以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施様態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されるものではない。
本発明の感光性組成物は、(1)黒色顔料、(2)分散剤、(3)バインダ樹脂、(4)モノマー、(5)光重合開始剤、(6)界面活性剤、及び(7)溶媒を含むものであり、(1)黒色顔料として、下記I又はIIの黒色顔料混合物を用いたことを特徴とするものである。
I:(2A)pHが7以上10以下の黒色顔料と、(2B)pHが2以上7未満の黒色顔料であり、黒色顔料(2A)とのpHの差が2.0以上である黒色顔料(2B)との少なくとも2種の黒色顔料を含む混合物。
II:(3A)平均一次粒径が65nm以上130nm未満の黒色顔料と、(3B)平均一次粒径が30nm以上65nm未満であるか、或いは130nm以上400nm以下である黒色顔料であり、黒色顔料(3A)との平均一次粒径の差が30nm以上である黒色顔料(3B)との少なくとも2種の黒色顔料を含む混合物。この場合において、黒色顔料(3A)のpHは7以上10以下であり、黒色顔料(3B)のpHは2以上7未満であることが好ましい。
また、本発明において、感光性組成物中の(1)黒色顔料の含有量は、固形分濃度で50重量%以上であることが好ましい。ここで、「固形分濃度」とは、通常、本発明の感光性組成物から(7)溶媒を除いた全固形分、即ち、(1)黒色顔料、(2)分散剤、(3)バインダー樹脂、(4)モノマー、(5)光重合開始剤、(6)界面活性剤、及び必要に応じて配合される、後述の(8)有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物、(9)その他の固形分の合計に対する濃度をさす。
[感光性組成物]
以下に本発明の感光性組成物の構成材料について説明する。
(1)黒色顔料
本発明に用いる黒色顔料としては、単独の黒色顔料、又は赤、緑、青色などの混合による黒色顔料が使用可能である。これらの黒色顔料は、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができ、単独使用もしくは複数種混合して使用することができる。
単独の黒色顔料としては、チタンブラック、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、ペリレンブラック、シアニンブラックなどが挙げられる。これらの中で、特にチタンブラック、カーボンブラックが遮光率、画像特性の観点から好ましい。
チタンブラックとしては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気下で加熱し還元させる方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを含水素還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などの方法で製造されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
チタンブラックの市販品の例としては、以下のような銘柄が挙げられる。
三菱マテリアル社製チタンブラック(チタン酸窒化物):10S、12S、13R、13M、13M−C、14M、15M等
赤穂化成製チタンブラック:Tilack Dタイプ(黒色系低次酸化チタン):M、M−50、V、UV−3、UV−6、F、S、C、X等
本発明で用いるカーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
三菱化学社製:MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31
デグサ社製:Printex3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170
キャボット社製:Monarch120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN XC72R、ELFTEX−8
コロンビヤン カーボン社製:RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN760、RAVEN780RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1100URAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
また、赤色、緑色、青色の三色の有機顔料を混合して黒色顔料として用いることもでき、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等を用いることもできる。
黒色顔料を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(なお、上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する)。
また、更に他の混合使用可能な顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.黄色顔料20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.オレンジ顔料36、43、51、55、59、61、C.I.赤色顔料9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.バイオレット顔料19、23、29、30、37、40、50、C.I.青色顔料15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.緑色顔料7、C.I.ブラウン顔料23、25、26等を挙げることができる。
更に、その他の公知の青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下に、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
I:pHが異なる黒色顔料の2種以上を混合して用いる場合
この場合、好ましくは、黒色顔料として(2A)pHが7以上10以下の黒色顔料の1種又は2種以上と、(2B)pHが2以上7未満の黒色顔料の1種又は2種以上との、少なくとも2種の黒色顔料の混合物を用いる。ここで、黒色顔料(2A)と黒色顔料(2B)とのpHの差は2.0以上である。より好ましくは、黒色顔料(2A)としてpHが7.5以上9.5以下のものを用い、黒色顔料(2B)としてpH4以上6以下のものを用いる。黒色顔料(2A)と黒色顔料(2B)とのpHの差は、好ましくは3.0以上である。なお、黒色顔料(2A)と黒色顔料(2B)の黒色顔料混合物のpHは4.0以上であることが好ましい。
