JP2007225395A - 全反射レーザー照射法を用いた質量分析測定の定量化 - Google Patents

全反射レーザー照射法を用いた質量分析測定の定量化 Download PDF

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Abstract

【課題】 本願発明の目的は、質量分析において、マトリックスを用いることなく、エバネッセント光を試料に照射することにより、試料の分子数を定量的にカウントすることである。
【解決手段】 レーザー光を台形状のプリズムの底面に平行に導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該外面に塗布された試料を気化させることにより試料の定量的分析を行う。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、MALDI−MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法)などに代表されるレーザー脱離質量分析法を定量分析法として用いることを可能とするレーザー照射方法に関する。従って、本願発明により、大気中に極微量含まれる汚染物質及び体内に極微量存在する生体分子等の定量分析が可能となり、あらゆる科学領域にとって非常に有益な分析手法を提供できる。
レーザー脱離-質量分析法(Laser Desorption Mass Spectrometry:LD-MS)は、1980年代に注目され、主に金属や半導体などの表面分析に用いられてきた。レーザーを用いているため、レンズを用いて容易に集光が可能であり、微小領域の分析が可能である。
しかしながら、イオン化効率が低く、また、目的分子を解離させてしまうなどの欠点を持っており、巨大分子の測定が不可能とされていた。
そのような背景の中、たんぱく質などの巨大分子を分析する手法の一つとして、2002年のノーベル化学賞受賞者である田中耕一氏が開発したMALDI―TOF―MS(マトリックス支援レーザー脱離-飛行時間型-質量分析)測定装置が注目を浴びている。
MALDI法の最大の特徴は、試料に対してマトリックスと総称される化合物を大過剰(百倍から千倍)に混合し、混晶状態とした試料を用いることである。大過剰に混合されたマトリックス分子は、レーザーエネルギーを吸収することにより熱エネルギー(ミクロには振動エネルギー)に変換するため、照射レーザー(MALDI法では一般的に数ns程度のパルス幅が用いられる)の到達領域(深さ:数μm、径:数100μm)に含まれるマトリックス分子の一部が、パルス幅が数nsという短パルスレーザーの照射により急速加熱され、気化あるいは昇華される(図1参照)。
この時、混晶状態にあるターゲット分子は、マトリックス分子とともに気化されるが、直接的に照射レーザーエネルギーを受け取らないため、気化反応に比べ解離反応の割合が小さくなる。つまり、分子が解離することにより生じるフラグメント信号を大幅に減少させることが可能となり、巨大な分子の同定に非常に有効となる。
しかしながら、MALDI-TOF-MSには大きな欠点がある。MALDI-TOF-MSを用いることにより、物質の同定はかなり巨大な分子にまで適用されるが、その物質を定量することが不可能となった。
なぜなら、試料はターゲット分子にマトリックス分子を大過剰に加えた後に混晶状態を作るため、レーザーを照射した位置によりターゲット分子の試料中の存在比率が変化してしまうからである。また、試料表面が粗く、光の侵入長が定義できないため、レーザーエネルギーの到達体積を見積もることが出来ない。
従って、定量性を議論するためには、マトリックス分子を用いない試料形態にし、レーザーエネルギーの到達体積を制御する必要がある。
また、金属短針の先端にレーザー光を照射又はファイバー中を伝播した光の漏れ光を利用した(いわゆる近接場光学顕微鏡の原理を応用した)局所分析を目指すものは、知られている(下記特許文献1参照)。
しかし、上記方法では、金属短針の先端に誘起された表面プラズモンを利用するため、その分解能は、先端の曲率半径に依存し、金属短針の先端を再現性良く作成することが非常に困難であるため、定量分析には不適である。また、この近接場光学顕微鏡の原理を利用した手法は、実際にはまだまだ感度が足りず、実用レベルに達していない。さらに、金属短針の先端に誘起された表面プラズモン電場で一度に誘起される分子数が非常に小さく、検出が非常に困難である。
