JP5069497B2 - 質量分析用デバイス及びそれを用いた質量分析装置 - Google Patents

質量分析用デバイス及びそれを用いた質量分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、デバイス表面に接触された試料に測定光を照射して、試料中に含まれる質量分析の被分析物質を該表面から脱離させ、脱離した該物質を質量分析する方法に用いられる質量分析用デバイス、及びそれを備えた質量分析装置に関するものである。
物質の同定等に用いられる質量分析法において、質量分析用デバイス上に接触された試料に測定光を照射して被分析物質をデバイスから脱離させ、脱離された物質を質量別に検出する質量分析方法が知られている。例えば、飛行時間型質量分析法(Time of Flight Mass Spectroscopy : TOF-MS)は、デバイスから脱離された物質を所定距離飛行させて、その飛行時間により物質の質量を分析するものである。
このような質量分析法においては、通常、被分析物質をイオン化させて脱離させている。しかしながら、特に生体物質等の難揮発性の物質や合成高分子等の高分子量の物質が被分析物質である場合は被分析物質の脱離が難しく、これらの物質を質量分析可能とする方法が種々検討されているが、未だ分析可能な物質の種類や分子量が制限されている。
難揮発性の物質や合成高分子等の高分子量の物質の質量分析法としては、電解脱離質量分析法(FD−MS)や高速原子衝撃質量分析法(FAB−MS)、マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)等が挙げられる。中でもMALDI法は、分子量が1万を超す被分析物質の測定が可能であり、試料に対する化学的な影響も少ない分析法として知られている。
MALDI法は、被分析物質をマトリクスと呼ばれるシナピン酸やグリセリン等に混入したものを試料とし、マトリクスが吸収した光エネルギーを利用して被分析物質をマトリクスとともに気化させ、次いでマトリクス−被分析物質間でのプロトン移動がおこって被分析物質をイオン化させる方法である。このMALDI法を飛行時間型質量分析法(Time of Flight Mass Spectroscopy :TOF-MS)に適用したMALDI−TOF MSは、生体物質や合成高分子の分野で普及してきており、より高精度な分析を可能とするMALDI−TOF MSが検討されている(特許文献1)。
特開平9−320515号公報
しかしながら、MALDI−TOF MSは、被分析物質をマトリクスと共にイオン化させるため、イオン化された被分析物質だけではなく、マトリクス自体も飛行し検出されてしまいノイズとなるため、それにより得られる質量スペクトルの感度が低下する恐れがある。
また、MALDI−TOF MSは、難揮発性の物質や高分子量の物質の質量分析が可能であるが、測定光としては高エネルギーの測定光が必要とされる。高エネルギーの光源は未だ高価であるため、装置コストが高くなり、従って測定コストも高コストとなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、デバイス表面に接触された試料に測定光を照射して、試料中に含まれる質量分析の被分析物質を該表面から脱離させ、脱離した該物質を質量分析する方法に用いられる質量分析用デバイスにおいて、測定光の低エネルギー化が可能であり、かつ高感度な質量分析が可能な質量分析用デバイス、及びそれを備えた質量分析装置を提供することを目的とするものである。
本発明の質量分析用デバイスは、半透過半反射性を有する第1の反射体と、透光体と、反射性を有する第2の反射体とを順次備えた光共振体を備え、第1の反射体の表面に接触された試料に対して測定光を照射することにより、光共振体内に生じる共振によって増強された第1の反射体の表面における電場を利用して、試料中に含まれる質量分析の被分析物質を脱離させるものであることを特徴とするものである。
本明細書において、「半透過半反射性」とは透過性と反射性を共に有することを意味し、透過率と反射率は任意である。
本発明の質量分析用デバイスにおいて、前記第1の反射体の表面に接触される試料が前記被分析物質とマトリクスとの混合物を含むものであり、前記測定光の照射により前記被分析物質と前記マトリクスを前記表面から脱離させ、イオン化させるものであってもよい。
また、前記試料中に含まれる質量分析の被分析物質をイオン化して前記表面から脱離させるものであってもよい。
本発明の質量分析用デバイスにおいて、前記第1の反射体は前記測定光の波長よりも小さい凹凸構造を有するものであることが好ましい。
ここで、「測定光の波長よりも小さい凹凸構造」とは、凸部及び凹部(ここで言う「凹部」には反射体を厚み方向に貫通する空隙も含まれる)の平均的な大きさ(ここで言う「大きさ」は最大幅を示す)と凹凸の平均的なピッチが測定光の波長よりも小さいことを意味する。
本発明の質量分析用デバイスの好適な態様としては、前記第1の反射体が、前記透光体の表面に金属がパターン形成された金属層からなるものが挙げられる。
本発明の質量分析用デバイスの他の好適な態様としては、前記第1の反射体が、前記透光体の表面に複数の非凝集金属粒子が固着された金属層からなるものが挙げられる。
本明細書において、「非凝集金属粒子」とは、(1)金属粒子同士が会合せず、金属粒子同士が離間されて存在しているもの、あるいは(2)金属粒子が結合した後に一体の粒子となり、再びもとの状態には戻せないもの、の何れかに含まれる金属粒子と定義する。
本発明の質量分析用デバイスの他の好適な態様としては、前記透光体が、前記第1の反射体側の面において開口した前記測定光の波長よりも小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体からなり、前記第1の反射体が、前記透光体の表面形状に沿って複数の微細孔を有して形成された金属層からなるものが挙げられる。かかる構成において、微細孔の少なくとも一部に金属が充填されていてもよいし、微細孔底部にのみ金属が充填されていてもよい。
本発明の質量分析用デバイスの他の好適な態様としては、前記透光体が、前記第1の反射体側の面において開口した前記測定光の波長よりも小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体からなり、該透光性微細孔体に、前記微細孔内に充填された充填部と、該充填部上に前記誘電体表面より突出して形成され、該充填部の径よりも大きい突出部とからなる微細金属体が複数固定されているものが挙げられる。
本発明の質量分析用デバイスの他の好適な態様としては、前記第1の反射体が、前記透光体の表面に対して非平行方向に延びる互いに略平行な多数の柱状体からなる金属柱状構造膜を備えたものが挙げられる。
本発明の質量分析用デバイスの他の好適な態様としては、前記第1の反射体が、前記透光体の表面に対して非平行方向に延びる互いに略平行な多数の柱状体からなる誘電体柱状構造膜と、該誘電体柱状構造膜上に形成された金属膜とを備えたものが挙げられる。
本発明の質量分析用デバイスにおいて、前記第1の反射体は、該第1の反射体の少なくとも表面において局在プラズモンを励起しうるものであり、前記測定光は、前記第1の反射体において局在プラズモンを励起可能な波長の光を含むものであることが好ましい。
また本発明の質量分析用デバイスにおいて、前記第1の反射体の表面に、該表面と結合する第1のリンカー機能部と、前記被分析物質と結合する第2のリンカー機能部と、前記第1のリンカー機能部と前記第2のリンカー機能部との間に介在し、前記測定光の照射により生じる電場で分解する分解機能部とを有する表面修飾が施されていることが好ましい。
本発明の質量分析用デバイスは、外部から検出可能な位置に、分析位置を特定するための位置決めマークが施されたものであることが好ましい。
本発明の第1の質量分析装置は、上記本発明の質量分析用デバイスと、前記質量分析用デバイスの前記第1の反射体の表面に接触された試料に前記測定光を照射して、前記試料中の質量分析の被分析物質を前記表面から脱離させる第1の光照射手段と、脱離した前記被分析物質を検出して該被分析物質の質量を分析する分析手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の第2の質量分析装置は、第1の質量分析装置に、上記本発明の質量分析用デバイスの前記第1の反射体の表面に接触された試料に測定光を照射して、前記表面における電場を増強させる第2の光照射手段と、増強された前記電場を利用して、前記試料中に含まれる質量分析の被分析物質の有無を検出する検出手段とを更に備え、前記第1の反射体表面の、前記第2の光照射手段からの測定光が照射された位置に、前記第1の光照射手段により測定光を照射して、前記分析手段により前記質量分析の被分析物質の質量分析を行うことを特徴とするものである。
本発明の質量分析装置の好適な態様としては、飛行時間型質量分析装置が挙げられる。
本発明の質量分析用デバイスは、半透過半反射性を有する第1の反射体と、透光体と、反射性を有する第2の反射体とを順次備えた光共振体を備えたものであるので、第1の反射体を透過して透光体に入射した光が第1の反射体と第2の反射体との間で反射を繰り返して多重反射が起こり、多重反射光による多重干渉が効果的に起こり、この多重干渉により生じる共振により、質量分析の被分析物質を含む試料が接触される第1の反射体表面において効果的に電場が増強される。従って、試料接触面上において、増強された電場により測定光のエネルギーを高くすることができるため、測定光自身のエネルギーを低エネルギー化することができ、その結果装置コストを低減させることができる。