詳細な作用機構は不明であるが、本発明者らの検討によると、表面pH値によって顔料の分散性が異なり、pH値の異なる、すなわち分散性の異なる黒色顔料を2種以上併用することにより、光学濃度の制御が容易に行えることが判明した。また、黒色顔料としては塩基性のものが広く使用されているが、おそらく、酸性の黒色顔料を一部併用することにより、組成物中に遊離している分散剤がこれに吸着されて減少するため、当該組成物を使用した画像形成工程において悪影響を及ぼしにくくなることも、本発明の有利な効果の一つであり、製版性向上の一因ではないかと予想される。特に上述した各範囲を満たすpH値を示す黒色顔料の2種以上を併用することにより、本発明における顔料の固形分濃度と、得られるブラックマトリックスの単位膜厚あたりの光学濃度を容易に達成することができる。
(2A)pHが7以上10以下の黒色顔料としては、三菱マテリアル社製チタンブラック(チタン酸窒化物):10S、12S、13R、13M、13M−C、14M、15Mなどを用いることができ、(2B)pHが2以上7未満の黒色顔料としては、赤穂化成製チタンブラック:Tilack Dタイプ(黒色系低次酸化チタン):M、M−50、V、UV−3、UV−6、Fなどを用いることができる。
これらの配合割合(重量比)としては、黒色顔料(2A):黒色顔料(2B)=3:1〜1:1程度、特に3:2〜1:1であることが好ましい。
なお、ここで黒色顔料のpHとは、黒色顔料を10重量%の濃度で水に分散させたときの、該分散液のpHをさす。
II:平均一次粒径が異なる黒色顔料の2種以上を混合して用いる場合
この場合、好ましくは、黒色顔料として(3A)平均一次粒径が65nm以上130nm未満の黒色顔料と、(3B)平均一次粒径が30nm以上65nm未満であるか、或いは130nm以上400nm以下である黒色顔料の1種又は2種以上との、少なくとも2種の黒色顔料の混合物を用いる。ここで、黒色顔料(3A)と黒色顔料(3B)との平均一次粒径の差は30nm以上である。より好ましくは、黒色顔料(3A)として平均一次粒径が70nm以上110nm以下のものを用い、黒色顔料(3B)として平均一次粒径40nm以上60nm以下であるか、或いは150nm以上300nm以下であるものを用いる。黒色顔料(3A)と黒色顔料(3B)との平均一次粒径の差は、好ましくは50nm以上、より好ましくは80nm以上である。
なお、黒色顔料(3B)として、平均一次粒径が30nm以上65nm未満の黒色顔料の1種又は2種以上と、平均一次粒径が130nm以上400nm以下の黒色顔料の1種又は2種以上とを併用してもよい。
一般に、ブラックマトリックスの遮光性と、製版性(直線性などの画像形成性)は、顔粒の粒子径の影響を大きく受ける。本発明では、特定範囲の、異なる粒径の顔料を混合することにより、光学濃度と製版性を調節し、インクジェット法カラーフィルタに適したブラックマトリックスを精度よく、効率的に製造・提供することができる。
(3A)平均一次粒径が65nm以上130nm未満の黒色顔料としては、三菱マテリアル社製チタンブラック(チタン酸窒化物):10S、12S、13R、13M、13M−C、14M、15Mなどを用いることができ、(3B)平均一次粒径が30nm以上65nm未満の黒色顔料としては、赤穂化成製チタンブラック:Tilack Dタイプ(黒色系低次酸化チタン):M−50などを用いることができ、(3B)平均一次粒径が130nm以上400nm以下の黒色顔料としては、赤穂化成製チタンブラック:Tilack Dタイプ(黒色系低次酸化チタン):M、V、F、UV−3、UV−6などを用いることができる。
これらの配合割合(重量比)としては、黒色顔料(3A):黒色顔料(3B)=3:1〜1:1程度、特に3:2〜1:1であることが好ましい。
なお、ここで、黒色顔料の平均一次粒径は、以下の方法にて求める。
まず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。
次に、有機顔料及びチタンブラック顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求めた後、下式の計算式の通り、個数平均値を計算して平均一次粒径を求める。
なお、前述の黒色顔料(2A)と黒色顔料(2B)とを用いる場合と同様の理由から、黒色顔料(3B)は、pH7以上10以下であり、黒色顔料(3B)は、pH2以上7未満であることが好ましい。また、黒色顔料(3A)と黒色顔料(3B)とのpHの差は2.0以上であることが好ましい。より好ましくは、黒色顔料(3A)としてpHが7.5以上9.5以下のものを用い、黒色顔料(3B)としてpH4以上6以下のものを用いる。黒色顔料(3A)と黒色顔料(3B)とのpHの差は、好ましくは3.0以上である。なお、黒色顔料(3A)と黒色顔料(3B)の黒色顔料混合物のpHは4.0以上であることが好ましい。
また、本発明の感光性組成物において、黒色顔料は、チタンブラック、特にチタン酸窒化物及び/又は黒色系低次酸化チタンであることが好ましい。チタン酸窒化物としては、三菱マテリアル社製チタンブラック(チタン酸窒化物):10S、12S、13R、13M、13M−C、14M、15Mなどを用いることができ、黒色系低次酸化チタンとしては、赤穂化成製チタンブラック:Tilack Dタイプ(黒色系低次酸化チタン):M、M−50、V、UV−3、UV−6、Fなどを用いることができる。
これらは1種を単独で用いることができるが、適宜配合して用いることもできる。これらの配合割合(重量比)としては、チタン酸窒化物:黒色系低次酸化チタン=3:1〜1:1程度、特に3:2〜1:1であることが好ましい。
本発明の感光性組成物中の全固形分量に対する(1)黒色顔料の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは53重量%以上、特に好ましくは55重量%以上であり、また、好ましくは60重量%以下である。(1)黒色顔料の含有割合が多すぎると、分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等の問題が起きる危険性があり、少な過ぎると十分な遮光性を得ることができず、また、ブラックマトリックス形成時の画像形成性の悪化、すなわち、キュア工程におけるひずみ、露光感度や解像度の低下、又は現像工程における残渣の発生等の問題が生じる。
(2)分散剤
本発明の感光性組成物は、チタンブラック等の黒色顔料を微細に分散させ、且つ、その分散状態を安定化させることが品質安定上重要なため、分散剤を含有する。
分散剤としては、ノニオン、カチオン、アニオン等の界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられるが、なかでも、高分子分散剤が好ましく、特に1級、2級、若しくは3級アミノ基、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環等の塩基性官能基を有する高分子分散剤(本発明において、このような塩基性官能基を有する高分子分散剤を「塩基性高分子分散剤」と称す。)が有利に使用される。
