JP5074368B2 - 成膜装置 - Google Patents

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本発明は、有機ELデバイス製造装置及び成膜装置並びに液晶表示基板製造装置に係わり、特に大型の基板のアライメントに好適な有機ELデバイス製造装置及び成膜装置並びに液晶表示基板製造装置に関する。
有機ELデバイスを製造する有力な方法として真空蒸着法がある。真空蒸着においては基板とマスクとのアライメントが必要である。年々処理基板の大型化の波が押し寄せ、G6世代の基板サイズは1500mm×1800mmになる。基板サイズが大型化すると当然マスクも大型化し、その寸法は2000mm×2000mm程度にも及ぶ。特に鋼製のマスクを使用すると有機ELデバイスではその重量は300Kgにもなる。従来では、基板及びマスクを水平にして位置合せをしていた。そのような従来技術としては、下記の特許文献1がある。
特開2006-302896号公報
しかしながら、特許文献1に開示された基板とマスクを横にしてアライメントする方法は、図8に示すように、基板及びマスクはその薄さと自重により大きく撓む。その撓みが一様であるならばそれを考慮してマスクを製作すればよいが、当然中心程大きくなり基板サイズが大きくなると製作は困難となる。また、一般的にその中心点における撓み量は、基板の撓みをd1、マスクの撓みをd2とすると、d1>d2となる。基板撓みが大きいと、基板蒸着面にマスクと接触し接触傷が生じるために、密着させることができない。そのために、被写界深度以上に離間してアライメントすると精度が悪く、不良品となる課題がある。特に、表示装置用基板では高精彩な画面を得ることができない。
次に、特許文献1に開示された方法では、基板とマスクをアライメントする機構全体が真空内の設置されているために、駆動部などの移動に伴う粉塵及び熱が発生す可能性があり、前者の真空内への漏洩は漏洩粉塵が基板やマスクに付着し蒸着不良を起こし、後者の発熱はマスクと熱膨張を助長し蒸着サイズを変化させ、共に歩留まり率、即ち生産性を低下させる問題がある。
また、基板とマスクをアライメントする機構全体が真空内の設置されているために、一旦駆動部等において故障が発生すると保守に時間を要し、装置の稼働率が低下するとい問題がある。
従って、本発明の第一の目的は、基板やマスクの撓みを低減し、高精度に蒸着できる有機ELデバイス製造装置及び成膜装置並びに液晶表示基板製造装置を提供することである。
また、本発明の第二の目的は、駆動部等を大気側に配置することで真空内の粉塵やガスの発生を低減し、生産性の高い有機ELデバイス製造装置及び成膜装置を提供することである。
さらに、本発明三の目的は、駆動部等を大気側に配置することで保守性を高め、稼働率の高い有機ELデバイス製造装置及び成膜装置を提供することである。
上記目的を達成するために、基板を立てた姿勢に保持する基板保持手段と、シャドウマスクを垂下した姿勢に保持するシャドウマスク垂下手段と、前記基板とシャドウマスクに設けられたアライメントマークを撮像するアライメント光学手段と、前記垂下姿勢の状態で前記シャドウマスクを駆動するアライメント駆動手段と、前記アライメント光学手段の結果に基づいて前記アライメント駆動手段を制御する制御手段とを有することを第1の特徴とする。
また、上記目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記シャドウマスク垂下手段は前記シャドウマスクまたは前記シャドウマスクを保持するアライメントベースに前記シャドウマスクを回転可能に支持する複数(3ヶ所以上)の回転支持部を有し、前記アライメント駆動手段は前記複数の回転支持部のうち少なくとも1ヶ所の主動回転支持部を駆動する主動駆動手段を有し、前記有機ELデバイス製造装置はさらに前記主動回転支持部以外の他の回転支持部である従動回転支持部を前記主動回転支持部の動作に従動させるアライメント従動手段とを有することを第2の特徴とする
さらに、上記目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記主動回転支持部を前記シャドウマスクまたは前記シャドウマスクを保持するアライメントベースの上部、両端側に2ヶ所設けたことを第3の特徴とする。
また、上記目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記アライメント駆動手段は、前記2ヶ所を独立に上下方向に駆動する上下駆動手段と、前記2ヶ所のうち1ヶ所を左右方向に駆動する左右駆動手段とを有する前記主動駆動手段と、前記他の1ヶ所は前記左右方向に対し従動する左右従動手段とを有することを第4の特徴とする。
