JP5058486B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、耐熱性と密着性に同時に優れるプリント配線板用材料に関する。本願において、プリント配線板用材料とは、エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物をガラスクロスやガラス不織布などに代表される基材に含浸させて半硬化させた樹脂シート(以下、プリプレグ材と言う。)、エポキシ樹脂組成物を使用した積層板、ガラスエポキシ樹脂銅張積層板、およびプリント配線板をいう。
【背景技術】
【0002】
従来、火災防止や安全性確保の観点からガラスエポキシ樹脂銅張積層板に難燃特性が要求される場合、通常、難燃剤としてハロゲン系難燃剤が使用されてきた。
【0003】
ところが、上記難燃剤を含有するガラスエポキシ樹脂銅張積層板に、鉛フリーハンダのような高融点ハンダを使用して電子部品や半導体装置を実装する際には、上記難燃剤の一部分解や、実装工程の高温化で積層板の総熱膨張量が増加する影響で、該銅張積層板に剥離や膨れが発生する問題(ハンダ耐熱性の低下)があった。したがって、ハロゲン系難燃剤を使用しないで、総熱膨張量の低減が可能な、ガラス転移温度(Tg)を指標とする耐熱性に優れる(高Tg)、ガラスエポキシ樹脂銅張積層板の開発が望まれていた。
【0004】
これに対して、ハロゲン系難燃剤以外の難燃性付与手段として、リン系の化合物を積層板に使用する技術が各種ある。しかし、リン系化合物は、銅箔表面の粗化に使用される黒化処理液(強アルカリ溶液)に溶解して、この処理液の性能を大きく低下させる、即ち、使用可能期間を大幅に短縮させてしまうという問題がある。ここで、黒化処理とは、ガラスエポキシ樹脂銅張積層板を多層板用途に適用する場合に、内層回路を形成する際に、銅箔の非光沢面ともいわれるマット面の反対側のシャイン面または光沢面といわれる面と、プリプレグ材の密着性を向上させる目的で、銅箔のシャイン面上に、黒化処理液で、酸化銅のアンカーを形成する方法である。
【0005】
ハロゲン系,リン系難燃剤の使用による前記問題を解決する手段として、ハロゲン系やリン系の難燃剤を使用せずに高度な難燃性を実現する、プリント配線板用材料用難燃性エポキシ樹脂組成物を本願発明者は開発した(特許文献1、参照)。当該難燃性エポキシ樹脂組成物は、ビフェニル、ベンゼン、およびこれらの誘導体等から選択される芳香環を有する繰り返し単位を構造式中に有するフェノールアラルキル型樹脂(構造式中の前記繰り返し単位数(n)が0から10である。)および/または該フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物、以下、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂と呼ぶ、ならびに水酸化アルミニウムなどの金属水和物を必須成分とすることを特徴とする。当該難燃性エポキシ樹脂組成物は、その硬化物中の樹脂分が着火時に分解ガスで発泡化して断熱層を形成する作用と、各種金属水和物(特に、水酸化アルミニウムが最良である)による吸熱効果とが相乗的に働くように配合されたもので、特異的な難燃効果を発現する。
【0006】
また、特許文献1に開示されている樹脂の内、ビフェニルとその誘導体(たとえば、ビスメトキシメチルビフェニルの各種異性体が挙げられる。)とフェノール系化合物とを反応させて得られる、構造式中の繰り返し単位数(n)が0から9のフェノールノボラック縮合体(以下、フェノールビフェニレンアラルキル型樹脂と呼ぶ)や、フェノールビフェニレンアラルキル型樹脂のエポキシ化物、以下、フェノールビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂と呼ぶ)を用いたエポキシ樹脂組成物は、密着性に優れていることが、特許文献2に開示されている。
【0007】
しかし、特許文献1および2に開示されている、フェノールアラルキル型樹脂および/またはフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物の硬化物は、積層板用に最適化されていないので、耐熱性や密着性が不十分であった。
【0008】
すなわち、特許文献1および2に開示されているエポキシ樹脂組成物を積層板に使用しても、耐熱性の指標であるガラス転移温度が要求水準に比べ低く、鉛フリーハンダを用いるような高温の実装時に、積層方向、即ち、z軸方向への総膨張量が多く、膨れや剥がれが発生し易かった。したがって、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物の特異な難燃効果を失わせることなく、さらにガラス転移温度を高めることが必要であった。
【0009】
また、特許文献2記載のアルミ箔との密着性に関する評価結果を参照し、当該文献に開示されているフェノールビフェニレンアラルキル型樹脂および/またはフェノールビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂が反応して得られる硬化物をガラスエポキシ樹脂銅張積層板用のプリプレグ材に適用して、このプリプレグ材と銅箔との密着性を評価した。
【0010】
しかしながら、参考文献2と同様の密着性の効果は、銅箔に対しては得られなかった。これは、参考文献2に開示されている、フェノールビフェニレンアラルキル型樹脂および/またはフェノールビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂が反応して得られる硬化物の可撓性(破断または破壊時の伸び量や変形量で代表される。)が不十分なことによると、推察した。同様なことは、特許文献1のエポキシ樹脂組成物にもいえ、当該エポキシ樹脂組成物の硬化物もまた可撓性が不十分であった。
【0011】
すなわち、特許文献1および2に開示されている樹脂成分を使用したガラスエポキシ樹脂積層板は、これと銅箔との接着面を引き剥がす際に、銅の変形に追随できず、十分な密着性が得られない。したがって、プリプレグ材と銅箔を強固に密着させるには、プリプレグ材に使用するエポキシ樹脂組成物の硬化物について、その可撓性を向上させる、即ち、破断または破壊時の伸び量を増加させる必要があった。
【0012】
さらに、銅箔とプリプレグ材の密着性を向上させるには、加熱プレスでエポキシ樹脂組成物を溶融させた際に、この溶融物と銅箔表面が十分にぬれること(溶融時の樹脂組成物の流動性が高い方がぬれ性は良好である。)も重要である。これに対して、参考文献1に開示されているエポキシ樹脂組成物では、流動性に与える影響が極めて大きい樹脂分の構造(特に、構造式中の繰り返し単位数(n)または分子量)および金属水和物粒子の選択が、最適化されていないので、樹脂組成物と銅箔表面のぬれ性に加えて、樹脂分と金属水和物粒子のぬれ性も不十分であった。
【0013】
そのため、特許文献1のエポキシ樹脂組成物を使用したプリプレグ材は、銅箔の一般的に通称アンカーと呼ばれる表面の凹凸の深さが5から10μmであるマット面に比べてアンカーが小さく、十分なアンカー効果が期待できないアンカーの深さは1から2μmである黒化処理面などに対する密着性が、従来のFR−4材に比べて特に低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】
特開2001−226465号公報
【特許文献2】
特許第3122834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一目的は、ハロゲン系やリン系の難燃剤を使用しないで、耐熱性および密着性に同時に優れるプリント配線板用等のエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0016】
また、本発明のもう一つの目的は、前記エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ材を提供することにある。
【0017】
また、本発明のさらにもう一つの目的は、前記エポキシ樹脂組成物を用いた積層板を提供することにある。
【0018】
また、本発明の他の一つの目的は、前記プリプレグ材の片面に銅箔を張り付けた銅張積層板を提供することにある。
【0019】
また、本発明のもう一つの他の目的は、前記エポキシ樹脂組成物を、銅箔表面に塗工して得られる樹脂付き銅箔を提供することにある。
【0020】
また、本発明のさらにもう一つの他の目的は、前記プリプレグ材、前記積層板、前記銅張積層板、及び前記樹脂付き銅箔の少なくとも一種を積層したプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以上から、本発明者らは、ハロゲン系やリン系の難燃剤を使用しないで、耐熱性および密着性に同時に優れる、プリント配線板用のエポキシ樹脂組成物を開発すべく鋭意検討を重ねた。
【0022】
まず、フェノールアラルキル型樹脂および/またはフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性や密着性が要求水準に足りない原因を分析した。その結果、当該硬化物の架橋密度が低く、硬化物中の自由体積が大きいことに加え、架橋構造を構成している分子網目や分子鎖における分子間力(分子鎖の絡み合いなど)が、架橋構造のミクロブラウン運動を十分に抑制できなかったことが原因であると推察された。
【0023】
次に、架橋密度を向上させる方法と、分子網目内や分子鎖における分子間力を増大させる方法を種々検討した。
【0024】
しかし、架橋密度を向上させると、耐熱性は向上したが、架橋構造の可撓性が著しく損なわれて、密着性が低下した。そこで、耐熱性と密着性を同時に向上させる目的で、架橋密度を低い状態に保ったまま、分子網目内や分子鎖における分子間力を増大させる方法が有効と考えて、本手法を検討した。その結果、エポキシ樹脂用硬化剤として、先行例よりも構造式中の繰り返し単位数(n)が大きく(高分子量である。)、特定の範囲の分子量分布をもつフェノールアラルキル型樹脂を使用し、さらに、エポキシ樹脂として、特定の分子量分布(先行例の範囲内で、同時に使用するエポキシ樹脂硬化剤よりも低分子量である。)を持つフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を使用することで、耐熱性と密着性の改良に特異的な効果を得られることを見出した。
