JP5073475B2 - ハードディスク用基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ハードディスク用基板の製造方法に関する。
ハードディスクの製造過程には、サブストレート形成工程とメディア工程とが含まれる。サブストレート形成工程では、基板に対して少なくとも研磨処理と洗浄処理とをこの順で複数回繰り返し行うことにより、ハードディスク用基板を作製する。水平磁気記録方式のハードディスクの場合、上記メディア工程において、ダイヤモンド砥粒等を用いた研磨によりハードディスク用基板の両主面に浅い凸凹をつけてから(テクスチャー工程)、洗浄を行い(洗浄工程)、次いで、上記両主面側に各々磁性層を形成する(磁性層形成工程)。垂直磁気記録方式のハードディスクの場合は、上記メディア工程において、まず、ハードディスク用基板の洗浄を行い(洗浄工程)、次いで、上記両主面側に各々磁性層を形成するが(磁性層形成工程)、必要に応じて、洗浄工程の前に上記テクスチャー工程を、洗浄工程の後に、レーザー照射によりハードディスク用基板の両主面にカルデラ状の突起を形成する工程(レーザーテクスチャー工程)を行う場合がある(特許文献1および特許文献2参照)。
近年、ハードディスクにおける記録方式については、大容量化の要請に伴い、水平磁気記録方式(面内磁気記録方式とも呼ばれる。)から垂直磁気記録方式へとシフトしつつある。垂直磁気記録方式のハードディスクでは、水平磁気記録方式のハードディスクよりも、より高密度記録が可能であるとともに、記録された情報の安定性が良好だからである。
特開平10−199047号公報 特開2007−95238号公報
サブストレート工程は、例えば、以下のように行われる。例えば、1バッチ当り50枚前後の基板が研磨処理される。該研磨処理後の各基板は、1枚ずつ搬送され、1枚ずつ小容量の浸漬槽内の酸性液に浸漬された後、洗浄処理される。この洗浄処理は、酸性、中性又はアルカリ性の洗浄液を各基板に接触させることで行われる。このようなサブストレート工程を経て得られたハードディスク基板の表面を詳細に分析した結果、上記洗浄液が中性又はアルカリ性の場合に、ハードディスク用基板の表面が、泡状のしみが存在する等の不均一な表面状態にあること発見した。
本発明では、サブストレート工程で得られるハードディスク基板の表面状態がより均一で高度に清浄化されたハードディスク用基板の製造方法、およびこれを用いたハードディスクの製造方法を提供する。
本発明のハードディスク用基板の製造方法は、Ni−P含有層を両最外層として有するハードディスク用基板の製造方法であって、Ni−P含有層を両最外層として有する基板を第1液中に浸漬させる工程Iと、中性またはアルカリ性の洗浄剤で前記基板を洗浄する工程IIIと、前記工程Iの後、前記工程IIIの前に、第2液に前記基板の全表面が接する
ように、前記基板を前記第2液中に浸漬させる工程IIを含み、前記基板が浸漬されている時の前記第1液が酸性であり、前記基板が浸漬されている時の前記第2液のpHが1〜4である。
本発明のハードディスクの製造方法は、本発明のハードディスク用基板の製造方法でハードディスク用基板を形成する、サブストレート工程と、前記ハードディスク用基板の両主面側にそれぞれ少なくとも磁性層を形成する、メディア工程と、を含む。
本発明によれば、高度に清浄化されたハードディスク用基板を形成可能な、ハードディスク用基板の製造方法、およびこれを用いたハードディスクの製造方法を提供できる。
本発明者らは、ハードディスク用基板の表面に発生する泡状のしみの原因を以下のように推定した。
研磨処理がなされた基板は、製造ライン中の研磨処理が行われるエリアから洗浄処理が行われるエリアへ搬送される。洗浄処理では、一般に、超音波洗浄とスクラブ洗浄の両方が行われ、さらに、すすぎが行なわれる。超音波洗浄は、例えば、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を基板に射出し、または、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物中に基板を浸漬することにより行われる。スクラブ洗浄は、例えば、洗浄剤組成物を射出により基板の両主面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された両主面を洗浄用ブラシやスポンジ等でこすることにより行われる。そのため、一般に、研磨処理が一度に複数枚の基板に対して行われるのに対して、研磨処理がなされた基板の搬送は、1枚ずつ順次なされる。そして、搬送途中の基板は、その表面の乾燥防止と待機時間の確保のために、枚葉式小容量浸漬槽に収容された水中に順次浸漬される。上記水は、基板に付着した研磨液組成物中に由来する酸成分によって酸性になるので、浸漬された基板の表面は薄くエッチングされる。なお、枚葉式小容量浸漬槽は、直径がハードディスク直径の1.1〜2.0倍、好ましくは1.1〜1.6倍の円が内接する、好ましくは円形の開口を有する。その容量は、好ましくは50〜100mlであり、内面が、好ましくはすり鉢状であり、材質は、好ましくはステンレス、アルミニウム、より好ましくはステンレスである。
しかし、基板表面に付着した研磨液組成物の残渣の存在により、上記搬送中に、基板表面に乾燥ムラが生じる場合がある。また、基板を、上記枚葉式小容量浸漬槽内の小容量の水に浸漬する際に、水に微小気泡が巻き込まれることがある。さらに、基板に付着した研磨液組成物に由来する成分が加水分解等して、水中で極微小気泡が発生し基板に付着することがある。
