JP5059462B2 - 長尺形材の曲げ加工装置および長尺形材の曲げ加工方法 - Google Patents

長尺形材の曲げ加工装置および長尺形材の曲げ加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、剛性の高い長尺の形材(たとえば鉄道車両および自動車などの輸送車両の車体を構成する形材)を、大きな曲率であっても座屈変形を発生させずに曲げ加工することができる長尺形材の曲げ加工装置および長尺形材の曲げ加工方法に関する。
鉄道車両や自動車などの輸送用機器では、車体の骨格が形材などによって構成されている。この形材は、車体形状に合わせて曲げ加工する必要があるが、形材の断面が大きく、曲げ加工部の曲率(=1/曲率半径R)が大きい場合には、曲げ加工部の内側に圧縮応力による“しわ”状または波状の座屈変形が発生する。このような座屈変形を防止するための先行技術は、たとえば非特許文献1に、被加工材に引張力を与えながら曲げ加工する引張曲げ加工法として提案されている。
また、座屈変形を発生させずに曲げ加工する装置としては、ストレッチフォーミングマシンとも呼ばれる曲げ加工装置が知られており、この装置はたとえば特許文献1に記載されている。この先行技術の曲げ加工装置は、長尺の形材の両端部を把持部によって把持し、形材に一定の張力を与えながら形材の曲げ加工部を曲げ型に押し当てて曲げ加工を行うことによって、曲げ加工部に発生する圧縮応力を前記一定の張力による引張応力によって相殺し、曲げ加工部に座屈変形を発生させずに曲げ加工することが可能であるが、形材の材質が高強度である場合および断面性能が高い断面形状である場合には、曲げ加工することができないという問題がある。
また特許文献1の曲げ加工装置は、形材の曲げ加工部から両側に延びる両端部を把持する把持部が、曲げ型内に回動中心のある一対の回動アームに、各回動アームに沿って移動するようにそれぞれ設けられているため、装置全体の構成が大きく、回動アームの回動変位を許容することができる広い占有面積を要するという問題がある。
特開平9−285822号公報 日本塑性加工学会編 塑性加工技術シリーズ14 「曲げ加工 −高精度化への挑戦−」 コロナ社(p.182-p.183、p.190-p.191、図3.14) 1995年1月10日初版第1刷発行
本発明の目的は、装置を小形化し、設置に要する占有面積を低減して、剛性の高い形材であっても曲げ加工することができる長尺形材の曲げ加工装置および長尺形材の曲げ加工方法を提供することである。
本発明は、長尺形材の曲げ加工装置において、
前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、
前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、
前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、
前記長尺形材よりも上方かつ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、
前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、
前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含み、
前記端部上型と、前記端部下型とは、予め定める回動軸線まわりに回動自在に支持され、
端部下型には、先端部が中央下型の上昇によって押上げられる押上げレバーが設けられ、
前記押上げレバーは、前記回動軸線まわりに回動されることを特徴とする長尺形材の曲げ加工装置である。
本発明に従えば、形材の曲げ加工部に連なる両端部を、一対の端部上型と一対の端部下型とによってそれぞれ挟着し、曲げ加工部に中央下型を押し当てて曲げ加工することによって、曲げ加工部に引張応力を発生させて曲げ加工することができる。
た、端部上型および端部下型は、曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成して回動することができる。
た、端部上型および端部下型を、中央下型に連動して回動させ、曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すことができる。
また本発明は、長尺形材の曲げ加工装置において、
前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、
前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、
前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、
前記長尺形材よりも上方かつ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、
