本発明は、賞球や貸球の払い出しを制御する払出制御基板を備えたパチンコ遊技機に関する。
一般的なパチンコ遊技機には、遊技を統括的に制御する主制御基板と、該主制御基板から発せられた払出制御コマンドに従って遊技球を払い出す制御を行う払出制御基板と、該払出制御基板により駆動制御されて遊技球を払い出す球払出装置とを備えている。この払出制御基板には、主制御基板からの払出制御コマンドに従って、球払出装置を駆動制御して賞球や貸球を払い出す球払出処理を実行する中央処理装置CPUと、この球払出処理に用いる複数のデータを一時的に記憶すると共に、該データを随時書き換え可能な記憶装置RAMとが配設されている。ここで、中央処理装置CPUは、主制御基板からの払出制御コマンドを受信すると、球払出処理を実行して、該払出制御コマンドに従って所定個数の遊技球を払い出すように球払出装置を駆動する制御を行う。また、記憶装置RAMは、一般的に、データの記憶及び書き換えを行う記憶領域と、空き領域と、スタックエリアとに区画されて構成されている。
このような払出制御基板では、当該パチンコ遊技機へ電力供給する外部電源が遮断されたときに、中央処理装置CPUのレジスタ値を記憶装置RAMのスタックエリアに退避させて、現在のスタックポインタの値を記憶した後、記憶装置RAMの記憶領域に記憶されている全データ又は所定のデータを加算してチェックサム値を得て、該チェックサム値を所定の記憶領域に記憶する処理を行うようにしている。このように、外部電源が遮断したときには、遊技球の払い出しに関する各データとそのチェックサム値とを前記記憶装置RAMに記憶した後に、該記憶装置RAMへのアクセスを禁止する処理を行うようにしている。尚ここで、一般的なパチンコ遊技機には、外部電源が遮断している間に、主制御基板や払出制御基板に夫々に配設されている記憶装置RAMのデータを保存するために、バックアップ電源が設けられている。
その後、外部電源が復帰したときに、払出制御基板では、その記憶装置RAMへのアクセスを許可し、該記憶装置RAMの記憶領域に記憶保持されている各データが遮断したときから変化していないことを確認するために、上記と同様にデータを加算してチェックサム値を算出し、これを外部電源を遮断したときに算出したチェックサム値と比較する。そして、遮断したときと復帰したときとの各チェックサム値が一致した場合には、記憶装置RAMに記憶されているデータは正しいと判断し、該データに従って上記した球払出処理を実行する。一方、外部電源を遮断したときと復帰したときとの各チェックサム値が一致しない場合には、記憶装置RAMに記憶されているデータが正しくないと判断し、全てのデータを初期化するようにしている。すなわち、この場合には、電源遮断前に実行されていた球払出処理がクリアされて、改めて新しいデータに基づいて球払出処理がスタートすることとなる。
例えば、特許文献1では、主に主制御基板の記憶装置RAMを対象としているものであって、その記憶領域の中途位置にチェックサム値を記憶するアドレスを設定して、該アドレスよりも前の領域に記憶した各データからチェックサム値を算出した後、さらに該チェックサム値に前記アドレスよりも後の領域に記憶した各データを加算して、このチェックサム値を記憶装置RAMに記憶し、外部電源を復帰したときに、チェックサム値に基づいてパリティチェックを判定する処理を行う構成が提案されている。
また、特許文献2では、電源を遮断したときに記憶したチェックサム値と電源を復帰したときに算出したチェックサム値とが一致しているか否かを判定し、一致しない場合には、記憶装置RAMに記憶した所定データ以外のデータを消去するようにした構成が提案されている。ここで、消去しない所定データは、所謂ゴト師により不正に変えられる可能性が小さいものに設定している。
特開2002−95840号公報(段落番号「0156」〜、図20,21,22)
特開2003−180962号公報
上述したように、外部電源が遮断されたときと復帰したときとの各チェックサム値が一致するか否かを判定する処理は、遮断中に、記憶装置RAMに不正にアクセスしてデータを改ざんするような不正行為を防止する作用効果を有している。ところが、外部電源が遮断したときと復帰したときとで、記憶装置RAM内に記憶保持されているデータが変化してしまうことは、前記した不正行為以外の原因でも生じ得る。
例えば、停電の発生に伴って外部電源が遮断されると、電力は急激に降下して不安定となり易い。この電力が不安定な状態で、上述したチェックサム値を算出して記憶する処理が実行されると、正しくチェックサム値を算出したり記憶できないという誤処理を生じることが懸念される。仮に、誤ったチェックサム値が記憶された場合、復帰したときに算出するチェックサム値と一致しないことから、上述したように記憶装置RAM内のデータを初期化してしまう。このように、外部電源が遮断したときに電力が不安定となることを原因として、記憶装置RAM内のデータが変化してしまうこともあり得る。
また、外部電源の遮断中に記憶装置RAM内のデータを保持するための電力は、上記したバックアップ電源により供給されている。ここで、バックアップ電源は、一般的に、コンデンサに蓄えた電荷を供給するようにした構成であるから、その電力も弱いために不安定となり易い。この不安定な電力下では、上述した記憶装置RAM内のデータを正しく維持することができず、該データが変化してしまうことも懸念される。仮に、外部電源の遮断中に記憶装置RAM内のデータが変化すると、外部電源が遮断したときと復帰したときとの各チェックサム値が一致しないから、上述したように記憶装置RAM内のデータを初期化してしまう。このように、バックアップ電源により供給される電力が不安定となることを原因として、記憶装置RAM内のデータが変化してしまうこともあり得る。
一方、上述したように払出制御基板の記憶装置RAMに記憶されてチェックサム値の算出に用いるデータとして、未払いの賞球又は貸球数を表すデータ、球払出装置に設けられた駆動モータを駆動制御するためのデータ、払い出された遊技球を貯留する球貯留皿が満杯であることを示す貯留エラーデータ、球払出装置の球詰まりが発生したことを示す球詰エラーデータ等が設定されている。
ここで、未払いの賞球や貸球数を表すデータや駆動モータを制御するデータは、賞球や貸球の払出作動に直接的に関係するデータ(以下、払出作動データと言う)であり、また、貯留エラーデータや球詰エラーデータは、賞球や貸球の払出作動に間接的に関係するエラー発生を示すデータ(以下、払出エラーデータと言う)である。この払出エラーデータは、球貯留皿が満杯であるエラーや、球詰まりが発生したエラーなどを示すものであるため、賞球や貸球の払出個数と関係なく、遊技者や遊技店の利益に直接関係するものでない。そして、これらエラーが発生した場合には、当該エラーを解消する処理や作業を行うことにより、賞球や貸球を正しく払い出すことができる。
この払出エラーデータは払出作動データと共にチェックサム値を算出するデータであるから、例えば、上述したように電力が不安定であることを原因として払出エラーデータが変化した場合にあっては、外部電源が遮断したときと復帰したときとの各チェックサム値が一致しない。そのため、払出エラーデータと払出作動データとが初期化されて、未払いの賞球や貸球が失われてしまう。これは、遊技店に何ら不利益を生ずることなく、遊技者にのみ不利益を生じることであり、全く無用な処理と言える。
また、上述した特許文献1に開示された構成にあっては、チェックサム値を、記憶装置RAMの前半部分に記憶されたデータを加算した後に、当該加算値にその後半部分に記憶されたデータを加算するようにして求める処理を行うものであるが、所詮は全てのデータを加算してチェックサム値を算出するものでしかない。そのため、払出制御基板に適用した場合、上述したように払出エラーデータのみが変化しても、全てのデータが初期化されて、未払いの賞球や貸球が払い出されないという上述した問題点が発生し得る。
また、上述した特許文献2に開示された構成にあっては、外部電源を遮断したときと復帰したときとのチェックサム値が異なっていれば、所謂ゴト師が不正する可能性の少ない所定データ以外を消去するように処理している。これを払出制御基板に適用した場合、ゴト師が不正し易いのは、未払いの賞球や貸球の個数を表すデータであることから、これらを消去することとなる。すなわち、上述したように払出エラーデータのみが変化した場合にも、未払いの賞球や貸球の個数データを消去することとなるため、上述と同様に、遊技者が損失を被ることとなってしまう。尚、この特許文献2は、あくまで主制御基板を対象とするものであって、払出制御基板に単純に適用することができないものである。
本発明は、外部電源が遮断したときや遮断中に、例えば、払出エラーデータのみが変化したとしても、払出制御基板が、遮断したときの未払いの賞球や貸球などを適正に遊技者に払い出すことができるパチンコ遊技球を提供することを目的とするものである。
本発明は、賞球や貸球を払い出すための球払出処理を行う中央処理装置CPUと、該球払出処理に用いる複数のデータを一時的に記憶保持する記憶装置RAMとを配設してなる払出制御基板と、該払出制御基板による球払出処理に従って駆動制御されて、賞球や貸球の払出作動を実行する球払出装置とを備えたパチンコ遊技機において、前記記憶装置RAMが、賞球や貸球の払出個数や前記球払出装置の駆動に関する複数の払出作動データを記憶する払出作動記憶領域と、前記球払出装置に供給する遊技球や該球払出装置から払い出された遊技球に関する複数の払出エラーデータを記憶する払出エラー記憶領域とを夫々に備えると共に、前記中央処理装置CPUは、外部電源が遮断されたときに、前記払出作動記憶領域に記憶されている各払出作動データから作動チェックサム値を演算すると共に、前記払出エラー記憶領域に記憶されている各払出エラーデータからエラーチェックサム値を演算して、作動チェックサム値とエラーチェックサム値とを前記記憶装置RAMに記憶するチェックサム記憶処理と、外部電源が復帰したときに、前記払出作動記憶領域に記憶されている各払出作動データから作動チェックサム値を演算して、前記チェックサム記憶処理により記憶した遮断したときの作動チェックサム値と一致するか否かを判定する処理と、前記払出エラー記憶領域に記憶されている各払出エラーデータからエラーチェックサム値を演算して、前記チェックサム記憶処理で記憶した遮断したときのエラーチェックサム値と一致するか否かを判定する処理とを具備するチェックサム判定処理と、該チェックサム判定処理により遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値が異なっていると判定した場合には、前記記憶装置RAMに記憶されている各払出作動データと各払出エラーデータを初期化して前記球払出処理を実行し、遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値が一致しかつ各エラーチェックサム値が異なっていると判定した場合には、前記記憶装置RAMに記憶されている各払出エラーデータのみを初期化して、この初期化した払出エラーデータおよび記憶装置RAMに記憶されている払出作動データに従って球払出処理を実行する復帰払出処理とを備えていることを特徴とするパチンコ遊技機である。
