JP5072833B2 - ざ瘡の治療のためのアダマンチルメトキシジフェニルプロペン酸の使用 - Google Patents

ざ瘡の治療のためのアダマンチルメトキシジフェニルプロペン酸の使用 Download PDF

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Description

発明の分野
本明細書に記載する本発明は、非定型(atypical)レチノイドのクラスに属する物質のざ瘡の局所治療のための使用に関する。
発明の背景
ざ瘡は、青年期に一般に起こり、自然に治癒することがあるが、長期にわたり、化学物質、例えば、過酸化ベンゾイル、レチノイド、抗生物質および抗アンドロゲンによる特定の局所的または全身的治療を必要とすることが多い多機能障害である。
残念なことにかかる物質のなかには、副作用、例えば、発赤、皮膚の乾燥およびアレルギー反応を起こす可能性があるものがある。さらに、ざ瘡およびその他の皮膚疾患の治療における根本的な問題の一つは上皮層の通過であり、上皮層は薬剤の移入に対する天然の生理的障壁である。局所的薬理効果を得るために実際、局所適用が、媒体として用いられる軟膏、クリームまたはゲル中に製剤された有効成分の投与によって用いられる。
天然起源のリン脂質であるレシチンが、特定の美容用または医薬調製物において主成分または乳化剤として用いられている。構造的なものではないその機能は、有効成分の皮膚への輸送の点で機能的であり得る。レシチン (ホスファチジルコリン)と細胞膜の脂質成分との間の化学的類似性は実際、レシチンに基づく媒体が体に良好に耐用され得、同時に薬理作用を上昇させることを示唆している (Scartazzini and Luisi、1988 J. Physiol. Chem. 91、823-833)。
「ざ瘡」という用語は (ギリシャ語 akniが語源: 発疹)、青年期に現れ、脂漏および面皰の形成と関連している小胞状病巣をいう。それはおよそ 90%の青年が様々な程度で患い、そのなかの10%のみが医療介入を必要とし、後者の1%のみに解決困難な臨床的問題が現れる、非常に一般的な疾患である。
ざ瘡は、面皰、膿疱、小結節、嚢胞および瘢痕として様々に現れる毛嚢脂腺の慢性炎症である。
外観、経過、発症年齢および位置に関して多くの臨床的変動がある。もっとも一般的な形態は若年性ざ瘡であり、これは思春期に現れ、25歳付近で自然に解決するが、より後期に現れることもあり、30歳より後に再発したり回復したりすることもある(Kraning et al. 1979 J. Invest. Dermatol. 73、395-401)。
発症は一般に、典型的皮膚病巣: 面皰、丘疹、小結節および嚢胞の発達の年齢の間である。面皰は皮脂で膨潤した小胞であり、小胞の開口部が閉じている場合一般に「稗粒腫」と称され、小胞の開口部が開くと「黒色面皰」と称される;それらは鼻の周囲および鼻の上、額の上、耳の周囲および耳の中、そして最後に顎の上により高頻度に分布する。丘疹は面皰の炎症性合併症であり、様々な大きさの赤く盛り上がった領域として現れる。それらは数日間持続し、痕跡を残さない。膿疱は黄色がかった病巣であり、半球状の形状で膿がつまっており、丘疹よりもひどい。それらは2−3日間持続し、かさぶたの形成により外部に排出される。小結節は大きな固形物であり、しばしば圧力に対して痛く、炎症性浸潤物によって生じる。嚢胞は膿が詰まった大きな盛り上がった領域であり、触わられると非常に痛く、その他のざ瘡病巣が容易に瘢痕に代わるのに対し数週間変化せず維持され、外観が悪く、 ひどい痕が残ることがあるざ瘡の永久的な影響である。
ざ瘡の疾病原因に関与する主な病因は以下の通りである: 1) 皮脂腺の分泌過多; 2) 小胞状角質増殖; 3)小胞の細菌定着; 4)炎症工程の発症。
ざ瘡を有する対象は対照よりも多くの皮脂を分泌し、この因子がざ瘡の重篤度と相関しているようである。皮脂腺の発達および分泌活性は精巣、卵巣および副腎により産生される男性ホルモンにより制御されている。
テストステロンは皮脂腺の増殖活性に影響を与え、これらホルモンに対する高親和性の受容体およびテストステロンをその生理活性画分であるジヒドロテストステロンに変換することが出来る酵素 5-α-レダクターゼを有する。このホルモン因子は女性においては月経前期におけるざ瘡の周期的な発生に関与している。
小胞状角質増殖はざ瘡病巣の発達の基本的現象であり、部分的には表皮の増殖の上昇に起因し、部分的には角質細胞の脱落の遅延に起因する。結果は皮脂の排出を妨げる小胞の壁の肥厚であり、次いで停滞し、面皰を形成する。かかる状況下で、 Propionibacterium Acnesという、嫌気性細菌が発達および増殖する傾向にあり (Strauss et al.、1974 J. Invest. Dermatol. 62、321-325; Harris et al.、1983 J. Am. Acad. Dermatol. 8、200-203)、免疫応答を刺激する刺激性および面皰形成性の能力を有する遊離脂肪酸を産生する。最後に、炎症は毛嚢脂腺管から真皮への生理活性物質の移動に起因する。利用可能な治療は、細胞再構築および抗菌作用に関する場合、角質溶解および静菌治療にそれぞれ分けられる。
