JP5065689B2 - エビ検出用プライマーセット - Google Patents

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Description

本発明は、食物アレルギーの原因となるエビを高感度で検出することのできるプライマーセットに関する。
「エビ」と「カニ」はトロポミオシンを主要アレルゲンとし、米国、EUでは両者は甲殻類としての一括表示が求められている。一方、現在、日本においては、「エビ」と「カニ」はそれぞれ「アレルギー表示特定原材料に準ずる20品目」に含まれている。
これまで、甲殻類の検出法としては、エビやカニの主要アレルゲンであるトロポミオシンをELISAにより検出する方法が知られている(非特許文献1など)。しかしながら、この方法では、検出標的としているタンパク質が、エビとカニに共通して存在し、かつ甲殻類の種間でも類似性の高いタンパク質であるため、エビだけを特異的に検出することはできない。また、甲殻類の検出法としては、16S rRNA遺伝子をターゲットとしたPCR法による方法も報告されている(非特許文献2)。しかしながら、この方法ではPCR産物の制限酵素断片長多型(RFLP)に基づいて検出を行うため、どのような種のエビ、カニであるかまでを特定できるが、PCR増幅後に数種類の制限酵素で消化して解析する必要があり、解析に手間がかかる。従って、効率的にエビをカニと明確に区別して検出することのできる簡便な手段の開発が望まれるところである。
Jeoung BJ, Reese G, Hauck P, Oliver JB, Daul CB, Lehrer SB. Quantification of the major brown shrimp allergen Pen a 1 (tropomyosin) by a monoclonal antibody-based sandwich ELISA. J Allergy Clin Immunol. 100, 229-34 (1997) Brzezinski JL. Detection of crustacean DNA and species identification using a PCR-restriction fragment length polymorphism method. J Food Prot. 68, 1866-73 (2005)
従って、本発明は、カニ及びその他の甲殻類と区別してエビを高感度で検出する簡便な手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、エビの16S rRNA遺伝子の塩基配列においてエビに共通する塩基と、エビに共通しかつカニ及びその他の甲殻類と区別できる塩基とを含む領域から設計したプライマーを用いることによって、エビを高感度に検出することに成功するとともに、エビ及びカニをその他の甲殻類と区別して検出するためのプライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチドを得ることにも成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) エビの16S rRNA遺伝子の塩基配列において、エビに共通する塩基と、エビに共通しかつカニ及びその他の甲殻類と区別できる塩基とを含む領域の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列を有する核酸分子にアニーリングし得る2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される、エビ検出用プライマーセット。
(2) 以下の(a)のオリゴヌクレオチドと、(b)のオリゴヌクレオチドとから構成される、エビ検出用プライマーセット。
(a) 配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号1に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
(b) 配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号2に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
(3) 以下の(c)のオリゴヌクレオチドと、(d)のオリゴヌクレオチドとから構成される、エビ検出用プライマーセット。
(c) 配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号1に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
(d) 配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号3に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
(4) 以下の(e)、(f)のオリゴヌクレオチドと、(g)、(h)、(i)のオリゴヌクレオチドとから構成される、エビ検出用プライマーセット。