【0025】
また、本発明者は、エポキシ樹脂用硬化剤として、特定の分子量分布(先行例の範囲内で、同時に使用するエポキシ樹脂よりも低分子量である。)をもつフェノールアラルキル型樹脂を使用し、エポキシ樹脂として、先行例よりも構造式中の繰り返し単位数(n)が大きく(高分子量である)、特定の範囲の分子量分布を持つフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を使用することで、耐熱性と密着性の改良に特異的な効果を得た。すなわち、先行技術においては、使用するフェノールアラルキル型樹脂とエポキシ樹脂とが、同程度の繰り返し単位数または分子量を有していたのに対して、本発明においては、一方の樹脂を先行技術よりも大きなものから、他方の樹脂をもう一方の樹脂よりも小さなものから選択することにより、耐熱性と密着性の改良に特異的な効果を得られることを見出した。
【0026】
即ち、本発明は、以下のエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0027】
本第1発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化1式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化2式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位Xの繰り返し数と前記構造単位Yの繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化4及び6式の一般式)(5)及び(7)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F)を含有し、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化8式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化9式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が0以上10以下である下記化10、12及び14式の一般式(11)、(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)を含有することを特徴としている。
【0028】
【化1】
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、それぞれ独立に、0から4の整数を表す。r’は、0から3の整数を表す。)
【0029】
【化2】
(式中、R4、R5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0から4の整数を表す。s’は、0から3の整数を表す。)
【0030】
【0031】
【化4】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、10より大きく75より小さい。)
【0032】
【化6】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から74で、m+m’は10より大きく75より小さい。Zは、XまたはYのどちらか一方を表す。)
【0033】
【化8】
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、それぞれ独立に、0から4の整数を表す。r’は、0から3の整数を表す。)
【0034】
【化9】
(式中、R4、R5は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0から4の整数を表す。s’は、0から3の整数を表す。)
【0035】
【化10】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、0以上10以下である。)
【0036】
【化12】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、0以上10以下である。)
【0037】
【化14】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から9で、m+m’は1以上10以下である。Z’は、X’またはY’のどちらか一方を表す。)
【0038】
また、本第2発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる上記化1式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる上記化2式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位Xの繰り返し数と前記構造単位Yの繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい上記化4、6式及び下記化16式の一般式(5)、(7)及び(3)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F)を含有し、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化8式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化9式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が0以上10以下である上記化12及び14式の一般式(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)を含有することを特徴としている。
【0039】
【化16】
(式中、R 6 は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、10より大きく75より小さい。)
【0040】
更に、本第3発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる上記化1式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる上記化2式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位Xの繰り返し数と前記構造単位Yの繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい上記化4及び6式の一般式(5)及び(7)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F)を含有し、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる上記化8式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる上記化9式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が0以上10以下である上記化12及び14式の一般式(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)を含有することを特徴としている。
【0041】
本第4発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる前記化8式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる前記化9式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化18及び20式の一般式(37)及び(39)のうちの一つで表されるエポキシ化物(H)を含有し、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、下記化22、24及び26式の一般式(21)、(23)及び(25)のうちの一つで表され、繰り返し数(nまたは、m+m’)が0以上10以下である、フェノール樹脂(F’)を含有することを特徴としている。
【0042】
【0043】
【化18】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、10より大きく75より小さい。)
【0040】
【化20】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から74で、m+m’は10より大きく75より小さい。Z’は、X’またはY’のどちらか一方を表す。)
【0045】
【化22】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、0以上10以下である。)
【0046】
【化24】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、0以上10以下である。)
【0047】
【化26】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から9で、m+m’は1以上10以下である。Zは、XまたはYのどちらか一方を表す。)
【0048】
