JP5071031B2 - 制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、左右輪または前後輪に制動力差を付与する制動制御装置の技術分野に関する。
従来の制動制御装置の油圧回路では、マスタシリンダで発生した制動液圧を前後または左右のホイルシリンダへと分岐する各分岐路に、分岐路を開閉する増圧弁が設けられている。この油圧回路では、増圧弁のうち一方を開き、他方を閉じることで、前後輪または左右輪に制動力差を付与することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−18776号公報
上記従来の油圧回路では、ドライバが制動操作量を減少させた場合、各ホイルシリンダに供給された制動液圧は、分岐路から合流して直接マスタシリンダへと戻される。このとき、増圧弁を同時に開くと、高圧側ホイルシリンダから排出された制動液圧が低圧側ホイルシリンダへと逆流し、低圧側ホイルシリンダ圧の上昇を招くという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、左右輪または前後輪の制動力差が付与されている状態でドライバが制動操作量を減少させたとき、低圧側制動力付与手段(低圧側ホイルシリンダ)の液圧上昇を抑制することができる制動制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、左右輪または前後輪に制動力差が付与されている状態でドライバの制動操作量が減少した場合、左右輪または前後輪の制動力差が所定値以下となるまでの間、左右または前後の制動力付与手段のうち低圧側制動力付与手段の制動液圧を保持しつつ高圧側制動力付与手段の制動液圧のみを低下させ、前記制動力差が前記所定値以下となったとき、両制動力付与手段の制動液圧を共に低下させる。
本発明では、高圧側制動力付与手段と低圧側制動力付与手段の制動液圧差が所定値以下となった後、両制動力付与手段の制動液圧を共に低下させるため、高圧側制動力付与手段から低圧側制動力付与手段へ逆流する制動液圧量を小さく抑えることができ、低圧側制動力付与手段の液圧上昇を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
図1は、実施例1の制動力制御装置を適用した車両のシステム構成図である。
油圧ユニット(以下、HU)31は、ブレーキコントローラ(制動制御手段であり、以下、ブレーキECU)32からの指令に基づいて左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)の各液圧の保持、増圧または減圧を行う。各ホイルシリンダW/Cは、供給されたブレーキ液圧(制動液圧)に応じて車輪に制動力を付与する制動力付与手段に相当する。
ブレーキECU32は、車両のヨーレートおよび横加速度を検出するヨーレート/横Gセンサ(走行状態検出手段)33と、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ(走行状態検出手段)34と、エンジンコントローラ(以下、ENGCU)35と、自動変速機コントローラ(以下、ATCU)36からCAN通信を通して得られる情報と、操舵角センサ39と、ブレーキペダルストロークセンサ40とからの情報に基づいて、制動制御実施の判断を行う。制御実施中は、ホイルシリンダ液圧の保持、増減圧指令を生成する。
ブレーキペダルBPは、ドライバが制動を行う場合に操作される。ドライバのブレーキペダル操作量は、電動ブースタ41により倍力される。電動ブースタ41により倍力された入力は、マスタシリンダ(液圧発生手段)M/Cによってブレーキ液圧に変換され、HU31から各ホイルシリンダW/Cへと供給される。各ホイルシリンダW/Cは、対応する各車輪の制動を行う。
ブレーキECU32は、ブレーキペダルストロークセンサ40により検出されたブレーキペダルストローク量(制動操作量)に応じて、倍力比を決定し、倍力比に基づいて電動ブースタ41のモータ(不図示)を駆動する。ここで、マスタシリンダM/Cは、電気系統のフェールにより電動ブースタ41が停止した場合であっても、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込むことである程度のブレーキ液圧を発生可能なように構成されている。