特開2004−264043
本願発明の目的は、質量分析において、マトリックスを用いることなく、エバネッセント光を試料に照射することにより、試料の分子数を定量的にカウントすることである。
本願発明においては、上記課題を以下の手段によって解決することができる。
(1)試料の定量的分析法又は装置であって、レーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面において、エバネッセント光を生じせしめ、該外面に塗布された試料を気化及びイオン化させることを特徴とする試料の定量的分析法又は装置。
(2)試料の定量的分析法又は装置であって、波長の異なる2つのレーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該プリズムの底面に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該プラズモンにより該金属上に塗布した試料を気化及びイオン化させることを特徴とする試料の定量的分析法又は装置。
(3)試料の定量的分析法又は装置であって、波長の異なる2つのレーザー光のうちの一方を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該外面に塗布された試料を気化させ、他方のレーザー光を該プリズムの外部であって、該プリズムの底面に近接して平行に導入し、該気化された試料をイオン化することを特徴とする試料の定量的分析法又は装置。
(4)試料の定量的分析法又は装置であって、波長の異なる2つのレーザー光のうちの一方を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該プリズムの底面に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該プラズモンにより該金属上に塗布した試料を気化させ、他方のレーザー光を該プリズムの外部であって、該プリズムの底面に近接して平行に導入し、該気化された試料をイオン化することを特徴とする試料の定量的分析法又は装置。
(5)試料の定量的分析法又は装置であって、レーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該プリズムの底面外部に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該金属の上部に導入した試料を気化及びイオン化することを特徴とする試料の定量的分析法又は装置。
本願発明は、レーザー脱離質量分析法において、マトリックス中に試料を混入させないために、光のスポット面積及びエバネッセント光の到達距離を見積もることにより、その体積中に存在する分子の数をカウントすることができ、定量的分析を可能とするものである。
以下に、本願発明を実施するための最良の形態を示す。
<2本のレーザー光のプリズム内入射(金属非使用)>の例
(1)レーザー光の照射方法
図1に見られるように、YAGレーザーを光源とし、波長1064nmの光と532nm、355nm又は266nmの光の2本の光を用いた。波長1064nmの光は、OPO(光パラメトリック発振)結晶を通して、長波長の光に変換した。2本の光は、ダイクロイックミラーを通して重ね合わせ、長焦点レンズを通して集光し、台形のプリズム(ドーブ・プリズムDove prism)へ導いた。
長波長の赤外光は、主に振動励起を誘起するために用いている。OPOにより波長変換された赤外光は、目的分子のOH伸縮振動等といった固有の振動を励起することによって効率的に気化するのが目的である。一方で、短波長の紫外光は、主に気化された分子のイオン化のために照射している。
波長によって焦点距離が変わってしまうため、プリズムに照射する前にその焦点(サンプル上における集光条件:レーザー強度のフルエンスやスポット径など)を一致させる必要があるので、複数のレンズを用いて、焦点距離の調整を行っている。2本のレーザーの照射遅延時間は、0秒とした。
LD用の光源は、スペクトラ フィジーク社のYAGレーザー(GCR11)を用い、パルス幅が8 ns、繰り返し周期が1〜30 Hz(可変)である。また、レーザー強度は、気化あるいはイオン化条件を充分に満たすように設定されている。
レーザー光は、台形プリズムの側面から図1の上面(長い辺であり、本願発明においては、「底面」という。)に平行に入射する。この場合、台形プリズムの底面の裏側(プリズムの内面)で入射レーザー光が全反射するため、台形プリズムの底面の外側ではエバネッセント光(近接場光)が発生する。
