以下、遊技媒体として遊技球を用いた回胴式遊技機の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔本例のスロットマシンの設置環境〕
本例の回胴式遊技機は、遊技媒体として遊技球を用いる。メダルと遊技球では価値が異なるので規定個数(例えば5個)の遊技球を1単位としてメダル1枚に対応させている。また、遊技球を遊技媒体として用いるためにパチンコ機島に設置される。パチンコ機島の遊技機の設置高さは、約60cmのものが最も多い。これに対して、遊技媒体としてメダルを使用する回胴式遊技機はスロットマシン島と呼ばれる島設備に設置される。スロットマシン島の遊技機の設置高さは、約50cmのものが最も多い。つまり、パチンコ機島はスロットマシン島に対して、10cm程度設置位置が高くなっている。
〔回胴式遊技機における遊技の概略〕
本発明の回胴式遊技機では、遊技球を遊技球皿に貯留し、ベットボタンを押すことによって遊技球取込装置が動作し、規定個数単位で遊技球が回胴式遊技機に取込まれる。遊技球が取込まれることにより有効ラインが決定され、スタートレバーが操作可能になる。遊技者の操作によってスタートレバーが操作されると3個の図柄リールの駆動モータが起動すると共に抽選が行われる。抽選結果により、大きな特典が得られるボーナスや、小役、リプレイ、ハズレに振分けられる。図柄リールの回転が定回転(例えば80rpm)に達すると停止ボタンが操作可能になる。
遊技者がストップボタンを押すことにより、対応する図柄リールが停止するが、この際、何らかの役に当選していると、ストップボタンを押すタイミングが少し早くても、回胴式遊技機は当選役に相当する図柄を有効ラインに引き込んで停止させようとし、逆に当選していない図柄は、狙ってストップボタンを押しても、有効ラインの外に押し出されてしまい入賞はできない。
全ての図柄リールが停止したら、入賞しているか否かの判定を行い、例えば小役に入賞している場合には、遊技球払出装置を駆動して、規定個数の倍数の遊技球が払出される。以上が一連の遊技の流れである。
〔回胴式遊技機の主構成〕
回胴式遊技機1(本発明の遊技機に相当)の主構成について、図1乃至図7に基づき説明する。ここで、図1は回胴式遊技機1の正面部であり、図2は回胴式遊技機1を前方右上から見た斜視図であり、図3は扉形前面部材を開放した状態の回胴式遊技機1を前方右上から見た斜視図であり、図4は回胴式遊技機1を分解した状態を前方右上から見た斜視図であり、図5は回胴式遊技機1の略中央縦断面図であり、図6は図5のA−A横断面図であり、図7は図5のB―B横断面図である。
図3及び図4に示すように、回胴式遊技機1はパチンコ機の島設備に設置可能な外枠2と、外枠2内に配置され前面が開口する箱形の本体筐体3と、本体筐体3の前面を閉鎖する閉鎖位置と本体筐体3の前面を開放する開放位置との間でヒンジ機構122を介して横開きの扉状に回動可能に支持された扉形前面部材4とから構成されている。図1及び図2に示すように、扉形前面部材4を上段、中段、下段と略3分割すると、上段のドラム用窓部14の後方にはステッピングモータで個別に駆動される3組の図柄リール301a,301b,301cが臨んでいる。以降、各々の図柄リール301a,301b,301cを合わせて図柄変動表示装置13と呼ぶ。また、中段の表示装置用窓部16の後ろには、液晶表示装置等からなる演出表示装置15が配置されている。また扉形前面部材4の下段の一番上には、操作盤6が配置されている。
また、この回胴式遊技機1は、パチンコ機島に取付けられることから、パチンコ機島から供給される遊技球を、抽選結果または遊技状態に基づいて払出すための遊技球払出装置18(図3参照)と、遊技を行うに際し、遊技者の操作に応じた数の遊技球を本体筐体3内(パチンコ機島側)に取込むための遊技球取込装置19とが設けられている(図3参照)。つまり、遊技者は、遊技球払出装置18によって払出される遊技球を貯えるとともに、それらの遊技球を所定数ずつ遊技球取込装置19を介して投入することにより、継続的に遊技を行うことが可能になる。
〔操作盤の構成〕
図2及び図6に示すように、操作盤6は、横長略直方体形状を呈し、遊技者側に突出して形成されている。なお、表示装置用窓部16の前面に対する操作盤6の突出量は、特に限定されるものではないが、本例では、遊技者の手を安定した状態で載せることができるように、例えば約6cmとなっている。なお、操作盤6では、左側の側面は前面に対して略直角となっているが、右側の側面は略円弧状の曲面となっている。操作盤6の上面には、遊技者に遊技球の投入を指示させることが可能な投入操作部として、マックスベットボタン7と1ベットボタン8とが一つずつ設けられている。マックスベットボタン7は、1ベットボタン8よりも大きく、且つ1ベットボタン8よりも前寄りに配置されている。一方、遊技者側に突出する操作盤6の前面には、遊技の進行を指示させるための遊技操作手段として、一つのスタートレバー9と三つのストップボタン10(10a,10b,10c)とが一列に並んで配置されている。なお、このように配置することで、遊技者は、操作盤6の上面に載せた手をあまり動かすことなく、マックスベットボタン7と、スタートレバー9及びストップボタン10とを順次操作することが可能となる。
〔貯留皿体の構成〕
図2及び図7に示すように、扉形前面部材4の前面には、遊技球払出装置18(図3参照)によって払出された遊技球を貯留する装置として貯留皿体20が設けられている。この貯留皿体20は、扉形前面部材4の前面から遊技者側に突出して形成されており、払出された遊技球を貯留するとともに、遊技球取込装置19(図3参照)に向って遊技球を流下させることが可能になっている。
特に、本例の貯留皿体20は、操作盤6とは別部材で構成され操作盤6の下方の位置から遊技者側に突出して形成されている。このため、リラックスした状態で投入操作部や遊技操作部を操作させることが可能となる。つまり、操作盤と貯留皿体とを兼用したもの、具体的には、遊技者側に突出する貯留皿体の前面に投入操作部及び遊技操作部を配置させた回胴式遊技機では、遊技者は遊技操作部等を操作する際に、手を貯留皿体の上に載せた状態または掛けた状態で行うことが困難となり、また、譬え、手を掛けることができたとしても、貯留皿体内で流下する遊技球が手に触れることから、遊技球が飛散しないように気を遣いながら遊技しなければならないが、本例のように、貯留皿体20を操作盤6とは別部材で構成することにより、操作盤6の上面に手を載せるスペースを十分に確保するとともに、貯留皿体20の遊技球に手が触れることを防止でき、ひいてはリラックスした状態で遊技を行わせることが可能になる。特に、操作盤6の突出量は、貯留皿体20の突出量よりも大きくなっているため、操作盤6の前面に配置されたスタートレバー9やストップボタン10を操作する場合にも、貯留皿体20に触れることなく操作することが可能となる。
ところで、単純に貯留皿体20を操作盤6から独立させたものでは、操作盤6の上方に設けられる演出表示装置15が、扉形前面部材4の上部寄りに配置されることとなり、視認性を低下させる虞がある。特に、前述したように、パチンコ機島は、遊技媒体としてメダルを用いたスロット島設備よりも約10cm高い位置に回胴式遊技機1が設置されることから、遊技者は演出表示装置15を下方から見上げる形となり、著しく視認性を悪化させてしまう虞がある。これに対し、本例の回胴式遊技機1では、この種の遊技機が一般に備えている下皿を取り去り、所謂、一皿構造となっている。このため、貯留皿体20及び操作盤6の配置を全体的に低くすることができ、演出表示装置15を視認性のよい適切な位置に配置することを可能にしている。
また、操作盤6及び貯留皿体20は何れも遊技者側に突出しているが、操作盤6と貯留皿体20との間には隙間21(図1参照)が設けられており、これによれば貯留皿体20に貯留された遊技球、または貯留皿体20によって案内される遊技球を視認させることが可能になり、貯留の有無、または貯留されている遊技球の量を容易に把握させることができる。また、投入可能な遊技球の数を視覚的に把握させることにより安心して遊技を継続させることが可能となる。なお、隙間21の大きさは1.5cm以上4cm以下であることが好ましい。隙間21の大きさを略1.5cm以上とすることにより、操作盤6と貯留皿体20との隙間21から指を挿入させることが可能となる。このため、隙間21を通して遊技球を視認し難い場合であっても、指を挿入して遊技球の存在を確認させることが可能になる。また、貯留皿体20において球詰まりが生じた場合であっても、容易に対処することが可能になる。一方、隙間21の大きさを略4cm以下とすることにより、操作盤6と貯留皿体20との間に遊技者の拳が入ることを抑制でき、ひいては、貯留皿体20に連通する遊技球取込装置19等に対しての不正行為を抑制することが可能となる。なお、不正行為とは、遊技球取込装置19に向ってワイヤー等を侵入させて不正に遊技球をカウントさせる行為である。
また、本例の貯留皿体20は、遊技球の払出口24に対応して配置され奥行きが広く形成された貯留部25と、貯留部25に連通するとともに遊技球取込装置19に向って遊技球を流下させる幅の狭い通路部26とから構成されており、全体の外周には遊技球の逸脱を防止するための堤部27が形成されている。このように、貯留皿体20を、貯留部25と通路部26とに分けて構成することにより、貯留部25では比較的多くの遊技球を貯留し、通路部26では遊技球取込装置19に向って遊技球を円滑に流下させることが可能になる。なお、貯留部25の略中央部には、球落とし穴22があり、通常状態では球落とし弁22aが閉じる方向に付勢されており、遊技球が抜けないようになっている。貯留部25から遊技球を抜きたい場合には、球落としボタン23を押込むことにより、図示しないリンクが作動して球落とし弁22aが開き、遊技球は、球落とし穴22を通して扉形前面部材4の下部から落下し、遊技者に返却される。
また、通路部26の下流側部分には、通路部26の上面を閉鎖する不透明の閉鎖部材28が設けられており、遊技球取込装置19に対する不正行為、すなわちワイヤー等を侵入させて不正に遊技球をカウントさせる不正操作、をより確実に防止することが可能となっている。ところで、通路部26の下流側が閉鎖部材28によって閉鎖されていると、たとえ操作盤6と貯留皿体20との間に隙間21が形成されていても、通路部26の下流側を転動する遊技球を視認することが困難となる。このため、例えば遊技を終了する際に、貯留皿体20上に遊技球が残っているか否か、すなわち全ての遊技球を使い切ったか、あるいは全て払い出したか等を確認することが困難となる。そこで、本例では、貯留皿体20の前面に透明な部材からなる球視認窓29が形成されている。このため、通路部26を転動する遊技球を容易に視認させることが可能となり、特に球視認窓29が貯留皿体20の前面部分に形成されているため、隙間21から覗き込むような姿勢をとることなく、遊技を行いながら自然な形で視認させることが可能となる。
また、貯留皿体20における貯留部25の上方には、操作盤6が被さらない開放空間30が設けられている。換言すれば、操作盤6は、貯留皿体20における通路部26の上方にのみ形成されるように右側に片寄って配置されている。このため、貯留部25での貯留状態を上方または斜め上方から容易に視認させることが可能となる。つまり、通路部26で転動する遊技球を視認することが困難であっても、少なくとも遊技球の貯留状態だけは明瞭に認識させることで、払出口24から放出される遊技球(賞球)の払出しを視認することができ、遊技機本来の面白みを維持することができる。つまり、払出された遊技球を視認することができない場合には、遊技球の払出しを実感させることが困難となり、遊技の興趣を半減させる虞があるが、本例のように貯留部25における貯留状態を明瞭に視認させることにより、興趣の低下を抑制することができる。
なお、開放空間30に位置する扉形前面部材4の前面には、発光によって遊技状態を表示する遊技状態ランプ31が配置されている。このため、遊技状態ランプ31の発光状態によって遊技状態を確認しつつ、遊技球の貯留状態を視認することができる。したがって、遊技状態ランプ31を一層注目させることが可能になり、遊技球の払出し状況と関連付けて遊技状態の変化を認識させることができる。なお、貯留部25の上方に遊技状態ランプ31を配置した場合でも、遊技状態ランプ31は遊技者側に大きく突出しないため、貯留部25で貯留される遊技球を遮蔽することはない。すなわち、貯留状態の視認性を維持することができる。
〔貸出精算操作部の構成〕
図1及び図5に示すように、貯留皿体20の下方には、貯留皿体20よりも遊技者側に突出して形成された横長の扁平突出部35が配置されており、その扁平突出部35の上面に、遊技者に遊技球の貸出しまたは精算を指示させることが可能な貸出精算操作部36(具体的には球貸ボタン及び返却ボタン)が設けられている。なお、遊技中に操作することの少ない貸出精算操作部36を貯留皿体20の下方、すなわち扉形前面部材4の下端近傍に配置することにより、遊技の邪魔になることなく設けることができる。また、扁平突出部35は遊技者側に突出して形成されているため、貯留皿体20の近傍に配置した場合でも、容易に操作することが可能となる。また、扁平突出部35の上面は、遊技者側に向って下り勾配となった傾斜面37からなり、この傾斜面37に貸出精算操作部36が配置されているため、貸出精算操作部36は斜め上向きとなり、扉形前面部材4の下端部分に配置された貸出精算操作部36を容易に操作させることができる。また、扁平突出部35における貸出精算操作部36の周辺には、遊技状態に基づいて発光する電飾部38が配置されているため、貸出精算操作部36の所在を遊技中において目立たせることが可能となり、精算等の際に、貸出精算操作部36の所在を確認するという手間が軽減され、使い勝手を高めることができる。さらに、図示しないが、左右の貸出精算操作部36(球貸ボタン及び返却ボタン)の間には、CR(クレジット)の残高が7セグメントLEDによって表示されるようになっている。
〔遊技球払出装置の構成〕
図3に示すように、本体筐体3の片側寄りの上下方向には、遊技球払出装置18に対応する縦長の払出装置装着部(図示しない)が形成されている。払出装置装着部は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。遊技球払出装置18は、払出装置装着部の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、遊技球払出装置18は、従来から周知の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
〔遊技球取込装置の構成〕
次に、遊技球取込装置19の構成について、図11乃至図17に基づき説明する。ここで、図11は遊技球取込装置19を分解して遊技機背面方向から見た斜視図であり、図12(a)は遊技球搬送体の正面図、図12(b)は遊技球搬送体の側面図、図12(c)は遊技球搬送体の背面図であり、図13は球抜き弁と球抜き弁が前進しているのか後退しているのかを検出する球抜き弁検出器との関係を示す斜視図であり、図14は遊技球取込装置19の取込動作状態を背面方向から示す図であり、図15は遊技者の操作により球抜き弁が後退位置に移動して球抜きを行っている状態を示す図であり、図16は遊技球取込装置19において残留している遊技球を排出するために遊技球搬送体が逆転している状態を示す図であり、図17は遊技球取込装置19において取込動作中に連続的に取込まれるべき遊技球に欠落が生じた場合を示す図である。
図11に示すように、遊技球取込装置19は、ベース51に、奥球通路部材52、手前球通路部材53、遊技球取込装置基板67が固定され、その中に遊技球搬送体54が角度検出板63とともにモータ軸62に同一軸線上に固定されて回転し得るようになっている。なおモータ本体は図示を省略している。
奥球通路部材52と手前球通路部材53に取付けられる部品の構成はほぼ同じであるので、ここでは、手前球通路部材53に取付けられる部品について説明する。
手前球通路部材53に流入する遊技球は、手前流入通路53aを転がり、球抜き弁55が前進位置にある場合(常態においては、コイルスプリング61で前進位置になるように付勢されている)、手前遊技球搬送体回転スペース53bに到達する。手前遊技球搬送体回転スペース53bでは、回転円盤にスプロケット状の歯を備えた遊技球搬送体54に接触する。
