JP5065246B2 - 腟の微生物叢と腟の酸性を調節して維持する組成物と方法 - Google Patents

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Description

本発明は、腟の微生物叢および腟の酸性を調節して膣分泌物のpH値を3.5から4.5の範囲内に維持するための腟組成物を調製するための活性成分として糖類と、安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つ、とを組み合わせての使用に関する。本発明は更に、腟組成物に関し、腟組成物は、清浄にして養生する製品、脱臭剤、化粧品、殺菌性組成物または製剤組成物であり得る。本発明は更に、腟の微生物叢および腟の酸性を調節して膣分泌物のpH値を3.5から4.5の範囲内に維持する方法に関する。
女性の腟の粘液表面は、細菌、真菌などの微生物類が生息するために適合している。健康な腟の粘膜表面に生息する優位な菌は、通常「腟の正常な微生物叢」と呼ばれる大きいグラム陽性杆菌である。これらの大きいグラム陽性杆菌の大部分は乳酸菌に属する。それらの菌は、腟の酸性をpH値を3.5から4.5までに維持し病原体を抑制し感染に抵抗するために、腟粘液の上皮細胞中のグリコーゲンなどの物質を代謝して酸を作り出すことができる。確かに、それらの菌は女性の生殖管を健康に保つために非常に重要な役割を果たす。通常、腟の微生物叢と酸性の異常な変化は、生殖管感染を含む一連の疾患を引き起こす。
多くの因子が腟の微生物叢と腟の酸性を乱し得る。それにより、大きいグラム陽性杆菌は減少し、種々のグラム陰性杆菌と球菌が増加して優位となるであろう。膣分泌物のpH値は4.8まで上昇し、5.4またはそれ以上にまで上昇するであろう。それぞれの個人において、慢性外陰病変、外陰かゆみ、性交痛、魚臭いにおいを持つ異常な白帯下などの病訴は、一般的であろう。通常、感染に対する患者の腟の耐性は減少し、性感染病とHIV感染への危険を増加させる。腟の微生物叢の異常な変化は、また、泌尿器系で感染を引き起こし、妊娠している女性と胎児の健康に特に有害であり、妊娠中絶、早産、胎児の子宮内発育遅延などの深刻な結果を含み得る。
様々な腟の感染の中では、カンジダ属細菌腟炎、細菌性膣炎(BV)、乳酸細菌症(LB)、および細胞溶解膣炎(CV)は4つの共通の病気である。しかしながら、それらの病気の発生は、すべて腟の微生物叢と腟の酸性の異常に関連したものである。
カンジダ属細菌膣炎は内因感染として一般的に考えられる。それは通常、腟中で乳酸菌によって作り出された酸によって形成される、酸性微細環境中で生成したモニリア属細菌の繁茂とその毒素に関連する。患者の膣分泌物中にモニリア属菌糸あるいは胞子が見いだされた。膣分泌物のpH値は通常4.5より低い。臨床的症状は外陰かゆみ、外陰灼熱痛、オディヌリア、性交痛などを含んでいる。症状は、通常は月経の前が最も深刻で月経と月経の後に軽減される。治療方法は、ケトコナゾール、ニスタチンなどの様々な抗真菌薬または抗生物質の投与を含んでいる。
乳酸細菌症と細胞溶解膣炎は、腟の乳酸菌と同様に酸の過剰な生成に関連している。大きくて長いグラム陽性杆菌は、膣分泌物で観察可能であるが、モニリア菌糸または胞子を見つけることができなかった。通常、患者の腟の酸性は過剰に高く、膣分泌物のpH値は一般に4.0未満である。臨床的症状は、外陰かゆみ、外陰灼熱痛、オディヌリア、性交痛を含むカンジダ属細菌腟炎のものと同様であり、臨床的症状は、周期的なエピソードとして通常は月経の前が最も深刻であり、月経中及び月経後は明らかに軽減される。治療の方法は、膣分泌物の強い酸性を中和するために重炭酸ナトリウムのアルカリ溶液で洗浄するビデと乳酸菌を抑えるために抗生物質のオーグメンチン(アモキシシリン+クラブラニン酸)の投与を主に含んでいる。
細菌性膣炎はまた内因感染であるが、病因は上記説明した疾病の病因と異なっている。この主な理由は、腟の乳酸菌の減少と腟の酸性の減少であり、それは嫌気性菌などを含む多くの微生物の繁茂をもたらしかつ様々な疾患を引き起こすので、細菌性膣炎は「高微生物シンドローム」と呼ばれている。膣分泌物のpH値は、通常は4.5より高く、臨床的症状は、痒み、均質な魚臭いにおい白帯下などを含み、臨床的症状は、月経後に深刻であり、月経前に軽減される。国際的に、本症の治療薬は、嫌気性細菌に対して強い効果を示すメトロニダソール、クリンダマイシンなどの抗菌薬から主に選択される。
要するに、カンジダ属細菌腟炎、乳酸細菌症、細胞溶解膣炎、および細菌性膣炎は、病因、病理学、診療、治療の態様において異なった疾病であるが、乳酸菌による酸の過剰生成によって引き起こされた、乳酸細菌症、細胞溶解膣炎およびカンジダ属細菌膣炎として、または、腟の乳酸菌の減少と腟の酸性の減少によって引き起こされた細菌性膣炎は、全て腟の微生物叢と腟の酸性に関連している。腟の微生物叢と腟の酸性の異常がこれらの腟の疾病の発生と進展における非常に重要な役割を果たしているのを理解することができる。
中国特許発明第98809508.4号公報 中国特許発明第98809507.6号公報 米国特許第6632796号公報 米国特許第6440949号公報
しかしながら、現在のこれらの疾病の治療方法は、疾病を引き起こす病原体を主に対象としている。例えば、カンジダ属細菌腟炎の治療は、フルコナゾール、ニスタチンなどから選択された抗真菌薬で真菌を抑制するおよび/または殺すことによって行われている。乳酸細菌症と細胞溶解膣炎の治療は、オーグメンチンなどから選択された抗菌薬で乳酸菌を抑制することによって行われている。しかしながら、腟の微生物叢と腟の酸性をどのようにして正常な状態に調節して維持するかについての本質的な問題については、当技術分野において考慮されていない。病原体を殺す薬と処理法は、腟の微生物叢と腟の酸性の異常さを悪化させるような多くの欠点を持ち、それにより、条件を複雑にさせ、再発させる。
中国特許発明第98809508.4号および中国特許発明第98809507.6号、米国特許第6632796号、および米国特許第6440949号では、本発明の発明者は、腟のグラム陽性杆菌の成長を促進し、腟の酸性を増加するための有効な成分として糖類を含む組成物およびその使用を開示している。腟の乳酸菌の成長を促進する方法の問題は、これらの発明の組成物と使用によってかなり解決されている。腟の酸性は効果的に上げられることができ、膣分泌物のpH値は減少させることができる。したがって、大きいグラム陽性バチルス属細菌と膣の酸性の減少と、バチルス属細菌性膣炎、および腟の変質細菌症は治療することができた。しかしながら、腟の乳酸菌による酸の過剰の生成と過剰の腟の酸性に関連する乳酸菌症と細胞溶解膣炎は、カンジダ属細菌腟炎と同様に治療することができない。
[発明の要約]
本発明の目的は、膣分泌物のpH値を3.5から4.5の範囲内に維持するために腟の微生物叢および腟の酸性を調節するための組成物を提供すること、およびこの組成物を、膣を清浄にして養生し、白帯下の特性を改良し、白帯下の魚臭いにおいを除去または軽減し、外陰かゆみ、外陰灼熱痛などなどの病訴を除去または軽減し、それにより、乳酸菌症、細胞溶解膣炎、カンジダ属細菌腟炎、細菌性膣炎、腟の変質細菌症、または他の腟の疾病を治療するための使用に提供することである。
正常な腟の微生物叢と腟の酸性を調節して維持することができる組成物を求めるために、発明者は深くて広い研究を行った。従来技術における製品、薬、および治療方法における研究と実験は、乳酸菌による過剰の酸の生成を抑制できかつ乳酸菌の量が減少するとまた乳酸菌を促進できる製品と方法が無いことを示している。腟の酸性が過度に強いときに腟の酸性を減少することができ、また腟の酸性が減少して弱いときに、腟の酸性を増加して、それにより、絶え間なく、腟のpH値を3.5〜4.5の範囲に維持することができる製品と方法はない。実験と深い研究の後で、本発明の発明者は、驚いたことに、安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つ(以下、安息香酸および/またはそのナトリウム塩と記す)が比較的低いpH値(例えば、pH<4.0)のもとで乳酸菌の成長と酸生成の抑制効果およびpH値が低いほどその抑制効果が強くなることを見出した。しかしながら、乳酸菌の成長と酸の生成の抑制効果は、比較的高いpH条件値(例えばpH>4.6)でで弱くなり、pH値が高くなるほど抑制効果は弱くなった。