塩基性高分子分散剤としては、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アクリル系分散剤などが挙げられるが、ウレタン系分散剤が好ましく、例えば、ポリイソシアネート化合物と、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる高分子分散剤等が挙げられる。
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの三量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらのポリイソシアネート化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートの三量体の製造方法としては、適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いて上記ポリイソシアネート類のイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール、及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、さらに好ましくは1,000〜4,000である。
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物において、活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級アミノ基の水素原子が好ましい。3級アミノ基は特に限定されない。また、3級アミノ基としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的には、イミダゾール環又はトリアゾール環が挙げられる。
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
また、3級アミノ基がN含有ヘテロ環であるものとして、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等のN含有ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環、等のN含有ヘテロ6員環が挙げられる。これらのN含有ヘテロ環として好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。
なかでも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。
分散剤原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100重量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が10〜200重量部、好ましくは20〜190重量部、さらに好ましくは30〜180重量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2〜25重量部、好ましくは0.3〜24重量部である。
反応は、ポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。
反応を行う際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の水酸基周辺に比較的分子量の大きい置換基をもつアルコール類、例えば第一アルコール以外のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等の1種又は2種以上が用いられる。
上記反応に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。使用されるウレタン化反応触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等の1種又は2種以上が挙げられる。
なお、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は、反応後のアミン価で1〜100mg−KOH/gの範囲に制御するのが好ましい。このアミン価は、より好ましくは5〜95mg−KOH/gの範囲である。ここで、アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。このアミン価が上記範囲未満であると分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。
なお、以上の反応で作られる高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合にはさらに、アルコールやアミノ化合物で残存イソシアネート基を変性すると生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
このような塩基性高分子分散剤の重量平均分子量は通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。重量平均分子量が1,000未満では分散性及び分散安定性が劣り、200,000を超えると溶解性が低下し、分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる。
なお、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によってポリスチレン換算により測定される。
塩基性高分子分散剤としては、市販のものを利用することもでき、例えば、商品名で、BYK社製DB161、DB162、DB163、DB164、DB166、DB182、EFKA社製4046、ル−ブリゾ−ル社製ソリスパ−ス38500、ソリスパ−ス20000、ソリスパ−ス24000、ソリスパース27000、ソリスパース28000等を挙げることができる。
これらの分散剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の感光性組成物中の全固形分量に対するこれらの(2)分散剤の割合は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは25重量%以下である。(2)分散剤の含有割合が少なすぎると、分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等の問題が発生する。逆に多すぎると、相対的に顔料の割合が減るため、着色力が低くなったり、露光による架橋において感度が低下したりする。
(3)バインダ樹脂
