JP5065361B2 - 雨水貯留施設用の補強部材および補強部材と骨格ブロックとの嵌合構造 - Google Patents

雨水貯留施設用の補強部材および補強部材と骨格ブロックとの嵌合構造 Download PDF

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Description

本発明は雨水等を貯留する地下式雨水貯留施設に用いられる補強部材、および補強部材と骨格ブロックとの嵌合構造に関するものである。
従来、雨水などによる水害を防ぎ一時に河川が増水しないようにするため、又は水害時に孤立した集落の飲料水確保のためや、あるいは大規模駐車場などの散水用などさまざまな用途に、地下に水を貯留する水貯留施設が用いられる。水貯留施設は地下に設けられ、上方には人や車両が通行する可能性があるため、水貯留施設等の貯留槽内部には、複数の骨格ブロックが積み上げられて形成される。
このような、複数の骨格ブロックにより貯留槽が形成された例としては、例えば、貯水槽内面に遮水性または透水性のシートを内張りし、その内部空間に樹脂製の骨格ブロックを組上げて設けられた貯留施設がある(特許文献1、特許文献2)。また、このような貯留槽に設けられる骨格ブロックとしては、筒体部の頂部に互いの筒体部を突き合わせた際に当該突き合わせ状態を係止する構造を有するユニット部材がある(特許文献3)。
特開2007−71019号公報 特開2007−231699号公報 特開2000−352080号公報
特許文献1、特許文献2に記載された貯留施設は、雨水等を貯留可能であるとともに、樹脂製の骨格ブロックの支柱部によって鉛直方向の力を受けている。
ところで、樹脂製骨格ブロックは、できるだけ軽量かつコンパクトである必要がある。樹脂製骨格ブロックに必要以上の強度を持たせると、樹脂製骨格ブロックのコストアップ、重量増をまねき、施工作業性を著しく悪くするためである。
たとえば、図9はこのような従来の雨水貯留槽に用いられる骨格ブロック60(60a、60b、60c、60d)を示す分解斜視図であり、図10は組みあげられた骨格ブロック60を示す正面図である。骨格ブロック60は、基板61および支柱63等から構成される。
基板61は矩形板状の部材であり、透水可能な複数の孔67が形成される。基板61の中心の一方の側には支柱63が立設される。支柱63は筒状であり内部には孔65が形成される。
図10に示すように、骨格ブロック60を組み上げるには、上下方向に骨格ブロック60を上下互いに反転させて、互いの支柱63同士または基板61同士が対向するように積み上げられる。
図10の例では、支柱63が上方に向くように骨格ブロック60dを下段に配置し、その上方に、支柱63が下方に向くように骨格ブロック60cを配置する。この際、骨格ブロック60d、60cの互いの支柱63の先端同士が当接する。骨格ブロック60cの基板61上には、さらに骨格ブロック60bが、支柱63を上方に向けて設けられ、その上には、支柱63を下方に向けて骨格ブロック60aが配置される。骨格ブロック60a、60bの互いの支柱63の先端が当接する。以上を繰り返して骨格ブロック60が上下方向に組上げられる。
図11(a)は、骨格ブロック60を用いた水貯留槽65を示す図である。水貯留槽65内には、複数の骨格ブロック60が組みあげられている。骨格ブロック60は前述の通り支柱63を有しており、支柱63によって鉛直方向の力を受けている。鉛直方向の力は、骨格ブロックは通常合成樹脂製で骨格ブロック自体は軽量なため、鉛直方向の力は、水貯留槽65の上部に被覆される土砂の重さがほとんどであることから、雨水貯留槽65の深さによって、大幅に変わることはない。
一方、水貯留施設の設置可能範囲が広くとれない場合、狭い範囲に貯留施設を設置する必要がある。この場合、水貯留施設の貯留部の深さを深くする必要がある。しかし、貯留部を深くすると、内部に設けられる樹脂製骨格ブロックに対して、周囲からの土圧が大きくなる。したがって、一般的な水貯留施設の深さである例えば5〜6mまでの水平方向の土圧に耐えることが可能な樹脂製骨格ブロックを用い、さらに深い例えば7m〜10m深さの水貯留施設を構築すると、最深部における土圧により、樹脂製骨格ブロックが破損する恐れがある。
図11(b)は、例えば最深部に設置された骨格ブロック60を示す概念図である。骨格ブロック60は、支柱63および基板61により形成されるが、図11(b)に示すように、水平方向の土圧(図中矢印P方向)は、基板61に水平方向に付与される。基板61は、所定深さの土圧には耐えうるように設計されているが、それ以上の深さの土圧に対しては、図に示すように、破損する恐れがある。特に水平方向の力は、深さに略比例して大きくなるため、深い部位に設置された骨格ブロックに対して大きな問題となる。
しかし、基板61を必要以上に強めたのでは、浅い位置に使用される骨格ブロックの強度が過剰となり、コストアップとなるため望ましくない。また、浅い部位用と深い部位用の骨格ブロックを使い分けたのでは、製品形状が複数となるため、製品管理や金型等(製造コスト等)を考慮して望ましくない。
更に、水平方向の力の問題は他にもある。すなわち、地震等の揺れが発生した際に、鉛直方向に組みあげられた樹脂製骨格ブロックが水平方向の力によってずれてしまう恐れがある。たとえば、図11(c)に示すように、鉛直方向に積み上げられた骨格ブロック60同士が、地震の振動により、水平方向のずれ力が累積する結果生じるずれ(図中矢印Q方向)により鉛直方向の位置がずれる恐れがある。このようなずれの発生は、水平方向の力に対して更に弱くなるばかりでなく、骨格ブロックの支柱の軸心がずれるため、鉛直方向の力に対しても大きく強度が低下する。