また、本第5発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる上記化8式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる上記化9式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化28式、上記化18及び20式の一般式(35)、(37)及び(39)のうちの一つで表されるエポキシ化物(H)を含有し、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、上記化24及び26式の一般式(23)及び(25)のうちの一つで表され、繰り返し数(nまたは、m+m’)が0以上10以下である、フェノール樹脂(F’)を含有することを特徴としている。
【0049】
【化28】
【0050】
また、本第6発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる前記化8式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる前記化9式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい上記化18及び20式の一般式(37)及び(39)のうちの一つで表されるエポキシ化物(H)を含有し、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、上記化24及び26式の一般式(23)及び(25)のうちの一つで表され、繰り返し数(nまたは、m+m’)が0以上10以下である、フェノール樹脂(F’)を含有することを特徴としている。また、前記エポキシ樹脂組成物が無機充填材(C)を含有することが望ましい。
【0051】
本第1乃至第6発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填材(C)が水酸化アルミニウムであることが望ましい。
【0052】
本第1乃至第6発明に係るエポキシ樹脂組成物における前記水酸化アルミニウム(C’)の50質量%平均粒径(D50)が0.5μmから20μmであることが望ましい。
【0053】
また、本第7発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、及び前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)と、水酸化アルミニウム(C’)とを含み、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化29の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化30の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有するフェノール樹脂(E)であり、前記エポキシ樹脂(A)が、前記フェノール樹脂(E)のエポキシ化物(E’)であり、前記水酸化アルミニウム(C’)の50質量%平均粒径(D50)が、1μmから10μmであることを特徴としている。
【0054】
【化29】
(式中、R1、R2、R3はは、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、それぞれ独立に、0から4の整数を表す。r’は、0から3の整数を表す。)
【0055】
【化30】
(式中、R4、R5は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0から4の整数を表す。s’は、1から3の整数を表す。)
【0056】
次に、本第8発明は、以下の前記エポキシ樹脂組成物の用途品を提供する。
【0057】
本第8発明は、上記エポキシ樹脂組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させたワニス溶液、このワニス溶液を基材に含浸させて脱溶剤化させて得られる半硬化状態の樹脂シート(プリプレグ材)、このプリプレグ材を使用した積層板、この片面に銅箔を積層した積層板、上記エポキシ樹脂組成物を、銅箔表面に塗工して得られる樹脂付き銅箔、などを提供する。
【0058】
また、本第9発明は、上記のプリプレグや、積層板、樹脂付き銅箔と銅箔の群から選ばれる二つ以上から構成される、プリント配線板を提供する。
【0059】
本発明は、上記のように、エポキシ樹脂用硬化剤として先行例よりも繰り返し単位数(nまたは、m+m’)が大きく(高分子量である。)、特定の範囲の分子量分布をもつフェノールアラルキル型樹脂を含有し、さらに、エポキシ樹脂として、特定の分子量分布(先行例の範囲内で、同時に使用するエポキシ樹脂用硬化剤よりも低分子量)をもつフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を併用することで、耐熱性と密着性に同時に優れる、プリント配線板用エポキシ樹脂組成物を実現している。
【0060】
さらに、本発明は、上記のように、エポキシ樹脂用硬化剤として、特定の分子量分布(先行例の範囲内で、同時に使用するエポキシ樹脂よりも低分子量である。)をもつフェノールアラルキル型樹脂を使用し、さらに、エポキシ樹脂として、先行例よりも繰り返し単位数(nまたは、m+m’)が大きく(高分子量である。)、特定の範囲の分子量分布をもつフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を含有することで、耐熱性と密着性に同時に優れる、プリント配線板用エポキシ樹脂組成物を実現している。
【0061】
本発明のエポキシ樹脂組成物が、耐熱性(特にガラス転移温度で代表される。)と、密着性(銅箔とプリプレグ材の硬化物の間の密着力で代表される。)に同時に優れている理由は、明白ではないが、以下のメカニズムによると考える。
【0062】
ここでは、エポキシ樹脂用硬化剤として、先行例よりも繰り返し単位数(nまたは、m+m’)が大きく(高分子量である。)、特定の範囲の分子量分布をもつフェノールアラルキル型樹脂を含有し、更に、エポキシ樹脂として、特定の分子量分布(先行例の範囲内で、同時に使用するエポキシ樹脂用硬化剤よりも低分子量である。)をもつフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を併用した、エポキシ樹脂組成物を例として、高度な耐熱性と密着性を同時達成するメカニズムを説明する。
【0063】
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤やエポキシ樹脂の分子構造は、先行例のフェノールアラルキル型樹脂と先行例のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂に類似している。したがって、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物中に存在する自由体積は、先行例の場合と同程度と想定できる。しかし、本発明の硬化物の架橋構造は、先行例よりも繰り返し単位数(nまたは、m+m’)が大きい(高分子量である)フェノールアラルキル型樹脂を含有している効果で、この硬化剤と、低分子量(先行例の範囲内)のエポキシ樹脂が反応して形成される、架橋構造が成長する段階で、分子鎖間で絡みあいが非常に発生しやすい。
【0064】
以上のように、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、自由体積は先行例の場合と同程度だが、分子鎖の絡み合いに起因する分子間力が非常に強い。したがって、本発明では、この分子間力の増大した効果で、樹脂の架橋構造のミクロブラウン運動が極度に抑制されて、硬化物のガラス転移温度(Tg)が特異的に向上した(高Tg化)と推察できる。
【0065】
さらに、上記の、分子鎖の絡み合いに起因する分子間力の増大は、本発明のプリプレグ材と銅箔を積層させたものの硬化物、すなわち銅張積層板における、銅箔と樹脂硬化物の間の密着性の向上にも極めて効果的に作用する。ここでは、本発明のプリプレグ材と銅箔を加熱プレス成形で硬化させて得られた銅張積層板において、銅箔マット面(非光沢面)と樹脂硬化物の界面を引き剥がす場合を例に、本発明のエポキシ樹脂組成物が、銅箔との密着力の特異的な向上に効果的である理由を説明する。
【0066】
密着力の要因としては、銅箔表面のアンカー形状、エポキシ樹脂硬化物中の極性基と銅箔表面との結合形成、エポキシ樹脂硬化物の可撓性や、銅箔表面とのぬれ性に大きく影響するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性が挙げられる。このうち、硬化物中の極性基と銅箔表面の結合形成については、本発明と先行例の分子構造が類似していることから、ここでは、無視できる。くわえて、銅箔表面のアンカー形状も無視してよい。したがって、密着力に影響する要因として、エポキシ樹脂組成物(プリプレグも含む)の硬化物の可撓性と、エポキシ樹脂組成物(未硬化物)の溶融時の流動性を考慮すればよい。
【0067】
ここで、可撓性に優れる材料とは、例えば、2種類の材料の力学特性を比較した場合に、破断または破壊する時の伸び量やひずみ量等が大きなものを指す。
【0068】
本発明と先行例の、エポキシ樹脂組成物の硬化物について、可撓性を比較すると、本発明の硬化物の方が可撓性に優れている。すなわち、本発明の硬化物の架橋構造は、先行例よりも繰り返し単位数(nまたは、m+m’)が大きい(高分子量である。)フェノールアラルキル型樹脂を含有している影響で、この硬化剤が、低分子量(先行例の範囲内である。)のエポキシ樹脂と反応して形成される、架橋構造が成長する段階で、分子鎖間で絡みあいが非常に発生しやすい。本発明の硬化物に引張応力を加えた場合、この分子鎖間の絡み合いがほぐれて硬化物全体が変形するので、この分子鎖間の絡み合いがない先行例の硬化物に比べて、分子鎖内の結合が切断されるまでの変形量(ここでは伸び量を指す。)が極めて大きい。
【0069】