本発明者らは、ハードディスク用基板の表面に観察される上述の泡状のしみの発生原因の一つは、上記乾燥ムラ、微小気泡、または極微小気泡等の存在により酸液によるエッチングが均一になされないことにあると推定した。そして、この推定に基づいて、本発明者らは、Ni−P含有層を両最外層として有する基板を、枚葉式小容量浸漬槽内の第1液中に浸漬させた(工程I)後、第2液に基板の全表面が接するように、基板を第2液中に浸漬させてから(工程II)、中性又はアルカリ性の洗浄液で洗浄処理を行う(工程III)ことにより、上記泡状のしみの発生を抑制でき、高度に清浄化されたハードディスク用基板を得ることができることを見出した。ただし、基板が浸漬されている時の第1液は酸性であり、基板が浸漬されている時の第2液のpHは1〜4である。
また、本発明のハードディスクの製造方法は、ハードディスク用基板と、ハードディスク用基板の両主面側に各々形成された磁性層とを含む、ハードディスクの製造方法であって、Ni−P含有層を両最外層として有する基板に対して、少なくとも研磨処理と洗浄処理とを、この順で1回以上繰り返し行い、最後に行われる前記洗浄処理を中性またはアルカリ性の洗浄剤を用いて行って、ハードディスク用基板を形成する、サブストレート形成工程と、ハードディスク用基板の両主面側にそれぞれ少なくとも磁性層を形成する、メディア工程と、を含む。
サブストレート形成工程では、例えば、まず、アルミニウム板などの金属板をディスク状に切断し、面取りをする。次いで、ディスク状の金属板に対して、熱処理をした後、両主面を研削し、再度、熱処理する。次に、金属板の全面に例えばNi−Pメッキ処理をし、次いで、熱処理して、金属板がNi−P含有被膜によって覆われた基板を形成する。その後、両最外層としてNi−P含有層を有する基板の両主面に対して、アルミナ等の研磨材を含む研磨液組成物を用いて粗研磨処理をした後、洗浄処理(第1洗浄処理)をする。次いで、シリカ等の研磨材を含む研磨液組成物を用いて仕上げ研磨処理をした後、洗浄処理(第2洗浄処理)をする。
本発明では、サブストレート形成工程において、例えば、仕上げ研磨処理の後、第2洗浄処理の前に、基板を第1液中に浸漬させ(工程I)、次いで、第2液に基板の全表面が接するように、基板を第2液中に浸漬させる(工程II)。ただし、基板が浸漬されている時の第1液は酸性であり、基板が浸漬されている時の第2液のpHは1〜4である。なお、本発明において、基板を第1液中に浸漬させる工程Iと、基板を第2液中に浸漬させる工程IIとを、仕上げ研磨処理(最後の研磨処理)と仕上げ研磨処理の後に行われる洗浄処理(最後の洗浄処理)との間に行う限り、サブストレート工程において行われる研磨処理および洗浄処理の回数について特に制限はない。
ハードディスクの記録方式が水平磁気記録方式である場合、メディア工程では、ダイヤモンド砥粒等を用いた研磨によりハードディスク用基板の両主面に浅い凸凹を形成した後(テクスチャー工程)、ハードディスク用基板を洗浄し、次いで、上記両主面側に少なくとも各々磁性層を形成する。
一方、ハードディスクの記録方式が垂直磁気記録方式である場合、サブストレート工程後は、まず、ハードディスク用基板の洗浄を行い、次いで、ハードディスク用基板の両主面側に少なくとも各々磁性層を形成するが、必要に応じて、ハードディスク用基板の洗浄の前に上記テクスチャー工程を、ハードディスク用基板の洗浄の後に、レーザーテクスチャー工程を行う。
磁性層の材料としては、例えば、鉄、ジルコニウム、ニオブ、クロム、タンタル、または白金等と、コバルトとの合金であるコバルト合金等が挙げられる。磁性層の形成方法について特に制限はなく、従来から公知の形成方法、例えば、スパッタ法等を採用すればよい。
次に、サブストレート工程について詳述する。
<研磨処理>
研磨処理は、例えば、アルミナ微粒子やシリカ微粒子等の無機微粒子からなる研磨材と、この研磨材の分散溶媒(例えば水)とを含む研磨液組成物を用いて行われる。
研磨材の平均一次粒子径は、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.02〜3μm、さらに好ましくは0.03〜3μmである。また、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、その平均二次粒子径は、0.02〜3μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。
研磨液組成物中の研磨材の含有量は、0.05〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜30重量%、さらに好ましくは1〜25重量%である。
研磨液組成物には、酸を含むものが一般的に用いられ、酸としては、無機酸及び有機酸の双方が使用できる。無機酸としては、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸、ポリリン酸及びホスホン酸等が挙げられる。有機酸としては、グリコール酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ホスホノヒドロキシ酢酸、ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(、ホスホノブタントリカルボン酸及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等が挙げられる。
研磨液組成物中の酸の含有量は、0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.08〜7.5重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
研磨液組成物は、さらに酸化剤を含むこともある。酸化剤としては、過酸化物、金属のペルオキソ酸又はその塩、及び金属の酸素酸又はその塩等が挙げられる。
