従来、インクジェットプリンタ等におけるキャリッジ(インク噴射部)の移動用モータの制御に、位置検出装置としてエンコーダ装置が広く使われている。エンコーダ装置を備えた従来のインクジェットプリンタとしては、例えば、図6で示すようなものがある。
図6(a)は、従来のインクジェットプリンタ100の概略構成を示す図である。図6(b)は、インクジェットプリンタ100のエンコーダ装置101周辺部分の概略構成を示す図である。
図6(a)で示すように、インクジェットプリンタ100は、エンコーダ装置101と、キャリッジ105と、DCモータ106と、モータドライバ107と、CPU108とを備えている。エンコーダ装置101は、エンコーダスケール102とエンコーダセンサ104とから構成される。
エンコーダスケール102は、透明の帯状のスケールから構成され、スケール上には黒色のテープが一定間隔で連続的に設けられている。黒色のテープが設けられることにより、エンコーダスケール102には、黒色のテープ部分である黒色マーク部103aと、黒色テープが設けられない透明の部分である透明部103bとからスリット103が形成される。
エンコーダセンサ104は、図6(b)に示すように、エンコーダスケール102に向けて光を照射する発光部104aと、エンコーダスケール102のスリット103を透過した光を受光する受光部104bと、電源部104cとを備えた透過型光学センサである。また、エンコーダセンサ104は、図6(a)に示すように、キャリッジ105に備え付けられ、キャリッジ105と共に移動し、図6(b)に示すように、発光部104aと受光部104bとの間には、エンコーダスケール102が配置されている。
エンコーダセンサ104が透明部103bに位置する場合、発光部104aより発せられた光は、エンコーダスケール102を透過し受光部104bに到達する。この到達した光によって、受光部104bを構成するトランジスタがON状態になるため、CPU108側に到達する電圧レベルはグランドに近いレベルとなる。
一方、エンコーダセンサ104がエンコーダスケール102の黒色マーク部103aに位置する場合、発光部104aより発せられた光は、エンコーダスケール102上の黒色マーク部103aにて遮断されるため受光部104bに到達しない。光が到達しなければ、受光部104bを構成するトランジスタはOFF状態になるため、CPU108側に到達する電圧レベルは電源電圧レベルに近いレベルとなる。
エンコーダセンサ104は、CPU108側に到達する電圧レベルの変動によって成るパルスを、エンコーダ信号としてCPU108に出力する。
CPU108は、このエンコーダ信号から、キャリッジ105の位置や速度の変動を検出し、演算による補正を行い、その結果を制御信号に変換し、モータドライバ107に出力する。モータドライバ107は、前記入力された制御信号に基づいてDCモータ106、すなわち、キャリッジ105の位置と速度の制御を行うようになっている。
次に、エンコーダ信号について説明する。図7(a)は、従来のエンコーダ装置101のエンコーダセンサ104から出力されるエンコーダ信号を示した図である。図7(b)は、CPU108で認識されるエンコーダ信号(CPU認識信号)を示した図である。図8(a)は、周期の長いCPU認識信号と、前記CPU認識信号に対してCPU演算処理を行うタイミングとを示した図である。図8(b)は、周期の短いCPU認識信号と、前記CPU認識信号に対してCPU演算処理を行うタイミングとを示した図である。
図7(a)に示すように、エンコーダセンサ104が黒色マーク部103aに位置する場合、発光部104aからの光は遮断されるため、受光部104bには光が到達せず、受光部104bを構成するトランジスタはOFF状態となる。すなわち、CPU108側に到達する電圧レベルは電源電圧レベルに近くなるため、エンコーダセンサ出力値は、ハイレベルとなる。一方、エンコーダセンサ104が透明部103bに位置する場合、発光部104aからの光は透過されて受光部104bに光が到達するため、受光部104bを構成するトランジスタはON状態となる。すなわち、CPU108側に到達する電圧レベルはグランドレベルに近くなるため、エンコーダセンサ出力値はローレベル(low)となる。
そして、CPU108は、図7(b)に示すように、エンコーダセンサ104から出力されたエンコーダ信号を、前記エンコーダ信号のパルスのうちCPU入力閾値以上のパルスをハイレベルとし、前記CPU入力閾値以下のパルスをローレベルとした信号として認識する(CPU認識信号)。
CPU108では、入力されたエンコーダ信号の周期が長い場合には、図8(a)に示すようなタイミングで、前記エンコーダ信号に対して演算処理を行う。この場合、CPU108は、入力されたエンコーダ信号のパルスを取りこぼすことなく、すべてのパルスに対して演算を行うことができるので、エンコーダ信号を正しく検出することができる。
したがって、CPU108は、前記正しく検出されたエンコーダ信号を用いて、キャリッジ105の位置や速度を制御するための制御信号を生成することができ、その制御信号に基づいて、キャリッジ105の位置及び速度制御を正しく行うことができる。
インクジェットプリンタ100では、印刷のトータル時間を縮小するために、キャリッジ105のホームポジションから印刷開始位置までの移動時間を短縮することが好ましい。つまり、ホームポジションから印刷開始位置までは、キャリッジ105を高速で動作させることが好ましい。