また、上記目的を達成するために、第1乃至第4の特徴に加え、前記アライメント駆動手段及び又はアライメント従動手段は前記真空チャンバの外に設置されていることを第5の特徴とする。
さらに、上記目的を達成するために、第1乃至第5の特徴に加え、前記アライメント駆動手段を前記シャドウマスクの上部側に、前記アライメント従動手段を前記シャドウマスクの下部側に設けたことを第6の特徴とする。
また、上記目的を達成するために、第1乃至第6の特徴に加え、前記基板保持手段は前記基板を水平状態から立てる手段を有することを第7特徴とする。
また、上記目的を達成するために、第1乃至6の特徴に加え、前記基板保持手段は前記基板を立てた状態においてシャドウマスクに接近または密着させる手段を有することを第8の特徴とする。
本発明によれば、基板やマスクの撓みを低減し、高精度に蒸着できる有機ELデバイス製造装置または成膜装置あるいは液晶表示基板製造装置を提供することができる。
また、本発明によれば、駆動部等を大気側に配置することで、真空内の粉塵やガスの発生を低減し、生産性の高い有機ELデバイス製造装置または成膜装置を提供することができる。
さらに、本発明によれば、駆動部等を大気側に配置することで保守性を高め、稼働率の高い有機ELデバイス製造装置または成膜装置を提供することができる。
発明の第1の実施形態を図1から図7を用いて説明する。有機ELデバイス製造装置は、単に発光材料層(EL層)を形成し電極で挟むだけの構造ではなく、陽極の上に正孔注入層や輸送層、陰極の上に電子注入層や輸送層をなど様々な材料が薄膜としてなる多層構造を形成したり、基板を洗浄したりする。図1はその製造装置の一例を示したものである。
本実施形態における有機ELデバイス製造装置100は、大別して処理対象の基板6を搬入するロードクラスタ3、前記基板6を処理する4つのクラスタ(A〜D)、各クラスタ間又はクラスタとロードクラスタ3あるいは次工程(封止工程)との間の設置された6つの受渡室4から構成されている。本実施形態では、基板の蒸着面を上面にして搬送し、蒸着するときに基板を立てて蒸着する。
ロードクラスタ3は、前後に真空を維持するためにゲート弁10を有するロードロック室31と前記ロードロック室31から基板6(以下、単に基板という)を受取り、旋回して受渡室4aに基板6を搬入する搬送ロボット5Rからなる。各ロードロック室31及び各受渡室4は前後にゲート弁10を有し、当該ゲート弁10の開閉を制御し真空を維持しながらロードクラスタ3あるいは次のクラスタ等へ基板を受渡する。
各クラスタ(A〜D)は、一台の搬送ロボット5を有する搬送チャンバ2と、搬送ロボット5から基板を受取り、所定の処理をする図面上で上下に配置された2つの処理チャンバ1(第1の添え字a〜dはクラスタを示し、第2の添え字u、dは上側下側を示す)を有する。搬送チャンバ2と処理チャンバ1の間にはゲート弁10が設けてある。
図2は、搬送チャンバ2と処理チャンバ1の構成の概要を示す。処理チャンバ1の構成は処理内容によって異なるが、真空で発光材料を蒸着しEL層を形成する真空蒸着チャンバ1buを例にとって説明する。図3は、そのとき搬送チャンバ2bと真空蒸着チャンバ1buの構成の模式図と動作説明図である。図2における搬送ロボット5は、全体を上下に移動可能(図3の矢印59参照)で、左右に旋回可能な3リンク構造のアーム57を有し、その先端には基板搬送用の櫛歯状ハンド58を上下二段に2本有する。1本ハンドの場合は、基板を次の工程に渡すための回転動作、前の工程から基板を受取るための回転動作、及びこれに付随するゲート弁の開閉動作が搬入出処理の間に必要だが、上下二段にすることによって、片方のハンドに搬入する基板を持たせ、基板を保持していない方のハンドで真空蒸着チャンバから基板の搬出動作をさせた後、連続して搬入動作を行なうことができる。
2本ハンドにするか1本ハンドにするかは要求される生産能力によって決める。以後の説明では、説明を簡単にするために1本ハンドで説明する。
一方、真空蒸着チャンバ1buは、大別して発光材料を昇華させ基板6に蒸着させる蒸着部7と、基板6とシャドウマスクの位置合せを行い、基板6の必要な部分に蒸着させるアライメント部8と、及び搬送ロボット5と基板の受渡しを行い、蒸着部7へ基板6を移動させる処理受渡部9からなる。アライメント部8と処理受渡部9は右側Rラインと左側Lラインの2系統設ける。
