JP5064322B2 - 基準信号発生装置 - Google Patents

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Description

この発明は、デジタル通信等の無線通信設備に用いる基準信号発生装置に関するものである。
携帯電話や地上波デジタル放送等の広範囲なエリアで無線システムを提供する場合には、末端の機器にデータを送信するために複数の基地局が必要となる。これらの基地局では、仕様上、高精度な基準信号すなわち基準周波数信号やタイミング信号が必要となる。そして、このような状況では、従来、GPSシステムと高安定な水晶発振器やRb(ルビジウム)発振器とを組み合わせて利用している場合が多い。
例えば、特許文献1では、GPS信号から得られる秒パルスと水晶発振器の出力信号とを比較して、その差からGPS信号の秒パルスに常に同期するように水晶発振器の発振周波数制御を行っている。
また、現在では、非常に長時間に亘り安定して基準周波数信号を出力できるRb発振器が多く存在しているので、外部からの同期を行うことなくRb発振器の自己発振のみを行う場合もある。
特開2002−16438号公報
しかしながら、GPS等の測位用衛星を用いた測位システムでは、測位用衛星から送られる信号に基づいて、同期の基準となる1PPS等の基準タイミング信号を得るため、受信環境に基づく外乱的影響やその他の影響により、一時的にタイミング精度が低下することがある。したがって、前記基地局のように継続的に高精度な基準周波数信号を出力しなければならないような設備にはリスクを伴う。
一方、外部の基準タイミング信号に同期させることなく、発振器の出力精度のみに依存して基準周波数信号を発生する場合、例え、発振器の出力精度が非常に長時間に亘り安定していても、全く狂わないことはなく、いつか分からないが、装置が必要とする仕様を満たさなくなるタイミングがくる。この場合、何らかの形で発振器を較正しなければならないが、仕様を満足しなくなるタイミングは発振器個々で異なるので、全ての発振器でこの
タイミングよりも前に較正を行わなければならない。この場合、全ての発振器で較正が確実に行えるように、較正タイミングの条件を決定しなければならず、必然的に発振器の性能から得られる較正タイミングよりもかなり早いタイミングで較正を行わなければならない。このため、ユーザに必要以上の手間を掛けることとなる。
このような二つのシステムの問題点を鑑みて、本発明の目的は、外部環境による精度低下への影響を低下させ、且つ、ユーザに必要以上の手間を掛けることなく、安定して高精度な基準信号を継続的に出力し続けることができる基準信号発生装置を実現することにある。
この発明の基準信号発生装置は、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振器、および入力信号自動切替手段を備える。位相比較器は、外部からの基準タイミング信号と電圧制御発振器の出力する基準信号から得られる調整用タイミング信号との位相差を取得し位相差信号を出力する。ループフィルタは位相差信号から制御電圧信号を生成する。電圧制御発振器は制御電圧信号に基づいて基準信号を発生する。このような較正において、さらに、入力信号自動切替手段は、位相差信号を観測して、位相差または基準信号の周波数の平均が監視閾値未満であることを検出している間は現状の基準信号の周波数を維持する維持用制御電圧信号を電圧制御発振器へ与える。一方、入力信号自動切替手段は、位相差または基準信号の周波数の平均が監視閾値に達したことを検出するとループフィルタからの制御電圧信号を電圧制御発振器へ与えることで自動的に電圧制御発振器への入力信号を切り替える。
この構成では、位相差やこれに基づく基準信号の周波数の平均値が、出力される基準信号の精度に依存することを利用し、これらの平均値により表される仕様上の精度の許容範囲に対応する監視閾値を設定し、監視閾値未満であれば、精度が仕様を満たすとして外部からの基準タイミング信号を用いない自己発振を行う。一方、監視閾値に達すれば、精度が仕様を満たさないとして高精度な外部からの基準タイミング信号による同期を用いて発振の較正を行うように自動的に切り替える。