しかしながら、上記従来のエンコーダ装置101では、キャリッジ105を高速で移動させたときに、以下のような問題が生じる。
キャリッジ105を高速で移動すると、キャリッジ105に備え付けられたエンコーダ装置101が単位時間あたりに読み取る黒色マーク部103aの数が増えるため、エンコーダセンサ104から出力されるエンコーダ信号の周波数は高くなる、すなわち、エンコーダ信号の周期が短くなる。
一方、CPU108で正しく検出することのできる前記エンコーダ信号の周期、すなわちCPU認識信号の周期(検出可能周期)はCPU108の能力により予め決まっている。このため、検出可能周期よりも短い周期のエンコーダ信号がCPU108に入力されると、CPU108は該エンコーダ信号を正確に検出することができなくなり、このエンコーダ信号から得られる制御信号によるキャリッジ105の位置や速度の制御も適切に行うことができなくなる。
また、仮に、CPU108が検出可能周期よりも短い周期のエンコーダ信号の各パルスを取りこぼすことなく、該エンコーダ信号を正確に検出できたとしても、図8(a)で示すアイドル部分(3)のような、次のパルスに対して行う演算処理との間に余地期間がないため、CPU108の演算部(図示せず)の演算負荷は重くなる。これにより、CPU108は、CPU108が実行すべき他の処理に対しても影響を及ぼすおそれがある。
具体的には、CPU108に検出可能周期よりも短い周期のエンコーダ信号が入力されると、CPU108で前記エンコーダ信号の各パルスを認識する周期が短くなる。この場合、図8(b)で示すように、各パルスに対して行う演算処理(1)(2)が、エンコーダ信号の各パルスを認識するタイミングよりも徐々に遅れ、この遅れが大きくなると、演算処理が間に合わずに演算処理を行えないパルスが出てくるおそれがある。すなわち、CPU108はパルスの取り逃しを生じるおそれがある。パルスの取り逃しが生じると、CPU108は、入力されたエンコーダ信号の全てのパルスに対して演算処理を行えないため、正確なエンコーダ信号を検出できなくなる。
上記問題を解決する手段として、エンコーダ信号の周期が短くなることによって生じる処理の負担を軽減するために、より処理能力の高いCPUを用いることが考えられるが、これはコストアップを招来する。
一方、既存のCPUを用いて処理を適切に行わせるためには、エンコーダ信号の周期を長くすることが必要となるが、これを実現するにはCPUの外部にエンコーダ信号の周期を分周する部品を追加したり、スリット間隔の大きいエンコーダスケールを用いたりする等の別途の構成が必要となり、コストアップを招来してしまう。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンコーダ信号(マーク検出信号)の周期が短い場合であっても、別途の構成を必要とすることなく、しかも、安価に、適切なエンコーダ信号を検出することのできる位置検出装置を実現する。
本発明の位置検出装置は、上記課題を解決するために、対象物の位置検出に必要な複数のマークが形成されているエンコーダスケールと、発光素子と受光素子とを備え、前記発光素子からの光のうち前記エンコーダスケールを介して前記受光素子に到達する光量によって前記マークを光学的に検出するマーク検出センサとを有し、前記検出されたマークから対象物の位置の変動量を検出する位置検出装置において、前記複数のマークは、前記発光素子からの光量が固定された場合に、前記受光素子に到達させる光量が異なるマークを含むことを特徴としている。
上記構成によれば、前記発光素子の光が前記受光素子に到達する間に媒介されるマークによって、前記受光素子に到達する光量が変わる。よって、前記受光素子に到達する光量に応じて、前記マーク検出センサから出力されるマーク検出センサ出力値(エンコーダセンサ出力値)も変わる。
その結果、例えば、あるマークを介して受光素子に到達した光に応じて出力されたマーク検出センサ出力値が、CPUで認識することが可能なマーク検出センサ出力値の限界値であるCPU入力閾値に対して小さくなるように、前記発光素子から発光される光量を設定すれば、該マークはCPUで認識されない。よって、そのマークの分だけ、マーク検出センサ出力値からなるマーク検出信号(エンコーダ信号)の周期を間引くことができるようになる。
このように、前記CPU入力閾値と、前記発光素子から前記マークに照射される光量を適宜変更することにより、自由にマーク検出信号の周期を間引くことができるため、本発明の位置検出装置は、マーク検出信号の周期が短くなるような場合であっても、別途の構成を必要とすることなく、安価に、適切なマーク検出信号を検出することが可能である。
また、本発明の位置検出装置は、前記発光素子と前記受光素子とが、前記エンコーダスケールを介して対向して配置され、前記マークは、透過率の異なるマークであることが好ましい。
上記構成によれば、発光素子と受光素子とが前記エンコーダスケールに対して対称的に配置されているため、前記発光素子から照射された光は、直線的な光として、前記エンコーダスケールを透過し、受光素子で受光される。よって、前記発光素子から照射された光は、拡散等するおそれが低いため、受光素子で検出しやすくなる。
また、本発明の位置検出装置は、前記発光素子と前記受光素子とが、前記エンコーダスケールに対して同じ側に配置され、前記マークは、反射率の異なるマークであることが好ましい。