(e) 配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(f) 配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(g) 配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(h) 配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(i) 配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(5) 試料より抽出したDNAを鋳型とし、(1)〜(4)のいずれかに記載のプライマーセットを用いてPCRを行い、該PCRにより得られた増幅産物の有無を検出することを特徴とする、エビの検出方法。
(6) (1)〜(4)のいずれかに記載のプライマーセットを含む、エビ検出用キット。
(7) エビ及びカニ検出用プライマーとして機能しうる、配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
(8) PCRにより得られた増幅産物を、制限酵素サイト(GGCC)を切断する制限酵素で消化して、予想されるサイズの消化断片が得られるかどうかにより、エビ由来の増幅産物であるかを判定する工程をさらに含む、(5)に記載のエビの検出方法。
本発明によれば、将来アレルギー表示が義務化される可能性の高い「エビ」を高感度で検出することのできるプライマーセットが提供される。本発明のプライマーセットを利用することにより、一回のPCRで、加工工程で食品に混入する可能性のある微量のエビの有無を検出することができる。また、本発明のプライマーセットを用いたPCRで増幅される産物は約100〜200bpと短いため、食品の加工工程でDNAが断片化した場合も、検出感度の低下を最小限に抑えることができる。また、エビ由来のPCR産物であるかどうかの判定のため、HaeIIIやPhoI等の制限酵素サイト(GGCC)を切断する制限酵素で消化することにより、容易に、さらに精度良くエビの有無を検出することができる。
また、本発明により提供されるエビ及びカニの鋳型DNAに結合し、PCR反応で伸長し得るオリゴヌクレオチドは、エビ及びカニをその他の甲殻類と区別して検出するためのプライマーとして機能できる。具体的には、当該オリゴヌクレオチドを一方のプライマーとし、エビ及び/又はカニの範囲で検出したい対象物に特異的なオリゴヌクレオチドをもう一方のプライマーとするプライマーセットを構成することにより、シャコ、オキアミ、アミと区別して、標的としたエビ及び/又はカニの範囲で対象物を検出することが可能となる。
本発明のエビ検出用プライマーセットは、エビに共通する塩基と、エビに共通しかつカニ及びその他の甲殻類と区別できる塩基とを含む領域の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列を有する核酸分子にアニーリングし得る2種または5種のオリゴヌクレオチドから構成される。
上記のオリゴヌクレオチドのうち、エビに共通する塩基と、エビに共通しかつカニ及びその他の甲殻類と区別できる塩基とを含む領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する核酸分子にアニーリングし得るオリゴヌクレオチドは、エビ検出用プライマーセットの一方のプライマーとして用いることができ、上記の領域の塩基配列を有する核酸分子にアニーリングし得るオリゴヌクレオチドは、エビ検出用プライマーセットのもう一方のプライマーとして用いることができる。
本明細書において「エビ」とは、日本標準商品分類[平成2年6月改訂:総務省統計局・政策統括官(統計基準担当)・統計研修所]における「えび類(いせえび・ざりがに類を除く。)」に該当するものと、いせえび・うちわえび・ざりがに(ロブスター等)類に属するものをいう。また、「その他の甲殻類」とは、カニ以外の甲殻類のことであり、「アミ」、「シャコ」、「オキアミ」などを含む。
上記のような「エビに共通する塩基と、エビに共通しかつカニ及びその他の甲殻類と区別できる塩基とを含む領域」は、上記のエビ、カニ、及びその他の甲殻類の16S rRNA遺伝子として知られている複数の塩基配列を整列(アラインメント)し、比較することにより特定することができる。具体的には、エビ、カニ、及びその他の甲殻類由来の16S rRNA遺伝子の塩基配列を比較し、エビに共通する複数の塩基を含む部分であって、その共通する塩基の中にカニ及びその他の甲殻類と区別できる塩基が含まれる領域を特定する。ここで、カニ及びその他の甲殻類と区別できる塩基はプライマーの3'末端に置く。
アラインメントに用いる上記の複数の塩基配列のうち、公知の塩基配列としては、エビ、カニ、及びその他の甲殻類の16S rRNA遺伝子として知られているものであればいずれのものを用いてもよく、このような塩基配列はGenBank等のDNAデータベースを用いて検索し、入手することができる。また、データベースに塩基配列がない甲殻類については、新たに塩基配列を分析することにより入手する。
塩基配列の整列(アラインメント)には、インターネットで公開されているアラインメントソフト(例えば、CLUSTALW,URL:http://www.ddbj.nig.ac.jp/)を利用することができる。
次に、特定した領域に基づき、プライマーを設計する。プライマーの設計にあたっては、例えば「PCR法最前線−基礎技術から応用まで」(蛋白質・核酸・酵素 臨時増刊号1996年 共立出版株式会社)や「バイオ実験イラストレイテッド3本当に増えるPCR:細胞工学別紙 目で見る実験ノートシリーズ」(中山広樹著1996年 株式会社秀潤社)、「PCRテクノロジー−DNA増幅の原理と応用−」(Henry A Erlich編、加藤邦之進 監修、宝酒造株式会社)等に基づいて設計すればよいが、加工食品からの検出の場合には、DNAが分解して短くなっている可能性が考えられ、このような観点から200塩基以内の増幅産物を得ることができるプライマーが高い感度を得ることができるという点から好ましい。
プライマーとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホトリエチル法、ホスホジエステル法等により、通常用いられるDNA自動合成装置を利用して合成することが可能である。
本発明のエビ検出用プライマーセットは、上記のようにして設計されたプライマーとなる2種のオリゴヌクレオチド、具体的には、以下の(a)のオリゴヌクレオチドと(b)のオリゴヌクレオチドとから構成される。
(a) 配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号1に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
(b) 配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号2に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
本発明のエビ検出用プライマーセットは、他の態様として、以下の(c)のオリゴヌクレオチドと(d)のオリゴヌクレオチドとから構成されていてもよい。
(c) 配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号1に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
(d) 配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、配列番号3に示す塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加された塩基配列からなり、かつエビ検出用プライマーとして機能しうるオリゴヌクレオチド
ここで、欠失等をする塩基の数は、改変オリゴヌクレオチドがそれぞれもとの塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと実質的に同一の機能を有する限り特に限定されないが、通常、5個以下、好ましくは3個以下、より好ましくは1個である。
例えば、配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドの改変オリゴヌクレオチドとして、配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号2に示すオリゴヌクレオチドの改変オリゴヌクレオチドとして、配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドが挙げられる。
本発明のエビ検出用プライマーセットはまた、上記のようにして設計されたプライマーとなる2種のオリゴヌクレオチドと、その改変オリゴヌクレオチド3種を合わせた5種のオリゴヌクレオチドで構成されていてもよい。例えば、5種のオリゴヌクレオチドとしては、以下の(e)、(f)のオリゴヌクレオチドと、(g)、(h)、(i)のオリゴヌクレオチドの組み合わせが好ましい。
(e) 配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(f) 配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(g) 配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(h) 配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(i) 配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
すなわち、上記エビ検出用プライマーセットにおいては、配列番号1、配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは混合して一方のプライマーとして用い、配列番号2、配列番号5、配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは混合してもう一方のプライマーとして用いる。
上記のエビ検出用プライマーセットのうち、エビの感度と特異性の点から、配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成されるプライマーセットが好ましく、配列番号1、配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号2、配列番号5、配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとから構成されるプライマーセットが特に好ましい。
上記のプライマーセットはキット化することもできる。本発明のキットは、上記プライマーセットを少なくとも含むものであればよく、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬(プライマーセットを除く)、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、説明書などを含んでいてもよい。