また、被分析物質と同時に脱離されて質量分析のノイズとなるような物質等を用いずに、被分析物質を脱離させることができるため、質量分析の感度を向上させることができる。従って本発明によれば、測定光の低エネルギー化が可能であり、かつ高感度な質量分析が可能な質量分析用デバイス及び質量分析装置を提供することができる。
「質量分析用デバイスの第1実施形態」
図1を参照して、本発明に係る第1実施形態の質量分析用デバイスについて説明する。図1(a)は斜視図、図1(b)は厚み方向断面図(A−A’断面図)である。
図1に示されるように、本実施形態の質量分析用デバイス1は、測定光L1の入射側(図示上側)から、半透過半反射性を有し、表面が試料接触面1sである第1の反射体10と、透光体20と、反射性を有する第2の反射体30とを順次備えたデバイス構造を有する。測定光L1はレーザ光であり、波長は検出する物質に応じて選択される。
透光体20は透光性平坦基板からなり、第1の反射体10は透光体20の一方の面に金属細線11が規則的な格子状パターンで形成された金属層からなり、第2の反射体30は透光体20の他方の面に形成されたベタ金属層からなる。
透光体20の材質は特に制限なく、ガラスやアルミナ等の透光性セラミック、アクリル樹脂やカーボネート樹脂等の透光性樹脂等が挙げられる。
第1の反射体10及び第2の反射体30の材質としては、任意の反射性金属を使用でき、Au、Ag、Cu、Al、Pt、Ni、Ti、及びこれらの合金等が挙げられる。第1の反射体10及び第2の反射体30はこれら反射性金属を2種以上含むものであってもよい。
ベタ金属層である第2の反射体30は、例えば金属蒸着等により成膜できる。第1の反射体10は例えば、金属蒸着等によりベタ金属層を成膜した後、公知のフォトリソグラフィー加工を実施することで形成できる。
第1の反射体10は反射性金属からなるが、空隙であるパターン間隙12を複数有しているので光透過性を有し、半透過半反射性を有する。第1の反射体10の金属細線11の線幅及びピッチは測定光L1の波長よりも小さく設計されており、第1の反射体10は測定光L1の波長よりも小さい凹凸構造を有するものとなっている。凹凸構造が光の波長よりも小さいサイズである場合、光に対しては薄膜であり、第1の反射体10は、電磁メッシュシールド機能を有する半透過半反射性の薄膜となる。
金属細線11のピッチは測定光L1の波長よりも小さい条件を充足すれば特に制限なく、測定光L1として可視光を用いる場合には例えば200nm以下が好ましい。金属細線11のピッチは小さい方が好ましい。金属細線11の線幅は特に制限なく、小さい方が好ましい。金属細線11の線幅は光によって金属中で振動する電子の平均自由行程以下であることが好ましく、具体的には50nm以下、特に30nm以下であることが好ましい。
透光体20の厚みは制限なく、多重干渉による可視光波長領域の吸収ピーク波長が1つとなり検出が容易なことから300nm以下が好ましく、多重反射が効果的に起こりかつ多重干渉による吸収ピーク波長が可視光域で検出が容易なことから100nm以上が好ましい。
本実施形態の質量分析用デバイスは、透光体20の厚みと透光体20内の平均屈折率とに応じて共振波長を変化させることができる。透光体20の厚みと透光体20内の平均屈折率と共振波長とは下記式(1)を略充足しており、従って、透光体20内の平均屈折率が同じものであれば、透光体20の厚み変えるだけで共振波長を変化させることができる。
λ≒2nd/(m+1)・・・(1)
(式中、dは透光体20の厚み、λは共振波長、nは透光体20内の平均屈折率、mは整数である。)
後記する第3実施形態の質量分析用デバイス3のように、透光体20が透光性微細孔体からなる場合は、「透光体20内の平均屈折率」とは、透光性微細孔体の屈折率とその微細孔内の物質(微細孔内に特に充填物質がない場合には空気、微細孔内に充填物質がある場合には充填物質/又は充填物質と空気)の屈折率とを合わせて平均化した平均屈折率を意味する。
また、屈折率は、材料に吸収がある場合は複素屈折率で表すが、透光体20において複素部分はゼロであり、透光体20が微細孔を有する場合にも、微細孔内の充填物質による影響は小さいため、上記(1)式においては、複素部分を持たない屈折率表示とした。
共振条件は、第1の反射体10及び第2の反射体30の物理特性や表面状態によっても変化するが、この変化の大きさは、透光体20の厚み及び透光体20内の平均屈折率による影響に比して小さいため、数nmオーダーの精度で上記式により共振波長を決定することができる。
図1(b)に示されるように、質量分析用デバイス1に測定光L1が入射すると、第1の反射体10の透過率又は反射率に応じて、一部は第1の反射体10の表面で反射され(図示略)、一部は第1の反射体10を透過して透光体20に入射する。透光体20に入射した光は、第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返す。すなわち、質量分析用デバイス1は、第1の反射体10と第2の反射体30との間で多重反射が起こる共振構造を有している。従って、透光体20の中で多重反射光による多重干渉が起こり、共振条件を満たす特定波長において共振し、共振波長の光を吸収する吸収特性を示す。そして吸収特性に応じた、測定光L1と異なる物理特性の出射光L2が出射される。また、デバイス内部においては、吸収特性に応じて電場が増強され、試料接触面である第1の反射体10の表面1sにおいて電場増強効果を得ることができる。
質量分析用デバイス1では、透光体20内における多重反射回数(フィネス)が最大となるよう、光インピーダンスマッチングをとったデバイス構造とすることが好ましい。かかる構成とすることで、吸収ピークがシャープになり、より効果的な電場増強が得られ、好ましい。
質量分析用デバイス1は、デバイス表面に接触された試料に測定光を照射して、試料中に含まれる質量分析の被分析物質Sをデバイス表面から脱離させ、脱離した被分析物質Sを質量分析する方法に用いられるものである。質量分析用デバイス1は、測定光L1の照射により第1の反射体10の表面(試料接触面)1sにおいて電場が増強されるので、試料接触面上において測定光のエネルギーが高められ、その高められた光エネルギーにより被分析物質Sを試料接触面1sから脱離させることができる。
被分析物質Sの脱離形態は制限されず、質量分析法によって選択することができる。例えば、被分析物質Sがその他の物質に結合あるいは分散された状態で脱離されてもよいし、被分析物質Sをイオン化して脱離させてもよい。
本実施形態の質量分析用デバイス1ではさらに、第1の反射体10が自由電子を有する金属からなり、局在プラズモンを誘起可能な大きさの凹凸構造を有する場合は、測定光として、前記第1の反射体において局在プラズモンを励起可能な波長の光を含むものが照射されれば第1の反射体10において局在プラズモン共鳴を起こすことができる。本実施形態では測定光L1の波長よりも小さい凹凸構造を有するので、局在プラズモンを誘起することが可能である。
局在プラズモン共鳴は、金属の自由電子が光の電場に共鳴して振動することで電場を生じる現象である。特に微細な凹凸構造を有する金属層では、凸部の自由電子が光の電場に共鳴して振動することで凸部周辺に強い電場を生じ、局在プラズモン共鳴が効果的に起こるとされている。本実施形態では、上記のとおり第1の反射体10が測定光L1の波長より小さい凹凸構造を有するので、局在プラズモン共鳴が効果的に起こる。
局在プラズモン共鳴が生じる波長においては、測定光L1の散乱や吸収が著しく増大し、上記多重干渉による共振と同様、試料接触面1sにおいて電場が増強される。この局在プラズモン共鳴が生じる波長(共鳴ピーク波長)、及び測定光L1の散乱や吸収の程度は、質量分析用デバイス1の表面の凹凸のサイズ、金属の種類及び表面に接触された試料の屈折率等に依存する。
多重干渉による吸収ピークと局在プラズモン共鳴による吸収ピークは異なる波長に現れる場合もあるし、重なる場合もある。測定光の波長がそれぞれのピーク波長からずれていたとしても、お互いの電場増強効果を強めあうことができる。また、これら2つの現象の相互作用又は上記デバイス構成特有の現象により、電場増強効果が強められていることも考えられる。上記したように、質量分析用デバイス1において、共振波長λは透光体20の平均屈折率nと厚みdとに応じて変わるので、局在プラズモン共鳴による電場増強効果との相乗効果が最も大きく得られるようにこれらのファクタを変化させればよい。
上記のように、第1の反射体10は、少なくとも第1の反射体表面1sにおいて局在プラズモンを励起しうるものであるので、測定光L1が、第1の反射体10において局在プラズモンを励起可能な波長の光を含むものであれば、多重反射による共振による電場増強効果と、局在プラズモン共鳴による電場増強効果が同時に得られるので好ましい。従って、第1の反射体10及び第2の反射体30の材質としては、金属以外の反射性材料を用いてもよいが、第1の反射体10は、局在プラズモン共鳴による電場増強効果も得られる金属であることが好ましい。
質量分析用デバイス1は、試料接触面(第1の反射体10の表面)1sに、被分析物質Sを捕捉可能な表面修飾Rが施されていてもよい。例えば、被分析物質Sが抗原であるような場合は、その抗原と特異的に結合可能な抗体により第1の反射体10の表面1sを修飾しておくことにより、試料接触面1s上の被分析物質Sの濃度を高められるので、感度を向上させることができる。
表面修飾Rは、被分析物質Sを捕捉可能であることに加えて、測定光L1の照射により試料接触面1sから被分析物質Sを容易に脱離可能とするものであることが好ましい。