特に本発明の発明者は、驚いたことに、糖類と、安息香酸および/またはそのナトリウム塩と、の組み合わせを含む斬新な組成物は、腟の微生物叢および腟の酸性を調節することができることを見いだした。腟が少ない乳酸菌とたくさんのグラム陰性杆菌および球菌を含み、膣分泌物が通常の範囲よりも高いpH値を持つ場合、安息香酸および/またはそのナトリウム塩は、乳酸菌に対して弱い抑制効果を示し、糖類の刺激で乳酸菌が成長し酸を生成し、膣分泌物のpH値を減少させ、一方、乳酸菌が過剰に酸を生成し膣分泌物が通常の範囲よりも低いpH値を持つ場合、安息香酸および/またはそのナトリウム塩は、乳酸菌に対して強い抑制効果を示し、乳酸菌は酸を少なく生成し、膣分泌物のpH値を減少させた。したがって、当初の腟の微生物叢と腟の酸性がどんな場合であっても、本発明の組成物は、腟中での優位な菌として乳酸菌を維持し、膣分泌物のpH値を3.5〜4.5までの範囲内に維持することができる。
本発明の組成物と方法は、正常な腟の微生物叢および腟の酸性をどのように調節して維持するかに関する本質的な問題を解決し、膣を清浄にして養生し、白帯下の特性を改良し、白帯下の魚臭いにおいを除去または軽減し、外陰かゆみ、外陰灼熱痛などなどの病訴を除去または軽減し、それにより、乳酸菌症、細胞溶解膣炎、カンジダ属細菌腟炎ばかりでなく、細菌性膣炎、腟の変質細菌症を治療するため使用することができる。本発明は、従来技術の治療理論、治療モデル、および治療方法と完全に異なっている、すなわち、本発明は腟の感染症の治療のための新しい手法を提供する。本発明は上記の発見および更なる研究に基づいて発明者によって実行されたものである。
本発明は、腟の微生物叢および腟の酸性を調節し、それにより膣分泌物のpH値を3.5から4.5の範囲内に維持するための腟組成物を調製するために、活性成分として糖類と、安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つと、の組み合わせの使用を提供する。
本発明の製造の使用に基づくと、前記糖類は、グルコース、フルクトース、マンノース、オリゴ糖または多糖、またはこれら糖類の混合物であり、前記オリゴ糖または多糖は、生体内または生体外で加水分解されてグルコース、フルクトースおよびマンノースのうちの少なくとも1つを生成し、前記オリゴ糖または多糖が限定無しに以下の、スクロース、マルトース、乳糖、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、ラフィノース、マルトオリゴサッカライド、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、デキストリン、デンプン、およびグリコーゲンを含み、好ましくは前記糖類は、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、マルトオリゴサッカライド、フルクトオリゴ糖、デキストリン、デンプンまたはそれらの混合物であり、より好ましくは前記糖類は、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトースまたはそれらの混合物である。
グルコース、フルクトース、およびマンノースは分子構造において類似している。希釈した塩基の触媒作用の下で、グルコースはエノール化によってフルクトースとマンノースに変換することができ、マンノースはグルコースとフルクトースに変換することができ、フルクトースはグルコースとマンノースに変換することができる。腟の乳酸菌は、グルコースやフルクトースなどの単糖を発酵させて、均一発酵またはヘテロ発酵を通る乳酸、またはビヒダム系路を通した酢酸と乳酸などの酸を作り出す。オリゴ糖、デンプン、グリコーゲン、および他の高分子の多糖体は、グルコース、フルクトース、および他の単糖類を作り出すために加水分解され、さらに酸を作り出すために発酵させることができる。腟の酸性が弱いときに、乳酸菌は糖類の刺激のもとで成長し酸を生成し、腟中で正常な酸性の環境を維持し、グラム陰性細菌の成長を抑制する。乳酸菌が優位となる。したがって、腟の微生物叢と腟の酸性の両方が正常に回復する。しかしながら、腟の酸性が絶え間なく増加すると、乳酸菌は、安息香酸および/またはそのナトリウム塩によって成長が抑えられて酸の生成が減る。したがって、糖類と、安息香酸および/またはそのナトリウムとの交互の作用で、腟の酸性は3.5〜4.5までの範囲の中で維持される。
本発明の製造の使用に基づくと、安息香酸の単独で、またはそのナトリウム塩(すなわち、安息香酸ナトリウム)単独で、または安息香酸と安息香酸ナトリウムとのいかなる割合の混合物で、使用することができる。安息香酸が使用される場合には、1.0gの安息香酸は1.18gの安息香酸ナトリウムと同等であるという割合に従って、安息香酸の量は安息香酸ナトリウムの量に変換され、次に、それにより、組成物中の安息香酸ナトリウムの総量が計算される。
本発明の製造の使用は、清浄にして養生する製品、脱臭剤、化粧品、殺菌剤または薬剤(非処方薬または処方薬)などの多くの投与形態の膣組成物を調製するために使用することができ、その形態は、限定無しに以下の水可溶性ゲル、溶液、エアゾール剤、クリーム、軟膏、カプセル、マイクロカプセル、坐剤、またはタブレット、好ましくは水可溶性ゲル、カプセルまたはタブレットを含む。当技術分野における背景的知識と組み合わせた本発明の開示に基づいて、当業者は、製造プロセス技術、製造方法、および補助薬を使用することができる。
例えば、水溶性ゲル組成物は、当業者によって知られている方法に基づく以下のプロセスフローによって調製することができる。安息香酸および/またはそのナトリウム塩、糖類、水溶性粘性ゲルマトリクス(キサンタンゴムなど)を処方された割合で混合し、処方された量の蒸留水を加えて、安息香酸ナトリウムと糖類を溶解するために撹拌し、水可溶性粘性ゲルマトリクスを膨張させて均質の粘性ゲルを形成する。ここで、安息香酸ナトリウムの代わりに安息香酸が使用される場合、安息香酸は、ある量のエタノールで溶解してから、次に、ゲル組成に加えられる。薬学的に許容できる酸および/または塩基を使用して組成物のpH値を3.5〜7.5の範囲に、好ましくは4.5〜6.5に調節する。次に、以下から選択されるプロセスで殺菌する。放射線殺菌、または110〜115℃で15〜20分間の高温殺菌、またはバッチ殺菌(例えば、最初に70〜80℃で30分間の処理、次に、36℃で5〜10時間、70〜80℃で30分間、36℃で5〜10時間繰り返し、最後に70〜90℃で30分間)、または安息香酸および/またはそのナトリウム塩の溶液と、糖類の溶液とを別々に濾過および殺菌し、次に、それらを殺菌された水可溶性ゲルマトリクスに加える。
膣のタブレットは、安息香酸および/またはそのナトリウム塩を糖類と混合し、次に、錠剤を得るために直接タブレット化することによって当業者によって知られた方法に基づいて製造することができる。ここで、潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウムあるいは崩壊剤としてのカルボキシメチルナトリウムデンプンなどの補助薬もまた加えらて、混合して、タブレット化することができる。
当業者によって知られている方法に基づく以下のプロセスフローによって、膣の坐薬を製造することができる。安息香酸および/またはそのナトリウム塩と糖類とツウィーン80を混合し、次に、約50℃まで加熱し、別に混合脂肪グリセリド(固体脂肪とも呼ばれる)を溶けるまで60℃に加熱し、次に、安息香酸および/またはそのナトリウム塩と糖類とツウィーン80の混合液体を撹拌しながら溶解マトリクスの中に加えて、均一に混合し、約40℃で型に注ぎ(すなわち、凝固前)、膣坐剤を得るために、冷却せずに型をスクラップにするか冷却して脱型する。また、混合脂肪グリセリド以外に、前記坐剤のマトリクスとして、プロピレングリコールステアリン酸塩、グリセロゼラチン、ツウィーン61などを使用できる。大規模生産に自動の機械装置を使用することができる。
本発明の製造使用によると、水溶性ゲル組成物中の糖類の総量は0.1〜20.0%(w/v)、好ましくは0.5〜12.0%(w/v)であり、安息香酸(安息香酸ナトリウムに基づいて計算される)および/またはそのナトリウム塩の総量は0.01〜5.0%(w/v)であり、好ましくは0.1〜1.0%(w/v)、より好ましくは0.2〜0.5%(w/v)である。
本発明の製造使用によると、水溶性ゲル組成物はさらに、非流動性で粘性の水可溶性ゲルマトリクスを使用する。このマトリクスは安息香酸および/またはそのナトリウム塩と糖類が膣粘膜との均一な接触して比較的長い時間膣に残るのを可能にし、その結果、微生物菌叢と酸性の調節を容易にする。前記水可溶性の粘性ゲルマトリクスは当業者の知識に基づいて選択されて使用される。本発明の製造使用によると、マトリクスは限定無しにキサンタンゴム、ポリカルボフィルを含む。
本発明に基づいて調製された水可溶性ゲル組成物のpH値は、3.5〜7.5の範囲に、好ましくは4.5〜6.5の範囲に調節される。前記組成物のpH値を調節するための酸または塩基の種類と濃度は当技術分野で通常知られた技術である。