エバネッセント光の強度は、台形プリズム底面からの距離に対して指数関数的に減衰し、1/eとなる距離は、入射波長をλ、プリズム、空気の屈折率をn2、n1、入射角度をθとすると、以下の式で与えられる。
d=λ/2π{n2 2sin2θ1-n1 2}1/2
エバネッセント光は、プリズム表面の誘起双極子による電気力線に由来するため、入射光と同じエネルギーを持ち、その存在領域は波長に依存する。
一方で、通常のレーザー光に比べ、非常に局所的に存在するため、光学的に平滑である台形プリズム表面上においては、よく規定されたナノ空間のみの光照射が可能となる。
言い換えると、エバネッセント光の到達領域から、その中に存在する試料分子の数を間接的に見積もることによって定量分析を実現することが可能である。
分子量の大きな分子などを測定する場合にはMatrix分子が必要となるが、この場合、定量性が大きく損なわれるため、試料の混晶状態などをうまく制御する必要がある。
Matrix分子を用いない場合においては、試料分子の振動励起のための赤外レーザー光と電子励起のための紫外レーザー光の2本を同軸で照射することによりソフトなイオン化を実現することができる(例えば、International Journal of Mass Spectrometry 241 (2005) 49-56等参照)。
赤外レーザー光(波長領域:1〜4μm)は、非線形光学結晶の一種であるOPO(Optical Parametric Oscillation : 光パラメトリック発振)結晶を通すことにより得られたレーザー光を用いた。
また、照射するレーザー光は、プリズム内の照射面においてレーザー光強度の偏りを小さくするために、長焦点レンズにおいて集光した。本実施例においては、レンズからの距離によってレーザー光強度のプロファイルが変形することを避けるために、球面収差の無い非球面レンズを用いた。2つのレンズ間距離を制御することにより、長焦点レンズとして活用した。
(2)試料の形態
台形プリズム上に塗布する試料は、サブμmオーダーの極薄の膜とする。その理由は、試料の厚みが大きい場合は、光照射によって気化される台形プリズム表面近傍の試料分子が光照射されない領域の試料分子で蓋をされるため、正確に気化される分子の量を特定できないためである。
極薄である試料分子の膜を作成する手法として、スピンコーティング法、プリズム表面の修飾による濡れ角の減少などを利用する。
スピンコーティング法とは、基板を高速に回転し、溶液を滴下する手法であり、回転速度によって膜厚を制御することが可能である。
また、濡れ角の減少は、プリズム表面を修飾し、試料溶媒のプリズム表面への濡れやすさを大幅に向上させるために行う。例えば、親水性の向上であれば、抗菌作用や超親水性で知られている酸化チタンコーティングなどである。それに伴い、マイクロメートルオーダーの液滴をプリズム表面に塗布するなどの手法により液膜をサブマイクロメートルに制御することが可能となる。
(3)実験結果
試料としてフラーレンのベンゼン溶液をダブプリズムの底面に塗布した。入射レーザー光の波長は532 nm、強度は約1 mJ/pulse、繰り返し周波数は10 Hzである。なお、示したスペクトルは1000回測定の平均である。測定結果を図6に示す。図6の縦軸は、フラーレンの各種カーボンの強度割合を示しており、横軸は、これら各種カーボンの電荷数あたりの質量を示している。
図7は、フラーレン(C60)を、アセトンで希釈してプレートへ塗布し、エバネッセント光により、脱離イオン化したフラーレンの強度をTOF-MSで検出した点をプロットしたものである。縦軸はフラーレン(60)の強度を示し、横軸は、フラーレン(C60)の量を示している。
図7の点A(右上)は、フラーレン(C60)100μgをアセトンで希釈してプレートへ塗布したときの脱離イオン化したフラーレン(C60)の強度であり、点B(真中)は、フラーレン(C60)100μgをアセトンで2倍に希釈した場合、つまり50μgのフラーレン(C60)の強度であり、点Cは、4倍希釈した場合、つまり25μgのフラーレン(C60)の強度であり、点Dは8倍希釈した場合、つまり12.5μgのフラーレン(C60)の強度をプロットしたものである。