このような支柱同士の当接部のずれを抑制するため、特許文献3のような係止部を有する骨格ブロックがある。しかしながら、係止部を有する支柱同士の当接では基板同士のスパンが大きくなり、このため支柱同士の当接部の係止のみでは、水平方向のせん断荷重を受けた時のずれ防止効果が十分ではない。また、前述のような基板の破損に対しては効果がない。また、支柱先端に嵌合部を設けることで、支柱内に水が溜まり、支柱内を水が下方に流れず、また空気がたまるため、貯水効率が悪くなるという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、雨水等貯留施設の水平方向の力に対しての破損やずれ等を防止可能な補強部材等を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、雨水貯留施設に用いられ、基板と、内部に支持体貫通孔を有する支持体と、前記基板に設けられる支持体嵌合孔とからなる骨格ブロックと組み合わせて使用される雨水貯留施設用の補強部材であって、正方形又は長方形の平板状の本体と、前記本体の表裏に設けられる嵌合突起と、前記嵌合突起と嵌合可能な本体の表裏に設けられる嵌合穴と、前記本体の表裏を貫通する貫通孔と、を具備し、前記補強部材同士を当接させる際に、それぞれの前記嵌合突起と前記嵌合穴とが互いに嵌合可能であり、前記補強部材の上下面それぞれに前記骨格ブロックの基板を当接させる際に、前記基板に設けられた基板側嵌合穴に前記嵌合突起が嵌合可能であり、前記基板に設けられた基板側嵌合突起に前記嵌合穴が嵌合可能であることを特徴とする雨水貯留施設用の補強部材である。
前記嵌合突起および前記嵌合穴は、前記本体の一方の辺に平行な第1の中心線と、前記第1の中心線と垂直な第2の中心線とで区分される4つの各区域の本体の外周端部にそれぞれ少なくとも1つずつ、前記第1の中心線及び前記第2の中心線それぞれに対称に形成され、さらに前記貫通孔も前記第1の中心線と、前記第2の中心線とで区分される4つの各区域に1つずつ、前記貫通孔の中心が2つの中心線に対してそれぞれ線対称になるように形成され、さらに前記貫通孔の周囲に前記貫通孔から放射状に形成されたリブと前記リブにより区画された孔部を有していることにより、嵌合部を前記各区域に形成して基板と補強部材を嵌合する際の応力と、前記リブにより前記貫通孔にかかる応力とを分散し、補強部材の軽量化を計ることが望ましい。
また、前記本体が正方形であり、4つの前記各区域にそれぞれ少なくとも1つずつ形成された前記嵌合突起と前記嵌合穴は、前記本体の2本の対角線で区分される領域において対向して対称に配置されており、前記嵌合穴は、前記補強部材の中心を起点に90度回転させた際に、前記嵌合突起に対応する位置に形成されており、補強部材を配列する際の補強部材の向きを確認できることが望ましい。このように、嵌合突起と嵌合穴を配置することにより、基板上の支持体の配置を制御することができる。
前記貫通孔は、正方形または円形であり、前記貫通孔の中心位置は、前記本体の長さAの一方の辺に垂直な前記第1の中心線から両側方に垂直な方向にそれぞれ等距離X1の位置に配置され、かつ、前記本体の長さBの他方の辺に垂直な前記第2の中心線に対して両側方に垂直な方向にそれぞれ等距離Y1の位置に配置され、X1=A/4±A/12であり、Y1=B/4±B/12であることが望ましい。
第1の発明によれば、雨水貯留槽に補強板を設けることで、雨水貯留槽の水平方向の力を受けることができ、骨格ブロックの破損を防止することができる。また、本体に嵌合突起と嵌合孔とが設けられるため、補強部材同士を当接して重ねた際に、互いの嵌合突起と嵌合孔とが嵌合し、補強部材同士のずれを防止することができる。このため、雨水貯留施設内に水平方向に補強部材を設けた場合、補強部材間での水平方向のずれを防止することができる。
また、嵌合突起および嵌合孔は、同時に使用される骨格ブロック側の基板側嵌合突起および基板側嵌合孔と嵌合が可能であるため、骨格ブロックと当接して使用する場合にも、骨格ブロックと補強部材とのずれを防止することができる。
また、本体には貫通孔が設けられるため、上方から流入する水が、補強部材で遮られずに、下方に流すことができる。このため、雨水貯留槽に用いた場合であっても、雨水の貯留の妨げにならず、効率良く雨水を貯留することができる。
また、嵌合突起および嵌合孔が、本体の辺に平行なそれぞれの中心軸に対して線対称であり、かつ、嵌合穴の位置と嵌合突起の位置が、補強部材の中心を起点に90度回転させた際に、それぞれ対応する位置に形成されるため、一種類の補強部材を90度ずつ回転させて積み上げることができる。
また、貫通孔の周囲には、貫通孔を中心に放射状に形成されるリブが形成されるため、貫通孔周囲に対して水平方向の力が付与された場合でも、補強板(貫通孔)が破損することがない。また、貫通孔の中心位置は、本体の一方の辺(長さA)に垂直な第1の中心線から両側方に垂直な方向にそれぞれ距離X1の位置に配置され、かつ、本体の他方の辺(長さB)に垂直な第2の中心線に対して両側方に垂直な方向にそれぞれ距離Y1の位置に配置され、X1=A/4±A/12であり、Y1=B/4±B/12であるため、水平方向に対しての強度に優れるとともに、組み上げられた際の補強板および骨格ブロックの安定性に優れる。
なお、骨格ブロックの基板や補強部材に設ける嵌合突起と嵌合穴は、地震等のずれ応力に耐えるものでなければならないので、嵌合部のクリアランスや強度設計には、この点に十分留意する必要がある。例えば、この点では嵌合部の嵌合突起の周長をできるだけ大きくして、さらに基板外周部と平行な部分の長さを大きくして、土圧や基板外周が受ける側圧に対する強度を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明にかかる雨水貯留施設用の補強部材と、基板と、内部に支持体貫通孔を有する支持体と、前記基板に設けられる支持体嵌合孔からなる骨格ブロックとの嵌合構造であって、前記基板の本体に設けられる嵌合突起および嵌合穴と、前記骨格ブロックの基板に設けられた基板側嵌合穴および基板側嵌合突起とが嵌合し、前記基板と前記本体とを嵌合させた際、前記貫通孔の中心位置は、前記支持体貫通孔および前記支持体嵌合孔の中心位置と略一致し、前記貫通孔の形状は、前記支持体貫通孔および前記支持体嵌合孔の形状と略同一であることを特徴とする補強部材と骨格ブロックとの嵌合構造である。
前記貫通孔の周囲に設けられるリブの前記本体への配置は、前記基板の前記支持体および前記支持体嵌合孔の周囲に形成される基板側リブの配置と略同一であり、貫通孔の周囲に放射状に設けられることが望ましい。前記本体は貫通孔の周囲に放射状に設けられたリブにより区画された孔部を有している。