遊技球搬送体54のスプロケット状の歯の凹部はちょうど遊技球が1個のみ載るようになっており、遊技球搬送体54を反時計方向に回転させることにより、遊技球は取込方向に搬送され、最終的に、遊技球搬送体54から離れ、手前取込カウントスイッチ58で検出された後、手前遊技球排出口53eを通って前述の返還通路(図示しない)より、パチンコ機島に返還される。
遊技球が、球抜き弁55の上を通って手前遊技球搬送体回転スペース53bに流入する際、遊技球搬送体54のスプロケット状の歯の凸部と手前球噛防止片69の間に噛み込まれる可能性がある。本実施例では、この手前球噛防止片69が弾性によって移動し、遊技球が噛み込んで動作が停止することを防いでいる。これに関しては詳細を後述する。
通常、球抜き弁55はコイルスプリング61で前進位置になるように付勢されていて、球抜き弁55の上を遊技球が転がって行く。この球抜き弁55は球抜きつまみ11と爪の弾性変形により接続されており、球抜き弁摺動部53fの中を摺動可能になっている。通常状態ではコイルスプリング61で前進位置になるように付勢されているので、球抜き弁55は閉じた状態になっているが、遊技者が球抜きつまみ11を操作することにより、球抜き弁55は開放状態になり、遊技球は下方に落下し、手前遊技球落下経路53cを通って遊技者に返却される。
手前流入通路53aの入口近くの遊技球の通路の下には手前近接スイッチ60が設けられており、近接スイッチの位置まで遊技球が満たされているときにONして、一定の球圧が確保されていることを検出する。
また、球抜き弁55には、球抜き弁遮光部55aが設けられており球抜き弁検出器56によって球抜き弁55の前進/後退を検出する。具体的には、遊技者が球抜きつまみ11を操作して、球抜き状態になったことと、手が離されて球抜き弁55が再度前進したことを検出する。
球抜き状態になった後、手が離されて球抜き弁55が再度前進したことが検出されると、遊技球搬送体54は時計方向に回転し、遊技球搬送体54に載っている遊技球は、手前球抜き経路53dを通じて遊技者に返却される。
ベース51には、遊技球取込装置基板67がネジ止めされ、遊技球取込装置基板67上には、角度検出用フォトスイッチ64が配設され、モータ軸62に遊技球搬送体54とともに固定されている角度検出板63に設けられたスリット63aを検出することで遊技球搬送体54から、遊技球が落下する排出位置を検出する。この、角度検出用フォトスイッチ64と角度検出板63と角度検出板63に設けられたスリット63aの組合せで、「遊技球落下位置検出手段」を構成する。
また、遮光部材65は遊技球取込装置基板67と共締めされており、ベース51の遮光壁51bと共に、角度検出用フォトスイッチ64に外乱光が入射しないようにして角度検出用フォトスイッチ64の誤動作を防いでいる。
球抜き弁検出器56は、球抜き弁検出器固定爪部56cによってベース51の球抜き弁検出器取付け穴51aに取付けられている。図示しないモータ本体は放熱板70と共にベース51に共締めされている。
<遊技球搬送体の形状>
図12(b)に示すように、遊技球搬送体54は、手前流入通路53aに対応する手前球受部54Aと、奥流入通路52aに対応する奥球受部54Bと、手前球受部54Aと奥球受部54Bとの間に形成された円板状の円盤部54Cとからなり、手前球受部54Aと奥球受部54Bと円盤部54Cとが同一回転軸上に一体に形成されている。
各々の球受部54A,54Bは、スプロケット状をなし、その外周に遊技球を1個のみ受入れ可能であり、かつ回転軸に沿って形成された溝状の凹部54dが周方向に等間隔に複数設けられると共に、各凹部54dの間に各凹部54dを区画するための凸部54eが複数形成されてなる(本実施形態では、各々の球受部には遊技球が1個ずつ載る凹部54dと、その凹部54dを形成するための凸部54eが各々6個設けられている)。
凹部54dには、モータ軸(回転軸)にほぼ沿う方向に形成された基端部54d1と、回転軸に沿う方向において内側から先端に向って(円盤部54Cから離れるに従って)回転軸の中心方向に傾斜する傾斜部54d2とが設けられている。同様に凸部54eにも、モータ軸にほぼ平沿う方向に形成された基端部54e1と、回転軸に沿う方向において内側から先端に向って(円盤部54Cから離れるに従って)回転軸方向に傾斜する(モータ軸の中心方向に傾斜する)傾斜部54e2とが設けられている。本実施形態では、遊技球搬送体54は樹脂成形されているので、基端部54d1、基端部54e1には抜き勾配程度の勾配はある。
遊技球搬送体54は、回転に伴って各凹部54dが受入位置で径方向から流入する遊技球を受入れ、排出位置で遊技球を落下させることにより遊技球を搬送する。図12(a)中の矢印Y3は遊技球が進入してくる方向であり、矢印Y5は遊技球が遊技球搬送体54より離れて排出される方向を示す。この進入方向Y3と排出方向Y5は、手前球通路部材53の形状と凸部54eにより規定される。同様に、図12(c)中の矢印Y4は遊技球が進入してくる方向であり、矢印Y6は遊技球が遊技球搬送体54より離れて排出される方向を示す。この進入方向Y4と排出方向Y6は、奥球通路部材52の形状と凸部54eにより規定される。本実施例の場合、排出方向Y5と排出方向Y6とは30°の角度差があり、手前球受部54Aと奥球受部54Bのモータ軸に対する位相は同じであるが、凹部54d(凸部54e)のピッチが60°であるのに対して半ピッチの30°の角度差で排出するので、遊技球搬送体54の回転中には、遊技球は手前球受部54A、奥球受部54Bから交互に排出することになる。
<球抜き弁の詳細>
図13(a)に示すように、球抜き弁55は、球抜きのための弁と遊技球の通路の一部を兼用しており、弁の閉鎖時(前進時)奥球通路弁55bは奥流入通路52aとほぼ連なる面となり奥遊技球搬送体回転スペース52bへと遊技球を導く。同時に、手前球通路弁55cは手前流入通路53aとほぼ連なる面となり手前遊技球搬送体回転スペース53bへと遊技球を導く。
球抜きつまみ取付用爪部55dは、球抜きつまみ11(図11参照)と係合するための爪である。また、コイルスプリング取付部55eは図13(b)に示すコイルスプリング61を外嵌により取付けるための突起である。
球抜き弁遮光部55aは、後退時に透過型フォトセンサである球抜き弁検出器56の球抜き弁検出器発光部56aと球抜き弁検出器受光部56bの間を遮る。また、符号56cは、球抜き弁検出器56をベース51の球抜き弁検出器取付け穴51a(図11参照)に取付けるための球抜き弁検出器固定爪部である。
常態においては、コイルスプリング61の付勢により図13(a)のように球抜き弁55は前進位置に押しつけられている。このとき、球抜き弁遮光部55aが球抜き弁検出器56を遮らないので検出されない。ここで、遊技者が球抜きつまみ11(図1参照)を操作して球抜き弁55を後退位置に移動させると、球抜き弁遮光部55aが球抜き弁検出器発光部56aと球抜き弁検出器受光部56bの間を遮るので、球抜き弁55が後退したことが検出される。また、奥球通路弁55bと手前球通路弁55cとが後退するため、遊技球は、奥流入通路52aから奥遊技球落下経路52cへ落下すると共に、手前流入通路53aから手前遊技球落下経路53cへと落下する。
<遊技球取込装置の動作>
図14では、手前流入通路53aを転動した遊技球が手前球通路弁55cの上を通り、手前遊技球搬送体回転スペース53bに流入している。そして遊技球は反時計方向に回転している遊技球搬送体54の凹部54dに1個ずつ載り、最終的に遊技球搬送体54から落下して手前取込カウントスイッチ58に検出され、手前遊技球排出口53eから排出される。遊技球取込装置19で取込球としてカウントされ排出された遊技球は、扉形前面部材4に設けられた返還傾斜通路50(図3参照)を経て、本体筐体3に設けられた返還通路51を転動して回胴式遊技機1の裏(つまりパチンコ機島)に排出される。
図15は、遊技者の操作により球抜き弁55が後退位置に移動して球抜きを行っている状態を示す図である。奥球通路部材52内での遊技球の挙動と手前球通路部材53での遊技球の挙動は同じであるので、本例では奥球通路部材52内での遊技球の挙動を例示する。
遊技者の操作により球抜き弁55が後退位置に移動すると、球抜き弁検出器56の球抜き弁検出器発光部56aと球抜き弁検出器受光部56bの間を球抜き弁遮光部55aが遮るため、遊技者が球抜き操作を行っていることが検出される。球抜き操作が行われていることが検出された場合、たとえ取込動作中で、遊技球搬送体54が回転中であってもモータ軸62を回転させているモータは停止される。
球抜き弁55が後退すると奥球通路弁55bが後退し、奥流入通路52aから奥遊技球搬送体回転スペース52bに遊技球が新たに入ることなく後続球は奥球抜き経路52dから落下し、奥取込カウントスイッチ57にカウントされることなく排出される。この場合、遊技球は回胴式遊技機1の前側(つまり遊技者)に返却される。この操作で、奥流入通路52aに並んでいる遊技球を返却することができる。ただし、図15に示すB1〜B5と符号を付けた遊技球は残留している。
図16は前記の残留している遊技球B1〜B5を排出するために遊技球搬送体54が逆転(時計方向に回転)している状態を示す図である。これは、図15から連続して発生する事象であるので、引き続き奥球通路部材52内での遊技球の挙動を例示する。
球抜き弁55の操作をやめると、圧縮されていたコイルスプリング61[図13(b)参照]の弾性で再び球抜き弁55は前進位置に移動する。これによって球抜き弁検出器56の球抜き弁検出器発光部56aと球抜き弁検出器受光部56bの間を球抜き弁遮光部55aが遮らなくなるため、球抜き弁55の操作をやめたことが検出される。
球抜き弁55の操作をやめたことが検出されると、遊技球搬送体54が逆転(時計方向に回転)を開始する。これにより、残留していたB1〜B5と符号を付けた遊技球は、取込時とは逆方向に搬送され、奥遊技球落下経路52cから落下し奥取込カウントスイッチ57にカウントされることなく排出される。この場合も、遊技球は回胴式遊技機1の前側(つまり遊技者)に返却される。また、図16に示すように、まず遊技球搬送体54の凹部54dに載っている遊技球が先に返却され、その後、遊技球搬送体54の凹部54dに載っていなかった遊技球(B4、B5)が遊技球搬送体54の凹部54dに載った後に搬送され落下して返却される。
<遊技球の取込動作に欠落が生じる場合>
次に、図17を元に取込動作中に連続的に取込まれるべき遊技球に欠落が生じる場合を説明する。遊技球搬送体54の凹部54dに遊技球が載ることなく遊技球搬送体54が回転する原因は主に2種類ある。
まず、第1の原因としては、遊技球搬送体54の回転速度に対して手前流入通路53a、もしくは奥流入通路52a(以降流入通路と略す)にある遊技球の速度が遅いときが挙げられる。つまり、遊技球搬送体54が回転を始める前には、流入通路にある遊技球は初速度が零で静止している。これに対して、遊技球搬送体54が回転を始めると流入通路に並んだ遊技球の先頭が凹部54dに落ちることによって移動を開始する。
パチンコ機の払出装置の場合、遊技球搬送体54に相当する部品に至るまでの遊技球の列は、ほぼ垂直に多数個の遊技球が並んでいるため、重力加速度により、ただちに移動を開始できる。しかし本例の回胴式遊技機1は、メダルを使用する回胴式遊技機よりも約10cm高いパチンコ機島に設置されるため、メダルを用いた回胴式遊技機よりも低い位置に演出表示装置15を設置することにより、演出表示装置15の画面を遊技者から見下ろすことができるようにしている。上述の低い位置に演出表示装置15を設置する構成を実現するための方法の一つとして遊技球取込装置19は極力高低差を設けないように、言い換えれば流入通路には緩斜面を用いている。
このように緩斜面を用いているために、遊技球を進行させる重力加速度は、斜面方向の分力となるため、パチンコ機の払出装置の場合と条件が異なり、初速は同じ零でも加速の度合いが大幅に小さくなることになる。このため、遊技球搬送体54が回転を開始した際に最初に遊技球を受け取るべき凹部54dに遊技球が落ちない状態で(つまり欠落して)遊技球搬送体54が回転してしまうことがある。これが、凹部54dに遊技球が載ることなく遊技球搬送体54が回転する原因の1つ目である。
第2の原因としては、遊技球が遊技球搬送体54の凹部54dもしくは凸部54eに接触する際にはじき返され、その結果として後続遊技球とぶつかり、当該遊技球もしくは後続遊技球の凹部54dへの落下が阻害されることが考えられる。
上述のような二つの原因により、図17のように遊技球B2とB3の間に遊技球が欠落した状態が生じる。なお、この図において、遊技球B1、B2は前回の取込操作によって遊技球搬送体54の凹部54dに載っている。
<遊技球取込時のタイミングチャート>
図54を基に説明する。なお、図54は遊技球取込動作の時間的な変化を示すタイミングチャートであり、図54(a)は、図14のように正常な取込状態のときのタイミングチャートであり、図54(b)は、図17のように取込の際に欠落が生じた場合のタイミングチャートである。なお、図14及び図17では手前球通路部材53内での遊技球の挙動を代表として挙げているが、図54では手前球通路部材53と奥球通路部材52との両方の遊技球の挙動をタイミングチャートに示している。
図54(a)及び(b)のタイミングチャートに示されている各信号を説明する(以下に示す各種のハードウェアは図11を参照)。近接スイッチ出力とは、奥近接スイッチ59、手前近接スイッチ60の出力を示し、図54(a)及び(b)の両方とも遊技球を検出していることを示している。すなわち一定以上の球圧が確保されていることが検出されている。角度検出用フォトスイッチ64において角度検出板63のスリット63aにて検出される。カウントスイッチ出力は奥取込カウントスイッチ57、手前取込カウントスイッチ58での検出信号の両方を合わせた信号出力である。
図54(a)及び(b)では、一例としてマックスベットボタン7が押されて15個の遊技球を取込むことを想定している。まずマックスベットボタン7が押されると、近接スイッチ出力を確認する。ここで一定以上の球圧が確保されていることを確認すると、15個の遊技球を取込むために必要な角度だけ、駆動モータを取込方向(図11では反時計方向)に高速回転させる。ここで、15個の遊技球を取込むために必要な角度は1回転+1/4回転であるが、正確を期するために、角度検出用フォトスイッチ64において角度検出板63のスリット63aが15回検出されることでフィードバックしている。もちろん角度検出用フォトスイッチ64において角度検出板63のスリット63aが検出される位置は、ちょうど遊技球搬送体54から遊技球が離れて落下を開始する排出位置である。
遊技球が落下を開始する排出位置と、奥取込カウントスイッチ57、手前取込カウントスイッチ58の間には多少の落差があるため、検出するまでにある程度の時間を必要とする。図54(a)の角度検出用フォトスイッチ出力とカウントスイッチ出力に時間的な差が生じるのはそのような理由による。そして、必要な角度だけ遊技球搬送体54が回転したところで、所定のウェイト時間(所定の待ち時間)だけカウントスイッチ出力を監視し、それまでに15個の遊技球がカウントスイッチ出力によって確認された場合に取込完了となる。
前記の図54(a)に対して、図54(b)は、遊技球搬送体54の凹部54dに遊技球が載ることなく遊技球搬送体54が回転し、遊技球の欠落が生じてしまった場合を示している。基本的に遊技球取込装置19の動作は必要な角度だけ遊技球搬送体54を高速回転させるところまでは同じである。しかし、図54(b)では、奥流入通路52aもしくは手前流入通路53aでの先頭の遊技球が遊技球搬送体54の凹部54dに載ることなく遊技球搬送体54が回転してしまった例を示している。カウントスイッチ出力が始まるタイミングは図54(a)と同じであるが、これは、前回の取込動作によって遊技球搬送体54の凹部54dに既に載っていた遊技球が落下してきたことによるものであり、遊技球搬送体54の回転開始時に凹部54dに欠落を生じた場合には本実施形態の場合では6番目のカウントスイッチ出力が欠落することが多い。この結果として、遊技球搬送体54を回転させた後、所定のウェイト時間までに検出される遊技球は14個となり1個不足している。