本発明の感光性組成物に用いられるバインダ樹脂としては、カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂を用いることが好ましい。
上記エポキシアクリレート樹脂は、エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸無水物を反応させることにより合成される。かかる反応生成物は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ「アクリレート」が代表例であるので、慣用に従いこのように命名したものである。
原料となるエポキシ樹脂として、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂等を好適に用いることができる(特許第2878486号公報参照)。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(式中、p+qは1以上であり、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、又はハロゲン基を表す。
R
3、R
4はそれぞれ独立してアルキレン基を表す。
m、nはそれぞれ独立して0以上の整数を表す。)
上記一般式(I)において、R1、R2のアルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、ハロゲン基としてはCl、Br、F等が挙げられる。R1、R2としては、各々独立に炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
R3、R4のアルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられ、特にエチレン基、プロピレン基が好ましい。
原料エポキシ樹脂の分子量は、GPCで測定した重量平均分子量として、通常200〜20万、好ましくは300〜100000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲未満であると皮膜形成性に問題を生じる場合が多く、逆に、上記範囲を越えた樹脂ではα,β−不飽和モノカルボン酸の付加反応時にゲル化が起こりやすく製造が困難となるおそれがある。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸及びメタクリル酸であり、特にアクリル酸が反応性に富むため好ましい。エステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル及びアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルであり、特にアクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルが好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルとエポキシ樹脂との付加反応は、公知の手法を用いることができ、例えば、エステル化触媒存在下、50〜150℃の温度で反応させることにより実施することができる。
エステル化触媒としてはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等の1種又は2種以上を用いることができる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量は、原料エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が不足し、引き続く多塩基酸無水物との反応も不十分となる。また、多量のエポキシ基が残存することも有利ではない。一方、該使用量が多いとα,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルが未反応物として残存する。いずれの場合も硬化特性が悪化する傾向が認められる。
α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルが付加したエポキシ樹脂に、更に付加させる多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、特に好ましい化合物は、無水テトラヒドロフタル酸及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
多塩基酸無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルの付加反応と同様な条件下で継続反応させることにより実施することができる。
多塩基酸無水物の付加量は、生成するエポキシアクリレート樹脂の酸価が10〜150mg−KOH/gの範囲となるような量が好ましく、更に20〜140mg−KOH/gの範囲が特に好ましい。樹脂の酸価が小さすぎるとアルカリ現像性に乏しくなり、また、樹脂の酸価が大きすぎると硬化性能に劣る傾向が認められる。
その他、カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂としては、例えば特開平6−49174号公報記載のナフタレン含有樹脂、特開2003−89716、特開2003−165830、特開2005−325331、特開2001−354735号公報記載のフルオレン含有樹脂、特開2005−126674、特開2005−55814、特開2004−295084号公報等に記載の樹脂を挙げることができる。
また、市販のカルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂を用いることもでき、市販品としては例えばダイセル社製「ACA−200M」等を挙げることが出来る。
バインダ樹脂としては、また、例えば特開2005−154708号公報などに記載のアクリル系のバインダも用いることができる。
本発明の感光性組成物中の全固形分量に対する(3)バインダ樹脂の割合は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。(3)バインダ樹脂の割合が少なすぎると画像形成が不安定となり、形状のコントロールがしにくくなる他、薬品への耐久性が悪化するおそれがある。また、多すぎると遮光性を高めることができない。
(4)モノマー
本発明の感光性組成物に用いられるモノマーは、光重合性で、重合可能な低分子化合物を含むものであれば良く、特に制限はないが、官能基を有する多官能モノマーであるのが好ましく、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す。)が更に好ましい。また、モノマーは酸基を有していても良い。