図4に本実施形態によるアライメント部8を示す。本実施形態では、図4に示すように、基板6とシャドウマスクを概ね垂直に立てて行なう。また、アライメントのための機構部は、可能な限り、真空蒸着チャンバ1の外側である大気側に、具体的には真空蒸着チャンバ1の上部壁1T上、あるいは下部壁1Y下に設けている。また、真空蒸着チャンバ1bu内に設けなければならないものは、大気部から凸部を設けてその中に設けている。
本実施形態では、アライメント時は、基板6を固定し、シャドウマスク81を移動させ、基板6の必要な部分に蒸着させることができるように位置合せをする。
以下、アライメント部8の機構とその動作について説明する。
アライメント部8は、シャドウマスク81、シャドウマスク81を固定するアライメントベース82、アライメントベース82を保持し、アライメントベース82即ちシャドウマスク81のXZ平面での姿勢を規定するアライメント駆動部83、アライメントベース82を下から支持し、アライメント駆動部83と協調してシャドウマスク81の姿勢を規定するアライメント従動部84、基板6と前記シャドウマスク81に設けられた後述するアライメントマークを検出するアライメント光学系85、アライメントマークの映像を処理し、アライメント量を求めアライメント駆動部83を制御する制御装置60(図7参照)からなる。
まず、シャドウマスク81を図5示す。シャドウマスク81は、マスク81Mとフレーム81Fからなり、例えばG6の基板サイズ1500mm×1800mmに対する寸法は2000mm×2000mm程度になり、その重量は300Kgにもなる。マスク81Mには、蒸着位置を規定するための窓がある。例えば赤(R)を発光する蒸着膜を形成するときはRに対応する部分に窓がある。その窓の大きさは色によって異なるが平均して幅30μm、高さ150μm程度である。マスク81Mの厚さは50μm程度であり、今後さらに薄くなる傾向がある。一方、マスク81Mには、精密アライメントマーク81mが4ヶ所、疎アライメントマーク81mrが2ヶ所、計6ヶ所にアライメントマーク81mが設けられている。それに対応して、基板にも精密アライメントマーク6msが4ヶ所、疎アライメントマーク6mrが2ヶ所の計6ヶ所にアライメントマーク6mが設けられている。
アライメントベース82は、シャドウマスク81の上部及び下部を保持する保持部82u、82dを有し、シャドウマスク81の裏側は基板6に蒸着できるように回の字ように空洞になっている。また、アライメントベース82は、その四隅近くであって、上部に2ヶ所81a、81b、その2ヶ所のそれぞれの下に設けられた81c、81dの計4ヶ所の回転支持部により回転可能に支持されている。
次に、シャドウマスク81の姿勢を規定するアライメント駆動部83とアライメント従動部84について説明する。先ず、4つの回転支持部の動きを説明し、4つの回転支持部を駆動または回転支持部の動きに従動するアライメント駆動部83とアライメント従動部84の構成と動作を説明する。
前記4つの回転支持部のうち回転支持部81aをZ方向に主動(アクティブに駆動)し、回転支持部81bをZ方向及びX方向に主動すると、アライアメントベース82を介して回転支持部81aはX方向に従動し、回転支持部81c、81dは前記主動の複合作用による回転支持部81aを支点とする従動回転をする。
各回転支持部と後述する駆動部または従動部の作用点とを連結するアライメント軸83a、84aは、スプライン83s、84sによって傾斜することなくZ方向に垂直かつ/またはX方向に平行移動する。そのために、各回転支持部はアライメントベース82に対して回転可能に取付けられている。従って、前述の回転支持部81c、81dの従動回転は、X方向及びZ方向に分解された動きとなる。
即ち、本実施形態では、回転支持部81a、81bのZ方向の移動によりZ位置の補正を、また両者の差により回転補正を、さらに回転支持部81bのX方向の移動によりX位置補正を行なう。また、回転支持部81a、81bの両者間の距離は長いほうが、同じZ方向の動きに対して回転補正を精度良くできる利点がある。
上述した回転支持部81a、81bを駆動するシャドウマスク駆動部83は、真空蒸着チャンバ1buの上部壁1T(図2も参照)上の大気中に設けられ、回転指示部81aをZ方向に移動させるZ駆動部83Zを有する左駆動部83Lと、回転支持部81bを左駆動部83L同様にZ方向に移動させるZ駆動部83Zと前記Z駆動部全体をX方向(図Zの左右方向)に移動させるX駆動部83Xを有する右駆動部83Rとからなる。左右駆動部83L、83RのZ駆動部は基本的に同じで構成であるので同じ番号を付し、かつ一部番号を省略している。以下、番号の付け方、省略の仕方は機構部においても同様である。