前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、
前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含み、
前記中央下型は、複数の下型部分から成り、
前記押上げ手段は、前記複数の下型部分を押上げる複数の手段を含み、この複数の手段によって前記中央下型を前記中央上型に対して押上げるときに、長尺形材の押上げに伴う移動距離の大きい下型部分から小さい下型部分の順序で順次的に上昇させることを特徴とする長尺形材の曲げ加工装置である
本発明に従えば、中央下型を中央上型に対して押上げるときに、押上げ手段を成す複数の手段によって、長尺形材の押上げに伴う移動距離の大きい下型部分から押上げに伴う移動距離の小さい下型部分の順序で順次的に上昇させることができる。
また本発明は、長尺形材の曲げ加工方法において、
長尺形材の曲げ加工装置であって、
前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、前記長尺形材よりも上方かつ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含む長尺形材の曲げ加工装置を用い、
前記形材の曲げ加工部に連なる両端部を、前記一対の端部上型と前記一対の端部下型とによってそれぞれ挟着し、前記曲げ加工部に中央下型を押し当てて曲げ加工することによって、曲げ加工部に引張応力を発生させて曲げ加工し、
前記端部上型および端部下型は、中央下型に連動して回動し、曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すことを特徴とする長尺形材の曲げ加工方法である。
本発明に従えば、形材のうちで曲げ加工しようとする曲げ加工部よりも長手方向両側に延びる両端部を端部下型と端部上型とによって挟着した状態で、前記曲げ加工部に中央下型を押し当てることによって、形材の曲げ加工部に引張応力を発生させて曲げ加工するので、形材の曲げ加工部、特に内側に圧縮応力が発生しない状態で曲げ加工することができ、曲げ加工による座屈変形の発生が防がれる。
また形材の両端部を一対の端部下型と一対の端部上型とによって挟着し、中間の曲げ加工部に中央下型を押し当てて曲げ加工するので、形材の曲げ加工部の曲率が大きい場合であっても、端部下型および端部上型に対する中央下型の上下方向の相対的な移動距離が変化するだけであり、装置全体が大形化を防ぐことが可能となり、占有面積が増加しない。
また、端部上型および端部下型が形材の曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すので、各端部下型と中央下型とが曲げ加工状態における形材の線形に沿って配置され、形材に折れ曲がりが生じない。
また、端部上型および端部下型が中央下型に連動して回動し、曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すので、形材の曲げ加工部に対する中央下型の押し当て量に応じて連続的に端部下型および端部上型の角度を変化させることができ、曲げ加工部に要求される曲率に拘らず、折れ曲がりを発生させずに、確実に所要の曲率に曲げ加工することができる。
さらに本発明は、長尺形材の曲げ加工方法において、
長尺形材の曲げ加工装置であって、
前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、前記長尺形材よりも上方か
つ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含む長尺形材の曲げ加工装置を用い、
前記形材の曲げ加工部に連なる両端部を、前記一対の端部上型と前記一対の端部下型とによってそれぞれ挟着し、前記曲げ加工部に中央下型を押し当てて曲げ加工することによって、曲げ加工部に引張応力を発生させて曲げ加工し、
前記中央下型は、複数の下型部分から成り、前記押上げ手段は、前記複数の下型部分を押上げる複数の手段を含み、この複数の手段によって前記中央下型を前記中央上型に対して押上げるときに、長尺形材の押上げに伴う移動距離の大きい下型部分から小さい下型部分の順序で順次的に上昇させることを特徴とする長尺形材の曲げ加工方法である
本発明に従えば、中央下型が複数の下型部分から成り、これらの下型部分を上昇させる順序として、長尺形材の押上げに伴う移動距離の大きい下型部分を最初に上昇させ、次いで押上げに伴う移動距離の小さい下型部分を上昇させるように上昇動作させるので、これによって曲げ加工部に発生する歪み応力を曲率がより小さい側へ分散させて、局部的な座屈変形の発生を防止することができる。