本発明によればまた、上記のプライマーセットを用いたエビの検出方法が提供される。本発明の方法によって検出可能な「エビ」は、前記のとおりである。本方法は、試料より抽出したDNAを鋳型とし、上記のプライマーセットを用いてPCRを行い、該PCRにより得られた増幅産物の有無を検出することを特徴とする。
試料としては、エビを含む可能性のある食品原料や製品、エビが混入する可能性のある食品原料や製品であればよく、特に制限されない。本発明の方法により得られた検出結果は、食品のアレルギー表示に利用できるほか、生産者の意図していない製造ラインにおけるコンタミネーションの有無の確認に利用できる。
試料からのDNAの抽出は、核酸抽出法として当業者に公知のいかなる方法を用いてもよく、例えば、フェノール/クロロホルム法、界面活性剤による細胞溶解やプロテアーゼ酵素による細胞溶解、ガラスビーズによる物理的破壊方法、凍結溶融を繰り返す処理方法、などにより行うことができる。試薬メーカーより販売されている各種DNA抽出キットを用いても良い。試料の種類によっては、メンブランフィルターによる濾過やホモジナイズを行う。
PCRを行うには、プライマーセットとして上記のプライマーセットを用いる以外は特に制限はなく、他の試薬、条件(温度条件、サイクルの回数等)は、当業者であれば適切に選択及び設定することができる。具体的には、鋳型DNA の変性、プライマーの鋳型へのアニーリング、及び耐熱性酵素(Taq ポリメラーゼやThermus thermophilis由来のTthDNAポリメラーゼなどのDNA ポリメラーゼ)を用いたプライマーの伸長反応を含むサイクルを繰り返すことにより、16S rRNA遺伝子の特定の遺伝子配列を含む断片を増幅させる。上記のアニーリングの好適な条件として、54〜60℃で、1〜3mM程度のMgCl2を含むPCR反応液中で30秒〜1分間行うことが例示できるが、これは一例にすぎず、アニーリング温度、PCR反応液の組成、アニーリング時間は、プライマーとなるオリゴヌクレオチド配列の長さや塩基組成などに応じて適宜設定することができる。
上記のプライマーセットのうち、(a)のオリゴヌクレオチドと(b)のオリゴヌクレオチドとから構成されるプライマーセットを用いてPCR増幅を行うと、試料にエビが含まれる場合は、カニ及びその他の甲殻類では認められないエビに特異的な増幅産物が得られる。従って、エビのみをカニ及びその他の甲殻類と区別して特異的に検出することができる。ただし、PCRシミュレーションで予想され、かつ混合プライマーのPCR結果から推測できるように、カニの一部については増幅する可能性はある。エビの場合とほぼ同じサイズの産物が得られた場合は、制限酵素処理、シークエンス解析等の方法で、「エビ」かどうかを確認すればよい。
また、(c)のオリゴヌクレオチドと(d)のオリゴヌクレオチドとから構成されるプライマーセットを用いてPCR増幅を行うと、試料にエビが含まれる場合は、カニでは認められない増幅産物が得られる。従って、エビをカニと確実に区別して検出することができる。上記の増幅産物は、「オキアミ」、「アミ」でも認められることがあるが、増幅産物のシークエンス解析を行うなどの方法で、「エビ」かどうかを確認することができる。なお、カニの一部については増幅する可能性はある。エビの場合とほぼ同じサイズの産物が得られた場合は、制限酵素処理、シークエンス解析等の方法で、「エビ」かどうかを確認すればよい。
また、(e)、(f)のオリゴヌクレオチドと、(g)、(h)、(i)のオリゴヌクレオチドとから構成されるプライマーセットを用いてPCR増幅を行うと、試料にエビが含まれる場合は、エビに特異的な増幅産物が得られる。従って、エビをカニ及びその他の甲殻類と区別して検出することができる。しかし、一部のカニでほぼ同一サイズの増幅産物が得られる可能性があり、そのような産物が得られた場合は、制限酵素処理、シークエンス解析等の方法で、「エビ」かどうかを確認すればよい。
上記いずれかのプライマーセットを用いてPCR増幅を行って得られた増幅産物が「エビ」かどうかを確認するために制限酵素処理を行う場合は、制限酵素としては前述の如く制限酵素サイト(GGCC)を切断する制限酵素を用いればよく、当該酵素で前記増幅産物を消化して、予想されるサイズの消化断片が得られるかどうかにより、エビ由来の増幅産物であるかを判定する。当該制限酵素としては、制限酵素HaeIIIやPhoI等を例示することができる。この方法でも「エビ」かどうかがわからない場合はシークエンス解析で確認すればよい。
PCRにより得られる増幅産物中に、目的の増幅断片が含まれるかどうかは、アガロースゲル電気泳動、DNAハイブリダイゼーション等の公知の方法を用いて確認することができる。目的の増幅断片のサイズは、検出しようとするエビの16S rRNA遺伝子領域において両プライマーに挟まれる領域の塩基数となる。例えば、上記の配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーを用いた場合には、目的とする増幅断片のサイズは約200bp、上記の配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号3に示す塩基配列からなるプライマーを用いた場合には、目的とする増幅断片のサイズは約100bpである。一般的な加工食品においては、加工工程でDNAが断片化している可能性が高いので、このようにPCR産物の長さが100〜200bp程度であることは検出感度の低下を最小限に抑えられる点において有効である。
また、エビの種類の同定が必要な場合は、PCR増幅産物(断片)の塩基配列を決定することによって行うことができる。