図2(a)は表面修飾Rの好ましい形態を示す図である。図では視認しやすくするために表面修飾R及び表面修飾Rを構成要素は拡大して示してある。図示されるように、表面修飾Rは、第1の反射体10の表面1sに、被分析物質Sと結合する第1のリンカー機能部Aと、被分析物質Sと結合する第2のリンカー機能部Cと、第1のリンカー機能部Aと第2のリンカー機能部Cとの間に介在し、測定光L1の照射により生じる電場で分解する分解機能部Bとを有するものである。
表面修飾Rは、第1のリンカー機能部Aと第2のリンカー機能部Cと分解機能部Bとを全て備えた一つの物質であってもよいし、A,B,Cがそれぞれ異なる物質からなっていてもよい。
図2(b)は、質量分析用デバイス1が図2(a)に示されるような表面修飾Rを有する場合に、測定光L1の照射により被分析物質Sが脱離される様子を示した図である。図2(a)に示される質量分析用デバイス1に測定光L1が照射されると、光共振体内における共振及び/又は第1の反射体10における局在プラズモン共鳴を生じ、第1の反射体10の表面1s上の電場が増強される。測定光L1の光エネルギーは表面1sにおける電場により表面1s付近において高められ、その高められたエネルギーにより表面修飾Rの分解機能部Bが分解され、被分析物質Sに第2のリンカー機能部Cが結合されたものが第1の反射体10の表面1sから脱離される。脱離される被分析物質Sには、第2のリンカー機能部Cを介して分解機能部Bの一部も結合されていることもある。
図2(a)に示されるような表面修飾Rを有している場合は、被分析物質Sは試料接触面1sから離れて存在することになる。質量分析において、測定光が高エネルギーであると、測定光照射により被分析物質Sは脱離されるだけでなく、ダメージを受け、その結果正確な質量分析が行えなくなることがある。質量分析用デバイス1は、試料接触面1s上に生じる電場増強効果を利用して測定光L1の光エネルギーを試料接触面1s上において高めて利用する。質量分析用デバイス1の試料接触面である第1の反射体10の表面1sにおいて得られる電場増強効果は、近接場光による電場増強効果及び/又は光共振体内部において生じている光吸収による電場増強効果であるので、試料接触面1sからの距離に対して指数関数的に減少していくものである。従って、図2(a)に示されるように被分析物質Sが表面1sから比較的離れて存在していれば、被分析物質Sを脱離させるのに充分な光エネルギーを分解機能部に対して与え、かつ、被分析物質S自身に照射される測定光L1の光エネルギーは電場増強による影響の少ないものとすることができる。
従って、質量分析用デバイス1において第1の反射体10に、図2(a)に示されるような表面修飾Rを施しておくことにより、被分析物質Sへのダメージを少なくし、精度の高い質量分析を可能とすることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス1は、半透過半反射性を有する第1の反射体10と、透光体20と、反射性を有する第2の反射体30とを順次備えた光共振体を備えたものであるので、第1の反射体10を透過して透光体20に入射した測定光L1が第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返して多重反射が起こり、多重反射光による多重干渉が効果的に起こり、この多重干渉により生じる共振により、質量分析の被分析物質Sを含む試料が接触される第1の反射体表面1sにおいて効果的に電場が増強される。従って、試料接触面1s上において、増強された電場により測定光L1のエネルギーを高くすることができるため、測定光自身のエネルギーを低エネルギー化することができ、その結果装置コストを低減させることができる。
また、被分析物質Sと同時に脱離されて質量分析のノイズとなるような物質等を用いずに、被分析物質Sを脱離させることができるため、質量分析の感度を向上させることができる。従って本実施形態によれば、測定光L1の低エネルギー化が可能であり、かつ高感度な質量分析が可能な質量分析用デバイス1を提供することができる。
質量分析用デバイス1は、上記のように質量分析のノイズとなるような物質を用いず被分析物質Sを脱離させることが可能であるが、MALDI法等を用いた質量分析方法に適用してもよい。MALDI法は、背景技術の項において記載したように、被分析物質Sをマトリクスに混入したものを試料とし、マトリクスが吸収した光エネルギーを利用して被分析物質Sをマトリクスとともに気化させ、次いでマトリクス−被分析物質間でのプロトン移動がおこって被分析物質Sをイオン化させる方法である。
従って、質量分析用デバイス1において、第1の反射体10の表面1sに接触される試料が被分析物質Sとマトリクスとの混合物を含むものとすることにより、測定光Lの照射により被分析物質Sとマトリクスを表面1sから脱離させ、イオン化させることができる。
マトリクスとしては、イオン化されやすい物質、例えば高分子量のサンプル分析に対してはシナピン酸(3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸)CHCA(α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸)、中〜高分子量のサンプル分析に対してはフェルラ酸(trans-4-ヒドロキシ-3-メトキシケイ皮酸)、低〜中分子量のサンプル分析に対しては、ゲンチシン酸、DHBA(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)、負イオンモードでの核酸分析に対してはHPA(3-ヒドロキシピコリン酸)などが挙げられる。
質量分析用デバイス1をMALDI法に適用すれば、MALDI法における光源として低エネルギーな光源を利用可能とすることができるので、装置コスト及び測定コストを低減させることが可能となる。また、現在のMALDI法を用いた質量分析法に適用すれば、現在の技術において困難とされている難揮発性及び分子量を有する物質の質量分析をも実現できる可能性も有している。
本実施形態では、第1の反射体10が規則的な格子状パターンの場合について説明したが、第1の反射体10のパターン形状は任意であり、ランダムパターンでもよい。ただし、構造規則性が高い方が共振構造の面内均一性が高く、特性が集約されるので好ましい。
「質量分析用デバイスの第2実施形態」
図3を参照して、本発明に係る第2実施形態の質量分析用デバイスについて説明する。図3(a)は第1実施形態の図1(a)に対応する斜視図、図3(b)は質量分析用デバイスの上面図である。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明は省略する。
図3に示されるように、本実施形態の質量分析用デバイス2は、第1実施形態と同様、測定光L1の入射側(図示上側)から、半透過半反射性を有し、表面が試料接触面2sである第1の反射体10と、透光体20と、反射性を有する第2の反射体30とを順次備えたデバイス構造を有する。
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1実施形態では第1の反射体10がパターン形成された金属層であったのに対して、第1の反射体10が透光体20の表面に略同一径の複数の非凝集金属粒子13がマトリクス状に規則配列して固着された金属層からなる点である。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、構造規則性が高い方が共振構造の面内均一性が高く、特性が集約されるので好ましい。金属粒子13が凝集粒子を含む場合は、多数の金属粒子が凝集してできた部分と、そうでない部分とが存在し、第1の反射体の構造規則性が低くなりやすいが、本実施形態の金属粒子13は非凝集金属粒子であるため、凝集粒子を含む場合に比して高い構造規則性を有する第1の反射体10を容易に形成することができる。
金属粒子13の材料は制限なく、第1実施形態の第1の反射体10と同様の金属が例示できる。
また、金属粒子13は非凝集金属粒子であるので、「課題を解決するための手段」の項において記載したように、(1)金属粒子同士が会合せず、金属粒子同士が離間されて存在しているもの、あるいは(2)金属粒子が結合した後に一体の粒子となり、再びもとの状態には戻せないもの、の何れかに含まれる金属粒子である。
(1)の金属粒子13が複数固着された第1の反射体10としては、金属粒子13同士が会合しないように一定の距離以上離間されて配置された金属層が挙げられる。この金属層において、金属粒子13の配置は、ランダムでも略規則的な配列を有していてもよい。
金属粒子13がランダムな配置された金属層としては、例えば斜め蒸着法等により得られる島状パターンの金属層が挙げられる。
また、金属粒子13が略規則配列された金属層としては、ドット状、メッシュ状、ボウタイ形状アレイ、針状の金属粒子13が略規則配列されるようにパターニングされたものなどが挙げられる。これらの場合のパターニングは、リソグラフィや集束イオンビーム法(FIB法)等による加工及び自己組織化を利用する方法等により実施することができる。
(2)の金属粒子13が複数固着された第1の反射体10としては、融着やメッキ処理による金属成長の過程において一体化して形成され、再び一体化する前の状態には戻すことのできない金属粒子13が複数固着されたものが挙げられる。
また第1の反射体10は、上記した以外に、透光体20の表面に金属粒子13の分散溶液をスピンコート法等により塗布し乾燥することによっても形成できる。分散溶液に樹脂や蛋白質等のバインダを含有させ、バインダを介して金属粒子13を透光体20の表面に固着させることが好ましい。バインダとして蛋白質を用いる場合には、蛋白質同士の結合反応を利用して、金属粒子13を透光体20の表面に固着させることも可能である。