前記貫通孔の内面には補強部材側保持部が形成され、前記支持体貫通孔の内面には支持体側保持部が形成され、前記補強部材と前記骨格ブロックとが組み合わされた状態で、前記貫通孔および前記支持体貫通孔には棒状部材が挿通され、前記棒状部材は、前記補強部材側保持部および前記支持体側保持部により保持されることが望ましい。
第2の発明によれば、骨格ブロックの基板と補強部材の本体とが嵌合するため、骨格ブロックと補強板との水平方向のずれを防止することができる。また、この際、骨格ブロックの支持体および支持体嵌合孔の中心位置が、補強部材の貫通孔の中心位置と略一致し、かつ、形状が略同一であるため、貫通孔と支持体および支持体嵌合部とが鉛直方向に直線上に位置する。このため、骨格ブロックと補強板とを組み上げた際に、貫通孔等を雨水が流れやすい。また、それらが略同一形状であるため、雨水等の流れの妨げとなることもない。
また、補強板の貫通孔の周囲に設けられるリブと、骨格ブロックの支持体および支持体嵌合孔の周囲に設けられる基板側リブと略同一であるため、リブおよび基板側リブの配置が重なり合い、雨水等の流れの妨げとなることがない。
また、補強部材と骨格ブロックとが組み合わされた状態で、貫通孔および支持体貫通孔には棒状部材が挿通されれば、支持体同士が鉛直方向に一直線状にそろった状態を維持することができ、ずれることがない。このため、水平方向の力(または振動)に対しても、骨格ブロックおよび補強部材が鉛直方向に組みあがった状態が維持される。また、多少のずれが瞬間的に生じたとしても、骨格ブロックおよび補強部材が棒状部材で拘束されているため、棒状部材の瞬間的な変位の回復ともに、棒状部材により拘束させている骨格ブロックおよび補強部材も、元の位置に戻ることができる。その結果、骨格ブロック等が水平方向や斜めにずれることがない。すなわち、骨格ブロックおよび補強部材の水平方向のずれによる水平方向の強度低下や支持体の軸心のずれや傾きによる等の恐れがない。
また、貫通孔の内面に補強部材側保持部が形成され、支持体貫通孔の内面には支持体側保持部が形成され、補強部材と骨格ブロックとが組み合わされた状態で、棒状部材が補強部材側保持部および支持体側保持部により保持されるため、棒状部材をより確実に支柱で保持することができる。
ここで、棒状部材とは、中空のパイプや中実の部材であるが、貯水施設の貯水率を高めるためには、棒状部材は中空のパイプであることが望ましい。棒状部材を中空のパイプにすることにより、パイプ内部にも雨水を貯水することができる。また、パイプ状の棒状部材に通水孔を設けておけば、貯水空間から棒状部材内部への水の浸透を容易にすることができる。なお、通水孔は、直径数mmの微小孔である。
なお、補強部材は雨水貯留槽の所定深さ以上の深さに位置する互いに向かい合う基板同士の間に設ければ、効率良く貯留部を補強することができる。ここで、所定深さとは、使用される骨格ブロックの基板の水平方向耐荷重に対して、深さに応じて増大する水平方向の土圧が大きくなる深さをいう。なお、骨格ブロックの基板の水平方向耐荷重とは、一般的な安全率を見た耐荷重値である。尚、上記の設計は、基本的な設計の場合であり、設置場所の条件により、深さに関係なく、貯水槽の深さ方向に全てに補強部材を使用することもできる。
本発明により、雨水等貯留施設の水平方向の力に対しての破損やずれ等を防止可能な補強部材等を提供することができる。
骨格ブロック1a、1b、1c、1dおよび補強板13が上下に組上げられた状態を示す分解斜視図。 骨格ブロック1a、1b、1c、1dおよび補強板13が上下に組上げられた状態を示す正面図。 (a)は骨格ブロック1の基板における基板の嵌合突起19、基板の嵌合孔21等の配置を示す裏面図、(b)は補強板13における基板の嵌合突起23、基板の嵌合孔25等の配置を示す図、(c)は骨格ブロック1a、1b、1c、1dおよび補強板13が嵌合突起19、嵌合孔21で上下に組上げられた状態を示す図であり、図1のA−A線断面図。 骨格ブロック1e〜1iを千鳥状に組み上げた状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図。 補強板13の孔15の配置を示す図。 棒状部材支持部27a、27bを有する骨格ブロック1’、1’’を示す図。 雨水貯留槽30を示す立面図。 支柱5を貫通するパイプ41が設けられた状態を示す図(図7のE部の断面図)で、(a)は骨格ブロック1を貫通するパイプ41を示す図、(b)は棒状部材支持部27aを有する骨格ブロックを貫通するパイプ41を示す図、(c)は棒状部材支持部27bを骨格ブロックを貫通するパイプ41を示す図。 従来技術の骨格ブロック60a、60b、60c、60dが上下に組上げられた状態を示す分解斜視図。 従来技術の骨格ブロック60a、60b、60c、60dが上下に組上げられた状態を示す正面図。 (a)は従来の雨水貯留槽65を示す立面図、(b)は水平方向の力によって骨格ブロック60の基板61が破損した状態を示す図、(c)は水平方向の力によって骨格ブロック60がずれた状態を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。まず、本発明に用いられる骨格ブロックについて説明する。図1は、骨格ブロック1(1a、1b、1c、1d)を示す分解斜視図であり、図2は組みあげられた骨格ブロック1を示す正面図である。骨格ブロック1は、基板3および支柱5等から構成される。
基板3は矩形板状の部材であり、透水可能な複数の孔11が形成される。基板3の一方の対角線上には、一対の支柱5が配置される。支持体である支柱5は、基板3の一方の側に向かって立設する。基板3の他方の対角線上(支柱5が配置されていない部位)には、一対の支柱の嵌合孔7が設けられる。なお、支柱5および支柱の嵌合孔7の周囲には、支柱5および支柱の嵌合孔7を中心として放射状に基板側リブ10が形成される。すなわち、基板側リブ10が形成されていない部位が孔11となる。