研磨液組成物中における酸化剤の含有量は、0.002〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%である。
研磨液組成物中の分散媒体としては、水が使用でき、水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。研磨液組成物中の分散媒体の含有量は、55〜99.8重量%が好ましく、より好ましくは75〜99.3重量%、さらに好ましくは90〜98.8重量%である。
研磨液組成物のpHは、Ni−P含有層を両最外層として有する基板の洗浄が容易になり、加工機械の腐食を防止し、作業者がより安全に作業でき、かつ、保存安定性が高まることから、25℃において、1〜12が好ましく、より好ましくは1.2〜11、さらに好ましくは1.4〜10である。被研磨基板が金属材料である場合は、研磨速度向上の観点から、25℃におけるpHは、7未満が好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下、さらにより好ましくは4以下である。なお、pHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定できる。
研磨液組成物は、さらに、殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質及びpH調整剤等を含んでもよい。
基板の研磨は、例えば、基板と研磨パッドとの間に、上記研磨液組成物を供給し、基板と研磨パッドとが接した状態で、基板に所定の圧力(荷重)をかけながら、研磨パッドを基板に対して相対運動させることにより行える。なお、上記研磨は、従来公知の研磨装置を用いて、一度に複数枚の基板に対して行うことができる。
研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、濃縮液における各成分の濃度(研磨材の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。
研磨パッドは、特に制限されず、従来公知のものが使用できる。研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、有機高分子としては、ポリウレタン等が挙げられる。研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。
研磨荷重は、研磨時に基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。本発明のハードディスク用基板の製造方法における研磨荷重は、ロールオフを効果的に抑制しながら生産性を向上させるために、3〜50kPaが好ましく、より好ましくは5〜40kPa、さらに好ましくは7〜30kPaである。研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷を調整することにより行うことができる。
研磨液組成物の供給速度は、コスト低減と研磨速度の向上の両立の観点から、基板1cm2あたり0.01〜0.25mL/min分が好ましく、より好ましくは0.025〜0.2mL/min、さらに好ましくは0.05〜0.15mL/minである。
研磨処理後、洗浄処理前に、必要に応じて、研磨された基板に対して水による軽いすすぎ処理を行っても良い。すすぎ処理は、例えば、研磨装置を用い上記研磨液組成物に代えて水を供給することにより行える。
<工程I>
工程Iでは、研磨処理がなされた、Ni−P含有層を両最外層として有する基板を、第1液中に浸漬する。ここで、第1液は、基板が浸漬される前は、水であってもよいし、水と酸成分とを含んでいてもよい。第1液を過度に酸性にする必要がない場合、基板が浸漬される前の第1液は水であってもよい。基板が浸漬される前の第1液が水である場合、第1液は、基板が浸漬されることにより、基板に付着した研磨液組成物中に由来する酸成分(プロトンおよび/または水に溶けてプロトンを生じる物質)を含むことによって酸性を呈するようになる。第1液が繰り返し使用されることにより減少するときは、第1液に水を添加して第1の液量を調整すればよい。
第1液は、基板の搬送方向に沿って、研磨液組成物を用いた研磨を行う研磨装置よりも下流側に配置された枚葉式小容量浸漬槽内に収容されている。工程IIIで行われる洗浄が、基板を1枚単位で洗浄する枚様式洗浄である場合には、工程IIが行われるエリアから工程IIIが行われるエリアに基板を円滑に搬送可能であるという理由から、工程Iにおいて、上記基板は1枚単位で第1液に投入される枚葉式浸漬方法により、第1液に浸漬されることが好ましく、枚様式小容量浸漬槽内に収容された十分な量の第1液に浸漬されることがより好ましい。
第1液中の水は、不要な不純物を基板に付着させないという理由から、超純水または純水のうちの少なくとも1種の水が好ましい。第1液の温度は、基板の過度の腐食を抑制するという理由から、10〜40℃であると好ましく、15〜30℃であるとより好ましく、20〜30℃であるとさらに好ましい。
基板が浸漬されている時の第1液のpHは、例えば、基板に付着した研磨液組成物中の酸成分の量に応じて変動するが、研磨された基板が第1液に浸漬されるまでの間に生じうる乾燥ムラを効果的に抑制をする観点からは、3〜5が好ましく、基板を第1液に浸漬させる際に生じる空気の巻込みに起因して生じる泡状のしみを効果的に抑制する観点から3〜7であると好ましく、5を超え7以下であるとより好ましく、6〜7であるとさらに好ましい。第1液が複数枚の基板に対して使用されることによって、第1液のpHが変動する場合は、水および/または酸等を用いて、第1液のpHを上記範囲内の所望のpH値に調整してもよい。