アクセルペダルAPは、ドライバの操作により車両の加減速コントロールを行う。ENGCU35は、ドライバのアクセルペダル操作からエンジン37のコントロールを行う。また、エンジン37の発生トルクと、アクセルペダル操作量の情報を通信(CAN)で出力する。ATCU36は、自動変速機38のコントロールを行う。また、ギア位置信号(自動変速機38のレンジポジション)を通信(CAN)で出力する。
図2は、実施例1のHU31の油圧回路図である。実施例1のHU31は、P系統とS系統との2系統からなる、いわゆるX配管と呼ばれる配管構造となっている。
P系統には、左前輪のホイルシリンダW/C(FL)、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)が接続され、S系統には、右前輪のホイルシリンダW/C(FR)、左後輪のホイルシリンダW/C(RL)が接続されている。また、P系統、S系統それぞれに、ポンプPPとポンプPSとが設けられ、このポンプPPとポンプPSは、1つのモータMによって駆動される。なお、ポンプは、プランジャポンプやギヤポンプ等が適宜搭載される。コストの面から言えば、プランジャポンプが望ましく、滑らかさ(制御性)から言えば、ギヤポンプが望ましい。
マスタシリンダM/CとポンプPP,PS(以下、ポンプP)の吸入側とは、管路11P,11S(以下、管路11)によって接続されている。この各管路11上には、常閉型の電磁弁であるゲートインバルブ2P,2Sが設けられている。
また、管路11上であって、ゲートインバルブ2P,2S(以下、ゲートインバルブ2)とポンプPとの間にはチェックバルブ6P,6S(以下、チェックバルブ6)が設けられ、この各チェックバルブ6は、ゲートインバルブ2からポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
各ポンプPの吐出側と各ホイルシリンダW/Cとは、管路12P,12S(以下、管路12)によって接続されている。管路12Pは、2つの管路(分岐路)12FL,12RRに分岐し、管路12FL,12RRには、ホイルシリンダW/C(FL,RR)に対応する常開型の電磁弁であるソレノイドインバルブ(液圧調整手段)4FL,4RRが設けられている。また、管路12Sは、2つの管路(分岐路)12FR,12RLに分岐し、管路12FR,12RLには、ホイルシリンダW/C(FR,RL)に対応する常開型の電磁弁であるソレノイドインバルブ(液圧調整手段)4FR,4RLが設けられている。以下、ソレノイドバルブ4FL,4RR,4FR,4RLをソレノイドインバルブ4と称す。
また、各管路12上であって、各ソレノイドインバルブ4とポンプPとの間にはチェックバルブ7P,7S(以下、チェックバルブ7)が設けられて、この各チェックバルブ7は、ポンプPからソレノイドインバルブ4へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
さらに、各管路12には、各ソレノイドインバルブ4を迂回する管路17FL,17RR,17FR,17RL(以下、管路17)が設けられ、この管路17には、チェックバルブ10FL,10RR,10FR,10RL(以下、チェックバルブ10)が設けられている。この各チェックバルブ10は、ホイルシリンダW/CからポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
マスタシリンダM/Cと管路12とは管路13P,13S(以下、管路13)によって接続され、管路12と管路13とはポンプPとソレノイドインバルブ4との間において合流する。この各管路13上には、常開型の電磁弁であるゲートアウトバルブ3P,3S(以下、ゲートアウトバルブ3)が設けられている。
管路13Pと管路12Pの分岐路12FL,12RRとにより、マスタシリンダM/Cからのブレーキ液圧を左前輪のホイルシリンダW/C(FL)と右後輪のホイルシリンダW/C(RR)に分岐する液圧供給回路が構成される。
また、管路13S管路12S分岐路12FR2RLにより、マスタシリンダM/Cからのブレーキ液圧を右前輪のホイルシリンダW/C(FR)と左後輪のホイルシリンダW/C(RL)に分岐する液圧供給回路が構成される。