上記構成によれば、発光素子と受光素子とがエンコーダスケールに対して同じ側に配置されており、前記発光素子から照射された光は、エンコーダスケールで反射され、受光素子で受光される。よって、照射された光は受光素子で検出しにくく、発光素子の光量や受光素子の感度に制約が生じるものの、前記透過型の構成と比較して、エンコーダスケールの配置が容易となる。
また、本発明の位置検出装置は、前記エンコーダスケールが帯状であり、前記複数のマークが、前記エンコーダスケールの長手方向に任意の間隔で形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、例えば、前記マーク検出センサをエンコーダスケールの長手方向に移動させることによって、前記エンコーダスケールの長手方向に任意の間隔で形成された複数のマークを光学的に検出する位置検出装置の場合に、前記検出されたマーク分に相当する変動量を対象物の位置の変動量であると検出することができる。よって、本発明の位置検出装置は、前記対象物が、キャリッジ等の直線移動する場合に有効である。
また、本発明の位置検出装置は、前記エンコーダスケールが円盤状であり、前記複数のマークが、前記エンコーダスケールの円周方向に任意の間隔で形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、例えば、前記複数のマークが前記エンコーダスケールの円周方向に任意の間隔で形成されているエンコーダスケールを回転させて、前記固定されたマーク検出センサで、前記複数のマークを光学的に検出する位置検出装置の場合、前記検出されたマーク分に相当する回転量を対象物の位置の変動量であると検出することができる。よって、本発明の位置検出装置は、プリンタ等における紙送り機構等のように、前記対象物が回転移動する場合に有効である。
また、本発明の位置検出装置における前記各マークの前記透過率または前記反射率は、色の濃度によって規定されていることが好ましい。
上記構成によれば、前記透過率または前記反射率を、例えば、一部のマークの色を濃く、すなわち濃度を大きくするだけで、該マーク部分での透過率を低く、または反射率を低くすることができる。さらに、他の一部のマークの色を淡く、すなわち濃度を小さくするだけで、該マーク部分での透過率を大きく、または反射率を大きくすることができる。これにより、前記マークの透過率や反射率を容易に変更することができる。その結果、媒介されるマークの透過率または反射率の大きさによって、前記マーク検出センサから出力されるマーク検出センサ出力値が変わるため、前記発光素子から前記マークに照射される光量を適宜変更することにより、マーク検出信号の周期を間引くための別途の構成を設けることなく、容易にマーク検出信号の周期を間引くことができる。
また、本発明の位置検出装置における前記各マークの前記透過率または前記反射率が、前記各マークを形成する材質によって規定されていることが好ましい。
上記構成によれば、前記透過率または前記反射率を、例えば、複数のマークにおける一部のマークを透過率および/または反射率の大きい材質で形成し、他の一部のマークを透過率または反射率の小さい材質で形成することができる。これにより、容易に前記マークの透過率またや反射率を変更することができる。その結果、媒介されるマークの透過率または反射率の大きさによって、前記マーク検出センサから出力されるマーク検出センサ出力値が変わるため、前記CPU入力閾値と、前記発光素子から前記マークに照射される光量を適宜変更することにより、マーク検出信号の周期を間引くための別途の構成を設けることなく、容易にマーク検出信号の周期を間引くことができる。
また、本発明の位置検出装置における前記各マークの前記透過率または前記反射率は、前記各マークが有する光を透過しない黒色領域の面積に対して、前記発光素子からの光を透過する領域が占める割合によって規定されていることが好ましい。
上記構成によれば、透過型の位置検出装置では、エンコーダスケールの黒色マークの領域に、水玉状に透明部が形成されている場合、該マークの領域において該水玉の占める割合を増加させることにより、該マークの透過率は大きくなる。また、反射型の位置検出装置では、例えば、エンコーダスケールの下部に反射部材を備え、かつ、黒色マークが有する領域に水玉状に透明部を形成する場合に、該マークの領域において該水玉状の透明部が占める割合を増加させると、反射率は大きくなる。
これにより、前記マークの透過率または反射率を容易に変えることができる。その結果、媒介されるマークの透過率または反射率の大きさによって、マーク検出センサから出力されるマーク検出センサ出力値が変わるため、前記発光素子から前記マークに照射される光量を適宜変更することにより、マーク検出信号の周期を間引くための別途の構成を設けることなしに、容易にマーク検出信号の周期を間引くことができる。
また、本発明の位置検出装置は、発光素子が発光する光量を切換える光量切換手段をさらに備えることが好ましい。
上記構成によれば、自動的に前記発光素子から照射される光量を変更することができ、これに伴い前記受光素子に到達する光量が変更される。すなわち、マーク検出センサ出力値が変更するため、マーク検出信号の周期を変更することが可能になる。例えば、位置検出の対象物を高速で移動させる場合には、前記光量切換手段によって前記発光素子からの光量が大きくするように切換え、マーク検出センサ出力値の一部がCPU入力閾値以下となるようにすることにより、前記マーク検出信号の周期を間引くことができる。