基板の第1液への浸漬時間は、後述する工程IIにおける基板の第2液への浸漬時間および工程II後に行われる洗浄(工程III)に要する時間等を考慮し、かつ、基板の過剰エッチングを防ぐ観点から、1〜10分であると好ましく、1〜5分であるとより好ましく、1〜3分であるとさらに好ましい。
工程Iでは、第1液の液面に対して略垂直に支持された状態の基板を、その状態のまま第1液に浸漬させると、基板を第1液中に浸漬する際の第1液への微小気泡の巻き込みを抑制でき、そのため、泡状のしみの発生を抑制できるので、好ましい。
<工程II>
工程IIでは、基板を第2液中に浸漬させる。第2液は、少なくとも水と酸とを含み、基板が浸漬されている時の第2液のpHが1〜4である。第2液は、基板の搬送方向に沿って、第1液が収容された水槽(例えば、枚葉式小容量浸漬槽)よりも下流側に配置された槽内に収容されている。上記基板を、例えば、1枚単位で第2液に投入する枚葉式浸漬方法により第2液に浸漬すると、ハードディスク用基板に発生し得る泡状のシミを効果的に低減できるという理由から好ましい。
第2液に含まれる水としては、不要な不純物を研磨後基板に付着させないという理由から、超純水または純水のうちの少なくとも1種の水が好ましい。基板が浸漬されている時の第2液のpHは、1〜4であるが、基板に発生した泡状のしみを好適に除去可能であり、かつ、基板の過剰エッチングを防ぐ観点から、1〜3であると好ましい。第2液が複数枚の基板に対して使用されることによって、第2液のpHが変動する場合は、水および/または酸等を用いて、第2液のpHを上記範囲内の所望のpH値に調整してもよい。
第2液に含まれる酸としては、無機酸及び有機酸の双方が使用できる。第2液に含まれる酸は、第2液を低いpHに調整でき、基板に対するエッチング力が大きいという理由から、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸、ポリリン酸及びホスホン酸等の無機酸が好ましい。同様の理由により、グリコール酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ホスホノヒドロキシ酢酸、有機ホスホン酸、及びホスホノブタントリカルボン酸等の有機酸が好ましい。有機ホスホン酸としては、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等が挙げられるが、なかでも、HEDPが好ましい。同様の理由から、硫酸,リン酸,硝酸,ホスホン酸、グリコール酸、シュウ酸、有機ホスホン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸を主成分として含んでいるとより好ましく、硫酸および有機ホスホン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸を主成分として含んでいるとさらに好ましい。なお、ハードディスク基板の腐食を抑制するという理由から、塩酸のような塩素を含有する酸は避けた方が好ましい。
第2液は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記水及び酸以外の化合物を含有してもよい。例えば、第2液は、工程IIIでの洗浄に悪影響を与えることなく、工程IIでも基板を予備的に洗浄できるという理由から、工程IIIで使用する洗浄剤を構成する成分を含有していてもよい。
基板の第2液への浸漬時間は、基板に発生した泡状のしみを好適に除去可能であり、かつ、基板の過剰エッチングを防ぐ観点から、2〜60分であると好ましく、2〜40分であるとより好ましく、5〜30分であるとさらに好ましい。第2液の温度は、過度の基板の腐食を抑制するという理由から、10〜40℃であると好ましく、15〜35℃であるとより好ましく、20〜30℃であるとさらに好ましい。但し、pHを安定化させ、泡状のしみの発生を効果的に抑制する観点から、第2液は、酸性下で塩を形成しうるアルカリ成分又はその塩を含まないことが好ましい。
工程IIでは、ハードディスク基板の全表面が第2液と接するように、ハードディスク基板を第2液に浸漬する。具体的には、ハードディスク基板全体を収容可能な容積を有する浸漬槽に、上記基板の全体を完全に第2液中に浸漬させることが可能な容量の第2液を浸漬槽に満たし、気泡を巻き込まないように、第2液にハードディスク基板を浸漬させればよい。気泡を巻き込むことなく基板を第2液に浸漬させるためには、例えば、第2液の液面に対して略垂直に支持された状態の基板を、その状態のまま第2液に浸漬させればよい。このようにすれば、基板を第2液中に浸漬する際の第2液への微小気泡の巻き込みを抑制でき、好ましい。
<工程III>
工程IIIで行われる洗浄処理は、例えば、(a)基板を洗浄剤組成物に浸漬するか、および/または、(b)洗浄剤組成物を射出して、基板の表面上に洗浄剤組成物を供給することにより行える。
(a)において、基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はないが、例えば、洗浄剤組成物の温度は、安全性および操業性の観点から20〜100℃であると好ましく、浸漬時間は、洗浄性と生産効率の観点から10秒〜30分間であると好ましい。また、研磨材等の粒子の除去性および粒子の分散性を高める観点から、洗浄剤組成物には超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数としては、好ましくは20〜2000kHzであり、より好ましくは100〜2000kHzであり、さらに好ましくは1000〜2000kHzである。
