JP5073475B2 - ハードディスク用基板の製造方法 - Google Patents
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ように、前記基板を前記第2液中に浸漬させる工程IIを含み、前記基板が浸漬されている時の前記第1液が酸性であり、前記基板が浸漬されている時の前記第2液のpHが1〜4である。
研磨処理は、例えば、アルミナ微粒子やシリカ微粒子等の無機微粒子からなる研磨材と、この研磨材の分散溶媒(例えば水)とを含む研磨液組成物を用いて行われる。
工程Iでは、研磨処理がなされた、Ni−P含有層を両最外層として有する基板を、第1液中に浸漬する。ここで、第1液は、基板が浸漬される前は、水であってもよいし、水と酸成分とを含んでいてもよい。第1液を過度に酸性にする必要がない場合、基板が浸漬される前の第1液は水であってもよい。基板が浸漬される前の第1液が水である場合、第1液は、基板が浸漬されることにより、基板に付着した研磨液組成物中に由来する酸成分(プロトンおよび/または水に溶けてプロトンを生じる物質)を含むことによって酸性を呈するようになる。第1液が繰り返し使用されることにより減少するときは、第1液に水を添加して第1の液量を調整すればよい。
工程IIでは、基板を第2液中に浸漬させる。第2液は、少なくとも水と酸とを含み、基板が浸漬されている時の第2液のpHが1〜4である。第2液は、基板の搬送方向に沿って、第1液が収容された水槽(例えば、枚葉式小容量浸漬槽)よりも下流側に配置された槽内に収容されている。上記基板を、例えば、1枚単位で第2液に投入する枚葉式浸漬方法により第2液に浸漬すると、ハードディスク用基板に発生し得る泡状のシミを効果的に低減できるという理由から好ましい。
工程IIIで行われる洗浄処理は、例えば、(a)基板を洗浄剤組成物に浸漬するか、および/または、(b)洗浄剤組成物を射出して、基板の表面上に洗浄剤組成物を供給することにより行える。
非イオン性界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤としては、下記の式(1)で表される非イオン性界面活性剤が、洗浄性、排水処理性、及び環境保全性のいずもが優れているという理由から好ましい。
R1−O−(EO)m(aPO)n−H (1)
素数8〜18のアシル基、又は炭素数14〜18のアルキルフェニル基である。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。m及びnは、それぞれEO及びPOの平均付加モル数である。mは1〜20の数、nは0〜20の数を表す。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。EOとPOの配列がブロックである場合、EOのブロックの数、POのブロックの数は、各平均付加モル数が上記範囲内にある限り、それぞれ1個であってもよいが2個以上であってもよい。また、EO又はPOからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるEO又はPOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。
洗浄剤組成物に含まれる水溶性アミン化合物としては、例えば、アルカノールアミン、1級アミン、2級アミン、および3級アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
洗浄剤組成物に含まれる水(成分C)は、溶媒としての役割を果たすことができるものであれば特に制限はなく、例えば、超純水、純水、イオン交換水、または蒸留水等を挙げることができるが、超純水、純水、またはイオン交換水が好ましく、超純水がより好ましく使用される。例えば、25℃での電気伝導率は、多くの場合、純水で1μS/cm以下であり、超純水で0.1μS/cm以下を示す。なお、洗浄剤組成物は、溶媒として上記水に加えて水系溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)をさらに含んでいてもよいが、洗浄剤組成物に含まれる溶媒は水のみからなると好ましい。
洗浄剤組成物には、成分A,B、C以外に、シリコン系の消泡剤、EDTA等のようなキレート剤(成分D)、水溶性高分子(成分E)、すすぎ性向上剤(成分F)、水溶性アミン化合物以外のアルカリ剤(成分G)、アルコール類、防腐剤、酸化防止剤等が含まれていてもよい。
洗浄剤組成物には、金属イオンに対する洗浄性を向上させる観点から、キレート剤(成分D)が含まれていると好ましい。キレート剤としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸などのアルドン酸類;エチレンジアミン四酢酸などのアミノカルボン酸類;クエン酸、リンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸類;アミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸などのホスホン酸類;およびこれらのアルカリ金属塩、低級アミン塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩が挙げられる。より好ましくは、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、またはヒドロキシエチリデンジホスホン酸ナトリウムである。これらのキレート剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
洗浄剤組成物には、シリカ微粒子等の無機微粒子の分散性を向上させる観点から、水溶性高分子(成分E)が含まれていてもよい。洗浄剤組成物に含まれる水溶性高分子としては、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸からなる群より選ばれる1以上の化合物由来の構成単位(A1)を、全構成単位中の20モル%以上含む水溶性高分子が挙げられる。具体的には、例えば、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸の共重合体、アクリル酸/マレイン酸の共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸ジメチルアミノエステルの共重合体、メタクリル酸/アクリル酸メチルエステルの共重合体等が挙げられる。
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソ−(株)製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファ−/CH3CN=9/1(容量比)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール換算