エチレン性化合物とは、本発明の感光性組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述の光重合開始剤の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における「モノマー」とは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の「モノマー(単量体)」以外に「二量体」、「三量体」、「オリゴマー」をも包含する概念を意味する。
酸基を有するエチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる(ここで「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」を意味する。)。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
本発明において、モノマーは、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していても良い。従って、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入しても良い。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
本発明において、酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
また、前記エポキシアクリレート中に記載のエポキシアクリレート樹脂のうち、カルボキシル基を有していないものもモノマーとして用いることができる。
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になると共に光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが必須である。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成(株)製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーは他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
これらの(4)モノマーの配合割合は、本発明の感光性組成物の全固形分中、通常1〜80重量%、好ましくは5〜70重量%であり、(1)黒色顔料に対する比率として5〜200重量%、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは15〜80重量%である。(4)モノマーの配合割合は、感光性組成物の黒色顔料の種類や用いるモノマーの酸価に応じて適宜調整される。
(5)光重合開始剤
光重合開始剤は、通常、加速剤及び必要に応じて添加される増感色素等の付加剤との混合物(光重合開始剤系)として用いられる。光重合開始剤系は、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始剤系成分を構成する光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン系化合物、特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
本発明で用いることができる重合開始剤の具体的な例を以下に列挙する。
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
2−トリクロロメチル−5−(2′−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2′−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2′−(6″−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5一フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ビス(3′−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2′−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2′−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4′−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4′−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;
9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;
9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,6一ジープルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体;
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等のα−アミノアルキルフェノン系化合物;
1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物。
このオキシムエステル系化合物としては、特に以下に例示する化合物を好ましく用いることができる。
光重合開始剤系成分を構成する加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。
これら光重合開始剤及び加速剤は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
具体的な光重合開始剤系成分としては、例えば、「ファインケミカル」(1991年、3月1日号、vol.20、No.4)の第16〜26頁に記載されている、ジアルキルアセトフェノン系、ベンゾイン、チオキサントン誘導体等のほか、特開昭58−403023号公報、特公昭45−37377号公報等に記載されている、ヘキサアリールビイミダゾール系、S−トリハロメチルトリアジン系、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報等に記載されている、チタノセンとキサンテン色素、アミノ基又はウレタン基を有する付加重合可能なエチレン性飽和二重結合含有化合物を組み合わせた系、等が挙げられる。
(5)光重合開始剤系成分の配合割合は、本発明の感光性組成物中の全固形分中、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%である。この配合割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させることがある。
