JP5061161B2 - 建具 - Google Patents

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本発明は、開口枠の内外に内側障子及び外側障子を配設し、さらに外側障子よりも外側となる部位に網戸をスライド可能に配設した建具に関するものである。
建造物に設けられる引き違い窓や片引き窓等の建具には、通常、外側窓よりもさらに外側となる部位に網戸が設けられている。網戸は、窓を開放した場合にも虫が室内へ侵入するのを防止するもので、框部材を四周框組みして構成した框に網を張ることによって構成し、開口枠に対してスライド可能に配設されている。
網戸には、縦框部材において外側窓に対向する表面に隙間塞ぎ材が設けられている。この隙間塞ぎ材は、網戸の框部材から突出したモヘア状の部材であり、外側窓の縦框部材に当接して隙間を塞ぐことによって虫の侵入を確実に防止するためのものである。
ここで、昨今の窓には、面材として複層ガラスを備えたものも提供されている。複層ガラス窓は、框に2枚のガラス板を装着することによって構成したもので、断熱性の向上を図ることが可能となる。しかしながら、複層ガラス窓の框では、ガラス板を装着する内周部分に比べて外周部分が狭幅になるため、上述した隙間塞ぎ材によっては網戸と外側窓との間の隙間を塞ぐことが困難となる。
そこで、複層ガラス窓に対しては、網戸の框部材において横框部材の狭幅部に対向する部位に第2の隙間塞ぎ材を配設するようにしたものも提供されている。すなわち、外側窓の縦框部材において広幅となる部分に対しては、従前と同様の隙間塞ぎ材によって隙間を塞ぎ、かつ外側窓の縦框部材において狭幅となる部分に対しては、隙間塞ぎ材よりも突出量の大きな第2の隙間塞ぎ材によって隙間を塞ごうというものである。第2の隙間塞ぎ材としては、網戸の框部材からの突出量が大きいため、比較的剛性のある合成樹脂材によってプレート状に形成したものが適用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3314871号公報
ところで、通常の障子においては、強度の向上を図るため、框部材の相互をインロウ結合によって接続することが行われている。インロウ結合とは、一方を他方の内部に嵌合させた状態で両者を接続する方式である。例えば、図8に示す複層ガラス窓では、縦框部材1の広幅部1aを下框部材2の広幅部2aに嵌合させるとともに、縦框部材1の狭幅部1bに対してその内部に下框部材2の狭幅部2bを嵌合させ、この状態で両者を接続することにより、框の強度を向上させるようにしている。
しかしながら、上記のように框部材1,2をインロウ結合させた場合には、縦框部材1の狭幅部1bと下框部材2の狭幅部1bとの間に縦框部材1の板厚分だけ段差が生じる。つまり、縦框部材1の狭幅部1bと下框部材2の狭幅部2bとでは、縦框部材1の狭幅部1bが網戸3に対して板厚分だけ突出することになる。
網戸3は、外側のガラス窓に対してスライド移動するため、網戸3に設ける第2の隙間塞ぎ材4を下框部材2の狭幅部2bに当接させた場合、スライド移動の際に縦框部材1の狭幅部1bに干渉する。上述したように、第2の隙間塞ぎ材4としては、突出量が大きいため、第1の隙間塞ぎ材5のようにモヘヤ状のものを適用することが困難であり、比較的剛性のある合成樹脂材によって成形したものを適用している。従って、第2の隙間塞ぎ材4としては、図9に示すように、その先端を突出側となる縦框部材1の狭幅部1bに当接させざるを得ない。この結果、第2の隙間塞ぎ材4が下框部材2の室外側に向いた見付け面に配置された状態においては、図10に示すように、第2の隙間塞ぎ材4の先端と下框部材2における狭幅部2bの見付け面との間に段差分だけ隙間sを生じ、虫が室内に侵入する虞れがある。
本発明は、上記実情に鑑みて、框の強度を向上させ、かつ虫の侵入を確実に防止することのできる建具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠部材を四周枠組みして構成した開口枠の内外に内側障子及び外側障子を配設し、さらに外側障子よりも外側となる部位に網戸をスライド可能に配設して成り、内側障子及び外側障子は、それぞれ四周框組した各框部材の内周側に広幅部を有するとともに外周側に狭幅部を有し、広幅部に面材を複層組込んで構成したものであり、網戸の框部材には、縦框部材に沿って延在するとともに外側障子に向けて突出し、外側障子の縦框部材に設けた広幅部との隙間を塞ぐ第1隙間塞ぎ材と、第1隙間塞ぎ材の端部からそれぞれ外側障子に向けて突出し、外側障子の横框部材に設けた狭幅部との隙間を塞ぐ第2隙間塞ぎ材とを設けた建具において、外側障子は、横框部材の広幅部と縦框部材の広幅部とをインロウ結合させ、かつ横框部材の狭幅部において外側に向いた見付け面と縦框部材の狭幅部において外側に向いた見付け面とを同一平面上に位置させたことを特徴とする。