治療戦略は障害の重篤度に依存する。局所使用のための医薬が中程度から軽度の形態のざ瘡には好ましい。もっとも一般的なクリームは過酸化ベンゾイルに基づくものであり、その斑点を乾燥させ感染を阻害する。
現在入手可能なざ瘡の局所治療は3種類ある。それは作用機構の相違に基づく;面皰と微小面皰の数を減らすために剥離工程を遅らせる面皰溶解薬であるレチノイド; P. acnesの形成を直接殺傷することにより作用し、面皰形成にわずかに間接的効果も有する、殺菌活性を有する抗生物質;面皰性および炎症性病巣を同時に有する重篤な形態のざ瘡を患う患者のためのレチノイドと局所的抗生物質の両方を用いる併用療法。
特に重篤ではないざ瘡現象には、トレチノインとも称されるRetin-Aが、皮膚に直接適用される抗面皰薬である。ローションまたはクリームの形態におけるその作用は、角質溶解であり、即ち、それはケラチン形成の正常工程を修復し、面皰 (黒色面皰)の形成を妨げる。
新規な治療解決策についての皮膚科分野での研究が常になされている。現在入手可能なもっとも最近に生じた治療解決策は以下である:
1.ビタミンAの受容体と特異的に相互作用する合成産物であるタザロテン。ざ瘡に対してと同様に、それは乾癬の治療にも有効である;
2.アゼライン酸は欧州での研究において代替的な結果を生じ、抗微生物と角質化(keratinising)との幅広い二重作用により特徴づけられる;それは実際皮膚の色素沈着過剰の症例においても用いられている (Graupe et al.、1996、Cutis 57、20-35);そして、
3.レチノイド活性を有するナフトエ酸の誘導体であるアダパレン。これは角質化効果を有する細胞分化のモジュレーターであり、レチノイン酸より有効で刺激が少ない。これはDifferin(登録商標) として上市されており、面皰、丘疹および膿疱が多くある尋常性ざ瘡の局所治療に用いられている。
国際特許出願公開WO03/011808には、非定型(atypical)レチノイド酸と定義される新規クラスの化合物が記載されており、抗腫瘍用途を有すると記載されている。この出願に記載される化合物には、アダマンチル メトキシジフェニル プロペン酸 (ST1898)が含まれる。
発明の説明
本発明の主な目的はこの疾患についての参照として用いた動物モデルにおいてアダマンチル メトキシジフェニル プロペン酸が抗ざ瘡活性を有するという発見に関する。
この面皰溶解活性は同じ化学的クラス (プロペン酸のアダマンチルジフェニル誘導体)に属する物質についての規定された構造的参照が存在しないため予測できなかった。
本発明の主な目的はそれゆえ、ざ瘡の治療のための局所使用のための医薬用または美容用化合物の調製のためのアダマンチル メトキシジフェニル プロペン酸の使用である。
この化合物の式は以下の通りである:
Figure 0005072833
この化合物の化学合成は、国際特許出願公開WO03/011808 (特に実施例20参照)に記載されている。
本発明の別の目的はまた、その他の賦形剤および/または医薬上許容される媒体とともに活性成分としてアダマンチル メトキシジフェニル プロペン酸を含有する、ざ瘡の局所治療のための医薬または美容用組成物である。
「医薬上許容される」という語は、動物使用、より具体的にはヒト使用がthe pharmacopoeia (European、British or United States)によって認可されていることを意味する。
かかる賦形剤の例は以下の通りである: グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、アミド、ステアリン酸類、モノステアリン酸類、パルミチン酸類、グリセロール、水、エタノール、脂質、リン脂質、緩衝剤、例えば、リン酸脱水素ナトリウム(sodium dehydrogenate phosphate)、またはアンモニウム塩、それらの混合物など。
賦形剤または媒体のその他の例は、E. Martin、 “Remington's Pharmaceutical Sciences”に記載されている。
本発明の組成物は、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、スプレー溶液または徐放性パッチの形態に製剤することができる。本発明の組成物は好ましくはゲル形態にある。
より好ましくは本発明の組成物は、レシチンゲル、例えば、精製ダイズレシチンであるEpikuron 200TM、即ち、医薬産業用の、カラムクロマトグラフィーによりダイズ種子から精製されたろう様 ホスファチジルコリンである(92%を超える純度)。
本発明の組成物に存在する有効成分の量は本特許出願に報告する実施例およびその後の臨床試験に基づいて容易に計算できる。本発明の組成物は好ましくは100 mgのレシチンゲル当たり0.1 mgの有効成分を含有する。
