトース、マノース、キシロース、フコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、又はN−アセチルノイラミン酸の少なくとも1種類を含有する糖鎖である、請求項1から3の何れか1項に記載の有害物質除去材。
  5. 糖鎖親和性物質が、担体の表面にコーティングされている、請求項1から4の何れか1項に記載の有害物質除去材。
  6. 糖鎖親和性物質とともに親水性高分子を担体上に有している、請求項1から5の何れか1項に記載の有害物質除去材。
  7. 親水性高分子が、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボン酸基、4級アミノ基のうち、少なくとも1種類の官能基を有する親水性高分子である、請求項6に記載の有害物質除去材。
  8. 糖鎖親和性物質からなる層の平均厚みが5〜20nmである、請求項1から7の何れかに記載の有害物質除去材。
  9. 抗体が、ダチョウ由来の抗体である、請求項1から8の何れかに記載の有害物質除去材。
  10. 請求項1から9の何れかに記載の有害物質除去材を用いて、気相中あるいは液相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法。
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