この図7より、これら4点が直線関係にあることを示しており、図6に示したフラーレンの各種カーボンの強度から、カーボンの種類ごとに、定量化できること、つまり、エバネッセント光の口径及び減衰距離からエバネッセント光到達の体積を見積もることにより、気化した試料の分子を定量化できることを示しているのである。
<2本のレーザー光のプリズム内入射(金属使用)>の場合
(1)レーザー光の照射方法
図2に示すように、レーザー光の照射方法は実施例1−1と同様である。ただし、レーザー光の照射意義が異なっている。
台形プリズムの底面に金属薄膜(金や銀など)を50 nm程度の膜厚で蒸着する。この台形プリズムの側面からレーザー光を入射した場合、台形プリズムの底面の裏側で入射レーザー光が全反射するため、台形プリズムの底面の金属薄膜上では表面プラズモンがエバネッセント光により励起される。
表面プラズモン電場の減衰常数を見積もるのは困難である。その理由は、表面の凹凸などの微細構造が強く影響するためである。ただし、平均的な見積もりであれば、表面から指数関数的に減衰することが知られているので、基準となるものを導入することにより、定量的な評価をすることができる。
ただし、表面プラズモンは、表面のみを伝搬するため、プリズムの屈折率および金属薄膜の屈折率などにより、表面プラズモン励起には最適入射角度が存在する。また、表面プラズモン励起に共鳴する波長が金属によって異なるため、蒸着する金属種に依存した波長を選択する。
この場合、金属表面に誘起される増強光電場は、入射光電場の10倍程度と見積もられる。一方で、表面凹凸が数10 nm程度の金属薄膜になると波数保存則が破れるため、入射角度に依存することなく、表面プラズモンを励起することが可能となる。
この場合、その増強光電場は、入射光電場に比べて平均して3桁から4桁にも達し、局所的にはさらに数桁以上の増強が報告されている。表面プラズモン励起を介した増強光電場を用いて金属表面の試料を励起することにより、より効率的に気化反応を誘起することが可能である。また、金属と接しているため、金属表面へのエネルギー移動が起こりやすく、Matrixとしても利用できる。
Matrix分子を試料に混入しないため、光到達体積を見積もることにより、その体積中に存在する試料分子の数を規定できるため、定量性の議論が可能となる。この実施例においては、金属薄膜を介しているため、光到達体積の見積もりは、実施例1の手法に比べその精度は劣る。
(2)試料の形態
プリズム表面に蒸着する金属は、金や銀などの表面プラズモン励起を可視レーザー光により可能とする金属種を選択する。金属表面の修飾は、表面プラズモン励起に影響を及ぼすため、利用しない。蒸着膜の膜厚は、50 nm程度が好ましい。試料の塗布はマイクロメートルオーダーの液滴を滴下する。
<レーザー光1本プリズム表面通過、1本プリズム内入射(金属非使用)>の場合
(1)レーザー光の照射方法
図3に示すように、一本目のレーザー光を台形プリズムの側面から入射する。この場合、台形プリズムの底面の裏側で入射レーザー光が全反射するため台形プリズムの底面ではエバネッセント光が発生する。
エバネッセント光により気化された試料は、プルームとなり試料表面近傍領域に存在するが、そのプルームを二本目のレーザー光によりイオン化する。この場合、二本のレーザー光の波長は、異なっている。
また、一本目のレーザー光と二本目のレーザー光との時間遅延を制御する。これは、一本目のレーザー光により生じるプルームが二本目のレーザー光の光路に到達する時間、およびプルームの状態変化(励起状態の緩和など)に対しても対応できるようにするためである。
(2)試料の形態
本実施例における試料形態は、実施例1−1と同様である。
<レーザー光1本プリズム表面通過、1本プリズム内入射(金属使用)>の場合
(1)レーザー光の照射方法
図4に示すように、一本目のレーザー光を台形プリズムの側面から入射する。照射方法は、上記実施例1−2と同様である。
また、一本目のレーザー光と二本目のレーザー光との時間遅延を制御する。これは、一本目のレーザー光により生じるプルームが二本目のレーザー光の光路に到達する時間、およびプルームの状態変化(励起状態の緩和など)に対しても対応できるようにするためである。機構は実施例1−2と同様であり、表面プラズモンによる増強光電場を利用して試料を気化させる。
(2)試料の形態
本実施例における試料形態は、実施例1−2と同様とする
<レーザー光1本プリズム内入射、試料表面吹付け(金属使用)>の場合
(1)レーザー光の照射方法