本発明を以下の実施例により説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
図面の説明
図1はリノ(rhino)マウスの皮膚の上のST1898 (製剤1)の局所治療による効果を示す。この治療は、卵形嚢/偽面皰(pseudocomedo)の数、大きさおよび角質含量の低下、ならびに皮脂腺の形態に対して非常に顕著な効果を有しており、これはより萎縮した (図中の矢印)。非処理マウスと比較しての表皮 (B)の肥厚化も特に明確であった (A)。さらに処理リノマウスの皮膚は毛包のカタジェニック期に欠損を示し誕生6週目に毛が完全に喪失しており、いわゆる卵形嚢/偽面皰の発達を伴っており(図1におけるC)、それは「保持性(持続性(retentional))」のざ瘡病巣と組織学的に類似した開いた面皰のモデルを表す。リノマウスの皮膚は皮脂腺の萎縮(図1の矢印)および真皮の深部における嚢胞の存在も特徴としていた (図1の星印、皮膚のもっとも表層部分のみを示す画像であるため部分的にのみみえる)。
実施例
実施例 1. オルガノゲルの調製および特徴決定
以下を次の調製に用いた:レシチン、ダイズ種子抽出物 (Epikuron 200 TM)、パルミチン酸イソプロピル、アスコルビン酸、モリブデン酸アンモニウム、ヨウ素結晶、テトラメチルアンモニウムホスフェート、脱色性炭素およびリン酸脱水素ナトリウム(sodium dehydrogen phosphate)。さらに、クロロホルム、塩化メチレン、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド (DMSO)およびアンモニア水溶液 (30%)。
参照脂質 POPC (1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン)をAvanti Polar Lipids (Canada)から得てさらに精製せずに用いた。
有効成分であるアダマンチルメトキシジフェニルプロペン酸 (ST1898) はSigma-Tau (Pomezia、Rome)が合成および精製した。
ゲル調製方法
レシチン溶液をレシチンの重量パーセンテージに応じて数分間または数時間40-50 ℃で磁気で撹拌することによってパルミチン酸イソプロピル (IPP)中にレシチンを溶解することによって調製した。各溶媒-レシチン系は、少量の水の添加後にゲルを生成し、一般にw0と表すのは、式 1に従って水とレシチンとの間のモル比を示す:
Figure 0005072833
式1
ゲルが形成すると、水は完全に有機相に分散し、この現象は一般に、レシチン濃度、磁気による撹拌および用いた溶媒の性質に依存する。本研究において用いた条件下で、レシチン/IPP 溶液のゲル化は数秒から数分の範囲の時間間隔で起こった。
実施例 2. ST1898の組成物の調製- 製剤1
ゲル相におけるST1898製剤(Formulate)の調製
必要量の ST1898およびEpikuron 200 レシチンをIPP (ST1898: 0.1%、レシチン 47%、IPP 52.9%)に溶解し、溶液を磁気による撹拌下で溶解が完了するまで必要な時間(2-12 時間、レシチン濃度に依存) 60-70℃の温度で放置した。
溶媒 IPPを含むすべての成分を、重量測定法で測定した。実用的な理由で(薬剤の完全な溶解)、レシチン/IPPの溶液を調製し、次いで薬をこの有機相に溶解させるのが有用であった。この工程の後初めて、ゲル化に必要な量の水を添加した。レチノイドの光感受性を鑑みて容器をアルミ箔で被覆することにより遮光した。溶液がすぐに均一にならない場合、穏やかに溶液を照射した。Hamilton 微量注射器を用いて添加した水の体積は、式 2にしたがって計算した:
Figure 0005072833
式2
ここで、VH2Oは加える水の体積(ml)、mEP200 はEpikuron 200 レシチンの量(g)および w0は水とレシチンとの所望のモル比を表す(式1参照)。
実施例 3. 分析手順
UV-Vis 分析
UV-Vis 分光光度法を溶媒 DMSO に溶解した、およびレシチン/IPP ゲル相に組み込まれた、両方のレチノイド ST1898を定量的に特徴決定するために用い、ここで2 nmの分解能のダイオードアレイ分光光度計 (Agilent HP8452A)、1 cm 石英キュベットを用いた。レチノイド ST1898を含有するオルガノゲルのキュベットへの移動には、物質の高粘度により温度の上昇(およそ 60℃)が必要であり、次いで分析を行うための冷却を行った。
HPLC 分析
