JP5071393B2 - プリコート型脱水処理装置及びプリコート型脱水処理装置のプリコート層の除去方法 - Google Patents
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Description
図5に示すように、プリコート型脱水処理装置101は、汚水105(汚泥と水分)を一時貯留する濾過槽106と、汚水105を吸引する回転ドラム102とを有している。また、この回転ドラム102の外周に濾布103が巻き付けられ、濾布103の外周に濾過助剤がプリコートされたプリコート層104が形成されている。
また、回転ドラム102は通水性を有し、その回転軸が水平になり、また濾過槽106内の汚水105にその一部が浸漬するように配置されている。
このようにして汚水105を脱水していくと、プリコート層104は汚泥を吸着するため、プリコート層104中に固形物が浸透し、さらにその外周に堆積層108が形成される。
このような堆積層と一緒に削ぎ落とされてしまうプリコート層を有効再利用することを目的として、プリコート層に吸着した堆積層の表層部の切削と、プリコート層中に浸透した固形物をプリコート層とともに切削することとを分けて実行する汚泥脱水方法が開示されている(特許文献1参照)。
すなわち濾布103の交換において、回転ドラム102内の減圧を解除した後、作業者の手作業により濾布103の取り外しが行われるが、この際、プリコート層104を事前に除去しなかった場合、大量のプリコート層104が濾過槽106内に脱落し、それがプリコート層104の再形成後の運転時には汚泥となり運転が不安定となり、更には配管等の詰まりが生じるという問題が発生するため、プリコート層104を事前に除去する必要があった。また、プリコート層104を事前に除去せずに洗浄を行った場合にも同様の問題が生じる。
このように、前記カッターが、前記堆積層のみならず前記プリコート層の表面の一部を除去できるものであれば、プリコート層の除去時間をより確実に改善することができる。
このように、前記ブラシの送り速度が2mm/min以下であれば、濾布及び回転ドラムへの損傷をより確実に抑制することができるものとなる。
このように、前記ブラシの形状が、複数のブラシ部材が円形部材の外周上に放射状に形成されている形状であれば、濾布及び回転ドラムに損傷を与えることなく、効率的にプリコート層を除去することができる。
このように、前記プリコート層を前記ブラシに接触させて除去する前に、前記プリコート層の表面の一部を前記カッターで除去すれば、プリコート層の除去時間をより確実に改善することができる。
このように、前記ブラシの送り速度を2mm/min以下とすれば、濾布及び回転ドラムへの損傷をより確実に抑制することができる。
このように、前記ブラシとして、複数のブラシ部材が円形部材の外周上に放射状に形成されている形状のブラシを用いれば、簡単な構成で濾布及び回転ドラムに損傷を与えることなく、効率的にプリコート層を除去することができる。
従来のプリコート型脱水処理装置において、例えば濾布の洗浄や交換等のためにプリコート層を再形成する際、事前にプリコート層を除去していた。そして、プリコート層を除去する際には、濾布及び回転ドラムの損傷を防ぐため、カッターで濾布の近傍までプリコート層を除去し、残った約10mm程度のプリコート層を作業者による手作業により除去していた。
図1に示すように、プリコート型脱水処理装置1は、汚水5を一時貯留する濾過槽6と、汚水5を吸引する回転ドラム2とを有している。この回転ドラム2は通水性を有し、回転軸が水平になるように設置されている。また、濾過槽6内に汚水5を供給することで回転ドラム2の一部が汚水5に浸漬するようになっている。
また、この回転ドラム2の外周に濾布3が巻き付けられ、濾布3の外周に濾過助剤がプリコートされたプリコート層4が形成されている。ここで、濾布3は繊維質のものとすることができる。
まず、濾過助剤の調整用槽(不図示)に、例えば珪藻土を主成分する濾過助剤と水を入れる。そして、これらをかき混ぜた液を汚水5が入っていない状態の濾過槽6に供給し、回転ドラム2の一部に浸漬させる。この状態で回転ドラム2を回転させ、回転ドラム2の内部を減圧することで濾過槽6に供給した濾過助剤と水との混合液を吸引し、濾布3の外周に濾過助剤を吸着させてプリコート層4を形成する。ここで、形成するプリコート層4の厚さは特に限定されないが、例えば、40〜100mm程度とすることができる。
このようにして汚水5を脱水していくと、プリコート層4は汚泥を吸着してプリコート層4中に固形物が浸透し、さらに、図2(A)に示すように、プリコート層4の外周に堆積層8が形成される。