本発明に基づいて製造された安息香酸および/または、そのナトリウム塩、糖類を含む水可溶性ゲル組成物、シールして殺菌してパッケージされており、好ましくは1回の服用量がシールして殺菌してパッケージされている。当業者に周知の殺菌処理は、殺菌されたまたは殺菌処理された組成物をサブパッキングしてシールするために使用することができるし、または調製された組成物をサブパッキングしてシールし、次にイントラ膣内投与用の使い捨デバイス中に調製された組成物を殺菌またはサブパッキングし、上包でシールし、放射線などで殺菌することもできる。
本発明の製造使用によると、1つまたはそれ以上の抗菌剤、および/または、殺菌剤、および/または、細菌および/真菌に有効な殺菌剤を任意に使用することができる。真菌、グラム陰性嫌気性細菌、グラム陰性球菌、およびグラム陽性球菌に強い作用を持ち、グラム陽性杆菌に弱い作用をもつ抗菌剤、および/または、殺菌剤の使用は、抗菌力がある組成物を賦与するだけではなく、グラム陽性杆菌の成長と酸の生成を促進する本発明の組成物の機能を保つ。これらの抗菌剤、および/または、殺菌剤は、限定無しに以下の、ソルビン酸とその塩、ビタミンB1、ビタミンK3、ビタミンK4、プロピオン酸とその塩、酢酸、デヒドロ酢酸、pヒドロキシ安息香酸塩、過酸化水素、フルコナゾール、イトラコナゾール、ブトコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、ニスタチン、メトロニダソール、リンコマイシン、アモキシシリン、種々のデフェンと抗菌性ペプチドを含み、前記抗菌薬は、好ましくはメトロニダソール、フルコナゾールまたは、クロトリマゾールである。上記の様々な抗菌薬、および/または、殺菌剤は、当業者によって知られていた知識に基づいて選択されて本発明に使用される。
本発明のより好ましい実施例によると、生きている乳酸菌は、同時に安息香酸および/またはそのナトリウム塩、糖類、生きている乳酸菌を含むカプセル、マイクロカプセル、およびタブレットを製造することにより任意に使用することができる。ここで、生きている乳酸菌が患者の腟の当初の乳酸菌を直接的に補うか置き換えるために使用され、糖類は、腟の乳酸菌の成長と酸の生成を促進するために使用されて、安息香酸および/またはそのナトリウム塩は、乳酸菌による酸の過剰の生成を防止するために使用される。したがって、本発明に基づいて製造された、安息香酸および/またはそのナトリウム塩と糖類と生きている乳酸菌とを含む組成物は、腟中の乳酸菌がまれであって膣の酸性が弱い細菌性膣炎および腟変質細菌症の治療に適しているだけではなく、腟の酸性が異常に増加した細胞溶解性膣炎、乳酸細菌症、およびカンジダ属細菌腟炎の治療にもまた使用することができる。本発明における生きている乳酸菌の調製および使用方法は、当業者によって知られている。
本発明の製造使用によると、エストロゲンは、同時に安息香酸および/またはそのナトリウム塩、糖類、エストロゲンを含む組成物を製造するためにまた任意に使用され、エストロゲンは、制限されずに、スチルベストロール、エストラジオール、エストリオールを含む。エストロゲンは、膣粘膜の新脈管形成、膣粘膜の上皮角質化、および腟中の上皮損傷回復を促進し、それにより、さらに、本発明に基づいて製造されていた組成物の治療効果を高める。本発明における上記説明した様々なエストロゲンの選択と使用法は当業者によって知られたものである。
本発明はさらに、清浄にして養生する製品、脱臭剤、化粧品、殺菌性組成物または製剤組成物である腟組成物を提供するが、前記腟組成物は、(1)活性成分として、安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つと、糖類とを含み、(2)人間の腟に適切な1つまたはそれ以上の不活性賦形剤を含み、前記糖類が、グルコース、フルクトース、マンノース、オリゴ糖または多糖、またはこれら糖類の混合物であり、前記オリゴ糖または多糖は、生体内または生体外で加水分解されてグルコース、フルクトースおよびマンノースのうちの少なくとも1つを生成し、前記オリゴ糖または多糖が、限定無しに以下のスクロース、マルトース、乳糖、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、ラフィノース、マルトオリゴサッカライド、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、デキストリン、デンプン、およびグリコーゲンを含み、好ましくは前記糖類は、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、マルトオリゴサッカライド、フルクトオリゴ糖、デキストリン、デンプンまたはそれらの混合物であり、より好ましくは前記糖類は、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトースまたはそれらの混合物であることによって特徴付けられる。
本発明に基づく腟組成物は、清浄にして養生する製品、脱臭剤、化粧品、殺菌性組成物または製剤組成物(非処方薬あるいは処方薬)であることができ、その投与形態は、限定なしに水溶性ゲル、溶液、エアゾール剤、クリーム、軟膏、カプセル、マイクロカプセル、坐剤、タブレット、好ましくは水溶性ゲル、カプセルまたはタブレットに含んでいるが、それの用法は限られていない。
本発明の組成物は、好ましくは腟の水可溶性ゲル組成物であり、(1)安息香酸ナトリウムに基づいて計算されたとき、前記安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくともの1つの総量は、0.01〜5.0%(w/v)であり、好ましくは0.1〜1.0%(w/v)、より好ましくは0.2〜0.5%(w/v)であり、(2)前記水可溶性ゲル組成物中の前記糖類の総量は、0.1〜20%(w/v)、好ましくは0.5〜12%(vw/v)であり、(3)前記不活性な賦形剤が非流動性で粘性の水に可溶なゲルマトリクスであり、前記ゲルマトリクスは好ましくはキサンタンゴムまたはポリカルボフィルであり、(4)前記組成物は任意に、1つまたはそれ以上の抗菌薬、および/または、殺菌剤であり、前記抗菌薬、および/または、殺菌剤がメトロニダソールの場合、メトロニダソールの濃度が0.0001〜0.1%(w/v)、好ましくは0.001〜0.01%(w/v)であり、(5)前記組成物は更に任意に1つまたはそれ以上のエストロゲンを含み、(6)前記組成物は、殺菌してシールされてパックされ、好ましくは殺菌してシールされた1回の服用量であり、生きているバクテリア、真菌または他の微生物を含んでいない。
本発明は更に、腟の微生物叢と腟の酸性を調節し、それにより、膣分泌物のpH値を3.5〜4.5の範囲内に維持する方法に関連し、この方法は、本発明に基づいて調製された腟組成物の有効量をそれを必要とする女性の腟中への投与する工程を含む。本発明の方法に基づいて、この組成物の使用方法は、安息香酸ナトリウムに基づいて計算されるような安息香酸および/またはそのナトリウム塩の合計の毎日の服用量が0.1〜750mg、好ましくは1〜150mg、より好ましくは2.5〜75mgであり、糖類の合計の毎日の服用量が1〜3000mg、好ましくは5〜1800mg、より好ましくは50〜180mgであり、この組成物をこれを必要とする女性の腟中に1日あたり1〜3回に分割して投与する工程を含む。
本発明の方法は、正常な腟の微生物叢と腟の酸性を回復して維持する問題をうまく解決し、膣を清浄にして養生し、白帯下の特性を改善し、白帯下の魚臭いにおいを除去または軽減し、外陰かゆみ、慢性外陰病変などの不快さを除去または軽減し、乳酸細菌症、細胞溶解性膣炎、カンジダ属細菌膣炎、細菌性膣炎、または腟の変質細菌症の治療のために使用することができる。
したがって、本発明の治療方法は、上記説明した腟の疾病の治療のために使用する場合、急速に患者の臨床的症状を軽減して、正常な腟の酸性を回復して維持し得るので、腟の感染症の治療分野のブレークスルーである。
本発明を実施するための特性的モデル
組成例
実施例1
組成物は以下の方法で作製した:0.7gの安息香酸ナトリウムと9.0gのスクロースと2.5gのキサンタンゴムを混合し、100mlの蒸留水を加えて、安息香酸ナトリウムとスクロースを溶解するために撹拌し、キサンタンゴムを膨らまして均質の粘性ゲルを形成し、次に、pH値を6.0に調節し、次に、20分間、112.6℃で殺菌して本発明の水可溶性ゲル組成物を得る。
実施例2
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:9.0gのスクロース、0.4gの安息香酸ナトリウム、2.5gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水、pH7.0、殺菌し、シールし、1回の投与で4.0gの単投与の形態でパッケージする。