所定のウェイト時間が経過しても必要個数の遊技球が検出されない場合はリトライ動作が行われる。本実施形態では、リトライ動作は不足個数に見合った角度だけ、遊技球搬送体54を低速回転することにより行う。図54(b)に示す例の場合は不足個数は1個であるので、1/12回転だけ(つまり次の角度検出板63のスリット63aが検出まで)回転される。その後、この場合も所定のウェイト時間までカウントスイッチ出力を見る。この例では不足個数の1個の遊技球がカウントスイッチ出力として出力されたのでこの時点で取込完了となる。図54(a)と(b)を比較すれば分かるように、1個の欠落が生じただけで遊技球搬送体54を不足分だけ低速回転させる時間と、1回のウェイト時間が余分に必要となる。
〔機内タンクの構成〕
ところで、図3に示すように、扉形前面部材4の背面側には、遊技球払出装置18と貯留皿体20(図2参照)との間に介装された機内タンク39が設けられており、遊技球払出装置18から払出された遊技球を本体筐体3の内部で貯留させることが可能となっている。これにより、貯留皿体20を一皿構造としたことによる容量不足を補うことができ、貯留皿体20から遊技球が溢れないように頻繁に抜き取ったり、あるいは遊技球の投入が断続的となったりすることを防止できる。
以下、機内タンク39の構成について、図18〜図21に基づいて説明する。ここで、図18は機内タンク39を前方右上から見た斜視図であり、図19は機内タンク39の正面図であり、図20は図19のA−A断面図であり、図21は機内タンク39における満タン検知ユニットを示す斜視図である。
払出口24(図2参照)の裏面側に固着される機内タンク39は、図18及び図19に示すように、その内部に球を貯留でき且つ球が通過できるように中空形状に形成されるものであり、概ね500個程度の球を貯留できるように構成されている。機内タンク39は、一側の側面が平面部71として平面状に、他側の側面が円弧面部72として円弧状に、上面が上面部73として平面状に、底面が第1底面部74及び第2底面部75として段差状に、その正面側が開口して開口部79として形成されている。また、開口部79の左右には、取付片77a,77bが外側に向かって突設されており、この取付片77a,77bによって機内タンク39が払出口24の裏面に対応する扉板(図示しない)にビス止め固定されている。
機内タンク39の内部は、賞球を貯留誘導するための賞球誘導空間76として形成されるが、その機内タンク39の後方寄り部分には、切欠開口78が形成され、この切欠開口78に満タン検知ユニット80が着脱可能に装着し得るようになっている。より具体的には、切欠開口78は、平面部71の後方上部と上面部73の後方部分と円弧面部72の後方部分とに亘って切り欠けられており、その切欠開口78に図21に示すように予めユニット化された満タン検知ユニット80を上方から装着し得るようになっている。
ここで、図20及び図21を基に満タン検知ユニット80について説明すると、満タン検知ユニット80は、賞球開口82と、区画壁84を含む側方誘導板83と、揺動板87と、満タン検知スイッチ89と、を1つのユニット枠体81に集約して構成されている。ユニット枠体81は、直方体状の隣り合う側面が開放されたボックス状に合成樹脂で一体的に形成されるものである。そして、賞球開口82は、本体筐体3に形成される賞球誘導通路(図示しない)の下端に臨んで賞球を機内タンク39の賞球誘導空間76内に取り入れるための取り入れ口であり、ユニット枠体81の上面に形成されている。また、側方誘導板83は、機内タンク39の一側の側方である円弧面部72に向かって下り傾斜するようにユニット枠体81と一体的に形成されるもので、賞球開口82から受け入れた球を下流側に誘導するように賞球開口82の直下に位置する主側方誘導路85と、該主側方誘導路85の一側方に形成されて賞球開口82の直下に位置しない副側方誘導路86と、がその上面に形成されると共に、主側方誘導路85と副側方誘導路86との間に球の直径とほぼ同じ高さの区画壁84を突設されている。なお、主側方誘導路85の幅は賞球開口82の幅よりも大きく、また、副側方誘導路86の幅は、球の直径の2倍程度に形成されている。なお、副側方誘導路86の側方端辺には、垂直方向に立設する側板83aが側方誘導板83と一体的に形成されている。しかして、副側方誘導路86の幅寸法を球の直径の2倍程度に形成しているので、充満時における副側方誘導路86での玉量が少ないため、副側方誘導路86での球詰まりの発生がほとんどない。
また、区画壁84よりもやや副側方誘導路86側に入った上方に揺動軸88が水平方向に突設され、その揺動軸88に揺動板87の上端部に形成される軸筒部87cが挿通されて揺動自在に設けられている。この揺動板87には、その後面側に円弧板87aが突設され、その円弧板87aの上辺から側辺上部にかけて検出部87bが突設形成されている。この検出部87bは、その側辺上部の突出部分が投受光方式の満タン検知スイッチ89の投光部と受光部との間に入ったり出たりするもので、揺動板87が球に押圧されることなくほぼ垂直状態の場合、検出部87bが投光部と受光部との間に入って満タン検知スイッチ89をOFFとし、揺動板87が球に押圧されたときの傾動状態の場合、検出部87bが投光部と受光部との間から出て満タン検知スイッチ89をONとする。そして、満タン検知スイッチ89がONすると、本例の場合、遊技球払出装置18の駆動を停止して、球の払出動作を停止するようになっている。なお、揺動板87の下端は、球が区画壁84を飛び越えて副側方誘導路86に入ったときに該球によって押圧されて傾動するような位置まで垂下されていると共に、揺動板87の下端に後方に延設される案内突起87dがユニット枠体81の後方側面に形成される案内円弧(図示しない)に係合されて、その傾動範囲を規制している。
また、図18及び図19に示すように、機内タンク39の底面は、側方誘導板83の下流側の下方に位置して平面部71側へ下り傾斜する第1底面部74と、この第1底面部74の下流側の下方に位置して開口部79側へ下り傾斜する第2底面部75と、が段差状に形成されている。この段差状の高さは、球の直径よりも小さく半径よりも大きく形成されている。このように、機内タンク39は、側方誘導板83と、第1底面部74と、第2底面部75とが段差状に形成され、受入れた球を、その流下方向を変えながら且つ段差のある流下経路の上段から下段に順次導いて貯留皿体20への払出口24に誘導するようにしたので、機内タンク39内での球詰まりの発生を予防することができる。特に、主側方誘導路85から第1底面部74に球が落下する際に、主側方誘導路85から飛び出した球が円弧面部72の内周面に衝突してその円弧によって第1底面部74の前方側にスムーズに誘導されるようになっている。また、機内タンク39を扉形前面部材4の裏面に固着した状態において、誘導貯留空間76に対応する開口部79部分は、貯留皿体20への払出口24に向かって開放した状態となっている。なお、図示の実施形態の場合には、底面部74,75を段差状に形成したものを示したが、底面部74,75を連続した傾斜状底面として構成したものでも良い。
上記のように構成される機内タンク39において、機内タンク39の賞球開口82は、球の流下経路の上流側である機内タンク39の後方側に形成されているため、機内タンク39に球が貯留される際、下流側である機内タンク39の前方側から徐々に貯留されていく。このため、例えば、賞球開口82を機内タンク39の前方側に設けたときのように、球が貯留される際に機内タンク39内部の後方側に空間ができてしまい、多量の球を貯留できないということがなく、機内タンク39内部の空間を十分に使って多量の球を貯留することができる。なお、賞球開口82は、機内タンク39の上面でなくても、例えば、機内タンク39からL字状に筒状の流路筒を突出させたものでもよく、要は、賞球開口82が機内タンク39の後方上部で上を向いた開口として形成されていれば良い。
また、主側方誘導路85と副側方誘導路86との間に球の直径とほぼ同じ高さの区画壁84を突設したので、機内タンク39に球が貯留される通常の状態において、賞球開口82から受入れられる球が主側方誘導路85を流下して下流側に導かれるため、区画壁84よりもやや副側方誘導路86側に入った上方に揺動自在に設けられる揺動板87を揺動することはなく、誤って満タン検知スイッチ89がONされることを防止することができる一方、側方誘導板83の位置まで球が詰まってきたときには、区画壁84を乗り越えて主側方誘導路85から副側方誘導路86に球が誘導されて揺動板87を揺動させて満タン検知スイッチ89をONさせるので、満タンを確実に検出することができる。更に、ほぼ密閉された機内タンク39内に満タンを検知するスイッチ89を設けたので、そのスイッチ89がONしたときに、例えば、遊技球払出装置18の払い出し動作を停止することにより、密閉状の機内タンク39の内部空間が球で充満されることはなく、これによっても機内タンク39内での球詰まりの発生を予防することができる。
一方、満タン状態が解除される場合においても、球詰まりが発生し難い副側方誘導路86に詰まっていた球が副側方誘導路86にそって下流側に誘導されれば揺動板87が垂直状体に戻るため、確実に満タン状態の解除を検出することができる。
更に、上記したように、機内タンク39の一側の側面が円弧面部72として円弧状に形成されているため、側方誘導板83で誘導された球をスムーズに第1底面部74に導くことができると共に、機内タンク39が扉形前面部材4に取り付けられた状態で扉形前面部材4を本体筐体3に対して開閉した場合でも、機内タンク39における後方側の一側の側面部分が本体筐体3に干渉するということがなく、扉形前面部材4をスムーズに開放することができる。
〔扉形前面部材の構成〕
扉形前面部材4の構成を図9及び図10に基づき説明する。ここで、図9は扉形前面部材4を分解した状態を前方右上から見た斜視図であり、図10は扉形前面部材4を分解した状態を後方左上から見た斜視図である。扉形前面部材4は、額縁状で樹脂製の扉ベース部材100を有しており、扉ベース部材100の前面に、ドラム用窓部14を備えた上部飾り102(後述する)、表示装置用窓部16、操作盤6、貯留皿体20、及び下部飾り103等が組付けられている。特に、扉ベース部材100は、上下方向に三つの領域(上段、中段、下段)に区画されており、上段には図柄変動表示装置13が後方から挿入される第一開口部100a、中段には演出表示装置15が嵌め込まれる第二開口部100b、下段には遊技球取込装置19や遊技球の通路が収容される第三開口部100c、が夫々設けられている。なお、扉ベース部材100の背面には、扉ベース部材100の外周縁に沿って配置された枠状の補強金属枠101が取付けられている。
〔上部飾り等の構成〕
上部飾り102等の構成について、図22〜図25に基づいて説明する。ここで、図22は扉形前面部材4における上部飾り102を分解した状態を前方右上から見た斜視図であり、図23は上部飾り102を分解した状態を後方左上から見た斜視図であり、図24は上部飾り102におけるメッキ装飾ユニットの分解拡大斜視図であり、図25はメッキ装飾ユニットの取付状態を示す縦断面図である。
図22及び図23に示すように、上部飾り102は、扉ベース部材100の上段部分に組付けられており、扉ベース部材100の前面から遊技者側に突出する形態となっている。つまり、上部飾り102の中央部分における縦断面は略コ字形となっており、内部に図柄変動表示装置13を収容するためのリール装着部341(図31参照)(詳細は後述する)が凹設されている。上部飾り102の中央部分には、図柄変動表示装置13を視認させるための透明のドラム用窓部14が設けられ、その左右両側には、スピーカ130(図10参照)の音を通過させる音通過孔部105が形成され、さらに上部飾り102の両端側にはメッキ装飾ユニット106が設けられている。また、上部飾り102の前面上端部分には、遊技者側に向って突出する庇部104が形成されている。なお、メッキ装飾ユニット106は、扉形前面部材4の下端のコーナー部分にも下部飾り103として設けられているが、どちらのメッキ装飾ユニット106も同一の構成であるため、ここでは上部飾り102におけるメッキ装飾ユニット106についてのみ詳細に説明する。
メッキ装飾ユニット106は、図2及び図24に示すように、扉ベース部材100から遊技者側へ大きく突出し表面にメッキ皮膜が施された装飾部材107と、表面が装飾部材107の表面に連続するとともに角部において略円弧状の曲面を形成する着色樹脂部材108と、装飾部材107よりも発光基板110寄りの空間に配置され、遊技状態に応じて光を放射することが可能な電飾装置109とを具備して構成されている。なお、装飾部材107の表面及び着色樹脂部材108の表面は、遊技者が直接手で触れることが可能な露出部分であるが、電飾装置109は直接触れることができないように透明のレンズカバー116で覆われている。
電飾装置109は、LED等の発光源(図示しない)を内蔵する白色の第一レンズ体113aと、同じく発光源を内蔵する赤色の第二レンズ体113bと、第一レンズ体113a及び第二レンズ体113bを収容するとともにそれらのレンズ体レンズ113a,13bから放射された光を遊技者側に向って反射させる略円錐形の反射面115を有する反射凹部114とを具備して構成されている。第一レンズ体113aは周囲が円筒状で先端部分が球面となった形状を呈し、反射凹部114の後方に配置されたレンズ取付板112に取付けられるとともに、反射凹部114の後端部分に穿設された開口を通って反射凹部114の奥側に配置されている。また、第二レンズ体113bは、円環状の基部113cと、基部113c上に等間隔で配置されるとともに前方に向って突出する四つの流線型突出部113dとからなり、レンズ取付板112に取付けられている。つまり、流線型突出部113dが反射凹部114の外側から反射凹部114に形成された流線型孔部114aに臨んでおり、発光面が反射面115側に露出した状態で取付けられている。なお、第一レンズ体113a及び第二レンズ体113bに内蔵された発光源は、発光基板110(図22参照)に接続されており、発光基板110を介して電力が供給されるようになっている。
特に、本例の装飾部材107は、電飾装置109の反射凹部114と一体で形成され、表面全体にメッキ皮膜が施されている。これにより、メッキ皮膜によって反射面115を構成することができるとともに、扉ベース部材100から大きく突出する部分(すなわち装飾部材107)と、扉ベース部材100近傍に配置される部分(すなわち反射凹部114)とを電気的に導通することが可能になる。
装飾部材107の放電について詳細に説明する。仮に、メッキ処理された装飾部材107を、樹脂製の扉ベース部材100上に配置した場合、または着色された着色樹脂部材108と組合せて構成した場合には、電気的に浮いた部分、すなわち本体筐体3に対して電気的に接続されていない部分が生じることとなり、これによれば、静電気による放電によってノイズが発生し、CPUをはじめとする電子部品が誤動作したり、電子部品を破壊したりする虞がある。
これに対し本例では、図22及び図25に示すように、扉ベース部材100の後面には本体筐体3に対し電気的に導通した補強金属枠101が組つけられており、装飾部材107及び反射凹部114を一体成形した装飾部形成体は、この補強金属枠101の背面側からねじ込まれる導電性のネジ118によって補強金属枠101と接続されている。このため、扉形前面部材4の前面側に露出される装飾部材107(すなわち装飾部形成体の一部)は、導電性のネジ118及び補強金属枠101を介して本体筐体3に電気的に接続されることとなる。したがって、装飾部材107の金属皮膜部分に静電気が帯電しても、その静電気はネジ118及び補強金属枠101を介して本体筐体3側に放電される。特に、装飾部材107と反射凹部114とを一体で形成することで、装飾部形成体は、扉ベース部材100側に向って後方に延出された形状となり、補強金属枠101の背面側からねじ込まれる導電性のネジ118によって、装飾部材107と補強金属枠101とを容易に連結することが可能になる。なお、補強金属枠101及び扉ベース部材100にはネジ118が挿入可能な透孔119,120が穿設され、装飾部形成体には、ネジ118が螺合されるネジ孔121が形成されている。つまり、固定用のネジ118を用いて導通させることから、手間をかけることなく、しかも極めて簡単な構成で放電させることが可能となる。