成分Fは、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の化合物である。
洗浄剤組成物には、必要に応じて水溶性アミン化合物以外のアルカリ剤が含まれていてもよい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群より選ばれる一種以上が挙げられるが、洗浄性を高める観点から、水酸化カリウムが好ましい。
1−1.基板の調製
アルミナ研磨材を含有するスラリーで予め粗研磨して得たNi−Pメッキ基板(外径:95mmφ、内径:25mmφ、厚さ:1.27mm、表面粗さ(Ra):1nm)をさらに下記研磨条件で研磨した。
<研磨条件>
研磨機:両面9B研磨機(スピ−ドファム(株)製)
研磨パッド:スエードタイプ(厚さ:0.9mm、平均開孔径:30μm、フジボウ(株)製)
研磨液組成物(コロイダルシリカスラリー)
コロイダルシリカ(平均一次粒径19nm) 7重量%
HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)
0.13重量%
硫酸 0.55重量%
イオン交換水 92.32重量%
pH=1.5
コロイダルシリカは、デュポン製で、D90/D50=1.4
なお、上記組成の研磨液組成物の調製は、特開2006-26885号公報の実施例2に基づいて行った。
本研磨:荷重 100g/cm2、時間 300秒、研磨液流量 100mL/min
水リンス:荷重 30g/cm2、時間 20秒、リンス水流量 約2L/min
上記のようにして得られた基板を、第1液に5分間浸漬させた。実施例1〜7、比較例1〜3では、ガラス製時計皿(内直径150mm、深さ12mm、内面がすり鉢状)内の第1液の液面に対して略水平に支持された状態の基板全体を、そのまま第1液に浸漬させ、かつ、略水平に支持された状態に保った。実施例8では、枚葉式小容量浸漬槽中の第1液の液面に対して略垂直に支持された状態の基板全体を、その状態のまま第1液に浸漬させ、その後、基板を斜めに傾けた。第1液の組成については表1に記載のとおりとした。また、実施例1〜7、比較例1〜3では、基板の浸漬中に、基板の両主面のうちの液面から遠い方の面(B面)に気泡が付着するように、第1液に1mlの気泡を注射器にて注入した(起泡処理)。なお、表1中の第1液のpHは、基板が浸漬されている時の値であり、第1液を20枚の基板に対して使用する間、変動しないように、水および/または酸を用いて、表1に示した値に維持した。
次に、第2液に基板を浸漬させた。第2液は、実施例1〜7、比較例1〜3では、浸漬槽1(内直径150mm、深さ12mm、内面がすり鉢状のガラス製時計皿)に第2液を60ml入れ、実施例8では、浸漬槽2(縦50mm、横100mm、深さ200mm、平底のガラス容器)に第2液を深さ150mmになるまで満たした。第1液から引き上げた基板を、基板の全表面が第2液に接触するように、表1に記載された浸漬時間だけ浸漬させた。なお、実施例1〜7、比較例1〜3では、第1液から引き上げた基板は、基板表面が乾燥しないように速やかに、かつ、気泡を巻き込むことなく、第2液に浸漬した。実施例8では、第1液から引き上げた基板を、基板表面が乾燥しないように速やかに、気泡を巻き込むことなく、かつ、第2液の液面に対して略垂直に支持された状態で、第2液に浸漬した。第2液の組成については表1に記載のとおりとした。
次に、基板をスクラブ洗浄装置にて以下の条件で洗浄した。
工程IIを経た基板を、第2液から引き上げた。そして、基板表面が乾燥しないように速やかに、以下の3段階で洗浄及びすすぎを行った。洗浄剤組成物の組成は表2に記載のとおりである。
1段目:基板を洗浄機にセットし、1段目のロールブラシ部へ搬送し、次いで、61rpmで回転している基板の両主面の各々に、396rpmで回転しているロールブラシを押し当て、25℃の超純水を基板の両主面の各々に1分間あたり1.2Lで射出しながら20秒間洗浄した。
2段目:さらに基板を、2段目のロールブラシ部へ搬送し、次いで、1段目のロールブラシ部と同様に、61rpmで回転している基板の両主面の各々に、396rpmで回転しているロールブラシを押し当て、25℃の超純水を基板の両主面の各々に1分間あたり1.2Lで射出しながら20秒間すすぎを行った。
3段目:その後、基板を超音波すすぎ部へ搬送し、61rpmで回転している基板の両主面の各々に、超音波(30W、950kHz)が付与された25℃の超純水を1分間あたり2.7Lで射出して、20秒間すすぎを行った。
乾燥:スピンチャックに保持されたすすぎ後の基板を、高速回転(3000rpmで)させて液切り乾燥を1分間行った。
1−4(1)〜(3)を経た基板表面について、以下の方法で評価した。
1:しみ無し。
0:しみの存在が認められる。
Claims (5)
- Ni−P含有層を両最外層として有するハードディスク用基板の製造方法であって、
研磨液組成物によって研磨されたNi−P含有層を両最外層として有する基板を、前記基板の搬送方向に沿って前記研磨液組成物を用いた研磨を行う研磨装置よりも下流側に配置された枚葉式小容量浸漬槽内に収容された第1液中に浸漬させる工程Iと、非イオン性界面活性剤と水溶性アミン化合物と水とを含有し中性またはアルカリ性の洗浄剤組成物で前記基板を洗浄する工程IIIと、前記工程Iの後、前記工程IIIの前に、第2液に前記基板の全表面が接するように、前記基板を前記第2液中に浸漬させる工程IIとを含み、
前記基板が浸漬されている時の前記第1液のpHが4〜7であり、
前記基板が浸漬されている時の前記第2液のpHが1〜3.4であり、
前記第2液中の酸は、硫酸,リン酸,硝酸,ホスホン酸、グリコール酸、シュウ酸、および有機ホスホン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸を主成分として含む、ハードディスク用基板の製造方法。 - 前記第1液が酸成分を含み、
前記第1液中の前記酸成分が、前記研磨液組成物に含まれる酸成分に由来している請求項1に記載のハードディスク用基板の製造方法。 - 前記工程IIにおいて、前記基板を前記第2液中に浸漬させる時間が2分間以上である請求項1又は2に記載のハードディスク用基板の製造方法。
- 前記枚葉式小容量浸漬槽は、その容量が50〜100mlである、請求項1〜3のいずれかの項に記載のハードディスク用基板の製造方法。
- 前記枚葉式小容量浸漬槽は、直径が前記ハードディスク用基板の直径の1.1〜2.0倍の開口を有する請求項4に記載のハードディスク用基板の製造方法。
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