かかる構成では、外部電源が遮断されると、チェックサム記憶処理により、払出作動データから作動チェックサム値を算出すると共に、払出エラーデータからエラーチェックサム値を算出して記憶装置RAMに記憶する。その後、外部電源が復帰すると、チェックサム判定処理により、各払出作動データを加算して作動チェックサム値を算出して、遮断したときの作動チェックサム値と比較して両者が一致するか否かを判定し、各払出エラーデータを加算してエラーチェックサム値を算出して、遮断したときのエラーチェックサム値と比較して両者が一致するか否かを判定する。これにより、外部電源が遮断したときから復帰したときまでの間で、遮断したときに記憶した作動チェックサム値、同エラーチェックサム値、払出作動データ、払出エラーデータが変化したか否かを確認する。そして、作動チェックサム値が一致しない場合には、正しい払出作動データが記憶されていないと判断して、復帰払出処理により、各払出作動データと払出エラーデータとを全て初期化して球払出処理を行う。この場合には、未払いの賞球や貸球が残っていてもそれらは払い出されないこととなる。一方、作動チェックサム値が一致しかつエラーチェックサム値が一致しない場合には、正しい払出エラーデータが記憶されていないと判断して、復帰払出処理により、払出エラーデータのみを初期化して球払出処理を行う。この場合には、未払いの賞球や貸球が残っていれば、それらが払い出されることとなる。
ここで、払出作動データは、賞球や貸球の払出作動に直接的に関係するデータであるから、外部電源が遮断したときと復帰したときとで作動チェックサム値が異なっていた場合には、正しい払出作動データを特定できないため、賞球や貸球を正しく払い出すことができない。これは、正しい払出作動データであると判断できない原因が、上述したように外部電源の遮断により電力が不安定となったことに因るか、不正行為に因るか等のいずれであっても、同じである。そのため、払出作動データが何らかの原因により変化した場合に、記憶装置RAM内のデータを初期化する処理を実行することは、許容され得る。
ところが、払出エラーデータは、上述したように、例え、外部電源が遮断したときと復帰したときとで異なっていた場合にも、賞球や貸球の払い出し数を変えるものではない。そのため、復帰したときにエラーチェックサム値が一致しない場合には、エラーの発生有無を確認し、仮にエラーが発生したらこれを解消することにより賞球や貸球を正しく払い出すことができ得る。そして、これは、正しい払出エラーデータであると判断できない原因が、上述したように外部電源の遮断により電流が不安定となったに因ること、又は不正行為に因ること等のいずれであっても、問題なく処理実行可能である。
このような払出作動データと払出エラーデータの各特性を熟慮することにより、本発明は成し得たものである。すなわち、本発明の構成は、作動チェックサム値が外部電源を遮断したときと復帰したときとで一致しないと、未払いの賞球や貸球があっても、これらは払い出されないが、エラーチェックサム値のみが一致しないだけであれば、未払いの賞球や貸球が払い出されるようにしている。これにより、例えば、上述したように、外部電源が遮断したときや遮断中に電力が不安定であることを原因として、エラーチェックサム値や払出エラーデータが変化した場合にあっても、外部電源が復帰したときに、未払いの賞球や貸球が正しく遊技者に払い出されるため、上述した従来構成のように遊技者が不利益となることがない。
尚、本構成にあっては、チェックサム判定処理で、作動チェックサム値とエラーチェックサム値とがそれぞれ、外部電源を遮断したときと復帰したときとで一致していた場合には、払出作動データおよび払出エラーデータが正しいと判断して、これらに従って球払出処理を実行することができる。
また、本構成にあって、記憶装置RAMに払出作動データと払出エラーデータとを夫々に記憶する払出作動記憶領域と払出エラー記憶領域とを設けたことにより、払出作動データと払出エラーデータとを明確に区別し、チェックサム記憶処理、チェックサム判定処理、復帰払出処理の各処理を効率的かつ安定的に実行できるようにしている。
本構成にあっては、記憶装置RAMに払出作動記憶領域と払出エラー記憶領域とを設けた構成であるが、この他にも、払出作動データや払出エラーデータのいずれにも属さないように設定したデータを記憶する別の記憶領域を設けることも可能である。
尚、本構成にあって外部電源が復帰したときとしては、停電などのように不測の事態により生じた外部電源の遮断から回復したときを示すだけでなく、例えば、遊技店の閉店時などで電源スイッチをOFF作動した後に、次の開店時に電源スイッチをON作動したときを含むものとしても良い。
上述したパチンコ遊技機にあって、払出制御基板の中央処理装置CPUは、前記チェックサム記憶処理で、作動チェックサム値を演算して前記記憶装置RAMに記憶した後に、エラーチェックサム値を演算して前記記憶装置RAMに記憶するようにしている構成が提案される。
上述したように、停電などにより外部電源が遮断されたときには、電力が急激に低下するため不安定となり易い。そのため、チェックサム記憶処理を、外部電源が遮断されたときにできるだけ速やかに実行することにより、適正な処理を行い得る。
かかる構成にあっては、外部電源が遮断されたときの、できるだけ電力が高い状態で、先に作動チェックサム値を算出して記憶するようにしている。これにより、作動チェックサム値の算出と記憶との処理に要する電力をできるだけ安定的に得ることができるから、該作動チェックサム値をより正確かつ安定して算出および記憶することができる。そのため、チェックサム判定処理で、復帰したときの作動チェックサム値と一致するか否かの判定が一層正確となる。尚、仮に、エラーチェックサム値を算出して記憶する処理中に、電力が不安定となり、該エラーチェックサム値を正確に記憶できなかったとしても、復帰払出処理により、正確な作動チェックサム値の判定によって球払出処理が実行されることとなる。すなわち、作動チェックサム値が一致すれば、少なくとも、外部電源が遮断したときに未払いとなった賞球や貸球を正しく払い出すことができ得る。
上述したパチンコ遊技機にあって、払出制御基板の記憶装置RAMは、前記払出作動記憶領域を、各払出作動データを順に記憶する連続したアドレスにより構成すると共に、前記払出エラー記憶領域を、各払出エラーデータを順に記憶する連続したアドレスにより構成しているものが提案される。
かかる構成にあっては、払出作動記憶領域が各払出作動データを連続して記憶した領域としていることから、これら各払出作動データを順に連続して演算することにより作動チェックサム値を得ることができる。同様に、払出エラー記憶領域が各払出エラーデータを連続して記憶した領域としていることから、これら各払出エラーデータを順に連続して演算することによりエラーチェックサム値を得ることができる。そのため、チェックサム記憶処理に要する処理時間を短縮することができる。上述したように、外部電源が遮断したときには急激に電力が低下することから、チェックサム記憶処理の処理時間を短縮できることにより、作動チェックサム値およびエラーチェックサム値を一層正確かつ安定的に算出して記憶することができ得る。
ここで、払出作動記憶領域と払出エラー記憶領域とを連続して設けることにより、チェックサム記憶処理の処理時間を一層短縮することができるため、好適に用い得る。
上述したパチンコ遊技機にあって、前記記憶装置RAMの払出エラー記憶領域に記憶される複数の払出エラーデータを、前記球払出装置による払出作動を実行することなく検出可能な第一払出エラーデータ群と、前記球払出装置による払出作動を実行することにより検出可能な第二払出エラーデータ群とに区別し、復帰払出処理は、遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値が一致しかつ各エラーチェックサム値が異なっていると判定した場合には、球払出処理を実行する前に、第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータを初期化した後、該払出エラーデータを夫々に検出する検出処理を実行し、当該検出処理により第一払出エラーデータ群に属する少なくとも一つの払出エラーデータを検出すると、球払出処理を停止する処理を実行するようにした構成が提案される。
かかる構成にあっては、第一払出エラーデータ群に属する各払出エラーデータが、球払出装置による払出作動を実行せずに検出可能なものであることから、球払出処理の前に、一旦初期化して、所定の検出処理によって夫々に対応したエラーが発生しているか否かを確認するようにしている。これにより、前記払出エラーデータの示すエラーが認められた場合には、球払出処理を実行する前に、該エラーに適切に対処することができ得る。そして、このエラーを解消すれば、払出作動データに従って未払いの賞球や貸球を正しく払い出す。一方、前記払出エラーデータに応じたエラーが発生していなければ、払出作動データに従って未払いの賞球や貸球を直ちに払い出す。
例えば、外部電源を遮断したときに、第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータがそのエラー発生を検出しておらず、遮断中に、電力が不安定となることによって当該払出エラーデータがエラー発生を検出した内容に変化したとする。この場合には、外部電源を復帰したときに、チェックサム判定手段により、復帰したときと遮断したときとの各エラーチェックサム値が一致しないと判断される。この判断に従い、復帰払出処理により、第一払出エラーデータ群に属する各払出エラーデータを初期化した後に、現状でエラーが生じているかを検出する。ここで、第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータに対応するエラーが検出されないことから、これらの払出エラーデータは検出されず、払出作動データに従って球払出処理を実行する。または、第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータがそのエラー発生を検出しており、遮断中に、エラー発生を検出していない内容に変化した場合にあっても、同様である。このように本構成は、例え、第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータに変化が生じていても、現状のエラーの有無を確認してそれに従って遊技を再開できるようになっている。
上述した第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータとして、前記球払出装置へ遊技球が供給されないことを示す球切れエラーデータと、遊技球を貯留する球貯留皿が満杯であることを示す貯留エラーデータとが設定されている構成が提案される。
ここで、球切れエラーデータや貯留エラーデータが夫々に示す各エラーは、球払出装置の作動を伴わず検出可能であるため、その検出処理を球払出処理の実行前に比較的容易に実行することができる。そして、これら各エラーを解消する作業は、遊技店の店員や遊技者によって比較的容易に解消可能である。そのため、外部電源の遮断中に球切れエラーデータや貯留エラーデータが変化した場合にも、これらエラーを比較的容易かつ早期に検出できると共に、仮にエラーが発生していてもこれを容易かつ比較的短時間で解消でき得る。
上述した払出エラーデータを第一払出エラーデータ群と第二払出エラーデータ群とに区別したパチンコ遊技機にあって、復帰払出処理は、遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値が一致しかつ各エラーチェックサム値が異なっていると判定した場合には、前記第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータを初期化して、球払出処理の実行に伴って、該払出エラーデータを検出する検出処理を実行するようにした構成が提案される。