なお、補強金属枠101は、本体筐体3に対し金属製のヒンジ機構122(図3参照)を介して電気的に導通している。このため、扉形前面部材4の開閉状態に拘らず、扉形前面部材4側に帯電する静電気を本体筐体3側へ放電することが可能になる。また、ヒンジ機構122という既存の部材を用いて導通させることから、製造コストを増加させることなく放電経路を形成することができる。
〔図柄変動表示装置の構成〕
次に、図柄変動表示装置13の構成について、図26〜図33に基づいて説明する。ここで、図26は図柄変動表示装置13を前方右上から見た斜視図であり、図27は図柄変動表示装置13を後方右上から見た斜視図であり、図28は図柄変動表示装置13を分解した状態を前方右上から見た斜視図であり、図29は図柄リールを分解した状態を前方左上から見た斜視図であり、図30は図柄リールを分解した状態を前方右上から見た斜視図であり、図31はリール装着部を背面側上方から見た斜視図であり、図32はリール装着部を背面側下方から見た斜視図であり、図33は図柄変動表示装置13が装着されたリール装着部を示す拡大断面図である。
図26に示すように、図柄変動表示装置13は、リール回転式表示装置であって、個別に回転可能な例えば3個の図柄リール301a,301b,301c(以下各図柄リール301とする)と、該各図柄リール301を組込み・収容する装置ケース302とを有し、各図柄リール301における図柄表示部300の周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行うものである。
装置ケース302は、図28に示すように、底部板304と、天部板305と、右側の右側板306と、左側の左側板307と、後面を覆う一部円弧形状の後部板308とで囲った箱形であり、図柄表示部300の円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。なお、装置ケース302は、底部板304のみが金属板で形成され、他の部分は樹脂で形成されている。
また、装置ケース302の前縁には、各図柄リール301を固定するためのネジ313a,313bが螺合される複数のネジ孔302aが所定の間隔で形成されている。なお、下側のネジ313bは通常の雄ネジであるが、上側のネジ313aは螺合対象物が樹脂成形物であることからタッピングビスが用いられる。
また、装置ケース302の前面側には、カバー体309が組みつけられている。カバー体309は、装置ケース302の前面縁部に沿って形成された額縁状の枠部310と、枠部310の上端及び下端の間に架設され、装置ケース302に組み込まれた各図柄リール301を仕切るように左右方向に所定の間隔で配置された区画部311とから構成されている。なお、区画部311の前面は、上下方向の中央部分が遊技者側に向って最も突出するように略円弧状に形成されている。つまり、各図柄リール301間の隙間を前方から塞ぐとともに、図柄表示部300の円周面に対し連続した面となるように円弧状に形成されている。なお、左右両側に配置された区画部311には、左右外側から両側の図柄リール301a,301c内の機構を遮蔽する遮蔽部311aが一体的に形成されている。また、枠部310における区画部311の上側及び下側には、ネジ313a,313bを挿通させることが可能な取付孔312が穿設されている。
また、図27に示すように、装置ケース302の左側板307には、基板ケース314によって覆われたリール基板315が配置されており、リール基板315によって中継された駆動信号により各図柄リール301が個別に駆動制御されるようになっている。なお、リール基板315には、基板ケース314の開口を通して突出する四種類のコネクタ316a,316b,316c,316dが設けられており、基板ケース314の左側面下側から突出するコネクタ316aを介して、各図柄リール301を駆動制御するための信号が入力されるとともに、各図柄リール301に収容されたフォトセンサ325から送られる検出信号を主制御基板400に出力するようになっている。また、基板ケース314の上面から突出する三つのコネクタ316bには、後述するバックライト322に接続され且つ後部板308に形成された透孔308aを通して配線されたコネクタ(図示しない)が連結されるようになっている。つまり、これらのコネクタ316bを介して、バックライト322に作動用電源を付与するように構成されている。なお、この作動用電源は、基板ケース314の左側面中央に設けられたコネクタ316dを介してリール基板315に供給される。また、基板ケース314の底面から突出する三つのコネクタ316cには、後述する中継板326に設けられたコネクタ317(装置ケース302の後部板308から突出する三つのコネクタ317)に対し、コネクタ付きハーネス(図示しない)を介して連結されており、各図柄リール301内に収容されたリールモータ321に対して駆動信号を供給するとともに、フォトセンサ325から検出信号を受け取ることが可能になっている。
なお、前記のコネクタ付きハーネスには、図柄リール301ごとに、被覆材の色が互いに異なる一本または複数本の電線が含まれており、また、各図柄リール301内に収容された夫々のバックライト322には、コネクタ付きハーネスに含まれる電線の色と同系色の電線が接続されている。つまり、図柄リール301ごとにハーネス及び電線の色が異なるように設定されている。これによれば、リールモータ321に電力を供給する電線及びフォトセンサ325から検出信号を受け取る電線を含むハーネスと、バックライト322に電力を供給する電線との色合わせが可能になり、ひいては、ハーネス及び電線と、各図柄リール301との照合(すなわち誤配線の有無の確認)が容易になるとともに、各図柄リール301の配置位置を電線の色に基づいて確認させることが可能になる。すなわち、回胴式遊技機1の組付工程において、左中右の各図柄リール301の配置順は、間違ってはいけない極めて重要な項目であるが、このように電線の色を異ならせることにより、上記の配置が正しく行われたか否かを容易に視認することが可能となり、回胴式遊技機1の品質を確保することができる。さらに、図柄リール301ごとに電線の長さも異なっており、電線の長さによって各図柄リール301の配置の間違いを視認させることも可能になっている。
また、左側板307における基板ケース314の上方には、左側板307を貫通するコ字形のスリット333が形成されており、コネクタ316bに連結される電線を、結束バンド(図示しない)を用いて左側板307とともに結束させることを可能にしている。特に、下側が開いた横転コ字形のスリット333によって下端のみが連結された掛止部333aが左側板307と一体に形成されるため、結束バンドの一部を撓ませた状態で掛止部333aの上方に挿入すれば、極めて容易に結束バンドを掛止部333aに引掛けることが可能になる。つまり、左側板307に対して結束バンドを掛止させるために、左側板307に二つの孔を穿設したものでは、結束バンドの先端を二つの孔に対して順に挿通させなければならないため、結束作業が困難になる虞があるが、コ字形のスリット333を設けるようにすれば、掛止部333aの上部側から電線を引掛けることが可能になり、作業性が向上する。また、左側板307から外方に突出するようにフックを形成することも考えられるが、これによれば、構成が複雑になり、金型費等の製造費が高くなるため好ましくない。
図29及び図30に示すように、装置ケース302に配置された各図柄リール301には、周面に図柄列が表示された円環状の図柄表示部300と、夫々の図柄表示部300を回転可能に支持するとともに回転力を付与するリールモータ321と、図柄表示部300の右側に配置されリールモータ321を固定するモータ取付板320と、モータ取付板320に固定状態で取付けられるとともに、図柄表示部300の周面内側、特に遊技者側の面に沿って配置され図柄表示部300を通して遊技者側に光を放射する略円弧状のバックライト322とが設けられている。
さらに詳しく説明すると、リールモータ321は、正転及び逆転可能な直流ステップモータであり、回転軸321aの先端にフランジ323が固着されている。フランジ323は、略円板状の部材であって、周面の一部には径方向に切欠かれた嵌合部323aが形成されるとともに、周面に雄ネジ部が設けられた突起323bが形成されている。これに対応し、図柄表示部300は、右側の側面(図30では奥側の面)が全体的に開放されているが、左側の面(図30では前側の面)には、略十字形の側面部材330が設けられ、リールモータ321のフランジ323を取付けることが可能になっている。具体的には、図30に示すように、側面部材330の中心部分には、フランジ323の突起323bが挿通する貫通孔330aを有するとともに、フランジ323を内側に収容可能とする円形収容部330bが形成されており、特に、図29に示すように、円形収容部330bには、図柄表示部300の内側に向って突出するとともに、フランジ323の嵌合部323aに嵌め合わせ可能な回転防止突部330cが形成されている。そして、貫通孔330aを挿通し円形収容部330bから外部へ突出する突起323bに対して、ロックネジ324が螺合されており、これにより、リールモータ321のフランジ323が図柄表示部300の側面部材330に固定状態で取付けられる。つまり、リールモータ321の回転軸321aが図柄表示部300の側面部材330に直結されている。なお、図柄表示部300は、ロックネジ324によって軸心上で固定されるため、直径方向の力が作用せず、ひいては回転軸321aのブレを防止することが可能になる。
図30に示すように、モータ取付板320は金属板から形成され、リールモータ321を取付けるためのモータ取付部位320aと、バックライト322を取付けるためのライト取付部位320bとを有して構成されている。また、モータ取付板320の上端及び下端における正面側(遊技者側)の部分には、垂直方向に折り曲げられた取付片320cが形成され、取付片320cの略中央には、前後方向に貫通する透孔320dが穿設されている。特に、これらの透孔320dは、図28に示すように、カバー体309に形成された取付孔312、及び装置ケース302に形成されたネジ孔302aと前後方向で合致する位置に設けられている。つまり、カバー体309の前方から、カバー体309の取付孔312及びモータ取付板320の透孔320dを通して、ネジ313a,313bを装置ケース302のネジ孔302aに螺合させることにより、装置ケース302に対してモータ取付板320及びカバー体309が固定状態で組付けられている。すなわち、カバー体309とモータ取付板320とが装置ケース302に対して共締めされる。このため、装置ケース302に対してカバー体309とモータ取付板320とを別々に固定するものに比べ、作業工程を低減させるとともに、三つの部材、すなわちカバー体309、モータ取付板320、及び装置ケース302における相互の位置決めを正確にしかも簡単に行うことができ、ひいては各図柄リール301に対するカバー体309のクリアランスを少なくすることができ、各図柄リール301間の隙間を精度よく塞ぐことができる。すなわち、装置ケース302の内部構造を一層見え難くし、見栄えの低下を抑制することができる。
また、モータ取付板320における下部後端側には、後方に向って延出された延設下部320eが形成されており、延設下部320eとモータ取付部位302aとからなるコーナー部分に中継板326が取付けられている。この中継板326は、リールモータ321に接続された電線(図示しない)及びフォトセンサ325に接続された電線(図示しない)と、リール基板315に接続されるコネクタ付きハーネス(図示しない)とを中継するためのものであり、コネクタ317(図27参照)等を搭載している。また、モータ取付板320の上部後端側には、延設下部320eと同方向に延出された延設上部320gが形成されており、延設上部320gには、バックライト322に接続された電線(図示しない)を案内するための溝部(図示しない)と、当該溝部に配線された電線が溝部から逸脱することを防止する電線押え327とが設けられている。電線押え327は、透明で弾性変形可能な薄板状の樹脂部材からなり、一端側がネジ327aによって固定されている。このように溝部と電線押え327との協働によって電線を適宜の位置に保持することにより、中継板326のような基板を設けることなく、電線の遊動状態を防止することができ、ひいては電線が障害となって各図柄リール301の回転が制動されたり、回転の際に電線を巻き込んだりすることを回避できる。なお、電線押え327の前方には、リールモータ321に接続された電線、及びバックライト322に接続された電線を纏めた状態で保持する結束部材328がモータ取付板320に取付けられている。
また、モータ取付板320の中央後端側には、断面L字形の取付片320fが、図柄表示部300内に向って立設されており、フォトセンサ325を支持している。フォトセンサ325は、互いに対峙する発光部と受光部とを有し、発光部から発光される光が受光部に到達するか否かに応じた信号を出力するものである。そして、図29に示すように、図柄表示部300における側面部材330の内面側には、図柄表示部300が一回転するごとに、フォトセンサ325における発光部と受光部との間を通過する遮光片331が内方に向って突出している。つまり、リール301を一回転させるごとに、発光部から放射された光が遮光され、それに応じた信号が出力するようになっている。
ところで、遮光片331は発光部から放射された光を遮るものであるため、不透明な部材、例えば黒色の部材から形成されることが好ましく、一方、図柄表示部300の側面部材330は、図柄表示部300と一体に成形されることから光透過性の部材、例えば透明部材から形成されることが好ましい。このため、遮光片331と側面部材330とは一体成形することはできず、側面部材330に対して遮光片331を取付けるための手段が必要となる。しかし、ネジ等の締結部材を介して取付けるものでは、遮光片331を含む図柄表示部300全体の重心が回転軸から偏心する程度が高くなり、図柄表示部300の回転速度にムラが発生するおそれがある。また、接着剤によって遮光片331を接着するものでは、側面部材330に対する遮光片331の位置決めが困難となり、ひいては図柄表示部300の回転位置を正確に検出できなくなるおそれがある。
そこで、本例では、遮光片331をインサート成形によって成形している。つまり、予め形成された遮光片331を金型に入れ、図柄表示部300及び側面部材330を射出成形することにより、遮光片331と側面部材330とを一体的に形成している。これによれば、比較的簡単に形成することができるとともに、側面部材330に対する遮光片331の位置決め精度を高めることが可能になる。
バックライト322は、略円弧状の外観を呈しており、モータ取付板320のライト取付部位320bに当接する側には、所定の間隔で配置された二つのLED322aが、側面部材330側に向って光を放射するように配置されている。また、図柄表示部300の内面側には、夫々のLED322aから放射された光を図柄表示部300の図柄列(図示しない)側に向って反射させる白色の反射部322bが形成されている。このため、図柄表示部300の内側において面発光させることが可能になり、略均一な光によって、遊技者側に位置する図柄、特に三つの図柄を、略均一な光によって光らせることが可能になる。