また、この発明の基準信号発生装置の入力信号自動切替手段は、位相差または基準信号の周波数の平均が監視閾値に達したことを検出するとともに、予め設定した較正許可時刻であることを検出した場合にのみ、電圧制御発振器への入力信号をループフィルタからの制御電圧信号へ自動で切り替える。
この構成では、外部の基準タイミング信号がGPSの1PPSの場合などでは、外部環境に応じて精度が比較的高い期間と低い期間とが存在する。この状況を考慮し、較正を行うタイミングを、単に監視閾値に達した時点とするのではなく、さらに較正許可時刻を設定することで、上記タイミング精度が比較的高い期間での較正が可能となる。
また、この発明の基準信号発生装置は、同期方法に基づいて設定される複数の処理モードの選択操作を受け付ける操作入力手段を備える。そして入力信号自動切替手段は、外部からの基準タイミング信号を定常的には利用せず較正時のみ利用する処理モードが操作入力手段により受け付けられた時にのみ、自動的な入力信号の切り替えを行う。
この構成では、基準信号発生装置として、自動的な入力信号の切り替えを行う自動較正モード以外の複数の処理モードが設けられることで、ユーザの要望に応じた設定が可能であるとともに、ユーザが必要なときのみ自動的な較正モードを用いることができる。
また、この発明の基準信号発生器は、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振器、および入力信号手動切替手段を備える。位相比較器は、外部からの基準タイミング信号と電圧制御発振器の出力する基準信号から得られる調整用タイミング信号との位相差を取得し位相差信号を出力する。ループフィルタは、位相差信号から制御電圧信号を生成する。電圧制御発振器は、制御電圧信号に基づいて基準信号を発生する。入力信号手動切替手段は、基準信号の周波数ズレまたは位相ズレの平均が監視閾値未満であることを検出している間は現状の基準信号の周波数を維持する維持用制御電圧信号を電圧制御発振器へ与える。また、入力信号手動切替手段は、基準信号の周波数ズレまたは位相ズレの平均が監視閾値に達したことを検出すると警告通知を行う。そして、入力信号手動切替手段は、この警告通知に応じた入力信号の切り替え操作を受け付けるとともに基準タイミング信号が取得できることを確認すると制御電圧信号を電圧制御発振器へ与える。
この構成では、上述の自動較正処理が行えない場合、例えば、落雷の影響等を防止するために、外部からの基準タイミング信号を受信するアンテナを定常的には取り付けていない場合に有効に適用される。そして、この較正では、位相差やこれに基づく基準周波数の平均値が、出力される基準信号の精度に依存することを利用し、これらの平均値により表される仕様上の精度の許容範囲に対応する監視閾値を設定し、監視閾値未満であれば、精度が仕様を満たすとして外部信号を用いない自己発振を行う。一方、監視閾値に達すれば、精度が仕様を満たさないとして警告通知を行う。そして、警告通知に応じた入力信号の切り替え操作を受けるとともに、アンテナが装着された等の基準タイミング信号を取得できることを確認すると、高精度な外部からの基準タイミング信号による同期を用いて発振の較正を行うように切り替える。
また、この発明の基準信号発生装置の入力信号手動切替手段は、較正を行った時刻情報と当該時刻での周波数ズレまたは位相ズレを較正情報として記憶する記憶手段を備える。入力信号手動切替手段は、この記憶手段に記憶された過去の較正情報と監視閾値とに基づいて新たな較正時刻を算出し、算出した新たな較正時刻に基づいて警告通知を行う。
この構成では、他の警告通知の方法として、過去の較正の履歴を記憶しておき、新たな較正のタイミングを推定する。そして、この推定された新たな較正時刻を警告通知する。これにより、発振器毎に最適な較正タイミングが通知されるので、ユーザに対する較正の手間をできる限り低減することができる。
この発明によれば、外部環境の影響で基準周波数信号が低精度になることを防止するとともに、ユーザに殆ど手間を掛けさせることなく、高精度な基準信号を継続的に出力し続けることができる。
本発明の第1の実施形態に係る基準信号発生装置について、図を参照して説明する。なお、本実施形態では、基準信号は基準周波数信号である場合を例に説明する。図1は、本実施形態の基準周波数信号発生装置およびこれに基準タイミング信号を与える回路を示す概略ブロック図である。なお、以下の説明では、GPSを用いて基準タイミング信号を取得する例を示すが、他のGNSSを用いても良く、さらには外部装置から基準タイミング信号を取得しても良い。