かかる構成にあっては、第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータが、球払出装置の払出作動を実行することにより検出可能なものであるから、エラーチェックサム値のみが一致しなかった場合には、払出エラーデータを初期化した後に球払出処理を実行して、該払出エラーデータの示すエラーが生じているか否かを確認するようにしている。ここで、球払出処理の実行によりエラーが検出されなければ、当該球払出処理が継続して、遊技が再開される。また、エラーが検出された場合には、該エラーに応じて所定の対処を行い、エラーを解消した後に遊技が再開されることとなる。
また、上述した払出エラーデータを第一払出エラーデータ群と第二払出エラーデータ群とに区別したパチンコ遊技機にあって、復帰払出処理は、遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値が一致しかつ各エラーチェックサム値が異なっていると判定した場合には、球払出処理を実行する前に、前記第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータを初期化して、前記球払出装置を駆動制御して所定個数の遊技球を払い出すことにより、該払出エラーデータを検出する検出処理を実行するようにした構成が提案される。
かかる構成にあっては、第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータが、球払出装置の払出作動を実行することにより検出可能なものであるから、エラーチェックサム値のみが一致しなかった場合には、球払出処理を実行する前に、払出エラーデータを初期化した後に球払出装置により所定個数の遊技球を払い出して、払出エラーデータの示すエラー有無を検出するようにしている。そして、球払出処理を実行する前に、エラーの有無を確認でき、エラーがあれば解消することができ得る。すなわち、球払出処理を実行するときには、球払出処理に関する全てのエラーが生じていない状態となる。本構成では、例え、第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータに変化が生じていても、現状のエラーの有無を確認してそれに応じて遊技を再開できるようになっている。
尚、検出処理により払い出された遊技球は、球払出処理で、未払いの賞球や貸球から減算されるようにして、賞球数や貸球数を正しい個数とすることが好適である。
上述した第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータとして、前記球払出装置が遊技球の払出作動を実行しないことを示す球詰エラーデータが設定されてなり、復帰払出処理は、前記球詰エラーデータを初期化後の検出処理で検出すると、球払出装置を所定回数駆動する処理を実行するようにした構成が提案される。
ここで、球詰エラーデータは、球払出装置が球詰まりを生じたことを示すものであり、このような球詰まりが発生すると、賞球や貸球が払い出されなくなる。そのため、復帰払出処理では、球詰エラーデータを検出すると、球払出装置を所定回数駆動することにより、この球詰まりを解消するようにしている。本構成では、例えば、外部電源の遮断中に、球詰エラーデータが変化したとすると、復帰したときにエラーチェックサム値が一致しないことから、この球詰エラーデータを初期化した後に、現状で球詰まりエラーが発生しているか否かを改めて検出するようにしている。
また、前記球払出装置へ遊技球を供給する複数の供給路を備えたパチンコ遊技機にあって、第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータとして、前記各供給路の少なくとも一箇所で遊技球が供給されないことを示す片切れエラーデータが設定されてなり、復帰払出処理は、前記片切れエラーデータを初期化後の検出処理で検出すると、球払出処理の実行を停止する処理を行うようにした構成が提案される。
パチンコ遊技機には、球払出装置へ遊技球を供給する供給路を複数本備えた構成が存在する。これは、供給路のうちの一部で球切れが生じても、その他の供給路から遊技球が供給されるために、球払出装置による払出作動を適正に実行できるようにしている。
かかる構成にあっては、復帰払出処理により、複数の供給路のなかで少なくとも一箇所で球切れが生じていると、片切れエラーデータを検出するようにし、該片切れエラーデータを、第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータとしているものである。例えば、片切れエラーデータが、外部電源の遮断中に変化したとすると、復帰したときにエラーチェックサム値が一致しないことから、この片切れエラーデータを初期化した後に、現状で球詰まりエラーが発生しているか否かを改めて検出するようにしている。
上述したように本発明は、払出制御基板による制御処理であって、外部電源が遮断されたときに、チェックサム記憶処理によって、払出作動データから作動チェックサム値を算出して記憶装置RAMの払出作動記憶領域に記憶すると共に、払出エラーデータからエラーチェックサム値を算出して記憶装置RAMの払出エラー記憶領域に記憶し、外部電源が復帰したときに、チェックサム判定処理により、遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値と各エラーチェックサム値とが夫々に一致するか否かを判定し、エラーチェックサム値のみが一致しなかった場合には、復帰払出処理により、払出エラーデータのみを初期化して球払出処理を実行するようにしたものである。例えば、外部電源が遮断したときや遮断中に、電力が不安定となることによってエラーチェックサム値や払出エラーデータの内容が変化した場合にあっても、外部電源が復帰したときに、作動チェックサム値や払出作動データが変化していなければ、これに従って未払いの賞球や貸球が払い出されるようにしている。そのため、上述した従来構成のように、賞球や貸球数に直接関係しない球詰まりや球貯留皿が満杯である等を示すデータが、外部電源の遮断中に変化した場合にも賞球や貸球までクリアしてしまうことを生じない。したがって、停電などにより外部電源が遮断した場合にも、払出作動データが正しいと判断できないときを除いて、未払いの賞球や貸球を正しく払い出すことができ得る。
また、払出制御基板の中央処理装置CPUが、チェックサム記憶処理で、作動チェックサム値を演算して記憶装置RAMに記憶した後に、エラーチェックサム値を演算して記憶装置RAMに記憶するようにした構成にあっては、外部電源が遮断されたときの電力ができるだけ高い状態で、先に作動チェックサム値を算出して記憶するようにしているから、該作動チェックサム値を正確かつ安定して算出し記憶できるため、チェックサム判定処理による判定も一層正確に行うことができる。したがって、外部電源が遮断した後に復帰したときに、未払いの賞球や貸球を正しく払い出すという上述した本発明の作用効果が高まる。
また、払出制御基板の記憶装置RAMが、その払出作動記憶領域を、各払出作動データを順に記憶する連続したアドレスにより構成すると共に、払出エラー記憶領域を、各払出エラーデータを順に記憶する連続したアドレスにより構成しているものであるとした場合にあっては、チェックサム記憶処理に要する処理時間を短縮することができ、作動チェックサム値およびエラーチェックサム値を正確かつ安定して算出して記憶できる。したがって、外部電源が復帰したときに、払出作動データおよび払出エラーデータを一層正確に確認することができ、未払いの賞球や貸球を正しく払い出すという上述した本発明の作用効果が高まる。
また、復帰払出処理は、遮断したときと復帰したときとの各エラーチェックサム値のみが異なっていた場合には、球払出処理を実行する前に、球払出装置による払出作動を実行することなく検出可能な第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータを初期化した後、この払出エラーデータを夫々に検出する検出処理を実行し、当該検出処理により第一払出エラーデータ群に属する少なくとも一つの払出エラーデータを検出すると、球払出処理を停止する処理を実行するようにした構成にあっては、チェックサム判定処理でエラーチェックサム値が一致しなかった場合に、球払出処理の前に、前記払出エラーデータの表すエラー状態の有無を確認するため、当該エラーの生じてない状態とした後に、正常に未払いの賞球や貸球を払い出すことができ得る。
ここで、第一払出エラーデータ群に属する払出エラーデータとして、前記球払出装置へ遊技球が供給されないことを示す球切れエラーデータと、遊技球を貯留する球貯留皿が満杯であることを示す貯留エラーデータとが設定されている構成にあっては、該球切れエラーデータや貯留エラーデータが夫々に示すエラーが、払出作動を実行することなく検出できかつ解消できるものであるから、外部電源の遮断中にこれらエラーデータが変化したとしても、復帰したときに、これらエラーの検出と解消する作業とを比較的容易に実行できる。したがって、例え、これらエラーが発生していた場合にも、外部電源が復帰してから早期に遊技を再開することができ得る。
また、復帰払出処理は、遮断したときと復帰したときとの各エラーチェックサム値のみが異なっていた場合には、球払出装置による払出作動を実行することにより検出可能な第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータを初期化して、球払出処理の実行に伴って、該払出エラーデータを検出する検出処理を実行するようにした構成にあっては、球払出処理に伴って、前記払出エラーデータの表すエラー状態の有無を確認する処理を行うことにより、復帰したときの処理を短時間化することができ得る。また、チェックサム判定処理でエラーチェックサム値が一致しなかった場合に、エラー有無を確認するため、仮にエラーが生じていても、これに適当に対処することが可能である。
また、復帰払出処理は、遮断したときと復帰したときとの各エラーチェックサム値のみが異なっていた場合には、球払出処理を実行する前に、球払出装置による払出作動を実行することにより検出可能な第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータを初期化して、前記球払出装置を駆動制御して所定個数の遊技球を払い出すことにより、該払出エラーデータを検出する検出処理を実行するようにした構成にあっては、チェックサム判定処理でエラーチェックサム値が一致しなかった場合に、球払出処理を実行する前に、前記払出エラーデータの表すエラー状態の有無を確認する処理を行うことにより、当該エラーの生じていない状態とした後に、正常に未払いの賞球や貸球を払い出すことができ得る。
ここで、第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータとして、前記球払出装置が遊技球の払出作動を実行しないことを示す球詰エラーデータが設定されてなり、復帰払出処理は、前記球詰エラーデータを初期化後の検出処理で検出すると、球払出装置を所定回数駆動する処理を実行するようにした構成にあっては、外部電源の遮断中に球詰エラーデータが変化していた場合に、復帰払出処理により球詰まりエラーが発生していないか否かを確認して、このエラーが発生していると、これを解消して、未払いの賞球や貸球を正しく払い出すことができる。
またここで、球払出装置へ遊技球を供給する複数の供給路を備えたパチンコ遊技機にあって、第二払出エラーデータ群に属する払出エラーデータとして、前記各供給路の少なくとも一箇所で遊技球が供給されないことを示す片切れエラーデータが設定されてなり、復帰払出処理は、前記片切れエラーデータを初期化後の検出処理で検出すると、球払出処理の実行を停止する処理を行うようにした構成にあっては、外部電源の遮断中に片切れエラーデータが変化していた場合に、復帰払出処理により片切れエラーが発生していないか否かを確認して、このエラーが発生していると、これを解消して、未払いの賞球や貸球を正しく払い出すことができる。