第1の反射体10は反射性金属からなるが、空隙である粒子間隙14を複数有しているので光透過性を有し、半透過半反射性を有する。金属粒子13の径及びピッチは測定光L1の波長よりも小さく設計されており、第1の反射体10は測定光L1の波長よりも小さい凹凸構造を有するものとなっている。本実施形態においても、第1の反射体10は、凹凸構造が光の波長よりも小さいので、電磁メッシュシールド機能を有する半透過半反射性の薄膜となる。
本実施形態の質量分析用デバイス2も、測定光L1の照射により第1の反射体10表面(試料接触面)2sにおいて電場が増強されるので、試料接触面2s上において測定光L1のエネルギーが高められ、その高められた光エネルギーにより被分析物質Sを試料接触面2sから脱離させ、質量分析を行うことができる。
金属粒子13のピッチは測定光L1の波長よりも小さい条件を充足すれば特に制限なく、測定光L1として可視光を用いる場合には例えば200nm以下が好ましい。金属粒子13のピッチは小さい方が好ましい。金属粒子13の径は特に制限なく、小さい方が好ましい。金属粒子13の径は光によって金属中で振動する電子の平均自由行程以下であることが好ましく、具体的には50nm以下、特に30nm以下であることが好ましい。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1の反射体10を透過して透光体20に入射した光が第1の反射体10と第2の反射体30との間で多重反射し、多重反射光による多重干渉が起こり、共振条件を満たす特定波長において共振する。共振により、共振波長の光が吸収され、デバイス内の電場が増強され、試料接触面2sにおいて電場増強効果を得ることができる。共振波長も、第1実施形態と同様に、透光体20の平均屈折率と厚みとに応じて変化するため、これらのファクタに応じた波長において高い電場増強効果(例えば、100倍以上の増強効果)を得ることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス2は、第1の反射体10が金属粒子層からなる点を除けば第1実施形態と基本的な構成は同様であるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。従って、質量分析用デバイス2においても、図2(a)に示されるように第1の反射体10の表面に表面修飾Rと同様の構成の表面修飾を施すことにより、高い精度の質量分析を可能とすることができる。
本実施形態では、第1の反射体10が略同一径の複数の金属粒子13がマトリクス状に規則配列して固着された金属層からなる場合について説明したが、金属粒子13は径に分布があってもよく、配列パターンも任意であり、ランダム配列でもよい。
「質量分析用デバイスの第3実施形態」
図4及び図5を参照して、本発明に係る第3実施形態の質量分析用デバイスについて説明する。図4は質量分析用デバイスの斜視図、図5は製造工程図である。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して説明は省略する。
図4に示されるように、本実施形態の質量分析用デバイス3は、第1実施形態と同様、測定光L1の入射側(図示上側)から、半透過半反射性を有し、表面が試料接触面3sである第1の反射体10と、透光体20と、反射性を有する第2の反射体30とを順次備えたデバイス構造を有する。
本実施形態では、第1実施形態と異なり、透光体20は図5に示す被陽極酸化金属体(Al)40の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体(Al)41からなり、第2の反射体30は図5に示す被陽極酸化金属体40の非陽極酸化部分(Al)42からなる。第2の反射体30は反射性を有する。
透光体20は、第1の反射体10側から第2の反射体30側に延びる略ストレートな複数の微細孔21が開孔された透光性微細孔体である。複数の微細孔21は第1の反射体10側の面において開口し、第2の反射体30側は閉じられている。透光体20において、複数の微細孔21は測定光L1の波長より小さい径及びピッチで略規則的に配列されている。
陽極酸化は、被陽極酸化金属体40を陽極とし、陰極と共に電解液に浸漬させ、陽極陰極間に電圧を印加することで実施できる。被陽極酸化金属体40の形状は制限されず、板状等が好ましい。また、支持体の上に被陽極酸化金属体40が層状に成膜されたものなど、支持体付きの形態で用いることも差し支えない。陰極としてはカーボンやアルミニウム等が使用される。電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
図5に示されるように、被陽極酸化金属体40を陽極酸化すると、表面40sから該面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、金属酸化物体(Al)41が生成される。陽極酸化により生成される金属酸化物体41は、多数の平面視略正六角形状の微細柱状体41aが隙間なく配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体41aの略中心部には、表面40sから深さ方向に略ストレートに延びる微細孔21が開孔され、各微細柱状体41aの底面は丸みを帯びた形状となる。陽極酸化により生成される金属酸化物体の構造は、益田秀樹、「陽極酸化法によるメソポーラスアルミナの調製と機能材料としての応用」、材料技術Vol.15,No.10、1997年、p.34等に記載されている。
規則配列構造の金属酸化物体41を生成する場合の好適な陽極酸化条件例としては、電解液としてシュウ酸を用いる場合、電解液濃度0.5M、液温14〜16℃、印加電圧40〜40±0.5V等が挙げられる。通常、互いに隣接する微細孔21同士のピッチは10〜500nmの範囲で、また微細孔の孔径は、5〜400nmの範囲でそれぞれ制御可能である。特開2001−9800号公報や特開2001−138300号公報には、微細孔の形成位置や孔径をより細かく制御する方法が開示されている。これらの方法を用いることにより、上記範囲内において任意の孔径及び深さを有する微細孔を略規則的に配列形成することができる。上記条件で生成される微細孔21は例えば、径が5〜200nm、ピッチが10〜400nmである。
本実施形態において、第1の反射体10は透光体20への金属蒸着等により成膜され、透光体20の表面形状に沿って形成された金属層からなる。透光体20の微細孔21の開口箇所には金属が成膜されないので、第1の反射体10は略中心部に微細孔16を有する平面視略正六角状の金属体15が隙間なく配列した形状を呈する。第1の反射体10の微細孔16は透光体20の微細孔21と同じパターンで開孔されるので、微細孔16は測定光L1の波長より小さい径及びピッチで略規則的に配列されたものとなる。なお、第1の反射体10の成膜時に、微細孔21の底部に金属が蒸着されても構わない。
第1の反射体10は反射性金属からなるが、空隙である微細孔16を複数有しているので光透過性を有し、半透過半反射性を有する。第1の反射体10は、略中心部に微細孔16を有する測定光L1の波長より小さい大きさの平面視略正六角状の金属体15が略規則的に配列されたものであるので、測定光L1の波長よりも小さい凹凸構造を有するものとなっている。本実施形態においても、凹凸構造が光の波長よりも小さいので、電磁メッシュシールド機能を有する半透過半反射性の薄膜となる。
本実施形態の質量分析用デバイス3も、測定光L1の照射により第1の反射体10表面(試料接触面)3sにおいて電場が増強されるので、試料接触面上において測定光L1のエネルギーが高められ、その高められた光エネルギーにより被分析物質Sを試料接触面3sから脱離させ、質量分析を行うことができる。
金属体15のピッチ(微細孔16のピッチ)は測定光L1の波長よりも小さい条件を充足すれば特に制限なく、測定光L1として可視光を用いる場合には例えば200nm以下が好ましい。金属体15のピッチは小さい方が好ましい。
隣接する微細孔16の離間距離(隣接する微細孔16の間にある金属体15の幅W1)は特に制限なく、小さい方が好ましい。幅W1は、第1、第2実施形態の金属細線11の幅、金属粒子13の径に相当する。幅W1は、光によって金属中で振動する電子の平均自由行程以下であることが好ましく、具体的には50nm以下、特に30nm以下であることが好ましい。
本実施形態の質量分析用デバイス3においては、第1実施形態及び第2実施形態とは異なり、第2の反射体30が被陽極酸化金属体40の非陽極酸化部分(Al)42からなるので、表面に微細な凹凸構造を有することになり、第1の反射体10と同様に、第2の反射体30においても局在プラズモン共鳴を起こすことができる。
本実施形態の質量分析用デバイス3において、微細孔21の底部には、金属が充填されていてもよく、第1の反射体の成膜時に同時に蒸着することにより固着されても構わない。この場合、透光性の金属酸化物からなる微細柱状体41a内に形成され、デバイス内に略規則的に配列した微細孔21の底部に金属が充填されることになり、デバイス内部においてより効果的な局在プラズモン共鳴が起こり、局在プラズモン共鳴波長において高い電場増強効果を得ることができる。
微細孔21の底部に充填される金属は、第1の反射体と同様、金属であればよく、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等が好ましく、金(Au)、銀(Ag)が特に好ましい。この場合、第1の反射体の表面3s及び微細孔底部において局在プラズモン共鳴を生じるので、より効果的な共鳴を得るためには、第1の反射体の金属と微細孔21の底部に充填される金属は同じ種類であることが好ましい。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の反射体10を透過して透光体20に入射した光が第1の反射体10と第2の反射体30との間で多重反射し、多重反射光による多重干渉が起こり、共振条件を満たす特定波長において共振する。共振により、共振波長の光が吸収され、デバイス内の電場が増強され、試料接触面3sにおいて電場増強効果を得ることができる。共振波長も、第1実施形態と同様に、透光体20の平均屈折率と厚みとに応じて変化するため、これらのファクタに応じた波長において高い電場増強効果(例えば、100倍以上の増強効果)を得ることができる。