本発明によれば、長尺の形材の両端部を一対の端部上型と一対の端部下型とによって挟着した状態で曲げ加工部に中間下型を押し当てて、曲げ加工部に引張応力を発生させた状態で曲げ加工するので、剛性の高い形材であっても、座屈変形を発生させずに、形材を大きな曲率で曲げ加工することができる。また、形材の両端部を一対の端部上型と一対の端部下型とによって挟着し、曲げ加工部を中央下型によって押し当てる構成であるので、中央下型を形材に押し当てて曲げ加工を行っても、曲げ加工装置の占有面積が増加することはない。また前記従来技術のように、回動アームを回動させながら把持部を移動させる構成ではなく、中央下型の両側に端部上型および端部下型を設ける構成であるので、簡単な構成によって剛性の高い形材を曲げ加工することができる。
た、端部上型および端部下型が形材の曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すので、各端部下型と中央下型とが曲げ加工状態における形材の線形に沿って配置され、各端部下型と中央下型との間に上下方向の段差が発生せず、形材に折れ曲がりが生じることを防止することができる。
さらに、端部上型および端部下型が中央下型に連動して回動し、曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すので、形材の曲げ加工部に対する中央下型の押し当て量に応じて連続的に端部下型および端部上型の角度を変化し、大きな曲率であっても、形
材の折れ曲がりを防止し、確実に所要の曲率に曲げ加工することができる。
さらに本発明によれば、中央下型が複数の下型部分から成り、押上げ手段は、複数の下型部分を押上げる複数の手段を含むので、この複数の手段によって中央下型を前記中央上型に対して押上げるときに、長尺形材の押上げに伴う大きな移動距離で曲げ加工しようとする箇所から押上げに伴う小さな移動距離で曲げ加工しようとする箇所に向かって順次的に下型部分を押し当てて、形材の局部的な座屈変形の発生を防止することができる。
本発明によれば、長尺の形材の両端部を一対の端部上型と一対の端部下型とによって挟着した状態で曲げ加工部に中間下型を押し当てて、曲げ加工部に引張応力を発生させた状態で曲げ加工するので、剛性の高い形材であっても、座屈変形を発生させずに、形材を大きな曲率で曲げ加工することができる。また、形材の両端部を一対の端部上型と一対の端部下型とによって挟着し、曲げ加工部を中央下型によって押し当てる構成であるので、中央下型を形材に押し当てて曲げ加工を行っても、曲げ加工装置の占有面積が増加することを防ぐことが可能となる。また前記従来技術のように、回動アームを回動させながら把持部を移動させる構成ではなく、中央下型の両側に端部上型および端部下型を設ける構成であるので、簡単な構成によって剛性の高い形材を曲げ加工することができる。
た、端部上型および端部下型が形材の曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すので、各端部下型と中央下型とが曲げ加工状態における形材の線形に沿って配置され、各端部下型と中央下型との間に上下方向の段差が発生せず、形材に折れ曲がりが生じることを防止することができる。
さらに、端部上型および端部下型が中央下型に連動して回動し、曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すので、形材の曲げ加工部に対する中央下型の押し当て量に応じて連続的に端部下型および端部上型の角度を変化し、大きな曲率であっても、形材の折れ曲がりを防止し、確実に所要の曲率に曲げ加工することができる。
さらに本発明によれば、中央下型が複数の下型部分から成り、押上げ手段は、複数の下型部分を押上げる複数の手段を含むので、この複数の手段によって中央下型を前記中央上型に対して押上げるときに、長尺形材の押上げに伴う大きな移動距離で曲げ加工しようとする箇所から押上げに伴う小さな移動距離で曲げ加工しようとする箇所に向かって順次的に下型部分を押し当てて、形材の局部的な座屈変形の発生を防止することができる。
図1は本発明の実施の一形態の長尺形材の曲げ加工装置1を示す正面図であり、図2は図1の切断面線II−IIから見た断面図である。本実施形態の曲げ加工装置1は、基本的構成として、昇降装置2の基台3に搭載される下型4と、下型4の上方で前記昇降装置1の昇降体5によって昇降変位駆動される上型6と、下型4を上型6に近接する方向、すなわち上方へ押付け動作させる複数(本実施形態では3)の押上げ手段7とを含む。
下型4は、前記押上げ手段7によって昇降駆動される中央下型8と、中央下型8の両側に配置される一対の端部下型9,10と、各端部下型9,10を水平軸線m1、m2まわりに回動自在に支持する一対の支持体11,12とを含む。中央下型8は、複数(本実施形態では3)の下型部分13,14,15に分割される。
押上げ手段7は、各下型部分13,14,15を昇降駆動する複数(本実施形態では3)の油圧シリンダ17,18,19から成り、各油圧シリンダ17,18,19のピストン棒20,21,22の先端部に、各下型部分13,14,15が固定される。これらの油圧シリンダ17,18,19は、各ピストン棒20,21,22の軸線が鉛直な仮想一平面上で平行に配置され、基台3上に設置されたベースプレート23にそれぞれ固定されている。