図5に示すように、台形プリズムの底面に金属薄膜(金や銀など)を50 nm程度の膜厚で蒸着する。この台形プリズムの側面からレーザー光を入射した場合、台形プリズムの底面の裏側で入射レーザー光が全反射するため、台形プリズムの底面の金属薄膜上ではエバネッセント光により表面プラズモンが励起される。
ただし、表面プラズモンは、表面のみを伝搬するため、プリズムの屈折率および金属薄膜の屈折率などにより、表面プラズモン励起には最適入射角度が存在する。また、表面プラズモン励起に共鳴する波長が金属によって異なるため、蒸着する金属種に依存した波長を選択する。
この場合、金属表面に誘起される増強光電場は、入射光電場の10倍程度と見積もられる。一方で、表面凹凸が数10 nm程度の金属薄膜になると波数保存則が破れるため、入射角度に依存することなく、表面プラズモンを励起することが可能となる。
この場合、その増強光電場の入射光電場に比率は、平均して3桁から4桁にも達し、局所的にはさらに数桁以上の増強が報告されている。表面プラズモン励起を介した増強光電場を用いて金属表面の試料を励起することにより、より効率的に気化反応を誘起することが可能である。また、金属と接しているため、金属表面へのエネルギー移動が起こりやすく、Matrixとしても利用できる。
Matrix分子を試料に混入しないため、光到達体積を見積もることにより、その体積中に存在する試料分子の数を規定できるため、定量性の議論が可能となる。この実施例においては、金属薄膜を介しているため、光到達体積の見積もりは、実施例1の手法に比べその精度は劣る。その見積もりは、光到達距離×スポット面積である。
(2)試料の形態
プリズム表面に蒸着する金属は、金や銀などの表面プラズモン励起を可視レーザー光により可能とする金属種を選択する。金属表面の修飾は、表面プラズモン励起に影響を及ぼすため、利用しない。蒸着膜の膜厚は、50 nm程度が好ましい。液体試料は、表面プラズモンの存在する場所の上記金属表面に沿うように導入される。
本実施例の場合、1本のレーザーのみで試料を気化する強度が必要である。
2本のレーザー光を台形状プリズムの底面において全反射せしめ、それにより生じたエバネッセント光を利用して試料を気化・イオン化する例の説明図 金属薄膜上の試料を2本のレーザー光により生じた表面プラズモンを利用して気化・イオン化する例の説明図 1本のレーザー光は、プリズム内の全反射、他方のレーザー光は、試料に直接照射して試料を気化・イオン化する例の説明図 金属薄膜上の試料を1本のレーザー光は、プリズム内の全反射、他方のレーザー光は、試料に直接照射して試料を気化・イオン化する例の説明図 1本のレーザー光で試料を気化・イオン化する例の説明図 本願発明を利用して、フラーレンの各種カーボンの強度割合を測定した例 本願発明を使用した場合のフラーレンにおける強度と量の相関図

Claims (15)

  1. 試料の定量的分析法であって、レーザー光を台形状のプリズムの底面に平行に導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該外面に塗布された試料を気化させることを特徴とする試料の定量的分析法。
  2. 請求項1に記載の定量的分析法において、エバネッセント光の口径及び減衰距離からエバネッセント光到達の体積を見積もることにより、上記気化した試料中の分子の数を算出することを特徴とする試料の定量的分析法。
  3. 請求項2に記載の定量的分析法において、上記気化した試料をイオン化し、質量分析を行うことを特徴とする試料の定量的分析法。
  4. 試料の定量的分析法であって、波長の異なる2つのレーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面において、波長の長いエバネッセント光により該外面に塗布された試料を気化させ、波長の短いエバネッセント光によりイオン化させることを特徴とする試料の定量的分析法。
  5. 試料の定量的分析法であって、波長の異なる2つのレーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該プリズムの底面を被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該プラズモンにより該金属上に塗布した試料を気化及びイオン化させることを特徴とする試料の定量的分析法。