更に、本実施形態においては、微細孔21の底部において効果的な局在プラズモン共鳴を生じるため、第1実施形態及び第2実施形態質量分析用デバイスに比して、高い局在プラズモン共鳴による電場増強効果を得ることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス3は、透光体20が第1の反射体10側の面において開口した複数の微細孔21を有する透光性微細孔体からなり、第1の反射体10が透光体20の表面形状に沿って複数の微細孔16を有して形成された金属層からなる点を除けば、第1実施形態と基本的な構成は同様であるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。従って、質量分析用デバイス3においても、図2(a)に示されるように第1の反射体10の表面に表面修飾Rと同様の構成の表面修飾を施すことにより、高い精度の質量分析を可能とすることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス3は、陽極酸化を利用して製造されたものであるので、透光体20の微細孔21及び第1の反射体10の微細孔16が略規則配列された質量分析用デバイス3を簡易に製造でき、好ましい。ただし、これら微細孔の配列はランダム配列でもよい。
本実施形態において、微細孔21の底部のみに金属が充填された構造を例示したが、微細孔21の内部全体又は一部に金属を充填された構造とすることもできる。微細孔21の内部全体に金属が充填された構成とした場合は、第1の反射体の厚みが光を透過可能な厚みであれば、上記と同様に光共振体内において共振を生じるため、試料接触面3sにおいて共振及び局在プラズモン共鳴による電場増強効果により、効果的な局在プラズモン共鳴を生じて電場が増強されることになる。
本実施形態では、透光体20の製造に用いる被陽極酸化金属体40の主成分としてAlのみを挙げたが、陽極酸化可能で生成される金属酸化物が透光性を有するものであれば、任意の金属が使用できる。Al以外では、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、In、Zn等が使用できる。被陽極酸化金属体40は、陽極酸化可能な金属を2種以上含むものであってもよい。
「質量分析用デバイスの第4実施形態」
図6及び図7を参照して、本発明に係る第4実施形態の質量分析用デバイスについて説明する。図6は質量分析用デバイスの断面図、図7及び図8は製造工程図であり、図7は斜視図、図8は断面図である。本実施形態において、第1実施形態及び第3実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して説明は省略する。
図6に示されるように、本実施形態の質量分析用デバイス4は、第3実施形態と同様、測定光L1の入射側(図示上側)から、半透過半反射性を有し、表面が試料接触面4sである第1の反射体10と、透光体20と、反射性を有する第2の反射体30とを順次備えたデバイス構造を有し、透光体20は図7(a)及び図8(a)に示す被陽極酸化金属体(Al)40の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体(Al)41からなり、第2の反射体30は図7及び図8に示す被陽極酸化金属体40の非陽極酸化部分(Al)42からなる。第2の反射体30は反射性を有する。質量分析用デバイス4は、第3実施形態の質量分析用デバイスと第1の反射体10の構成が異なる以外は同様の構成を有している。
質量分析用デバイス4は、微細孔21内に充填されている充填部51と、微細孔21上に透光体20の表面20sより突出して形成され、充填部51の径よりも大きい径を有する突出部52とからなる複数の金属部50を備えており、金属部50の突出部52側の表面が試料接触面である第1の反射体の表面4sである。すなわち、本実施形態では、第1の反射体10は、複数の金属部50の突出部52により構成されている。
充填部51と突出部52とからなる金属部50は、透光体20の微細孔21に電気メッキ処理等を施すことにより形成される。
電気メッキを行う場合には、第2の反射体30が電極として機能し、電場が強い微細孔21の底部から優先的に金属が析出する。この電気メッキ処理を継続して行うことにより、微細孔21内に金属が充填されて金属部50の充填部51が形成される。充填部51が形成された後、更に電気メッキ処理を続けると、微細孔21から充填金属が溢れるが、微細孔21付近の電場が強いことから、微細孔21周辺に継続して金属が析出していき、充填部51上に透光体表面20sより突出し、充填部51の径よりも大きい径を有する突出部52が形成される(図7(c),図8(c))。
金属部50を電気メッキにより成長する際に、条件によっては微細孔21の底面と被陽極酸化金属体40非陽極酸化部分42からなる導電体との間の薄い層が破られて、金属部50の充填部51が透光体20の裏面20rまで到達することもある。
本実施形態において複数の金属部50同士は近接しており、第1の反射体10は空隙を有しているので光透過性を有し、半透過半反射性を有する。第3実施形態において記載したように、互いに隣接する微細孔21同士のピッチは10〜500nmの範囲で、また微細孔21の孔径は、5〜400nmの範囲でそれぞれ制御可能である。第1の反射体10は、微細孔21に充填された充填部51と充填部51の径よりも大きい径を有する突出部52とからなる複数の金属部50からなっているので、測定光L1の波長よりも小さい凹凸構造を有するものとなっている。本実施形態においても、凹凸構造が光の波長よりも小さいので、電磁メッシュシールド機能を有する半透過半反射性の薄膜となる。
本実施形態の質量分析用デバイス4も、測定光L1の照射により第1の反射体10表面(試料接触面)4sにおいて電場が増強されるので、試料接触面上において測定光L1のエネルギーが高められ、その高められた光エネルギーにより被分析物質Sを試料接触面4sから脱離させ、質量分析を行うことができる。
本実施形態では、金属部50の突出部52が粒子状であり、質量分析用デバイス4の表面から見れば、透光体20の表面20sに金属粒子層が形成された構造になっている。かかる構成では、突出部52が金属部50の凸部であるので、その平均的な径及びピッチが測定光L1の波長よりも小さく設計されることが好ましい。金属部50は、突出部52の大きさが、局在プラズモンを励起可能な大きさであれば局在プラズモン共鳴による電場増強効果も得られるため好ましい。使用する測定光L1の波長を考慮すると、突出部52の径が10nm以上300nm以下の範囲であることが好ましい。
互いに隣接する突出部52同士は離間されていることが好ましく、その平均離間距離W2は、数nm〜10nmの範囲であることがより好ましい。平均離間距離が上記範囲内である場合は、局在プラズモンによる電場増強効果を効果的に得ることができる。
金属部50の材料は制限なく、第1実施形態の第1の反射体10と同様の金属が例示できる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の反射体10を透過して透光体20に入射した光が第1の反射体10と第2の反射体30との間で多重反射し、多重反射光による多重干渉が起こり、共振条件を満たす特定波長において共振する。共振により、共振波長の光が吸収され、デバイス内の電場が増強され、試料接触面4sにおいて電場増強効果を得ることができる。共振波長も、第1実施形態と同様に、透光体20の平均屈折率と厚みとに応じて変化するため、これらのファクタに応じた波長において高い電場増強効果(例えば、100倍以上の増強効果)を得ることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス4は、透光体20が第1の反射体10側の面において開口した複数の微細孔21を有する透光性微細孔体からなり、第1の反射体10が微細孔21内に充填されている充填部51と、微細孔21上に透光体20の表面20sより突出して形成され、充填部51の径よりも大きい径を有する突出部52とからなる複数の金属部50からなる点を除けば、第1実施形態と基本的な構成は同様であるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。従って、質量分析用デバイス4においても、図2(a)に示されるように第1の反射体10の表面に表面修飾Rと同様の構成の表面修飾を施すことにより、高い精度の質量分析を可能とすることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス4は、陽極酸化を利用して製造されたものであるので、透光体20の微細孔21及び第1の反射体10の突出部52が略規則配列された質量分析用デバイス4を簡易に製造でき、好ましい。ただし、これら微細孔の配列はランダム配列でもよい。
本実施形態では、透光体20の製造に用いる被陽極酸化金属体40の主成分としてAlのみを挙げたが、陽極酸化可能で生成される金属酸化物が透光性を有するものであれば、任意の金属が使用できる。Al以外では、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、In、Zn等が使用できる。被陽極酸化金属体40は、陽極酸化可能な金属を2種以上含むものであってもよい。