実施例3
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:12.0gのスクロース、0.35gの安息香酸ナトリウム、2.5gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水、pH6.5。
実施例4
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:9.0gのスクロース、0.5gの安息香酸ナトリウム、3.5gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水、pH6.5。
実施例5
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:6.0gのスクロース、0.25gの安息香酸ナトリウム、2.5gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水、pH6.5。
実施例6
以下の割合で材料を秤量して、組成物を作製した:45.0gのスクロース、441gのフラクトオリゴーズ、3.5gの安息香酸ナトリウム、10gの好酸性乳酸菌粉末(フラクトオリゴーズと5×1010CFUの生きている菌)、1000個のカプセルにサブパッキングし、各カプセルは45mgのスクロース、451mgのフラクトオリゴーズ、3.5mgの安息香酸ナトリウム、5×107の好酸性乳酸菌を含む。
実施例7
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:9.0gのスクロース、0.5gの安息香酸ナトリウム、0.1gのエストリオール、3.0gのキサンタンゴム、87.4gの水、pH5.5。
実施例8
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:0.1gのフルクトース、1.5gの安息香酸ナトリウム、3.0gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水、pH5.0。
実施例9
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:5.0gのマンノース、0.5gの安息香酸ナトリウム、3.5gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水、pH6.5。
実施例10
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:2.0gのグルコース、0.7gの安息香酸ナトリウム、2.5gのキサンタンゴム、94.5gの蒸留水、pH6.5。
実施例11
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:1.5gのマルトース、0.3gの安息香酸ナトリウム、3.5gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水、pH7.2。
実施例12
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:8.0gのスクロース、0.5gの安息香酸ナトリウム、3.5gのキサンタンゴム、88gの蒸留水、pH7.2。
実施例13
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:9.0gの乳糖、0.2gの安息香酸ナトリウム、0.2gのフルコナゾール、3.5gのキサンタンゴム、87gの蒸留水、pH6.5。
実施例14
20.0gのデンプン、0.2gの安息香酸ナトリウム、0.005gのメトロニダソール、1.5gのキサンタンゴム、および100mlの蒸留水の割合で材料を秤量し、最初に、デンプン、安息香酸ナトリウム、およびキサンタンゴムを混合し、次に、90mlの蒸留水を加えて撹拌し、沸騰するまで加熱し撹拌し、殺菌し、10mlの殺菌したメトロニダソール溶液(0.005gメトロニダソールを含む)を追加し、pHを7.0に調節し、均一に混合して組成物を作製した。
実施例15
材料は以下の割合、5gのグルコース、30gの乳糖、63gのフラクトオリゴーズ、1.0gの安息香酸ナトリウム、0.01gのメトロニダソール、0.01gのクロトリマゾール、1gのステアリン酸マグネシウムに一致して秤量し、次に混合し、タブレットにした。各タブレットは0.5gであり、25mgのグルコース、150mgの乳糖、315mgのフラクトオリゴーズ、5mgの安息香酸ナトリウム、0.05mgのメトロニダソール、0.05mgのクロトリマゾール、および5mgのステアリン酸マグネシウムを含んでいる。
実施例16
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:10gの乳糖、0.05gの安息香酸、2.0gのポリカルボフィル、100mlの蒸留水、pH4.0。
実施例17
以下の割合で材料を秤量して、実質的に実施例1の方法に基いて組成物を作製した:0.15gの安息香酸、3.0gのグルコース、9.0gのスクロース、0.15gのフルコナゾール、2.5gのキサンタンゴム、100gの蒸留水、pH6.4。
実施例18
以下の割合と方法に基づいて水溶液組成物を作製した:12gのマルトース、0.4gの安息香酸ナトリウムを秤量し、100mlの蒸留水を加え、撹拌し、溶解し、pHを7.0に調節し、殺菌して水溶液組成物を得る。本発明の製造使用および方法の有益な効果を以下の実験例に例示する。
実験的な実施例1
1.実験目的:
アカゲザルの腟の分泌物のpH値と膣の微生物叢に対する本発明の組成物の効果の観測
2.実験法
(1)3つのゲルの調製
以下の組成物は、安息香酸ナトリウム、スクロース、およびキサンタンゴムを使用する前記作製方法に基づいて調製した。
a)実施例1で作製したゲルは、0.7g安息香酸ナトリウム、9.0gのスクロース、2.5gキサンタンゴム、100mlの蒸留水を含み、pHを6.0に調節する。
b)9.0gのスクロース、2.5gのキサンタンゴム、100mlの蒸留水を含み、6.0にpHを調節する。
c)0.7gの安息香酸ナトリウム、2.5gのキサンタン、100mlの蒸留水を含み、pHを6.0に調節する。
上の3つのゲルを20分、112.6℃で殺菌して、使用まで保存する。ここで、a)は本発明のゲルであり、b)とc)は対照ゲルである。
(2)動物
実験のための雌アカゲザルは以下の評価基準に基づいて選択した。
a)膣分泌物がpH>4.6である。
b)膣分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡検査でニュージェントスコア>7である。
上の評価基準に従って4〜8kgの体重がある12頭の雌アカゲザルを、1グループ4匹アカゲザルの3グループに分割した。
(3)実験ステップ
アカゲザル3グループに、別々にa)、b)、c)のゲルを連続7日間、1日に2回、0.5ml投与した。投与期間中の5日目と投与後3日目に腟のスワブを得た。膣分泌物のpH値が測定され、微生物菌叢を観測するために膣分泌物を塗り付けグラム染色して顕微鏡検査し、腟の微生物叢のニュージェントスコア法に基づいてマークした。膣分泌物のpH値は、正確なpH試験紙を使用して測定した。
3.実験結果:表1と2参照
(1)投与前、12匹のアカゲザルの膣分泌物はすべてpH値>4.6であり、その腟の微生物叢は、全てニュージェントスコア>7であった。
(2)アカゲザルの膣分泌物のpH値に対するの薬の効果
グループ1(ゲルa)
4匹のアカゲザルの膣分泌物のpH値は、治療コース5日目で3.8、3.8〜4.1まで減少し、明らかに投与前の値より低かった。投与終了後の3日目に、4匹のアカゲザル中の3匹のアカゲザルの膣分泌物のpH値は4.6より低く、残りの1匹のpH値は5.4であった。
グループ2(ゲルb)
4匹のアカゲザルの膣分泌物のpH値は、治療コース5日目で3.8未満、3.8、3.8〜4.1まで減少し、低下の程度はグループ1の低下の程度より少し大きかった。投与終了後の3日目に、4匹のアカゲザル全ての膣分泌物のpH値は4.6より低かった。
グループ3(ゲルc)
4匹のアカゲザルの膣分泌物のpH値は、投与後に著しい変化が無く、依然として4.8〜5.4であった。
Figure 0005065246
(3)アカゲザルの腟の微生物叢のニュージェントスコアに対する治療効果
グループ1(ゲルa)
4匹のアカゲザルの腟の微生物叢のニュージェントスコアは、治療コース5日目に2〜3まで減少し、投与前のスコアより明らかに低かった。投与終了後の3日目のスコアは投与前のスコアよりまだ低かった。