DMSOに溶解した、およびゲル相に組み込まれた、両方のレチノイド ST1898のHPLC 分析は、UV-Vis ダイオードアレイ検出器およびHP ChemStation ソフトウェアを備えたHPLC HP1050装置(Agilent)を用いて行った。薬剤の定量分析のための手順には、逆相Nucleosyl C18 カラム、3 m (粒子寸法)、125x4 mm; 流速1.5 ml/分; 注入体積5 μl (かかる条件下で定常圧力およそ140バール(bar)が記録された)での均一溶媒溶出 (体積比 80/20のメタノール/水、0.2%のTFA含有)が含まれた。検出は分光光度法により、吸光度 (330 nm)を利用した。典型的な条件は 5 μlのDMSO中のST1898溶液の注入である。観察された保持時間はおよそ8 分であった。
レシチン/IPP ゲル相に組み込まれた薬剤 ST1898の分析には、クロマトグラフィーカラムに注入しうるためにマトリックスの粘度を低下させるためのクロロホルムによる予備的希釈が必要であった。最大溶解度測定相において、遠心分離を分析すべきゲルのサンプルを採取する前に行った。溶出条件は、レシチン濃度にしたがって溶出液流速を最適化したが(例えば: 1.5 ml/分) 上記報告と同様であった。
クロロホルム中に好適に希釈されたIPP (w0 = 3)中のEpikuron 200 レシチン 42% w/w (およそ800mM)のオルガノゲル中のST1898 0.2%(w/w)の注入について典型的な条件を提供した。
分光蛍光分析による検出によるHPLCでの定量
蛍光定量的検出器 (λex = 330 nm、λem = 475 nm)を備えたHPLC 装置 (System Gold、Beckham)により逆相 Lichrosher 100 C18 カラム、5 μm (粒子寸法)、125 x 4 mm; 流速1.0 ml/分; 注入体積10 μlでの均一溶媒溶出 (体積比 80/20のメタノール/水、0.2%のTFA含有)を用いて分析を行った。典型的な条件にはTHF中のST1898の10 μlの溶液の注入が含まれた。観察された保持時間はおよそ16.5 分であった。
実施例 4.リノマウス(Rhino Mice)における表皮偽面皰に対するST1898 (製剤1)の面皰溶解作用
研究に用いた動物モデル
リノマウス (hrrhhrrh) は、無毛マウスのアレル(allele)であり、非炎症性ざ瘡のための実験動物モデルである。この動物において、毛の第一の被覆の後、退行期の障害の結果、4週齡において早発性の不可逆的な脱毛が起こる。小胞はそれ自体再構築できない。その代わり、元々の小胞単位の低部が角質産生嚢胞へと発達し、それは真皮深部に永久的に存在するようになり、動物の加齢にともなって拡大する。一方、元々の皮脂嚢胞管(pilary canals) (元々の小胞単位の上部) は膨大した(膨大形態(ampulliform)) 腔または卵形嚢へと変換する。かかる卵形嚢は角質細胞と皮脂で満たされており、角質材料(horny material)の産生と蓄積により徐々に大きくなる。組織学的には、それらは典型的な持続性(retentional)ざ瘡性病巣または面皰に似ている。しかしそれらは、裸眼では見えず、指の間を用いて絞り出すことは出来ない。ヒトにおけるざ瘡のように、卵形嚢の形成および拡大にしたがって皮脂腺は徐々に縮む。最終的には、リノマウスの皮膚は弾性繊維の不足のために、たるみ、ゆるんでいるようにみえる。それゆえ、成体リノマウスの皮膚は、元々の小胞単位の漏斗領域に由来する卵胞嚢(utricoli)を特徴とする。これらは組織学的には持続性(retentional)ざ瘡病巣、即ち、微小面皰に似ている。リノマウスはそれゆえ、過去30年にわたって、局所的および程度は低いが全身的に投与されるざ瘡の治療のための新規薬剤の面皰溶解活性の試験を目的とするインビボ プロトコールにおいて用いられてきた。
様々な抗ざ瘡薬、具体的には局所投与されるレチノイドのリノマウス皮膚に対する面皰溶解作用が70年代に定性的組織学的方法を用いてまず報告され、それらは以下を示した: 1)よく発達した皮脂腺を伴う、短い、狭い、非過形成性皮脂嚢胞管における卵形嚢/面皰の一部の形質転換、2)長いストレッチの正常の外観の表皮を残した卵形嚢の一部の完全な退縮、3)表皮の厚さの上昇、4)真皮深部嚢胞に対する無効果。これらの改変は、レチノイド(例えば、全トランス-レチノイン酸またはアダパレン)による局所治療の1週間後に現れ始め、最大3週間後まで続いた。
現在、面皰溶解活性の評価および測定のための局所的面皰溶解薬のスクリーニングにおいてもっとも広く使用されている技術は、3週間の処理期間の最後に得られる皮膚組織診からのリノマウス皮膚切片の定量的組織学的画像分析である。いくつかの顕微鏡測定により、以下のパラメーターの計算が可能となる: 角質層1cm長さ当たりの表皮卵形嚢(面皰) の総数、面皰の形態学的側面の尺度を与える面皰プロファイル(即ち、膨大形態(ampulliform) 対狭部(narrow))、および表皮の厚さ。
本発明をもたらした本研究によると、実験開始時の体重が18-22 gである5-6 週齡の雄性リノマウス (RHJ/LeJ)、(バッチ番号2004256 誕生日 28/07/2004)および雌性リノマウス (バッチ番号 2004257、8匹は誕生日 11/08/2004 および7匹は誕生日 21/07/2004)を Charles River Italy S.p.A.から得て、makrolon ケージ(26.7 x 20.7 x 14 cmの大きさ)で飼育した;各ケージに対してラット1匹とし、ケージにはフィルターつきのプラスチックカバーおよび1lの無菌おがくずの上に板が備えられていた。