本発明にかかる実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
パチンコ遊技機1は、図1,2に示すように、遊技島設備(図示省略)に起立状に固定される外枠2と、該外枠2にヒンジ部材3を介して開閉可能に取り付けられる遊技機本体4とからなる。
遊技機本体4は、ヒンジ部材3を介して外枠2に直接枢着する本体枠5と、本体枠5に脱着可能に装着される遊技盤7とで主に構成されている。さらに、本体枠5には、その前面に前扉6が開閉可能に取り付けられており、該前扉6の前面にガラス板(図示省略)が嵌め込まれた略円形の開口部(図示省略)が形成されている。そして、この開口部から前記した遊技盤7が臨むように設けられている。なお、遊技盤7は、本体枠5(固定設備)に対して脱着可能に固定されるものであり、かかる保持構造は、従来から用いられているものが好適に採用され、詳細は省略する。
また、前扉6の前面には、多数の遊技球が一時的に貯留される上部球貯留皿9が設けられている。さらに本体枠5の前面下部には、遊技球を遊技盤7の遊技領域8へ弾き飛ばす打球発射装置(図示省略)に連繋された操作ハンドル10が配設され、遊技球の打出強度が調節可能となっている。また、操作ハンドル10の左横には、上部球貯留皿9内に遊技球が満杯となった場合に余剰の遊技球が貯留される下部球貯留皿11が設けられている。
遊技盤7の前面には、打球発射装置によって発射された遊技球を遊技盤7の上方部まで案内するガイドレール12が配設されており、このガイドレール12により遊技領域8が区画形成されている。また、遊技領域8のほぼ中央には、液晶表示器を使用した図柄表示装置15が配設されており、該図柄表示装置15の下方には、普通電動役物16が配設されている。さらに、普通電動役物16の下方には開閉蓋18により開閉する大入賞口17が配設されている。その他に、遊技盤7の適宜位置に、複数の一般入賞口19が配設されている。
このようなパチンコ遊技機1には、その外枠2の左側部に球貸ユニット20が隣設されている。この球貸ユニット20は、金額データが記録されたプリペイドカードを投入するものであり、遊技者による球貸要求に基づいて、記憶されている金額データを上限として、貸出金額分に相当する数の遊技球をパチンコ遊技機1が払い出すのと引き換えに、記憶されている金額データから、貸出金額が減算される。球貸ユニット20の正面中央には、カード挿入口(投入口)21が設けられており、該挿入口21から遊技者がプリペイドカードを挿入すると、カード残高が読み取られると共に、挿入口21上方のカード挿入中ランプ22が点灯する。また、カード挿入中ランプ22の上方には、一回の押圧操作に応じて所定の貸出金額に相当する個数の遊技球を払い出す球貸スイッチ23が設けられている。さらに、球貸スイッチ23の上方には、プリペイドカードが挿入可能であることを遊技者に報知するカード利用可ランプ24が設けられる。なお、この球貸ユニット20は、従来から用いられている構成であり、詳細は省略する。
また、図2に示すように、本体枠5の背面側には、当該本体枠5に対して開閉可能な裏機構板13が取り付けられている。この裏機構板13の上部には、球タンク25が配設され、遊技島設備の補給樋から可撓パイプを介して供給される遊技球を受け入れ得るようになっている(図示省略)。この球タンク25の直下には、球タンク25に流入した遊技球を受け入れて下方へ流下させるタンクレール26が配設されている。このタンクレール26には、背面視右方向へ傾斜しており、タンクレール26内の遊技球を前後二列に整列して流下するために、前後二列の整列路(図示省略)が形成されている。
このタンクレール26の下流端には、上下方向に遊技球を流下するケースレール27が接続されている。このケースレール27は、その内部に、遊技球を前後二列で流下する前後二本の流路(図示省略)を備えてなる。そして、ケースレール27の下端に、遊技球を所定個数払い出す球払出装置28が配設されている。すなわち、タンクレール26で前後二列に整列された遊技球は、その二列を維持したままケースレール27を通過して球払出装置28に供給されるようになっている。このように、球タンク25から遊技球を二列で球払出装置28へ供給するタンクレール26およびケースレール27によって、本発明にかかる二本の供給路が形成されている。
上記したケースレール27から前後二列で遊技球が供給される球払出装置28には、上下方向へ連続する螺旋形状の羽根からなる払出スクリュー(図示省略)と、該払出スクリューを回転する駆動モータ29(図3,4参照)とを備えている。そして、前後二列で供給された遊技球は、払出スクリューが所定角度毎に回転することにより、交互に遊技球を下方へ送り出すことができるようになっている。すなわち、駆動モータ29を回動制御することにより、所定個数の遊技球を払い出すことができる。尚、この駆動モータ29には、ステッピングモータを用いている。
このように球払出装置28から払い出された遊技球は、払出路30を通って、上述した上部球貯留皿9へ流出する。さらに、この払出路30の途中には、下部球貯留皿11へ連通するバイパス路(図示省略)が接続されており、上部球貯留皿9が満杯となると、バイパス路を通って下部球貯留皿11へ遊技球が流出するようになっている。
裏機構板13には、複数の基板ケース31が固設されている。この基板ケース31は、後述するように、遊技等を制御するための制御回路を構成する各種制御基板などが内蔵されている。さらに、各基板ケース31の夫々の制御基板を接続する配線ケーブル(図示省略)や電力を供給するための電源デーブル(図示省略)が、所定のコネクタ(図示省略)を介して接続されている。
一方、上述したケースレール27には、その前後二列の流路にそれぞれ、遊技球の通過によりON作動する球切れスイッチS1,S2(図3参照)が配設されている。通常、ケースレール27には、タンクレール26から遊技球が連続して供給されていることから、球切れスイッチS1,S2はON作動が継続している。また、上述した球払出装置28には、その払出スクリューから払い出された遊技球を検知する払出センサS3,S4(図3参照)が配設されている。この払出センサS3,S4は、球払出装置28に前後二列で供給された遊技球が払出スクリューにより送り出される前後位置に夫々に配設されている。すなわち、前後いずれか一方から遊技球が送り出されないと、その払出センサS3又はS4により検出されないのである。
また、上記した下部球貯留皿11へ遊技球が流下するバイパス路(図示省略)の下流端部分に、多量の遊技球が滞留することによりON作動する下皿満杯スイッチS5(図3参照)が配設されている。すなわち、下部球貯留皿11に遊技球が満杯となると、バイパス路の下流端部まで遊技球が溢れるため、下皿満杯スイッチS5がON作動する。
次に、上記した基板ケース31に内蔵された制御基板などから構成された制御回路について説明する。
本実施例の制御回路には、図3に示すように、主制御基板60、払出制御基板61、演出制御基板62、電源基板63が配設されている。主制御基板60は、払出制御基板61と演出制御基板62とに配線ケーブル(図示省略)を介して夫々に接続されており、主制御基板60から発せられたコマンドが、払出制御基板61や演出制御基板62へ送信される。
主制御基板60は、パチンコ遊技機1の遊技を統括的に制御するものである。そして、この主制御基板60には、上述した遊技盤7に配設された普通電動役物16、大入賞口17、一般入賞口19へ流入した遊技球を検知するための各スイッチやセンサ(図示省略)と、普通電動役物16を作動するソレノイドと、大入賞口17を開閉する開閉蓋18を作動するソレノイド(図示省略)とが夫々に盤面中継端子板を介して接続されている。また、主制御基板60には、中央処理装置CPUと記憶装置ROMと記憶装置RAMとが設けられている。ここで、記憶装置ROMには、制御プログラムや各種乱数テーブル等が格納されており、記憶装置RAMには、前記した各スイッチ等のON作動に伴う信号などが一時的に記憶される。中央処理装置CPUは、各スイッチなどのON作動に従って、記憶装置ROMに格納されている制御プログラムに従って制御処理を実行する。そして、その制御処理に従って各ソレノイドを作動したり、上記した払出制御基板61や演出制御基板62に所定のコマンドを発信する。
また、演出制御基板62は、上述した図柄表示装置15で演出する図柄制御や、各種スピーカから音響を発する制御や、各種ランプを発光する制御などを行うものである。そして、この演出制御基板62には、図柄表示装置15で図柄を演出表示する液晶演出表示器と、各種LEDをLED中継端子板を介して発光制御するランプ制御基板64と、スピーカが接続された演出中継端子板とが夫々に接続されている。また、演出制御基板62にも、上述した主制御基板60と同様に、中央処理装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えている。このような演出制御基板62は、主制御基板60から受信した演出制御コマンドに従って、図柄表示装置15による演出、各LEDの発光、スピーカの発音を制御実行する。
また、払出制御基板61は、上記した球払出装置28を駆動制御することにより、賞球や貸球を払い出す払出作動を制御実行するものである。この払出制御基板61には、前扉6が開放された場合にON作動する扉開放スイッチ(図示省略)や上述した下皿満杯スイッチS5が接続されていると共に、払出中継端子を介して、球切れスイッチS1,S2、払出センサS3,S4、払出スクリューを回動する駆動モータ29が接続されている。さらに、球貸装置接続基板66を介して、上述した球貸ユニット20と接続している。この球貸装置接続基板66は、球貸ユニット20の挿入口21に挿入したプリペイドカードから金額データを読み込んだり、球貸スイッチ23の操作により金額データを減算して貸球を設定する処理を行うものである。さらにまた、上述した遊技盤7へ遊技球を発射する打球発射装置(図示省略)を制御する発射制御基板65が接続されている。この発射制御基板65には、操作ハンドル10の操作により作動する各ソレノイドやセンサなどが接続されている。
この払出制御基板61には、中央処理装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMが設けられている。ここで、中央処理装置CPUは、主制御基板60からの払出制御コマンドに従って所定個数の賞球を払い出すために、球払出装置28の払出作動を制御実行したり、球貸ユニット20からの信号に従って、所定個数の貸球を払い出すために、球払出装置28を制御する処理などを行う。また、記憶装置ROMには、球払出装置28による払出作動を制御するプログラムなどが格納されている。また、記憶装置RAMには、上記した各種スイッチやセンサからの信号が一時的に記憶される。この記憶装置RAMは、図5のように、記憶領域、空き領域、スタック領域を備えてなり、各領域に所定のデータを適宜書き込みおよび書き換え可能である。尚、この記憶装置RAMは、本発明の要部にかかり、詳しくは後述する。
さらに、払出制御基板61には、所定のエラー状態を検出した場合に点灯/点滅させるエラー内容表示用黄色LED33とエラー内容表示用赤色LED34とが接続されている。