また、本発明の電子機器は、位置検出の対象物を備え、前記対象物の位置の変動量を検出するために、本発明に係る前記位置検出装置を用いることを特徴としている。
また、前記対象物は、インク噴射部であることが好ましい。
上記構成によれば、本発明に係る位置検出装置によって、自由にマーク検出信号の周期を間引くことができるため、対象物を高速で移動させることによりマーク検出信号の周期が短くなるような場面においても、インクジェットプリンタ等の電子機器に別途の構成を付加することなく、安価に、適切なマーク検出信号を検出することが可能である。
本発明の位置検出装置は、以上のように、対象物の位置検出に必要な複数のマークが形成されているエンコーダスケールと、発光素子と受光素子とを備え、前記発光素子からの光のうち前記エンコーダスケールを介して前記受光素子に到達する光量によって前記マークを光学的に検出するマーク検出センサとを有し、前記検出されたマークから対象物の位置の変動量を検出する位置検出装置において、前記複数のマークは、前記発光素子からの光量が固定された場合に、前記受光素子に到達させる光量が異なるマークを含むものである。
それゆえ、対象物の移動が高速で、マーク検出信号の周期が短くなるような場合であっても、別途の構成を必要とすることなく、しかも、安価に、適切なマーク検出信号を検出することのできる位置検出装置を実現するという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1は、エンコーダ装置1(位置検出装置)の概略構成図である。図2は、インクジェットプリンタ10の全体の概略構成図である。図3は、インクジェットプリンタ10におけるエンコーダ装置1の周辺部分の外観を示す斜視図である。
本実施の形態のインクジェットプリンタ10は、図2に示すように、エンコーダ装置1と、キャリッジ5(インク噴射部)と、DCモータ6と、モータドライバ7と、CPU8と、紙送り機構9(図3)と、光量切換部12(図1)とを備えている。
本実施の形態のインクジェットプリンタ10は、照射される光の量によって、透過する光の量が変わる灰色マーク部3b(図1)が形成されたエンコーダスケール2を有するエンコーダ装置1を備える。上記構成によれば、印刷開始時などの、キャリッジ5や紙送り機構9を高速で動作させたい場合に、光量切換部12(光量切換手段)で、エンコーダセンサ4(マーク検出センサ)における発光部4a(発光素子)からの発光量が大きくなるように切換えることができる。これにより、灰色マーク部3bを透過する光の量を増加させることができるため、灰色マーク部3bを透過した光に対応するエンコーダセンサ出力値をCPU入力閾値よりも小さくすることができる。その結果、CPU8で認識されるエンコーダ信号の周期を間引くことができる。
ここで、CPU入力閾値とは、あらかじめCPUが有している特性であり、エンコーダセンサ4から出力されたエンコーダ信号(マーク検出信号)がCPU入力閾値以下であればCPU8においてローレベルとして認識され、CPU入力閾値以上であればハイレベルとして認識される。このCPUでハイレベルと認識されたものからなる信号をCPU認識信号といい、例えば、図4における一番下図に示すものである。
エンコーダ装置1は、エンコーダスケール2と、エンコーダセンサ4とを備えるリニア型エンコーダ装置である。エンコーダ装置1は、固定された帯状の透明のスケールであるエンコーダスケール2上に目盛りとして形成された複数のマーク部を、キャリッジ5と共に移動するエンコーダセンサ4で光学的に検出することにより、キャリッジ5の位置及び速度の変動量を検出するようになっている。
エンコーダスケール2上には、黒色のテープが設けられるマーク部3a(以下、黒色マーク部)と、黒色よりも濃度の淡い灰色のテープが設けられたマーク部3b(以下、灰色マーク部)とがエンコーダスケール2の長手方向に一定間隔で形成されている。エンコーダスケール2には、黒色マーク部3aと、灰色マーク部3bと、何も形成されていない透明部3cとが連続して設けられることにより、スリット3が形成される。具体的には、黒色マーク部3aは、距離Lの等間隔で連続的に形成されている。灰色マーク部3bは、黒色マーク部3a間を3等分したそれぞれの位置に一つずつ設けられている。すなわち、図1で示すように、灰色マーク部3bの1つは、黒色マーク部3a間の距離Lを3等分した距離L/3だけ、黒色マーク部3aから離れた位置に形成され、そして、該灰色マーク部3bからさらに距離L/3だけ離れた位置にもう1つの灰色マーク部3bが形成されている。また、前記マーク部は幅を有するため、前記距離は、黒色マーク部3a、灰色マーク部3bの中央点同士の距離をいう。
黒色マーク部3aは、光の透過率(以下、透過率)が0%の黒色部を透明スケール上に設けたものであり、光を透過しない。灰色マーク部3bは、透過率C%の部分を透明スケール上に設けたものであり、照射される光量によって、透過する光量が変わる。ここで、上記Cとは0<C<100の範囲に属する任意の値である。透明部3cは、透明スケール上の何も設けられていない部分であり、透過率は100%であるため全ての光を透過する。