本実施形態の基準周波数信号発生装置1は、制御部10、位相比較器11、ループフィルタ12、スイッチ回路13、電圧制御発振器14、分周器15、操作部16、表示部17を備える。
この基準周波数信号発生装置1にはGPS受信機2が接続されており、GPS受信機2にはGPSアンテナ3が接続されている。GPS受信機2は、GPSアンテナ3で受信した測位用信号に基づいて航法メッセージ等の測位関連情報を取得するとともに、基準タイミング信号である1PPSを生成し、位相比較器11へ与える。
位相比較器11は、1PPSと、電圧制御発振器14から出力される基準周波数信号を分周器15で分周してなる調整用タイミング信号との位相差を検出し、当該位相差に基づく電圧レベルの位相差信号を生成して出力する。ループフィルタ12は、ローパスフィルタ等により構成され、位相差信号の電圧レベルを時間軸上で平均化することで、制御電圧信号を生成してスイッチ回路13へ出力する。
スイッチ回路13は、電圧制御発振器14の制御信号入力端子に対して、ループフィルタ12または制御部10の何れか一方を接続するように切り替え可能とする回路である。
制御部10は、基準周波数信号発生装置1を動作させる各種制御や、後述するモード毎に異なる処理制御を行うとともに、オート較正処理が実行される際に、位相比較器11からの位相差信号に基づいて、基準周波数信号の精度が仕様を満たすかどうかを判断する。制御部10は、基準周波数信号の精度が仕様を満たすことを検出している間は、基準周波数信号の周波数に準じた経時的に電圧レベルが一定の維持用制御電圧信号を生成してスイッチ回路13へ出力する。また、制御部10は、基準周波数信号の精度が仕様を満たすことを検出している間は、電圧制御発振器14の制御信号入力端子が制御部10へ接続するようにスイッチ回路13を切り替え制御する。一方、制御部10は、基準周波数信号の精度が仕様を満たさなくなる直前に達したことを検出すると、制御信号入力端子がループフィルタ12へ接続するようにスイッチ回路13を切り替え制御する。すなわち、基準周波数信号の精度が仕様を満たすことを検出している間は、電圧制御発振器14へ維持用制御電圧信号が与えられ、基準周波数信号の精度が仕様を満たさなくなる直前に達したことを検出すると、較正モードへ自動的に切り替えられ(オート較正処理)、電圧制御発振器14へ制御電圧信号が与えられる。なお、ここで言う「較正モード」とは、基準タイミング信号に基づいて制御電圧信号を生成して電圧制御発振器へ与えることで、電圧制御発振器から出力される基準周波数信号の周波数を較正する処理を行うことを示す。
なお、基準周波数信号の精度が仕様を満たすことの判断方法として、例えば、制御部10は、位相差信号に基づいて基準タイミング信号に対する調整用タイミング信号の位相差を経時的に測定し、所定時間長での位相差の微分値(この微分値が本発明の「平均」に相当する。)が、監視閾値未満であることによって判定する。ここで、監視閾値は、当該基準周波数信号発生装置1が搭載される通信機器に求められる精度の仕様を満たすとともに、この仕様の限界に対して所定の余裕を持てるような値に設定されている。例えば、電波法上では、基準周波数信号の誤差が1Hz以下であるので、放送波が900MHzであれば、1Hz/900MHz≒1.1×10-9が周波数誤差の許容範囲となる。したがって、この周波数誤差の許容範囲内で且つ較正が終了するまでに許容範囲外とならない等のマージンもって限定した位相差値が監視閾値として設定される。なお、この監視閾値の設定は一例であって、他の設定基準を用いても良く、単に位相差を用いても良い。
電圧制御発振器14は、制御部10から一定の維持用制御電圧信号を受けている間は、この維持用制御電圧信号の一定電圧レベルに基づいた周波数からなる基準周波数信号を生成して出力する。一方、電圧制御発振器14は、ループフィルタ12から制御電圧信号を受けている間は、この制御電圧信号の電圧レベルに基づいて周波数が逐次較正されてなる基準周波数信号を生成して出力する。電圧制御発振器14から出力された基準周波数信号は分周器15へも入力され、分周器15は基準周波数信号を所定の分周比で分周することで、調整用タイミング信号を生成し、位相比較器11へ与える。