また、上述した電源基板63は、外部電源から供給された電力を、所定の電圧に変換して、上述した主制御基板60、払出制御基板61、演出制御基板62に送電するものである。図4のように、電源基板63には、外部電源からAC24Vの電流が送電される。そして、このAC24Vを、DC32V、DC12V、DC5Vに変換する回路が夫々配設されている。さらに、過剰の電流が流れないようする過負荷保護回路、リセット回路、停電検出回路、バックアップ用コンデンサ(バックアップ電源)などが配設されている。ここで、停電検出回路は、外部電源から供給される電力が、所定の閾値以下となった場合に、停電であると判断して、その旨を表す信号を主制御基板60、払出制御基板61、演出制御基板62へ送信するものである。また、バックアップ用コンデンサは、外部電源から供給された電力を蓄積し、停電検出回路が停電であると判断した場合に、主制御基板60と払出制御基板61へ、各記憶装置RAM内に記憶されたデータを保持する電力を供給するものである。さらにまた、この電源基板63には、外部電源をON/OFFする切り替えスイッチと、記憶装置RAM内のデータを初期化するRAMクリアスイッチとが接続されている。ここで、RAMクリアスイッチをON作動した状態で切り替えスイッチをON作動すると、外部電源の供給中に、リセット回路により主制御基板60と払出制御基板61の各記憶装置RAMへの電力供給を一時的に停止して、各記憶装置RAM内に記憶されているデータを全て初期化する。
この電源基板63からDC32V、DC12V、DC6Vの各電力を夫々供給された主制御基板60、払出制御基板61、演出制御基板62は、夫々が駆動制御するモータ、スイッチ、センサ、LED、スピーカ、表示装置などに所定の電力を分配する。
このようなパチンコ遊技機1にあって、払出制御基板61が、外部電源が遮断されたときと、その後に外部電源が復帰したときとに行う制御処理について、以下の実施例に従って詳細に説明する。
図5のように、払出制御基板61の記憶装置RAMは、賞球や貸球を払い出すために、払出制御基板61の中央処理装置CPUにより球払出装置28の払出作動を制御する球払出処理に用いる各データが記憶される記憶領域41(7F00H〜7F47H:72byte)と、空き領域42(7F48H〜7FDDH:150byte)と、払出制御基板61の中央処理装置CPUの各種レジスタ値を退避させておくためのスタック領域43(7FDEH〜7FFFH:34byte)とを備えてなる。
上記した記憶領域41は、払出作動記憶領域41a(7F00H〜7F2FH)と、払出エラー記憶領域41b(7F30H〜7F3FH)と、払出情報記憶領域41c(7F40H〜7F47H)とから構成されている。そして、払出作動記憶領域41aと払出エラー記憶領域41bと払出情報記憶領域41cとは順に連続するように、夫々のアドレスが設定されている。ここで、払出作動記憶領域41aには、賞球や貸球の払出個数や球払出装置28を駆動処理するための払出作動データXとして、賞球処理用データx1(5byte)、球貸処理用データx2(8byte)、払出処理用データx3(3byte)、通信処理用データx4(22byte)、モーター駆動処理用データx5(5byte)、入力信号処理用データx6(3byte)、バックアップ処理用データx7(2byte)を記憶する領域が定められており、これらを順に連続して記憶するアドレスが夫々設定されている。また、払出エラー記憶領域41bには、球払出装置28に供給する遊技球や該球払出装置28から払い出された遊技球に関する複数の払出エラーデータYとして、球切れエラーデータy1(2byte)、貯留エラーデータy2(3byte)、払出断線エラーデータy3(4byte)、球詰エラーデータy4(3byte)、片切れエラーデータy5(2byte)、エラー報知処理用データy6(2byte)を記憶する各領域が定められており、これらを順に連続して記憶するアドレスが設定されている。また、払出情報記憶領域41cには、エラー情報取得処理用データz1(3byte)、バックアップ処理用データz2(4byte)が順に連続して記憶されるアドレスが夫々定められている。
次に、上記した払出作動記憶領域41a、払出エラー記憶領域41b、払出情報記憶領域41cに夫々に記憶される各データについて説明する。
(1)賞球処理用データx1
賞球の総払出個数を示すデータ(賞球払出個数バッファ)や、払出動作中に払出センサで検知した遊技球の個数を示すデータ(賞球個数カウンタ)など、受信した賞球数指定の払出制御コマンドに応じて実行される賞球の球払出処理に使用するデータである。
(2)球貸処理用データx2
貸出要求信号(BRQ)を受信したか否かを示すデータ(BRQ判定フラグ)や、球貸動作の処理状態を示すデータ(球貸状態フラグ)など、球貸ボタン操作に応じて実行される貸球の球払出処理に使用するデータである。
(3)払出処理用データx3
連続払出個数(25個)を計測するためのデータ(払出個数カウンタ)や、払出処理が禁止状態か許可状態かを示すデータ(払出状態フラグ)など、賞球や貸球の球払出処理に使用するデータである。
(4)通信処理用データx4
主制御基板60からの払出制御コマンドを格納するデータ(入力コマンドバッファ)や、遊技島設備へ出力するための外部出力信号用データを格納するデータ(外部端子制御出力ポートバッファ)など、外部基板との間でコマンドや信号を送受信する通信制御処理に使用するデータである。
(5)モータ駆動処理データx5
球払出装置28の駆動モータ29(図3参照)を駆動するためのモータ駆動信号を格納するデータ(モーター駆動出力ポートバッファ)や、該駆動モータ29の動作状態を示すデータ(払出フラグ)など、所定のモータ駆動信号を出力して駆動モータ29の駆動制御に使用するデータである。
(6)入力信号処理用データx6
球切れスイッチS1,S2、払出センサS3,S4、下皿満杯スイッチS5、球貸ユニット20からの入力信号に対するエッジデータやレベルデータなど、該入力信号を処理するために使用するデータである。
(7)バックアップ処理用データx7,z2
バックアップ処理用データは、外部電源を遮断したとき又は復帰したときに行う、各データのバックアップ処理に使用するデータである。この中で、外部電源が遮断したときのスタックポインタの値を示すスタックポインタ記憶バッファと、復帰したときに球切れエラーと下皿満杯エラーを通知しない時間を計測するためのディレータイマとを、上記した払出作動記憶領域41aに記憶するようにしている。一方、その他の、電源が遮断されたときにバックアップを行ったか否かを示す停電フラグと、払出作動記憶領域41aに記憶された各払出作動データXを加算した作動チェックサム値Ps,Prと、上記した払出エラー記憶領域41bに記憶された各払出エラー記憶領域41bに記憶された各払出エラーデータYを加算したエラーチェックサム値Qs,Qrとを、上記した払出情報記憶領域41cに記憶するようにしている。
(8)球切れエラーデータy1
球払出装置28へ供給する遊技球が無くなってしまう球切れエラー状態を処理するためのエラーデータであって、球切れエラー状態が発生しているか否かを示す球切れフラグと、球切れエラー状態の継続時間を計測するための球切れスイッチ入力バッファとからなる。ここで、球切れエラー状態は、上記した球切れスイッチS1,S2の両者がOFFとなっていることにより確認される。
(9)貯留エラーデータy2
下部球貯留皿11が満杯となった下皿満杯エラー状態を処理するためのエラーデータであって、下皿満杯エラー状態が発生しているか否かを示す下皿満杯フラグと、下皿満杯エラー状態の継続時間を計測するための下皿満杯スイッチ入力バッファとからなる。ここで、下皿満杯エラー状態は、上記した下皿満杯スイッチS5がON作動していることにより確認される。
(10)払出断線エラーデータy3
払出断線エラー状態を処理するためのデータであって、払出センサS3,S4での払出断線エラー状態を計測して監視するための払出センサタイマからなる。
(11)球詰エラーデータy4
球詰まりエラー状態を処理するためのデータであって、払出センサS3,S4による払出球の検知間隔を計測して球詰まり状態を監視するための払出球監視タイマと、球詰まりエラー状態を判定してから駆動モータ29を駆動するリトライ回数を計数するためのリトライカウンタとからなる。
(12)片切れエラーデータy5
片切れエラー状態を処理するためのデータであって、払出センサS3,S4のいずれか一方で連続して払い出された遊技球の個数を計測することにより片切れエラー状態を監視するための片切れカウンタからなる。
(13)エラー報知処理用データy6
エラー報知処理用データは、払出異常フラグと異常状態表示タイマとからなる。ここで、払出異常フラグは、各種エラー状態を出力又は表示処理するためのデータであって、球切れエラー状態、下皿満杯エラー状態、球詰まりエラー状態、払出断線エラー状態、片切れエラー状態を示す情報(bit)からなる各種エラー状態を示している。また、異常状態表示タイマは、球切れエラー状態、下皿満杯エラー状態を検出した場合に点灯/点滅するエラー内容表示用黄色LED33(図3参照)と、球詰まりエラー状態、払出断線エラー状態、片切れエラー状態を検出した場合に点灯/点滅するエラー内容表示用赤色LED34(図3参照)との各点灯/点滅時間を計測するためのものである。
(14)エラー情報取得処理用データz1
外部電源が復帰したときにエラー情報を取得する処理を行うためのデータであって、エラー情報の取得処理を実行していることを示すエラー情報取得フラグと、エラー情報取得処理の処理時間を計測するためのエラー情報取得監視タイマとを有している。
ここで、払出エラー記憶領域41bに記憶する複数の払出エラーデータYにあって、上記した球切れエラーデータy1と貯留エラーデータy2と払出断線エラーデータy3とを第一払出エラーデータ群Y1とし、上記した球詰エラーデータy4と片切れエラーデータy5とを第二払出エラーデータ群Y2としている。第一払出エラーデータ群Y1の各データy1〜y3が夫々に示すエラー状態は、球払出装置28を駆動することなく検出可能であり、また、第二払出エラーデータ群Y2の各データy4,y5が夫々に示すエラー状態は、球払出装置28を駆動して遊技球を払い出すことにより検出可能となっている。
次に、外部電源が遮断されたときに、払出制御基板61がその記憶装置RAMの各データを記憶する処理について説明する。
停電の発生に伴って外部電源が遮断されると、電力が急激に降下する。このとき、予め定められた閾値以下に電力が降下すると、上記した電源基板63の停電検出回路が停電と判断して停電発生を表す信号を払出制御基板61へ発信する。この信号を受信すると、払出制御基板61は、停電フラグをONし、その記憶装置RAMの払出作動記憶領域41aに記憶している各払出作動データX(賞球処理用データx1、球貸処理用データx2、払出処理用データx3、通信処理用データx4、モータ駆動処理用データx5、入力振動処理用データx6、バックアップ処理用データx7)を、当該領域の上のアドレスから順に加算していき、その累積和である作動チェックサム値Ps(図5参照)を算出する。そして、この作動チェックサム値Psを、記憶装置RAMの払出情報記憶領域41cに記憶する。
作動チェックサム値Psの算出および記憶を終了した後に、払出制御基板61は、その記憶装置RAMの払出エラー記憶領域41bに記憶している各払出エラーデータY(球切れエラーデータy1、貯留エラーデータy2、払出断線エラーデータy3、球詰エラーデータy4、片切れエラーデータy5、エラー報知処理用データy6)を、当該領域の上のアドレスから順に加算していき、その累積和であるエラーチェックサム値Qs(図5参照)を算出する。そして、このエラーチェックサム値Qsを、記憶装置RAMの払出情報記憶領域41cに記憶する。
ここで、外部電源が遮断したときに、作動チェックサム値Ps、エラーチェックサム値Qsを夫々に算出して記憶する処理が、本発明にかかるチェックサム記憶処理である。
そして、払出制御基板61は、その記憶装置RAMへのアクセスを禁止する処理を行う。また、外部電源が遮断されている期間中にあっては、上述したように、電源基板63のバックアップ用コンデンサからバックアップ用の電力が記憶装置RAMに供給されて、該記憶装置RAM内のデータを保持するようになっている。