具体的には、上記のPCR増幅産物(断片)をアガロース電気泳動等により精製し、バンドを切り出してDNAを抽出し、適当なベクターに挿入後、大腸菌等にクローニングして培養し、得られたDNA断片の塩基配列を決定する。配列の決定は、サンガー法やマキサム−ギルバート法等の一般的な方法によって行うことができる。
本発明によればまた、エビ及びカニ検出用プライマーとして機能しうる、配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドが提供される。配列番号2に示す塩基配列の3’末端の塩基は、エビ及びカニに共通しその他の甲殻類と区別できる塩基であればよく、エビ及びカニ検出用プライマーとして機能しうる限り、配列番号2に示す塩基配列において前記3’末端の塩基を除く1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入、若しくは付加されていてもよい。プライマーセットの一方に、当該オリゴヌクレオチドを使用し、もう一方のプライマーにエビ及び/又はカニの範囲で検出したい対象物に特異的なオリゴヌクレオチドを使用することによってシャコ、オキアミ、アミを区別して、標的としたエビ及び/又はカニの範囲で対象物を検出することが可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)エビ検出用プライマーの合成及び性能評価
(1) 16S rRNA遺伝子領域のアラインメント
下記表1に示すエビ(23配列)、カニ(11配列)、シャコ(3配列)、オキアミ(6配列)、アミ(6配列)について16S rRNAの遺伝子の塩基配列情報を取得した。塩基配列情報は、GenBankに登録されたものついてはデータベースから取得し、購入したものついてはシーケンスにより16S rRNAの遺伝子の塩基配列を決定した。これらの塩基配列情報を元に、解析ソフトCLUSTAL X(1.8)、FROG-Win、SEQ-09を用い、同領域の配列をアラインメントし、比較した。
16S rRNA遺伝子領域のアライメントの結果、16S rRNA遺伝子のGC含量は約25%と低く、Tm値を高く設定する場合、プライマーが長くなること、エビで相同性が高い領域はカニ、シャコ、アミにおいても相同性が高く、エビのみに共通する塩基は、ごく限られた場所にしかないことが判明した。
また、本発明の検出対象のエビは、根鰓亜目にも属するものや、カニと共に抱卵亜目に属するものがあり、分類上広範囲に分布している。そのようなエビを一括して検知するため、まず、アラインメントからプライマーの3'末端の候補塩基としてエビとカニを区別できる塩基を選定することを試みた。しかし、配列情報が十分である範囲では、そのような塩基を選定することはできなかった。そこで、配列情報が少ない領域で、エビとカニを区別できる可能性のある塩基を見出し、その領域のシークエンスを行い、塩基配列情報を収集することで、候補塩基を選定した。しかしながら、一部のカニで区別が難しいことが分かった。また、この塩基ではエビとカニ以外のその他甲殻類(シャコ、オキアミ、アミ)を区別できないため、さらに、セットとなるもう一方のプライマーの3'末端に、エビに共通する塩基で、かつエビとカニ以外のその他甲殻類とで異なる塩基を候補塩基として選定し、両プライマーをもってエビとその他の甲殻類との区別を可能にした。
(2) プライマーの設計
プライマーの設計基準として以下の項目をたてた。
(a) PCR増幅産物は100bp〜200bp程度であること
(b) プライマーの3’側とテンプレートDNA配列とのミスマッチが少ないこと
(c) プライマー長は20〜30baseの範囲とし、Tm値は60℃付近に設定できること
(d) プライマーはダイマーや立体構造を形成しないこと
アラインメントによって選定した塩基と上記のプライマー設計基準に基づき、下記の3種のプライマーを、通常のオリゴヌクレオチド合成法に従って合成した(EB-F21、ZA-R173、EB-R90)。
EB-F21:5'-ttatataaagtctagcctgcc-3'(配列番号1)
ZA-R173:5'-gtccctctagaacatttaagccttttc-3'(配列番号2)
EB-R90:5'-caaccattcataccagccttcaattaa-3'(配列番号3)
(3) プライマーを用いたPCRシミュレーション
上記のプライマーを用いた2組のプライマーセット(EB-F21とZA-R173のセット、及びEB-F21とEB-R90のセット)について、Amplify simulatorによるPCRシミュレーションを行い、エビ特異的な増幅産物が得られるかどうかを確認した。サンプルとしてエビ、カニ、シャコ、オキアミ、アミの中で、16S rRNA遺伝子配列が入手でき、設計したプライマー領域が含まれている配列を用いた。結果を下記表1に示す(表中、Accession No.:GenBankで取得したNo.、「H」:実際のシークエンスで得られた配列、Weight:増幅産物が得られる可能性の6段階評価(最大6、最小1)、「-」:増幅産物が得られないものを示す。「R」とは、EB-R90の結合は確認できたが、EB-F21が結合すると考えられる領域の塩基配列情報がなく、未確認である場合を示す。)
Figure 0005065689
上記結果から明らかなように、EB-F21とZA-R173とからなるプライマーセットによるPCRでは、一部のカニ、シャコ、オキアミ、アミでは増幅産物が確認されず、すべてのエビで増幅産物が確認できた。一方、EB-F21とEB-R90とからなるプライマーセットによるPCRでは、エビ以外に、一部のカニ、オキアミ、アミで増幅する可能性が示された。