飼料および水は自由に与えた。各ラットの毎日の食餌には研究の全期間について飼料 (GLP 4RF21、Mucedola company)が含まれていた。動物の飼料および水の分析証明書は Sigma-Tauにより提供された施設で維持されていた。
動物を12 時間の明暗周期 (7.00-19.00:明期)で飼育した。
動物室のパラメーターは以下に設定した: 温度22±2℃、相対湿度55±15%、エアフィルター15-20 時間毎に交換。
環境条件をモニターし、データは、Animal Housing Archivesに保持した。
それぞれ6 動物からなる2 群を作った。
Sigma-Tau 実験室において動物を使用するための許可はMinistry of Healthから得た。動物の管理および使用はEuropean Directives Nos. 86/609 およびItalian Regulatory system (Legislative Decree No. 116、Art. 6, 1992年1月27日)にしたがった。動物の処置に関する研究の各部分はSigma-Tauの家畜部により認可された。
無作為化
動物飼育員が無作為にマウスを箱からケージに移した。各ケージは次いで処理のタイプを示すカードで標識した(用いた物質、用量、投与経路および動物のID番号)。
処理
動物を、1日1回、1週間当たり5連続日、3週間(Sigma-Tau 実験室にて) 50μl 体積 マイクロピペットを用いて用量を決めた被験化合物を背部に45秒間局所適用することによって処理した。適用した化合物は: 媒体 (製剤1:パルミチン酸イソプロピル中46.9% w/w (およそ 800 mM)のEpikuron 200 レシチンのオルガノゲル、w0 = 3) 中ST1898 0.1% および非処理動物であった。
記録のタイプおよび頻度
動物は、挙動および局所および全身症候の両方に特に注意を払って毎日、処理の前および後に、実際に観察し、死亡はすべて確認および記録した。さらにすべての動物は各被験化合物および媒体による処理の前に体重測定した。
組織細胞診
処理の最後の3日後、各マウスを頸椎脱臼により屠殺し、毛を動物の背部から除去した。組織診を処理領域の6 mm 穴を用いて採取し、10% 緩衝ホルマリンで固定し、パラフィン包埋した(固定および70% エタノール処理はSigma-Tau 実験室で行い、パラフィン包埋 はBMC Laboratory、IDIで行った)。3 μm の厚さで150 μm 離れた3 切片を各組織診から得てヘマトキシリン・エオシン染色により染色した。
組織学的検査および画像分析
20x 拡大率のKS300.3 顕微鏡、(Zeiss、Jena、Germany)を用いて、形態計測分析および以下のパラメーターの定量的顕微鏡評価を行った:
*角質層の単位長さ(cm)当たりの卵形嚢/偽面皰の数;
*卵形嚢/偽面皰の最大直径(D);
*卵形嚢/偽面皰の開口部の直径(d);
*毛包間表皮の面積(S)および同面積における表皮の基底層の長さ (L) 。
面皰のプロファイルはr = d/D および表皮の厚さはS/L(μm)として表した。
データの評価
得られたデータの統計分析、より正確には、動物の異なる各群の比較からのデータ間の比較は非対応データについてのノンパラメトリック Mann-Whitney検定を用いて行った。
この製剤ゲル(製剤1-レシチン/IPP 47/53 w/w中ST1898 0.1%; w0 =3) をインビボ実験に用いると、リノマウスへの局所治療の後の被験物質の強力な面皰溶解活性の記録が可能であった。
結果:リノマウスの表皮卵形嚢/偽面皰に対するST1898 (製剤1)およびアダパレンの抗面皰溶解作用
文献によると、面皰溶解および表皮の肥厚を誘導するレチノイドの能力は知られており、この効果は、リノマウスの皮膚における表皮細胞の過剰増殖(即ち肥厚化) に起因する(Kligman L. H. and Kligman A. M.、1979 J. Invest. Dermatol. 73、354-8; Mezick、et al、1984 J. Am. Acad. Dermatol. 11、902-4; Ashton、et al、1984 J. Invest. Dermatol. 82、632-5)。