本発明の銅張積層板から銅箔を引き剥がす力(ピール強度を指す。)に対しても、本発明の積層板は、これを構成する樹脂硬化物の分子鎖間の絡み合いが解れる効果で、銅の変形に対して容易に追随するので、銅箔に対する密着性に優れると推察する。さらに、密着力の要因であり、銅箔表面とのぬれ性に大きく影響するエポキシ樹脂組成物(未硬化物)の溶融時の流動性は、エポキシ樹脂用硬化剤の高分子量化の影響で、大幅に低下する懸念があった。すなわち、硬化物の可撓性を向上させることに効果的な硬化剤の高分子量化は、同時に流動性の低下を起こす要因ともなりうる。そこで、本発明では、高分子量のエポキシ樹脂用硬化剤と、低分子量(先行例の範囲)のエポキシ樹脂を併用することで、エポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性の低下を緩和した。
【0070】
これにより、本発明のエポキシ樹脂組成物では、銅箔表面とのぬれ性を低下させることなく、先行例のエポキシ樹脂組成物にくらべて硬化した時の可撓性を大幅に向上できたので、優れた密着性を実現できたと推察する。
【0071】
繰り返し単位数が少ない(すなわちnまたはm+m’が0以上10以下である。)先行例のフェノールアラルキル型樹脂と、繰り返し単位数が少ない(すなわちnまたはm+m’が0以上10以下である。)先行例のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を同時に使用したエポキシ樹脂組成物は、樹脂の主鎖中の芳香族類(例えばビフェニルやベンゼンの異性体など)のπ電子の影響で配向性が高く、架橋構造が整然と成長するので、分子鎖の絡み合いが本発明の樹脂組成物に比べて極端に少ない。一方、硬化物中の自由体積が本発明と同等なので、分子鎖がミクロブラウン運動しやすい。それゆえ、ガラス転移温度(Tg)が、本発明に比べて低い。さらに、この先行例は、硬化物の可撓性も不十分なので、銅箔や基材に対する密着性も、本発明に比べて低い。
【0072】
本発明に対して、エポキシ樹脂用硬化剤とエポキシ樹脂の双方に、先行例よりも繰り返し単位数が大きい、即ち、nまたはm+m’が10よりも大きい、フェノールアラルキル型の硬化剤とエポキシ樹脂を同時に使用したエポキシ樹脂組成物は、硬化が十分に進まないことや、溶融時の流動性が低下するので、ガラス転移温度(Tg)を指標とする耐熱性と、銅箔に対する密着性がともに低下する。
【0073】
上記例は、エポキシ樹脂用硬化剤に高分子量のもの、エポキシ樹脂に低分子量のものを使った樹脂組成物について説明したが、逆の場合も同様に優れた耐熱性と密着性を示した。
【0074】
以上から、エポキシ樹脂用硬化剤かエポキシ樹脂のどちらか一方に、先行例よりも繰り返し単位数の大きい(高分子量である。)ものを含有する樹脂を使用し、これらよりも低分子量(先行例の範囲内である。)のエポキシ樹脂かエポキシ樹脂用硬化剤を、それぞれ併用した場合に、耐熱性と密着性に同時に優れるプリント配線板用エポキシ樹脂組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】 第1図は本発明の例によるフェノール樹脂(F)の分子量(Mw)とガラス転移温度(Tg、℃)との関係を示す図である。
【図2】 第2図は本発明の例によるフェノール樹脂(F)の分子量(Mw)と銅箔との密着性(kN/m)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0077】
本発明は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)を必須成分とし、エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化31式の一般式(1)で表される構造単位X又は、ベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化32式の一般式(2)で表される構造単位Yを含有する、下記化33、35及び37式の一般式(3)も(5)及び(7)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F)を含有する。
【0078】
【化31】
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、それぞれ独立に、0から4の整数を表す。r’は、0から3の整数を表す。)
【0079】
【化32】
(式中、R4、R5は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0から4の整数を表す。s’は、0から3の整数を表す。)
【0080】
【化33】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、10より大きく75より小さい。)
【0081】
【化35】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、10より大きく75より小さい。)
【0082】
【化37】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から74で、m+m’は10より大きく75より小さい。Zは、XまたはYのどちらか一方を表す。)
【0083】
このようなフェノール樹脂(F)としては、フェノールビフェニレンアラルキル型樹脂、フェノールキシリレンアラルキル型樹脂、ビフェニレンの異性体とベンゼンの異性体を同時に構造に含有するフェノールアラルキル型樹脂が挙げられる。さらに、フェノール樹脂(F)の具体例を、下記化39及び化40式の一般式(17)及び(18)に示す。ただし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
【0084】
【化39】
(式中、R1とR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、0から4の整数を表す。nは10より大きく75より小さい。)
【0085】
【化40】
(式中、R4は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0か
ら4の整数を表す。nは10より大きく75より小さい。)
【0086】
【0087】
【0088】
また、これらのフェノール樹脂(F)は、その使用にあたって一種類に限定されるものではなく、二種類以上の併用も可能である。さらに、下記化43、45及び47式の一般式(21)、(23)及び(25)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F’)を含有しても良い。
【0089】
【化43】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは0以上10以下である。)
【0090】
【化45】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。
tは、0から4の整数を表す。nは0以上10以下である。)
【0091】
【化47】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から9で、m+m’は1以上10以下である。Zは、XまたはYのどちらか一方を表す。)
【0092】
このようなフェノール樹脂(F’)としては、フェノールビフェニレンアラルキル型樹脂、フェノールキシリレンアラルキル型樹脂、ビフェニレンの異性体とベンゼンの異性体を同時に構造に含有するフェノールアラルキル型樹脂が挙げられる。
【0093】
以下、フェノール樹脂(F’)の具体例を下記化49及び50式の一般式(27)及び(28)に示す。ただし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
【0094】
【化49】
(式中、R1とR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、0から4の整数を表す。nは0以上10以下である。)
【0095】
【化50】
(式中、R4は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0から4の整数を表す。nは0以上10以下である。)
【0096】
【0097】
【0098】
さらに、本発明のフェノール樹脂(F)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、3000から15000であると、硬化物中の分子鎖の絡み合いの効果に優れるとともに、エポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性にも優れるので、ガラス転移温度を指標とする耐熱性と、銅箔との密着性の向上に極めて効果的である。これに対して、フェノール樹脂(F)と同様の構造で、Mwが3000未満の成分(F−3000)は、これを含有するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性は良好であるが、分子鎖の絡み合いの効果が低いので、十分な耐熱性(ガラス転移温度で代表される。)を達成できない。また、フェノール樹脂(F)と同様の構造で、Mwが15000を超える成分(F+15000)は、これ自体がゲル化してしまい合成が困難であることに加えて、これを含有するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性が大幅に低下するので、銅箔や基材とのぬれ性が低下し、十分な密着性が得られない場合がある。
【0099】
なお、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とは、分子サイズの差に基づいて分離を行なう液体クロマトグラフィーの一種であるGPC法(Gel Permeation Chromatography)で測定して得られる平均分子量を示す。
【0100】
なお、本発明において、エポキシ樹脂用硬化剤(B)中に、前記フェノール樹脂(F)を含有する場合は、エポキシ樹脂(A)中に、前記化8式の一般式(9)で表されるエポキシ化物X’又は前記化9式の一般式(10)で表されるエポキシ化物Y’のうち少なくとも一つを含有する、下記化53、55及び57式の一般式(11)、(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)を含有する必要がある。