(実施例2)プライマーの特異性及び感度評価
(1) PCRテンプレートDNAの抽出
[サンプル]
エビ:シマエビ(生冷凍)、クルマエビ(生冷凍)、アカエビ(生冷凍)、テナガエビ (生冷凍)、アメリカザリガニ(生冷凍)、オマールエビ(生冷凍)、イセエビ (生冷凍)
カニ:アブラガニ(生冷凍)、ズワイガニ(生冷凍)、ケガニ(ボイル冷凍)
その他の甲殻類:シャコ(生冷凍)、ツノナシオキアミ(乾燥)、イサザアミ(生冷凍)
[DNA抽出]
上記の各サンプルを水洗いした後、殻を剥き、身を1g秤量し冷却しておいた乳鉢でよく磨り潰した。磨り潰した肉片を15mlチューブに入れ、Buffer G2(QIAGEN社製)5ml、Proteinase K(QIAGEN社製)50μl、100mg/ml RnaseA(QIAGEN社製)5μlを加え、混合し、50℃で4時間保温した(途中数回攪拌を行った)。 次に、遠心分離 (4200rpm,15分間)を2回行い、上清を回収した。Buffer QBT 1mlで平衡化したGenomic Tip 20/Gカラム(QIAGEN社製)を15mlチューブにセットし、上清全量をアプライした。Buffer QC(QIAGEN社製)4mlでカラムを洗浄後、50℃に加温しておいたBuffer QF(QIAGEN社製)1mlでDNAを溶出し、イソプロアルコール沈殿処理を行い、TE溶液100μlに溶解した。
抽出したDNAはND-1000 Spectrophotometer (NanoDrop Technologies,Inc)でスペクトルを測定し、DNA濃度、純度を算出した。
(2) プライマーの特異性評価
上記のようにしてサンプルから抽出したDNAを滅菌超純水で20ng/μlに希釈して得られたDNA溶液をPCRのテンプレートとし、前記2組のプライマーセット(EB-F21とZA-R173のセット、及びEB-F21とEB-R90のセット)を用いてPCRを行った。
PCR反応は、AmpliTaqGold(Applied Biosystems社製)、0.2mlチューブ、GeneAmp PCR System2400,9600(PerkinElmer社製)を用い、下記表2に示す条件にて行った。
Figure 0005065689
次に、PCR増幅産物を2%アガロースゲル電気泳動によって分離し、検出を行った。PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動図を図1に示す。EB-F21とZA-R173とからなるプライマーセットによれば、エビで約200bpの標的増幅産物が確認できたが、その他の甲殻類について増幅産物は得られなかった。一方、EB-F21とEB-R90とからなるプライマーセットによれば、エビで約100bpの標的増幅産物が確認できたが、Amplify simulatorによるPCRシミュレーションで予測されたとおり、オキアミでも増幅産物が確認された。
(3) プライマーの感度評価
サンプルは増幅しやすいクルマエビ、増幅バンドが薄いシマエビ、塩基配列に特徴のあるアメリカザリガニ、イセエビを用いた。上記と同様にしてサンプルから抽出したDNAを5ng/μlサケ精子DNA含有TE (pH8.0) 緩衝液で段階希釈して、DNAテンプレートとし、前記2組のプライマーセット(EB-F21とZA-R173のセット、及びEB-F21とEB-R90のセット)を用いてPCRを行った。DNA量は1反応液 (25μl) あたり50ng、500pg、5pg、2.5pg、500fg、50fgに調製した。PCR反応は、前記表2と同じ条件で行った。
PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動図を図2に示す(1:50ng, 2: 500pg, 3;5pg, 4:2.5pg, 5:500fg, 6:50fgのDNA量。番号を丸で囲ったものは増幅したサンプルを示す)。EB-F21とZA-R173からなるプライマーセットの検出限界は、シマエビで500pg、クルマエビで50fg、アメリカザリガニで500pg、イセエビで50fgであった。また、EB-F21とEB-R90からなるプライマーセットの検出限界は、シマエビで500pg、クルマエビで50fg、アメリカザリガニで2.5pg、イセエビで500pgであった。
(実施例3)アニーリング温度の検討
上記プライマーセットの内、EB-F21とZA-R173からなるプライマーセットについて、アニーリング温度を下げ、感度の向上を試みた。PCRのアニーリング温度を60℃から58℃、56℃に変更する以外は、実施例2と同様のサンプル、反応条件にてPCRを行い、プライマーの特異性評価及び感度評価を行った。特異性評価試験結果を図3に、また、感度評価試験結果を図4に示す(図4において、1:50ng, 2: 500pg, 3;5pg, 4:2.5pg, 5:500fg, 6:50fgのDNA量。番号を丸で囲ったものは増幅したサンプルを示す)。アニーリング温度58℃ではエビ特異性が確認できたが、56℃ではズワイガニの非特異的増幅産物が確認された。しかしながら、標的増幅産物とのサイズが異なるため、56℃であってもエビ特異性は確保できるものと考える。
一方、感度については、58℃ではアメリカザリガニに対する感度が500fg(60℃では500pg) DNAレベルまで向上したが、シマエビに対する感度は変わらなかった。56℃ではシマエビに対する感度が2.5pg (60℃では500pg) DNAレベルまで向上した。
(実施例4)混合プライマーの使用とエビの検出
(1) DNA抽出とPCR反応
