JP5073615B2 - 押込み深さ計測機構及び材料試験機 - Google Patents
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Description
この押込み深さ計測機構により測定された押し込み深さは、加えられた荷重により生じる押込み深さ計測機構の構成部材の歪によって影響を受けることが問題であった。
上記特許文献1〜3記載の発明によると、接触部を深さ計測の基準として、その接触部をあらかじめ試料表面に接触させた状態から押し込み深さを計測できる。つまり、押込み深さ計測機構の構成部材が歪んだとしても、常に試料表面からの圧子の押込み深さを計測することができるので、上述の押込み深さ計測機構の構成部材の歪による計測結果への影響は、圧子軸に起因したもののみとなる。そして、通常、圧子軸の変形は無視できる程度に小さいため、歪による計測結果への影響を十分小さくすることが可能となる。
回動可能に軸支される荷重レバーと、この荷重レバーの一端側における下部に備えられた圧子と、前記荷重レバーの上部に備えられ前記圧子と連動する圧子連動部と、前記荷重レバーの他端側に備えられ当該荷重レバーを回動させる荷重レバー駆動部と、前記荷重レバーとほぼ同じ軸心を有するように回動可能に軸支される基準レバーと、この基準レバーの一端側における下部に備えられ前記圧子の先端部の位置基準となる圧子基準部と、前記圧子基準部の上部に備えられ前記圧子連動部の変位量を検出する圧子位置検出部と、前記圧子基準部を試料表面に当接させた状態から前記荷重レバーを回動させて、試料表面に当接させた前記圧子を前記試料に押し付けた際の押し込み深さ量を、前記圧子位置検出部が前記圧子連動部の変位量を検出することによって測定する測定手段と、を備えた押込み深さ計測機構において、
前記圧子基準部は、
前記圧子の先端部を中心とする同心円上に等間隔で配置され、試料表面に当接する複数の試料表面接触部を備え、
前記圧子の軸方向と直交する方向を中心軸として、前記圧子基準部を回動自在に支持する回動支持部を備えることを特徴とする。
したがって、押込み深さ計測機構の押込み荷重が増加するに従って試料が傾斜したとしても、それに追従して、圧子基準部も傾斜し、圧子基準部が試料表面に当接させた状態を保つことが出来るので、深さ計測の基準とする位置にずれが生じず、試料の傾斜による計測結果の誤差を防ぐことが出来る。さらに、試料表面へ接触する箇所(試料表面接触部)が複数設けられているので、試料の表面粗さが大きい場合や平面度が悪い場合であっても、深さ計測の基準を安定させることが出来る。
つまり、本発明にかかる押込み深さ計測機構は、押込み荷重により試料が傾斜したとしても、または、試料の表面粗さが大きい、あるいは平面度が悪い場合であっても、精確な計測結果を取得できる押込み深さ計測機構であるといえる。
なお、本実施形態における材料試験機としての押込み試験機100は、圧子4に付与する試験力(荷重)と、圧子4の押込み深さとを連続してモニター可能な計装化押込み試験機である。
ここで、図1は、本発明に係る押込み試験機を一部断面視した側面図であり、図2は、本発明に係る押込み試験機のレバー部分を示す上面図であり、図3は、本発明に係る押込み試験機の要部構成を示すブロック図であり、図4は、本発明に係る押込み試験機の荷重レバーの一端側の構造の拡大図であり、(a)は図2のIV(a)−IV(a)断面図、(b)は図2のIV(b)−IV(b)断面図、(c)は荷重レバーの一端側の底面図である。
また、図4(c)における、横方向をX軸方向、縦方向をY軸方向とする。
この試料保持台2は、XYZステージ2aによって上下方向、左右方向、前後方向に移動されて、圧子4に対する試料Sの位置を調整可能になっている。