次に、外部電源が復帰したときに、払出制御基板61が実行する処理について説明する。
停電が終わると、外部電源が復帰して電源基板63を介して払出制御基板61への電力供給が開始される。これに従って、払出制御基板61では、先ず、図6に示すリセット処理を実行する。上記した停電フラグがONであることを確認すると、記憶装置RAMの払出情報記憶領域41cに記憶されている作動チェックサム値Psを読み込むと共に、払出作動記憶領域41aに記憶されている各払出作動データXを順に加算して新たに作動チェックサム値Prを算出する。そして、遮断したときの作動チェックサム値Psと復帰したときの作動チェックサム値Prとを比較して一致しているか否かを判定する。
ここで、仮に作動チェックサム値Ps,Prが一致しなかった場合には、通常の電源投入時処理へ移行する。この電源投入時処理とは、遊技店の開店時に電源をONしたときに実行される処理であり、全てのデータを初期化して新たな遊技をスタートするための処理である。この場合には、正しい払出作動データXが記憶されていないと判断して、当該記憶装置RAMに記憶されている全データを初期化する。すなわち、遮断したときに賞球や貸球が払い出されることとなっていた場合にあって、これら賞球や貸球のデータが消滅し、該賞球や貸球を遊技者は獲得できないこととなる。尚、この電源投入時処理は、一般的に用いられているものを適用でき、詳細については省略する。
上記した作動チェックサム値Ps,Prを判定した結果、両者が一致していた場合には、払出情報記憶領域41cに記憶されているエラーチェックサム値Qsを読み込むと共に、払出エラー記憶領域41bに記憶されている各払出エラーデータYを順に加算して新たなエラーチェックサム値Qrを算出する。そして、遮断したときのエラーチェックサム値Qsと復帰したときのエラーチェックサム値Qrとを比較して一致しているか否かを判定する。
ここで、エラーチェックサム値Qs,Qrが一致していた場合には、図7に示す復帰払出設定データを取得する。この復帰払出設定データは、停電フラグをOFFとし、作動チェックサム値Ps,Prとエラーチェックサム値Qs,Qrとをクリアし、エラー情報取得フラグをOFFとし、エラー情報取得監視タイマを「0」として設定するものである。この場合には、当該リセット処理の終了後に、後述するメイン処理(図9参照)へ移行して、エラー情報取得フラグがOFFであることから、記憶装置RAMに記憶されているデータを用いて球払出処理を実行する。尚、エラー情報取得フラグは、払出エラーデータYが変化したことを示すものであり、メイン処理にあって、上記した第一払出エラーデータ群Y1の払出エラーデータy1〜y3が示すエラー状態を確認する第一エラーデータ取得処理へ移行するために用いられる。
一方、エラーチェックサム値Qs,Qrが一致していない場合には、図8に示すエラー検出設定データを取得する。このエラー検出設定データでは、停電フラグをOFFとし、作動チェックサム値Ps,Prとエラーチェックサム値Qs,Qrとをクリアすると共に、エラー情報取得フラグをONし、エラー情報取得監視タイマを「1000ms」に設定する。さらに、球切れフラグ、下皿満杯フラグ、払出異常フラグをOFFとし、各タイマやカウンタを所定数に設定する。すなわち、このエラー検出設定データを取得することにより、各払出エラーデータYが初期化される。
尚ここで、外部電源が復帰したときに、作動チェックサム値Prおよびエラーチェックサム値Qrを算出して、遮断したときの作動チェックサム値Psとエラーチェックサム値Qsと夫々に比較して一致するか否かの判定を行う処理が、本発明にかかるチェックサム判定処理である。
上述したリセット処理を終了すると、図9に示すメイン処理に移行する。メイン処理では、上記したエラー情報取得フラグがONであるか否かを判定する。ここで、エラー情報取得フラグがOFFの場合(作動チェックサム値Ps,Prおよびエラーチェックサム値Qs,Qrが夫々に一致した場合)には、出力処理へ移行する。この出力処理以降に実行される各処理は、一般的に賞球や貸球を払い出すために行われている処理であり、詳細は省略する。尚、メイン処理にあって、この出力処理から球貸出力設定処理までを総合して、本発明にかかる球払出処理としている。
また、エラー情報取得フラグがONである場合(作動チェックサム値Ps,Prが一致しかつエラーチェックサム値Qs,Qrが一致しなかった場合)には、図10に示す第一エラー情報取得処理へ移行する。この第一エラー情報取得処理は、上述した第一払出エラーデータ群Y1に属する球切れエラーデータy1により示される球切れエラー状態と、貯留エラーデータy2により示される下皿満杯エラー状態と、払出断線エラーデータy3により示される払出断線エラー状態をと夫々に確認する処理である。そして、この処理は、外部電源が復帰したときに1回だけ実行される。
第一エラー情報取得処理では、上記した球切れスイッチS1,S2、払出センサS3,S4、下皿満杯スイッチS5を、所定監視時間(エラー情報取得監視タイマ:2秒間)に亘って監視する。ここで、払出センサS3,S4がそれぞれ遊技球を500ms(図8の払出センサタイマ)間継続して検出した場合には、払出断線エラー状態と判定して払出断線エラーデータy3をエラー有りに設定する。また、球切れスイッチS1,S2の両者が500ms(図8の球切れスイッチ入力バッファ)間継続してOFFであると、球切れエラー状態と判定して球切れエラーデータy1をエラー有りに設定する。また、下皿満杯スイッチS5が1000ms(図8の下皿満杯スイッチ入力バッファ)間継続してONであると、下皿満杯エラー状態と判定して貯留エラーデータy2をエラー有りに設定する。
そして、払出断線エラーデータy3、球切れエラーデータy1、貯留エラーデータy2の示す各エラー状態が発生していることを確認した場合には、それぞれに対応するエラー処理(図示省略)へ移行する。ここで、各エラー処理について簡単に説明する。払出断線エラー状態である場合には、エラー内容表示用黄色LED33(図3参照)とエラー内容表示用赤色LED34(図3参照)とを点灯させると共に、球払出処理の実行の可否を示す払出フラグを払出禁止に設定し、直ちに払出作動を停止させる処理を行う。また、球切れエラー状態である場合には、エラー内容表示用赤色LED34のみを点滅させると共に、前記した払出フラグを払出禁止に設定し、直ちに払出作動を停止させる処理を行う。また、下皿満杯エラー状態の場合には、エラー内容表示用黄色LED33のみを点滅すると共に、前記した払出フラグを払出禁止に設定し、直ちに払出作動を停止させる処理を行う。
このように球払出装置28による払出作動を停止すると共に、エラー内容表示用黄色LED33、エラー内容表示用赤色LED34によりエラー発生を報知することにより、遊技店の店員又は遊技者にエラーを解消することを促す。そして、エラーが解消されると、第一エラー情報取得処理に戻って、エラー情報取得フラグをOFFとする。そして、メイン処理に戻る。
尚、上述した第一エラー情報取得処理で、球切れエラー、払出断線エラー、下皿満杯エラーのいずれも検出されない場合には、エラー処理を行わずにエラー情報取得フラグをOFFとして、メイン処理に戻る。
メイン処理に戻ると、エラー情報取得フラグがOFFであることから、出力処理に移行して球払出処理を実行する。この球払出処理にあって、遊技枠スイッチ処理では、球切れスイッチS1,S2、払出センサS3,S4、下皿満杯スイッチS5の状態を監視する処理を行う。そして、この遊技枠スイッチ処理で、図11に示す片切れエラー検出処理を行う。この片切れエラー検出処理は、球払出処理中に通常に実行する処理であり、当該球払出処理を進行していく過程で球払出装置28の駆動モータ29を駆動制御して遊技球の払出作動を実行した場合に、払出センサS3,S4が遊技球を検知するか否かを確認する。そして、払出センサS3,S4のいずれか一方だけで連続5個以上の遊技球を検知すると、片切れエラー状態と判定して片切れエラーデータy5をエラー有りに設定する。これにより、片切れエラー処理に移行する。このエラー処理では、エラー内容表示用赤色LED34(図3参照)のみを点灯すると共に、球払出処理の実行を可否を示す払出フラグを払出禁止に設定し、直ちに払出作動を停止させる。これにより、遊技店の店員又は遊技者がエラーを解消することを促す。そして、エラーが解消されると、遊技枠スイッチ処理へ戻る。尚、片切れエラーを検出しない場合には、当該球払出処理を継続する。
また、メイン処理で球払出処理が進行して、払出動作処理が実行される。この払出動作処理で、図12のように、球払出装置28の駆動モータ29の駆動状態を検出する球詰エラー検出処理を行う。この球詰エラー検出処理は、上記した払出センサS3,S4で連続した検出した遊技球を計数して、球詰まりエラーが発生しているか否かを検出する。そして、この球詰エラー検出処理は、球払出処理中に通常に実行する処理であり、当該球払出処理を進行していく過程で払出センサS3,S4でそれぞれ300ms間に遊技球を検出できないと、再度駆動モータ29を1回作動するリトライ処理を行い、連続して2回のリトライ処理を実施しても遊技球を検出できない場合に、球詰まりエラー状態と判定する。そして、球詰エラーデータy4をエラー有りに設定し、エラー内容表示用黄色LED33(図3参照)のみを点灯すると共に、前記したリトライ処理を繰り返す。これにより、球詰まりエラー状態の発生を報知して、該エラーの解消を促す。その後、球詰まりエラー状態が解消されると、払出作動処理に戻る。尚、球詰まりエラーを検出しない場合には、当該球払出処理を継続する。
このように、メイン処理にあって、球払出処理により、賞球および貸球の払い出しに伴って片切れエラーおよび球詰まりエラーが発生しているか否かを確認する。そして、いずれかのエラーが発生していれば、各エラーに対処するエラー処理を実行し、また、エラーが発生していなければ、そのまま球払出処理を継続するようになっている。
本実施例1にあって、パチンコ遊技機1で遊技者が遊技中に、停電により外部電源が遮断した状態を想定する。さらに、この停電したときの遊技状態が、上記した大入賞口17を開閉する大当り遊技の途中であって、下部球貯留皿11が満杯となって下皿満杯スイッチS5がON作動したために、10個の賞球の払い出しが停止している状態としている。この状態では、上記した賞球処理用データx1が、10個の賞球が有ることとを示すと共に、上記した貯留エラーデータy2が、下部球貯留皿11が満杯であることを示している。そして、当該賞球処理用データx1、貯留エラーデータy2が記憶装置RAMに記憶されており、夫々が上述した作動チェックサム値Psとエラーチェックサム値Qsとを算出する要素となっている。
停電により外部電源が遮断したときには、電力が急激に低下して不安定となり易い。また、外部電源が遮断している期間は、上述したバックアップ用コンデンサから、記憶装置RAMに、そこに格納されているデータを保持する電力が供給される。このバックアップ用コンデンサの電力は弱くために不安定となり易い。このように、外部電源が遮断したとき、又は遮断中に、電力が不安定となることにより、貯留エラーデータy2がエラーを発生していない内容に変化したとする。尚、外部電源の遮断中に、下部球貯留皿11が満杯となっている下皿満杯エラーはそのまま保たれている(解消されていない)とする。
そして、外部電源が復帰すると、上述したように、リセット処理(図6参照)が実行される。このリセット処理にあって、遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値Ps,Prは一致するものの、エラーチェックサム値Qs,Qrは、貯留エラーデータy2が変化したために一致しない。そのため、図8に示すエラー検出設定データを取得し、各払出エラーデータYが初期化される。尚、払出作動データXは、遮断したときのデータが残るため、10個の賞球が存在することを示す賞球処理用データx1も保持される。