【0101】
【化53】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、0以上10以下である。)
【0102】
【化55】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは、0以上10以下である。)
【0103】
【化57】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から9で、m+m’は1以上10以下である。Z’は、X’またはY’のどちらか一方を表す。)
【0104】
このようなエポキシ化物(G)としては、フェノールビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールキシリレンアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレンの異性体とベンゼンの異性体を同時に構造に含有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0105】
また、これらのエポキシ樹脂は、その使用にあたって一種類に限定されるものではなく、二種類以上の併用も可能である。
【0106】
以下、エポキシ化物(G)の具体例を下記化59及び60式の一般式(31)及び(32)に示す。ただし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0107】
【化59】
(式中、R1とR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、0から4の整数を表す。nは0以上10以下である。)
【0108】
【化60】
(式中、R4は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0から4の整数を表す。nは0以上10以下である。)
【0109】
【0110】
【0111】
本発明のエポキシ化物(G)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、700から3000であると、エポキシ化物(G)と前記フェノール樹脂(F)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物は流動性や作業性に優れるのでより好ましい。これに対して、エポキシ化物(G)と同様の構造で、Mwが700未満の成分(G−700)は、これを含有するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性は良好であるが、これ自体の結晶性が高く、高温で溶剤に一旦溶解させても、常温に戻すと再結晶化してしまい、均一な組成物が得られない場合がある。成分(G−700)の結晶化を阻害する目的で、成分(G−700)中のビフェニル異性体やベンゼンの異性体を、4,4’体やパラ結合体以外に変更すると、自由体積が増加して、ガラス転移温度が大幅に低下する。また、エポキシ化物(G)と同様の構造で、Mwが3000を超える成分(G+3000)は、これとフェノール樹脂(F)を含有するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性を大幅に低下させるので、銅箔とのぬれ性が低下し、十分な密着性が得られない場合がある。
【0112】
くわえて、前記フェノール樹脂(F)とエポキシ化物(G)を必須成分とする、本発明において、エポキシ樹脂用硬化剤(B)の総量に対して、前記化33、35及び37式の一般式(3)、(5)及び(7)で表されるフェノール樹脂(F)と前記化43、45及び47式の一般式(21)、(23)及び(25)で表されるフェノール樹脂(F’)の合計が60質量%以上であると、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物が、難燃性や、銅箔との密着性に極めて優れるので特に好ましい。この場合に、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物が難燃性に優れるのは、着火時に発泡層を形成して、断熱効果を発現しやすい効果と推察できる。さらに、上記フェノール樹脂(F)とフェノール樹脂(F’)の合計が80質量%以上であると、一層難燃性に優れるので好ましい。
【0113】
さらに、前記フェノール樹脂(F)とエポキシ化物(G)を必須成分とする、本発明において、エポキシ樹脂(A)の総量に対して、前記化53、55及び57式の一般式(11)、(13)及び(15)で表されるエポキシ化物(G)を60質量%以上含有すると、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物が、難燃性や、銅箔との密着性に極めて優れるので特に好ましい。本発明のエポキシ化物(G)を60質量%以上含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物は、着火時に発泡層を形成して、断熱効果を発現しやすいので、難燃性に優れると推察できる。さらに、上記エポキシ樹脂(A)の総量に占めるエポキシ化物(G)の含有量が80質量%以上であると、一層難燃性に優れるので好ましい。
【0114】
また、本発明の第2のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)を必須成分とし、エポキシ樹脂(A)が、前記化8式の一般式(9)で表されるエポキシ化物X’又は前記化9式の一般式(10)で表されるエポキシ化物Y’のうち少なくとも一つを含有する、下記化63、65及び67の一般式(35)、(37)及び(39)のうちの一つで表されるエポキシ化物(H)を含有することを特徴とする。
【0115】
【化63】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは10より大きく75より小さい。)
【0116】
【化65】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。nは10より大きく75より小さい。)
【0117】
【化67】
(式中、R6は、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。tは、0から4の整数を表す。mまたはm’は、それぞれ独立に1から74で、m+m’は10より大きく75より小さい。Z’は、X’またはY’のどちらか一方を表す。)
【0118】
このようなエポキシ化物(H)としては、フェノールビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールキシリレンアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレンの異性体とベンゼンの異性体を同時に構造に含有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0119】
また、これらのエポキシ樹脂は、その使用にあたって一種類に限定されるものではなく、二種類以上の併用も可能である。
【0120】
以下、エポキシ化物(H)の具体例を下記化69及び化70式の一般式(41)及び(42)に示す。ただし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0121】
【化69】
(式中、R1とR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。rは、0から4の整数を表す。nは10より大きく75より小さい。)
【0122】
【化70】
(式中、R4は、それぞれ独立に、水素または炭素数1から3の一価の置換基を表す。sは、0から4の整数を表す。nは10より大きく75より小さい。)
【0123】
【0124】
さらに、本発明のエポキシ樹脂(H)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、3000から20000であると、硬化物中の分子鎖の絡み合いの効果に優れるとともに、エポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性にも優れるので、ガラス転移温度を指標とする耐熱性と、銅箔との密着性の向上に極めて効果的である。これに対して、エポキシ樹脂(H)と同様の構造で、Mwが3000未満の成分(H−3000)は、これを含有するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性は良好であるが、分子鎖の絡み合いの効果が低いので、十分な耐熱性(ガラス転移温度で代表される。)を達成できない。また、エポキシ樹脂(H)と同様の構造で、Mwが20000を超える成分(H+20000)は、触媒由来の副生成物である塩化ナトリウムの除去が困難で、製造自体が困難である。さらに、エポキシ樹脂(H+20000)を含有するエポキシ樹脂組成物は、溶融時の流動性が極度に低く、銅箔や基材とのぬれ性が劣るので、密着性も不十分な場合がある。
【0125】
さらに、本発明が、エポキシ樹脂(A)中に、エポキシ樹脂(H)を含有する場合は、エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、前記化43,45及び47式の一般式(21),(23)及び(25)で表されるフェノール樹脂(F’)を含有することを特徴とする。
【0126】
また、このフェノール樹脂(F’)としては、フェノールビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールキシリレンアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレンの異性体とベンゼンの異性体を同時に構造に含有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0127】