本実施形態では、また、陽極酸化を利用して微細孔21が略規則配列した透光体20を作製したが、微細孔21の形成方法は、陽極酸化に制限されない。表面全面を一括処理でき、大面積化に対応でき、高価な装置を必要としないことから、陽極酸化を利用した上記実施形態は好ましいが、陽極酸化を利用する以外に、透光体20の表面にナノインプリント技術により規則配列した複数の凹部を形成する方法や、集束イオンビーム(FIB)、電子ビーム(EB)等の電子描画技術により規則配列した複数の凹部を描画する等の微細加工技術によっても形成することができる。
「質量分析用デバイスの第5実施形態」
図9を参照して、本発明に係る第5実施形態の質量分析用デバイスについて説明する。図9は質量分析用デバイスの断面図である。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して説明は省略する。
図9に示されるように、本実施形態の質量分析用デバイス5は、第1実施形態と同様、測定光L1の入射側(図示上側)から、半透過半反射性を有し、表面が試料接触面5sである第1の反射体10と、透光体20と、反射性を有する第2の反射体30とを順次備えたデバイス構造を有する。
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1実施形態では第1の反射体10がパターン形成された金属層であったのに対して、第1の反射体10が透光体20の表面20sに対して非平行方向に延びる互いに略平行な多数の柱状体17pからなる柱状構造膜17を備えたものである点である。
柱状構造膜17は金属膜であり、その材質は金属であれば制限なく、第1実施形態の第1の反射体10と同様の金属が例示できる。柱状構造膜17は金属膜であるが、隣接する柱状体17p同士の間には空隙17sを複数有しているので光透過性を有し、半透過半反射性を有する。本実施形態においても、柱状体17pの柱径r及び空隙17sの密度は、第1の反射体10は測定光L1の波長よりも小さい凹凸構造を有するものとなるように設計されている。従って第1の反射体10は、凹凸構造が光の波長よりも小さいので、電磁メッシュシールド機能を有する半透過半反射性の薄膜となる。
柱状構造膜17の成膜方法は特に制限されないが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタ法等の気相成長法が挙げられる。柱状構造膜17を構成する多数の柱状体17pは、透光体20の表面に対して非平行方向に延びていればよいが、透光体20の表面に対して90±15°の範囲内の方向に延びていることが好ましく、90±10°の範囲内の方向に延びていることがより好ましい。上記したように、互いに隣接する柱状体17p同士は空隙17sを有していることが好ましい。上記の成膜方法により成膜する場合は、透光体の表面20sに対して90°となるように成膜すると、空隙がふさがりやすくなる傾向があるため、柱状体17pは上記範囲内において90°を除く成長方向であることがより好ましい。従って、柱状構造膜17は、斜め蒸着法により成膜されることが好ましい。しかしながら、膜厚が充分薄い場合は充分な空隙17sを有していなくても、光透過性を有する膜となる。
半透過半反射性を有していれば、柱状構造膜17の膜厚は制限されない。柱状体17pの長さも特に制限ないが、30〜500nmの範囲であれば透光体の表面20sに対する柱状体17pの成長方向の角度によらず、充分な空隙17sを有する半透過半反射性の柱状構造膜17とすることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス5も、測定光L1の照射により第1の反射体10表面(試料接触面)5sにおいて電場が増強されるので、試料接触面上において測定光L1のエネルギーが高められ、その高められた光エネルギーにより被分析物質Sを試料接触面5sから脱離させ、質量分析を行うことができる。
柱状体17pの柱径r及び空隙17sの密度は、第1の反射体10が測定光L1の波長よりも小さい凹凸をしていれば特に制限なく、測定光L1として可視光を用いる場合には例えば200nm以下の凹凸が形成されていることが好ましい。本実施形態においても構造規則性が高い方が共振構造の面内均一性が高いため、第1の反射体10において空隙17sは略均一に分布していることが好ましい。柱状体17pの径は特に制限なく、小さい方が好ましい。柱状体17pの径は光によって金属中で振動する電子の平均自由行程以下であることが好ましく、具体的には50nm以下、特に30nm以下であることが好ましい。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1の反射体10を透過して透光体20に入射した光が第1の反射体10と第2の反射体30との間で多重反射し、多重反射光による多重干渉が起こり、共振条件を満たす特定波長において共振する。共振により、共振波長の光が吸収され、デバイス内の電場が増強され、試料接触面5sにおいて電場増強効果を得ることができる。共振波長も、第1実施形態と同様に、透光体20の平均屈折率と厚みとに応じて変化するため、これらのファクタに応じた波長において高い電場増強効果(例えば、100倍以上の増強効果)を得ることができる。
本実施形態の質量分析用デバイス5は、第1の反射体10が金属柱状構造膜を備えたものである点を除けば第1実施形態と基本的な構成は同様であるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。従って、質量分析用デバイス5においても、図2に示されるように第1の反射体10の表面に表面修飾Rと同様の構成の表面修飾を施すことにより、高い精度の質量分析を可能とすることができる。
本実施形態では、第1の反射体10が透光体20の表面20sに対して非平行方向に延びる互いに略平行な多数の柱状体17pからなる柱状構造膜17を備え、柱状構造膜17が金属膜である場合について説明したが、図10〜図14に示されるような構成としてもよい。
図10に示されるように、第1の反射体10が、柱状構造膜17と、柱状構造膜17と透光体20との間に成膜された半透過半反射性の部分反射膜18とを有する構成としてもよい。かかる構成とすることにより、光共振体内での多重反射をより効果的におこすことができる。部分反射膜18としては、金属薄膜や、MgFやSiO、TiO等の誘電体が積層された誘電体多層薄膜等が挙げられる。
図11及び図12は、図9及び図10に示される質量分析用デバイスにおいて、第1の反射体10が、誘電体膜である柱状構造膜17と、柱状構造膜17上に形成された金属膜19を更に備えた構成とすることもできる。斜め蒸着法により柱状構造膜を成膜する場合は、金属膜に比して誘電体膜の方が成膜が容易であり、また、柱状構造を有する誘電体膜上に金属膜を成膜することにより、金属膜も誘電体からなる柱状体17pの形状にそって成膜されやすく、好ましい。この場合、誘電体柱状構造膜17上に成膜される金属膜19は、柱状構造を有する場合もあるし、そうでない場合もあるが、どちらであっても金属膜19は、誘電体からなる柱状構造膜17において形成された空隙17sをほぼ維持して成膜される。誘電体からなる場合、柱状構造膜17は、成膜が容易であり、しかも耐熱性及び耐光性に優れた無機材料であることが好ましい。ただし、上記柱状体17pを良好に成長でき、有機材料でも問題のない用途であれば、有機材料で柱状構造膜17の成膜を行ってもよい。有機材料の場合の柱状構造膜17の成膜方法としては、プラズマ化学蒸着法や、分子線蒸着法等が挙げられる。
図13及び図14は、図9及び図10に示される質量分析用デバイスにおいて、第2の反射体30が、透光体31と透光体31上に形成された半透過半反射性を有する部分反射膜32とを備えた構成としたものである。部分反射膜32としては、部分反射膜18と同じものが挙げられる。このような構成とすることにより第2の反射体30が半透過半反射性とすることができ、第2の反射体30側から出射される光を利用することも可能となる。かかる構成の第2の反射体30は、図11及び図12に示される質量分析用デバイスにも適用可能である。
また、質量分析用デバイス5と同様の構成の微細構造体は、質量分析用デバイス以外にも適用可能である。かかる構成の微細構造体は、質量分析用デバイス5と同様に、第1の反射体側10から柱状構造膜17に測定光L1を照射することにより光共振体内に生じる共振による光吸収を利用する種々のデバイスに適用可能である。例えば、光吸収による電場増強効果により検出する光のエネルギーを増強させて、検出感度を良好にするデバイスや、共振波長における光吸収特性の変化を利用してセンシングを行うデバイス等が挙げられる。
「設計変更例」
本発明の質量分析用デバイスは、第1の反射体10及び第2の反射体30の構成やこれらの組合せを適宜設計変更することができる。例えば、第1〜第5実施形態を組み合わせて第1の反射体10及び第2の反射体30を構成し、本発明の質量分析用デバイスを構成することができる。
「質量分析装置の第1実施形態」
図15を参照して、上記第1実施形態の質量分析用デバイス1を用いる場合を例として、本発明にかかる第1実施形態の質量分析装置について説明する。本実施形態の質量分析装置は飛行時間型質量分析装置(TOF−MS)である。図15は本実施形態の質量分析装置6の構成を示す概略図であり、上記第2〜第5実施形態の質量分析用デバイス2〜5を用いた場合も装置構成及び得られる効果は同様である。