(b)では、粒子の洗浄性や油分の溶解性を促進させる観点から、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、基板の両主面に洗浄剤組成物を接触させて洗浄するか、又は、洗浄剤組成物を基板の両主面上に射出により供給し、両主面を洗浄用ブラシやスポンジ等でこする、いわゆるスクラブ洗浄をすることが好ましい。さらには、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出により両主面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された両主面を洗浄用ブラシやスポンジ等でこすることにより洗浄することが好ましい。
洗浄剤組成物を基板の両主面上に各々供給する手段としては、スプレ−ノズル等の公知の手段を用いることができる。また、洗浄用ブラシとしては、特に制限はなく、例えばナイロンブラシやPVAスポンジブラシ等の公知のものを使用することができる。超音波の周波数としては、(a)で例示されるものと同様であればよい。
洗浄方法は、上記(a)及び/又は上記(b)に加えて、揺動洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄、パドル洗浄等の公知の洗浄手段を用いる工程を1つ以上含んでもよい。
工程IIIの洗浄処理に用いられる洗浄剤組成物は、中性の洗浄剤組成物およびアルカリ性の洗浄剤組成物のいずれでもよいが、アルカリ性の洗浄剤組成物を用いる場合の方が、中性の洗浄剤組成物を用いる場合よりも、工程IIを経ることによって得られる泡状のシミの低減効果が顕著に観察される。以下に、洗浄剤組成物の一例の詳細について説明する。
洗浄剤組成物は、少なくとも、非イオン性界面活性剤(成分A)、水溶性アミン化合物(成分B)、及び水(成分C)とを含有する。
《成分A》
非イオン性界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤としては、下記の式(1)で表される非イオン性界面活性剤が、洗浄性、排水処理性、及び環境保全性のいずもが優れているという理由から好ましい。
1−O−(EO)m(aPO)n−H (1)
式(1)中、R1は炭素数8〜18のアルキル基、炭素数8〜18のアルケニル基、炭
素数8〜18のアシル基、又は炭素数14〜18のアルキルフェニル基である。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。m及びnは、それぞれEO及びPOの平均付加モル数である。mは1〜20の数、nは0〜20の数を表す。EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。EOとPOの配列がブロックである場合、EOのブロックの数、POのブロックの数は、各平均付加モル数が上記範囲内にある限り、それぞれ1個であってもよいが2個以上であってもよい。また、EO又はPOからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるEO又はPOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。
1は、洗浄剤組成物の洗浄性をより向上させる観点から、炭素数8〜14のアルキル基、炭素数8〜14のアルケニル基、炭素数8〜14のアシル基、又は炭素数14〜16のアルキルフェニル基であるとより好ましく、洗浄性の向上と、排水処理性の向上、及び環境保全性の向上とをより良好に両立させる観点から、炭素数8〜14のアルキル基がより好ましい。
EOとPOの配列がブロックまたはランダムである場合、EOとPOとのモル比〔MEO/MPO〕が好ましくは9.5/0.5〜5/5、より好ましくは9.5/0.5〜7/3、更に好ましくは9.5/0.5〜8/2であると、油分の溶解性と高い水溶性とを両立させることができる点で好ましい。また、mは、水溶性及び低泡性の両立の観点から、好ましくは1〜15、より好ましくは5〜12、更に好ましくは8〜12である。nは、水溶性及び低泡性の両立の観点から、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5であり、m+nは、好ましくは1〜20、より好ましくは5〜15である。
式(1)で示される化合物としては、具体的には、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、イソデシルアルコール、トリデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等のフェノール類、好ましくはラウリルアルコール及び/又はミリスチルアルコールに、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基が付加された化合物等が挙げられる。式(1)で示される化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
洗浄剤組成物中における非イオン性界面活性剤の含有量は、良好な洗浄性と良好なすすぎ性とを両立させる観点から、0.001〜2.0重量%であると好ましく、0.005〜1.5重量%がより好ましく、0.01〜1.0重量%がさらに好ましい。
《成分B》