また、これらのフェノール樹脂は、その使用にあたって一種類に限定されるものではなく、二種類以上の併用も可能である。
【0128】
なお、フェノール樹脂(F’)としては、前記化49及び50式の一般式(27)及び(28)のフェノール樹脂が例示できる。ただし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
【0129】
さらに、フェノール樹脂(F’)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が450から1500であると、フェノール樹脂(F’)と前記エポキシ樹脂(H)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物は流動性や作業性に優れるのでより好ましい。これに対して、フェノール樹脂(F’)と同様の構造で、Mwが450未満の成分(F’−450)は、これを含有するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性は良好であるが、これ自体の結晶性が高く、高温で溶剤に一旦溶解させても、常温に戻すと再結晶化してしまい、均一な組成物が得られない場合がある。成分(F’−450)の結晶化を阻害する目的で、成分(F’−450)中のビフェニル異性体やベンゼンの異性体を、4,4’体やパラ結合体以外に変更すると、自由体積が増加して、ガラス転移温度が大幅に低下する。また、フェノール樹脂(F’)と同様の構造で、Mwが1500を超える成分(F’+1500)は、これとエポキシ樹脂(H)を含有するエポキシ樹脂組成物の溶融時の流動性を大幅に低下させるので、銅箔とのぬれ性が低下し、十分な密着性が得られない場合がある。
【0130】
くわえて、前記エポキシ樹脂(H)とフェノール樹脂(F’)を必須成分とする、本発明において、エポキシ樹脂(A)の総量に対して、前記化63、65及び67式の一般式(35)、(37)及び(39)で表されるエポキシ樹脂(H)と、前記化53、55及び57式の一般式(11)、(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)の合計が60質量%以上であると、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物が、難燃性や、銅箔の黒化処理面との密着性に極めて優れるので特に好ましい。この場合に、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物が難燃性に優れるのは、着火時に発泡層を形成して、断熱効果を発現しやすい効果と推察できる。さらに、エポキシ樹脂(A)の総量に対して前記エポキシ樹脂(H)と前記エポキシ化物(G)の合計が80質量%以上であると、一層難燃性に優れるので好ましい。
【0131】
さらに、前記エポキシ樹脂(H)と前記フェノール樹脂(F’)を必須成分とする、本発明において、エポキシ樹脂用硬化剤(B)の総量に対して、前記化43、45及び47式の一般式(21)、(23)及び(25)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F’)を60質量%以上含有すると、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物が、難燃性や、銅箔の黒化処理面との密着性に極めて優れるので特に好ましい。本発明のフェノール樹脂(F’)を60質量%以上含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物は、着火時に発泡層を形成して、断熱効果を発現しやすいので、難燃性に優れると推察できる。くわえて、エポキシ樹脂用硬化剤(B)の総量に対して80質量%以上のフェノール樹脂(F’)を含有すると、一層難燃性に優れるので好ましい。
【0132】
また、本発明の第1及び第2のエポキシ樹脂組成物は、無機充填材(C)を含有してもよい。
【0133】
本発明において、該無機充填材(C)としては、公知の充填材を使用することができるが、なかでも、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムなどの金属水和物、表面をエポキシ樹脂やフェノール樹脂をはじめとする各種有機物で表面処理した水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、金属を固溶化させて耐酸性を改良した水酸化マグネシウムなどの、各種金属水和物が好ましい。さらに、これらのうち、水酸化アルミニウムは耐薬品性に優れるので、プリント配線板用途に好適であり、水酸化アルミニウムの中でもソーダ分の低いものはハンダ耐熱性にも優れるので、特に好ましい。
【0134】
さらに、本発明において、無機充填材(C)として水酸化アルミニウムを使用する場合は、水酸化アルミニウムの50質量%平均粒径(D50)が0.5μmから20μmであると、密着性の向上効果に優れるので好ましい。
【0135】
くわえて、本発明において、水酸化アルミニウムの50質量%平均粒径(D50)が1μmから10μmであると、密着性の向上効果に一層優れるので特に好ましい。
【0136】
すなわち、水酸化アルミニウムの50質量%粒径が1μm未満だと、これを含有するエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇して、銅箔とのぬれ性が低下する可能性が高いので、密着性が不十分な場合がある。また、水酸化アルミニウムの50質量%粒径が10μm以上だと、エポキシ樹脂組成物中での水酸化アルミニウムの分散性が不十分で、ハンダ耐熱性が低下する場合がある。
【0137】
また、本発明の第3のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂用硬化剤(B)及び水酸化アルミニウムを必須成分とし、当該エポキシ樹脂(A)が、前記化8式の一般式(9)で表されるエポキシ化物X’又は前記化9式の一般式(10)で表されるエポキシ化物Y’のうち少なくとも一つを含有するエポキシ樹脂であって、当該エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、前記化31式の一般式(1)で表される構造単位X又は前記化32式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有するフェノール樹脂であって、当該水酸化アルミニウムの50質量%平均粒径(D50)が1μmから10μmであることを特徴とする。
【0138】
さらに、水酸化アルミニウムの比表面積が0.05m2/gより大きく2m2/gより小さいと、エポキシ樹脂組成物の流動性が一層向上して(銅箔表面とのぬれ性が向上する。)、銅箔との密着性がさらに改良されるので、特に好ましい。
【0139】
くわえて、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂用硬化剤(B)及び無機充填材(C)の総和に対して、水酸化アルミニウムの質量割合(W)が、15質量%より大きく50質量%より小さいと、本発明のエポキシ樹脂組成物が、耐熱性や密着性に加えて、難燃性とハンダ耐熱性も優れるのでより好ましい。
さらに、水酸化アルミニウムの質量割合(W)が、20質量%以上45質量%以下であると特に好ましい。すなわち、前記Wが20質量%未満だと、密着性は良好であるが、水酸化アルミニウムの熱分解による十分な吸熱効果と、フィラー充填効果(特に燃焼時のエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇する。)が得られないので、難燃性が低下する場合がある。また、前記Wが45質量%より大きいと、鉛フリーハンダを使用するような高温で、水酸化アルミニウムが分解し、ハンダ耐熱性が低下する場合がある。
【0140】
さらに、金属水和物以外の無機充填材として、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ベリリア、滑石(タルク)、雲母(マイカ)、酸化チタン、ジルコニアなどの粉体又はこれらを球形化したビーズ、チタン酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナなどの単結晶繊維などが挙げられる。これらの充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。上述の通り、金属水和物の中でも特に好ましい水酸化アルミニウム(モース硬度3)と併用する、その他の無機充填材としては、硬度が低い、タルク(モース硬度1)及びマイカ(モース硬度3)などの粉体を利用すると、プリント配線板の加工性も良好なので特に好ましい。
【0142】
本発明において、前記化53、55及び57式の一般式(11)、(13)及び(15)で表されるエポキシ化物(G)と、前記化69乃至化72の一般式(41)及び(42)で表されるエポキシ化物(H)以外で、エポキシ樹脂(A)中に含まれるエポキシ樹脂は、特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン含有ノボラック型エポキシ樹脂、アントラセン含有ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含有ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルトリアジン型エポキシ樹脂、フェノールキシリレントリアジン型エポキシ樹脂、フェノールトリアジン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エステル型エポキシ樹脂、環状脂肪族エステル型エポキシ樹脂及び、エーテルエステル型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、エポキシ樹脂と反応可能な官能基を有するポリアミドエラストマー、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン及びジアミノジフェニルスルフォンなどのアミン系化合物のグリシジル化物を用いることもできる。これらのエポキシ樹脂を単独または数種類混合して用いても差し支えない。前記エポキシ化物(G)と前記エポキシ化物(H)のみで構成される場合に比べて、耐熱性や密着性の各特性を向上させたり、難燃性を低下させたりするものがあるが、プリント配線板用途に要求される特性に合わせて適宜配合可能である。