また各管路13には、各ゲートアウトバルブ3を迂回する管路18P,18S(以下、管路18)が設けられ、この管路18には、チェックバルブ9P,9S(以下、チェックバルブ9)が設けられている。この各チェックバルブ9は、マスタシリンダM/C側からホイルシリンダW/Cへ向かう方向のブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ポンプPの吸入側にはリザーバ16P,16S(以下、リザーバ16)が設けられ、このリザーバ16とポンプPとは管路15P,15S(以下、管路15)によって接続されている。リザーバ16とポンプPとの間にはチェックバルブ8P,8S(以下、チェックバルブ8)が設けられて、この各チェックバルブ8は、リザーバ16からポンプPへ向かう方向のブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ホイルシリンダW/Cと管路15とは管路14P,14S(以下、管路14)によって接続され、管路14と管路15とはチェックバルブ8とリザーバ16との間において合流する。この各管路14には、それぞれ常閉型の電磁弁であるソレノイドアウトバルブ(減圧制御弁)5FL,5RR,5FR,5RL(以下、ソレノイドアウトバルブ5)が設けられている。
管路14と、管路15と、管路12の分岐路12FL,12RR,12FR,12RLよりも上流側の部分と、管路13により、還流回路が構成される。
マスタシリンダM/Cとゲートインバルブ2およびゲートアウトバルブ3との間の油路には、マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧センサ42P,42S(以下、マスタシリンダ圧センサ42)が設けられている。
また、ソレノイドインバルブ4とソレノイドアウトバルブ5との間の油路と、各ホイルシリンダW/Cとの間の油路には、ホイルシリンダ圧を検出するホイルシリンダ圧センサ43FL,43FR,43RL,43RR(以下、ホイルシリンダ圧センサ43)が設けられている。
ブレーキECU32は、各センサの入力信号およびブレーキペダル操作量等に基づいてドライバの制動操作に従う通常ブレーキ制御の演算と、アンチスキッドブレーキ制御(ABS)、車両挙動安定化制御(VDC)等、車両挙動を制御するための演算を行い、車両として必要な目標制動力を算出し、各ホイルシリンダ圧を制御する。
また、ブレーキECU32は、車両の制動旋回時、旋回外側前輪の制動力が大きく、旋回内側後輪の制動力が小さくなるように制動力配分を行い、他の2輪の制動力は直進走行時と同等の大きさとすることで、旋回挙動の安定化を図る。ブレーキECU32は、まず、ドライバのブレーキペダル操作量に応じて車両の目標減速度を演算するとともに、車両の減速度とヨーレートとに基づいて各車輪の動的な輪荷重を推定し、目標減速度と輪荷重とから、各車輪に必要な制動力を算出する。
続いて、算出された旋回外側前輪の制動力が得られるように、マスタシリンダ圧と旋回外側前輪のホイルシリンダ圧とを参照しつつ、電動ブースタ41の倍力比を変更する。これにより、HU31のP系統、S系統には旋回外側前輪に必要なブレーキ液圧が供給される。ここで、旋回外側前輪を除く他の車輪のホイルシリンダについては、必要なホイルシリンダ圧に対しブレーキ液圧が過剰に供給されるため、ブレーキECU32は、各車輪のホイルシリンダ圧が必要なホイルシリンダ圧となったとき、対応するソレノイドインバルブを閉じることで、必要な制動力を確保する。
制動旋回中にドライバがブレーキを緩めた場合には、各ソレノイドインバルブ4FL,4RR,4FR,4RLを開いてブレーキ液をマスタシリンダM/Cへと戻す。このとき、旋回外側前輪のホイルシリンダと旋回内側後輪のホイルシリンダとの液圧差が所定値以下となるまでの間、旋回外側前輪のソレノイドインバルブのみ開き、旋回内側後輪のソレノイドインバルブは閉じたままとする。その後、液圧差が所定値以下となったとき、旋回内側後輪のソレノイドインバルブを開く。
[制動力配分制御処理]
図3は、実施例1のブレーキECU32で実行される制動力配分制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この制御処理は、所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