グループ2(ゲルb)
4匹のアカゲザルの腟の微生物叢のニュージェントスコアは治療コース5日目に2〜3まで減少し、投与前のスコアより明らかに低かった。投与終了後の3日目に、スコアは3〜5であり、投与前スコアより低く、そこでは、菌類胞子と菌糸が1匹のアカゲザルの膣分泌物の2つの検査の両方で見いだされた。
グループ3(ゲルc):4匹のアカゲザルの腟の微生物叢のニュージェントスコアは、投与の後に著しい変化は全くなく、6〜10であった。
Figure 0005065246
4.結論
アカゲザルの腟の微生物菌叢は、細菌性膣炎をもつ患者の腟の微生物叢と類似であり、優位な菌として、大きなグラム陽性杆菌をほとんど含まず、かなり多くのグラム陰性杆菌を含んでいる。さらに、膣分泌物のpHは4.6より高く、細菌性膣炎を持つ患者の腟のpH値と類似である。
実験結果は、以下のことを示す。実施例1で作製した「安息香酸ナトリウム+スクロース」を含むゲルa)は、アカゲザルの腟の微生物叢のニュージェントスコアを7〜8から2〜3まで減少させることができた。これは、組成物「安息香酸ナトリウム+スクロース」が効果的に腟の乳酸菌の成長を促進し、優位なグラム陰性杆菌をもつ腟の微生物叢を優位な大きいグラム陽性杆菌を持つ腟の微生物叢に変え、酸の生成が高められ、腟の酸性が増加し、アカゲザルの膣分泌物のpH値は、投与の前の5.4またはそれ以上から3.8、3.8〜4.1まで減少したたことを意味する。
スクロースだけを含むゲルb)はアカゲザルの腟のpHを5.4またはそれ以上から3.8、3.8〜4.1、3.8未満まで減少させることができた。また、腟の微生物叢のニュージェントスコアは7〜8から2〜3まで減少した。ここで、真菌が1匹のアカゲザルの膣分泌物中に見いだされた。このことは、スクロースだけを含む組成物は、過度に高い腟の酸性を引き起し、その結果、真菌の過度の成長を引き起こしたことを暗に示している。
要するに、「安息香酸ナトリウム+スクロース」を含む組成物とスクロースだけを含む組成物の両方は、腟の酸性を増加させて、腟の乳酸菌の成長を促進することができた。それらの相違点は、「安息香酸ナトリウム+スクロース」を含むゲルa)が使用された場合、膣分泌物のpH値が3.8まで減少し、真菌類の成長が起こらないが、スクロースだけを含むゲルb)が使用された場合、膣分泌物のpH値は3.8未満まで減少し、その結果、真菌が成長することである。これらの結果は、活性成分として安息香酸ナトリウムとスクロースを含む組成物が、活性成分としてスクロースだけを含む組成物よりもそれを必要とする女性により適切であることを示している。さらに、安息香酸ナトリウムだけを含む組成物は、腟の乳酸菌の成長を促進してアカゲザルの膣分泌物のpH値を減少させるための機能は示さなかった。
実験的な実施例2:
女性の腟の微生物叢と酸性に対する本発明組成物の効果
1.材料と方法
(1)組成物
実施例2で調製したゲル−A
(2)グループの患者
12人の患者(26〜29歳)を以下の評価基準に基づいて登録した。
a)白帯下は、薄く、均質で、灰色で、魚臭いにおいがあり、臭気テストで陽性である。
b)外陰かゆみまたは慢性外陰病変がある。
c)膣分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡検査で大きいグラム陽性杆菌の数が少なく、グラム陰性杆菌または球菌が多く、クルー細胞>20%である。
d)膣分泌物がpH値>4.5である。
2.治療と追跡訪問
ゲル−A4.0gを連続5日間、1日2回単位で腟内に投与した。治療コースの間、患者は、外来患者の外来診療所に戻り、様々なテストに参加し、毎日医師によって、診察され、症状と副作用が記録され、1回の投与が行われた。別の投与は就寝時刻のときに家で患者によってなされた。治療コース終了後、患者を3回の追跡訪問した。
治療コースと追跡訪問期間の間、グループの患者は、腟を洗浄せず、抗菌薬を服用せず、性交をするべきでない。患者が腟を洗浄したまたは抗菌薬を使用した場合には、この患者はテストから除かれる。1人の患者がすべてのテストを終了しなかった。
3.結果
結果を表3に示す。ゲル−Aは、女性の腟の微生物叢と腟の酸性に対してかなりの効果を示し、それらを正常の範囲に維持することができた。
Figure 0005065246
(1)3日間の治療後に12人の女性のうちの2人はすべて正常な範囲に回復した。白帯下は、厚く、魚臭いにおいは無く、臭気テストは陰性であり、外陰かゆみ症と慢性外陰病変のような不快は消え、腟の微生物叢は変化し、大きいグラム陽性杆菌が優位となり、クルー細胞は陰性であり、かつ、膣分泌物のpH値は3.8〜4.4、4.5未満に維持された。
(2)5日間の治療後に12人の女性のうち11人はすべての正常な範囲に回復した。白帯下は、厚く、魚臭いにおいは無く、臭気テストは陰性であり、外陰かゆみ症と慢性外陰病変のような不快は消え、腟の微生物叢は変化し、大きいグラム陽性杆菌が優位となり、クルー細胞は陰性であり、かつ、膣分泌物のpH値は3.8〜4.4、4.5未満に維持された。
4.結論
本実施例で観測した全ての患者は、腟の微生物叢が異常で、腟の酸性が弱く、膣分泌物のpH値が増加し、白帯下は薄くて魚臭いにおいがし、外陰かゆみと慢性外陰病変などの不快さがあり、腟の微生物叢の検査でグラム陰性の杆菌と球菌が多量にあり、大きいグラム陽性杆菌が減少または消失している女性であった。このことは、これらの女性が実際に細菌性膣炎の診断評価基準を満たすことを意味する。
本実施例の治療結果は、連続5日間、1日2回の単位で、実施例2で作製した4.0gのゲルの膣内投与の後に、ほとんどの女性(11/12)の腟は、優位なグラム陰性の杆菌または球菌が優位な微生物叢から大きいグラム陽性杆菌が優位な微生物叢に変わり、女性の膣分泌物のpH値が約4.5から3.5〜4.5の範囲内に低下し、これらの女性の白帯下の特性は改善され、魚臭いにおいが消失し、外陰かゆみや慢性外陰病変などの不快はかなり軽減または除去された。
実験的な実施例3
女性36歳は、外陰かゆみや慢性外陰病変などの不快はなく、白帯下に魚臭いにおいがない正常な月経を持ち、以前に泌尿生殖器系感染症の経験がなかった。腟のスワブにより得られた膣分泌物のpH値は4.1であった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、大きく長いグラム陽性杆菌が見つけられ、他の形態の菌はまれであり、膣粘膜の上皮系細胞は完全であり、白血球はときたまあった。このことは、女性が正常な腟の微生物叢と腟の酸性を持つことを示した。実施例3で作製した4gのゲルを連続3日間、1日1回の投与後、女性が、不快やの不満を言わなかった。腟のスワブで再度得られた膣分泌物のpH値は4.1であった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、微生物叢はまだ大きいグラム陽性杆菌であり、少し短い長さの他の形態の細菌は依然としてまれであり、白血球が依然としてときたまあった。この例は、本発明の組成物は正常な腟の微生物杆菌と正常な腟の酸性に対して効果がないことを示した。
実験的な実施例4
女性29歳は、1年間、再発性の外陰かゆみがあり、白帯下に魚臭いにおいがし、月経後はより深刻であった。彼女はいくつかの抗菌薬とローションなどで治療され、不快は、投与の間は軽減されたが、投与後再発した。発明者は、腟のスワブを取る検査を行って、膣分泌物のpH値が4.8であることを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、膣粘膜の上皮系細胞は完全であり、腟の微生物叢は、小さいグラム可変杆菌とグラム陽性球菌が優位であり、大きいグラム陽性杆菌はまれで、酵母のような真菌類の胞子は見いだされなかった。彼女は、「細菌性膣炎」と診断され、最初に、連続3日間、1日2回で、「9.0gのスクロース、3.5gのキサンタン、および100mlの蒸留水」を含む組成物5gを膣の局所に投与した。患者の白帯下量はかなり減少し、魚臭いにおいは消えたが、患者はまだ外陰かゆみを感じていた。再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は3.5であった。腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌が優位であり、小さいグラム可変杆菌とグラム陽性球菌はまれであった。次に、患者は、実施例4で作製したゲルの5gを連続2日間、1日2度、膣の局所に投与した。患者の外陰かゆみは消失した。再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は3.8であっり、腟の微生物叢は、大きいグラム陽性杆菌がまだ優位であった。本実施例は、活性成分としてスクロースだけを含む組成物は、グラム陽性杆菌の成長を促進し、膣分泌物のpH値を3.5まで減少し、一方、本発明に基づく成分として安息香酸ナトリウムとスクロースを含む組成物は、また、腟で大きいグラム陽性杆菌の成長を促進し、膣分泌のpH値を3.8まで減少させ、女性の白帯下と外陰かゆみの魚臭いにおいを除去するすることを示した。すなわち、本組成物は弱い腟の酸性、減少した腟のグラム陽性杆菌および細菌性膣炎の治療にだけ使用することができるばかりではなく、腟の過剰に強い酸性などの拒絶反応を引き起こさない。