洗浄剤組成物に含まれる水溶性アミン化合物としては、例えば、アルカノールアミン、1級アミン、2級アミン、および3級アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、メチルジプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のヒドロキシアルキルアミンが挙げられる。1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。2級アミンとしては、ピペリジン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられ、3級アミンとしては、トリエチルアミン等が挙げられる。これらの水溶性アミン化合物は単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。また、これらの水溶性アミン化合物のなかでも、製品安定性の向上及び環境保全性の向上の観点から、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、およびピペリジンからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性アミン化合物が好ましく、モノエタノールアミン及びメチルジエタノールアミンがより好ましく、モノエタノールアミンがさらに好ましい。
洗浄剤組成物中における水溶性アミン化合物の含有量は、洗浄剤組成物の安定性および取り扱い性を向上させ、かつ、廃液処理性等を向上させて環境へ配慮を行う観点から0.0001〜7重量%であると好ましいが、研磨液組成物由来のシリカ微粒子の凝集を効果的に抑制しながら高い洗浄性は発揮させる観点から、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量%がより好ましい。
《成分C》
洗浄剤組成物に含まれる水(成分C)は、溶媒としての役割を果たすことができるものであれば特に制限はなく、例えば、超純水、純水、イオン交換水、または蒸留水等を挙げることができるが、超純水、純水、またはイオン交換水が好ましく、超純水がより好ましく使用される。例えば、25℃での電気伝導率は、多くの場合、純水で1μS/cm以下であり、超純水で0.1μS/cm以下を示す。なお、洗浄剤組成物は、溶媒として上記水に加えて水系溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)をさらに含んでいてもよいが、洗浄剤組成物に含まれる溶媒は水のみからなると好ましい。
洗浄剤組成物中における水の含有量は、80〜99.99重量%であるが、洗浄剤組成物の安定性および取り扱い性を向上させ、かつ、廃液処理性等を向上させて環境へ配慮を行う観点、90〜99.99重量%が好ましく、95〜99.99重量%がより好ましい。
《任意成分》
洗浄剤組成物には、成分A,B、C以外に、シリコン系の消泡剤、EDTA等のようなキレート剤(成分D)、水溶性高分子(成分E)、すすぎ性向上剤(成分F)、水溶性アミン化合物以外のアルカリ剤(成分G)、アルコール類、防腐剤、酸化防止剤等が含まれていてもよい。
《成分D》
洗浄剤組成物には、金属イオンに対する洗浄性を向上させる観点から、キレート剤(成分D)が含まれていると好ましい。キレート剤としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸などのアルドン酸類;エチレンジアミン四酢酸などのアミノカルボン酸類;クエン酸、リンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸類;アミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸などのホスホン酸類;およびこれらのアルカリ金属塩、低級アミン塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩が挙げられる。より好ましくは、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、またはヒドロキシエチリデンジホスホン酸ナトリウムである。これらのキレート剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
キレート剤の含有量は、金属イオンに対する洗浄性を向上させる観点から、0.001〜1重量%であると好ましく、0.002〜0.5重量%であるとさらに好ましい。
《成分E》
洗浄剤組成物には、シリカ微粒子等の無機微粒子の分散性を向上させる観点から、水溶性高分子(成分E)が含まれていてもよい。洗浄剤組成物に含まれる水溶性高分子としては、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸からなる群より選ばれる1以上の化合物由来の構成単位(A1)を、全構成単位中の20モル%以上含む水溶性高分子が挙げられる。具体的には、例えば、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸の共重合体、アクリル酸/マレイン酸の共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸ジメチルアミノエステルの共重合体、メタクリル酸/アクリル酸メチルエステルの共重合体等が挙げられる。
水溶性高分子は上記共重合体の塩であってもよい。かかる塩としては、特に限定されないが、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;分子量300以下の含窒素系化合物による塩が好ましい。分子量300以下の含窒素系化合物としては、例えば、アンモニア、アルキルアミン又はポリアルキルポリアミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が付加されたモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、モノブタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコール類;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。