この研究計画に使用したインビボモデルはリノマウス (hrrhhrrh)であり、これは毛を有さないマウスに関する対立形質であり(hrhrhrhr)、非炎症性ざ瘡のための実験動物モデルを表す。このモデルは20年間にわたって局所適用および全身投与された抗ざ瘡化合物の治療効力、具体的には面皰溶解効力の評価に用いられてきたものである。このリノマウスは様々な皮膚変化を呈し、毛包のカタジェニック期の欠損が含まれ、これには生存の第6週目までに毛の完全な喪失、およびいわゆる卵形嚢/偽面皰の発達が伴い (図1中C)、これは「持続性(retentional)」ざ瘡病巣に組織学的には類似する開いた面皰のモデルを表した。リノマウスの皮膚はまた、皮脂腺の萎縮(図1中矢印)および真皮の深部における嚢胞の存在 (図1中星印、画像は皮膚のもっとも外側部分を示すのみなので部分的にのみ見ることが出来る) を特徴としていた。
局所適用されたST1898 (製剤1)は、ざ瘡の治療のために薬理学的に有用な特徴を有しており、面皰溶解および抗炎症作用を備えており、面皰の数の減少を導いた。ST1898はそれゆえざ瘡病態が大幅に変化している角質化および炎症の細胞分化プロセスのモジュレーターとして作用していた(図1)。
図 1から理解できるように、ST1898 (製剤1)によるリノマウスの皮膚の局所治療は、卵形嚢/偽面皰の数、大きさおよび角質含量の低下 (表1)、ならびにより萎縮した皮脂腺の形態(図中矢印)に対して非常に顕著な効果を有していた。非処理マウス(A)と比較した表皮の肥厚化(B)も特に明確であった。
表1.雄性および雌性リノマウスの皮膚についての表皮パラメーターの画像分析
Figure 0005072833
データは平均±SDを表す。
*P<0.05および**P<0.01は非処理群との比較である(Mann-Whitney)。
a cmで表した角質層の長さ当たりの面皰の数
ざ瘡の局所治療の後に薬剤の面皰溶解効果と直接相関していたパラメーターは rである (表1) (Mezick、et al、1984 J. Am. Acad. Dermatol. 11、902-4;; Bouclier、et al.、1991 Skin Pharmacol. 4、65-73): rが1以上である場合、被験化合物は典型的なざ瘡病巣の数の減少によって示される面皰溶解効果を有する。
非処理マウス群によって表される対照と比較すると、このパラメーターの値はST1898 (製剤1)によって変化することが理解でき、rが 1である値の場合に閉じた面皰から開いた面皰への変化を生じ、強い面皰溶解効果を示す。さらに、ヒストグラムにおいて、表皮の厚さを記載するパラメーターはST1898による処理の後、上昇することが理解できる。
実施例 5 ST1898の組成物 製剤2の調製-ゲル相におけるST1898製剤の調製
処方: 媒体中ST1898 0.1および0.05 %。
媒体: カルボマー 980、プロピレングリコール、ポロキサマー、エデト酸二ナトリウム、ヒドロキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、水酸化ナトリウムおよび精製水)。
陰性対照: 非処理。
アダパレン (Differin ゲル (登録商標)) を参照化合物 (0.1%)として用いた。
実施例 6.リノマウスにおける表皮偽面皰に対するST1898 (製剤2)の面皰溶解作用
Sigma-tau 実験室において動物を使用する許可はItalian Health Authorityにより得た。動物の世話および飼育はEuropean Directives no. 86/609、およびItalian DL 116、1992年1月27日にしたがった。本研究の動物の世話に関するすべての部分は公式sigma-tau 獣医により認められたものである。
動物への給餌および飼育
マウス (Charles River Italy S.p.A. Jackson Laboratory)を鉄製のグレーチングぶたおよび粉砕および滅菌した無塵ベッディングコブのおがくずのベッド枠を備えたmakrolonのケージ (26.7 x 20.7 x 14 cm)(1 マウス/ケージ)内で飼育した。動物を明暗周期下で、温度および湿度を一定に維持して飼育した。動物室のパラメーターは以下の通りと評価された: 温度22±2 ℃、相対湿度55±15%、約 15-20回のろ過空気換気/時間および12 時間の人工照明概日周期(7 a.m.、7 p.m.)。環境条件をモニターした; データはAnimal Housing Archivesに保持した。
食餌および水供給
飲料水は自由に与えた。各マウスには研究の間に渡って毎日完全ペレット飼料 (GLP 4RF21、Mucedola)を与えた。動物の飼料および水の分析証明書はSigma-Tau 敷地内にて保持した。
研究計画 - マウスの処理
15匹の雄性および15匹の雌性 (6-8 週齡)の、30匹のリノ(rhino) (RHJ/LeJ) マウス (Jackson Laboratory)を6 マウス/群に分けた。2群はST1898 (製剤2) (媒体中0.1% および0.05%)で処理し、1群は参照化合物 (0.1%)として用いたアダパレン (Differin(登録商標) ゲル)で処理し、1群は媒体で処理した(Differin(登録商標) ゲルの同じ処方: カルボマー 980、プロピレングリコール、ポロキサマー、エデト酸二ナトリウム、ヒドロキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、水酸化ナトリウムおよび精製水)。