ステップS1では、ブレーキペダルストロークセンサ40により検出されたドライバのブレーキペダルストローク量を読み込み、ドライバによるブレーキ要求があるか否かを検出する。YESの場合にはステップS2へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS2では、ステップS1で読み込んだブレーキペダルストローク量に基づいて、車両の目標減速度を算出し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、車輪速センサ34により検出された各車輪速から算出される車速の時間変化量(減速度)と、ヨーレート/横Gセンサ33により検出された車両のヨーレートとに基づいて、各車輪の動的な輪荷重を推定し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS3で推定した各車輪の輪荷重に基づいて、各車輪の目標制動力を算出し、ステップS5へ移行する。ここで、各車輪の目標制動力は、旋回挙動の安定化を図るために、以下の関係を満足するように設定する。
旋回外側前輪>旋回内側前輪=旋回外側後輪>旋回内側後輪
ステップS5では、ブレーキペダルストロークセンサ40により検出されたブレーキペダルストローク量を読み込み、ステップS1で読み込んだブレーキペダルストローク量との差分から、ドライバによるブレーキリリースが行われたか否かを判定する。YESの場合にはステップS6へ移行し、NOの場合にはステップS11へ移行する。
ステップS6では、旋回外側前輪のホイルシリンダ(以下、高圧側ホイルシリンダ)と旋回内側後輪のホイルシリンダ(高圧側ホイルシリンダ)との液圧差が所定値以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS7へ移行し、NOの場合にはステップS10へ移行する。
ここで、「所定値」は、低圧側ホイルシリンダのソレノイドインバルブ(以下、低圧側ソレノイドインバルブ)を開いたとき、高圧側ホイルシリンダから排出されるブレーキ液が低圧側ホイルシリンダに逆流した場合であっても、車輪がロック傾向とならない液圧差とするが、所定値をゼロとしてもよい。
ステップS7では、ステップS5で算出したブレーキリリース量に応じて各ソレノイドインバルブを開き、各車輪の制動力を減少させるが、低圧側ソレノイドバルブは閉じたままの状態を維持し、ステップS8へ移行する。
ステップS8では、ステップS7で低圧側ホイルシリンダ圧の保持を行ったのに対し、ステップS5で読み込んだブレーキペダルストローク量に応じた目標減速度を補償するために、高圧側ホイルシリンダのソレノイドインバルブ(以下、高圧側ソレノイドインバルブ)の開弁量を通常時(直進走行時)の開弁量よりも大きくして減圧速度を高め、ステップS9へ移行する。
ステップS9では、高圧側ホイルシリンダ圧と低圧側ホイルシリンダ圧とがゼロ(≒0)であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS10へ移行し、NOの場合にはステップS7へ移行する。ここで、ゼロに変えてステップS6で述べた所定値を用いてもよい。
ステップS10では、低圧側ソレノイドバルブを開くとともに、高圧側ソレノイドバルブの開弁量を通常に戻し、リターンへ移行する。
ステップS11では、ステップS4で算出された目標制動力が得られるように、電動ブースタ41の倍力比を変更するとともに各ソレノイドインバルブの開閉を制御して各車輪に制動力を付与し、リターンへ移行する。
次に、作用を説明する。
[減圧時の低圧側ホイルシリンダ圧の上昇について]
制動旋回時には、旋回内輪よりも旋回外輪に、かつ、後輪よりも前輪に荷重が多く掛かるため、旋回内側後輪(例えば、左旋回中の場合には左後輪)はロックしやすくなる。そこで、旋回外側前輪の制動力が大きく、旋回内側後輪の制動力が小さくなるように制動力配分を行うことで、旋回挙動の安定化を図ることができる。
ここで、ドライバがブレーキペダルを踏む踏力を電気信号に変換し、この電気信号に基づいて電動制動装置が発生するブレーキ液圧でホイルシリンダを作動させるとともに、ストロークシミュレータでブレーキペダルに擬似的なストロークおよび反力を発生させる、いわゆるBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)システムが知られている。このBBWシステムでは、制動力配分後の減圧は、4輪それぞれのソレノイドアウトバルブを開くことで、ブレーキ液がリザーバタンクへと戻される構成であるため、減圧時にペダルキックバック等の不具合が生じることはない(図4,図5参照)。