ところで、本例の図柄変動表示装置13は、扉形前面部材4に凹設されたリール装着部341(図31参照)に対し、後方から嵌め込まれた状態で装着されている。特に、回胴式遊技機1の組立工数を削減するため、リール装着部341に対し図柄変動表示装置13をワンタッチで装着させるよう構成されている。具体的に説明すると、図28及び図33に示すように、装置ケース302の底部板304には、下面から垂下された二つの下側突出片352が所定の間隔で形成されており、装置ケース302の天部板305には、上面から立設した二つの上側突出片353が所定の間隔で形成されている。これに対し、図31及び図32に示すように、扉形前面部材4のリール装着部341には、図柄変動表示装置13をリール装着部341内に収容した際に下側突出片352と対向する位置に、溝部350を有する取付部351が形成されており、溝部350内に下側突出片352を挿入させることが可能となっている。また、リール装着部341の天井面には、図柄変動表示装置13をリール装着部341内に収容した際に上側突出片353に係合可能な係合部354が設けられている。係合部354は、上側突出片353に係合可能となる係合位置と、図柄変動表示装置13をリール装着部341に挿脱させる際に上側突出片353と接触しない非接触位置との間で左右方向にスライドするように、ビス355によって支持されている。このため、図柄変動表示装置13をリール装着部341に装着する際には、まず底部板304の下面から垂下された下側突出片352を、リール装着部341に形成されたスリット状の溝部350に挿入させ、その後、下側突出片352を中心として図柄変動表示装置13を回動させながら全体をリール装着部341に挿入させる。すると、装置ケース302の上側突出片353は、係合部354に接触することなく奥側まで挿入される。その後、係合部354を非接触位置から係合位置にスライドさせると、上側突出片353が係合部354の取出し側に位置し、係合状態となる。つまり、図柄変動表示装置13の逸脱が規制される。
なお、図柄変動表示装置13をリール装着部341から取出す場合には、係合部354を係合位置から非接触位置にスライドさせる。すると、上側突出片353の規制状態が解除され、下側突出片352を中心に図柄変動表示装置13を取出し側に回動させることが可能になる。なお、図柄変動表示装置13を取出し側に回動させ、図柄変動表示装置13を持ち挙げることにより、下側突出片352をリール装着部341に形成された溝部350から抜取ることが可能になる。
ところで、上記のようにワンタッチで図柄変動表示装置13を装着するためには、図柄変動表示装置13の装置ケース302及びリール装着部341の寸法精度が要求されることから、樹脂を主材料として形成されることが好ましい。これに対し、リールモータ321を固定するモータ取付板320は、リールモータ321を強固に安定して支持できるように、板金の部材、すなわち金属板が用いられている。しかしながら、絶縁部材である樹脂製のリール装着部341と、導体であるモータ取付板320との組合せによって、電気的に浮いた部分、すなわち筐体等に対して電気的に接続されていない部分が生じることとなり、これによれば、静電気による放電によってノイズが発生し、CPUをはじめとする電子部品が誤動作したり、電子部品を破壊したりする虞がある。
そこで、本例では、装置ケース302の底部板304を、導電性を有する金属板とするとともに、各図柄リール301におけるモータ取付板320には、図29に示すように、底部板304に接触するケース側接触片343を備えている。つまり、底部板304及び全てのモータ取付板320が互いに導通状態となっている。また、モータ取付板320には、図柄変動表示装置13をリール装着部341に装着した際、リール装着部341の奥側に配置されたアース接片342(図32参照)に接触する扉側接触片344を備えている。ここで、アース接片342は、本体筐体3に対して電気的に導通されているため、扉側接触片344を備えるモータ取付板320は、アース接片342を介して本体筐体3に導通される。また、アース接片342と直接接触しない他のモータ取付板320も、装置ケース302の底部板304を介して導通状態となる。したがって、いずれの図柄リール301においても静電気が帯電した場合には、夫々のモータ取付板320及びアース接片342を介して本体筐体3側に放電することが可能になる。
また、リール装着部341の奥側に配置されたアース接片342は薄板状の金属板を折曲げ形成した弾性部材からなり、図柄変動表示装置13をリール装着部341に装着すると、扉側接触片344によって押圧され弾性変形する。したがって、扉側接触片344がアース接片342に圧接し、確実に接触させることが可能となる。また、アース接片342は弾性変形することから、アース接片342及び扉側接触片344の破損を防止することができる。
また、本例では、ケース側接触片343として、モータ取付板320の下部側を固定するための取付片320cが兼用されており、底部板304の前縁部から上方に折り曲げらた複数の被接触片345に突き合わせられる。したがって、面接触させることが可能となり、接触面積を大きくすることができる。しかも、ケース側接触片343及び被接触片345が取付ネジ313bによって締結されることによりモータ取付板320が装置ケース302に固定されているため、ケース側接触片343と被接触片345との接触状態を保持することができるとともに、譬え、ケース側接触片343と被接触片345との間に隙間が生じた場合でも、導電性の取付ネジ313bを介して導通させることができる。
また、扉側接触片344として、モータ取付板320の上部側を固定するための取付片320cを用いているため、構成を複雑にすることなく、アース接片342に接触させるための部分を構成することができる。
なお、図32に示すように、扉形前面部材4の後面に取付けられた補強金属枠101がアース接片342に接しており、また、本体筐体3に対して扉形前面部材4を回動可能に支持するヒンジ機構122を介して、補強金属枠101と本体筐体3とが電気的に接続されているため、扉形前面部材4の開閉状態に拘らず、図柄変動表示装置13内で帯電する静電気を本体筐体3へ放電することが可能になる。また、既存の部材を用いて導通させることから、製造コストを増加させることなく放電経路を形成することができる。
〔制御基板及び設定器の構成〕
各種制御基板及び設定器の構成を、図8及び図34〜図39に基づいて説明する。ここで、図8は扉形前面部材4を背面側から見た背面図であり、図34は本体筐体3を前方左上から見た斜視図であり、図35は本体筐体3を後方左上から見た斜視図であり、図36は本体筐体3を分解した状態を前方右上から見た分解斜視図であり、図37は本体筐体3の正面図の一部を拡大したものであり、図38は設定カバーを開放させた状態を示す本体筐体3の斜視図であり、図39は設定カバー付近における要部の拡大断面図である。
図8に示すように、扉形前面部材4の背面側には、主制御基板400から送信されるコマンドを基に遊技状態に応じた演出処理を実行するサブ基板360、演出表示装置15を駆動する液晶駆動基板361、及び電飾装置109等を制御するランプ駆動基板363等、複数の基板が配置され、サブ基板360及び液晶駆動基板361は第一基板ケース362内に収容され、ランプ駆動基板363は第一基板ケース362と並設して配置された第二基板ケース364内に収容されている。なお、第二基板ケース364の上部側には、詳細は後述するが、後方(本体筐体3側)に向って突出する突設部材420が、第二基板ケース364と一体に形成されている。ここで、ランプ駆動基板363が本発明の演出制御基板に相当し、第二基板ケース364が本発明の装着部材及び演出基板ケースに相当する。
一方、図34に示すように、本体筐体3内には、制御基板として、主制御基板400及び払出制御基板402が収容されている。主制御基板400は、遊技全体を統括し、操作盤6にある各種操作ボタンやレバーの操作に基づいて、遊技球取込装置19の駆動、図柄変動表示装置13の回転/停止の制御を行うとともに抽選を行う。また、払出制御基板402は、主制御基板400から送信されるコマンドに応じて遊技球払出装置18を制御する。なお、主制御基板400はメイン基板ケース401に収容され、払出制御基板402は払出基板ケース403に収容されて封止されている。また、主制御基板400に関しては、不正操作ができないように、メイン基板ケース401の開放を禁止する封印シール(図示しない)が、メイン基板ケース401の前面下端部分と本体筐体3に取付けたシール貼着板415とに亘って貼着されている。特に、シール貼着板415は、本体筐体3からメイン基板ケース401を外さなければ取外すことができないように本体筐体3の後面板内面にビス(図示しない)で固定されている。ここで、主制御基板400が本発明の遊技制御手段に相当し、メイン基板ケース401が本発明の基板ケースに相当する。
また、主制御基板400及び払出制御基板402に対しては、不正の電子部品の装着など不正行為の有無を容易に視認できるように、メイン基板ケース401及び払出基板ケース403は何れも透明の樹脂から形成されている。また、本例では、主制御基板400や払出制御基板402の半田面(裏面)側においても不正行為の有無を視認できるように、本体筐体3の背面の一部が透明となっている。具体的には、図35及び図36に示すように、本体筐体3の背面部には、中央部分に大きな四角形の開口404aが形成されており、その開口404aを閉鎖するように、本体筐体3内から透明の透明板405がネジ406によって取付けられている。なお、透明板405の前面には、筋交い状に配置された補強部材407が透明板405と一体に形成されており、透明板405の強度を補強するとともに、メイン基板ケース401及び払出基板ケース403と透明板405との間隔を一定に保っている。
また、図37に示すように、主制御基板400には、出玉率(投入枚数に対する払出枚数の割合)を段階的に変更するために設定操作部408が設けられており、遊技場の責任者によって確率を例えば設定1〜設定6のいずれかに設定することが可能となっている。具体的には、設定操作部408は、押圧操作可能な設定変更スイッチ409と、この設定変更スイッチ409の押圧操作を電気的に無効にする施錠部410とからなり、設定変更スイッチ409を押圧する毎に設定値が切替えられ、設定1(設定値が1)で最も低い出玉率となり、設定6(設定値が6)で最も高い出玉率となるように構成されている。つまり、主制御基板400が本発明の有利遊技状態発生手段及び確率変更手段として機能している。
ところで、設定操作部408に関しては、比較的頻繁に使用されることから、少なくとも設定変更スイッチ409の先端部分(押圧部分)をメイン基板ケース401から露出した状態で配置する必要がある。しかし、これによれば設定変更スイッチ409が不正に操作されることが懸念される。例えば、本体筐体3と扉形前面部材4との間に形成される隙間からピアノ線等を差し入れて、設定変更スイッチ409にピアノ線等を引っかけ、遊技者に有利なように設定を変更する不正行為が行われる可能性がある。
そこで、本例では、設定操作部408を覆う設定カバー412が設けられている。この設定カバー412は、図38に示すように、施錠部410を覆う第一覆い部417aと、設定変更スイッチ409を覆う第二覆い部417bとを具備して構成されるとともに、上端側に形成された軸部413を中心に回動可能に支持されている。また、第一覆い部417aの上側には、設定カバー412を閉状態で固定するためのボタン形パネルファスナー418(商品名「ナイラッチ」:登録商標)が設けられている。さらに、本体筐体3の天井面には、設定カバー412の左右両側に夫々配置され、設定カバー412の軸部413を挿通された状態で支持するとともに、後方に延出された溝部を有するスライド部材414が設けられている。このため、設定変更スイッチ409を操作する際には、ボタン形パネルファスナー418を引き操作し、軸部413を中心に設定カバー412を跳ね上げれば、設定操作部408が開放され、設定変更スイッチ409を押圧操作することが可能になる。なお、スライド部材414が設けられているため、跳ね上げた設定カバー412を後方にスライドさせることにより、設定カバー412は図38に示すような前方に突出した状態で保持され、設定カバー412から手を放した状態で設定変更スイッチ409を操作することが可能になる。
ところが、このように設定操作部408を設定カバー412で覆うとともに、設定カバー412の閉鎖状態を保持するためのボタン形パネルファスナー418を設けたものにおいても、ピアノ線等の不正操作具を用いて設定カバー412を開放し、設定操作部408を不正に操作する可能性は少なからず残されている。なお、設定カバー412に施錠装置を設け、鍵による正当な操作でなければ設定カバー412を開放できないように構成することも可能であるが、これによれば、正規の設定変更操作が極めて面倒となり、責任者等の負担が大きくなってしまう。
そこで、本例では、図8及び図39に示すように、扉形前面部材4の背面側に装着された第二基板ケース364から後方に突出する突設部材420を設けており、扉形前面部材4を閉じた際、この突設部材420を設定カバー412の前面近傍に位置させることで設定カバー412の開放を阻止し、ひいては設定操作部408に対する不正操作を防止している。つまり、扉形前面部材4を閉じた際には、突設部材420を設定カバー412の近傍に配置させることでピアノ線等の不正操作具が設定操作部408まで侵入することを阻止し、一方、扉形前面部材4を開いた際には、突設部材420が扉形前面部材4とともに回動することから、設定カバー412の近傍から離れ設定操作部408への操作を可能にする。すなわち、不正行為を防止し、且つ正規の設定変更操作に対しては阻害することがなく作業者の負担を軽減できる。
なお、突設部材420の突出長さは、扉形前面部材4を閉じた際、設定カバー412と突設部材420との間に僅かな隙間が形成されるように設定されている。換言すれば、扉形前面部材4を閉じても、設定カバー412と突設部材420とは当接しないように設定されている。このため、扉形前面部材4を勢いよく閉じた場合や、突設部材420の突出長さが設計誤差等により僅かに長く形成された場合であっても、設定カバー412と突設部材420との衝突を抑制し、設定カバー412または突設部材420の破損を防止することができる。
また、扉形前面部材4の背面側には、ランプ駆動基板363を収容する第二基板ケース364が備えられているため、扉形前面部材4が閉じられた際には、第二基板ケース364とメイン基板ケース401が積層された状態となり、一方、扉形前面部材4が開かれた際には第二基板ケース364が扉形前面部材4とともに回動し、本体筐体3から飛び出した状態となる。したがって、これらの第二基板ケース364及びメイン基板ケース401を本体筐体3内に効率的に収容できるとともに、主制御基板400及びランプ駆動基板363に対する配線作業等を容易に行わせることが可能になる。また、突設部材420が第二基板ケース364の後面に形成されているため、扉形前面部材4が閉じられた際には、突設部材420によって設定操作部408に対する不正操作を抑制するとともに、第二基板ケース364の閉状態を保持することも可能になる。つまり、ランプ駆動基板363に対する不正行為を防止することも可能になる。なお、突設部材420が第二基板ケース364と一体に成形されているため、突設部材420の取付工程が不要になるとともに、設定カバー412に対する突設部材420の位置合せが容易となる。また、突設部材420を取外すことができないため、防犯効果が一層高くなる。
〔施錠装置の構成〕
次に、施錠装置123の構成について、図3、図34、図35、図40〜図48に基づき説明する。ここで、図40は施錠装置123を前方右上から見た斜視図であり、図41は施錠装置123を後方左上から見た斜視図であり、図42は施錠装置123における主要部の機構を後方左上から見た拡大斜視図であり、図43は施錠装置123を分解した状態を後方左上から見た分解斜視図であり、図44はシリンダー錠及びロック機構を示す斜視図であり、図45は施錠装置の要部の背面図であり、図46は施錠装置123におけるロック機構の作動状態を説明するための説明図であり、図47はロック機構の解除を説明するための説明図であり、図48は扉用作動杆における解錠位置での保持状態を説明するための説明図である。