次にメイン処理(図9参照)へ移行すると、エラー情報取得フラグがONであることから、第一エラー情報取得処理(図10参照)へ移行する。この第一エラー情報取得処理では、上述したように、球切れエラー状態と下皿満杯エラー状態と払出断線エラー状態とを夫々に確認する。ここで、下部球貯留皿11が満杯となって下皿満杯スイッチS5がON作動していることから、下皿満杯エラーが発生していることを検出する。これに従って、貯留エラーデータy2を下部球貯留皿11が満杯であることを示す内容とし、下皿満杯エラーに対処するエラー処理(図示省略)に移行する。このエラー処理では、上述したように、エラー内容表示用黄色LED33のみを点滅すると共に、前記した払出フラグを払出禁止に設定し、直ちに払出作動を停止させる処理を行う。そして、エラー内容表示用黄色LED33の点滅する報知により、遊技者や遊技店の店員が下部球貯留皿11内の遊技球を球箱へ移す作業などをすることによって、下皿満杯エラー状態を解消する。これにより、下皿満杯スイッチS5がOFF作動すると、貯留エラーデータy2を下皿満杯エラーが生じていない内容となる。
また、球切れエラー状態と払出断線エラー状態とは検出されないことから、上記した下皿満杯エラーが解消されたことにより、エラー情報取得フラグをOFFとしてメイン処理へ戻る。そして、球払出処理が実行される。この球払出処理にあっては、払出作動データXに従って賞球の払い出しが行われ、この払い出しに伴って片切れエラー状態と球詰まりエラー状態とを確認する処理を行う。ここで、いずれのエラー状態も検出されないことから、10個の賞球が順次正しく払い出されることとなる。こうして遊技が再開される。
このように、外部電源の遮断中に貯留エラーデータy2が、下皿満杯エラーが発生している内容から発生していない内容に変化した場合にあっても、復帰したときに、各エラー状態を確認することにより下皿満杯エラーを検出し、該エラーに応じたエラー処理を実行する。そして、下皿満杯エラーが解消されると、遮断したときに残っていた賞球を正しく払い出すようになっている。
尚、上記した球切れエラーデータy1や払出断線エラーデータy3が、外部電源の遮断中に変化した場合にあっても、同様であり、また、賞球の個数が異なる場合、貸球の場合のいずれでも同様の処理が実行されて、上述した作用効果を生じ得る。
また、本実施例1にあっては、エラーチェックサム値Qs,Qrとが一致しなければ、第二払出エラーデータ群Y2とした球詰エラーデータy4および片切れエラーデータy5も一旦初期化した後、通常の球払出処理中に球詰まりエラーや片切れエラーの発生有無を確認する処理を実行するようにしている。すなわち、球詰まりエラー状態や片切れエラー状態が例え発生していても、一旦これらエラーがないものとして、球払出処理を実行する。そのため、この球払出処理中では、処理過程と実際の遊技状態とが異なっている場合もあり得るが、これらエラーを検出するまでに要する時間は、極めて短時間(300ms又は500ms)であるため、遊技者にとっては実質的に問題ない。そして、球詰まりエラーや片切れエラーの発生が確認されれば、上述したように、各エラーに応じた処理が実行され、該エラーを解消した後に、賞球の残余分が正しく払い出される。
また、上述した本実施例にあって、本発明にかかる復帰払出処理は、そのリセット処理において、各作動チェックサム値Ps,Prと各エラーチェックサム値Qs,Qrとが夫々に一致してメイン処理の球払出処理へ移行する処理と、各作動チェックサム値Ps,Prが一致しかつ各エラーチェックサム値Qs,Qrが一致しない場合に、各払出エラーデータYを初期化して、メイン処理の第一エラー情報取得処理を介して球払出処理へ移行し、各払出エラーデータYの示す夫々のエラー状態の有無を確認する処理とを備えている。さらに、この復帰払出処理は、各作動チェックサム値Ps,Prが一致せずに電源投入時処理へ移行する処理をも備えている。
実施例2は、図15に示すメイン処理にあって、第一エラー情報取得処理後に、上述した片切れエラー状態および球詰まりエラー状態を確認するための第二エラー情報取得処理を設定し、球払出処理を実行する前に全てのエラーを確認して解消できるようにしたものである。すなわち、本実施例2は、上述した実施例1に比して、メイン処理に第二エラー情報取得処理を加えたものである。
上述した実施例1と同様に、停電などにより外部電源が遮断された場合には、払出制御基板61では、作動チェックサム値Psとエラーチェックサム値Qsとを算出して記憶するチェックサム記憶処理が実行されて、記憶装置RAMへのアクセスを禁止する処理が行われる。その後、外部電源が復帰したときには、上述した実施例1と同様にリセット処理(図6参照)が実行される。このリセット処理で、外部電源が遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値Ps,Prおよび各エラーチェックサム値Qs,Qrが夫々に一致した場合には、図13に示す復帰払出設定データを設定する。本実施例2の復帰払出設定データとしては、上述した実施例1の場合に、第一エラー取得フラグ、第二エラー取得フラグ、払出個数設定フラグを追加しており、これらを全てOFFとしている。ここで、第一エラー取得フラグは、後述する第一エラー情報取得処理の実行有無を決めるための指標であり、第二エラー取得フラグは、後述する第二エラー情報取得処理の実行有無を決めるための指標である。さらに、払出個数設定フラグは、第二エラー情報取得処理にあって、エラー状態を検出するために遊技球を所定個数払い出す処理に用いる指標である。
一方、外部電源が遮断したときと復帰したときとで、各作動チェックサム値Ps,Prは一致したが、各エラーチェックサム値Qs,Qrが一致しなかった場合には、図14に示すエラー検出設定データを設定する。本実施例2のエラー検出設定データとしては、上述した実施例1の場合に、上記した第一エラー取得フラグをONとし、第二エラー取得フラグと払出個数設定フラグとをOFFとして追加したものである。
そして、リセット処理を終了すると、図15に示すメイン処理に移行する。メイン処理では、上記したエラー情報取得フラグがONであるか否かを判定する。ここで、エラー情報取得フラグがOFFの場合(復帰払出設定データを取得している場合)には、球払出処理(出力処理以降の各処理)へ移行する。
また、エラー情報取得フラグがONである場合(エラー検出設定データを取得している場合)には、上記した第一エラー取得フラグのON/OFFを確認する。ここで、第一エラー取得フラグはONであるから、図16に示す第一エラー情報取得処理へ移行する。
本実施例2の第一エラー情報取得処理は、上述した実施例1と同様に、第一払出エラーデータ群Y1に属する球切れエラーデータy1により示される球切れエラー状態と、貯留エラーデータy2により示される下皿満杯エラー状態と、払出断線エラーデータy3により示される払出断線エラー状態とを夫々に確認する処理である。そして、これらエラーが発生していた場合には、上述した実施例1と同様のエラー処理が実行される。また、エラーが発生していない場合、又はエラー処理を実行した後に当該エラーが解消した場合には、第一エラー取得フラグをOFFとすると共に、第二エラー情報取得フラグをONとする。
このように第一エラー情報取得処理が終了すると、図15に示すメイン処理に戻る。このときには、上記したように第一エラー取得フラグがOFFであるため、第一エラー情報取得処理へは移行せずに、第二エラー取得フラグのON/OFFを確認する。ここで、第二エラー取得フラグがONであることから、図17に示す第二エラー情報取得処理へ移行する。
第二エラー情報取得処理は、所定個数(最大5個)の遊技球を連続して払い出すことにより、上述した第二払出エラーデータ群Y2に属する球詰エラーデータy4により示される球詰まりエラー状態と、片切れエラーデータy5により示される片切れエラー状態とを夫々に確認する処理である。すなわち、先ず未払いの払い出し個数が在るか否かを賞球払出バッファおよび払出個数カウンタにより確認する。ここで、未払いが無ければ、片切れエラー状態や球詰まりエラー状態は発生していないため、エラー情報取得フラグをOFFとして当該第二エラー情報取得処理を終了する。一方、未払いが存在していれば、払出モータ駆動処理により未払出個数のうちの5個の遊技球を連続して払い出す。この払出モータ駆動処理に伴って、上述した実施例1と同様の片切れエラー検出処理(図11参照)と球詰エラー検出処理(図12参照)を行うことにより、片切れエラーおよび球詰まりエラーを検出する。そして、片切れエラー、球詰まりエラーが発生していた場合には、上述した実施例1と同様にそれぞれに応じたエラー処理を実行する。このエラー処理の後にエラーが解消された場合や、エラーを検出しなかった場合には、エラー情報取得フラグをOFFとして第二エラー情報取得処理を終了する。
尚ここで、賞球払出個数バッファは、上述したように賞球の総払出個数を示すものであり、第二エラー情報取得処理にあって、払出制御コマンドや球貸指示に基づいた未払出分の遊技球個数を示すデータとなっている。また、払出個数カウンタは、上述したように、払出動作中に払出センサで検知した遊技球の個数を示すものであり、第二エラー情報取得処理にあって、連続して遊技球を払い出す個数を示すデータ(最大25個)となっている。そして、第二エラー情報取得処理では、賞球払出個数バッファから払出個数カウンタに逐次割り当てることで、払出個数カウンタ分づつ連続的に遊技球を払い出すように制御処理している。
このように第二エラー情報取得処理を終了すると、図15に示すメイン処理へ戻る。メイン処理では、エラー情報取得フラグがOFFであることから、球払出処理(出力処理以降の各処理)が実行される。尚、この球払出処理では、上記した第二エラー情報取得処理で払い出した遊技球の個数分を減算した残りの賞球や貸球が払い出される。このようにして、遊技が再開される。
本実施例2にあって、例えば、上述した実施例1と同様に、外部電源が遮断したときに、10個の賞球が存在していると共に、下部球貯留皿11が満杯となって下皿満杯エラー状態となっていたとする。そして、外部電源の遮断中に、バックアップ用コンデンサから供給されている電力が不安定となることにより、記憶装置RAM内に保持されている貯留エラーデータy2が、下部貯留皿11が満杯でないことを示す内容に変化したとする。
外部電源が復帰したときには、リセット処理により、遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値Ps,Prが一致しかつ各エラーチェックサム値Qs,Qrが一致しないことから、エラー検出設定データが設定される。そして、メイン処理から第一エラー情報取得処理へ移行して、下皿満杯エラー状態が発生していることを確認する。これにより、下皿満杯エラーに対処するエラー処理へ移行する。その後、下皿満杯エラーが解消されると、メイン処理へ戻る。そして、第二エラー情報取得処理へ移行して、未払いの賞球が存在していることから、5個の遊技球を連続して払い出して片切れエラーと球詰まりエラーが無いことを確認する。この第二エラー情報取得処理を終了後に、メイン処理に戻って球払出処理が開始される。但し、この球払出処理では、既に第二エラー情報取得処理で5個の遊技球を払い出していることから、ここでは残り5個の賞球が払い出されることとなる。このように、例え、外部電源が遮断したときと復帰したときとで、エラーチェックサム値Qs,Qrが一致しなくとも、作動チェックサム値Ps,Prが一致していれば、賞球や貸球を正しく払い出すようになっている。