操作部16は、各種の操作子を備えており、ユーザからの操作入力を受け付けて制御部10へ与える。例えば、基準周波数信号発生装置1として複数のモードが切り替え可能である場合、操作部16の操作子を操作することで各モードが選択され、モード選択情報が制御部10へ与えられる。制御部10は、モード選択情報に基づいて各種処理の制御を行う。表示部17は、このようなモード選択や、上述の較正モード実行時等が判別できる表示が可能な液晶パネルやLEDランプ等からなり制御部10により表示制御される。
以上のような構成の基準周波数信号発生装置1では、以下に示すフローにより各種処理が実行される。
図2は基準周波数信号発生装置1のモード選択および処理のフローを示す図である。図3は較正モードにおけるオート較正処理の処理フローを示す図である。
基準周波数信号発生装置1は、モード設定の操作入力を受け付けると(S101)、常時同期モードであるかどうかを確認し、常時同期モードであればGPS同期モードかどうかを確認する(S102:Y→S103)。基準周波数信号発生装置1は、GPS同期モードの操作入力を確認すると(S103:Y)、GPSの1PPSを基準タイミング信号として継続的に取得し、1PPSに常時同期させながら基準周波数信号を発生する(S111)。一方、基準周波数信号発生装置1は、GPS同期モードでないことを確認すると(S103:N)、予め設定した外部からの基準タイミング信号の入力を確認して、当該外部からの基準タイミング信号に常時同期させながら基準周波数信号を発生する(S112)。
基準周波数信号発生装置1は、常時同期モードでないことを確認すると、較正モードかどうかを確認する(S102:N→S104)。基準周波数信号発生装置1は、較正モードの操作入力を確認すると(S104:Y)、操作入力を受けた時点で較正を行うマニュアル較正処理を実行する(S115)。
基準周波数信号発生装置1は、常時同期モードでも較正モードでも無いことを確認すると、オート較正条件が設定されているかどうかを確認する(S104:N→S105)。基準周波数信号発生装置1は、オート較正条件が設定されていなければ(S105:N)、外部基準タイミング信号による同期を行わず、一定電圧レベルからなる維持用制御電圧信号による基準周波数信号の発生を行う(S113)。一方、基準周波数信号発生装置1は、オート較正条件が設定されていれば(S105:Y)、図3に示すようなオート較正処理を実行する(S114)。
オート較正処理が実行される場合、基準周波数信号発生装置1は、まず1PPSの受信処理を行い(S401)、1PPSが取得可能でなければ(S402:N)、較正実施フラグを「待機」にして(S421)、GPS非同期処理を実行する(S422)。すなわち、一定電圧レベルからなる維持用制御電圧信号による基準周波数信号の発生を行う。
基準周波数信号発生装置1は、1PPS取得可能であれば(S402:Y)、較正実施フラグが「処理中」であるか確認する(S403)。ここで、較正実施フラグが「処理中」でなければ(S403:N)、上述の位相差の時間平均値や基準周波数信号の周波数誤差の平均値からなる監視データを取得する(S404)。基準周波数信号発生装置1は、監視データが監視閾値以上でない、すなわち、監視閾値に達していなければ(S405:N)、較正実施フラグを「待機」として(S421)、GPS受信機2非同期処理を実行する(S422)。一方、基準周波数信号発生装置1は、監視データが監視閾値以上になったことを検出すると(S405:Y)、警告通知表示を行う(S406)。
基準周波数信号発生装置1は、自装置に備えられた時計やGPSからの時刻情報に基づいて、監視データが監視閾値以上で且つ予め設定した較正許可時刻であることを検出すると(S407:Y)、GPS同期較正処理を実行する。すなわち、制御部10は、スイッチ回路13を切り替え制御して、ループフィルタ12からの制御電圧信号を電圧制御発振器14に与え、1PPSにより与えられるタイミングに同期させて基準周波数信号の周波数を較正する(S408)。なお、基準周波数信号発生装置1は、較正許可時刻でないことを検出すると(S407:N)、較正実施フラグを「待機」として(S421)、GPS非同期処理を実行する(S422)。