基板3が正方形状の部材である場合には、支柱の嵌合孔7は、支柱5の先端形状に対応しており、支柱5の先端と支柱の嵌合孔7とは嵌合可能である。また、支柱5および支柱の嵌合孔7は、基板3の中心を基点として、丁度90度、基板3を回転させて対応する位置に設けられる。支柱の嵌合孔7の周囲には、嵌合用の案内の役割を果す基板面からわずかに突き出したリブを設けても良い。
支柱5は筒状であり内部には孔9(支持体貫通孔)が形成される。支柱5は、先端方向に縮径したいわゆるテーパ形状をしており、支柱5を同一方向に向けて重ねると、下方の骨格ブロックの支柱5が上方の骨格ブロックの孔9に収まるため、運搬・保管時には場所を取ることがない。
補強部材である補強板13は、少なくとも4か所に貫通孔である孔15を有する矩形板状部材である。孔15は、骨格ブロック1の基板3と重ねた際に、孔9および支柱の嵌合孔7に対応する位置に設けられる。補強板13の本体の孔15以外の部位には、透水可能な複数の孔17が設けられる。また、補強板13の大きさは、同時に使用される骨格ブロック1の基板3と同一形状(厚みを除く同一の縦横サイズ)の板状部材であることが望ましい。なお、孔15の周囲には、孔15を中心として放射状にリブ18が形成される。すなわち、リブ18が形成されていない部位が孔17となる。
基板3の裏面(支柱5が立設される側とは反対側)には、基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21、22が設けられる。また、補強板13の両面には、基板の嵌合突起19、基板の嵌合孔21に対応する部位に、基板の嵌合突起23、基板の嵌合孔25、26が設けられる。基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21、22等については詳細を後述する。
図2に示すように、骨格ブロック1を組み上げるには、骨格ブロック1を上下方向に上下互いに反転させて、かつ、互いの支柱5と支柱の嵌合孔7とが向かい合うように積み上げられる。骨格ブロック1が組上げられると、支柱5の先端は支柱の嵌合孔7に嵌合する。
図2の例では、支柱5が上方に向くように骨格ブロック1dを下段に配置し、その上方に、支柱5が下方に向くように骨格ブロック1cを配置する。この際、骨格ブロック1dの支柱5の先端が、骨格ブロック1cの支柱の嵌合孔7に対して嵌合し、骨格ブロック1cの支柱5の先端が、骨格ブロック1dの支柱の嵌合孔7に対して嵌合する。
骨格ブロック1cの基板3上には、補強板13が設けられる。補強板13上には骨格ブロック1bが支柱3を上方に向けて配置される。さらに骨格ブロック1b上には、支柱5を下方に向けて骨格ブロック1aが配置される。骨格ブロック1a、1bは、互いの支柱5および支柱の嵌合孔7を嵌合するように配置される。以上を繰り返して骨格ブロック1が上下方向に組上げられる。なお、この際、骨格ブロック1の孔11と補強板13の孔17の位置および形状(すなわち、基板側リブ10とリブ18の位置及び形状)が略同様(例えば略相似形状)であれば、組み上げられた際に、それぞれの孔を水が通過しやすく、これらを用いた貯水施設の貯留効率が高くなる。また、補強板13と基板3とは外形が略等しく、重ねる際には、両者の外周が略一致するように重ねられる。
骨格ブロック1が上下方向に組み上げられた状態において、それぞれの支柱5(基板3)を貫通する孔9と、補強板13の孔15とが鉛直方向に連通する。なお、補強板13が不要である場合には、上下の骨格ブロック1b、1cのそれぞれの基板3同士が直接当接する。
図3(a)は、基板3を裏面から見た図であり、基板3に設けられた基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21、22を示す模式図で、図3(b)は補強板13の表面を示す図で、補強板13に設けられた基板の嵌合突起23および基板の嵌合孔25、26を示す模式図である。
図3(a)に示すように、例えば、基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21、22は、基板3を対角線で4つに区分したエリアの隅部近傍に設けられる。一方の側の互いに対向する二つの区分エリアには、基板の嵌合孔21、22が設けられる。基板の嵌合孔21、22は区分エリアの各角部(基板3の隅部(基板の嵌合孔21)および中央部(基板の嵌合孔22))にそれぞれ設けられる。すなわち、三角形の区分エリアの各頂部にそれぞれ三角形の基板の嵌合孔が形成され、基板の嵌合孔21と略同サイズの基板の嵌合孔22は二つ設けられる。また、他方の側の互いに対向する二つの区分エリアには、基板の嵌合突起19が設けられる。基板の嵌合突起19は基板3の隅部にそれぞれ設けられる。すなわち、三角形の区分エリアの頂部(基板の中央部を除く)にそれぞれ三角形の基板の嵌合突起19が設けられる。基板外周側に設けられる基板の嵌合突起19と基板の嵌合孔21は、基板3の中心を基準として90度回転させた際に、互いに対応する位置に形成される。したがって、基板の嵌合突起19と基板の嵌合孔21、22の配置は、基板3を2本の対角線で区分した4つの領域において、それぞれの互いに対向する領域に対称に配置される。
図3(b)に示すように、補強板13の基板の嵌合突起23および基板の嵌合孔25、26は、それぞれ基板3の基板の嵌合突起19および基板の嵌合孔21、22に対応する位置に、対応する形状で同様に設けられる。すなわち、基板の嵌合突起23は、略三角形であり、基板の嵌合突起23の一辺が、当該基板の嵌合突起23が形成される区分エリア(三角形)の本体外周側の辺と平行であり、他の二辺が、当該辺と垂直な辺および隣接する対角線と平行な辺となる。
基板の嵌合孔25は、補強板13の中心を起点に90度回転させた際に、基板の嵌合突起23に対応する位置に、基板の嵌合突起23と対応する形状で形成される。なお、補強板の裏表において、基板の嵌合孔25の裏側には基板の嵌合突起23が設けられ、基板の嵌合突起23の裏側には基板の嵌合孔25が形成される。また、基板の嵌合孔26は、補強板13の本体を縦横それぞれ半ピッチ分変位した際に、裏面の基板の嵌合突起23(表面の基板の嵌合孔25の位置)と対応する位置および形状に形成される。基板の嵌合突起、嵌合孔の形状が本体の辺に平行な辺を有すると、嵌合させた際に、水平方向の力を効率良く受けることができる。