図34及び図35に示すように、本体筐体3における自由端側の側枠部550には、一組の施錠装置123が設けられており、外枠2(図2参照)に対して本体筐体3を閉位置で施錠するとともに、本体筐体3に対して扉形前面部材4を閉鎖位置で施錠すること、すなわち本体筐体3及び扉形前面部材4の開放動作を防止することが可能になっている。詳細に説明すると、図40、図41、及び図43に示すように、施錠装置123は、本体筐体3の自由端側の側枠部550に固定状態で装着された長尺状の装着基部500と、この装着基部500に対して上下方向にスライド可能に支持された本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507とを具備して構成されている。本体枠用作動杆503は、外枠2に対して本体筐体3を施錠するためのものであり、外枠2に形成された係止具501に係脱可能な本体枠施錠フック502を二つ有している。一方、扉用作動杆507は、本体筐体3に対して扉形前面部材4を施錠するためのものであり、扉形前面部材4に形成された係止具505(図3参照)に係脱可能な扉施錠フック506を三つ有している。なお、本体枠用作動杆503は、下側を施錠位置、上側を解錠位置とし、一方、扉用作動杆507は上側を施錠位置、下側を解除位置とし、夫々施錠位置と解錠位置との間でスライドするように支持されている。つまり、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507は相反方向にスライドさせることにより、本体枠施錠フック502及び扉施錠フック506を係止具501,505から外すことが可能になる。
本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507は、夫々第一弾性部材508および第二弾性部材509によって施錠方向に付勢されている。なお、本例では、第一弾性部材508及び第二弾性部材509として一つのコイルバネを兼用している。つまり、コイルバネの両端を夫々、本体枠用作動杆503に形成された掛止爪508aと、扉用作動杆507に形成された掛止爪509a(掛止爪508aよりも低い位置に形成されている)とに引掛けることにより、本体枠用作動杆503を下方(すなわち施錠方向)に付勢し、扉用作動杆507を上方(すなわち施錠方向)に付勢している。つまり、第一弾性部材508および第二弾性部材509によって施錠位置に保持されるようになっている。
これに対し、鍵穴に鍵(図示しない)を挿入しその鍵を回動させることで本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507を解錠方向にスライドさせることが可能なシリンダー錠515が設けられている。つまり、シリンダー錠515は、鍵を所定方向(例えば時計方向)に回動させることで本体枠用作動杆503の係合溝516に係合可能な本体用カム片517と、鍵を逆の方向(例えば反時計方向)に回動させることで扉用作動杆507の係合溝518に係合可能な扉用カム片519とを備えており、本体用カム片517によって本体枠用作動杆503を解錠方向(上方)にスライドさせ、扉用カム片519によって扉用作動杆507を解錠方向(下方)にスライドさせることが可能となっている。
また、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507には、スライド方向に対して垂直方向に切欠かれた凹状の本体枠用切欠523及び扉用切欠524が形成されており、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507がともに施錠位置の際には二つの切欠523,524が互いに合致し、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507の少なくともいずれか一方が解錠位置の際には合致しなくなる。
また、本例では、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507を施錠位置でロックするためのロック機構526が設けられている。このロック機構526は、図44及び図45に示すように、本体枠用切欠523及び扉用切欠524が合致した際に二つの切欠523,524内に挿入し本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507のスライド(解錠方向への移動)を規制するロック爪部527と、軸部528s(図42参照)を中心に回動可能に支持され本体枠用切欠523及び扉用切欠524に対しロック爪部527を挿脱可能に変位させるロック回動部材528と、ロック爪部527が二つの切欠523,524から抜け出る方向に付勢する第三弾性部材529(図42参照)と、外枠2に対して本体筐体3を閉じた際に、ロック回動部材528を押圧することで第三弾性部材529に抗してロック爪部527を挿入方向に付勢するロック操作片530とを具備して構成されている。なお、第三弾性部材529はコイルバネからなり、一端側が装着基部500に形成された掛止爪500aに掛けられ、他端側がロック操作片530の上部に形成された掛止孔530aに掛けられており、ロック回動部材528を図面上の反時計方向に付勢している。
これによれば、図46(b)に示すように、本体筐体3が外枠2に対して施錠され、且つ扉形前面部材4が本体筐体3に対して施錠されている場合には、本体枠用切欠523及び扉用切欠524が互いに合致し、しかもロック操作片530によってロック回動部材528が押圧されているため、本体枠用切欠523及び扉用切欠524の内部にロック爪部527が挿入され、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507は施錠位置でロックされる。したがって、この状態では、本体枠施錠フック502または扉施錠フック506に対して不正操作が行われても、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507をスライドさせることができず、施錠状態が保持される。
一方、図46(a)に示すように、外枠2に対して本体筐体3が開かれた状態では、本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507がともに施錠位置であってもロック爪部527によって本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507のスライドが規制されることはない。なぜなら、本体枠用切欠523及び扉用切欠524が互いに合致しているものの、ロック操作片530が外枠2の壁部Hに当接せず、ロック操作片530によってロック回動部材528が押圧されないことから、ロック回動部材528は第三弾性部材529の付勢力によって回動し、ロック爪部527が二つの切欠523,524から抜け出るためである。このように、外枠2に対して本体筐体3が開かれた場合にロック状態を解除することにより、本体枠用作動杆503を解錠位置にスライドさせることなく(すなわちシリンダー錠515の鍵を時計方向に回転させることなく)本体筐体3を閉じ操作した場合でも、本体枠施錠フック502やそれと係合する外枠の係止具501の破損を防止することが可能となる。つまり、仮にロックされた状態で本体筐体3が閉じられると、本体枠施錠フック502が全く変位しないことから、施錠位置の本体枠施錠フック502と外枠2の係止具501とが衝突し、本体枠施錠フック502が折れ曲がったりする等の事態が生じるが、本例のようにロック状態を解除するようにすれば、本体枠施錠フック502が外枠2に当接する際に、本体枠施錠フック502を解錠側に一旦変位させることができ、本体枠施錠フック502等の破損を抑制することが可能となる。換言すれば、シリンダー錠515を操作することなく、本体筐体3を閉じることが可能となる。
また、本発明では、ロック機構526のロック状態をシリンダー錠515の操作によって解除するためのロック解除機構540が備えられている。このロック解除機構540は、図44に示すように、ロック回動部材528に形成された本体枠用摺接面542及び扉用摺接面543からなる。本体枠用摺接面542は、本体枠用作動杆503を解錠方向にスライドさせるに先立って本体用カム片517が摺接する面であり、本体用カム片517を本体枠用摺接面542に摺接させると(すなわちシリンダー錠515において鍵を時計方向に回動させると)、ロック回動部材528が回動してロック爪部527を本体枠用切欠523及び扉用切欠524から強制的に抜け出させる(図47(b)参照)。同様に、扉用摺接面543は、扉用作動杆507を解錠方向にスライドさせるに先立って扉用カム片519が摺接する面であり、扉用カム片519を扉用摺接面543に摺接させると(すなわちシリンダー錠515において鍵を反時計方向に回動させると)、ロック回動部材528が回動してロック爪部527を本体枠用切欠523及び扉用切欠524から強制的に抜け出させる。つまり、何れの作動杆503,507を解錠方向にスライドさせる場合であっても、その操作に先立ってロック爪部527が二つの切欠523,524から脱出し、作動杆503,507のスライドが可能となる。このように、正規の操作で解錠する場合には、ロック機構526が自動的に解除されることから、作業者等に負担をかけることなく、不正操作を防止することができる。
また、互いに反対方向にスライドする二つの部材、すなわち本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507を、一組のロック機構526でロック状態とし、しかもロック回動部材528への操作によってロック状態を解除することから、比較的簡単な構成で実現できるとともに、ロック機構526の小型化及び薄型化を図ることができる。
ところで、本体用カム片517は本体枠用作動杆503にのみ係合可能であり、扉用カム片519は扉用作動杆507にのみ係合可能であるため、本体用カム片517と扉用カム片519とは、前後方向に位置をずらして互いに干渉しないように配置する必要がある。また、本体用カム片517における解錠操作の方向と、扉用カム片519における解錠操作の方向とは、互いに反対の方向となるが、本体用カム片517が本体枠用摺接面542に摺接した際のロック回動部材528の回動方向と、扉用カム片519が扉用摺接面543に摺接した際のロック回動部材528の回動方向とは同一の方向、すなわちロック爪部527が脱出する方向にしなければならない。
そこで、本例の施錠装置12では、ロック回動部材528に貫通孔部541を穿設するとともに、本体枠用摺接面542を貫通孔部541の内周縁に形成し、扉用摺接面543をロック回動部材528の外周縁に形成することにより、前後方向に離間して配置された本体用カム片517及び扉用カム片519を同じようにロック回動部材528に摺接させることが可能となり、しかも解錠操作の際にロック回動部材528を同じ方向に回動させることが可能になる。
また、ロック操作片530は、本体筐体3を閉じた際に外枠2の壁部Hに当接する当接部531と、ロック回動部材528に対してロック操作片530を軸支する回動軸部532とを備え、ロック爪部527及び当接部531の距離が最大となる延出位置と当該距離が最小となる押込位置との間で回動可能に支持されている。これによれば、外枠2に対して本体筐体3が閉じられると、ロック操作片530の当接部531が外枠2の壁部Hに当接し、ロック回動部材528を押圧する。すなわち、ロック爪部527が本体枠用切欠523及び扉用切欠524に挿入するようにロック回動部材528を回動させる(図46(b)参照)。一方、ロック操作片530は、ロック回動部材528に対して軸支されているため、本体筐体3が閉じられた状態でシリンダー錠515が操作され、本体用カム片517または扉用カム片519がロック回動部材528に摺接すると、ロック操作片530の当接部531を外枠2に当接させたまま、ロック回動部材528が回動する(図47(b)参照)。つまり、ロック操作片530がロック回動部材528に対して相対的に回動し、ロック爪部527及び当接部531間の距離が最大となる延出位置から、当該距離が最小となる押込位置へと変位する。このように、ロック操作片530の当接部531を外枠2に当接させたまま、ロック回動部材528を回動させることが可能になることから、ロック状態の解除操作を円滑に行わせることができる。特に、図42に示すように、ロック機構526は第四弾性部材533(本例では第三弾性部材529と兼用)を備え、ロック操作片530を延出位置側に付勢している。このため、本体筐体3を開くことによりロック操作片530を自動的に延出位置に戻すことができ、その後、本体筐体3が閉じられた際は、ロック回動部材528を押圧してロック爪部527を本体枠用切欠523及び扉用切欠524に挿入させることが可能になる。なお、ロック操作片530を延出位置側に付勢する弾性力は、ロック回動部材528をロック解除側に付勢する弾性力よりも大きいため、ロック操作片530が外枠2に当接した際には、ロック操作片530のみが延出位置から押込位置に変位してしまうことを防止し、ロック回動部材528を確実に回動させる(すなわちロック爪部527を挿入させる)ことが可能となる。また、図44に示すように、当接部531は回転自在に支持されたローラ534を備えているため、ロック操作片530の当接部531を外枠2に当接させたまま、ロック回動部材528を回動させる際に、外枠2に沿って当接部531を滑らかに摺動させることが可能になり、ひいては、ロック回動部材528を解錠方向に回動させる力、すなわちシリンダー錠515における鍵の回転操作力を小さくすることが可能となる。
また、図48に示すように、扉用作動杆507の上部側には、扉用作動杆507が施錠位置から解錠位置にスライドした際(図48(a)の状態から図48(b)の状態に変化した場合)、扉用作動杆507と係合し扉用作動杆507を解錠位置に保持する保持部材545と、保持部材545を扉用作動杆507に係合する方向へ付勢する第五弾性部材546(図40参照)とが備えられている。これによれば、シリンダー錠515における鍵の操作によって扉用作動杆507を一旦解錠位置までスライドさせ、扉形前面部材4を開放させると、保持部材545の爪部545aが扉用作動杆507の係合凹部507bと係合し、その後、鍵から手を放しても、あるいは鍵穴から鍵を抜き取っても、扉用作動杆507を解錠位置に保持することが可能となる。また、保持部材545によって扉用作動杆507が保持状態になると、保持部材545の一部分は装着基部500の前面よりも扉形前面部材4側に突出して配置され、その後、扉形前面部材4が閉鎖位置になると、扉形前面部材4によって保持部材545の先端が押圧され扉用作動杆507の保持状態が解除される(図48(a)参照)。このため、扉形前面部材4を閉じる際には、鍵によって扉用作動杆507の解錠操作及び施錠操作を行わなくても、本体筐体3に対して扉形前面部材4を施錠させることが可能になる。また、扉形前面部材4を閉じる際に、扉施錠フック506が扉形前面部材4の係止具505に衝突することを回避でき、扉施錠フック506や係止具505周辺の破損を未然に防ぐことができる。なお、扉用作動杆507が解錠位置になると、ロック機構526のロック状態が解除されるため、シリンダー錠515における鍵の操作によらなくても本体枠用作動杆503をスライドさせることができる。
一方、図35及び図40に示すように、装着基部500は板金製であり、本体筐体3における自由端側の側枠部550の後面に固定される第一装着部551と、第一装着部551の左側縁から後方に向って略垂直に折り曲げられた第二装着部552と、第二装着部552の後側縁から折り返して曲げられた第三装着部553とを具備して構成されている。つまり、横断面が略L字形になるように形成され、側枠部550に対して垂直となる部分では、間に所定の隙間ができるように2重に形成されている。そして、この隙間に本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507が収容され、第一装着部551にシリンダー錠515が取付けられている。なお、装着基部500には、シリンダー錠515の本体用カム片517及び扉用カム片519と、ロック機構526の一部と、本体枠施錠フック502とを挿通させることが可能な複数の開口部及び切欠が形成されており、装着基部500の内部に収容された本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507に対して装着基部500の外側から操作することが可能になっている。そして、このように、折り返した板金製のフレームの中に本体枠用作動杆503及び扉用作動杆507やその他の機構部が収容されることにより、外部からの操作を抑制し、不正操作をより効果的に防止することが可能になる。