この発明によれば、外側障子において横框部材の広幅部と縦框部材の広幅部とがインロウ結合され、かつ網戸に対向する狭幅部の見付け面が同一平面上に位置するため、第2隙間塞ぎ材の先端を常に狭幅部の見付け面に当接させることができる。
また、本発明に係る建具は、上述した建具において、外側障子の横框部材は、広幅部の見付け方向に沿った寸法が狭幅部の見付け方向に沿った寸法よりも大きくなるように構成したことを特徴とする。
この発明によれば、インロウ結合する框部材の接合面積を十分に確保することができ、框の強度を向上させることが可能になる。
本発明によれば、外側障子において横框部材の広幅部と縦框部材の広幅部とがインロウ結合され、かつ網戸に対向する狭幅部の見付け面が同一平面上に位置するため、框に強度を確保しつつ、第2隙間塞ぎ材の先端を常に狭幅部の見付け面に当接させることができ、虫の侵入を確実に防止することができるようになる。
図1は、本発明の実施の形態である建具の縦断面図である。 図2は、図1におけるA−A線断面図である。 図3は、図1におけるB−B線断面図である。 図4は、図1に示した建具の要部を示す斜視図である。 図5は、図1に示した建具の要部を示す縦断面図である。 図6は、図1に示した建具の要部を下方から見た横断面図である。 図7は、図1に示した建具に適用する網戸の要部を示す斜視図である。 図8は、従来の建具の要部を示す斜視図である。 図9は、図8に示した建具の要部を示す縦断面図である。 図10は、図8に示した建具の要部を下方から見た横断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である建具を示した縦断面図、図2及び図3は、その横断面図である。ここで例示する建具は、開口枠10に左右2枚のガラス窓20,30を備え、開口枠10に対して2枚のガラス窓20,30を左右方向にスライドさせて開閉する、いわゆる「引き違い窓」と称されるサッシ窓であり、室外側に配置したガラス窓30のさらに室外側となる部位に網戸40を備えている。
開口枠10は、上枠部材11、下枠部材12及び左右一対の縦枠部材13を四周枠組みすることによって構成したもので、家屋の壁Wに形成した開口WOに対してその縁部に沿うように配設してある。
ガラス窓20,30は、それぞれ上框部材21,31、下框部材22,32及び左右一対の縦框部材23,33を四周框組みすることによって構成した框の内部に2枚のガラス板Gを保持した「複層ガラス窓」と称されるもので、開口枠10の内部に装着可能な大きさに構成してある。
図4〜図6は、室外側に配置したガラス窓30において縦框部材33と下框部材32との接合部を示したものである。図からも明らかなように、ガラス窓30の縦框部材33及び下框部材32は、それぞれ内周側に広幅部33a,32aを有するとともに外周側に狭幅部33b,32bを有しており、個々の広幅部33a,32aを介して2枚のガラス板Gを保持している。
室外側に配置したガラス窓30の縦框部材33に設けた広幅部33aは、下框部材32の広幅部32aよりも見込み方向の幅を大きく形成してあり、その内部に下框部材32の広幅部32aを嵌合させることによってインロウ結合させてある。特に、本実施の形態では、ガラス窓30の下框部材32において広幅部32aの見付け方向に沿った寸法cを狭幅部32bの見付け方向に沿った寸法dよりも大きく構成してあり、下框部材32と縦框部材33とにおいてインロウ結合する接合面積を十分に確保することができ、框の強度を向上させることが可能である。
これに対して室外側に配置したガラス窓30の縦框部材33は、狭幅部33bが下框部材32の狭幅部32bと見込み方向の幅を同じに形成してあり、下框部材32の広幅部32aと縦框部材33の広幅部33aとをインロウ結合させた場合、狭幅部33bの室外側に向いた見付け面33cが下框部材32における狭幅部32bの室外側に向いた見付け面32cと同一平面上に位置させるようにしている。
尚、図には明示していないが、室外側に配置したガラス窓30の縦框部材33と上框部材31との間も、ガラス窓30の縦框部材33と下框部材32との間と同様の構成によってインロウ結合させてあるとともに、縦框部材33の狭幅部33bと上框部材31の狭幅部とにおいて室外側に向いた見付け面が同一平面上に位置している。また、図1に示すように、室内側に配置したガラス窓20は、各框部材21,22,23の見込み方向の幅が内周側と外周側とでほぼ同一となるように構成してある。