図3(c)は、骨格ブロック1等を組み上げた際の、図1のA−A線断面図である。図3(c)に示すように、骨格ブロック1は、支柱5および支柱の嵌合孔7による嵌合のみでなく、対向する基板3および補強板13同士も嵌合可能である。すなわち、互いに反転して組み上げられた骨格ブロック1c、1dの上方に補強板13が設けられる際には、骨格ブロック1cの基板3上面(裏面側)に設けられた基板の嵌合突起19、基板の嵌合孔21が、補強板13下面の基板の嵌合孔25、基板の嵌合突起23と互いに嵌合する。更に、補強板13上面の基板の嵌合突起23、基板の嵌合孔25が、その上に配置される骨格ブロック1bの基板3下面の基板の嵌合孔21、基板の嵌合突起19とそれぞれ嵌合する。
これにより、骨格ブロック1と補強板13とのずれが抑えられる。なお、補強板13を設ける必要がない場合には、対向する基板3同士に設けられた基板の嵌合孔21、基板の嵌合突起19がそれぞれ互いに嵌合する。これにより骨格ブロック1同士の基板3でのずれが抑えられ、骨格ブロック同士の水平面上でのねじれや回転が生じることがない。また、補強板13に設けられた基板の嵌合孔25等がその上に配置される骨格ブロック1の設置位置を示す目安となるため、設置が容易であり、骨格ブロックの組み上げ時の設置位置を作業者が間違えることがない。なお、補強板13を複数枚重ねて使用する場合にも、互いに対向する面のそれぞれの基板の嵌合突起23および基板の嵌合孔25同士が互いに嵌合し合うため、ずれが生じることがない。
図4は、骨格ブロック1を千鳥状に積み上げる場合を示す図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のB−B線断面図である。図4(a)に示すように、骨格ブロック1は、所定の条件の下、上下方向に積み上げられる際に、水平方向に隣接する骨格ブロック1に対して半ピッチ分縦横にずらして積み上げることもできる。例えば、骨格ブロック1と補強板13とを千鳥配置とする場合には、前述の図3(a)において、表面における骨格ブロック1の図中左上の基板の嵌合突起19の位置が、図3(b)に示す補強板13を左上方向に半ピッチずらして重ねた際の基板の嵌合孔26(図中右下側の基板の嵌合孔26)の位置に対応する。この際、図3(b)に示す補強板13の右下の基板の嵌合孔25位置の裏面における嵌合突起23が、基板の嵌合孔22(図中左下側の基板の嵌合孔22)に嵌合する。したがって、裏面の基板の嵌合突起23が基板の嵌合孔26に嵌合する。なお、千鳥配置は、基板3に対する支柱5、支柱の嵌合孔7の配置と、補強板13における孔15の配置が特定の場合に限られる。基板3に対する支柱5、支柱の嵌合孔7の配置と、補強板13における孔15の配置については、後述する。
図4に示す例では、下段に支柱5を上方に向けて骨格ブロック1e、1f、1g、1hを水平方向に隣接させて配置し、その上に、支柱5を下方に向けて骨格ブロック1iを配置させる。この際、上方の骨格ブロック1iを、下段で隣接する4つの骨格ブロック1e、1f、1g、1hをまたぐように配置する。すなわち、骨格ブロック1iの支柱5を骨格ブロック1eおよび骨格ブロック1gの支柱の嵌合孔7と嵌合させ、骨格ブロック1fおよび骨格ブロック1hのそれぞれ1の支柱5を骨格ブロック1iの支柱の嵌合孔7に嵌合させる。
この場合でも、上下に対向する基板3同士の間に補強板13を設ければよい。なお、この場合、補強板13も鉛直方向および水平方向に千鳥配置となり、複数の骨格ブロック1にまたがるように配置される。
また、骨格ブロック1を図4に示すような千鳥配置とする場合には、基板の嵌合突起19を、基板3(または補強板13)の中央の基板の嵌合孔22(26)と嵌合させればよい。すなわち、基板の嵌合孔22(26)は、骨格ブロック1(補強板13)を縦横半ピッチずつ(基板3または補強板13本体の半ピッチ)ずらして当接させた際に、基板の嵌合突起19(21)と嵌合可能な形状および位置に配置される。
図5(a)は、補強板13の平面模式図である。補強板13の本体は、各辺がそれぞれA、Bである長方形の板状部材である。孔15は、正方形または円形で、長さAの辺に垂直な中心線31aと、長さBの辺に垂直な中心線31bとで区分される4つの区域にそれぞれ一つずつ設けられる。
長さAの辺に隣接する区域に設けられる孔15のそれぞれの中心位置(補強板13本体の平面上へ投影した中心位置)は、中心線31aより等距離に配置される。すなわち、図5(a)の例では、中心線31aから両側にそれぞれ中心線31aとは垂直な方向にX1離れた位置に配置される。したがって、長さBの辺からも等距離(X2)の位置に配置される。
同様に長さBの辺に隣接する区域に設けられる孔15のそれぞれの中心位置(補強板13本体の平面上へ投影した中心位置)は、中心線31bより等距離に配置される。すなわち、図5(a)の例では、中心線31bから両側にそれぞれ中心線31bとは垂直な方向にY1離れた位置に配置される。したがって、長さAの辺からも等距離(Y2)の位置に配置される。
本発明においては、図5(b)に示すように、X1およびY1は、それぞれ中心線31a、31bから好ましくはA/4±A/8、B/4±B/8であり、特に望ましくはA/4±A/12、B/4±B/12の範囲である。すなわち、孔15は、図5(b)のハッチングした範囲に位置する。これは、例えば孔15が、中心線31aに対してA/4+A/8を超える場合(補強板13の外周側に位置した場合)には、補強板13に水平方向の力が付与された際に、補強板13中心近傍のひずみが大きくなる。また、孔15が、中心線31aに対してA/4−A/8を下回る場合(補強板13の中心側に位置した場合)、補強板13に水平方向の力が付与された際に、補強板13外周近傍のひずみが大きくなる。従って、X1、Y1は、それぞれ中心線31a、31bからA/4±A/8、B/4±B/8の範囲であることが望ましい。また、このような水平方向の力に対するひずみ防止効果は、特にX1およびY1がA/4±A/12、B/4±B/12の場合にはさらに向上するため、にX1およびY1がA/4±A/12、B/4±B/12であることが特に望ましいことになり、補強板の内周近傍と外周近傍ともに変形は認められない。このため、孔15は、上述の範囲に位置することが望ましい。なお、孔15は骨格ブロックの支柱5および支柱の嵌合孔7の位置と略同一の位置であることが望ましく、この場合、支柱5および支柱の嵌合孔7も基板に対して上述の範囲に位置することが望ましい。