また、互いに距離Lだけ離れた黒色マーク部3aのみを目盛りとして表される位置情報を、位置情報パラメータXとし、互いに距離L/3だけ離れたマーク部(黒色マーク部3a及び灰色マーク部3b)を目盛りとして表される位置情報を、位置情報パラメータYとする。位置情報パラメータXと位置情報パラメータYとの関係は、位置情報パラメータXにおいて、2つの目盛り分進んだ位置すなわち2L進んだ位置が、パラメータYにおいては6つの目盛り分進んだ位置すなわちL/3×6進んだ位置に相当する。これらの位置情報パラメータX、Yや、位置情報パラメータXと位置情報パラメータYとの対応関係は予め定められている。位置情報パラメータXは、目盛り間の距離、すなわち黒色マーク部3aの間隔が大きい。よって、位置情報パラメータXは、キャリッジ5を高速で移動させる場合、すなわち、光量切換部12で、発光部4aでの発光量が大きく(光量A)なるように切換えることによって、CPU認識信号の周期が間引かれる場合のキャリッジ5の位置制御で用いられる。一方、位置情報パラメータYは、目盛り間の距離、すなわち各マーク部の間隔がL/3で小さい。よって、位置情報パラメータYは、キャリッジ5を低速で移動させる場合、すなわち、光量切換部12で、発光部4aでの発光量が小さく(光量B)なるように切換えることによって、CPU認識信号の周期を間引かない場合のキャリッジ5の位置制御で用いられる。
エンコーダセンサ4は、エンコーダスケール2に形成されたマーク部3a・3bを光学的に検出するものであり、図1に示すように、エンコーダスケール2に向けて光を照射する発光部4aと、エンコーダスケール2を透過した光を受光する受光部4bと、電源部4cとを備えた透過型光学センサである。
エンコーダセンサ4では、電源17側から流れる電流によって、発光部4aを構成する発光ダイオードが発光し、発光部4aから発光された光が、発光部4aと受光部4bとの間に配置されるエンコーダスケール2に照射され、この照射された光のうちエンコーダスケール2を透過した光のみが受光部4bに到達するようになっている。また、エンコーダセンサ4は、受光部4bに光が到達すると、到達した光量に応じて、受光部4bを構成するトランジスタのON/OFF状態が切り替わる。受光部4b(受光素子)を構成するトランジスタをONにするためには、受光部4bに到達する光量を所定値のM以上にする必要がある。該所定値Mは、エンコーダセンサ4があらかじめ有している特性値である。
具体的に説明すると、受光部4bに到達する光量がMより少なければ、受光部4bを構成するフォトトランジスタはOFF状態であるため、エンコーダセンサ4は電源部4cからの電流をグランド側に流さない。つまり、電源部4cからグランド側に流れる電流Iは、I=0である。この場合、CPU8側に到達する電圧レベルは、電源電圧レベルに近くなるため、エンコーダセンサ出力値は、図4に示すように、ハイレベルとなる。
ここで、電流Iとは電源部4cから、受光部4bを介してグランド側に流れる電流をいう。
一方、受光部4bに到達する光量がMより多ければ、受光部4bであるフォトトランジスタはON状態になるため、エンコーダセンサ4は、電源部4cからグランド側に電流Iを流す。この場合、CPU8側に到達する電圧レベルは、グランド近くになるため、エンコーダセンサ出力値は、図4に示すように、ローレベルとなる。
CPU8は、キャリッジ5及び紙送り機構9の速度を検出、制御する速度制御部13と、キャリッジ5及び紙送り機構9の位置を検出、制御する位置制御部14と、光量切換部12(図1)を制御する光量切換制御部15と、速度制御部13と位置制御部14とから検出されたエンコーダ信号を演算、補正する演算部16とを備える。
ここで、速度制御部13における速度制御とは、キャリッジ5の位置変動量であるCPU認識信号とCPU8が有する時間成分とからキャリッジ5の速度変動量を検出することによって行う。
また、CPU8では、CPU8で認識することが可能な限界値、すなわちCPU入力閾値tが予め設定されている。CPU入力閾値tよりも小さい出力値は、CPU8でパルスとして認識されない。
光量切換部12は、図1に示すように、トランジスタ12aを内部に備え、光量切換制御部15からの指示に基づきトランジスタ12aをON、OFFと切換えることにより、エンコーダセンサ4の発光部4aに流れる電流の量を切換える回路である。光量切換部12は、この発光部4aに流れる電流の量を切換えることにより、発光部4aで発光される光量(発光量)を切換えるようになっている。
光量切換部12は、光量切換制御部15の制御指示に従って、発光部4aからの発光量を、発光量が大きいA(以下、光量A)と発光量が小さいB(以下、光量B)との2段階に切換える。ここで、光量Aは、灰色マーク部3bを透過し受光部4bに到達する光量が前述の所定値Mよりも大きくなるように設定される、即ち、エンコーダセンサ出力値が必ずCPU入力閾値tよりも小さいローレベルとなるように設定される。光量Bとは、灰色マーク部3bを透過し受光部4bに到達する光量が前述の所定値Mよりも小さくなるように設定される、即ち、エンコーダセンサ出力値が必ずCPU入力閾値tよりも大きいハイレベルとなるように設定される。
光量切換部12による光量切換動作を具体的に説明すると以下の通りである。ここで、図1に示すように発光部4aに流れる電流をi、電流iに流れる電流値を設定するための電流制限抵抗をR1、R2とする。
光量切換部12は、発光部4aからの発光量を光量Bに切換える場合には、トランジスタ12aをOFF状態とする。トランジスタ12aをOFF状態とすると、電源17から流れる電流は、R1のみを介してグランド1に流れる。