光重合開始剤系成分には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を配合させることができる。これら増感色素としては、特開平4−221958号、同4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号、同5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号、同5−289335号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号、同54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、同52−112681号、同58−15503号、同60−88005号、同59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。増感色素もまた1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の感光性組成物中に占める増感色素の配合割合は感光性組成物中の全固形分中、通常0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、更に好ましくは0〜10重量%である。
(6)界面活性剤
界面活性剤としてはアニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものの1種又は2種以上を用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。
(6)界面活性剤の添加量は、本発明の感光性組成物中の全固形分に対して通常0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%、最も好ましくは0.03〜0.3重量%である。(6)界面活性剤の添加量が上記範囲よりも少ないと塗布膜の平滑性、均一性が発現できず、多いと塗布膜の平滑性、均一性が発現できない他、他の特性が悪化する場合がある。
(7)溶媒
本発明の感光性組成物は、一般に上述の固形分を溶媒に溶解ないし分散させて調製される。
溶媒は、本発明の感光性組成物において、黒色顔料、分散剤等を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を奏する。
溶媒としては、組成物を構成する各成分を溶解又は分散させることができるもので、沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。溶媒は、120〜170℃の沸点をもつものがより好ましい。
このような溶媒としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類;
上記に該当する溶媒としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジグライムのような商品名の市販品が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いても良い。
本発明の感光性組成物全体に占める、(7)溶媒の含有量は特に制限はないが、通常99重量%以下であり、通常50重量%以上、好ましくは55重量%以上、更に好ましくは60重量%以上である。(7)溶媒の割合が多すぎると、黒色顔料、分散剤等の固形分が少なすぎて感光性組成物を形成するには不適当である。一方、溶媒の割合が少なすぎると、粘性が高くなり、塗布に適さない。
(8)有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物
本発明の感光性組成物は、上記成分以外に、更に、有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物を含んでいても良い。
(8−1)有機カルボン酸
有機カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸及び/又は芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸などのトリカルボン酸などが挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、具体的には、安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸などのフェニル基に直接カルボキシル基が結合したカルボン酸、及びフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合したカルボン酸類等が挙げられる。
上記有機カルボン酸の中では、モノカルボン酸、ジカルボン酸が好ましく、中でもマロン酸、グルタル酸、グリコール酸が更に好ましく、マロン酸が特に好ましい。
上記有機カルボン酸の分子量は、通常1000以下であり、通常50以上である。上記有機カルボン酸の分子量が大きすぎると地汚れ改善効果が不十分であり、小さすぎると昇華、揮発などにより添加量の減少やプロセス汚染を起こす恐れがある。
(8−2)有機カルボン酸無水物
有機カルボン酸無水物としては、脂肪族カルボン酸無水物及び/又は芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、脂肪族カルボン酸無水物としては、具体的には無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物としては、具体的には無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸などが挙げられる。
上記有機カルボン酸無水物の中では、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が好ましく、無水マレイン酸が更に好ましい。
上記有機カルボン酸無水物の分子量は、通常800以下、好ましくは600以下、更に好ましくは500以下であり、通常50以上である。上記有機カルボン酸無水物の分子量が大きすぎると地汚れ改善効果が不十分であり、小さすぎると昇華、揮発などにより添加量の減少やプロセス汚染を起こす恐れがある。
これらの有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
これらの有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物の添加量は、本発明の感光性組成物の全固形分中、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上、更に好ましくは0.05重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。この添加量が少なすぎると十分な添加効果が得られず、多すぎると表面平滑性や感度が悪化し、未溶解剥離片が発生する場合がある。