ところが、実施例1で採用したHU31(図2参照)のように、マスタシリンダと各ホイルシリンダとの間が閉回路で構成された油圧回路では、4輪制動力配分を行った場合、減圧時にソレノイドアウトバルブから排圧すると、液掻き揚げ用のポンプを作動させなければならず、ABS作動時のようなペダルキックバックが発生する。
このため、ソレノイドアウトバルブではなくソレノイドインバルブからブレーキ液を抜く方法が考えられる。ところが、左右輪の制動力を異ならせる制動力配分により左右のホイルシリンダに液圧差が発生しているため、図5に示すように、左右のソレノイドインバルブを同時に開放した場合、低圧側ホイルシリンダが高圧側ホイルシリンダ圧(外輪液圧)の影響を受け、低圧側ホイルシリンダ圧(内輪液圧)が急激に上昇する。したがって、輪荷重の小さな旋回内側後輪が制動力過多となり、車輪がロック傾向となるため、旋回挙動が乱れる可能性がある。
[低圧側ホイルシリンダ圧の上昇抑制作用]
これに対し、実施例1の制動制御装置では、制動力配分時、高圧側ホイルシリンダ圧を上流側の電動ブースタ41で発生させ、低圧側にはソレノイドインバルブの操作により上流圧をホイルシリンダまで到達させないことにより、液圧を上昇させないようにし、高圧側との差圧を発生させる(図6の「増圧」)。
その後の減圧時には、高圧側ホイルシリンダ圧が低圧側ホイルシリンダ圧と等しくなるまでの間、図3のフローチャートにおいて、ブレーキECU32がステップS7→ステップS8→ステップS9の流れを繰り返すことにより、低圧側ホイルシリンダ圧を保持し、高圧側ホイルシリンダ圧のみ減少させる(図6の「減圧」)。
すなわち、図7の内輪液圧グラフに示すように、ブレーキECU32は、低圧側ソレノイドインバルブを閉じた状態で保持し、高圧側ソレノイドインバルブを開放して上流圧と共に高圧側ホイルシリンダ圧が低下するまでの間、低圧側ソレノイドインバルブを開放しない。このため、低圧側ホイルシリンダ圧が高圧側ホイルシリンダから排出される液圧に影響を受けることがなく、急なブレーキ液圧の上昇を防ぐことができる。
また、ソレノイドインバルブからマスタシリンダM/Cへブレーキ液を排出しているため、液掻き揚げ用のポンプPを作動させる必要がなく、ABS作動時のようなペダルキックバックも発生しない。ABS作動中はドライバへのフィードバックとしてある程度のペダルキックバックが必要であるのに対し、制動旋回からブレーキをリリースするたびにペダルキックバップが発生すると、操作フィーリングの悪化を招く。加えて、制動旋回を行う走行シーンは、ABSが作動する走行シーンとは比較にならないほど多いため、ペダルキックバックは顕著な問題である。
これに対し、実施例1では、通常のABS(+VDC)の油圧回路構成を採用しながら、制動力配分後の減圧時にはポンプPを作動させることなくブレーキ液をマスタシリンダM/Cへと戻すことができるため、ペダルキックバックの発生を回避して操作フィーリングの悪化を防止することができる。さらに、ポンプPの作動回数を小さく抑えることができるため、ソレノイドアウトバルブからマスタシリンダM/Cへブレーキ液を戻す場合と比較して、ポンプPの耐久性向上を図ることができる。
[トータル制動力補償作用]
実施例1では、低圧側ホイルシリンダ圧が保持されている間は、ドライバが要求する目標減速度相当のトータル制動力を保つために、図3のステップS8において、高圧側ホイルシリンダ圧の減圧速度、減圧量を大きくする。
制動力配分後は、減圧中に低圧側の液圧を保持するため、ドライバがブレーキペダルをリリースし減圧要求しているにもかかわらず、減圧速度が遅くなってしまう。トータル制動力は、ドライバの制動要求(ペダル変位量、マスタシリンダ圧等)によって演算される目標減速度に基づいて決定されるが、高圧側ホイルシリンダ圧のみ減圧し、低圧側ホイルシリンダ圧を保持するとトータル制動力が変化してしまうためである。
そこで、実施例1では、図6の外輪液圧グラフに示すように、低圧側ホイルシリンダが減圧せずに保持している液圧分を高圧側で減圧することで、トータル制動力をドライバ要求に合致した値とすることができる。このため、通常時の減圧と比較して制動力配分後の減圧に違和感を与えることがない。
次に、効果を説明する。