水溶性高分子の共重合体の重量平均分子量は、凝集の発現により微粒子除去性が低下するのを防ぎ、充分な微粒子除去性を得る観点から、500〜150,000が好ましく、1000〜100,000がより好ましく、1000〜50,000がさらに好ましく、1000〜10,000がさらに好ましい。成分Eの共重合体の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。
(GPC条件)
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソ−(株)製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファ−/CH3CN=9/1(容量比)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール換算
洗浄剤組成物中における、水溶性高分子の含有量は、充分な微粒子の除去性、良好な分散安定性及び良好な排水処理性を発揮させる観点から、0.001〜5重量%が好ましく、0.001〜3重量%がより好ましく、0.001〜2重量%がさらに好ましく、0.001〜1重量%がさらにより好ましい。
《成分F》
成分Fは、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の化合物である。
上記化合物の含有量は、すすぎ性をより向上する観点から、洗浄剤組成物中、好ましくは0.001〜3重量%、より好ましくは0.001〜2重量%、更に好ましくは0.005〜1重量%である。
トルエンスルホン酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸が挙げられ、ジメチルベンゼンスルホン酸としては、例えば、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ヒドロキシベンゼンスルホン酸としては、例えば、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
成分Fは、水溶性であることが好ましく、塩であることが好ましい。塩を形成させるための対イオンは、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等から1種以上を用いることが好ましく、ナトリウムのイオン及び/又はカリウムのイオンがより好ましく、ナトリウムのイオンが更に好ましい。
《成分G》
洗浄剤組成物には、必要に応じて水溶性アミン化合物以外のアルカリ剤が含まれていてもよい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群より選ばれる一種以上が挙げられるが、洗浄性を高める観点から、水酸化カリウムが好ましい。
洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、シリカ微粒子等の無機微粒子の分散性を向上させる観点から、9以上であると好ましく、9〜14であると好ましい。洗浄対象である被洗浄基板の表面が金属表面である場合、洗浄剤組成物のpHは9〜12であるとより好ましく、ガラス表面である場合、洗浄剤組成物のpHは11〜14であるとより好ましい。
各成分が上記好適な含有量の洗浄剤組成物は、そのままで好ましく使用できるが、濃厚組成物を製造し、該濃厚洗浄剤組成物を希釈してから用いてもよい。希釈倍率は、洗浄効率を考慮すると、好ましくは10〜500倍、より好ましくは20〜200倍、更に好ましくは50〜100倍である。希釈用の水は、成分Cと同様のものでよい。
以上説明した洗浄剤組成物の好適な具体例は、例えば、特開2007−291328に開示されている。
1.基板の洗浄性試験
1−1.基板の調製
アルミナ研磨材を含有するスラリーで予め粗研磨して得たNi−Pメッキ基板(外径:95mmφ、内径:25mmφ、厚さ:1.27mm、表面粗さ(Ra):1nm)をさらに下記研磨条件で研磨した。
<研磨条件>
研磨機:両面9B研磨機(スピ−ドファム(株)製)
研磨パッド:スエードタイプ(厚さ:0.9mm、平均開孔径:30μm、フジボウ(株)製)
研磨液組成物(コロイダルシリカスラリー)
コロイダルシリカ(平均一次粒径19nm) 7重量%
HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)
0.13重量%
硫酸 0.55重量%
イオン交換水 92.32重量%
pH=1.5
コロイダルシリカは、デュポン製で、D90/D50=1.4
なお、上記組成の研磨液組成物の調製は、特開2006-26885号公報の実施例2に基づいて行った。
本研磨:荷重 100g/cm2、時間 300秒、研磨液流量 100mL/min
水リンス:荷重 30g/cm2、時間 20秒、リンス水流量 約2L/min
1−2.工程I
上記のようにして得られた基板を、第1液に5分間浸漬させた。実施例1〜7、比較例1〜3では、ガラス製時計皿(内直径150mm、深さ12mm、内面がすり鉢状)内の第1液の液面に対して略水平に支持された状態の基板全体を、そのまま第1液に浸漬させ、かつ、略水平に支持された状態に保った。実施例8では、枚葉式小容量浸漬槽中の第1液の液面に対して略垂直に支持された状態の基板全体を、その状態のまま第1液に浸漬させ、その後、基板を斜めに傾けた。第1液の組成については表1に記載のとおりとした。また、実施例1〜7、比較例1〜3では、基板の浸漬中に、基板の両主面のうちの液面から遠い方の面(B面)に気泡が付着するように、第1液に1mlの気泡を注射器にて注入した(起泡処理)。なお、表1中の第1液のpHは、基板が浸漬されている時の値であり、第1液を20枚の基板に対して使用する間、変動しないように、水および/または酸を用いて、表1に示した値に維持した。