(9)その他の固形分
本発明の感光性組成物には、更に、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合できる。このような成分としては、熱重合防止剤、可塑剤、染料、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等が挙げられる。
これら成分の添加量は、本発明の感光性組成物の全固形分に対し合計で20重量%以下であることが好ましい。
(9−1)熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等の1種又は2種以上が用いられる。熱重合防止剤の添加量は、本発明の感光性組成物の全固形分に対し0〜3重量%の範囲であることが好ましい。
(9−2)可塑剤
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等の1種又は2種以上が用いられる。これら可塑剤の添加量は、本発明の感光性組成物の全固形分に対し10重量%以下であることが好ましい。
(9−3)染料
本発明の感光性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、調色等の目的で染料を含有していてもよい。使用できる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
[感光性組成物の製造方法]
次に、本発明の感光性組成物の製造方法について説明する。
本発明においては、通常、黒色顔料は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理するのが好ましい。分散処理により黒色顔料が微粒子化されるため、得られる感光性組成物の遮光能力向上及び塗布特性の向上が達成される。
分散処理においては、黒色顔料と溶媒又は分散機能を有するバインダ樹脂、あるいは前記した分散剤をさらに併用した系にて処理するのが好ましい。特に、高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。感光性組成物(以下「レジスト」と称す場合がある。)として配合する全成分を同時に混合した液での分散処理は、分散時に生じる発熱のため高反応性の成分が変性するおそれがあるので好ましくない。
黒色顔料をサンドグラインダーで分散させる場合には、0.1〜8mm径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散させる条件は、通常、温度は0℃から100℃であり、好ましくは、室温から80℃の範囲である。分散時間は黒色顔料分散液(以下「インク」と称す場合がある。)の組成(黒色顔料、溶媒、分散剤等)及びサンドグラインダーの装置サイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。レジストの20度光沢値が100〜200の範囲となるようにインキの光沢を制御するのが分散の目安である。レジスト光沢が低い場合には分散処理が十分でなく粗い顔料粒子が残っていることが多く、現像性、密着性、解像性等の点で不十分である。また、光沢値を上記範囲を超えるまで分散処理すると超微粒子が多数生じるために却って分散安定性が損なわれることになりやすい。
次に、上記分散処理により得られた黒色インキとレジスト成分として必要な上記の他の成分を添加、混合し均一な溶液とする。製造工程においては微細なゴミが感光液に混じることが多いため、得られたレジスト感光液はフィルター等により濾過処理するのが望ましい。
[ブラックマトリックス及びカラーフィルタ]
次に、本発明の感光性組成物を用いたブラックマトリックス及びカラーフィルタの製造方法について説明する。
まず、透明基板上に、本発明の感光性組成物をスピナー、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレー等の塗布装置により塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化或いは光硬化により遮光用BM(ブラックマトリックス)画像を形成させ、さらにこの操作をRGB3色について各々繰り返し、カラーフィルタ画像を形成させる。
ここで用いる透明基板は、カラーフィルタ用の透明基板であり、その材質は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン等の熱可塑性プラスチックシート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂等の熱硬化性プラスチックシート、或いは各種ガラス板等を挙げることができる。
特に、耐熱性の点からガラス板、耐熱性プラスチック板が好ましく用いられる。
このような透明基板には、表面の接着性等の物性を改良するために、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーの薄膜処理等を行うこともできる。
本発明の感光性組成物の塗布膜厚は特に限定されないが、例えばフォトリソグラフィー法カラーフィルタ用ブラックマトリックスとしては、塗布、乾燥後の膜厚が通常0.1〜2μm、好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.1〜1μmの範囲とするが、後述のインクジェット方式によるカラーフィルタの作製のためにはブラックマトリックスの膜厚は、1.5μm以上、例えば1.8〜2.5μm、特に2.0〜2.3μmの厚い膜厚に形成するのが好ましい。
なお、本発明のブラックマトリックスは、遮光性と厚膜での製版性能維持の点から膜厚ODは1.5〜2.5程度とすることが好ましい。ここで「膜厚OD」とは膜厚1μm当たりのOD値(光学濃度)を意味する。即ち、OD(Optical Density)値は遮光能力を示す数値であり数値が大きい程高遮光性であることを示す。しかし、フォトリソグラフィー法カラーフィルタ用ブラックマトリックス並みの膜厚ODを有する場合、インクジェット用途に厚膜化するとODが測定機器の検出限界を超えてしまうため、工業生産性の面で問題となる場合がある。なお、ブラックマトリックスの膜厚ODは、通常マクベス反射濃度計(コルモルグン社製「TR927」)により測定される。
また、膜厚ODと膜厚(単位μm)の積で評価される遮光性についても適正値があり、この値は4.0〜5.7であることが好ましい。この遮光性の程度が4.0未満では遮光性が不足し、コントラストの低下を招く危険性があり、5.7を超えると測定機器の検出限界を超えてしまう。
また、黒色顔料等の固形分の分散状態の指標として、ブラックマトリックスの20度光沢値が100〜200であるのが有利である。
感光性組成物の塗膜の乾燥においては、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いることができ、好ましい乾燥条件は40〜150℃、乾燥時間は10秒〜60分の範囲である。