特に、本例では、図41に示すように、第二装着部552の外側には、ロック機構526の周辺を覆う防犯カバー557が設けられており、ロック機構526に対する外部からの不正操作を阻止し防犯性をさらに高めている。
なお、装着基部500の第一装着部551が本体筐体3の側枠部550の後面に固定されるため、扉施錠フック506は、側枠部550を貫通して配設される。つまり、側枠部550には、扉施錠フック506及び保持部材545と対向する部分に開口部555が形成されている。ただし、扉施錠フック506に対向する開口部555は、扉施錠フック506よりも大きく開口しており、扉形前面部材4において係止具505として形成された突出引掛部556を挿入させることが可能となっている。つまり、図3に示すように、突出引掛部556は、扉形前面部材4の裏面周縁部分に設けられた補強金属枠101から後方に突出して形成されており、扉形前面部材4が閉鎖位置になると、側枠部550の開口部555に挿入し扉施錠フック506を係止させることが可能になる。このように、扉施錠フック506が本体筐体3の側枠部550から突出するのではなく、扉形前面部材4の係止具505が扉施錠フック506を迎えに行くように開口部555に挿入されることから、扉施錠フック506に対する外部からの不正操作、例えばピアノ線等を引掛けて操作することを一層困難にし防犯性を向上させることができる。
〔電気的な接続関係〕
続いて、回胴式遊技機1における電気的な接続関係について、図49に示すブロック図を基に簡単に説明する。回胴式遊技機1は、主制御基板400を中心として構成されており、主制御基板400は、遊技球取込装置19と図柄変動表示装置13を制御する。遊技球取込装置19は、遊技者による1ベットボタン8又はマックスベットボタン7の操作に基づき制御され、図柄変動表示装置13は遊技者によるスタートレバー9、ストップボタン10a、10b、10cの操作に基づいて制御される。
その他の機器は、他の基板を介して制御を行う。サブ基板360は主制御基板35から一方向のコマンドを受信することによって内蔵するVDPを用いて演出表示装置15で演出を行い、左右スピーカ130から効果音を発生する。また、サブ基板360はランプ駆動基板363にシリアル信号でコマンドを送信し、ランプ駆動基板363は各種ランプの電飾を制御する。
遊技者がゲームを行った結果、何らかの役に入賞した場合、払出制御基板402に払出コマンドを送信して遊技球を遊技球払出装置18から賞球として遊技者に払出す。上記以外に、遊技球を払出す場合があり、これは、取込を完了した遊技球がある状態で球抜きつまみ11が操作されてゲームのキャンセル操作が行われた場合である。この場合も主制御基板35は払出制御基板402に払出コマンドを送信して遊技球を遊技者に返却する。
また、払出制御基板402はCR度数表示基板上の球貸しボタンを遊技者が操作することにより、公知のCRサンドから球貸し指令が発生し、この指令に基づいて貸し球を遊技球払出装置18から遊技者に払出す。
〔遊技処理の流れ〕
続いて、主制御基板400のCPUで行われる処理の流れ、特に図柄変動表示装置13に関する処理の流れを図50〜図53に基づいて説明する。ここで、図50は回胴遊技における全体的な処理を示すフローチャートであり、図51は始動処理を示すフローチャートであり、図52はリール停止処理を示すフローチャートであり、図53は判定処理を示すフローチャートである。
図50に示すように、主制御基板400に搭載されるCPUにより、ステップS1〜ステップS40の処理が順に実行される。ステップS1は、始動処理であり遊技者の操作に基づいて図柄変動表示装置13の図柄リール301を始動させる。具体的には、図51に示すようにマックスベットボタン7または1ベットボタン8が操作されるか否かが判別され(ステップS2)、いずれか一方のボタンが操作された場合には(YES)、遊技球取込装置19によってマックスベットボタン7または1ベットボタン8に対応した数の遊技球を取込み(ステップS3)、スタートレバー9の操作を有効にする(ステップS4)。その後、スタートレバー9の操作があるか否かが判別され(ステップS5)、スタートレバー9が操作された場合には(YES)、スタートレバー9の操作を無効にする(ステップS6)とともに、抽選のための乱数を抽出する(ステップS7)。さらに、抽出した乱数と予め記憶されているテーブルとを比較し、BB(ビックボーナス)、RB(レギュラーボーナス)、リプレイ、小役、及び特別小役等の当りの有無を判定し、それに対応するようにフラグの状態をONにする(ステップS8)。また、当選の有無及び当りの場合には当りの種類を示す当選フラグコマンドをサブ基板360に送出する(ステップS9)。その後、前回の変動開始から所定時間が経過していれば(ウェイトタイマがタイムアップしていたら)(ステップS10においてYES)、全ての図柄リール301を始動し(ステップS11)、ウェイトタイマをリセットしてスタートさせ(ステップS12)、始動処理を終了する。
図50に示すリール停止処理(ステップS20)は、各図柄リール301を停止させる処理に関するものである。具体的には、図52に示すように、ステップS8で設定されたフラグの状態に基づいて、複数のリール制御テーブルの中からいずれか一つのテーブルを選択する(ステップS21)。つまり、当りの有無及び当りの種類に応じたテーブルを選択する。そして、いずれかのストップボタン10が押されたか否かを判別し(ステップS22)、押圧操作された場合には(YES)、ステップS21において選択されたリール制御テーブルに基づいて停止可能位置を決定するとともに、操作されたストップボタン10に対応する図柄リール301を、決定された停止可能位置で停止させる(ステップS23)。その後、ステップS8で設定されたフラグの状態と、ステップS23で停止された図柄リール301の出目とに基づいて、複数のリール制御テーブルの中から適切なテーブルを再び選択する(ステップS24)。そして、変動中の図柄リール301に対応するストップボタン10が押されたか否かを判別し(ステップS25)、押圧操作された場合には(YES)、そのストップボタン10に対応する図柄リール301を、ステップS24において選択されたリール制御テーブルに基づいて決定された停止可能位置で停止させる(ステップS26)。そして、全ての図柄リール301が停止されたか否かが判別され、最終停止図柄リール301が変動中である場合には(ステップS27においてNO)、ステップS24の処理に移行し、最終停止図柄リール301に対してステップS24〜ステップS26の処理を行う。一方、ステップS27において全ての図柄リール301が停止していると判別した場合には(ステップS27においてYES)、リール停止処理を終了する。
図50に示す判定処理(ステップS40)では、各図柄リール301の停止図柄に応じて遊技球を払出すとともに、遊技者に有利な各種の有利遊技状態(当り)を発生させる。具体的には、図53に示すように、まず、停止した三つの図柄リール301の出目(停止図柄)に関するコマンドをサブ基板360に送信する(ステップS41)。その後、出目の組合せが、BBに相当する組合せ図柄であるか否かを判別し(ステップS42)、BBに相当する組合せ図柄である場合にはステップS43に移行し、BBに相当する組合せ図柄でない場合にはステップS45に移行する。ステップS43では、規定個数の払出しコマンドを払出制御基板402に送出し、その後、遊技者にとって最も有利性の高いBB遊技処理を実行する(ステップS44)。一方、ステップS45では、出目の組合せが、RBに相当する組合せ図柄であるか否かを判別し、RBに相当する組合せ図柄である場合にはステップS46に移行し、RBに相当する組合せ図柄でない場合にはステップS48に移行する。ステップS46では、規定個数の払出しコマンドを払出制御基板402に送出し、その後、RB/JACゲーム遊技処理を実行する(ステップS47)。また、ステップS48では、出目の組合せが、小役に相当する組合せ図柄であるか否かを判別し、小役に相当する組合せ図柄である場合にはステップS49に移行し、小役に相当する組合せ図柄でない場合にはステップS50に移行する。ステップS49では、規定個数の払出しコマンドを払出制御基板402に送出し、一方ステップS50では、出目の組合せが、リプレイに相当する組合せ図柄であるか否かを判別する。そして、リプレイ図柄である場合には(YES)、リプレイ処理を実行する(ステップS51)。なお、ステップS44のBB遊技処理、ステップS47のRB/JACゲーム遊技処理、ステップS51のリプレイ処理に関しては、既に周知の遊技処理であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、これらの処理の終了後、小役/リプレイフラグをOFFにし(ステップS52)、判定処理を終了する。
〔遊技球取込処理の流れ〕
遊技球取込処理の流れを図55〜図59に基づき説明する。ここで、図55は遊技球取込装置19の制御手段が実行するタイマ割込処理の流れを示すフローチャートであり、図56乃至図58は同上の制御手段が実行する遊技球取込処理における処理の流れを示すフローチャートであり、図59は同上の制御手段が実行する精算処理における処理の流れを示すフローチャートである。
予め理解を助けるために変数について説明しておく。
1ステップ時間カウンタ:ステッピングモータの励磁のパルス幅を決める変数であり、初期値として何割込周期のパルス幅にするかが代入され、タイマ割込毎にデクリメントされる。
取込指令数:指令された取込個数。
取込目標個数:初期値は取込指令数となり、取込んだ遊技球が検出されるたびにデクリメントされる。
インデックス検出フラグ:角度検出用フォトスイッチ64がスリット63aを検出したときにONされる。
インデックスカウント数:初期値は取込指令数となり、インデックス検出フラグがONされる度にデクリメントされる。
取込動作モード:A、B、Cと3種類あり、一定以上の球圧があると判断されたときはモードA、一定以上の球圧がないと判断されたときはモードB、リトライ動作の必要が生じた場合はモードCと切替えられる。
図55はタイマ割込処理のフローチャートであり、本実施例では1.5msec毎に起動される。タイマ割込処理での主な処理はセンサ類の読込み、遊技球取込装置19の駆動モータであるステッピングモータの励磁(駆動)パルスを出力する処理などである。
タイマ割込処理S100が起動されると、まずS102で、割込処理が行われたので1ステップ時間カウンタをデクリメントする。この際、元の1ステップ時間カウンタの値は問わない。次にカウントスイッチの検出があるか否かを判定する(ステップS104)。このカウントスイッチは、奥取込カウントスイッチ57と手前取込カウントスイッチ58(図11参照)の両方を示す。S104においてカウントスイッチの検出があった場合は次のS106にて取込目標個数をデクリメントする。S104においてカウントスイッチの検出がなかった場合は、S106の処理をスキップしてS108に進む。
S108では、インデックスの検出があるか否かを判定する。ここで、インデックスの検出とは、角度検出用フォトスイッチ64にて、角度検出板63のスリット63aを検出することを意味する。インデックスが検出されたとき、遊技球搬送体54は遊技球を落下させる排出位置にある。S108で、インデックスの検出が確認できた場合、次のS110にてインデックス検出フラグをONする。S108で、インデックスの検出が確認できなかった場合はS110の処理はスキップする。
次にS112において励磁処理を行う。これは、遊技球取込装置19の駆動源であるステッピングモータの正転/逆転/停止のためのパルスを出力/停止する処理である。この処理の詳細は公知技術を用いればよいので説明を省略する。S112の処理が完了すると、割込処理から通常の処理に復帰する。
図56〜図58は遊技球取込処理S200のフローチャートである。遊技球取込処理S200は、遊技制御の流れの中で呼び出される。まず、S201において、球抜き操作がONされているか否かを確認する。具体的には球抜き弁検出器56が球抜き弁55の移動を検出したか否かを判定する。遊技者が球抜きつまみ11を操作すると球抜き弁55が移動し球抜き弁検出器56がONする。ONしていた場合(S201でYes)は精算処理S300に進む(後述)。精算処理S300が終了すると、再びS201に戻る。
S201において、球抜き操作がONされていない場合(S201でNo)、S202においてベットボタンがONされたか否か判定する。S202においてNoの場合は、ベットボタンがONされるか球抜き操作がONされるまでループする。ベットボタンがONされた場合すなわちYesの場合は、S203に進み、リトライ待機中の報知(後述)を終了する。次いで、S204の処理に進み、ベットボタンによって決まる取込指令数を取込目標個数に代入する。同様に次のS206で取込指令数をインデックスカウント数に代入する。
次にS208でリトライ回数をクリアする。ここにリトライ回数は、遊技球の取込に欠落が生じた場合のリトライ動作が行われた回数であり、このリトライ回数があらかじめ決められた上限数を超えたときには、遊技球が不足しているものと判断し、再度のベットボタンの操作待ちになる(詳細後述)。次に、S210において球圧検出スイッチがONか確認する。ここに球圧検出スイッチとは、図11における奥近接スイッチ59、手前近接スイッチ60を意味し、奥近接スイッチ59、手前近接スイッチ60の両方の位置まで遊技球が満たされていれば、ONされる。本実施形態では、奥近接スイッチ59、手前近接スイッチ60の位置まで遊技球が満たされていれば、一定以上の球圧が確保されていると判断する。S210においてYesの場合はS212へ処理が移行する。
本実施形態では、取込動作の開始時に球圧検出スイッチがONであれば取込動作モードをAに設定し、球圧検出スイッチがOFFであれば取込動作モードをBに設定し、取込動作において遊技球の欠落が生じてリトライ動作するときは取込動作モードをCに設定して動作する。なお、取込動作モードAは、最初中速で駆動モータを回転し、その後に回転速度を切替えて高速で駆動モータを回転することによって取込動作を行う。取込動作モードをBは最初から最後まで中速で駆動モータを回転することによって取込動作を行う。取込動作モードCはリトライ動作用で駆動モータを低速で回転することによって取込動作を行う。取込動作モードAは、最初中速で駆動モータを回転し、その後に高速で駆動モータを回転することによって取込動作を行うため、取込動作の最初で遊技球の初速が不足していても充分に取込動作を行うことができ、また、遊技球の加速に合わせて高速で取込むのでトータルの取込速度も確保できるという利点がある。つまり遊技球の欠落防止と高速取込動作を両立している。
S210において球圧検出スイッチがONであることが確認された場合(S210でYes)、取込動作モードとしてAを設定する。その後、S214にて1ステップ時間カウンタに0をセットする。ここで0をセットするのは後述するS228以降でステップ数時間切替えカウンタに従って1ステップ時間カウンタ、つまり回転速度を変更するためである。次のS216でステップ数時間切替えカウンタを0に初期化し、S224に進む。
一方、S210において球圧検出スイッチがONでなかった場合(S210でNo)、取込動作モードとしてBを設定する(S218)。その後、S220にて1ステップ時間カウンタに中速をセットする。1ステップ時間カウンタは具体的にはステッピングモータ1ステップのパルス幅を何回の割込分にするかという値が代入されるが(例えば高速=3、中速=6、低速=9)ここでは、理解を助けるために、あえて高速、中速、低速という言葉を用いる。次にS222においてステップ数時間切替えカウンタを0に初期化し、S224に進む(なお、本実施形態では、取込動作モードがAのときのみステップ数時間切替えカウンタを参照するので、S222は無くても支障ない)。