実験的な実施例5
女性39歳は、3カ月間、再発性の外陰かゆみおよびの性交痛があり、白帯下の不快な臭いがあった。発明者は、腟のスワブを取る検査を行って、膣分泌物のpH値が5.4であることを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、多量のグラム陰性桿体、球菌、および陽性球菌が見いだされ、大きいグラム陽性杆菌は見いだされず、白血球はまれであった。したがって、患者は「腟の変質細菌症」と「細菌性膣炎」と診断された。患者は、連続5日間、1日2度の単位で、実施例5で作製したゲルの4gを膣の局所に投与した。患者の外陰かゆみと白帯下の異臭は消失し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は3.5であり、腟の微生物叢には、大きいグラム陽性杆菌が優位となり他の細菌はまれであった。本実施例は、本発明の組成物が女性の外陰かゆみと白帯下の異常な異臭を除去し、グラム陽性杆菌の成長を促進し、腟の酸性を増加させて、腟の変質細菌症と細菌性膣炎に治療効果を示すことができることを示した。
実験的な実施例6
女性41歳は、半年以上、再発性の外陰かゆみと性交痛があり不快臭を持つ白帯下が増加した。発明者は、腟のスワブを取る検査を行って、膣分泌物のpH値が5.4であることを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、膣粘膜の上皮系細胞は完全な構造を持ち、白血球はまれであり腟の微生物叢は、多量の小さいグラム陰性杆菌を持ち、大きいグラム陽性杆菌はまれであった。したがって、患者は「細菌性膣炎」と診断された。患者に連続5日間、1日に一度の単位で、実施例6で作製した1つのカプセルを膣の局所に投与した。女性の白帯下はかなり減少し、白帯下の異臭は消失し、外陰かゆみと性交痛は消失し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.1であり、腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌が優位であり、小さいグラム陰性杆菌はかなり減少した。本実施例は、組成物は本発明にに基づく活性成分として安息香酸ナトリウム、スクロース、フラクトオリゴ糖、および乳酸菌を含む組成物が腟の微生物叢と腟の酸性を調節し、女性の外陰かゆみ、性交痛、および白帯下の異臭を除去して、弱い腟の酸性と細菌性膣炎の治療のために使用することができることを示した。
実験的な実施例7
女性患者54歳は、2年間、外陰かゆみがあり白帯下が増加した。白帯下は通常水のような形態であり、時折黄緑色であり、患者は時々頻尿とオディヌリアを持っていた。発明者は、腟のスワブを取る検査を行って、膣分泌物のpH値が5.4より高いのを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、低い層の粘液上皮細胞のかなりの量が見つけられ、少量のグラム陽性球菌が見つけられ、菌類胞子はなかった。トリコモナスなどは見つけられなかった。したがって、患者は「腟の酸性が弱い」、「腟の乳酸菌が減少」した「老人性膣炎」と診断された。患者に連続7日間、1日に一度の単位で、実施例7で作製したゲル5gを膣の局所に投与した。患者の白帯下はかなり減少し、外陰かゆみと慢性外陰病変はかなり軽減し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.1であり、腟の微生物叢は、大きいグラム陽性杆菌が優位であり、膣粘膜上皮細胞の低層細胞は減少したが表面層の細胞は増加した。本実施例は、本発明の製造使用と治療方法に基づいて活性成分として安息香酸ナトリウム、スクロース、およびエストリオールを含む組成物が、女性の外陰かゆみと慢性外陰病変を除去または軽減し、白帯下の特性を改善し、腟の酸性を増加させて、腟の乳酸菌を回復させて、老人性膣炎の患者の症状と条件とを効果的に制御することができることを示した。
実験的な実施例8
女性35歳は、5カ月、月経前に深刻な外陰かゆみと慢性外陰病変があった。膣分泌物のpH値は3.5より低かった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、大きいグラム陽性杆菌が見いだされ、酵母のような真菌の胞子と菌糸は全く見いだされなく、膣粘膜上皮系細胞の形状と構造は完全でなく、壊れている細胞を含み裸の核は見いだされなかった。したがって、患者は「腟の酸性が過剰に強い」「細胞溶解性膣症」と診断された。患者に連続5日間、1日二度の単位で、実施例8で作製したゲル4gを膣の局所に投与した。女性の外陰かゆみと慢性外陰病変は消失し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.4であり、腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌が優位となり、膣粘膜上皮細胞は、完全な形状であり、壊れている細胞と裸の核は見いだされなかった。
実験的な実施例9
女性35歳は、約1年間、再発性の外陰かゆみ、慢性外陰病変があり白帯下が増加し、病院で何度か腟炎と診断された。症状は、ダクタリンなどの抗真菌薬を用いる治療で軽減されたが、薬を止めると再発した。発明者は、検査を行って、膣分泌物のpH値が3.5であることを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、腟の微生物叢は長い胴体を持つ大きいグラム陽性杆菌があって、酵母のような菌類の胞子と菌糸は全く見つけられず、壊れている上皮系細胞はまれであった。したがって、患者は「腟の酸性が過剰に強い」「乳酸細菌症」と診断された。患者は、連続5日間、1日1度の単位で、実施例9で作製したゲルの3gを膣の局所に投与した。女性の外陰かゆみと慢性外陰病変は消失し、白帯下はかなり減少し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.1であり、腟の微生物叢には短い胴体の大きいグラム陽性杆菌が依然として優位であったが、酵母のような菌類胞子は全く見つけられなかった。結果は、本発明に基づく活性成分として安息香酸ナトリウムとマンノースを含む組成物が、女性の外陰かゆみと慢性外陰病変を除去し、正常な腟の酸性を調節し、過剰に強い腟の酸性と乳酸細菌症に対する治療効果を示すことができることを示した。
実験的な実施例10
女性患者31歳は、1年間、外陰かゆみがあり白帯下が増加し、何度か「カンジダ属細菌膣炎」と診断されて、ニスタチンの発泡性タブレットやダクタリン坐剤などの抗真菌薬を用いて治療された。症状は投与の間軽減されたが、投与後通常は症状が再発した。発明者は、検査を行って、膣分泌物のpH値が3.8であることを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、腟の微生物叢は大きい長いグラム陽性杆菌であり、他の形態をもつ細菌は全く見つけられず、酵母のような真菌は全く見つけられなかった。したがって、患者は「乳酸細菌症」と診断された。患者は、連続3日間、1日2度の単位で、実施例10で作製したゲルの5gを腟の局所に投与した。白帯下は減少し、腟の不快は消失し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は3.8〜4.1であり、腟の微生物叢は、まだ大きいグラム陽性杆菌であったが、かなりより短くなり、壊れた上皮細胞と裸の核は見つけられなかった。結果は、本発明に基づく活性成分として安息香酸ナトリウムとグルコースを含む組成物は、女性の外陰かゆみと白帯下の増加を除去し、腟の乳酸菌の過剰成長と乳酸細菌症の治療のために使用することができることを示した。
実験的な実施例11