PCRテンプレートDNAの抽出は実施例2と同様の方法で行った。また、PCR反応条件については、反応液組成をフォワードプライマーは2種類を等量ずつ加え、合計0.3μMとし、リバースプライマーは3種類を等量ずつ加え、合計0.3μMとして調整したことと、アニーリング温度を56℃で実施すること以外は、実施例2と同様の反応条件で行った。
[サンプル]
エビ:クルマエビ(生冷凍)、アカエビ(生冷凍)、サクラエビ(生冷凍)、アマエビ(生冷凍)、シマエビ(生冷凍)、テナガエビ(生冷凍)、アメリカザリガニ(生冷凍)、スキャンピー(生冷凍)、キューバロブスター(生冷凍)、オマールエビ(生冷凍)、イセエビ(生冷凍)、ウチワエビ(生冷凍)
カニ:ダンジネスクラブ(生冷凍)、タラバガニ(生冷凍)、ズワイガニ(生冷凍)、ハナサキガニ(生冷凍)、ワタリガニ(生冷凍)、アサヒガニ(生冷凍)、シャンハイガニ(生冷凍)
その他の甲殻類:シャコ(生冷凍)、ツノナシオキアミ(乾燥)、イサザアミ(生冷凍)
(2) 追加プライマー
上記プライマーセットの内、EB-F21とZA-R173からなるプライマーセットについて、新しくプライマーを追加し、多種のエビをサンプルとして感度の向上を試みた。EB-F21の配列のうち1塩基を置換したEB-F21-N1と、ZA-R173の配列のうち、4塩基及び5塩基を置換したそれぞれZA-R173-N1とZA-R173-N2のプライマーを追加した。追加したプライマーは検出対象であるエビの塩基配列を整列し比較検討を行った結果、より幅広い種類のエビで相同性があり、感度の向上が期待できる塩基を置換した。例えば、EB-F21とEB-F21-N1に関しては、変更した箇所の塩基は、多くのエビで「a」または「g」の2パターンに限られるため、EB-F21の「a」を「g」に変更をしたEB-F21-N1を設計した。
EB-F21-N1:5'-ttatataaagtctggcctgcc-3'(配列番号4)
ZA-R173-N1:5'-gtccctttatactatttaagccttttc-3'(配列番号5)
ZA-R173-N2:5'-gtccccccaaattatttaagccttttc-3'(配列番号6)
(3)感度と特異性評価試験
感度と特異性評価試験結果を図5に示す(図5において、左:5pg, 右: 2.5pgのDNA量)。サンプルとして使用したすべてのエビで2.5pgDNAの感度が確認された。シャコ、オキアミ、アミでは増幅産物は確認されなかった。カニでは、ダンジネスクラブとシャンハイガニで増幅が確認され、ワタリガニについては、稀に確認された。
(4) 制限酵素処理による区別
エビ由来の増幅領域内に存在し、ダンジネスクラブ、ワタリガニ由来の領域産物には存在しない制限酵素サイト(GGCC)を切断する制限酵素HaeIIIを用いた処理により、エビとダンジネスクラブ及びワタリガニを区別することを試みた。制限酵素処理反応は、HaeIII 1μl(タカラバイオ株式会社製)、10×M Buffer2μl、PCR増幅産物17μlを混合調整し、37℃、16時間処理を行い、全量を2%アガロースゲル電気泳動によって分離し、検出を行った。その結果、図6の電気泳動図から明らかなように、エビでは約200bpのPCR増幅産物は切断され、約150bpの消化断片が得られたが、ダンジネスクラブ、ワタリガニ由来の約200bp増幅産物は切断されず、エビとの区別が可能であった。シャンハイガニについては、エビと同様に切断されたため、シークエンスなどによる判別が必要であった。
(実施例5)エビ及びカニ検出用プライマー
PCRシミュレーションは、設計したプライマーが各種生物種の鋳型DNAへ結合するか否か、また、PCR産物の増幅の有無(サイズも含む)を予測できるため、プライマーの特異性予測に有効である。PCRシミュレーションの結果を示した前記表1の「プライマーの結合と伸長の可否」の項は、各プライマー(EB-F21、EB-R90、ZA-R173)のPCP反応における結合と伸長反応の予測を表したものである(表中、+はプライマーが標的配列に結合し、伸長可能であることを、−は結合しないかまたは、結合しても伸長しないことを表す)。また前記表1中、「学名または俗名」の項で「※」で表記されている種は実際にPCRを行って、結合の可否を確認した種を表す。
従って、前記PCRシミュレーション結果の「プライマーの結合と伸長の可否」の項の信頼性については、表1中の「学名または俗名」の項で、「※」で表記されているもののWeightと実施例4の図5の結果との対比で確認することができる。なお前記PCRシミュレーションの方法は、実施例1(3)のプライマーを用いたPCRシミュレーションに記載の方法と同一の方法で行った。
各プライマー(EB-F21、EB-R90、ZA-R173)のPCRシミュレーション結果を評価すると、EB-F21では、すべてのエビで「+」、シャコ、オキアミのすべてで「+」、カニでは「+」と「−」が混在している。EB-R90では、すべてのエビで「+」、カニではアサヒガニが「−」、シャコ、オキアミ、アミでは「+」が多くなっている。しかし、ZA-R173では、エビとカニのすべてで「+」、シャコ、オキアミ、アミのすべてで「−」となっている。この結果と、実際のPCRの結果とを対比すると、ほぼ完全に一致しており、このことから前記PCRシミュレーションの結果は十分に信頼できるものといえる。
以上の評価結果から、ZA-R173を一方のプライマーに使用し、もう一方のプライマーにエビ及び/又はカニの範囲で検出したい種に特異的なプライマーを使用すれば、シャコ、オキアミ、アミと区別して、標的としたエビ及び/又はカニの種を検出することが可能になるといえる。