一方、光量切換部12は、発光部4aからの発光量を光量Aに切換える場合には、トランジスタ12aをON状態とする。トランジスタ12aをON状態とすると、電源17から流れる電流は、R1およびR2を介して、それぞれグランド1およびグランド2に流れる。ここで、R1とR2は並列の関係にあり、R1とR2との合成抵抗と、R1とを比較すると、R1とR2との合成抵抗がR1よりも小さいため、すなわちR1とR2との合成抵抗<R1であるため、トランジスタ12aがON状態のときに発光部4aを流れる電流iの方が、OFF状態のときに発光部4aを流れる電流iよりも、大きくなる。
すなわち、トランジスタ12aをON状態とすることにより、発光部4aの発光量を、光量の大きい光量Aに切換えることができ、トランジスタ12aをOFF状態とすることにより、光量の小さい光量Bに切換えることができる。
次に、インクジェットプリンタ10の制御動作について、図1から図5を用いて詳細に説明する。
図4は、発光部4aで発光される光量が小さい場合、すなわち光量切換部12で光量Bに切換えた場合のエンコーダ信号及びCPU認識信号を示す図である。図5は、発光部4aで発光される光量が大きい場合、すなわち光量切換部12で光量Aに切換えた場合のエンコーダ信号及びCPU認識信号を示す図である。
まず、印刷開始時において、キャリッジ5を高速で移動させる場合のインクジェットプリンタ10の制御動作について説明する。
CPU8は印刷開始信号を検知すると、ホームポジションから印刷開始位置までキャリッジ5を高速で移動させるべく、速度制御部13でキャリッジ5の移動速度を高速に切換える。その際、CPU8は、位置制御部14において、キャリッジ5の位置制御に用いる位置情報パラメータを、高速用の位置情報パラメータXに切換えると共に、光量切換制御部15において、エンコーダセンサ4内の発光部4aの発光量が光量Aとなるように光量切換部12を制御する。
光量切換部12は、光量切換制御部15からの制御指示に基づき、トランジスタ12aをON状態に切換える。これにより、発光部4aの発光量は光量Aとなる。
エンコーダ装置1では、エンコーダセンサ4内の発光部4aにおいて発光された光量Aの光を、エンコーダスケール2に照射する。照射された光のうち、エンコーダスケール2を透過した光のみが受光部4bで受光される。また、エンコーダセンサ4では、受光部4bに前述の所定値M以上の光が到達した場合のみ、受光部4bを構成するトランジスタがON状態となり、エンコーダセンサ4から出力されるエンコーダ出力値がローレベルもしくはローレベルに近いレベルとなる。すなわち、受光部4bに到達する光量が前述の一定値M以下の場合は、受光部4bを構成するトランジスタはOFF状態となり、エンコーダセンサ出力値はハイレベルもしくはハイレベルに近いレベルとなる。エンコーダ装置1内の動作の詳細な説明については、後述する。
そして、CPU8における位置制御部14は、エンコーダ装置1から入力されたエンコーダ信号を認識し、このCPU認識信号と前記位置情報パラメータXとを用いて、キャリッジ5の変動量を検出する。そして、CPU8の演算部16では、前記変動量に対して、演算による補正を行い、モータドライバ7の制御信号に変換し、モータドライバ7に出力する。モータドライバ7は、DCモータ6を介してキャリッジ5を移動させる。
例えば、印刷時等で速度を低速にする場合のインクジェットプリンタ10の制御動作については、まず、印刷が開始されると、速度制御部13において、キャリッジ5の移動速度を低速に切換える制御をする。
速度制御部13でキャリッジ5の移動速度が低速に切換えられると、CPU8は、位置制御部14において、キャリッジ5の位置制御に用いる位置情報パラメータを、低速用の位置情報パラメータYに切換えると共に、光量切換制御部15において、エンコーダセンサ4内の発光部4aの発光量が光量Bとなるように光量切換部12を制御する。
光量切換部12では、光量切換制御部15からの指示に基づき、発光部4aの発光量が光量Bとなるように、トランジスタ12aをOFF状態にする。トランジスタ12aをOFF状態にすると、発光部4aに流れる電流iが小さくなり、そして、発光部4aの発光量が光量Aよりも小さい光量Bとなる。
エンコーダ装置1では、前記電流iを受けて、エンコーダセンサ4内の発光部4aにおおいて光量Bの光が発光され、エンコーダスケール2に照射され、照射された光のうち、エンコーダスケール2を透過した光のみが受光部4bで受光される。また、エンコーダセンサ4は、受光部4bに前述の一定量M以上の光が到達すると、受光部4bを構成するトランジスタがON状態となり、エンコーダセンサ出力値はローレベルもしくはローレベルに近いレベルとなる。一方、受光部4bに到達する光量が前述の一定値M以下の場合は、4bがOFF状態となり、エンコーダセンサ出力値はハイレベルもしくはハイレベルに近いレベルとなる。エンコーダ装置1内の動作の詳細な説明については、後述する。
そして、CPU8における位置制御部14は、エンコーダ装置1から入力されたエンコーダ信号を認識(CPU認識信号)し、このCPU認識信号と前記位置情報パラメータYとを用いて、キャリッジ5の変動量を検出する。そして、CPU8の演算部16では、前記変動量に対して、演算による補正を行い、モータドライバ7の制御信号に変換し、モータドライバ7に出力する。モータドライバ7は、DCモータ6を介してキャリッジ5を移動させる。
ここで、具体的なエンコーダ装置1内の動作について説明する。
まずは、キャリッジ5を低速で移動させる際の光量Bに切換えられる場合について図4を用いて説明する。