実施例1の制動制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) ブレーキECU32は、左右輪に制動力差が付与されている状態でブレーキペダルストローク量が減少した場合、左右輪の制動力差が所定値以下となるまでの間、左右のホイルシリンダのうち低圧側ホイルシリンダのブレーキ液圧を保持しつつ高圧側ホイルシリンダのブレーキ液圧のみを低下させる制御指令をソレノイドインバルブ4に出力し、制動力差が所定値以下となったとき、両ホイルシリンダのブレーキ液圧を共に低下させる制御指令をソレノイドインバルブ4に出力する。これにより、高圧側ホイルシリンダから低圧側ホイルシリンダへ逆流するブレーキ液圧量を小さく抑えることができ、低圧側ホイルシリンダ圧の上昇が抑制される。よって、旋回内側後輪の制動力が過多となることで車輪がロック傾向となるのを抑制でき、車両挙動の乱れを最小限に抑えることができる。
(2) ブレーキECU32は、左右輪の制動力差がゼロとなるまでの間、低圧側ホイルシリンダのブレーキ液圧を保持するため、低圧側ソレノイドインバルブを開いたときの低圧側ホイルシリンダ圧の変動(上昇)がほとんどなくなり、車両挙動の乱れを確実に防止することができる。
(3) ブレーキECU32は、高圧側ホイルシリンダのブレーキ液圧のみを低下させている間、ブレーキペダルストローク量に応じた車両の目標減速度が得られるように、高圧側ホイルシリンダ圧の低下率を高める制御指令をソレノイドインバルブ4に出力する。これにより、車両のトータル制動力をドライバの要求制動力に合致させることができるため、ドライバの要求制動力と車両の制動力とのずれに伴う違和感の発生を防止することができる。
(4) 分岐路12FL,12RR,12FR,12RL上であってソレノイドインバルブ4とホイルシリンダW/Cとの間と、マスタシリンダM/Cとの間に設けられた還流回路(管路14→管路15→管路12→管路13)と、この還流回路上に設けられ、還流回路の開閉を行う常閉のソレノイドアウトバルブ5と、還流回路上であってソレノイドアウトバルブ5よりもマスタシリンダM/C側に設けられ、マスタシリンダM/Cから排出されたブレーキ液を一時的に蓄えるリザーバ16と、還流回路上であってリザーバ16とマスタシリンダM/Cとの間に設けられ、リザーバ16に蓄えられたブレーキ液をマスタシリンダM/Cに還流させるポンプPと、を備える。つまり、HU31として通常のABSの油圧回路構成を採用しながら、ペダルキックバックを発生させることなくブレーキ液をマスタシリンダM/Cへと戻すことができ、操作フィーリングの向上を図ることができる。
(5) マスタシリンダM/Cは、ブレーキペダルストローク量に応じたブレーキ液圧を電力にて倍力する電動ブースタ41を備えるため、電動ブースタ41で高圧側ホイルシリンダに必要なブレーキ液圧を発生させつつ、他のホイルシリンダに必要なブレーキ液圧は対応する各ソレノイドインバルブ4を閉じるという簡単な制御で4輪に必要な制動力を得ることができる。さらに、VDCのようにポンプPを駆動して高圧側ホイルシリンダ圧を生成する場合と比較して、静粛性およびポンプPの耐久性の点でも有利となる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づく実施例1により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に示したものに限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない程度の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、油圧配管をX配管とし、旋回外側前輪と旋回内側後輪とで制動力差を発生させる例を示したが、車両の減速に伴う重心移動に応じて前後輪に制動力差を発生させる構成としてもよい。この場合も、実施例1に示したような減圧時の制御を行うことで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
また、実施例1では、各車輪の目標制動力を、旋回外側前輪>旋回内側前輪=旋回外側後輪>旋回内側後輪の関係を満たすように設定したが、旋回内側前輪の目標制動力が旋回外側後輪の制動力よりも大きくなるように設定してもよい。