左駆動部83Lを例に採りZ駆動部83Zを説明する。Z駆動部83Zは、前述したようにレール83r上をX方向に従動するZ駆動部固定板83kに固定され、Z方向駆動モータ83zmによりボールネジ83n、テーパ83tを介して連結棒83jをZ方向に移動する。アライメント軸83aは、その上部で連結した連結棒83jによりZ方向に移動する。テーパ83tは、アライメントベース82等の重力を利用して前記Z方向のロストモーションを防ぐために設けたもので、その結果ヒステリシスがなくなり目標値に早く収束する効果がある。また、各アライメント軸83aは、真空蒸着チャンバ1buの上部壁1Tに設けられたシール部(図示せず)に一端を固定されたベローズ83vを介して動作する。
右駆動部83Rは、さらに前記Z駆動部83Zに加え、真空蒸着チャンバ1buの上部壁1Tに固定され、Z駆動部83Zを搭載しているZ駆動部固定板83kをX軸レール83r上に沿って駆動するX駆動部83Xを有する。X駆動部83Xの駆動方法はX方向駆動モータ83xmの回転力をボールネジ83nを介するなど基本的にはZ軸駆動部83Zと同じであるが、その駆動力は、アライメントベース82を回転駆動及びアライメントベースを介して他の駆動部あるいは従動部を移動させるパワーが必要である。右駆動部83Rのアライメント83a軸は、X方向にも移動するため、そのベローズ83vもX方向に対する自由度を有しており、伸縮とともに左右に柔軟性を有する。
アライメント従動部84は、回転支持部81c、81dの前述した従動回転に対応できるように、それぞれのアライメント軸84aをZ方向、X方向に移動できる左右の従動部84L,84Rを有する。従動部は中心部に1ヶ所でもよいが、本実施形態では、安定して動作させるため2ヶ所設けている。両従動部は基本的には左右線対称に同一構造を有するので、代表して84Rを説明する。アライメント軸84aは、真空蒸着チャンバ1buの下部壁1Yに設けられたシール部84cに一端を固定されたベローズ83vと同様にチャンバ1buの真空をシールするベローズ84v、スプライン84sを介して、X軸従動板84kに固定されている。そこで、X方向の従動は、アライメント従動部84を固定するアライメント支持部固定台84bに敷かれたレール84rを移動して行ない、Z方向の受動は前記スプライン84sによって行なう。
上記のアライメント部の実施形態では、4ヶ所の回転支持部81のうち真空蒸着チャンバ上部に2ヶ所設けた回転支持部をZ方向に、またそのうち1ヶ所をX方向に主動(アクティブに駆動)することによって、シャドウマスクのアライメントを実施している。そのほかに種々の駆動方法が挙げられる。例えば、上部3ヶ所に回転支持部を設け、中央の回転支持部を回転させ、左右の回転支持部でZ方向とX方向に主動または従動させてアライメントする。下部にそして少なくとも1ヶ所の従動部を設ける。あるいは、上記実施形態同様に上部回転支持部を2ヶ所設け、その1ヶ所に回転、Z方向及びX方向の主動を集中させ、他は従動とする方法。また、上記実施形態では基本的には、上部を主動、下部を従動としたがこれを反対にしてもよい。
次に、アライメント光学系85について説明する。アライメント光学系は、前述したそれぞれアライメントマークを独立して撮像できるように、4つの精密アライメントマーク81msに対する4つの精密アライメント光学系85sと、2つの疎アライメントマーク81mrに対する2つの疎アライメント光学系85rとの、計6つの光学系から構成される。
図6に6つアライメント光学系の基本構成を示す。光学系の基本的構成は、シャドウマスク81を挟んでアライメントベース82側に、先端に光学窓85wsを有し、真空側に突き出た内部が大気中である光源収納筒85tsに収納された光源85kと後述する遮断アーム85asに固定された光源側反射ミラー85kmを設け、基板6側に、撮像カメラ収納筒85tからのアーム85aに取付けた撮像カメラ側反射ミラー85cm及び撮像カメラ収納筒85tに収納された撮像手段である撮像カメラ85cを設けた、いわゆる透過型の構成を有している。そのために、光が通過できるように、マスク81Mに4角形の貫通孔のアライメントマーク81mを設け、さらに、フレーム81Fにも円筒状の貫通孔81kを設けている。一方、基板6のアライメントマーク6mは、光透過性の基板の上に四角形で黒い金属性で、シャドウマスクのアライメントマーク81mに比べて十分に小さいマークである。