1群は非処理(対照)とした。薬剤(50 μl)を滅菌手袋の指で背部皮膚に局所的に(30-45秒のマッサージ)、1日1回、連続5日間/週 (土曜日曜を除く) 3日間適用した。最後の適用の3日後、マウスを頸椎脱臼により屠殺した。2つの皮膚パンチ組織診(6 mm)をすべての屠殺した動物の死後すぐに採取した。組織診をホルマリン固定 (10% 緩衝ホルマリン溶液)およびパラフィン包埋した。
死後検査
定量的組織学的画像分析を角質層1cm長さ当たりの表皮卵形嚢 (面皰)の総数、面皰 プロファイル、および表皮厚さとして評価した。1つの組織診から、3つの3-μm 厚さの皮膚切片を150 μm間隔で得て、ヘマトキシリン・エオシン染色した。第2の組織診は記録のために保存して維持した。
染色した皮膚切片のコンピュータを使った形態計測分析を Zeiss KS300.3システム(パラメーターn. 1、3 および4)を用いて行った。角質層の全長測定のためにマイクロメーター装置を用いた。以下の顕微的パラメーターを測定した:
1)各開いた表皮卵形嚢/面皰について、最大直径または半深直径(D)および表面開口部の直径(d)、
2)角質層の全長として採取した3切片の長さ、
3)3切片における表皮卵形嚢/面皰の総数、
4)毛包間領域において、表皮表面 (S) および対応する基底層の長さ(L)。
これらのデータから以下の平均(+/- SD) 値を各群の動物について計算した:
1)卵形嚢数/ (面皰)/角質層長さ (cm);
2) r=d/Dとして算出した面皰プロファイル、
3) S/Lとして算出した表皮厚さ(□m)。
被験物質の投与
50 μlの、手袋の指での背部皮膚への局所適用(30-45秒間のマッサージ) を行った。処理は1日1回、連続5日間/週 (土曜日曜を除く)、3週間行った。
データ分析
統計分析は異なる群の動物から得たデータを比較するために両側スチューデントt検定を用いて行った。
p 値 (P)が 0.05以下に達した場合に有意差であるとみなした。
その他の統計学的方法も必要と考えられた場合には用いた。
結果
処理の間、マウスの体重をマウスの健康状態を管理するために記録した。体重の有意な変化はみられなかった (表2)。
ST1898 (製剤2)で処理したリノマウスおよび対照マウスの分析結果を表2および図1-8に報告する。非常に関連性のある知見を以下に要約する。
組織学的分析
5群のリノマウスからの組織学的標本の分析は以下を示した:
a)媒体処理の、卵形嚢(utricoli) (面皰)数および形態および表皮の形態および厚さに対する非処理皮膚と比較しての効果は無かった。多数の、角化細胞で満たされた膨大した面皰がすべての標本で観察された。皮脂腺は顕著に萎縮しているようであった。非処理および媒体処理マウスのわずかな毛包間表皮は1層の基底細胞、2−3層の有棘細胞および1層のケラトヒアリン顆粒を含む顆粒細胞から構成されていた。角質層は厚く、緩く構成されているように見え、特徴的な「バスケット波(basket wave)」外観を有していた。
b)ST1898で処理したマウスの皮膚において面皰の数が大幅に減少した。かかる効果は、ST1898処理マウスおよびアダパレン-処理マウスにおいて同等であるようであった。活性化合物処理動物のすべてにおいて、ほとんどの小胞は狭部皮脂嚢胞管となり、角質材料(horny material)の蓄積を示さなかった。さらに、顕著に膨大した皮脂腺が小胞管に連結していた。
c) ST1898-処理およびアダパレン-処理マウスにおいて毛包間表皮が肥厚化した。具体的には、毛包間表皮は1層の基底細胞、3-6層の有棘細胞および大きなケラトヒアリン顆粒を多数含む3-5層の顆粒細胞から構成された。角質層はより小さくなり、特にそのより低い部分において小さくなっていた。注目すべきなのは、表皮肥厚化はST1898-処理マウスと比較してアダパレン-処理マウスの皮膚においてより顕著に現れた。さらに、中程度の真皮リンパ球浸潤物がすべての活性化合物処理動物で観察された。
形態計測分析
面皰の数。角質層1cm当たりの面皰の数は非処理マウスと媒体処理マウスで同程度であった。
この値はST1898 0.1% および0.05%-処理マウスにおいて非処理および媒体-処理対照と比較して大幅に低下していた(p 値 < 0.0005)。 面皰の数は0.05% ST1898-処理マウスに対して0.1% ST1898-処理マウスの方が有意に少なかった(p 値 < 0.005)。ST1898 0.1% およびアダパレン 0.1% は同等の効果を示した(p 値 = 0,288626)。
面皰プロファイル。面皰プロファイルの分析により0.1% ST1898-、0.05% ST1898-およびアダパレン-処理マウスにおいて非処理および媒体処理対照マウスと比べてr 値に非常に有意で、同程度の上昇が示された(p 値 < 0.0005)。非処理および媒体処理対照群は同程度の値を示した。