なお、補強板13が正方形(辺の長さA)であれば、X1=A/4±A/12、Y1=A/4±A/12の範囲に孔15が位置すれば良い。また、X1=A/4、Y1=B/4として、それぞれの配置が、辺と中心線との間に位置すれば、骨格ブロック同士を単に上下に組み上げるのみではなく、下段の骨格ブロックに対して上段の骨格ブロックを水平方向に半ピッチずつずらせて組み上げる、いわゆる千鳥配置とすることもできる。なお、図示は省略するが、前述したように、基板3における基板の嵌合突起19と基板の嵌合孔21、22の配置や、補強板13の本体に対する基板の嵌合突起23と基板の嵌合孔25、26の配置は、中心線31a、31bそれぞれに対して対称に形成される。
図6は、支柱5内部の構造を示す図であり、支持体側保持部である棒状部材支持部が設けられる場合を示す図である。図6(a)に示すように、支柱5の先端部内面には、支柱5の孔9側に突出する棒状部材支持部27aが設けられることが望ましい。棒状部材支持部27aは、支柱5の先端が支柱5の中心方向に折曲げられ、さらに支柱5の下方に折曲げられた形状である。すなわち、棒状部材支持部27aによって、孔9の支柱先端の内径が他の部位に対して小さくなる。なお、棒状部材支持部27aは孔9の全周に設けられても良く、または孔9の縁部に間隔をあけて形成されても良い。
同様に、図6(b)は、棒状部材支持部27bを示す図である。棒状部材支持部27bは、支柱5の先端が支柱5の中心方向に折曲げられた形状である。すなわち、棒状部材支持部27bによって、孔9の支柱先端の内径が他の部位に対して小さくなる。なお、棒状部材支持部27bは孔9の全周に設けられても良く、または孔9の縁部に間隔をあけて形成されても良い。また、棒状部材支持部27bは支柱5の他の部位よりも厚肉であることが望ましい。棒状部材支持部27a、27bは、支柱5の強度を向上させるとともに、後述する棒状部材の挿入時に、棒状部材との接触する部位となる。なお、図示を省略するが、補強板13の孔15内面においても、棒状部材支持部27a、27bと同様の構造を有する補強部材側保持部である棒状部材支持部を設けてもよく、また、孔15の内径を、棒状部材支持部27a、27bにより小さくなった孔9の内径と略一致させれば、孔15の内面(厚み)全体が棒状部材支持部となる。
なお、骨格ブロック1としては、例えばポリプロピレン樹脂等を用いることができる。また、補強板12は、樹脂製やコンクリート製のものが使用できる。
次に、前述の骨格ブロック1(骨格ブロックの単位構造)を用いて形成された水貯留施設30について説明する。図7(a)は水貯留施設30を示す図である。なお、以下の説明においては。骨格ブロック1を図2に示すように組み上げた例を説明する。
水貯留施設30は、主に地下に設けられ、複数の骨格ブロック1が鉛直方向および水平方向に組み上げられ、貯水を行う貯留部32と、骨格ブロック1を覆うように、貯留部32の側方(側面)に設けられた側板33と、貯留部32を覆う透水シート39等から構成される。
貯留部32は、上方等から流入する雨水等を貯留する空間である。貯留部32下面は図示を省略した砂利槽等が設けられる。貯留部32の周囲には透水シート39が設けられる。透水シート39は貯留部32内部の水を周囲の地盤に浸透させる。透水シート39としては、例えばポリエステル長繊維不織布等が用いられる。
貯留部32の側面には側板33が設けられる。側板33は、周囲の土圧を受けて、内部の骨格ブロック1や補強板13等に力を伝達するためのものである。側板33としては地盤と骨格ブロック等で挟まれて設置されても破損することがない程度の強度を有すれば良く、例えば樹脂等が使用できる。なお、側板には水が透過可能な複数の孔が設けられても良い。
貯留部32の内部には、骨格ブロック1が複数組上げられる。貯留部32の一部には、上下方向に連通する作業孔35が形成される。作業孔35は、貯留部32内部の点検等に用いられる。作業孔35の上方は地面に通じており開閉可能な上蓋40により閉じられる。貯留部32の上部は透水可能な天板36が設けられ、さらに被覆槽37により被覆される。なお、被覆槽37外面にも透水シート39が設けられる。
水貯留施設30は、以下のように施工される。まず、地面に掘削孔を設ける。下面には必要に応じて砂利等が設けられる。掘削孔内には下方より骨格ブロック1を順に積み上げていく。この際、必要に応じて骨格ブロック1間に補強板13を設置する。なお、この際、貯留部32の一部に切欠きを有する骨格ブロックを積み上げることで作業孔35が形成される。骨格ブロック1が上部まで組み上がった後、骨格ブロック1の周囲には側板33および透水シート39を設け、上方には天板36および被覆槽37を設ける。以上により、水貯留施設30が構築される。
ここで、「道路土工 カルバート工指針 日本道路協会」の指針によると、深さ4mを境にして、地中での構造物への土圧の適用式が異なる。具体的には、深さ4m未満であれば主働土圧を用い、深さ4m以上であれば静止土圧を用いることが示されている。
図7(b)はこのようにして求めた土圧について、図7(a)の貯留部32側面にかかる土圧を示す図である。土圧は、4m(図中段差部)を境にしてそれぞれ深さに略比例して大きくなる。ここで、骨格ブロック1の基板3の側方からの水平方向耐荷重をCとする。すなわち、Cよりも小さな水平方向の力であれば、骨格ブロック1(基板3)が破損することがない。したがって、Cよりも土圧が小さな浅い範囲は、骨格ブロック1のみを組み合わせても良く、補強板13を用いる必要がない。
これに対し、土圧がCよりも大きくなると、土圧によって骨格ブロック1(基板3)が図11(b)の例に示すように破損する恐れがある。したがって、土圧が骨格ブロック1の水平方向耐荷重Cよりも大きくなる深さDよりも下方においては、骨格ブロック1のみで水平方向の力を受けることができない。