貫通孔81kを設けると、蒸着時に蒸着材料が貫通孔に入りアライメントマーク上に蒸着されるため、次の工程からアライメントができない。これを防ぐために、蒸着時には蒸着材料が貫通孔81kに入らないよう遮蔽する。本実施形態では、アライメント時に光源側反射ミラーを取付けたアームが蒸着時には蒸着に有効な領域を遮断するので、そのアームを移動可能とし、かつ蒸着時には貫通孔81kを遮蔽する構造を有する遮蔽型アーム85asとした。遮蔽型アーム85asは、大気側に設けた駆動モータ(図示せず)に上下に駆動される連結棒85bにより伸縮し、その一端をシール部85sに固定されたベローズ85vを介して駆動させる。図6に示す破線が遮蔽状態を示す、実線がアライメント状態を示す。
上記実施形態では、光源85kをアライメントベースに取付けたが、シャドウマスクのフレーム81Fの厚さが十分であれば、フレーム81FにL字型の貫通孔81kを設け、光源85kを光源側反射ミラー85kmとともに内蔵することも可能である。その場合は、遮蔽型アームは不要である。
また、上記実施形態では、アライメント時に光源側反射ミラー85kmが蒸着領域を遮断するので遮蔽型アームを移動させたが、遮断しない場合は、遮蔽型アームを固定にすることができる。
一方、カメラ収納筒85tは、図4に示すように真空蒸着チャンバ1buの上部1Tから突出た構造を有し、先端に光学窓85wを設けて、撮像カメラ85cを大気側に維持するととともに、アライメントマーク6m、81mを撮像できるようにしている(番号は図6を参照)。
上記実施形態では、撮像カメラ側反射ミラーを真空中に設けたが、撮像カメラ収納筒85を長くし、前記ミラーを内蔵してもよい。
精密アライメント光学系85sと疎アライメント光学系85rの構成上の違いは、前者が高精度にアライメントするために、視野を小さくし高分解でアライメントを撮像するための高倍率レンズ85hを有している点である。これに伴い、図3に示す基板及びシャドウマスクのアライメントマーク6m、81mの寸法が異なっている。精密の場合、疎と比べて1桁以上小さく、最終的にはμmオーダのアライメントが可能である。
従って、精密アライメント時は、視野が外れないようにシャドウマスク81のアライメント81mの移動に合わせ、精密アライメント光学系85sも追随して移動する必要がある。撮像カメラ85cと光源85kをそれぞれ固定する固定版85p、85psをZ駆動部固定板83kあるいはX軸従動板84kに接続し追随させる。また、疎アライメント光学系85rについては、初期の取付け時に位置調整ができるようにカメラ位置合せステージ85dを設けている。
上記実施形態では、6つのアライメント光学形を用いたが、アライメントの要求精度によっては、疎アライメント光学系を設ける必要がなく、さらに、精密アライメント光学系においても4つも必要がなく、疎・精密含めて最低2つあればよい。
上記アライメント部8の実施形態では、アライメント駆動部83、アライメント従動部84、アライメント光学系85を真空蒸着チャンバ1buの上部あるいは下部の大気側に設けたが、真空蒸着チャンバ1buの側壁側の大気に設けてもよい。勿論、上部、下部及び側壁部に分散させてもよい
次に、アライメント実施前に基板を立て、アライメント終了後、基板6をシャドウマスクに接近させる機構について説明する。図3に示す処理受渡部9は、搬送ロボット5の櫛歯状ハンド58と干渉することなく基板6を受渡し可能とする櫛歯状ハンド91と、前記櫛歯状ハンド91上にあり基板6を固定して載置し、その基板6を旋回させて立て、さらにアライメント部8に接近させる基板旋回接近手段93を有する。前記固定する手段としては、真空中であることを考慮して静電吸着や機械的クランプ等で構成し、少なくとも基板を立てたときの上部側94uに設ける。
図7はこの基板旋回接近手段93を詳細に示し、しかも、配線の被覆材からのアウトガスの問題や、配管疲労に損傷が発生する流体漏洩の恐れなどがないようにした真空内配線・配管機構の適用を示した図である。
先ず、基板旋回接近手段93の基板旋回機能を説明する。基板旋回接近手段93は基板6を載置する載置台93dと、蒸着時に基板6を冷却する冷却ジャケット93jと、基板6、載置台93d及び冷却ジャケット93jを一体となって回転させる基板旋回駆動部93b、冷却ジャケット93j等を回転可能に支持する回転支持台93kから構成されている。冷却ジャケット93jには冷却水管43,44が敷設されている。また、基板旋回駆動部93bは、大気側に設けられた旋回用モータ93smと、旋回用モータ93smにより歯車93h、93hを介して矢印Aの方向に旋回する中空の第1リンク41と、第1リンク41に第1リンクの中空部と連続した中空部を持つように固定され、前記冷却ジャケット93Jの側面部に沿うよう設けられた第2リンク42を有する。なお、第1リンクは真空蒸着チャンバ1buの側壁に設けられたシール部93sに一端を固定されたベローズ93vを介しており、回転支持台93kにより回転可能に支持されている。なお、旋回用モータ93smは大気側にもうけられた制御装置60で制御される。