なお、基準レバー7は、図2に示すように、上面視した際に、荷重レバー3の周囲を囲うように配されており、略枠形状を有している。
つまり、圧子変位センサ5は、変位センサ固定部5bに対する変位センサ可動部5aの変位を計測するようにして、圧子4の変位量を計測するようになっている。なお、圧子変位センサ5は、計測した圧子4の変位量に関するデータ(信号)を制御部200に出力する。
試料表面接触部8aは、圧子4の先端部を中心とする同心円上に等間隔に3つ備えられており、この試料表面接触部8aが試料Sの表面と当接するため、コンタクタ8が圧子4の先端部の位置基準となる。
第2回動支持部13a、13aは、コンタクタ8の中心点である回動支点13dを挟んでY軸方向に沿って設けられた一対のジンバル機構用の筐体と筐体内に配置された十字バネ等で構成されており、圧子4が負荷する荷重により、試料Sの表面がY軸方向を中心として所定角傾斜すると、それに追随してコンタクタ8を、Y軸方向を中心軸として回動させることができる。
第1回動支持部13b、13bは、回動支点13dを挟んでX軸方向に沿って設けられた一対のジンバル機構用の筐体と筐体内に配置された十字バネ等で構成されており、圧子4が負荷する荷重により、試料Sの表面がX軸方向を中心として所定角傾斜すると、それに追随してコンタクタ8を、X軸方向を中心軸として回動させることができる。
したがって、荷重レバー3により圧子4が試料Sに荷重を負荷し、試料SがY軸方向、X軸方向のいずれを中心軸として傾斜したとしても、コンタクタ8の試料表面接触部8aが、傾斜後の試料Sの表面に当接するように、第2回動支持部13a、第1回動支持部13bが、Y軸方向、X軸方向を中心軸としてコンタクタ8を所定角度回動させるため、常に圧子4の先端部の位置基準であるコンタクタ8(試料表面接触部8a)が、試料Sの表面と接触した状態を保つことが出来る。
このストッパ12は、例えば、マイクロメータヘッドからなり、送りねじを回すことで高さ調整が可能となっている。つまり、ストッパ12の高さ調整を行うことによって、ストッパ12に当接する基準レバー7の回動角度を調節したり、ストッパ12が基準レバー7に当接しないように調節したりすることができる。
つまり、CPU210が試料表面基準測定プログラム232を実行することにより、第1フォースモータ6を駆動させて荷重レバー3を回動させ、その荷重レバー3に備えられている圧子4を試料Sに押し付けた際の押し込み深さ量を、圧子変位センサ5により計測される圧子4の変位量を検出することによって測定する測定手段として機能する。
具体的には、ストッパ12を基準レバー7から離した配置に調節し、コンタクタ8が試料Sに当接した状態から圧子4を試料Sに押し付けて、その押し込み深さ量を測定する。
つまり、CPU210が荷重調整プログラム233を実行することにより、第2フォースモータ10の出力を調節するようにして、基準レバー7の駆動を調整し、コンタクタ8を試料Sに押し付ける荷重を一定に調整する。
具体的には、CPU210は、基準レバー7がコンタクタ8を押し下げる際の押し付け力であって、コンタクタ8が試料Sに押し付けられる荷重が一定になるように、基準レバー7の駆動を調整し、コンタクタ8を試料Sに押し付ける際の荷重を一定に調整する。
そして、この操作部400は、ユーザが試料Sの押込み試験を行う指示入力を行う際に操作される。
図5は図4に示す荷重レバーの一端側の構造の変形例を示す拡大図であり、図6は、圧子が負荷する荷重により試料が傾斜した状態を説明する説明図である。
図5に示すように、ジンバル機構部13に加え、ジンバル機構部13の上部に、回動支点14dを中心として、コンタクタ8を回動自在に支持する上ジンバル機構部14を設け、コンタクタ8の回動支点を回動支点13d、14dの上下2箇所としてもよい。