女性33歳は、3カ月間、再発性の外陰かゆみがあり白帯下が増加し、抗真菌薬で治療されたが、治療効果は良くなかった。膣分泌物のpH値は3.0であった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、不完全な形状と構造を持つ壊れた膣粘膜上皮細胞が見いだされ、上皮細胞の裸の核は見いだされなかった。腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌であり、酵母のような菌類胞子も見いだされなかった。したがって、患者は「腟の酸性が過剰に強い」「細胞溶解性膣炎」と診断された。患者は、連続3日間、1日に3回の単位で、実施例11で作製したゲルの5gを膣の局所に投与した。女性の外陰かゆみは消失し、白帯下はかなり減少し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は3.8であり、腟の微生物叢は依然として大きいグラム陽性杆菌であり、粘液上皮細胞は完全であり、壊れている上皮系細胞と裸の核は見いだされなかった。結果は、本発明に基づく活性成分として安息香酸ナトリウムとマルトースを含む組成物は、正常な腟の酸性を調節し維持し、外陰かゆみなどの女性の不快を除去して、過剰に強い腟の酸性と細胞溶解性膣炎の治療のために使用することができることを示した。
実験的な実施例12
女性40歳は、1年間、再発性の慢性外陰病変があり白帯下が増加し、抗真菌薬で治療され、症状は投与の間は軽減した。発明者は、腟のスワブを取る検査を行って、膣分泌物のpH値が3.8未満であることを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、かなり多量の壊れている膣粘膜上皮細胞と上皮細胞の裸の核の断片が見いだされた。腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌であり、酵母のような真菌胞子は見いだされなかった。したがって、患者は「腟の酸性が過剰に強い」「細胞溶解性膣炎」と診断された。患者は、連続3日間、1日に2度の単位で実施例12で作製したゲル3gが腟の局所に投与した。患者の慢性外陰病変は消失し、白帯下は減少し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.1であり、腟の微生物叢は依然として大きいグラム陽性杆菌であった。患者が2日間さらに治療された後で、膣分泌物のpH値は依然として4.1であり、腟の微生物叢は依然として大きいグラム陽性杆菌であり、壊れている上皮細胞と裸の核は見いだされなかった。結果は、本発明に基づく活性成分として安息香酸とスクロースを含む組成物が女性の慢性外陰病変を除去し、白帯下の特性を改善し、腟の酸性を調節し、過剰強い腟の酸性と細胞溶解膣炎の治療のために使用できることを示した。
実験的な実施例13
女性28歳は、2カ月間、外陰かゆみがあり白帯下が増加した。膣分泌物のpH値は4.1であった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、溶解して壊れている膣粘膜上皮系細胞と裸の核は見いだされなかった。腟の微生物叢は、大きいグラム陽性杆菌とグラム陽性球菌とグラム陰性杆菌が優位であった。酵母のような真菌胞子と菌糸は見いだされなかった。したがって、患者は「カンジダ属細菌膣炎」と診断された。患者に連続5日間、1日に二度の単位で、実施例13で作製したゲル4gを膣の局所に投与した。患者の白帯下はかなり減少し、外陰かゆみなどの症状は消失し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.1であり、腟の微生物叢は、依然として大きいグラム陽性杆菌が優位であり、グラム陽性球菌と小さいグラム陰性杆菌はかなり減少し、酵母のような菌類胞子と菌糸は全く見いだされなかった。結果は、本発明に基づく活性成分として安息香酸ナトリウム、乳糖、およびフルコナゾールを含む組成物が、「カンジダ属細菌膣炎」を治療し、腟の微生物叢を調節し、グラム陽性杆菌を優位に維持し、グラム陽性球菌と陰性杆菌を減少できることを示した。
実験的な実施例14
女性35歳は、2年間、外陰かゆみがあり、魚臭いにおいを持つ白帯下が増加した。発明者は、腟のスワブを取る検査を行って、膣分泌物のpH値が5.4未満であることを見いだした。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、膣粘膜上皮細胞は形状と構造が完全であり、多量のグラム陽性球菌、および小さいグラム陰性杆菌が見いだされ、大きいグラム陽性杆菌はまれであった。したがって、患者は「腟の変質細菌症」と「属細菌性膣炎」と診断された。患者は、連続3日間、1日に二度の単位で実施例14で作製したゲル4gを膣の局所に投与した。患者の白帯下はかなり減少し、魚臭いにおいは消失し、外陰かゆみは消失し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.1であり、腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌が優位でありグラム陽性の球菌と小さいグラム陰性杆菌はまれであった。結果は、本発明に基づく活性成分として安息香酸ナトリウム、メトロニダソール、およびデンプンを含む組成物が大きいグラム陽性杆菌の成長を促進し、腟の酸性を増加させて、女性の白帯下の魚臭いにおいと外陰かゆみを除去し、弱い腟の酸性、腟の変質細菌症、および細菌性膣炎の治療に使用することができることを示した。
実験的な実施例15
女性27歳は、2カ月間、外陰かゆみと魚臭いにおいを持つ白帯下があった。膣分泌物のpH値は4.8であった。腟のスワブから得られた分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、様々な形状を持ち多量のグラム陰性杆菌と球菌および様々な形状を持つグラム陽性球菌が見いだされ、少量の白血球が見いだされた。したがって、患者は「カンジダ属細菌膣炎」と「細菌性膣炎」の組み合わせと診断された。患者に連続5日間、1日に二度単位で、実施例15で作製した1錠のタブレットが投与された。患者の外陰かゆみは消失し、白帯下は魚臭いにおいが無く、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.4であった。膣分泌物を塗りつけしグラム染色し顕微鏡観察によって、腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌が優位であり、他の形態の細菌はまれであり、酵母のような細菌は見いだされず、白血球は減少した。
実験的な実施例16
女性33歳は、5カ月間、性交痛と合わせて再発性の白帯下の魚臭いにおいがあった。膣分泌物のpH値は5.4であった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、腟の微生物叢はグラム可変ムービルンチが優位であった。したがって、患者は「細菌性膣炎」と診断された。患者は、連続3日間、1日に一度の単位で、実施例16で作製したゲルが投与された。白帯下の魚臭いにおいは消失し、再度の腟のスワブで得られた膣分泌物のpH値は4.0であった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌が優位であり、他の形態の細菌はまれであった。
実験的な実施例17
女性35歳は、半年間、再発性の外陰かゆみと慢性外陰病変を持っていた。膣分泌物のpH値は3.5であった。分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、腟の微生物叢は、大きいグラム陽性杆菌と真菌胞子と菌糸が優位であり、上皮系細胞と裸の核の断片が見いだされ、多くの白血球が見いだされた。したがって、患者は「細胞溶解性膣炎」と「カンジダ属細菌膣炎」の組み合わせと診断された。患者は、連続5日間、1日二度の単位で実施例17で作製したゲルが投与された。症状は消失した。膣分泌物のpH値は4.1であった。分泌物の塗りつけによって、真菌の胞子と菌糸は全く見いだされず、上皮細胞断片と裸の核も見いだされなく、白血球はかなり減少した。
実験的な実施例18
女性44歳は、二年間、再発性の外陰かゆみと白帯下の増加が組み合わさっていた。膣分泌物のpH値は5.4であった。膣分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、腟の微生物叢は小さいグラム可変桿体が優位であった。したがって、患者は「細菌性膣炎」と診断された。実施例18を作製した溶液で飽和したコットンボウルが連続3日間、1日に一度の単位で女性の腟に配置された。白帯下はかなり減少し、外陰かゆみは消失し、膣分泌物のpH値は4.1であった。膣分泌物を塗りつけてグラム染色した顕微鏡観察によると、腟の微生物叢は大きいグラム陽性杆菌が優位であり、他の形態の細菌はまれであった。

Claims (16)

  1. 腟組成物の製造における活性成分として、糖類と、安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つと、を組み合わせて使用し、