上述において、図3に示す固定手段94のうち基板上部に設けられた固定手段94uのみで立てられた基板6を支持することにより、基板6は自重により撓みが解消される。その撓みが解消された後、基板下部に設けた固定手段94dで全体を固定してもよい。また、垂直に基板6を立てると基板6と載置台93dと間に微小隙間が生じる可能性もあるので、例えば1度程度、多少傾斜させて安定して載置するとともに、確実にそれらの撓みを解消できる。
本実施形態では、基板蒸着面を上面にして搬送しているので、基板6を立てればそのままアライメントができる。
次に、接近機能について説明する。さらに、基板旋回接近手段93はこの機能を果たすために基板接近駆動部93gを有する。基板接近駆動部93gは、基板旋回駆動部93bを固定し矢印B方行にレール93r上を移動する旋回駆動部載置台93t、旋回駆動部載置台93tをボールネジ93nを介して駆動する接近用モータ93dmを有する。このような機構を制御装置60によって制御することで、基板6をシャドウマスク81に接近させ、必要ならば密着させることができる。
上記実施形態によれば、蒸着時において基板の撓みを解消できる。また、基板とシャドウマスクが接触しない距離を保ちアライメントでき、その後、基板をシャドウマスクに接近あるいは密着することで、蒸着におけるボケを低減でき、高精度の蒸着が可能となる。
さらに、基板旋回接近手段93は、配線の被覆材からのアウトガスの問題や、配管疲労に損傷が発生する流体漏洩の恐れなどがないようにした真空内配線・配管機構を有する。
真空内配線・配管機構40は、上記第1リンク41及び第2リンク42から構成され、その中空部には、冷却ジャケット93Jに冷却水を流すために、供給用43と回収用44の冷却水配管が配設されている。各リンクは錆に強く十分な強度を持つ金属、例えばステンレス、アルミニウムで構成され、第1リンク41の中空部の旋回用モータ93sm側は大気に開放されている。前記2本の冷却水配管は、一般的に大気中で使用されている柔軟性を有する材料で構成するか、金属性で構成し、リンク内で可撓部を有しないように第1リンク41及び第2リンク42で形成される形であるL字状に配管し、可撓部は大気側に設ける。後者を用いればより疲労損傷に少ない配管を構成できる。また、万が一冷却水が冷却水配管43、44から漏洩しても大気側に排水されように、前記真空蒸着チャンバ1buの側壁での接続部を冷却ジャケット93Jでの接続部より低くしている。
本実施形態の真空内配線・配管機構40によれば、一端を大気に開放し、多端を移動部に接続したリンク機構の中空部に配管を設け、前記リンク機構の回転部は真空シールされ、真空側から完全に遮断しているので、万が一、冷却水配管から漏水しても真空側に漏水することがなく、またリンク機構の中空部を真空にする必要もない。さらに、リンク機構をステンレスあるいはアルミニウムで構成しているのでアウトガスの発生もない。また、真空内配線・配管機構が基板旋回駆動部の一部を構成しているので全体としてシンプルな構成にできる。上記例では、配管をリンクに敷設する例であったが、信号線をリンク内に配線しても、信号線から発生するアウトガスの真空内に齎さない構成を提供でいる。従って、
高真空を保持でき、信頼性の高い蒸着した処理をすることができる。
最後に、本機構を用いた真空蒸着チャンバにおける処理動作をアライメント動作を主体に説明する。
以下、真空蒸着チャンバ1buに基板が搬入された後の処理フローを示す。(1)まず、図3に示すRラインに搬入された基板6の上部を基板載置台に固定し、その後概ね垂直に立てて撓みを解消する。(2)基板6から一定の距離離した状態で、疎アライメントマークにより疎アライメントを実施し、疎アライメントにおける位置ズレを検出し、疎補正量を求める。(2)その疎補正量に基づき図4に示すZX平面でシャドウマスク81を移動させ、疎位置合せをする。(3)一定の距離を保ったままで、精密アライメントマークで精密アライメントを実施し、精密アライメントにおける位置ズレを検出し、精密補正量を求める。(4)その精密補正量に基づき図4に示すZX平面でシャドウマスク81を移動させ、精密位置合せをする。(5)基板6とシャドウマスク81を密着させる。(6)(3)のアライメント結果(位置ズレ)を検出する。(7)位置ズレ量が許容範囲なら図3に示すLラインの基板の蒸着終了を待つ。(8)Lラインの蒸着が終了したら、蒸発源71をRラインに移動させ蒸着する。(9)(7)において位置ズレ量が許容範囲外なら、一度両者を離し、精密アライメントするために(3)に戻る。