表皮厚さ。表皮厚さはST1898 0.1%-、ST1898 0.05%- およびアダパレン-処理マウスにおいて対照マウスの両群と比べて有意に上昇していた (p 値 < 0.0005)。非処理および媒体処理マウスは同程度の値を示した。表皮厚さは0.1% ST1898 (p 値 < 0.05)またはアダパレン (p 値 < 0.005)処理マウスと比較してST1898 0.05%-処理マウスにおいて高かった。アダパレン-処理マウスは0.1% ST1898 処理マウスと比較すると有意により厚い表皮を示した(p 値 < 0.05)。
結論
3週間(1日1回、5日/週) レチノイド ST1898で局所処理したリノマウスの分析により、使用した両方の濃度(0.1%および0.05%)でST1898は以下の(i)および(ii)により評価して面皰溶解および抗面皰活性を示した。(i)非処理または媒体-処理マウスと比較して面皰の数が顕著に減少している、(ii)狭い(narrow)面皰が大幅に上昇している (r 値の上昇)。
ST1898は面皰数およびプロファイルの両方に対して、同濃度(0.1%)で投与した場合、参照化合物であるアダパレンによって惹起されるものと同様の効果を示した。
ST1898の効果は用量関連性であり、面皰の数の減少および表皮肥厚化の誘導についての0.05% ST1898の有効性は0.1% ST1898よりも低かった。
さらに、表皮肥厚化は参照化合物処理と比較してST1898 0.1% 局所治療の後に顕著に低下しており、 ST1898の使用が現在入手可能な局所的レチノイドよりも有利である可能性を示した。
表2. qdx5/wx3wスケジュールにしたがって ST1898 (製剤2)またはアダパレンで処理されたリノマウスの体重および死亡率
Figure 0005072833
マウスを最後の処理の3日後に屠殺した。ST1898 (製剤2)について使用した媒体はDifferin ゲル (カルボマー 980、プロピレングリコール、ポロキサマー、エデト酸二ナトリウム、ヒドロキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、水酸化ナトリウムおよび精製水)と同じであった。
*1匹のマウスを体重が低いため処理の開始前に研究から除外した。
ST1898 (製剤2)処理および対照マウスの皮膚の形態計測分析
(結果は平均値 ± SDとして表す)
表 3.1
Figure 0005072833
P 値 0.1% ST1898 vs 0.05% ST1898 = 0.003182**
P 値 0.1% ST1898 vs アダパレン = 0.288626
P 値 0.05% ST1898 vs アダパレン = 0.000213***
表3.2
Figure 0005072833
P 値 0.1% ST 1898 vs 0.05% ST1898 = 0.794536
P 値 0.1% ST1898 vs アダパレン = 0.517798
P 値 0.05% ST1898 vs アダパレン = 0.792654
表 3.3
Figure 0005072833
P値 0.1% ST1898 vs 0.05% ST1898 = 0.020697*
P 値 0.1% ST1898 vs アダパレン = 0.006037*
P 値 0.05% ST1898 vs アダパレン = 0.001479**
* = p<0.05 ; ** = p<0.005; *** = p<0.0005
図1はリノ(rhino) マウスの皮膚の上のST1898 (製剤1)の局所治療による効果を示す。この治療は、卵形嚢/偽面皰(pseudocomedo)の数、大きさおよび角質含量の低下、ならびに皮脂腺の形態に対して非常に顕著な効果を有しており、これはより萎縮した (図中の矢印)。非処理マウスと比較しての表皮 (B)の肥厚化も特に明確であった (A)。さらに処理リノマウスの皮膚は毛包のカタジェニック期に欠損を示し誕生6週目に毛が完全に喪失しており、いわゆる卵形嚢/偽面皰の発達を伴っており(図1におけるC)、それは「保持性(持続性(retentional))」のざ瘡病巣と組織学的に類似した開いた面皰のモデルを表す。リノマウスの皮膚は皮脂腺の萎縮(図1の矢印)および真皮の深部における嚢胞の存在も特徴としていた (図1の星印、皮膚のもっとも表層部分のみを示す画像であるため部分的にのみみえる)。

Claims (4)

  1. 有効成分としてアダマンチルメトキシジフェニルプロペン酸を、その他の賦形剤および/または医薬上許容される媒体とともに含む、ざ瘡の治療のための局所に使用される医薬または美容用組成物。
  2. ゲル形態にある請求項組成物
  3. レシチンを媒体または賦形剤として含む請求項1または2の組成物
  4. 100 mgのゲル当たり0.1 mg のアダマンチルメトキシジフェニルプロペン酸を含む、請求項1〜3のいずれかの組成物
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