中央下型8の中央に配置される下型部分13には、各端部下型9,10を軸線m1、m2まわりに回動させるための押上げ突部25が前記下型部分13の一側面から突出して設けられる。また、各端部下型9,10には、先端部の下面が前記押上げ突部25の上面に接触し、中央の下型部分13の上昇によって押上げられる押上げレバー26,27が設けられる。前記中央の下型部分13が上昇すると、各押上げレバー26,27の先端部が押上げ突部25によって上方へ押上げられ、各端部下型9,10を軸線m1、m2まわりに回動させることができる。
前記上型6は、中央上型30と、その両側に配置される一対の端部上型31,32と、中央上型30の上部が下面に固定される上型フレーム33と、中央上型30の両側に配置され、上部が前記上型フレーム33の下面に固定され、各端部上型31,32を支持する支持体34,35とを有する。各端部上型31,32は、各支持体34,35によって水平な軸線m3、m4まわりに回動自在に支持される。前述の各端部下型9,10の各軸線m1、m2と各端部上型31,32の各軸線m3、m4とは、相互に平行であって、上型6が下型4に嵌合した状態では、各端部上型31,32の各軸線m3、m4は各端部下型9,10の各軸線m1、m2と共通な一直線を成す。
図3は端部下型9,10および端部上型31,32の構造を説明するための図である。なお、各端部下型9,10および各端部上型31,32は左右対称に構成されるため、図3には各一方の端部下型9および端部上型31だけが簡略化して示されている。各一方の端部下型9形材Wの長手方向一端部に下方から接触して押下する断面凹状の挟持面40を有し、端部上型31は、形材Wの長手方向一端部に上方から接触して押下する断面逆凸状の挟持面41を有する。各挟持面40,41は、押上げレバー26の前記押上げ突部25に接触する下面と平行である。端部下型9の直円筒面の一部を成す摺動面9aを有し、この摺動面9aが前記支持体11によって軸線m1まわりに回動自在に支持される。
もう一方の端部下型10もまた、前述の一方の端部下型9と同様に構成され、支持体12によって軸線m2まわりに回動自在に支持されている。
端部上型31は、軸線m3を中心とする直円筒面を一部を成す摺動面31aを有し、この摺動面31aが前記支持体34によって軸線mまわりに回動自在に支持される。
もう一方の端部上型32もまた、前述の一方の端部上型31と同様に構成され、支持体35によって軸線m4まわりに回動自在に支持されている。
図4は中央下型8の構造を説明するための図である。前記中央下型8は、3つの下型部分13,14,15から成る。中央の下型部分13は、断面凸状であって、形材Wのフランジを押圧する一対の型面45,46(図2参照)と、形材Wの断面逆凹状のウエブのうちの各フランジに平行な底部を押圧する型面47と有する。これらの型面45,46,47は、軸線m5を中心とする直円筒面の一部を成して、上方に凸に湾曲している。
両側の各下型部分14,15は、断面凸状であって、形材Wのフランジを押圧する一対の型面48,49;51,52と、形材Wの断面逆凹状のウエブのうちの各フランジに平行な底部を押圧する型面50;53とを有する。一方の下型部分14の各型面48,49,50は、中央の下型部分13の軸線m5を含む鉛直な仮想一平面に近接するにつれて上方に傾斜し、相互に平行な曲面によって構成される。また、他方の下型部分15の各型面51,52,53は、中央の下型部分13の軸線m5を含む鉛直な仮想一平面に近接するにつれて上方に傾斜し、相互に平行な曲面によって構成される。
前記形材Wは、たとえば鉄道車両の構体の骨材として用いられる厚さ1,0mmのステンレス鋼製の押出形材であるが、これに限るものではなく、アルミニウム合金、鉄、またはチタン合金から成る厚さ1,0mm〜1,5mmの形材であってもよい。
また、上型の中央上型30もまた、前述の中央下型8の各型面45,46,47;48,49,50;51,52,53と対向しかつ平行な型面55,56,57(図2参照)を有する。相互に対向するこれらの型面45,46,47;48,49,50;51,52,53および型面55,56,57には、形材Wとの滑り摩擦力を低減するために、滑り性の良好な合成樹脂、たとえば厚さ10mm程度のナイロン製のシートが貼着される。
図5は曲げ加工装置1によって形材Wに付与させる引張量を説明するための図である。曲げ加工装置1は、中心軸線Mを含む鉛直な仮想一平面に関して左右対称に構成されるため、一方の端部下型9および端部上型31に対して中央下型8の押上げ動作によって発生する引張力について説明する。一方の端部下型9と一方の端部上型31とによって形材Wの長手方向一端部が挟着された状態において、端部下型9および端部上型31の各挟持面40,41は、形材Wの各フランジを挟着する挟持面を第1の挟持面40a,41aとし、形材Wのウエブの底部を挟持する挟持面を第2の挟持面40b,41bとし、第1の挟持面40a,41a間に挟着された形材Wの厚みTの1/2の位置から回動中心となる軸線m1までの距離をLとし、第2の挟持面40b,41b間に挟着された形材Wの厚みTの1/2の位置から前記軸線m1までの距離をL2としたとき、形材Wのフランジにおける引張量X1は、