この上ジンバル機構部14は、取付部15により基準レバー7に取り付けられており、Y軸方向を中心軸として回動自在に支持する第1上回動支持部14a(上回動支持部)と、コンタクタ8をX軸方向を中心軸として、回動自在に支持する第2上回動支持部14b(上回動支持部)と、等を備えて構成される。
第1上回動支持部14a、14aは、回動支点14dを挟んでY軸方向に沿って設けられた一対のジンバル機構用の筐体と筐体内に配置された十字バネ等で構成されており、圧子4が負荷する荷重により、試料Sの表面がY軸方向を中心として所定角傾斜すると、それに追随してコンタクタ8を、Y軸方向を中心軸として回動させることができる。
第2上回動支持部14b、14bは、回動支点14dを挟んでX軸方向に沿って設けられた一対のジンバル機構用の筐体と筐体内に配置された十字バネ等で構成されており、圧子4が負荷する荷重により、試料Sの表面がX軸方向を中心として所定角傾斜すると、それに追随してコンタクタ8を、X軸方向を中心軸として回動させることができる。
一方で、図6(c)(d)に示されるように、回動支点13dに加え、コンタクタ8に上ジンバル機構部14による回動支点14dが備えられている場合、(c)の試料Sの表面が水平な状態から(d)のように、圧子4が試料Sに荷重を負荷し、試料Sが押し込まれ、かつ、傾斜したとする。この場合も、(b)と同様に試料Sが傾斜した状態で、さらに荷重が負荷されると、試料Sは傾斜面方向にも荷重を受け、試料Sが傾斜面方向へ移動するが、コンタクタ8のうち、回動支点13dより上方の部分も回動支点14dにより回動させることが出来る。そのため、試料Sの傾斜面方向への移動に応じて、ジンバル機構部13及び上ジンバル機構部14が回動するので、試料表面接触部8aは(c)での当接位置と同じ位置で当接することとなる。
つまり、図6(a)(b)のように、回動支点13dが一箇所のみ設けられている場合は、凸部の当接位置のずれや、当接位置のずれに起因した試料Sの表面粗さや平面度の影響等によって、圧子4の先端部の位置基準に誤差が生じるおそれがあるが、図6(c)(d)のように、回動支点14dをさらに設けることにより、試料表面接触部8aの当接位置にずれが生ずることが無いので、試料Sの傾斜による計測結果の誤差をより好適に防ぐことが出来る。
図7は、図4に示すジンバル機構部13及びコンタクタ8の変形例であり、(a)は側面を、(b)は正面を、(c)は底面を示す図である。
図7(a)〜(c)に示すように、ジンバル機構部13は、第1回動支持部13bを支持し、上端部が基準レバー7に固定された底面視においてロ字状のロ字状部材13uと、コンタクタ8をX軸方向又はY軸方向の何れか一方を中心軸(図7(c)では、X軸)として回動自在に支持する第1回動支持部13bと、を含んで構成される。
この場合、荷重レバー3により圧子4が試料Sに荷重を負荷し、試料SがX軸方向を中心として傾斜したとしても、試料表面接触部8aが、傾斜後の試料Sの表面に当接するように、回動支持部13bが所定角度回転するため、常に圧子4の先端部の位置基準であるコンタクタ8が、試料Sの表面と接触した状態を保つことが出来る。一方、試料SがY軸方向を中心として傾斜した場合、試料表面接触部8aは、その傾斜に影響を受けることが無いため、試料Sの表面に当接した状態を保つ。そのため、図7(a)〜(c)に示すジンバル機構部13及びコンタクタ8は、図4(a)〜(c)に示すジンバル機構部13及びコンタクタ8と同様の効果を発揮することが出来るといえる。
なお、図5に示す場合と同様に、図7(a)〜(c)に示すジンバル機構部13の回動支点13dに加え、ジンバル機構部13の上部にコンタクタ8を回動自在に支持する上ジンバル機構部14を設け、コンタクタ8の回動支点を上下2箇所としても勿論よい。