基準周波数信号発生装置1は、GPSの1PPSへの同期による較正が完了するまでは(S409:N)、較正実施フラグを「処理中」としてGPS同期較正処理を継続する(S410)。そして、基準周波数信号発生装置1は、1PPSへの同期による較正が完了すれば(S409:Y)、較正実施フラグを「完了」として(S411)、オート較正処理フローから抜ける。この際、基準周波数信号発生装置1は、較正完了時の制御電圧信号から、維持用制御電圧信号を決定して記憶する。例えば、較正完了時およびその直前の所定期間での制御電圧信号を平均して、この平均値から維持用制御電圧信号を決定する。
このような構成および処理を用いることで、ユーザは基準周波数信号発生の運用方法を選択することができる。そして、オート較正処理を選択することで、定常的にはGPSからの1PPSを用いずに高精度な電圧制御発振器の自己発振により基準周波数信号を生成出力するが、高精度な電圧制御発振器であっても生じる僅かな誤差要因の積み重ねにより較正が必要な状況に近づいても、装置としての仕様を満足する時点で確実に較正を行い、高精度な基準周波数信号の出力を継続することができる。この際、自動で較正が開始されるので、ユーザに手間を掛けることなく較正をおこなうことができる。
さらに、較正許可時刻が設定されていることで、GPSからの測位信号の受信状況が安定する深夜や明け方にこの較正許可時刻を設定することで、より高精度な較正が可能となる。
また、上述の説明では詳細を記載していないが、このような常時GPS受信機2およびGPSアンテナ3が接続された構成では、別途同位置に設置された測位装置により、基準周波数信号発振装置1の位置を高精度に検出することができる。したがって、位置を高精度に算出できている状態でのみ上述のオート較正処理が可能なように設定すれば、当該オート較正処理での較正の精度を高くすることができる。
次に、第2の実施形態に係る基準周波数信号発生装置について図を参照して説明する。図4は、本実施形態の基準周波数信号発生装置およびこれに基準タイミング信号を与える回路を示す概略ブロック図である。本実施形態の基準周波数信号発生装置1’は、GPSアンテナ3が定常的に設置されないような状況で用いられるものであり、基本的なモードの選択及び実行と、オート較正処理の概念は同じであるので、第1の実施形態の基準周波数信号発生装置1と異なる部分のみを説明する。
位相比較器11は、GPSアンテナ3が未接続であったり、GPS信号を受信状態が悪く、GPS受信機2での受信の中断が生じた場合には、基準タイミング信号である1PPSが得られないので、エラー信号を出力する。
制御部10’は、位相比較器11からエラー信号を取得している間は、前回の較正時に決定した維持用制御電圧信号を、スイッチ回路13を介して電圧制御発振器14へ与え続ける。そして、制御部10’は、位相比較器11から位相差信号が得られるようになり、GPS同期較正処理の実行が可能となれば、位相差信号に基づいてループフィルタ12で生成された電圧制御信号をスイッチ回路13を介して電圧制御発振器14へ与える。
このような処理を実行するために、具体的には、制御部10’は、ネットワーク900に接続された他装置(例えば監視センタ等)との通信を行う通信制御部と、既に実行した較正のタイミング(較正時刻)と各タイミングでの較正量とを記憶する較正履歴記憶部と、を備えている。制御部10’は、較正履歴記憶部に記憶された前回までの所定回数の較正のタイミングと較正量とに基づいて、新たな較正のタイミング(較正時刻)を決定し、通知する。この通知は、表示器17上に表示されるとともに、ネットワーク900を介して他装置(監視センタ等)へ行われる。
ユーザは、この通知を、例えば遠隔地の監視センタ等で確認し、本基準周波数信号発生装置1’に接続するGPS受信機2へGPSアンテナ3を取り付け、1PPSが取得可能に準備する。
このような処理が行われた後、制御部10’は、1PPSの取得が可能になったことを確認すると、GPS同期較正処理に切り替える。すなわち、制御部10’は、ループフィルタ12からの制御電圧信号を電圧制御発振器14へ与えるようにスイッチ回路13を切り替える。これにより、基準周波数信号発生装置1’では、基準周波数信号が較正される。
制御部10’は、較正が終了すると、表示器17に対して較正の終了を表示するとともに、上述のように自身の出力する維持用制御電圧信号を電圧制御発振器14へ与えるようにスイッチ回路13を再度切り替える。この際、ユーザは、GPSアンテナ3を取り外すことができる。