【0143】
これらの中で、密着性を一層改良するのに特に効果的なのは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの高分子量体(通称、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常2万から10万程度)である。これは、前記エポキシ基含有フェノキシ樹脂の併用で、エポキシ樹脂組成物の硬化物の可撓性が向上するためと推察できる。なお、前記エポキシ基含有フェノキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂用硬化剤(B)の総量に対して、20質量%未満の添加で、十分な密着性の向上効果を発現する。
【0144】
また、高度な銅との密着性や、優れた難燃性の両立を目的とする場合には、上記のフェノールビフェニルトリアジン型エポキシ樹脂、フェノールキシリレントリアジン型エポキシ樹脂及びフェノールトリアジン型エポキシ樹脂などの窒素含有樹脂の利用が特に好ましい。高度な密着性は、これら窒素含有樹脂の構造中に含まれる、アミノ基などの極性基の効果で得られると考える。さらに、難燃性は、これらの窒素含有樹脂と、モリブデン酸亜鉛を含有する無機系難燃剤を併用した場合に、特異的に向上する。この難燃メカニズムは必ずしも明らかではないが、不燃性ガスの発生と、炭化促進によると推察できる。すなわち、前記の窒素含有樹脂と無機系難燃剤を含有する本発明のエポキシ樹脂硬化物は、燃焼の初期には、前記の無機系難燃剤により、エポキシ樹脂硬化物の熱分解が促進されて、主に前記の窒素含有樹脂に由来する不燃性ガスを多量に発生して自己消火し、さらに、燃焼の後期には、熱分解して生成された炭化物により(炭化の促進)、未燃焼部への延焼が抑制されて、高度な難燃性を示したと考える。
【0145】
本発明において、上記フェノール樹脂(F)と上記フェノール樹脂(F’)以外で、エポキシ樹脂用硬化剤(B)中に含まれる硬化剤は、特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、ビフェニル異性体のジヒドロキシルエーテル、ナフタレンジオール型樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型樹脂、ナフタレン含有ノボラック型樹脂、アントラセン含有ノボラック型樹脂、フルオレン含有ノボラック型樹脂、ビスフェノールフルオレン含有ノボラック型樹脂、ビスフェノールF含有ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールA含有ノボラック型フェノール樹脂、フェノールビフェニルトリアジン型樹脂、フェノールキシリレントリアジン型樹脂、フェノールトリアジン型樹脂、テトラフェニロールエタン型樹脂、トリスフェニロールエタン型樹脂、ポリフェノール型樹脂、芳香族エステル型フェノール樹脂、環状脂肪族エステル含有フェノール樹脂及び、エーテルエステル型フェノール樹脂などが挙げられる。また、エポキシ樹脂と反応可能な官能基を有するポリアミドエラストマー、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン及びジアミノジフェニルスルフォンなどのアミン系化合物を用いることもできる。これらの硬化剤を単独または数種類混合して用いても差し支えない。
【0146】
これらの中で、密着性を一層改良するのに特に効果的なのは、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールS型樹脂、ビフェニル異性体のジヒドロキシルエーテルなどの高分子量体(通称、フェノキシ樹脂、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常2万から10万程度)である。これは、前記フェノキシ樹脂の併用で、エポキシ樹脂組成物の硬化物の可撓性が向上するためと推察できる。なお、前記フェノキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂用硬化剤(B)の総量に対して、20質量%未満の添加で、十分な密着性の向上効果を発現する。
【0147】
また、高度な銅との密着性や、優れた難燃性の両立を目的とする場合には、上記のフェノールビフェニルトリアジン型樹脂、フェノールキシリレントリアジン型樹脂及びフェノールトリアジン型樹脂などの窒素含有樹脂の利用が特に好ましい。高度な密着性は、これら窒素含有樹脂の構造中に含まれる、アミノ基などの極性基の効果で得られると考える。さらに、難燃性は、これらの窒素含有樹脂と、モリブデン酸亜鉛を含有する無機系難燃剤を併用した場合に、特異的に向上する。この難燃メカニズムは必ずしも明らかではないが、不燃性ガスの発生と、炭化促進によると推察できる。すなわち、前記の窒素含有樹脂と無機系難燃剤を含有する本発明のエポキシ樹脂硬化物は、燃焼の初期には、前記の無機系難燃剤により、熱分解が促進されて、主に前記の窒素含有樹脂に由来する不燃性ガスを多量に発生して自己消火し、さらに、燃焼の後期には、熱分解して生成された炭化物により(炭化の促進)、未燃焼部への延焼が抑制されて、高度な難燃性を示したと考える。
【0148】
さらに、本発明における、硬化促進触媒(D)としては、一般的にエポキシ樹脂と硬化剤の硬化に用いられているものが使用でき、特に限定されるものではない。例えば、イミダゾール類や、ジアザビシクロアルケンやその誘導体、三級アミン類などが挙げられる。これらの硬化促進触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
【0149】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、その他の添加剤として、必要に応じて、銅箔との密着性の改良に有効な、シリコーンゴム、シリコーンパウダー、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、インデンなどの可撓性付与剤を添加しても良い。
【0150】
さらに、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、有機アルミネート化合物などのカップリング剤を適宜配合しても良い。特に、前記カップリング剤のうち有機シラン化合物、すなわち、反応性官能基を有するアルコキシシランは、本発明のエポキシ樹脂組成物の、密着性とハンダ耐熱性の向上に有効である。アルコキシシランの具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイドシラン化合物が挙げられる。これらのアルコキシシランの中でも、本発明のエポキシ樹脂組成物と銅箔との密着性を向上する点で、銅表面と結合を形成しやすいアミノ基を構造末端にもつシラン化合物(アミノシラン化合物やウレイドシラン化合物)が好ましく、ウレイドシラン化合物が特に効果的である。この理由は必ずしも明らかではないが、ウレイドシラン化合物の構造末端にあるアミノ基の反応性が低く、エポキシ樹脂と反応する確率も比較的低いので、ウレイドシラン化合物の方が、銅表面と結合を形成できるアミノ基の数が多いので密着性に優れると考える。これに対して、アミノシラン化合物は、構造中のアミノ基の反応性が高く、エポキシ樹脂と反応しやすいので、銅表面と結合形成するアミノ基の数が相対的に少なくなって、密着性が不十分になる場合があると推察した。また、エポキシシラン化合物を、アミノシラン化合物やウレイドシラン化合物と併用すると、これらの化合物中のエポキシ基とアミノ基が反応する可能性が高いので、密着性が低下する場合がある。すなわち、この反応物は、樹脂と銅箔の界面で滑剤のように作用すると推察され、銅箔マット面に比べて、アンカーの深さが浅い、銅箔の黒化処理面に対する、エポキシ樹脂組成物の密着性が極端に低下する場合がある。したがって、エポキシシラン化合物と、アミノシラン化合物やウレイドシラン化合物は併用しない方が良い。
【0151】
くわえて、エポキシ樹脂組成物と銅箔表面の密着性改良剤として、銅表面と結合形成可能な、防錆剤などに使用されている、トリアゾール化合物や、メルカプトシラン化合物以外のメルカプト化合物及びイミダゾールの銅錯体を添加しても良い。トリアゾール化合物としては、1,2,3−ベンゾトリアゾールやトリルトリアゾールが挙げられる。メルカプト化合物としては、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。イミダゾールの銅錯体としては、例えば、2−メチルイミダゾール銅(II)錯体が挙げられる。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用しても良い。特に、前記のメルカプト化合物を使用すると、密着性向上効果が顕著であるだけでなく、難燃性の向上にも極めて効果的である。
【0152】
くわえて、本発明のエポキシ樹脂組成物に、必要に応じて、難燃助剤を適宜配合しても良い。これらの難燃助剤としては、窒素系難燃剤およびリン系難燃剤ならびに金属水和物以外の無機系難燃剤が挙げられる。
【0153】
窒素系難燃剤としては、メラミンやイソシアヌル酸化合物などが挙げられる。リン系難燃剤としては、赤燐、燐酸化合物、有機リン化合物などが挙げられる。金属水和物以外の無機系難燃剤としては、モリブデン酸亜鉛やスズ酸亜鉛と、モリブデン酸亜鉛やスズ酸亜鉛をタルク表面に被覆させた化合物が挙げられる。ただし、本発明のエポキシ樹脂組成物においては、上記難燃助剤の添加量は少なくて済み、耐湿性や耐薬品性などの他の物性が低下するのを抑えることができる。