上記において、疎アライメントの位置合せは、2台の撮像カメラ85cで撮像し、基板6に設けられた図3の引出し図に示すようにシャドウマスク81と基板6のアライメントマーク81mr、6mrを撮像し、2つのアライメントマークの中間点を基準に一義的に位置合わせすることができる。一方、精密アライメントは基板の四隅近くに4つのアライメントマークを設け、基板の中心点を基準に補正する。理論的には2つで一義的に決まるのに対し、4つは情報過多である。これは4隅の情報により四隅のズレが最小になるように基板の中心点を中心に決定することによって、基板6とシャドウマスク81とのズレが小さくなり、製品として有効に使用できる面積を大きくとるためである。疎アライメントように上部中点を基準にすると、下部側の歪が大きくなり製品として利用できる面積が少なくなる。
以上説明した本実施形態によれば、基板及びシャドウマスクを垂直あるいは概ね垂直にした状態でアライメントできる有機ELデバイス製造装置を提供できる。その結果、基板やシャドウマスクの自重による撓みよる影響を排除でき、位置ズレや基板とシャドウマスクを近接できないことによる膜ボケを解消でき、高精度に蒸着でき、高精彩な基板を製造できる有機ELデバイス製造装置を提供できる。
また、本実施形態によれば、アライメントに必要な機構において、駆動装置を大気中に設けることで粉塵やガスの発生を抑え、粉塵やガスによる不良蒸着を低減でき、生産性の高いELデバイス製造装置を提供できる。
さらに、本実施形態によれば、アライメントに必要な機構において、駆動装置や発熱する機構あるいは多くのアライメント光学系構成要素を大気中に設けることで保守性の良く、稼働率の高い有機ELデバイス製造装置を提供できる。
また、基板を中心としたアライメントを実施することで製品として有効面積の高い蒸着ができ、即ち歩留まりの高い即ち生産性の高いELデバイス製造装置を提供できる。
さらに、以上実施形態によれば、アライメントマークを透過型とすることで、確実に基板とシャドウマスクを検出できる信頼性の高いELデバイス製造装置を提供できる。
今までの説明した実施形態は、基板6とシャドウマスク81を立ててアライメントし、その後立てた状態を保持して蒸着する実施例である。必ずしも立てた状態で蒸着する必要がなく、シャドウマスクを基板側に受け渡す機構を付加することによって、アライメントした状態を保持して一旦水平にし、その後蒸着してもよい。例えば、その第1の方法は、図8に示す基板旋回接近手段93により再度水平にし、上部から蒸着する方法である。
第2の方法としては、図3に示す2つの処理ラインのうち、一方アライメント専用ライン(例えばRライン)とし、他のライン(Lライン)を蒸着専用ラインとする方法である。Rラインでアライメントした後、搬送ロボット5によりLラインに移動する。その後Lラインに設けた基板旋回接近手段93で180度旋回し、下から蒸着する方法である。本方法では、多少処理時間がかかるが、アライメント専用ラインの両側に蒸着専用ラインを設けて交互に処理することも可能である。
上述した水平にして蒸着する実施形態においても、立てた状態で蒸着する実施形態と同様な効果を得ることができる。
以上説明した実施形態では、処理受渡部に基板を水平にして搬送した場合を説明したが、基板を垂直に搬送し、その後アライメントを実施してもよい。
また、上記説明では有機ELデバイスを例に説明したが、有機ELデバイスと同じ背景にある蒸着処理をする成膜装置および成膜方法にも適用できる。
さらに、上記アライメント機構は大気中で行なわれる液晶表示装置などのアライメントにも適用できる。

本発明の実施形態である有機ELデバイス製造装置を示す図である。 本発明の実施形態である搬送チャンバ2と処理チャンバ1の構成の概要を示す図である。 本発明の実施形態である搬送チャンバと処理チャンバの構成の模式図と動作説明図である。 本発明の実施形態であるアライメント部の構成を示す図である。 本発明の実施形態であるシャドウマスクを示す図である 本発明の実施形態であるアライメント光学系の基本構成を示す図である。 本発明の実施形態である基板旋回接近手段93の構成を示す図である。 従来技術の課題を説明する図である。
符号の説明
1:処理チャンバ 1bu:真空蒸着チャンバ
2:搬送チャンバ 3:ロードクラスタ
6:基板 6m:基板のアライメントマーク
7:蒸着部 8:アライメント部
9:処理受渡部 60:制御装置
71:蒸発源 81:シャドウマスク