S224においては、取込目標個数が0になっているか否かをチェックする。ここで、取込目標個数が0になっていれば、取込が完了しているので(S224がYes)取込処理を終了する。取込目標個数は図13のタイマ割込処理S100のS106で、カウントスイッチの検出がある毎にデクリメントされているものである。また、S224においては、取込目標個数が0になっていなければ(S224がNo)、次のS226に進む。
S226では、1ステップ時間カウンタが0以下であるか否かを確認する。1ステップ時間カウンタが0になっていると言うことはステッピングモータの1ステップのパルス幅分の割込が完了していることを意味する。1ステップ時間カウンタが正の値である間は、S224とS226の間でループする。つまり、1ステップ分の時間が経過するのを待つことになる。前述のS214で、1ステップ時間カウンタに0をセットしている場合は、S224とS226の間でループせず、次のS228に制御が移ることとなる。
S226にて、1ステップ時間カウンタが0以下であると判断された場合はS228に制御が移り、取込動作モードが判断される。S228では取込動作モードがAであるか否かを判断する。取込動作モードがAの場合(S228でYes)S230に進む。取込動作モードがAでない時(S228でNo)、S236に進み、取込動作モードがBであるか否かを判断する。取込動作モードがBの場合(S236でYes)、S238に進む。取込動作モードがBでない時(S236でNo)、S240に進む。ここでS240に進む場合は、取込動作モードがCのときに限られる。
S240では、1ステップ時間カウンタを低速にセットし、S242進む。また取込動作モードがBのときに処理されるS238では、1ステップ時間カウンタを中速にセットし、S242進む。
S228で取込動作モードがAと判断された場合(S228でYes)、S230に制御が移り、ステップ数時間切替えカウンタをインクリメントする。次にS232に進み、ステップ数時間切替えカウンタの値が規定のカウント以上になったか否かを判断する。規定のカウント数に達していない場合は(S232でNo)、S238に移行し、1ステップ時間カウンタを中速にセットし、S242に進む。また、S232でステップ数時間切替えカウンタの値が規程のカウント以上になったと判断された場合(S232でYes)、1ステップ時間カウンタを高速にセットし、S242に進む。つまり、この部分で、ステップ数時間切替えカウンタが規程カウント未満の場合は1ステップ時間カウンタが中速にセットされ、その結果として駆動モータは中速回転する。また、ステップ数時間切替えカウンタが規程カウント以上の場合は1ステップ時間カウンタが高速にセットされ、その結果として駆動モータは高速回転する。
次にS242では、図55の割込処理においてインデックスの検出が行われた結果として、インデックス検出フラグがONされたか否かを判定する。未だインデックス検出フラグがONされていない場合は(S242でNo)このステッピングモータの1ステップにおいてインデックスが検出されなかったと言うことで、S244においてインデックス未検出カウンタをインクリメントする。次にS246でインデックス未検出カウンタが規定値に達したか否かを判断する。ここで規定値は、インデックス間のステップ数(つまりステッピングモータの1回転するステップ数を1回転当たりのインデックス数で除した数)よりも少し余裕(数ステップ)を取った数が選ばれる。S246でインデックス未検出カウンタが規定値に達してしまった場合(S246にてYes)は、球ガミが発生している可能性があるので、S248において球ガミ処理を行う。球ガミ処理は公知の技術で、ステッピングモータを正転→逆転→正転と小刻みに動作させることにより行う。球ガミ処理S248が終わったら、S264に処理が進む。また、S246でインデックス未検出カウンタが規定値に達していない場合(S246にてNo)も、S264に処理が進む。
一方、S242においてインデックス検出フラグがONされたことが確認された場合(S242でYes)、まずS250で次の検出に備えてインデックス検出フラグをクリアし、S252においてインデックス未検出カウンタもクリアする。そして、S254にてインデックスカウント数をデクリメントする。
次にS256で球抜き操作がONか確認する。具体的には球抜き弁検出器56が球抜き弁55の移動を検出したか否かをチェックする。遊技者が球抜きつまみ11を操作すると球抜き弁55が移動し球抜き弁検出器56がONする。ONしていた場合(S256でYes)は精算処理S300に進む(後述)。ONしていなかったときは(S256でNo)、次のS258に進む。
S258では、インデックスカウント数が0となっているか否かを判断する。インデックスカウント数が0であれば、取込指令数分のインデックスを検出したのであるから、正常ならば遊技球も取込指令数分だけ取込まれているはずである。そこで、インデックスカウント数が0になっていた場合(S258でYes)、S260に進み、球検出時間ウェイトを行う。このウェイト時間は、遊技球が奥取込カウントスイッチ57と手前取込カウントスイッチ58(図11参照)まで落下し検出されるであろう時間に少し余裕時間を加えている。
S260で球検出時間のウェイトを行うと、S262において取込目標個数が0になっているか否かを判断する。取込目標個数が0になっていれば、今回の取込動作は終了したのでこの遊技球取込処理S200を抜けるためにリターンする(S262でYes)。また、取込目標個数が0になっていない場合(S262でNo)、遊技球の欠落が生じていたことになるので、S266以降のリトライ動作に処理が移る。
一方、S258にてインデックスカウント数が0になっていないと判断された場合には(S258でNo)、取込動作の途中であるので、S264にてステッピングモータの次のステップの励磁パルスを出力するために励磁のパターンを更新する。なお、S248の処理を終えた直後、S246でNoの場合も同様である。ここで更新した励磁パターンは、図13のタイマ割込処理のS112の励磁出力処理で参照される。S264で励磁パターンを更新した後は、次のステップに処理が進むため、再度S224に処理が移り、1ステップ分の時間を待つことになる。以下は、これまでに説明した内容と同じである。
S262でNoであった場合は、取込指令数分の回数のインデックスが検出されたにも拘らず、取込指令数分の個数の遊技球が検出されていないので、遊技球の欠落が生じていたことを意味する。S266以降は欠落が生じた場合のリトライ処理となる。
S266ではリトライ回数をインクリメントする。リトライ回数はこの遊技球取込処理S200の初期設定としてS208でクリアして初期化している。次に現在の取込目標個数が遊技球の不足個数であるので、取込目標個数を新たなインデックスカウント数として代入する(S268)。次にリトライ動作をさせるので、S270にて1ステップ時間カウンタを低速にする。そして、取込動作モードをCとする(S272)。
S274ではリトライ回数が規定値に達したかが判断される。リトライ回数が規定値とはすなわちリトライ動作の上限回数である。リトライ回数が規定値に達していなければ(S274でNo)、低速で取込動作を再開すべく再度S224に処理が移り、1ステップ分の時間を待つことになる。以下は、これまでに説明した内容と同じである。
もし、リトライ回数が規定値に達していれば(S274でYes)、リトライ待機中のランプ(図示せず)を点灯させる等によりリトライ待機中を報知する(S276)。そして次のS278に進む。S278では、現在の取込目標個数が遊技球の不足個数であるので、取込目標個数を新たな取込指令数として代入し、遊技球取込処理S200の最初の処理であるS201に移行して球抜き操作もしくはベットボタンが操作されるのを待つ。遊技者は、ここで球抜き操作を行い精算して遊技を終了するか、もしくは遊技球を補充して再度ベットボタンを押して遊技を続行するかを選択できる。
図59は、精算処理S300である。精算処理S300は遊技球取込処理の中で遊技者が球抜き操作を行うことによって行われる。精算処理S300では、最初に励磁停止を指示し(S302)、遊技球取込装置の駆動モータを停止する。その後、S304にて球抜き操作がOFFされたか否かを確認する。具体的には球抜き弁検出器56が移動されていた球抜き弁55の戻りを検出したかチェックする。遊技者が球抜きつまみ11から手を離すとコイルスプリング61が元に戻ろうとする力によって球抜き弁55が前進し球抜き弁検出器56がOFFする(図11参照)。S304がNoである限り、S304をループし、遊技者の球抜き操作の終了を待つ。
S304でYesになると、次はS306で、球圧検出スイッチがONか確認する。ここに球圧検出スイッチとは、図11における奥近接スイッチ59、手前近接スイッチ60を意味し、奥近接スイッチ59、手前近接スイッチ60の両方の位置まで遊技球が満たされていれば、ONしていると判断する。本実施形態では、奥近接スイッチ59、手前近接スイッチ60の位置まで遊技球が満たされていれば、一定以上の球圧が確保されていると判断する。ここで球圧検出スイッチがONであると言うことは、取込装置内に相応の残留球がある。つまり、この場合は、遊技者には、遊技継続の意思があり、単に貯留皿14の遊技球を減らしたいだけと判断し(S306でYes)そのまま精算処理を抜ける。
S306で球圧検出スイッチがONでなければ(S306でNo)、次にS308において取込済みの遊技球があるか否かを判断する。取込済みの遊技球とは、カウントスイッチ(奥取込カウントスイッチ57又は手前取込カウントスイッチ58)によって検出された遊技球のことであり、取込済みの遊技球がある場合には、取込指令数から取込目標個数を差し引いた数だけ取込済みの遊技球があることになる。既に取込んだ遊技球があれば(S308でYes)、S310において取込済み個数分の遊技球を払出装置30から払出すべく払出コマンドを出力する。また、取込済みの遊技球がない場合(S308でNo)、次にS314において規定時間として0.5秒をセットする。また、S310において取込済み個数分の遊技球を払出す払出コマンドを出力した場合はS312において規定時間として6秒をセットする。
次にS316において、前のステップでセットした規定時間だけ待機する。この待機は、遊技球払出装置18から遊技球が払出された場合に、払出された遊技球が貯留皿14から遊技球通路15を転動し、遊技球取込装置19に至るまでの必要時間である。このように、払出装置30を通じて返却される場合は、遊技球の転動時間を考慮して遊技球取込装置19が動作するので、遊技者に対する返却漏れがなくなる。
次に、S318で励磁パターンを逆転方向(つまり返却方向)に変更する。これによりタイマ割込処理S100の中の励磁出力処理S112が駆動モータを逆転させる。S318で逆転を指示したら、S320で規程回転数回転したかを確認する。ここで規程回転数は、遊技球取込装置19に残留している遊技球と、既に取込完了していた遊技球が払出装置から払出されて返却された数を加算した分が返却できるだけでよい。ただし、本実施形態の場合は、遊技球取込装置19は2列の遊技球を扱うようになっているが、万一、返却すべき遊技球が片方の列に片寄っている可能性もあるので、規程回数は上記の計算の2倍にしておくことが望ましい。
S320の判断がNoの間は、S318に戻り、S320の判断がYesに転じた場合、精算処理は終了したとしてリターンする。
いずれの場合も、精算処理S300が終了した場合は、処理は遊技球取込処理S200の最初の処理であるS201に移行し、球抜き操作もしくはベットボタンが操作されるのを待つ。遊技者は、ここで遊技球を補充して再度ベットボタンを押して遊技を続行することを選択できる。
このように、本例の回胴式遊技機1によれば、扉形前面部材4の背面側に装着された第二基板ケース364から後方に突出する突設部材420を設け、扉形前面部材4を閉じた際、この突設部材420を設定カバー412の近傍に位置させることで設定操作部408に対する不正操作を抑制している。このため、扉形前面部材4を閉じた際には、ピアノ線等の不正操作具が設定操作部408まで侵入することを阻止することができ、一方、扉形前面部材4を開いた際には、突設部材420が扉形前面部材4とともに回動することから、設定カバー412の近傍から離れ設定操作部408への操作を可能にする。すなわち、不正行為を防止し、且つ正規の設定変更操作に対しては阻害することがなく作業者の負担を軽減できる。また、このように、設定カバー412における封止位置での保持を、扉形前面部材4側の突設部材420によって行うことから、設定カバー412自体にロック機構等を設ける必要がなく、ひいては設定カバーの構成が極めて簡単になるとともに、設定変更操作において面倒な作業を強いることがない。
また、本例の回胴式遊技機1によれば、設定カバー412は跳ね上げ式であるため、扉形前面部材4を閉じた際に、突設部材420を設定カバー412の前面側に位置させるだけで、設定カバー412の回動を規制することができる。また、設定カバー412は上端側を軸として回動可能に支持されているため、設定変更操作が行われた後、設定カバー412から手を放すと設定カバー412は自重によって開放位置から封止位置に向って自然に回動する。したがって、扉形前面部材4を閉じる際に、開放状態での設定カバー412(すなわち前方に大きく突出した状態の設定カバー412)と、第二基板ケース364とが衝突し、破損の原因となることを未然に防ぐことができる。
また、本例の回胴式遊技機1によれば、扉形前面部材4を閉じた際、設定カバー412と突設部材420との間に僅かな隙間が形成されるため、扉形前面部材4を勢いよく閉じた場合や、突設部材420の突出長さが設計誤差等により僅かに長く形成された場合であっても、設定カバー412と突設部材420との衝突を抑制し、設定カバー412または突設部材420の破損を防止することができる。
また、本例の回胴式遊技機1によれば、突設部材420が第二基板ケース364の後面に形成されているため、扉形前面部材4が閉じられた際には、突設部材420によって設定操作部408に対する不正操作を抑制するとともに、第二基板ケース364の閉状態を保持することも可能になる。つまり、ランプ駆動基板363に対する不正行為を防止することも可能になる。さらに、突設部材420が第二基板ケース364と一体に成形されているため、突設部材420の取付工程が不要になるとともに、設定操作部408に対する突設部材420の位置合せが容易となる。また、突設部材420を取外すことができないため、防犯効果を一層高くすることが可能になる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記実施形態では、設定操作部408を設定カバー412で覆うものを示したが、設定カバー412を設けることなく、扉形前面部材4側に形成される突設部材によって設定操作部408を囲むようにしてもよい。このように構成しても、設定操作部408への不正操作を抑制できるとともに、扉形前面部材4の開放時には極めて容易に設定操作部408を操作することが可能になる。なお、この場合、設定操作部408の周囲全体を囲むように突設部材を筒状に形成することが好ましい。
また、上記実施形態では、ランプ駆動基板363を収容する第二基板ケース364の背面に突設部材420を形成したものを示したが、他の基板を収容する基板ケースの背面に形成するようにしてもよく、基板ケース以外の装着部材に突設部材を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、扉形前面部材4の中央部分に演出表示装置15を配置し、扉形前面部材4の上部側に小型の図柄変動表示装置13を配置するものを示したが、これとは逆に、扉形前面部材4の中央部分に比較的大型の図柄変動表示装置を配置し、扉形前面部材4の上部に演出表示装置を配置するようにしてもよい。このように構成した場合には、図柄変動表示装置を視認性のよい適切な位置に配置することが可能となる。
さらに、上記実施形態では、遊技機として、パチンコ島に設置される回胴式遊技機1を示したが、回胴式遊技機1以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、スロットマシン島に設置される一般のスロットマシンであっても本発明を適用することができる。