実施例1の制動力制御装置を適用した車両のシステム構成図である。 実施例1のHU31の油圧回路図である。 実施例1のブレーキECU32で実行される制動力配分制御処理の流れを示すフローチャートである。 BBWシステムにおける制動力配分時の液圧−制動G特性図である。 従来の制動力配分後における減圧時の旋回外側前輪と旋回内側後輪のブレーキ液圧を示すタイムチャートである。 実施例1の制動力配分時の液圧−制動G特性図である。 実施例1の制動力配分後における減圧時の旋回外側前輪と旋回内側後輪のブレーキ液圧を示すタイムチャートである。
符号の説明
M/C マスタシリンダ
W/C ホイルシリンダ
2 ゲートインバルブ
3 ゲートアウトバルブ
4 ソレノイドインバルブ(液圧調整手段)
5 ソレノイドアウトバルブ(減圧制御弁)
6 チェックバルブ
7 チェックバルブ
8 チェックバルブ
9 チェックバルブ
10 チェックバルブ
11 管路
12 管路
12FL,12FR,12RL,12RR 管路(分岐路)
13 管路
14 管路
15 管路
16 リザーバ
17 管路
18 管路
31 油圧ユニット
32 ブレーキコントローラ(制動制御手段)
33 ヨーレート/横Gセンサ(走行状態検出手段)
34 車輪速センサ(走行状態検出手段)
37 エンジン
38 自動変速機
39 操舵角センサ
40 ブレーキペダルストロークセンサ
41 電動ブースタ
42 マスタシリンダ圧センサ
43 ホイルシリンダ圧センサ

Claims (5)

  1. ドライバの制動操作量に応じた制動液圧を発生させる液圧発生手段と、
    各車輪に設けられ、供給された制動液圧に応じて車輪に制動力を付与する制動力付与手段と、
    前記液圧発生手段と前記制動力付与手段との間に設けられ、液圧発生手段からの制動液圧を前後または左右の前記制動力付与手段に分岐する分岐路を有する液圧供給回路と、
    前記分岐路上に設けられ、前記制動力付与手段に供給する制動液圧を調整する液圧調整手段と、
    車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
    検出された走行状態に応じて左右輪または前後輪に制動力差を付与する制御指令を前記液圧調整手段に出力する制動制御手段と、
    を備え、
    前記制動制御手段は、左右輪または前後輪に制動力差が付与されている状態でドライバの制動操作量が減少した場合、左右輪または前後輪の制動力差が所定値以下となるまでの間、左右または前後の制動力付与手段のうち低圧側制動力付与手段の制動液圧を保持しつつ高圧側制動力付与手段の制動液圧のみを低下させる制御指令を前記液圧調整手段に出力し、前記制動力差が前記所定値以下となったとき、両制動力付与手段の制動液圧を共に低下させる制御指令を前記液圧調整手段に出力することを特徴とする制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の制動制御装置において、
    前記所定値は、ゼロであることを特徴とする制動制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の制動制御装置において、
    前記制動制御手段は、前記高圧側制動力付与手段の制動液圧のみを低下させている間、ドライバの制動操作量に応じた車両の目標減速度が得られるように、前記高圧側制動力付与手段の制動液圧の低下率を高める制御指令を前記液圧調整手段に出力することを特徴とする制動制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の制動制御装置において、
    前記分岐路上であって前記液圧調整手段と前記制動力付与手段との間と、前記液圧発生手段との間に設けられた還流回路と、
    この還流回路上に設けられ、還流回路の開閉を行う常閉の減圧制御弁と、
    前記還流回路上であって前記減圧弁よりも前記液圧発生手段側に設けられ、前記制動力付与手段から排出された制動液を一時的に蓄えるリザーバと、
    前記還流回路上であって前記リザーバと前記液圧発生手段との間に設けられ、前記リザーバに蓄えられた制動液を前記液圧発生手段に還流させるポンプと、
    を備えることを特徴とする制動制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の制動制御装置において、
    前記液圧発生手段は、ドライバの制動操作量に応じた制動液圧を電力にて倍力する電動ブースタを備えることを特徴とする制動制御装置。
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