図示されるように、質量分析装置6は、真空に保たれたボックス68内に、上記実施形態の質量分析用デバイス1と、質量分析用デバイス1を保持するデバイス保持手段60と、質量分析用デバイス1の第1の反射体10の表面1sに接触された試料に測定光L1を照射して、試料中の質量分析の被分析物質Sを第1の反射体10の表面1sから脱離させる第1の光照射手段61と、脱離した被分析物質Sを検出して被分析物質Sの質量を分析する分析手段64とを備え、質量分析用デバイス1と分析手段64との間に、第1の反射体10の表面1sに対向する位置に配された引き出しグリッド62と、引き出しグリッド62の質量分析用デバイス1側の面と反対側の面に対向して配されたエンドプレート63を備えた構成としている。
光照射手段61は、レーザ等の単波長光源を備えており、光源から出射される光を導光するミラーなどの導光系を備えていてもよい。単波長光源としては、例えば、波長337nm、パルス幅50ps〜50ns程度のパルスレーザが挙げられる。
分析手段64は、測定光L1の照射により質量分析用デバイス1の第1の反射体10の表面から脱離され、引き出しグリッド62及びエンドプレート63の中央の孔を通過して飛行してきた被分析物質Sを検出する検出部65と、検出部65の出力を増幅さえるアンプ66と、アンプ66からの出力信号を処理するデータ処理部67により概略構成されている。
以下に上記構成の質量分析装置6を用いた質量分析について説明する。
まず、試料が接触された質量分析用デバイス1に電圧Vs印加され、所定のスタート信号により光照射手段61から特定波長の測定光L1が質量分析用デバイス1の表面1sに照射される。測定光L1の照射により、質量分析用デバイス1の表面1sにおいて電場が増強されるとともに、その電場により増強された測定光L1の光エネルギーにより試料中の被分析物質Sが表面1sから脱離される。
脱離された被分析物質Sは、質量分析用デバイス1と引き出しグリッド62との電位差Vsにより引き出しグリッド62の方向に引き出されて加速し、中央の孔を通ってエンドプレート63の方向にほぼ直進して飛行し、更にエンドプレート63の孔を通過して検出器65に到達して検出される。
被分析物質Sは、質量分析用デバイス1に接触させる前に予めイオン化処理を施していてもよいし、脱離後の状態は、イオン化された状態であってもよいし、質量分析用デバイス1上の表面修飾の一部等の他の物質が結合された状態であってもよい。脱離後の被分析物質Sの飛行速度は物質の質量に依存し、質量が小さいほど速いため、質量の小さいものから順に検出器65により検出される。
検出器65からの出力信号は、アンプ66により所定レベルに増幅され、その後データ処理部67に入力される。データ処理部67では、上記スタート信号と同期する同期信号が入力されており、この同期信号とアンプ66からの出力信号とに基づいて被分析物質Sの飛行時間を求めることができるので、その飛行時間から質量を導出して質量スペクトルを得ることができる。
本実施形態の質量分析装置6は、上記実施形態の質量分析用デバイス1を用いて構成されたものであるので、質量分析用デバイス1と同様の効果を奏する。
本実施形態では、ボックス68内に、すべてが備えられた構成について説明したが、少なくとも引き出しグリッド62、エンドプレート63及び検出器65がボックス68内に配置されていればよい。
本実施形態では、質量分析装置6がTOF−MSである場合を例に説明したがその他の質量分析方法にも適用可能である。
「質量分析装置の第2実施形態」
図16を参照して、上記第1実施形態の質量分析用デバイス1を用いる本場合を例として、本発明にかかる第2実施形態の質量分析装置について説明する。図16は本実施形態の質量分析装置7の構成を示す概略図であり、上記第2〜第5実施形態の質量分析用デバイス2〜5を用いた場合も装置構成及び得られる効果は同様である。
質量分析装置7は、図示されるように、質量分析部71とセンシング部72と、センシング部72から質量分析部71まで繋がったレール73に沿って可動であり、上記実施形態の質量分析用デバイス1が設置されたステージ74とにより概略構成されている。
本実施形態の質量分析装置7は、センシング部72において試料中における被分析物質Sの有無を検出し、その後ステージ74をレール73に沿って移動させ、被分析物質Sの存在が確認された試料に対して質量分析部71において質量分析を行うものである。
上記実施形態の質量分析用デバイス1は、測定光の照射により試料接触面である第1の反射体10の表面1sにおいて効果的に電場を増強させることができる。従って、質量分析用デバイス1は、第1の反射体10の表面1sにおける電場増強効果を利用したセンサデバイスとしても適用可能である。例えば、表面増強ラマン活性デバイス(SERS活性デバイス)は、微弱なラマン散乱光の強度を試料接触面における電場増強効果により高めて、センシングの感度を良好にすることのできるラマン分光用デバイスであるので、質量分析用デバイス1は、SERS活性デバイスとして好適に適用することができる。以下に、センシング部72が表面増強ラマンを利用したラマン分光装置とした場合を例に説明する。
センシング部72は、質量分析用デバイス1の第1の反射体10の表面1sに接触された試料に特定波長の測定光L2を照射して、第1の反射体10の表面1sにおいて電場を増強させ、かつ散乱光Lsを生じさせる第2の光照射手段75と、第1の反射体10の表面1sの電場により増強された散乱光Lsを分光して試料中に含まれる質量分析の被分析物質Sの有無を検出する分光手段(検出手段)76とにより概略構成されている。
光照射手段75は、レーザ等の単波長光源を備えており、更に光源から出射される光を導光するミラーなどの導光系を備えていてもよい。光照射手段75は、試料を接触させる質量分析用デバイス1の第1の反射体10の表面1sに特定波長の測定光L2を照射するよう構成されている。ラマン分光法では、ラマンシフトが観測される波長が被分析物質Sに応じて変わるので、単波長光源の波長は、被分析物質Sに応じて選択される。
分光手段76は、質量分析用デバイス1の第1の反射体10の表面1sで発生する散乱光Lsが入射するように配置されており、分光検出器78と試料からの散乱光Lsを集光する集光レンズ77とを備えている。分光手段76は更に集光レンズ77によって集光された散乱光Lsを分光検出器78へ導光するミラーなどを備えていてもよい。
光照射手段75から照射された特定波長の測定光L2が、試料の接触された質量分析用デバイス1の第1の反射体10の表面1sで散乱され、発生する散乱光Lsが分光手段76に入射し、分光手段76により散乱光Lsが分光されてラマンスペクトルが生成される。上記したように、ラマンスペクトルは測定する試料の種類によって変わるので、被分析物質S特有のラマンシフトにより被分析物質Sの有無を検出することができる。
質量分析部71は、ステージ74上に設置された質量分析用デバイス1の第1の反射体10の表面1sに接触された試料に測定光L1を照射して、試料中の質量分析の被分析物質Sを第1の反射体10の表面1sから脱離させる第1の光照射手段61と、脱離した被分析物質Sを検出して被分析物質Sの質量を分析する分析手段64とにより概略構成されている。
質量分析部71における質量分析方法は特に制限なく、第1実施形態のTOF−MSのように、質量分析用デバイス1の電場増強効果を有効に利用できる方法が好ましい。TOF−MSの場合、質量分析部71は、図15に示される構成とほぼ同様の構成とすることができるが、上記のように、本実施形態の質量分析装置7では、センシング部72において被分析物質のSのセンシングをした後に、被分析物質Sが検出された試料に対して質量分析を行う構成としているので、デバイス保持手段であるステージ74の設置される場所及び光照射手段61が、内部が真空なボックスの外部に配されている構成とすることが好ましい。このようにした方が、レール73を利用してステージ74上の質量分析用デバイス1を容易に移動させることが可能となる。
質量分析部71の測定光L1を、センシング部72において測定光L2が照射された位置に照射することにより、被分析物質Sを取り違えることなく質量分析することができる。測定光L1と測定光L2の照射位置を正確に決定するためには、質量分析用デバイス1として、外部から検出可能な位置に、分析位置を特定するための位置決めマーク1aが施されたもの用いることが好ましく、更に、質量分析装置7は、センシング部72及び質量分析部71の双方に、位置決めマーク1aを参照して質量分析用デバイス1上における2つの光照射手段による照射位置を一致させる位置決め手段79を備えていることが好ましい。
質量分析装置7において、質量分析用デバイス1は、センシング部72において効果的な表面増強ラマン効果が得られ、且つ質量分析部71においても効果的な電場増強効果が得られるものであることが好ましい。従って、測定光L1及びL2に対して効果的な電場増強効果が得られるように、質量分析用デバイス1は、透光体20の平均屈折率及び厚みが設計されたものとすることが好ましい。質量分析用デバイス1は、式(1)に示されるように、共振波長が透光体20の平均屈折率と厚みとに応じて変わるので、これらのファクタを変化させるだけの簡易な設計変更によって電場増強効果が得られる波長を変えることができるので、複雑なデバイス設計を要さず、様々な被分析物質Sに対応することができる。
本実施形態の質量分析装置7は、第1実施形態と同様に上記実施形態の質量分析用デバイス1を用いたものであるので、質量分析用デバイス1と同様の効果を奏する。
本発明は、物質の同定等に用いられる質量分析装置として適用できる。