一方、網戸40は、図1〜図3及び図7に示すように、上框部材41、下框部材42及び左右一対の縦框部材43を四周框組みすることによって構成した框の内部に網Nを張ることによって構成したもので、ガラス窓20,30と同様、開口枠10に対して左右方向にスライド可能に配設してある。
この網戸40には、縦框部材43において室内側に向いた見付け面に第1隙間塞ぎ材50及び第2隙間塞ぎ材60が設けてある。第1隙間塞ぎ材50及び第2隙間塞ぎ材60は、室外側に配置したガラス窓30の框との間の隙間を塞ぐことによって室内に虫が侵入するのを防止するためのものである。より具体的には、網戸40の縦框部材43においてガラス窓30の縦框部材33に設けた広幅部33aに対応する高さ位置に第1隙間塞ぎ材50が配設してあり、網戸40の縦框部材43においてガラス窓30の下框部材32に設けた狭幅部32bに対応する高さ位置に第2隙間塞ぎ材60が配設してある。
第1隙間塞ぎ材50は、網戸40の縦框部材43から突出したモヘア状の部材である。この第1隙間塞ぎ材50は、ガラス窓30の縦框部材33に沿って上下方向に連続しており、その先端部がガラス窓30の縦框部材33に設けた広幅部33aの見付け面33dに当接している。
第2隙間塞ぎ材60は、網戸40の縦框部材43から突出したプレート状の部材であり、第1隙間塞ぎ材50の上端部及び下端部のそれぞれに連続するように配設してある。この第2隙間塞ぎ材60は、比較的硬質の合成樹脂材によって成形したもので、その先端面がガラス窓30の下框部材32に設けた狭幅部32bに対向している。
ここで、本実施の形態の室外側に配置したガラス窓30においては、上述したように、縦框部材33の狭幅部33bにおいて室外側に向いた見付け面33cと下框部材32の狭幅部32bにおいて室外側に向いた見付け面32cとが同一平面上に位置させてある。従って、網戸40に設ける第2隙間塞ぎ材60の先端面がガラス窓30の縦框部材33に設けた狭幅部33bの見付け面33cに当接させるように構成すれば、第2隙間塞ぎ材60が下框部材32の室外側に向いた見付け面32cに対向して配置された状態においても第2隙間塞ぎ材60の先端と下框部材32の見付け面32cとの間に隙間を生じることがない。これにより、室内への虫の侵入を確実に防止することができるようになる。
尚、上述した実施の形態では、引き違い窓を例示しているが、片引き窓にも適用することが可能である。また、開口枠10に対してガラス窓20,30を左右方向にスライドさせるものを例示しているが、上下方向にスライドするように構成しても良い。さらに、障子としては必ずしもガラス窓20,30である必要はなく、面材を複層備えるものであれば、その他ものにも適用することが可能である。
また、上述した実施の形態では、ガラス窓20,30の縦框部材23,33に設けた広幅部23a,33aに、下框部材22,32の広幅部22a,32aを嵌合させるようにしているが、ガラス窓20,30の下框部材22,32に設けた広幅部22a,32aに、縦框部材23,33の広幅部23a,33aを嵌合させて両者を結合するようにしても良い。
10 開口枠
11,12,13 枠部材
20,30 ガラス窓
21,31 上框部材
22,32 下框部材
22a,32a 広幅部
22b,32b 狭幅部
23,33 縦框部材
23a,33a 広幅部
23b,33b 狭幅部
40 網戸
50 第1隙間塞ぎ材
60 第2隙間塞ぎ材
G ガラス板
N 網

Claims (2)

  1. 枠部材を四周枠組みして構成した開口枠の内外に内側障子及び外側障子を配設し、さらに外側障子よりも外側となる部位に網戸をスライド可能に配設して成り、
    内側障子及び外側障子は、それぞれ四周框組した各框部材の内周側に広幅部を有するとともに外周側に狭幅部を有し、広幅部に面材を複層組込んで構成したものであり、
    網戸の框部材には、縦框部材に沿って延在するとともに外側障子に向けて突出し、外側障子の縦框部材に設けた広幅部との隙間を塞ぐ第1隙間塞ぎ材と、第1隙間塞ぎ材の端部からそれぞれ外側障子に向けて突出し、外側障子の横框部材に設けた狭幅部との隙間を塞ぐ第2隙間塞ぎ材とを設けた建具において、
    外側障子は、横框部材の広幅部と縦框部材の広幅部とをインロウ結合させ、かつ横框部材の狭幅部において外側に向いた見付け面と縦框部材の狭幅部において外側に向いた見付け面とを同一平面上に位置させたことを特徴とする建具。
  2. 外側障子の横框部材は、広幅部の見付け方向に沿った寸法が狭幅部の見付け方向に沿った寸法よりも大きくなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の建具。
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