このようにして汚水5の脱水、堆積層8の除去を繰返していくと、堆積層8をカッター7で除去する際にプリコート層4の表面の一部が堆積層8と一緒に削ぎ落とされてしまうため、次第にプリコート層4の厚さが薄くなっていく。そのため、例えば上記したようなプリコート層4の形成方法を用いてプリコート層4の再形成を行う必要がある。
図1に示すように、本発明に係るプリコート型脱水処理装置1には、このプリコート層4を除去するためのブラシ13が設置されている。
このブラシ13は、送り機構14によりプリコート層4の方向に前後動させることができるようになっている。
図3に示すように、送り機構14を、例えばリニアガイド16とボールネジ17などで構成することができる。また、ブラシ13は回転モータ15の駆動力により、回転ドラム2の回転軸と平行な軸周りに回転可能となっている。
この回転モータ15には、回転数を可変にすることができる装置(例えばVVVF)を設けることができ、送り機構14には、送り位置の制御及び送り速度の制御が可能であるサーボモータ18を設けることができる。さらに、制御装置を設けて、ブラシ13の回転数の制御、送り機構14の送り位置の制御及び送り速度の制御を予めプログラミングしておき、自動化できるようにしても良い。
そして、回転ドラム2を回転させた状態で、ブラシ13を回転させながら送り機構14でプリコート層4の方向に送り出すことによって、プリコート層4をブラシ13に接触させてプリコート層4を除去することができるものとなっている。
また、繊維質の濾布3は必ずしも外周が均一に配置されていない可能性もあり、例えばブラシ13の送りを濾布3の手前0.5mm付近で停止させるようにして濾布3へのブラシ13の接触をより確実に抑制するようにしても良い。この場合、若干のプリコート層4が除去されずに残るが、0.5mm程度であれば、上記したような濾布3の洗浄、交換の際のプリコート層4の脱落による問題が発生することもない。
また、図1に示すように、ブラシ13は除去されたプリコート層がカッター7上から搬送コンベア11で回収できるようにカッター7の上部に設置することできる。
図2(B)に示すように、カッター7が、堆積層8のみならずプリコート層4の表面の一部4aを除去できるものであれば、ブラシ13よりも早くプリコート層を除去できるカッター7で、プリコート層4の表面の一部4aを除去し、残りの濾布3近傍の部分4bをブラシ13で濾布3及び回転ドラム2に損傷を与えないように除去することができ、プリコート層4の除去時間をより確実に改善することができる。また、脱水を繰返し行っていくとプリコート層4中に浸透した固形物による目詰まりが発生するが、カッター7によりプリコート層4の表面の目詰まり部分も除去できるので好ましい。
このように、ブラシ13の送り速度が2mm/min以下であれば、ブラシ13とプリコート層4との接触によって共振が発生することもなく、濾布3及び回転ドラム2への損傷をより確実に抑制することができるものとなる。
このように、ブラシ13の形状が、複数のブラシ部材19が円形部材20の外周上に放射状に形成されている形状であれば、簡単に構成でき安価であり、かつブラシ13によって濾布3及び回転ドラム2に損傷を与えることなく、効率的にプリコート層4を除去することができる。
また、除去されたプリコート層が各ブラシ部材19の間に堆積されないように、図4(B)に示すように、各ブラシ部材19を円形部材20に設置する回転軸方向の位置を交互にずらすように配置することができる。
上述したように、図1に示すような本発明のプリコート型脱水処理装置1において、例えば濾布3を洗浄又は交換する場合には、事前にプリコート層4を除去し、その後濾布3の洗浄又は交換を行い、プリコート層4を再形成する。本発明に係るプリコート層の除去方法は、このようなプリコート層4を再形成する際のプリコート層4の除去方法である。
次に、送り機構14でブラシ13をプリコート層4の方向に送り出す。そして、プリコート層4をブラシ13に接触させ、プリコート層4を除去する。
このように、プリコート層4をブラシ13に接触させて除去する前に、プリコート層4の表面の一部4aをカッター7で除去し、残りの濾布3近傍の部分4bをブラシ13で濾布3及び回転ドラム2に損傷を与えないように除去することで、プリコート層4の除去時間をより確実に改善することができる。
このように、ブラシ13の送り速度を2mm/min以下とすれば、ブラシ13とプリコート層4との接触によって共振が発生することもなく、濾布3及び回転ドラム2への損傷をより確実に抑制することができる。
このように、ブラシ13として、複数のブラシ部材19が円形部材20の外周上に放射状に形成されている形状のブラシ13を用いれば、ブラシ13によって濾布3及び回転ドラム2に損傷を与えることなく、効率的にプリコート層4を除去することができる。