    前記腟組成物は、膣中にグラム陽性バチルス属細菌がまれであって腟の酸性が過剰に弱い場合に、腟中でグラム陽性バチルス属細菌を増加させて酸の生成を促進するために使用され、膣中にグラム陽性バチルス属細菌が豊富であって腟の酸性が過剰に強い場合に、腟中での酸の生成を抑制するために使用され前記腟組成物のpH値は、4.5〜6.5の範囲であり、それにより膣分泌物のpH値を3.5から4.5の範囲内に維持することを特徴とする使用。
  2. 前記腟組成物は、膣を清浄にして養生するか、膣分泌物の不快臭を除去または軽減するか、および、外陰かゆみ、慢性外陰病変、性交痛などの不快さを除去または軽減するか、のために使用されることを特徴とする請求項1に記載の使用。
  3. 前記組成物が、乳酸細菌症、細胞溶解膣炎、カンジダ属細菌腟炎、細菌性膣炎、または腟変質細菌症を処理するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の使用。
  4. 前記腟組成物は、腟への投与形態として、以下の水可溶性ゲル、溶液、エアゾール剤、クリーム、軟膏、カプセル、マイクロカプセル、坐剤、またはタブレットを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のうちのいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記糖類が、グルコース、フルクトース、マンノース、オリゴ糖または多糖、またはこれら糖類の混合物であり、前記オリゴ糖または多糖は、生体内または生体外で加水分解されてグルコース、フルクトースおよびマンノースのうちの少なくとも1つを生成し、前記オリゴ糖または多糖が、以下のスクロース、マルトース、乳糖、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、ラフィノース、マルトオリゴサッカライド、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、デキストリン、デンプン、およびグリコーゲンを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のうちのいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記糖類は、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、マルトオリゴサッカライド、フルクトオリゴ糖、デキストリン、デンプンまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項5に記載の使用。
  7. 前記組成物は、更に任意に、1つまたはそれ以上の抗菌剤および殺菌剤のうちの少なくとも1つ、抗菌薬、または抗生物質を含み、細菌および真菌のうちの少なくとも1つに対して有効であり、以下のソルビン酸およびその塩、ビタミンB1、ビタミンK3、ビタミンK4、プロピオン酸およびその塩、酢酸、デヒドロ酢酸、pヒドロキシ安息香酸塩、過酸化水素、フルコナゾール、イトラコナゾール、ブトコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、ニスタチン、メトロニダソール、リンコマイシン、アモキシシリンと種々デフェンシンのうちの少なくとも1つ、および抗菌性ペプチドを含み、前記抗菌薬は、メトロニダソール、フルコナゾールまたは、クロトリマゾールであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちのいずれか1項に記載の使用。
  8. 前記組成物は、更に任意に、エストロゲンを含み、前記エストロゲンはスチルベストロール、エストラジオールとエストリオールのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちのいずれか1項に記載の使用。
  9. 前記組成物は、更に任意に、生きている乳酸菌および他の生きている乳酸を生成する細菌とのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちのいずれか1項に記載の使用。
  10. 腟組成物であって、
    (1)前記膣組成物は、活性成分として、安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つと、糖類と、を含み、安息香酸ナトリウムに基づいて計算された、前記安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つの総量は、0.01〜5.0%(w/v)であり、水可溶性ゲルの前記膣組成物中の前記糖類の総量は、0.1〜20%(w/v)であり、
    (2)前記膣組成物は、人間の腟に適切である、1つまたはそれ以上の不活性賦形剤を含み、前記不活性な賦形剤が非流動性で粘性の水に可溶なゲルマトリクスであり、前記ゲルマトリクスはキサンタンゴムまたはポリカルボフィルであり、前記糖類が、グルコース、フルクトース、マンノース、オリゴ糖または多糖、またはこれら糖類の混合物であり、前記オリゴ糖または多糖は、生体内または生体外で加水分解されてグルコース、フルクトースおよびマンノースのうちの少なくとも1つを生成し、前記オリゴ糖または多糖が、以下のスクロース、マルトース、乳糖、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、ラフィノース、マルトオリゴサッカライド、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、デキストリン、デンプン、およびグリコーゲンを含み、前記腟組成物は、清浄にして養生する製品、脱臭剤、化粧品、殺菌性組成物または製剤組成物であり、前記腟組成物は、腟への投与形態として、以下の水可溶性ゲル、溶液、エアゾール剤、クリーム、軟膏、カプセル、マイクロカプセル、坐剤、またはタブレットを含み、前記膣組成物のpH値は、4.5〜6.5の範囲であることを特徴とする腟組成物。
  11. 前記糖類は、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、メリビオース、マルトオリゴサッカライド、フルクトオリゴ糖、デキストリン、デンプンまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項10に記載の腟組成物。
  12. 安息香酸ナトリウムに基づいて計算された、前記安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つの総量は、0.1〜1.0%(w/v)であり、前記水可溶性ゲルの前記膣組成物中の前記糖類の総量は、0.5〜12%(w/v)であることを特徴とする請求項10に記載の膣組成物。
  13. 安息香酸ナトリウムに基づいて計算された、前記安息香酸およびそのナトリウム塩のうちの少なくとも1つの総量は、0.2〜0.5%(w/v)であることを特徴とする請求項12に記載の膣組成物。
  14. 前記組成物は、更に任意に、1つまたはそれ以上の抗菌剤と、殺菌剤のうちの少なくとも1つ、抗菌薬、または抗生物質を含み、前記組成物は、細菌及び真菌のうちの少なくとも1つに対して有効であり、前記組成物は、以下の、ソルビン酸およびその塩、ビタミンB1、ビタミンK3、ビタミンK4、プロピオン酸およびその塩、酢酸、デヒドロ酢酸、pヒドロキシ安息香酸塩、過酸化水素、フルコナゾール、イトラコナゾール、ブトコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、ニスタチン、メトロニダソール、リンコマイシン、アモキシシリンおよび種々デフェンシンのうちの少なくとも1つ、および抗菌性ペプチドを含み、前記抗菌薬は、メトロニダソール、フルコナゾールまたは、クロトリマゾールであることを特徴とする請求項10乃至請求項13のうちのいずれか1項に記載の膣組成物。
  15. 前記組成物は、更に任意に、エストロゲンを含み、前記エストロゲンはスチルベストロール、エストラジオールとエストリオールのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10乃至請求項14のうちのいずれか1項に記載の膣組成物。
  16. 前記組成物は、更に任意に、生きている乳酸菌および他の生きている乳酸を生成する細菌のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の膣組成物。
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