  6. 試料の定量的分析法であって、波長の異なる2つのレーザー光のうちの一方を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該外面に塗布された試料を気化させ、他方のレーザー光を該プリズムの外部であって、該プリズムの底面に近接して平行に導入し、該気化された試料に照射することにより該試料をイオン化することを特徴とする試料の定量的分析法。
  7. 試料の定量的分析法であって、波長の異なる2つのレーザー光のうちの一方を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該プリズムの底面に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該プラズモンにより該金属上に塗布した試料を気化させ、他方のレーザー光を該プリズムの外部であって、該プリズムの底面に近接して平行に導入設置し、該気化された試料に照射することにより該試料をイオン化することを特徴とする試料の定量的分析法。
  8. 試料の定量的分析法であって、レーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該プリズムの底面外部に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該プラズモンにより該金属の上部に導入した試料を気化及びイオン化することを特徴とする試料の定量的分析法。
  9. 試料の気化及びイオン化装置であって、レーザー光を台形状のプリズムの底面に平行に導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該外面に塗布された試料を気化及びイオン化させることを特徴とする試料の気化及びイオン化装置。
  10. 試料の気化及びイオン化装置であって、波長の異なる2つのレーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面において、エバネッセント光を生じせしめ、該外面に塗布された試料を気化及びイオン化させることを特徴とする試料の気化及びイオン化装置。
  11. 試料の気化及びイオン化装置であって、波長の異なる2つのレーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該プリズムの底面に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該プラズモンにより該金属上に塗布した試料を気化及びイオン化させることを特徴とする試料の気化及びイオン化装置。
  12. 試料の気化及びイオン化装置であって、波長の異なる2つのレーザー光のうちの一方を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該外面に塗布された試料を気化させ、他方のレーザー光を該プリズムの外部であって、該プリズムの底面に近接して平行に導入し、該気化された試料に照射することにより該試料をイオン化させることを特徴とする試料の気化及びイオン化装置。
  13. 試料の気化及びイオン化装置であって、波長の異なる2つのレーザー光のうちの一方を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該プリズムの底面に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該プラズモンにより該金属上に塗布した試料を気化させ、他方のレーザー光を該プリズムの外部であって、該プリズムの底面に近接して平行に導入し、該気化された試料に照射することにより該試料をイオン化させることを特徴とする試料の気化及びイオン化装置。
  14. 試料の気化及びイオン化装置であって、レーザー光を台形状のプリズムに導入し、該プリズムの底面の内面において全反射させることにより、該底面の外面においてエバネッセント光を生じせしめ、該エバネッセント光により該プリズムの底面に被覆した金属上に表面プラズモンを誘起し、該表面プラズモンにより該金属の上部に導入した試料を気化及びイオン化することを特徴とする試料の気化及びイオン化装置。
  15. 試料の定量的分析装置において、請求項9から14のいずれかに記載された試料の気化及びイオン化装置を用いて、エバネッセント光の口径及び減衰距離を見積もることにより、気化した試料中の分子の数を算出し、質量分析を行うことを特徴とする試料の定量的分析装置。
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