図1に示すような本発明のプリコート型脱水処理装置を用い、本発明のプリコート層の除去方法に従ってプリコート層の除去を行い、その後プリコート層を再形成した。その際のプリコート層の除去時間及び作業者数を評価した。ここで、プリコート層の除去はカッターで15mmまで除去した後、自動運転により残りのプリコート層をブラシにより除去するようにした。ここで、ドラムの回転数を0.6rpmとし、ブラシの回転数を50rpm、送り速度を1.0mm/minとした。また、ブラシの送りを、濾布の表面から0.5mm手前で停止するようにした。また、ブラシ部材の材質が6ナイロンであり、その線径が1.2mmである図4(A)に示すようなブラシを使用した。
このように、本発明のプリコート型脱水処理装置及びプリコート層の除去方法は、濾布及び回転ドラムに損傷を与えることなく安全にプリコート層を除去することができ、プリコート層の除去時間を改善することができ、作業者による手作業の低減により運転コストを改善することができることが確認できた。
図5に示すような、本発明のプリコート層を除去するブラシが設置されていない従来のプリコート型脱水処理装置を用い、プリコート層をカッターで15mmまで除去したあと、作業者による手作業で残りのプリコート層を除去した以外、実施例と同様な条件でプリコート層の除去を行い、除去時間及び作業者数を評価した。
その結果、作業時間は約118minであった。また、作業者は3名必要であった。
4、4a、4b…プリコート層、5…汚水、6…濾過槽、7…カッター、
8…堆積層、9…水分、10…真空パイプ、11…搬送コンベア、
12…回収箱、13…ブラシ、14…送り機構、15…回転モータ、
16…リニアガイド、17…ボールネジ、18…サーボモータ、
19…ブラシ部材、20…円形部材、21…固定具、
22…ボルト。
Claims (8)
- 少なくとも、一部が汚水に浸漬するように配置された軸周りに回転する回転ドラムと、該回転ドラムの外周に巻き付けられる濾布と、該濾布の外周を濾過助剤でコーティングしたプリコート層とを有し、前記回転ドラムを回転させながら内部を減圧して前記汚水を前記プリコート層を通じて前記回転ドラム内に吸引することによって汚水の脱水を行い、前記プリコート層の外周に固形状の汚泥を吸着して堆積させ、前記プリコート層の外周に形成される前記堆積層をカッターによって除去するプリコート型脱水処理装置であって、
前記回転ドラムの回転軸と平行な軸周りに回転可能なブラシと、前記ブラシを前記プリコート層の方向に前後動させる送り機構とを有し、前記ブラシを回転させながら前記送り機構で前記プリコート層の方向に送り出すことによって前記プリコート層を前記ブラシに接触させて除去することができるものであることを特徴とするプリコート型脱水処理装置。 - 前記カッターは、前記堆積層のみならず前記プリコート層の表面の一部を除去できるものであることを特徴とする請求項1に記載のプリコート型脱水処理装置。
- 前記ブラシの送り速度が2mm/min以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリコート型脱水処理装置。
- 前記ブラシの形状が、複数のブラシ部材が円形部材の外周上に放射状に形成されている形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプリコート型脱水処理装置。
- 軸周りに回転する回転ドラムの一部を汚水に浸漬するように配置し、前記回転ドラムの外周に濾布を巻き付け、該濾布の外周に濾過助剤でコーティングしたプリコート層を設け、前記回転ドラムを回転させながら内部を減圧して前記汚水を前記プリコート層を通じて前記回転ドラム内に吸引することによって汚水の脱水を行い、前記プリコート層の外周に固形状の汚泥を吸着して堆積させ、前記プリコート層の外周に形成される前記堆積層をカッターによって除去するプリコート型脱水処理装置のプリコート層を再形成する際のプリコート層の除去方法において、
ブラシを前記回転ドラムの回転軸と平行な軸周りに回転させながら前記プリコート層の方向に送り出すことによって前記プリコート層を前記ブラシに接触させて除去することを特徴とするプリコート層の除去方法。 - 前記プリコート層を前記ブラシに接触させて除去する前に、前記プリコート層の表面の一部を前記カッターで除去することを特徴とする請求項5に記載のプリコート層の除去方法。
- 前記ブラシの送り速度を2mm/min以下とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のプリコート層の除去方法。
- 前記ブラシとして、複数のブラシ部材が円形部材の外周上に放射状に形成されている形状のブラシを用いることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のプリコート層の除去方法。
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