このため、少なくともDよりも深い部位においては、前述の補強板13が設けられる。これにより、土圧を側板33が受け、側板33からの力を確実に補強板13が受けることができる。
たとえば、貯留部の深さが地面から10mの水貯留施設である場合には、6〜10mの深さ範囲に補強板を設けることが望ましい。4mより浅い部位に対して補強板を設けたのでは過剰な強度であり、貯留部の深さに応じて特殊な骨格ブロックを用いるのでは効率も悪い。したがって、例えば1〜4mの範囲には補強板を設ける必要がない。5m〜6mの部分に関しては、必要に応じて補強板を設けても良い。
これに対し、例えば6mよりも深い範囲の骨格ブロックの基板間には補強板を設けることで、補強板により水平荷重を受けることができる。このため、貯留槽の深さによらず、同一の骨格ブロックを用いることが可能となる。また、必要な部位にのみ補強板を設ければよいため、過剰な強度向上がない。なお、補強板は、同一のものを用いても良いが、例えば深さ方向によって数種類の補強板を使い分けても良い。また、補強板の設置枚数を深さ方向に変えることもできる。また、補強板は貯留部の底部にも設けることが望ましい。
なお、側板33を用いないと、補強板13以外の基板3にも直接土圧がかかるため、基板3が破損する恐れがある。しかし、側板33を用いることで、補強板13が側板33からの力を受けとめるため、基板3に過剰な力が加わることがない。したがって、土圧が確実に補強板13に伝えられる。
また、図7の例では、深さDよりも深い位置にのみ補強板13を設けたが、Dよりも上方、さらには貯留部全体に補強板13を設けても良い。しかし、補強板13の使用量が増えるため、必要な部位(所定深さよりも深い位置)にのみ用いることが望ましい。例えば、深さDよりも上方に、補強板13を設ける場合としては、貯水施設の周囲の地盤が悪く、液状化し易い地盤などの場合には、深さDよりも上方に補強板を設けることもある。
図8(a)は、図7のE部の断面図である。図7に示すように、上下方向に組み上げられた骨格ブロック1の内部には、必要に応じて棒状部材であるパイプ41が設けられる。パイプ41は、骨格ブロック1の水平方向のずれを防止するためのものである。
前述の通り、骨格ブロック1を上下方向に組み上げると、孔9および孔15が上下方向に連通する。この連通した孔(孔9および孔15)にパイプ41を挿入する。パイプ41は、孔への挿入性に問題がない限り孔との遊びが小さい(すなわち孔よりもわずかに小さい外径)であることが望ましい。すなわち、孔9(支柱の嵌合孔7)と孔15とは略同一形状で、略同一のサイズであることが望ましい。
パイプ41としては、樹脂製、金属製等が使用でき、必要に応じて複数のパイプを継ぎ足して一本のパイプ41を形成しても良いが、貯留槽内部に構造体として組み込んだ骨格ブロックの荷重をパイプ全長で受けるのが望ましいことから、パイプは接続個所がない1本のパイプを用いることが望ましい。また、パイプ41を全ての孔9等に挿入する必要はなく、一部の孔9等に挿入しても良い。
図8(b)、図8(c)は、棒状部材支持部27a、27bと棒状部材との関係を示す図である。棒状部材支持部27a、27bにより縮径される孔9の先端部の内径は、パイプ41の外径とほぼ等しいかもしくはわずかに大きい。このため、棒状部材支持部27a、27bの内周面がパイプ41外周面と接触してパイプ41を支持する。したがって、パイプ41に対して骨格ブロック1がずれることがなく、また、パイプ41から受ける水平方向の力に対して、支柱5先端部に十分な強度を付与することができる。
棒状部材支持部27a、27bは、パイプ41を確実に支持できるように、パイプ41との接触面積を大きくとれるような形状である。たとえば棒状部材支持部27aは鉛直方向に折曲げられた形状であり、この鉛直部分によりパイプ41との接触範囲を確保する。また、棒状部材支持部27bは肉厚が他の部位と比較して厚く、このため鉛直方向の内面長が大きくなり、パイプ41との接触範囲を確保することができる。このように、パイプ41は棒状部材支持部27a、27bで支持され、また、補強板13の孔15の大きさがパイプ41の径と略同じであるか、孔15に棒状支持部27a、27bと同様の構成を設ければ、孔15(補強部材側保持部)によってもパイプ41を支持することができる。すなわち、骨格ブロックの単位構造の上下二か所でパイプ41を保持することができる。
なお、本発明の対象となる水貯留施設30の態様は、図7に示した例に限られず、形状や大きさや構成が種々のものに対して適用することができる。水平方向に土圧が生じる地下に貯留部が設けられ、内部に骨格ブロックが複数配置される水貯留施設であれば、その構成は限定されず、いずれの水貯留施設に対しても、本発明は適用可能である。
例えば、透水シート39に代えて、遮水シートを設けることもできる。遮水シートは、例えば加硫ゴム系や塩化ビニル系、熱可塑性樹脂等が用いられる。遮水シートで貯留部全体を覆い、遮水シート同士を水密に熱融着等で接合することで、貯水型の貯留槽として使用することもできる。この場合、例えば、内部の水をくみ上げるポンプ等を別途設ければよい。
以上説明したように、本実施形態の水貯留施設によれば、特別な強度を有する骨格ブロックを用いなくても、従来と比較して深い貯留施設を得ることができる。特に、骨格ブロック1が上下方向に反転させて積み上げられ、少なくとも所定深さより深い位置の骨格ブロック1の互いに向かい合う基板3同士の間には、補強部材13が設けられるため、水平方向の土圧に対して補強板13が力を受けることができる。
また、貯留部32側面には側板33が設けられるため、確実に補強板13が側板33にかかる土圧を受けることができ、このため、基板3に過剰な水平方向の力が加わらず基板3が破損することがない。したがって、複数種類の骨格ブロックの使用や、過剰な強度の骨格ブロックを使用する必要がない。
また、上下に反転させて積み上げた骨格ブロック1それぞれの支柱5と支柱の嵌合孔7とを嵌合させることができる。このため、骨格ブロック1の水平方向のずれが抑えられる。また、支柱先端同士を当接させて積み上げる場合と比較して、積み上げられた状態の骨格ブロック1の基板3同士の鉛直方向の間隔を狭くすることができる。このため、鉛直方向所定範囲の土圧を受ける部位(基板部)のピッチが小さくなるため、水平方向の力に対してより有効である。