また、露光に用いる光源は、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の照射光の波長のみを使用する場合には光学フィルターを利用することもできる。
現像処理は、未露光部のレジスト膜を溶解させる能力のある溶剤であれば特に制限は受けない。例えばアセトン、塩化メチレン、トリクレン、シクロヘキサノン等の有機溶剤を使用することができる。
しかしながら、有機溶剤は環境汚染、人体に対する有害性、火災危険性などをもつものが多いため、このような危険性の無いアルカリ現像液を使用する方が好ましい。このようなアルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機のアルカリ剤、或いはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩等の有機のアルカリ剤を含有した水溶液が挙げられる。アルカリ現像液には、必要に応じ、界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基又はカルボキシル基を有する低分子化合物等を含有させることもできる。特に、界面活性剤は現像性、解像性、地汚れなどに対して改良効果をもつものが多いため添加するのは好ましい。
例えば、現像液用の界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等を挙げることができる。
現像処理方法については特に制限は無いが、通常、10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
なお、本発明の感光性組成物を用いてカラーフィルタのBMを形成する場合には、非常に高感度、高解像力であるため、ポリビニルアルコール等の酸素遮断層を設けることなしに露光、現像して画像を形成することが可能である。
本発明の感光性組成物により形成される本発明のブラックマトリックスは、インクジェット法によりRGB3色の画素を形成することによりカラーフィルタを作成する方法に好適に用いることができる。
インクジェット方式では、描画されるインク液滴に対し混色を防止する隔壁パターンを設け、その間に顔料インクをダイレクトに付与するプロセスでカラーフィルタを作製する。微小液滴を所望の位置に描画できるため、高生産性、低コスト化に繋がる。
インクジェット方式によるカラーフィルタの代表的な形成方法は以下の通りである。
まず、樹脂ブラックマトリックス(BM)を一般的なフォトリソグラフィー法にて形成する。得られた樹脂BMに対して、透明基板上の親水化とBMパターンの撥液化を化学的処理あるいは物理的処理により施す。次に、樹脂BMパターンに囲まれた着色部分にRGB3色をインクジェット装置により描画し、乾燥、キュアにて着色層を完全硬化させ、所定のカラーフィルタを得る。
インクジェット用途のBMは、従来の遮光機能のみならず、画素内に打ち込まれたRGBインクが混色しないための隔壁としての機能も果たしているため、従来のフォトリソグラフィー法に比べ膜厚が厚い(膜厚1.5μm以上)という特徴がある。
[画像表示装置]
次に、本発明の画像表示装置について液晶表示装置(パネル)を例示して説明する。
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いて、例えば、次の様にして製造される。
先ず、カラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサーを配置した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成する。次いで、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。
配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法やフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは、通常、10〜100nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線(UV)の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調節し得る表面状態に加工される。
スペーサーは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが使用され、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィー法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサーの代わりに活用することも出来る。対向基板としては、通常、アレイ基板が使用され、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2〜8μmの範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂などのシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱によって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺がシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記の液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶セル内に液晶を注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10−2〜1×10−7Pa、好ましくは1×10−3〜1×10−6Paである。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃である。減圧時の加温保持は、通常10〜60分間の範囲とされ、その後に液晶中に浸漬される。液晶が注入された液晶セルは、UV硬化樹脂の硬化により、液晶注入口を封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類は、特に制限されず、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物など、従来公知の液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶などの何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶、コレステリック液晶などが知られているが、これらの何れであってもよい。