(a)は本発明に係る第1実施形態の質量分析用デバイスの斜視図、(b)は厚み方向断面図 (a)は本発明に係る第1実施形態における表面修飾の一例を示す概略構成図、(b)は測定光照射により被分析物質が脱離される様子を示す図 (a)は本発明に係る第2実施形態の質量分析用デバイスの斜視図、(b)は上面図 本発明に係る第3実施形態の質量分析用デバイスの斜視図 (a)〜(c)は図4の質量分析用デバイスの製造工程図 本発明に係る第4実施形態の質量分析用デバイスの厚み方向断面図 (a)から(c)は図6の質量分析用デバイスの製造工程を示す斜視図 (a)から(c)は図6の質量分析用デバイスの製造工程を示す断面図 本発明に係る第5実施形態の質量分析用デバイスの厚み方向断面図 本発明に係る第5実施形態の質量分析用デバイスのその他の好適な態様を示す厚み方向断面図 本発明に係る第5実施形態の質量分析用デバイスのその他の好適な態様を示す厚み方向断面図 本発明に係る第5実施形態の質量分析用デバイスのその他の好適な態様を示す厚み方向断面図 本発明に係る第5実施形態の質量分析用デバイスのその他の好適な態様を示す厚み方向断面図 本発明に係る第5実施形態の質量分析用デバイスのその他の好適な態様を示す厚み方向断面図 本発明に係る第1実施形態の質量分析装置の構成を示す概略図 本発明に係る第2実施形態の質量分析装置の構成を示す概略斜視図
符号の説明
1〜5 質量分析用デバイス
1s、2s、3s、4s、5s 試料接触面(第1の反射体表面)
1a 位置決めマーク
10 第1の反射体
11 金属細線
12 パターン間隙
13 金属粒子
14 粒子間隙
16 微細孔
17 柱状構造膜
17p 柱状体
20 透光体
20s 透光体表面
21 微細孔
30 第2の反射体
40 被陽極酸化金属体
41 金属酸化物体
42 非陽極酸化部分
50 金属部
51 充填部
52 突出部
6、7 質量分析装置
61 第1の光照射手段
64 分析手段
75 第2の光照射手段
76 検出手段(分光手段)
79 位置決め手段
L1、L2 測定光
Ls 散乱光
S 被分析物質
R 表面修飾
A 第1のリンカー機能部
B 分解機能部
C 第2のリンカー機能部

Claims (22)

  1. 半透過半反射性を有する第1の反射体と、透光体と、反射性を有する第2の反射体とを順次備えた光共振体を備え、
    前記第1の反射体の表面に接触された試料に対して測定光を照射することにより、前記光共振体内に生じる共振によって増強された前記表面における電場を利用して、前記試料中に含まれる質量分析の被分析物質を前記表面から脱離させるものであることを特徴とする質量分析用デバイス。
  2. 前記第1の反射体の表面に接触される試料が前記被分析物質とマトリクスとの混合物を含むものであり、前記測定光の照射により前記被分析物質と前記マトリクスを前記表面から脱離させ、イオン化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の質量分析用デバイス。
  3. 前記第1の反射体の表面に接触された試料に対して測定光を照射することにより、前記光共振体内に生じる共振によって増強された前記表面における電場を利用して、前記試料中に含まれる質量分析の被分析物質をイオン化して前記表面から脱離させるものであることを特徴とする請求項1に記載の質量分析用デバイス。
  4. 前記第1の反射体が、前記測定光の波長よりも小さい凹凸構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の質量分析用デバイス。
  5. 前記第1の反射体が、前記透光体の表面に金属がパターン形成された金属層からなることを特徴とする請求項4に記載の質量分析用デバイス。
  6. 前記第1の反射体が、前記透光体の表面に複数の非凝集金属粒子が固着された金属層からなることを特徴とする請求項4に記載の質量分析用デバイス。
  7. 前記透光体が、前記第1の反射体側の面において開口した前記測定光の波長よりも小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体からなり、前記第1の反射体が、前記透光体の表面形状に沿って複数の微細孔を有して形成された金属層からなることを特徴とする請求項4に記載の質量分析用デバイス。
  8. 前記透光性微細孔体は被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記第2の反射体は前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分からなり、前記第1の反射体は、前記透光体に成膜された金属層からなることを特徴とする請求項7に記載の質量分析用デバイス。
  9. 前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔の一部に、金属が充填されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の質量分析用デバイス。
  10. 前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔の底部に、金属が充填されていることを特徴とする請求項9に記載の質量分析用デバイス。
  11. 前記透光体が、前記第1の反射体側の面において開口した前記測定光の波長よりも小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体からなり、
    該透光性微細孔体に、前記微細孔内に充填された充填部と、該充填部上に前記透光体表面より突出して形成され、該充填部の径よりも大きい突出部とからなる微細金属体が複数固定されていることを特徴とする請求項4に記載の質量分析用デバイス。
  12. 前記透光性微細孔体は被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記第2の反射体は前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分からなり、前記第1の反射体は、複数の前記突出部からなるものであることを特徴とする請求項11に記載の質量分析用デバイス。
  13. 前記第1の反射体が、前記透光体の表面に対して非平行方向に延びる互いに略平行な多数の柱状体からなる金属柱状構造膜を備えたものであることを特徴とする請求項4に記載の質量分析用デバイス。
  14. 前記第1の反射体が、前記透光体の表面に対して非平行方向に延びる互いに略平行な多数の柱状体からなる誘電体柱状構造膜と、該誘電体柱状構造膜上に形成された金属膜とを備えたものであることを特徴とする請求項4に記載の質量分析用デバイス。
  15. 前記第1の反射体は、該第1の反射体の少なくとも表面において局在プラズモンを励起しうるものであり、前記測定光は、前記第1の反射体において局在プラズモンを励起可能な波長の光を含むものであることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の質量分析用デバイス。
  16. 前記第1の反射体の表面に、前記被分析物質と結合可能な表面修飾が施されており、
    該表面修飾が、前記表面と結合する第1のリンカー機能部と、前記被分析物質と結合する第2のリンカー機能部と、前記第1のリンカー機能部と前記第2のリンカー機能部との間に介在し、前記測定光の照射により生じる電場で分解する分解機能部とを有するものであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の質量分析用デバイス。
  17. 外部から検出可能な位置に、分析位置を特定するための位置決めマークが施されたものであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の質量分析用デバイス。
  18. 半透過半反射性を有する第1の反射体と、透光体と、反射性を有する第2の反射体とを順次備えた光共振体を備え、
    前記第1の反射体は、前記透光体の表面に対して90°を除く非平行方向に延びる互いに略平行な多数の柱状体からなる柱状構造膜を備えたものであり、
    前記第1の反射体側から前記柱状構造膜に測定光を照射することにより前記光共振体内に生じる共振による光吸収を利用するものであることを特徴とする微細構造体。
  19. 請求項1〜17のいずれかに記載の質量分析用デバイスと、
    前記質量分析用デバイスの前記第1の反射体の表面に接触された試料に前記測定光を照射して、前記試料中の質量分析の被分析物質を前記表面から脱離させる第1の光照射手段と、
    脱離した前記被分析物質を検出して該被分析物質の質量を分析する分析手段とを備えたことを特徴とする質量分析装置。
  20. 前記質量分析用デバイスの前記第1の反射体の表面に接触された試料に測定光を照射して、前記表面における電場を増強させる第2の光照射手段と、
    増強された前記電場を利用して、前記試料中に含まれる質量分析の被分析物質の有無を検出する検出手段とを更に備え、
    前記第1の反射体表面の、前記第2の光照射手段からの測定光が照射された位置に、前記第1の光照射手段により測定光を照射して、前記分析手段により前記質量分析の被分析物質の質量分析を行うことを特徴とする請求項19に記載の質量分析装置。
  21. 前記質量分析用デバイスとして請求項17に記載の質量分析用デバイスを用い、前記位置決めマークを参照して前記質量分析用デバイス上における前記2つの光照射手段による照射位置を一致させる位置決め手段を更に備えたことを特徴とする請求項20に記載の質量分析装置。
  22. 飛行時間型質量分析装置であることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の質量分析装置。
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