X1=L1×tanθ …(1)
形材Wのウエブの底部における引張量X2は、
X2=L2×tanθ …(2)
であり、これらの引張量X1,X2は、形材Wの破断伸び以上に引っ張りを与えると破断するため、各距離L1,L2によって調整することができる。また、端部下型9および端部上型31の形材Wの挟着力を低くして形材Wを滑らせることによっても、前記引張量X1,X2を調整することができる。このような引張量X1,X2の調整によって、形材Wの破断を防止することができる。
図6は曲げ加工装置1によって形材Wに付与される曲げ加工荷重を説明するための図である。中央下型8による押上げ必要荷重Fは、
F=(曲げ加工に必要な力F1)+(左押上げレバー26の押上げ力F2)
+(右押上げレバー27の押上げ力F3) …(3)
である。
したがって左押上げレバー26によって形材Wに与えられる引張荷重Fは、次の関係式、
F2×Lk=(形材引張荷重F)×(形材引張部の半径R3)
+(端部上型の摩擦力F3)×(端部上型の半径R1)
+(端部下型の摩擦力F4)×(端部下型の半径R2)
によって表されるモーメントの釣り合いを満たすように設定される。
図7は曲げ加工装置1による形材Wの曲げ加工動作を説明するための図であり、図7(1)は曲げ加工の開始時の状態を示し、図7(2)は曲げ加工の途中の状態を示し、図7(3)は曲げ加工の終了時の状態を示す。曲げ加工作業が開始されると、図7(1)に示されるように、形材Wのうちで曲げ加工しようとする曲げ加工部W1よりも長手方向両側に延びる両端部W2,W3を端部下型9,10と端部上型31,32とによって挟着した状態で、図7(2)に示されるように、曲げ加工部W1に中央下型8を押し当てることによって、形材Wの曲げ加工部W1に引張応力を発生させ、形材Wの内側、すなわち本実施形態ではウエブの底部に圧縮応力が発生しない状態で曲げ加工することができ、曲げ加工によるしわなどの座屈変形の発生を防ぐことができる。
また形材Wの両端部W2,W3を端部下型9,10と端部上型31,32とによって挟着し、中間の曲げ加工部W1に中央下型8を押し当てて曲げ加工するので、形材Wの曲げ加工部W1の曲率が大きい場合であっても、端部下型9,10および端部上型31,32に対する中央下型8の上下方向の相対的な移動距離が変化するだけであり、装置全体が大形化せず、占有面積を増加させずに長尺の形材Wを曲げ加工することができる。
また、端部下型9,10および端部上型31,32が形材Wの曲げ加工部W1の曲げ角度に等しい角度θを成すので、各端部下型9,10と中央下型8とが曲げ加工状態における形材Wの線形に沿って、すなわち曲げ加工部W1と中央下型8との接線方向に配置されるので、形材Wに折れ曲がりを発生させずに曲げ加工することができる。
さらに、端部下型9,10および端部下型31,32が中央下型8に連動して回動し、曲げ加工部W1の曲げ角度θに等しい角度を成すので、形材Wの曲げ加工部W1に対する中央下型8の押当て量に応じて連続的に端部下型9,10および端部上型31,32の角度θを変化させることができる。したがって曲げ加工部Wに要求される曲率に拘らず、折れ曲がりを発生させずに、確実に所要の曲率に曲げ加工することができる。
さらに、中央下型8が複数の下型部分13,14,15から成り、これらの下型部分13,14,15を上昇させる順序として、大きい曲げ角度に曲げ加工する箇所に配置される下型部分13を最初に上昇させ、次いで小さい曲げ角度に曲げ加工する箇所に配置される下型部分14,15を上昇させる。これによって形材Wを大きな曲率に曲げ加工しようとする箇所から小さな曲率に曲げ加工しようとする箇所に向かって順次的に下型部分を押し当て、曲げ加工部W1に発生する歪み応力を曲率がより小さい側へ分散させて、局部的な座屈変形の発生を防止することができる。
本発明の実施の一形態の長尺形材の曲げ加工装置1を示す正面図である。 図1の切断面線II−IIから見た断面図である。 端部下型9,10および端部上型31,32の構造を説明するための図である。 中央下型8の構造を説明するための図である。 曲げ加工装置1によって形材Wに付与させる引張量X1,X2を説明するための図である。 曲げ加工装置1によって形材に付与される曲げ加工荷重を説明するための図である。 曲げ加工装置1による形材Wの曲げ加工動作を説明するための図であり、図7(1)は曲げ加工の開始時の状態を示し、図7(2)は曲げ加工の途中の状態を示し、図7(3)は曲げ加工の終了時の状態を示す。
符号の説明
1 曲げ加工装置
2 昇降装置
3 基台
4 下型
5 昇降体
6 上型
7 押上げ手段
8 中央下型
10 端部下型
11,12 支持体
13,14,15 下型部分
17,18,19 油圧シリンダ