81a〜d:回転支持部 81m:シャドウマスクのアライメントマーク
82:アライメントベース 83:アライメント駆動部
83Z:Z軸駆動部 83X:X軸駆動部
84:アライメント従動部 85:アライメント光学系
85c:撮像カメラ 85k:光源
93:基板旋回接近手段 93b:基板旋回駆動部
93g:基板接近駆動部 100:有機ELデバイスの製造装置
A〜D:クラスタ。

Claims (13)

  1. 蒸着材料を基板に蒸着する蒸発源と、
    該蒸発源と該基板を収容する真空蒸着チャンバと、
    前記基板を立てた姿勢に保持する基板保持手段と、
    シャドウマスクを垂下した姿勢に保持するシャドウマスク垂下手段と、
    前記基板とシャドウマスクに設けられたアライメントマークを撮像するアライメント光学手段と、
    前記垂下した姿勢の状態で前記シャドウマスクを駆動するアライメント駆動手段と、
    前記アライメント光学手段の撮像結果に基づいて前記アライメント駆動手段を制御する制御手段と、を有する成膜装置であって、
    前記シャドウマスクを保持するアライメントベースに該シャドウマスクを回転可能に支持する複数の回転支持部を有し、
    前記アライメント駆動手段は前記複数の回転支持部のうち少なくとも1ヶ所の主動回転支持部を駆動する主動駆動手段を有し、
    さらに前記主動回転支持部以外の他の回転支持部を前記主動回転支持部の動作に従動させるアライメント従動手段と、
    を有することを特徴とする成膜装置。
  2. 請求項1記載の成膜装置において、
    前記主動回転支持部を前記アライメントベースの上部に2ヶ所設けたことを特徴とする成膜装置。
  3. 請求項2に記載の成膜装置において、
    前記アライメント駆動手段は、前記2ヶ所を独立に上下方向に駆動する上下駆動手段と、前記2ヶ所のうち1ヶ所を左右方向に駆動する左右駆動手段とを有する前記主動駆動手段と、前記他の1ヶ所は前記左右方向に対し従動する左右従動手段と、を有することを特徴とする成膜装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置において、
    前記アライメント駆動手段アライメント従動手段の少なくともいずれかは前記真空チャンバの外に設置されていることを特徴とする成膜装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置において、
    前記アライメント駆動手段を前記シャドウマスクの上部側に、前記アライメント従動手段を前記シャドウマスクの下部側に設けたことを特徴とする成膜装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の成膜装置において、
    前記アライメント駆動手段と前記アライメント従動手段を前記シャドウマスクの側部側に設けたことを特徴とする成膜装置。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載の成膜装置において、
    前記回転支持部は前記アライメント駆動手段及びアライメント従動手段とアライメント軸で連結されていることを特徴とする成膜装置。
  8. 請求項7記載の成膜装置において、
    前記アライメント軸は上下方向に対して平行に移動するように拘束する拘束手段を有することを特徴とする成膜装置。
  9. 請求項9記載の成膜装置において、
    前記拘束手段は前記アライメント軸上に設けられたスプラインであることを特徴とする成膜装置。
  10. 請求項8記載の成膜装置において、
    前記アライメント軸は真空シール手段とベローズを介して前記回転支持部に連結することを特徴とする成膜装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の成膜装置において、
    前記基板保持手段を前記蒸着チャンバ内で前記基板を水平状態から立てる立直手段を有することを特徴とする成膜装置。
  12. 請求項11記載の成膜装置において、
    前記制御手段は前記立直手段を用いて微小角傾斜させることを特徴とする成膜装置。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載の成膜装置において、
    前記基板保持手段は前記基板を立てた状態においてシャドウマスクに接近または密着させる手段を有することを特徴とする成膜装置。
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