したがって、押込み深さ計測機構1の押込み荷重が増加するに従って試料Sが傾斜したとしても、それに追従して、コンタクタ8も傾斜し、コンタクタ8が試料Sの表面に当接させた状態を保つことが出来るので、深さ計測の基準位置にずれが生じず、試料Sの傾斜による計測結果の誤差を防ぐことが出来る。さらに、試料表面接触部8aが複数設けられているので、試料Sの表面粗さが大きい場合や平面度が悪い場合であっても、深さ計測の基準を安定させることが出来る。
つまり、本発明にかかる押込み深さ計測機構は、押込み荷重により試料が傾斜したとしても、または、試料の表面粗さが大きい、あるいは平面度が悪い場合であっても、精確な計測結果を取得できる押込み深さ計測機構であるといえる。
つまり、本発明にかかる押込み深さ計測機構は、押込み荷重により試料が傾斜したとしても、精確な計測結果を取得できる押込み深さ計測機構であるといえる。
3 荷重レバー
4 圧子
5 圧子変位センサ
5a 変位センサ可動部(圧子連動部)
5b 変位センサ固定部(圧子位置検出部)
6 第1フォースモータ(荷重レバー駆動部)
7 基準レバー
8 コンタクタ(圧子基準部)
8a 試料表面接触部(凸部)
10 第2フォースモータ(基準レバー駆動部)
13 ジンバル機構部
13a 回動支持部(第2回動支持部)
13b 回動支持部(第1回動支持部)
14 上ジンバル機構部
14a、b 第1、第2上回動支持部(上回動支持部)
100 押込み試験機(材料試験機)
200 制御部
210 CPU(測定手段)
230 記憶部
232 試料表面基準測定プログラム(測定手段)
S 試料
Claims (5)
- 回動可能に軸支される荷重レバーと、この荷重レバーの一端側における下部に備えられた圧子と、前記荷重レバーの上部に備えられ前記圧子と連動する圧子連動部と、前記荷重レバーの他端側に備えられ当該荷重レバーを回動させる荷重レバー駆動部と、前記荷重レバーとほぼ同じ軸心を有するように回動可能に軸支される基準レバーと、この基準レバーの一端側における下部に備えられ前記圧子の先端部の位置基準となる圧子基準部と、前記圧子基準部の上部に備えられ前記圧子連動部の変位量を検出する圧子位置検出部と、前記圧子基準部を試料表面に当接させた状態から前記荷重レバーを回動させて、試料表面に当接させた前記圧子を前記試料に押し付けた際の押し込み深さ量を、前記圧子位置検出部が前記圧子連動部の変位量を検出することによって測定する測定手段と、を備えた押込み深さ計測機構において、
前記圧子基準部は、
前記圧子の先端部を中心とする同心円上に等間隔で配置され、試料表面に当接する複数の試料表面接触部を備え、
前記圧子の軸方向と直交する方向を中心軸として、前記圧子基準部を回動自在に支持する回動支持部を備えることを特徴とする押込み深さ計測機構。 - 請求項1記載の押込み深さ計測機構において、
前記試料表面接触部は、前記回動支持部の中心軸及び前記圧子の軸の双方に直交する軸上に、等間隔で2つ配置されていることを特徴とする押込み深さ計測機構。 - 請求項1記載の押込み深さ計測機構において、
前記回動支持部の前記中心軸及び前記圧子の軸の双方に直交する方向を中心軸として、前記圧子基準部を回動自在に支持する第2回動支持部を備え、
前記試料表面接触部は、前記同心円上に等間隔で3つ配置されていることを特徴とする押込み深さ計測機構。 - 請求項1記載の押込み深さ計測機構において、
前記回動支持部の上方に、当該回動支持部の前記中心軸と同一方向を中心軸として、前記圧子基準部を回動自在に支持する上回動支持部を備えることを特徴とする押込み深さ計測機構。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の押込み深さ計測機構を備えたことを特徴とする材料試験機。
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