また、基板の嵌合突起19、基板の嵌合孔21等によって基板同士、基板と補強板とが確実に接合され、水平方向の力でずれることがない。
また、骨格ブロック1を貫通するパイプ41を設けることで、骨格ブロック1同士が鉛直方向にそろい、水平方向にずれることがない。このため、水平方向の力等に対しても、骨格ブロック1が水平方向にずれることがなく、これに伴う強度低下等の恐れがない。さらに、骨格ブロック1の支柱5内面に棒状部材支持部27a、27bを設け、補強部材13の孔15内面に棒状部材支持部を形成することで、パイプ41を確実に保持し、骨格ブロック1等の横ずれや回転を防止することができる。
また、補強板13の比重が水よりも大きければ、内部に水が貯留された際の骨格ブロックの浮力に対しての錘としての役割を果たすことができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、60………骨格ブロック
3………基板
5………支柱
7………支柱の嵌合孔
9、65………孔
10………基板側リブ
11、67………孔
13………補強板
15………孔
17………孔
18………リブ
19、23………基板の嵌合突起
21、22、25、26………基板の嵌合孔
27a、27b………棒状部材支持部
30………水貯留施設
32………貯留部
33………側板
34………内板
35………作業孔
36………天板
37………被覆槽
39………透水シート
40………上蓋
41………パイプ
65………雨水貯留槽
60………骨格ブロック
61………基板
63………支柱

Claims (7)

  1. 雨水貯留施設に用いられ、基板と、内部に支持体貫通孔を有する支持体と、前記基板に設けられる支持体嵌合孔とからなる骨格ブロックと組み合わせて使用される雨水貯留施設用の補強部材であって、
    正方形又は長方形の平板状の本体と、
    前記本体の裏表に設けられる嵌合突起と、
    前記嵌合突起と嵌合可能な本体の裏表に設けられる嵌合穴と、
    前記本体の表裏を貫通する貫通孔と、
    を具備し、
    前記補強部材同士を当接させる際に、それぞれの前記嵌合突起と前記嵌合穴とが互いに嵌合可能であり、
    前記補強部材の上下面それぞれに前記骨格ブロックの基板を当接させる際に、前記基板に設けられた基板側嵌合穴に前記嵌合突起が嵌合可能であり、前記基板に設けられた基板側嵌合突起に前記嵌合穴が嵌合可能であることを特徴とする雨水貯留施設用の補強部材。
  2. 前記嵌合突起および前記嵌合穴は、前記本体の一方の辺に平行な第1の中心線と、前記第1の中心線と垂直な第2の中心線とで区分される4つの各区域の本体の外周端部にそれぞれ少なくとも1つずつ、前記第1の中心線及び前記第2の中心線それぞれに対称に形成され、さらに前記貫通孔も前記第1の中心線と、前記第2の中心線とで区分される4つの各区域に1つずつ、前記貫通孔の中心が2つの中心線に対してそれぞれ線対称になるように形成され、さらに前記貫通孔の周囲に前記貫通孔から放射状に形成されたリブと前記リブにより区画された孔部を有していることにより、嵌合部を前記各区域に形成して基板と補強部材を嵌合する際の応力と、前記リブにより前記貫通孔にかかる応力とを分散することを特徴とする請求項1記載の雨水貯留施設用の補強部材。
  3. 前記貫通孔は、正方形または円形であり、前記貫通孔の中心位置は、前記本体の長さAの一方の辺に垂直な前記第1の中心線から両側方に垂直な方向にそれぞれ等距離X1の位置に配置され、かつ、前記本体の長さBの他方の辺に垂直な前記第2の中心線に対して両側方に垂直な方向にそれぞれ等距離Y1の位置に配置され、
    X1=A/4±A/8であり、Y1=B/4±B/8であることを特徴とする請求項2に記載の雨水貯留施設用の補強部材。
  4. 前記本体が正方形であり、4つの前記各区域にそれぞれ少なくとも1つずつ形成された前記嵌合突起と前記嵌合穴は、前記本体の2本の対角線で区分される領域において対向して、前記本体の辺に平行なそれぞれの中心軸に対して対称に配置されており、前記嵌合穴は、前記補強部材の中心を起点に90度回転させた際に、前記嵌合突起に対応する位置に形成されており、補強部材を配列する際の補強部材の向きを確認できることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の雨水貯留施設用の補強部材。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の雨水貯留施設用の補強部材と、
    基板と、内部に支持体貫通孔を有する支持体と、前記基板に設けられる支持体嵌合孔からなる骨格ブロックとの嵌合構造であって、
    前記補強部材の本体の裏表に設けられる嵌合突起および嵌合穴と、前記骨格ブロックの基板に設けられた基板側嵌合穴および基板側嵌合突起とが嵌合し、
    前記基板と前記本体とを嵌合させた際、前記貫通孔の中心位置は、前記支持体貫通孔および前記支持体嵌合孔の中心位置と略一致し、前記貫通孔の形状は、前記支持体貫通孔および前記支持体嵌合孔の形状と略同一であることを特徴とする補強部材と骨格ブロックとの嵌合構造。
  6. 前記貫通孔の周囲に設けられるリブの前記本体への配置は、前記基板の前記支持体および前記支持体嵌合孔の周囲に形成される基板側リブの配置と略同一であることを特徴とする請求項5記載の補強部材と骨格ブロックとの嵌合構造。
  7. 前記貫通孔の内面には補強部材側保持部が形成され、前記支持体貫通孔の内面には支持体側保持部が形成され、前記補強部材と前記骨格ブロックとが組み合わされた状態で、前記貫通孔および前記支持体貫通孔には棒状部材が挿通され、少なくとも前記棒状部材は、前記補強部材側保持部および前記支持体側保持部により保持されることを特徴とする請求項6記載の補強部材と骨格ブロックとの嵌合構造。
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