この実施例2にあっては、第二払出エラーデータ群Y2に属する片切れエラーと球詰まりエラーとを確認する第二エラー情報取得処理を、球払出処理の実行前に行うようにしたことにより、球払出処理を実行する前に、全てのエラーが解消されるようにした構成である。
本実施例2にあっては、上述したように、第二エラー情報取得処理を球払出処理の前に設定すると共に、それに応じて各種フラグをON/OFFする処理を行うようにした以外は、上述した実施例1と同様に制御処理を行う構成である。そのため、実施例1と同じ構成には、同じ符号を記し、また同じ処理ではその説明を適宜省略している。
尚、この実施例2にあっても、外部電源が遮断されたときに、作動チェックサム値Psとエラーチェックサム値Qrとを算出して記憶する処理が、本発明にかかるチェックサム記憶処理である。また、外部電源が復帰したときに、リセット処理により、作動チェックサム値Prを算出して、遮断したときに記憶した作動チェックサム値Psと一致するか否かの判定をすると共に、エラーチェックサム値Qrを算出して、遮断したときのエラーチェックサム値Qsと一致するか否かの判定をする処理が、本発明にかかるチェックサム判定処理である。また、このチェックサム判定処理で作動チェックサム値Ps,Prとエラーチェックサム値Qs,Qrとが夫々に一致した場合に、メイン処理で球払出処理を実行する処理と、エラーチェックサム値Qs,Qrのみが一致せずに第一エラー情報取得処理および第二エラー情報取得処理を行った後に球払出処理を実行する処理とが、本発明にかかる復帰払出処理である。
上述した実施例1,2は、遊技中に外部電源が遮断されたときに行うチェックサム記憶処理と、後に復帰したときに行うチェックサム判定処理(リセット処理)とで、未払いの賞球や貸球の個数や球払出装置28の駆動に関する払出作動データXと、球払出装置28の前後で遊技球を検知することによりエラー有無を確認する複数の払出エラーデータYとについて、それぞれでチェックサム値を算出して夫々に判定し、該判定に従って復帰払出処理(メイン処理、第一エラー情報取得処理、第二エラー情報取得処理)を行うようにした構成である。この構成によれば、払出作動データXが正確に記憶されてさえいれば、払出エラーデータYの示すエラーの有無に関わらず、未払いの賞球や貸球が正しく払い出される。そのため、例えば、上述したように、外部電源が遮断したときや遮断中に電力が不安定となることにより、払出エラーデータYやエラーチェックサム値Qsが誤った内容となってしまった場合にも、遮断したときに未払いとなっていた賞球や貸球を正しく払い出すことができると共に、復帰したときにエラーが発生しているか否かを再確認して遊技を再開することができる。
また、払出エラーデータYが変化していた場合(エラーチェックサム値Qs,Qrが一致しなかった場合)には、各払出エラーデータYを初期化して、現状でのエラー状態を確認する処理を行うようにしている。そのため、復帰したときにエラーの有無を正しく確認でき、エラーが発生していれば、それに応じた対応を適切に実施することができるようになっている。
尚、本実施例1,2にあっては、外部電源が遮断したときと復帰したときとの各作動チェックサム値Ps,Prが一致しなければ、全ての払出作動データXおよび払出エラーデータYを初期化するようにしている。ここで、払出作動データXには、上述したように、賞球や貸球の個数データを備えており、当該データが不正に改ざんされた場合、不正な賞球や貸球が払い出されることとなる。すなわち、不正を行う者にとっては、最も効率的に不正を行い易いデータである。そのため、本発明では、外部電源の遮断中に正しい払出作動データXが記憶されていないと判断すると、その原因に関わらず、全データを初期化して、不正な利益が払い出されることを防止するようにしている。
さらに、払出制御基板61の記憶装置RAMには、複数の払出作動データXを夫々記憶する各アドレスが連続するように設定した払出作動記憶領域41aを設け、複数の払出エラーデータYを記憶する各アドレスが連続するように設定した払出エラー記憶領域41bを設けると共に、払出作動記憶領域41aを当該記憶装置RAMの上の領域とし、該払出作動記憶領域41aの下の領域に払出エラー記憶領域41bを設けている。これにより、外部電源が遮断して急激に電力が低下する状態にあって、賞球個数や球払出装置28の駆動制御などに用いる複数の払出作動データXから作動チェックサム値Psを算出して記憶することと、球払出装置28の前後で遊技球を検知することによりエラー有無を確認する複数の払出エラーデータYからエラーチェックサム値Qsを算出して記憶することとを順に比較的短時間で行うことができ得る。ここで、作動チェックサム値Psは、電流が高いために比較的安定している間に算出して記憶できることから、これら処理の正確性や安定性が高い。そのため、外部電源が復帰したときに、少なくとも作動チェックサム値Ps,Prを判定する処理は正しく実行されることとなり得る。尚、例え、電力が不安定な状態で算出して記憶したエラーチェックサム値Qsが、誤った値として記憶されたとしても、外部電源が復帰したときに、これら払出エラーデータYの示す各エラー状態を初期化して改めて確認する処理(第一エラー情報取得処理、第二エラー除法取得処理など)を実行することから、正しく遊技を再開することができる。
上述した実施例1,2にあっては、払出作動データXを記憶する払出作動記憶領域41aに、入力処理用データやバックアップ処理用データを含むようにして、これらを含めて作動チェックサム値を算出するようにした構成であるが、その他の構成として、チェックサム記憶処理の処理時間を短縮するように、入力処理用データやバックアップ処理用データを、チェックサム値の算出対象外とする払出情報記憶領域41cに記憶する構成とすることもできる。このように、払出作動記憶領域41aに記憶するデータや、払出エラー記憶領域41bに記憶するデータについては、チェックサム値を算出する処理時間と記憶領域とのバランスにより、適宜設定することが可能である。
また、上述した実施例1,2にあって、第一払出エラーデータ群Y1に属するデータ(球切れエラーデータy1、貯留エラーデータy2、払出断線エラーデータy3)の示すエラー状態の有無については、球払出処理に移行して遊技が再開した後でも、該球払出処理内で各スイッチ、センサを監視することにより随時確認する処理を行う構成とすることが好適である。同様に、実施例2にあって、第二払出エラーデータ群Y2に属するデータ(球詰エラーデータy4、片切れエラーデータy5)の示すエラー状態の有無についても、球払出処理内で各スイッチ、センサを監視することにより随時確認する処理を行う構成とすることが好適である。
また、上述した実施例2にあっては、第二エラー情報取得処理で遊技球5個を連続して払い出して片切れエラー状態を検出する構成であるが、その他に、払い出す遊技球の個数を変更した構成(例えば、3個や10個など)や、所定時間(例えば、1000msなど)だけ遊技球を連続して払い出すようにした構成としても良い。
また、上述した実施例1,2にあっては、払出作動データX、払出エラーデータYが連続して記憶されるように各データのアドレスを設定した構成であるが、その他の構成として、各データを適当に分散するように各アドレスを設定することもできる。例えば、払出作動データ(x1〜x7)と払出エラーデータ(y1〜y6)とを交互に繰り返して列ぶようにアドレスを設定しても良い。尚、この場合には、各データのアドレスを別途記憶しておくことが必須となる。
また、上述した実施例1,2にあっては、記憶装置RAMの払出作動記憶領域41aと払出エラー記憶領域41bとに夫々に記憶しているデータの、それぞれの累積和をチェックサム値とした構成であるが、この処理に加えて、誤り検出符号として記憶するデータのパリティビットを用いて算出して、チェックサム値とパリティビットとにより二重に判定を行う構成としても良い。
また、上述した実施例1,2にあっては、エラーチェックサム値Qs,Qrのみが一致しなかった場合に、払出エラーデータYとして上述した5種類のデータy1〜y5を全て初期化して各エラー状態を確認するようにした構成であるが、その他の構成として、特定の払出エラーデータに限定して初期化する構成としても良い。例えば、第一払出エラーデータ群に属するデータについてのみ初期化する処理を行う構成とすることもできる。
また、上述した実施例1,2にあっては、エラー内容表示用黄色LED33とエラー内容表示用赤色LED34とを配設し、各払出エラーデータの示すエラー状態となると所定の点灯/点滅態様によりエラー報知するようにした構成であるが、その他の構成として、図柄表示装置15の液晶表示部でエラー報知する構成としても良い。また、音声や所定音を発することによりエラー報知する構成としても良い。
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更することは勿論可能である。本実施例では、外部電源が遮断したときや遮断中の電力が不安定となることにより、払出エラーデータやエラーチェックサム値が誤った内容となる状況を例示しているが、他の原因により誤った内容となっても同様の処理が実行される。例えば、不正行為により、払出エラーデータやエラーチェックサム値のみが誤った内容となっても、同様に処理すれば、賞球は正しく払い出される。また、例えば、外部電源が遮断した状況を停電時として説明したが、その他に、なんらかの事情(例えば、不具合の発生)により外部電源を切断した場合にも、同様に適用することができる。さらには、遊技店の終了時に電源切断し、次に電源を入れる場合にも、同様の処理を行うようにしても良い。
パチンコ遊技盤1の正面図である。
パチンコ遊技機1の背面図である。
パチンコ遊技機1の制御回路を示すブロック回路図である。
制御回路へ電力を供給する回路を示すブロック図である。
払出制御基板61に配設された記憶装置RAMのアドレスマップを示す説明図である。
実施例1にあって、外部電源が復帰したときに払出制御基板61により実行されるリセット処理を示すフロー図である。
実施例1にあって、リセット処理で取得される復帰払出設定データを示す説明図である。
実施例1にあって、リセット処理で取得されるエラー検出設定データを示す説明図である。
実施例1にあって、外部電源が復帰したときに払出制御基板61により実行されるメイン処理を示すフロー図である。
同上のメイン処理から移行する第一エラー情報取得処理を示すフロー図である。
片切れエラー状態を検出するための片切れエラー検出処理を示すフロー図である。
球詰まりエラー状態を検出するための球詰まりエラー検出処理を示すフロー図である。
実施例2にあって、リセット処理で取得される復帰払出設定データを示す説明図である。
実施例2にあって、リセット処理で取得されるエラー検出設定データを示す説明図である。
実施例2にあって、外部電源が復帰したときに払出制御基板61により実行されるメイン処理を示すフロー図である。
実施例2にあって、メイン処理から移行する第一エラー情報取得処理を示すフロー図である。
実施例2にあって、メイン処理から移行する第二エラー情報取得処理を示すフロー図である。
符号の説明
1 パチンコ遊技機
11 下部球貯留皿(球貯留皿)
28 球払出装置
41a 払出作動記憶領域
41b 払出エラー記憶領域
61 払出制御基板
Ps 作動チェックサム値(外部電源が遮断したとき)
Pr 作動チェックサム値(外部電源が復帰したとき)
Qs エラーチェックサム値(外部電源が遮断したとき)
Qr エラーチェックサム値(外部電源が復帰したとき)
X 払出作動データ
Y 払出エラーデータ
Y1 第一払出エラーデータ群
Y2 第二払出エラーデータ群
y1 球切れエラーデータ
y2 貯留エラーデータ
y4 球詰エラーデータ
y5 片切れエラーデータ