エビ(シマエビ、クルマエビ、アカエビ、テナガエビ、アメリカザリガニ、オマールエビ、イセエビ)、カニ(アブラガニ、ズワイガニ、ケガニ)、及びその他の甲殻類(シャコ、ツノナシオキアミ、イサザアミ)由来のDNA試料に対する本発明のプライマーセット(EB-F21とZA-R173のセット、及びEB-F21とEB-R90のセット)の特異性評価試験結果(PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真)を示す。矢印:200bpまたは100bpのマーカーバンド。ネガティブコントロール:水。 エビ(シマエビ、クルマエビ、アメリカザリガニ、イセエビ)由来のDNA試料に対する本発明のプライマーセット(EB-F21とZA-R173のセット、及びEB-F21とEB-R90のセット)の感度評価試験結果(PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真)を示す。1:50ng, 2: 500pg, 3;5pg, 4:2.5pg, 5:500fg, 6:50fg。番号を丸で囲ったものは増幅したサンプルを示す。矢印:200bpまたは100bpのマーカーバンド。 エビ(シマエビ、クルマエビ、アカエビ、テナガエビ、アメリカザリガニ、オマールエビ、イセエビ)、カニ(アブラガニ、ズワイガニ、ケガニ)、及びその他の甲殻類(シャコ、ツノナシオキアミ、イサザアミ)由来のDNA試料に対する本発明のプライマーセット(EB-F21とZA-R173のセット)の特異性評価試験結果(PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真)を示す。矢印:200bpのマーカーバンド。ネガティブコントロール:水。 エビ(シマエビ、クルマエビ、アメリカザリガニ、イセエビ)由来のDNA試料に対する本発明のプライマーセット(EB-F21とZA-R173のセット)の感度評価試験結果(PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真)を示す。1:50ng, 2: 500pg, 3;5pg, 4:2.5pg, 5:500fg, 6:50fg。番号を丸で囲ったものは増幅したサンプルを示す。矢印:200bpのマーカーバンド。 エビ(クルマエビ、アカエビ、サクラエビ、アマエビ、シマエビ、テナガエビ、アメリカザリガニ、スキャンピー、キューバロブスター、オマールエビ、イセエビ、ウチワエビ)、カニ(ダンジネスクラブ、タラバガニ、ズワイガニ、ハナサキガニ、ワタリガニ、アサヒガニ、シャンハイガニ)、及びその他の甲殻類(シャコ、ツノナシオキアミ、イサザアミ)由来のDNA試料に対する本発明プライマーセット(EB-F21、EB-F21-N1とZA-R173、ZA-R173-N1、ZA-R173-N2のセット)の感度及び特異性評価試験結果(PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真)を示す。カニについては、再度N=5でPCRを実施した泳動図も示す。各エビで左レーンが5pg、右レーンが2.5pg、エビ以外のサンプルは50ngのテンプレートDNA量を表示。矢印:200bpのマーカーバンド。ポジティブコントロール:シマエビ2.5pgDNA。ネガティブコントロール:水。 エビ(クルマエビ、アカエビ、サクラエビ、アマエビ、シマエビテナガエビ、アメリカザリガニ、スキャンピー、キューバロブスター、オマールエビ、イセエビ、ウチワエビ)及びカニ(ダンジネスクラブ、ワタリガニ、シャンハイガニ)由来のPCR増幅産物を制限酵素HaeIIIで処理した特異性評価試験結果(PCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動写真)を示す。未処理:制限酵素処理をしていない増幅産物。矢印:上;処理前の約200bpのPCR増幅産物の位置、下;切断された生じた約150bpの断片の位置。

Claims (4)

  1. 以下の(e)、(f)のオリゴヌクレオチドと、(g)、(h)、(i)のオリゴヌクレオチドとから構成される、エビ検出用プライマーセット。
    (e) 配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (f) 配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (g) 配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (h) 配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (i) 配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  2. 試料より抽出したDNAを鋳型とし、請求項に記載のプライマーセットを用いてPCRを行い、該PCRにより得られた増幅産物の有無を検出することを特徴とする、エビの検出方法。
  3. 請求項に記載のプライマーセットを含む、エビ検出用キット。
  4. PCRにより得られた増幅産物を、制限酵素サイト(GGCC)を切断する制限酵素で消化して、予想されるサイズの消化断片が得られるかどうかにより、エビ由来の増幅産物であるかを判定する工程をさらに含む、請求項に記載のエビの検出方法。
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