エンコーダ装置1では、エンコーダセンサ4がエンコーダスケール2の黒色マーク部3aに位置する場合、黒色マーク部3aの透過率は0%であるため、発光部4aより発せられた光の全光量がエンコーダスケール2上の黒色マーク部3aにて遮断される。よって、発光部4aから発光された光は、受光部4bに到達しない。この場合、受光部4bを構成するフォトトランジスタがOFF状態となるため、エンコーダセンサ4は、図4に示すn1番目のパルスで示されるように、ハイレベルの信号をCPU8に出力する。
また、エンコーダセンサ4がエンコーダスケール2の透明部3cに位置する場合、透明部3cの透過率は100%であるため、発光部4aより発せられた光は、全光量がエンコーダスケール2を透過して受光部4bに到達する。この場合、受光部4bを構成するフォトトランジスタがON状態となるため、エンコーダセンサ4の出力レベルは、図4のn1番目のパルスとn2番目のパルスとの間で表されるようにローレベルとなる。
さらに、エンコーダセンサ4がエンコーダスケール2の灰色マーク部3bに位置する場合、透過率はC%であるため、発光部4aより発せられた光のうち一部の光のみが、灰色マーク部3bを透過し受光部4bに到達する。ここでは、光量Bが、灰色マーク部3b、すなわち透過率C%のマーク部を透過し受光部4bに到達する光量が所定値Mよりも小さくなるように予め設定されているため、受光部4bを構成するフォトトランジスタはOFF状態となる。よって、エンコーダセンサ4の出力レベルは図4のn2番目のパルスやn3番目のパルスで示されるように、ハイレベルの信号をCPU8に出力する。
以上のことより、発光部4aで発光される光量が光量Bであるときは、灰色マーク部3bにエンコーダセンサが位置する場合のエンコーダセンサ出力値はCPU入力閾値tよりも大きいため、灰色マーク部3bのマークはCPU8でパルスとして検出される。
その結果、光量Bに設定した場合には、エンコーダ装置1から出力されたエンコーダ信号の周期は間引かれず、CPU8においてもそのまま認識されるため、出力されたエンコーダ信号の周期とCPU8で認識されるパルスの周期(CPU認識周期)とは同じになる。
次に、キャリッジ5を高速で移動させる際の光量Aに切換えられる場合について図5を用いて説明する。
エンコーダセンサ4がエンコーダスケール2の黒色マーク部3aに位置する場合には、黒色マーク部3aの透過率は0%であるため、発光部4aより発せられた光の全光量が、エンコーダスケール2上の黒色マーク部3aにて遮断される。よって、発光部4aより発光された光は、受光部4bに到達せず、受光部4bを構成するフォトトランジスタはOFF状態となる。よって、エンコーダセンサ4は、図5のn1番目のパルスで示されるようなハイレベルの信号をCPU8に出力する。
また、エンコーダセンサ4がエンコーダスケール2の透明部3cに位置する場合には、発光部4aより発せられた光の全光量が、エンコーダスケール2を透過し受光部4bに到達するため、受光部4bを構成するフォトトランジスタはON状態となる。よって、エンコーダセンサ4の出力レベルは、図5のn1番目のパルスとn2番目のパルスとの間に表されるようにローレベルとなる。
さらに、エンコーダセンサ4がエンコーダスケール2の灰色マーク部3bに位置する場合、透過率はC%であるため、発光部4aより発せられた光のうち一部の光のみが、灰色マーク部3bを透過し受光部4bに到達する。ここでは、光量Aが、灰色マーク部3b、すなわち透過率C%のマーク部を透過し受光部4bに到達する光量が所定値Mよりも大きくなるように予め設定されているため、受光部4bを構成するフォトトランジスタはON状態となる。よって、エンコーダセンサ4の出力レベルは図5のn2番目のパルスおよびn3番目のパルスで示されるようにローレベルとなる。
このとき、CPU8は、図5に示すように、CPU入力閾値t以上のパルス、すなわち黒色マーク部3aに対応するパルスしか検出しないため、黒色マーク部3aのみを目盛りとした位置情報パラメータXを用いてキャリッジ5の制御をすることとなる。
以上のことより、発光部4aで発光される光量が光量Aであるときは、灰色マーク部3bを透過して受光部4bに到達する光量に応じて検出されるエンコーダセンサ出力値は、CPU入力閾値tよりも小さくなるため、灰色マーク部3bのマークはCPU8でパルスとして検出されない。
その結果、発光部4aでの発光量を光量Aに切換えた場合における、CPU8で認識されるエンコーダ信号の周期は、図5で示すように、CPU入力閾値t以下の認識されないパルス分、すなわち、検出されない灰色マーク部3b分だけ間引かれる。よって、CPU8は、エンコーダ装置1から出力されるエンコーダ信号の周期の1/3の周期でエンコーダ信号を認識可能となる。
上記構成によれば、本実施の形態のエンコーダ装置1では、エンコーダセンサ4における発光量を大きくすることにより、灰色マーク部3bを透過する光量を多くすることができる。よって、エンコーダ装置1から出力される信号の周期をCPU8は灰色マーク部3bの分だけ間引くことができ、CPU認識信号の周期を長くすることができる。
従って、本実施の形態のエンコーダ装置1では、CPU認識信号の周期を長くすることができ、CPU8で検出不可能なくらい高速にキャリッジ5を移動させても、CPU8がエンコーダ信号のパルスを取りこぼすことなく演算を行うことができる。これにより、エンコーダ装置1では、エンコーダ信号を適切に検出することができ、このエンコーダ信号に基づいて生成される各種制御信号によって、キャリッジ5の位置及び速度の制御を正確に行うことができる。