1−3.工程II
次に、第2液に基板を浸漬させた。第2液は、実施例1〜7、比較例1〜3では、浸漬槽1(内直径150mm、深さ12mm、内面がすり鉢状のガラス製時計皿)に第2液を60ml入れ、実施例8では、浸漬槽2(縦50mm、横100mm、深さ200mm、平底のガラス容器)に第2液を深さ150mmになるまで満たした。第1液から引き上げた基板を、基板の全表面が第2液に接触するように、表1に記載された浸漬時間だけ浸漬させた。なお、実施例1〜7、比較例1〜3では、第1液から引き上げた基板は、基板表面が乾燥しないように速やかに、かつ、気泡を巻き込むことなく、第2液に浸漬した。実施例8では、第1液から引き上げた基板を、基板表面が乾燥しないように速やかに、気泡を巻き込むことなく、かつ、第2液の液面に対して略垂直に支持された状態で、第2液に浸漬した。第2液の組成については表1に記載のとおりとした。
1−4.工程III
次に、基板をスクラブ洗浄装置にて以下の条件で洗浄した。
工程IIを経た基板を、第2液から引き上げた。そして、基板表面が乾燥しないように速やかに、以下の3段階で洗浄及びすすぎを行った。洗浄剤組成物の組成は表2に記載のとおりである。
1段目:基板を洗浄機にセットし、1段目のロールブラシ部へ搬送し、次いで、61rpmで回転している基板の両主面の各々に、396rpmで回転しているロールブラシを押し当て、25℃の超純水を基板の両主面の各々に1分間あたり1.2Lで射出しながら20秒間洗浄した。
2段目:さらに基板を、2段目のロールブラシ部へ搬送し、次いで、1段目のロールブラシ部と同様に、61rpmで回転している基板の両主面の各々に、396rpmで回転しているロールブラシを押し当て、25℃の超純水を基板の両主面の各々に1分間あたり1.2Lで射出しながら20秒間すすぎを行った。
3段目:その後、基板を超音波すすぎ部へ搬送し、61rpmで回転している基板の両主面の各々に、超音波(30W、950kHz)が付与された25℃の超純水を1分間あたり2.7Lで射出して、20秒間すすぎを行った。
乾燥:スピンチャックに保持されたすすぎ後の基板を、高速回転(3000rpmで)させて液切り乾燥を1分間行った。
2−1.洗浄性評価
1−4(1)〜(3)を経た基板表面について、以下の方法で評価した。
ディスク表面解析装置Candela6100(Tencor社製、KLA)のMODE Q−Phaseで、乾燥後の基板のB面の全面を観察し、観察視野内で観察されるシミの有無を調べた。この観察を20枚の基板についてそれぞれ行い、下記の評価基準に基づいて評価した結果を表1に示した。
<評価基準>
1:しみ無し。
0:しみの存在が認められる。
表1に示すように、酸性の第1液に基板を浸漬した後、第2液に基板の全表面が接するように、基板を第2液中に浸漬させてから、洗浄処理を行った場合、泡状のシミの発生が抑制され、より高度に清浄化されたハードディスク用基板が得られることが確認できた。なお、表2中の第2液のpHは、基板が浸漬されている時の値であり、第2液を20枚の基板に対して使用する間、変動しないように、水および/または酸を用いて、表1に示した値に維持した。
Figure 0005073475
Figure 0005073475
本発明のハードディスク用基板の製造方法によれば、高度に清浄化されたハードディスク用基板を製造できるので、メモリーハードディスクドライブについて、さらなる高容量化および小型化に対応できる。

Claims (5)

  1. Ni−P含有層を両最外層として有するハードディスク用基板の製造方法であって、
    研磨液組成物によって研磨されたNi−P含有層を両最外層として有する基板を、前記基板の搬送方向に沿って前記研磨液組成物を用いた研磨を行う研磨装置よりも下流側に配置された枚葉式小容量浸漬槽内に収容された第1液中に浸漬させる工程Iと、非イオン性界面活性剤と水溶性アミン化合物と水とを含有し中性またはアルカリ性の洗浄剤組成物で前記基板を洗浄する工程IIIと、前記工程Iの後、前記工程IIIの前に、第2液に前記基板の全表面が接するように、前記基板を前記第2液中に浸漬させる工程IIを含み、
    前記基板が浸漬されている時の前記第1液のpHが4〜7であり、
    前記基板が浸漬されている時の前記第2液のpHが1〜3.4であり、
    前記第2液中の酸は、硫酸,リン酸,硝酸,ホスホン酸、グリコール酸、シュウ酸、および有機ホスホン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸を主成分として含む、ハードディスク用基板の製造方法。
  2. 前記第1液が酸成分を含み、
    前記第1液中の前記酸成分が、前記研磨液組成物に含まれる酸成分に由来している請求項1に記載のハードディスク用基板の製造方法。
  3. 前記工程IIにおいて、前記基板を前記第2液中に浸漬させる時間が2分間以上である請求項1又は2に記載のハードディスク用基板の製造方法。
  4. 前記枚葉式小容量浸漬槽は、その容量が50〜100mlである、請求項1〜3のいずれかの項に記載のハードディスク用基板の製造方法。
  5. 前記枚葉式小容量浸漬槽は、直径が前記ハードディスク用基板の直径の1.1〜2.0倍の開口を有する請求項4に記載のハードディスク用基板の製造方法。
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