25 押上げ突部
26,27 押上げレバー
30 中央上型
31,32 端部上型
33 上型フレーム
34,35 支持体
40,41 挟持面
48,49,50;51,52,53 型面
W 形材
W1 曲げ加工部

Claims (4)

  1. 長尺形材の曲げ加工装置において、
    前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、
    前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、
    前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、
    前記長尺形材よりも上方かつ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、
    前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、
    前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含み、
    前記端部上型と、前記端部下型とは、予め定める回動軸線まわりに回動自在に支持され、
    端部下型には、先端部が中央下型の上昇によって押上げられる押上げレバーが設けられ、
    前記押上げレバーは、前記回動軸線まわりに回動されることを特徴とする長尺形材の曲げ加工装置。
  2. 長尺形材の曲げ加工装置において、
    前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、
    前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、
    前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、
    前記長尺形材よりも上方かつ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、
    前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、
    前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含み、
    前記中央下型は、複数の下型部分から成り、
    前記押上げ手段は、前記複数の下型部分を押上げる複数の手段を含み、この複数の手段によって前記中央下型を前記中央上型に対して押上げるときに、長尺形材の押上げに伴う移動距離の大きい下型部分から小さい下型部分の順序で順次的に上昇させることを特徴とする長尺形材の曲げ加工装置。
  3. 長尺形材の曲げ加工方法において、
    長尺形材の曲げ加工装置であって、
    前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、前記長尺形材よりも上方か
    つ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含む長尺形材の曲げ加工装置を用い、
    前記形材の曲げ加工部に連なる両端部を、前記一対の端部上型と前記一対の端部下型とによってそれぞれ挟着し、前記曲げ加工部に中央下型を押し当てて曲げ加工することによって、曲げ加工部に引張応力を発生させて曲げ加工し、
    前記端部上型および端部下型は、中央下型に連動して回動し、曲げ加工部の曲げ角度に等しい角度を成すことを特徴とする長尺形材の曲げ加工方法。
  4. 長尺形材の曲げ加工方法において、
    長尺形材の曲げ加工装置であって、
    前記長尺形材の両端部よりも上方に配置される一対の端部上型と、前記端部上型よりも下方に、前記各端部上型に対向して配置される一対の端部下型と、前記端部上型を、前記端部下型に対して相対的に昇降変位駆動させる昇降駆動部と、前記長尺形材よりも上方か
    つ前記一対の端部上型の間に配置される中央上型と、前記中央上型よりも下方に、前記中央上型に対向して配置される中央下型と、前記中央下型を、前記中央上型に対して押上げる押上げ手段とを含む長尺形材の曲げ加工装置を用い、
    前記形材の曲げ加工部に連なる両端部を、前記一対の端部上型と前記一対の端部下型とによってそれぞれ挟着し、前記曲げ加工部に中央下型を押し当てて曲げ加工することによって、曲げ加工部に引張応力を発生させて曲げ加工し、
    前記中央下型は、複数の下型部分から成り、前記押上げ手段は、前記複数の下型部分を押上げる複数の手段を含み、この複数の手段によって前記中央下型を前記中央上型に対して押上げるときに、長尺形材の押上げに伴う移動距離の大きい下型部分から小さい下型部分の順序で順次的に上昇させることを特徴とする長尺形材の曲げ加工方法。
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