また、本実施の形態のエンコーダ装置1では、エンコーダスケール2上に形成されたマークの一部を照射する光量によって透過量を変更することのできるマーク部(灰色マーク部3b)にすることにより、CPU認識信号の周期を間引くことができる。すなわち、エンコーダスケール2に照射する光量を切換えることによってCPU認識信号の周期を長くすることができるため、前記周期長くするための複雑な外部構成を別途必要とせず、また、既存のCPUを用いたままで前記周期を長くすることができるため、製造コストを安くすることができる。
また、本実施の形態では、キャリッジ5の位置及び速度制御を行うエンコーダ装置1について説明したが、本発明は、これに限らず、図3に示すような紙送り機構9の位置及び速度制御を行うロータリー型エンコーダ装置1′にも適用することができる。この場合、エンコーダ装置1のエンコーダスケール2がエンコーダ装置1′のエンコーダホイール2′に対応し、エンコーダセンサ4がエンコーダセンサ4′に対応する。
このとき、エンコーダホイール2′上には、エンコーダホイール2′の円周方向に一定の間隔でマーク部が形成されている。
このエンコーダ装置1′では、エンコーダセンサ4′を固定し、エンコーダホイール2′を紙送り機構9と共に回転させ、エンコーダホイール2′上に形成された前記マーク部をエンコーダセンサ4′で光学的に検出することにより、印刷用紙11の位置及び速度を制御するようになっている。
また、紙送り機構9では、印刷開始時の給紙において、印刷開始位置までの印刷用紙11の移動を高速で動作させることが好ましい。よって、この場合には、本実施の形態におけるエンコーダセンサ4′の発光部4aの光量は光量Aに設定される。後の動作は、エンコーダ装置1と同じ動作をするため、説明を省略する。
また、本実施の形態では、エンコーダセンサ4の発光部4aで発光される光量を光量A及び光量Bの2段階に切換えられることと、エンコーダスケール2上に黒色マーク部3aと灰色マーク部3bとの2種類の異なる透過率を有するマーク部が形成されていることにより、CPU認識信号の周期を2種類に切換えることが可能である。しかしながら、本発明はこれに限られず、エンコーダセンサ4における光量切換部12が、3段階の光量を切換えることができ、かつ、エンコーダスケール2上に、黒色マーク部3aと灰色マーク部3bの他に、灰色マーク部3bよりも透過率の大きい薄灰色マーク部3d(図示せず)が設けられることによって、CPU認識信号の周期を3種類に切換える構成であってもよい。また、光量切換部12が3種類以上の光量を切換えることができるとともに、エンコーダスケール2上にそれに対応すべく3種類以上の透過率の異なるマークが形成されることにより、CPU認識信号の周期を3種類以上に切換える構成であってもよい。
本実施の形態では、灰色マーク部などの色の濃淡によって光の透過率を変えたが、本発明はこれに限られず、マーク部の面積のうち、光を通さない黒色部分が占める面積の割合を変えることによって光の透過率を変更してもよい。また、本発明は、マーク部に透過率や反射率の異なる材質を用いることにより、マーク部の光の透過率や反射率を変えてもよい。
また、本実施の形態では、透過型のエンコーダ装置を用いたが、本発明はこれに限らず、反射型のエンコーダ装置であってもよい。
また、本実施の形態では、エンコーダスケールのマーク部における光の透過率と、エンコーダスケールに照射する光量とを変えることによりCPUで認識されるエンコーダ信号の周期を自由に切換えた。しかしながら、本発明はこれに限られず、反射型のエンコーダ装置の場合には、エンコーダスケールのマーク部における光の反射率と、エンコーダスケールに照射する光量とを変えることによりCPUで認識されるエンコーダ信号の周期を自由に切換えることが可能である。
上記のような、反射型のエンコーダ装置では、例えば、エンコーダスケールに対して、発光部と受光部を同一側に備えるとともに、エンコーダスケールの下部に、光を全反射する反射部材を備える。これにより、発光部から発光されて、エンコーダスケールを透過した光は、反射部材によって反射され、発光部側と同一側に備えられた受光部に到達する。すなわち、エンコーダスケールにおける透明部では、反射率が100%であり、発光部によって発光された光の全光量を受光部で受光する。また、黒色マーク部では、光を透過しないため、反射率は0%であり、発光部から発光された光は受光部に到達しない。また、灰色マーク部では、色の濃淡によって反射率が変わり、発光部から発光される光量を大きくすると、反射する光量が大きくなり、受光部に到達する光の量も多くなる。
また、本実施の形態では、キャリッジの位置及び速度制御に主に用いられる直線状に移動するリニア型のエンコーダ装置を用いて説明したが、本発明はこれに限られず、紙送り機構の位置及び速度制御等に用いられるロータリーエンコーダ装置にも適用可能である。
また、本実施の形態では、キャリッジの移動速度を高速にする場合として、印刷開始時のホームポジションから印刷開始位置までの移動を例としてあげたが、本発明はこれに限られない。例えば、印字の場合には高速でキャリッジを移動させ、画像を印刷する際には低速でキャリッジを移動させることが好ましいため、これに応じた速度の切換えの制御にも本発明を適用することが可能である。
また、本実施の形態では、インクジェットプリンタを用いて説明したが、本発明はこれに限られず、FAXやスキャナ等にも用いることができる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。