このような構成では、較正が必要なタイミングにのみGPSアンテナを設置すれば良く、定常的にGPSアンテナ3を設置した場合に発生する可能性のある落雷等による基準周波数信号発生装置1’の故障を防止することができる。また、較正のタイミングを基準周波数信号発生装置1’が教えてくれるので、従来のように仕様上まだ較正が必要ではないような早い段階での較正作業を行う必要が無く、出来る限りユーザの手間を省略することができる。
第1の実施形態の基準周波数信号発生装置およびこれに基準タイミング信号を与える回路を示す概略ブロック図である。 基準周波数信号発生装置1のモード選択および処理のフローを示す図である。 較正モードにおけるオート較正処理の処理フローを示す図である。 第2の実施形態の基準周波数信号発生装置およびこれに基準タイミング信号を与える回路を示す概略ブロック図である。
符号の説明
1,1’−基準周波数信号発生装置、10,10’−制御部、11−位相比較器、12−ループフィルタ、13−スイッチ回路、14−電圧制御発振器、15−分周器、16−操作部、17−表示器、2−GPS受信機、3−GPSアンテナ、900−ネットワーク

Claims (5)

  1. 外部からの基準タイミング信号と電圧制御発振器の出力する基準信号から得られる調整用タイミング信号との位相差を取得し位相差信号を出力する位相比較器と、
    前記位相差信号から制御電圧信号を生成するループフィルタと、
    前記制御電圧信号に基づいて前記基準信号を発生する電圧制御発振器と、
    前記位相差信号を観測して、前記位相差または前記基準信号の周波数の平均が監視閾値未満であることを検出している間は現状の基準信号の周波数を維持する維持用制御電圧信号を前記電圧制御発振器へ与え、前記位相差または前記基準信号の周波数の平均が監視閾値に達したことを検出すると前記ループフィルタからの前記制御電圧信号を前記電圧制御発振器へ与えるように、前記電圧制御発振器への入力信号を自動で切り替える入力信号自動切替手段と、を備えた基準信号発生装置。
  2. 前記入力信号自動切替手段は、前記位相差または前記基準信号の周波数の平均が監視閾値に達したことを検出するとともに、予め設定した較正許可時刻であることを検出した場合にのみ、前記制御電圧信号を前記電圧制御発振器へ与えるように自動的に切り替える請求項1に記載の基準信号発生装置。
  3. 同期方法に基づいて設定される複数の処理モードの選択操作を受け付ける操作入力手段を備え、
    前記入力信号自動切替手段は、前記外部からの基準タイミング信号を定常的には利用せず較正時のみ利用する処理モードが前記操作入力手段により受け付けられた時にのみ、前記電圧制御発振器への前記自動的な入力信号の切り替え処理を行う、請求項1または請求項2に記載の基準信号発生装置。
  4. 外部からの基準タイミング信号と電圧制御発振器の出力する基準信号から得られる調整用タイミング信号との位相差を取得し位相差信号を出力する位相比較器と、
    前記位相差信号から制御電圧信号を生成するループフィルタと、
    前記制御電圧信号に基づいて前記基準信号を発生する電圧制御発振器と、
    前記基準信号の周波数ズレまたは位相ズレの平均が監視閾値未満であることを検出している間は現状の基準信号の周波数を維持する維持用制御電圧信号を前記電圧制御発振器へ与え、前記基準信号の周波数ズレまたは位相ズレの平均が監視閾値に達したことを検出すると警告通知を行い、該警告通知に応じた前記電圧制御発振器への入力信号の切り替え操作を受け付けるとともに前記外部からの基準タイミング信号が取得できることを確認すると前記制御電圧信号を前記電圧制御発振器へ与える入力信号手動切替手段と、を備えた基準信号発生装置。
  5. 前記入力信号手動切替手段は、較正を行った時刻情報と当該時刻での前記周波数ズレまたは前記位相ズレを較正情報として記憶する記憶手段を備え、該記憶手段に記憶された過去の前記較正情報と前記監視閾値とに基づいて新たな較正時刻を算出し、算出した新たな較正時刻に基づく前記警告通知を行う、請求項4に記載の基準信号発生装置。
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