【0154】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、これら以外の公知の物質を使用することができる。例えば、公知の物質として、顔料、酸化防止剤及び有機溶媒などが挙げられ、積層板やプリント配線板の特性を低下させないものであれば、特に限定なしに使用できる。
【0155】
本発明においてエポキシ樹脂組成物の溶剤又は分散溶媒として使用できる有機溶媒の種類や量は、本発明のエポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、水酸化アルミニウム、硬化促進触媒)を有機溶媒に均一に溶解又は分散させたワニス溶液が、プリプレグを作成するのに適した粘度と揮発性を有していれば、特に限定されるものではない。作業性の観点から、有機溶媒としては、メチルエチルケトン、2−メトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、1−メトキシ−2プロパノールなどが好ましい。
【0156】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記のワニス溶液を、ガラス織布(ガラスクロス)やガラス不織布(ガラスペーパー)などのガラス基材に塗布・含浸させた後、加熱するという一般的な方法により、プリプレグを製造することができる。また、このプリプレグを複数枚重ね合わせ、その積層構造の片面又は両面に銅箔を重ね合わせた後に、加熱・加圧してガラスエポキシ樹脂銅張積層板を製造することができる。このとき、銅箔を用いなければ、積層板が得られる。多層板は、銅張積層板(内層板)に回路を形成し、ついで銅箔をエッチング処理した後、内層板の少なくとも片面にプリプレグ及び銅箔を重ね合わせ、これを例えば、180℃・2.5MPaで65分間加熱プレスするという通常の方法により製造することができる。このようにして製造した、本発明の積層板は、ガラス転移温度を指標とする耐熱性と、銅箔や基材との密着性に同時に優れる。
【0157】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0158】
まず、本発明の例及び比較例で用いた原材料について説明する。
【0159】
下記表1に示されるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤を用いた。
【0160】
エポキシ化物G1及びエポキシ樹脂H1の構造は、下記化73式の一般式(45)で表せる。また、エポキシ化物G2、G3及びG4の構造は、下記化74式の一般式(46)で表せる。なお、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とエポキシ当量を併記した。
【0161】
【表1】
【0162】
【化73】
【0163】
【化74】
【0164】
また用いたフェノール樹脂は下記表2に示され、フェノール樹脂F1,F2,F‘1,F’2の構造は、下記化75式の一般式(47)で表せる。また、フェノール樹脂F´3,F´4,及びF‘5の構造は、下記化76式の一般式(48)で表せる。
【0165】
【表2】
【0166】
【化75】
【0167】
【化76】
【0168】
その他の材料に関しては、下記表3の通りである。
【0169】
【表3】
【0170】
次に、本発明の例及び比較例における、ガラス転移温度、密着性、難燃性及びハンダ耐熱性の評価方法を示す。
【0171】
(i)プリプレグの作成
本発明のエポキシ樹脂組成物を有機溶剤に溶解・分散させた、ワニス溶液を作成した。このワニス溶液中の樹脂分が、常温で結晶化しないかどうかを確認した後、ガラスクロスにこのワニス溶液を塗工した。
【0172】
次に、170℃でのゲルタイムが120秒前後になるように、ワニスを塗工したガラスクロスを、加熱しながら脱溶剤化(Bステージ化。樹脂分を半硬化させる作業。)して、プリプレグ材を作成した。なお、プリプレグ材は、エポキシ樹脂組成物の含有率(RC、質量%)が、約50質量%になるように調整したものを使用した。
【0173】
次に評価用のサンプルを作製したが、いずれも、同じ条件(75℃×0.5MPa×10min→130℃×2.5MPa×25min→180℃×2.5MPa×65min)で、プリプレグ材をプレスして成形した。
【0174】
(ii)ガラス転移温度〈耐熱性の評価手法である。〉の測定
上記で作成したプリプレグ材を4枚積層したものを加熱して得られた積層板(板厚0.4mm)を用いて、DMA測定(25−250℃、10℃/min、曲げ15mm、ひずみ0.05%、1Hz)を行って、ガラス転移温度(Tg、℃)を求めた。
【0175】
(iii)密着性の評価
銅箔のマット面側にプリプレグ材1枚を積層して得られる銅張積層板について、JIS C 5012−1995 8.1に準じて、銅箔またはプリプレグ硬化物の引き剥がし強さ(ピール強度)を測定して、それぞれ密着性を評価した。
・銅箔との密着性
【0176】
(iv)難燃性の評価
上記の方法で作製したプリプレグ材を4枚積層したものを加熱プレスして得られた積層板(板厚0.4mm)を、UL94垂直燃焼試験で規定された形状に、切断・加工して、難燃性を評価した。
【0177】
(v)ハンダ耐熱性の評価
上記の方法で作成したコア材用プリプレグ材を4層積層し、これの上下を銅箔で挟んで、両面銅張積層板(両面板)を作製した。この両面板を25mm角に切断・加工したものを(常態、前処理なし)、260℃に設定したハンダ浴にフロートさせて、両面板に不良(膨れや剥がれ)が発生するまでの時間を計測した。なお、300秒を、本測定の最長時間とし、この時間まで不良が発生しなかったものを、表中に不良なし(○)と記載した。その他、不良が発生した場合は、不良発生時間を記載した。
【0178】
(例1)
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ化物G1を34.58質量%、エポキシ樹脂用硬化剤(B)としてフェノール樹脂F1を30.42質量%、水酸化アルミニウム1を35質量%含有してなるエポキシ樹脂組成物に、硬化促進触媒としてイミダゾール類をエポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂用硬化剤(B)および水酸化アルミニウムの総量100質量%)に対して0.045質量%、アミノシランをエポキシ樹脂組成物に対して0.10質量%添加してなる混合物を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解または分散させて、不揮発分が65質量%のワニス溶液を調整した。
【0179】
得られたワニス溶液を、ガラスクロスに連続的に塗布・含浸させたのち、Bステージ化したプリプレグ材を作成した。このプリプレグ材を用いてプレス成型を行い、各種評価用サンプルを作成した。評価結果を表4〜7に示す。
【0180】
(例2−16)、(比較例1−10)、(参考例1)
表4乃至7に示した配合のエポキシ樹脂組成物を用いたこと以外は例1と同様にして、各種評価用サンプルを作成した。評価結果を表4乃至7に示す。
【0181】
【表4】
【0182】
【表5】
【0183】
【表6】
【0184】
【表7】
【0185】
上記表4乃至7に示した結果から、本発明にかかわるエポキシ樹脂組成物は、従来技術にかかわる各比較例のエポキシ樹脂組成物よりも、耐熱性と密着性に同時に優れていることが分った。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、難燃性とハンダ耐熱性も良好であることが分った。
【0186】
表4に示した、本発明の例1及び2と、比較例1及び2との比較、ならびに、本発明例3、4及び5と、比較例3及び4との比較から明らかなように、高分子量のフェノール樹脂(フェノール樹脂(F))と低分子量のエポキシ樹脂(エポキシ化物(G))を必須成分とする、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ガラス転移温度を指標とする耐熱性と、銅箔マット面との密着性に同時に優れる。
【0187】
さらに、表5に示した、本発明の例6、7、8、9及び10と、比較例5及び6との比較から明らかなように、高分子量のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂(H))と低分子量のフェノール樹脂(フェノール樹脂(I))を必須成分とする、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ガラス転移温度を指標とする耐熱性と、銅箔マット面との密着性に同時に優れる。
【0188】
また、表6に示した、本発明の例11、12及び13と、比較例7及び8との比較から明らかなように、本発明のエポキシ樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂用硬化剤(B)の60質量%以上を、汎用のエポキシ樹脂(エポキシ化物(G)とエポキシ樹脂(H)以外)や、汎用のエポキシ樹脂用硬化剤(フェノール樹脂(F)と(I)以外)でそれぞれ置換したエポキシ樹脂組成物も、ガラス転移温度を指標とする耐熱性と、銅箔マット面との密着性に同時に優れる。
【0189】
また、表7に示した、本発明の例14、15、1及び16と、参考例1及び比較例9との比較、ならびに、本発明の例3と比較例10との比較から明らかなように、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂用硬化剤(B)及び水酸化アルミニウム(C)の総和に対して、水酸化アルミニウム(C)の重量割合(W)が、20質量%以上45質量%以下である、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ガラス転移温度を指標とする耐熱性、銅箔マット面との密着性、難燃性及び、ハンダ耐熱性に同時に優れる。
【0190】
(本発明の例17〜22)(参考例2)
本発明のエポキシ樹脂組成物が、耐熱性と密着性に優れる一例として、低分子量のエポキシ化物(G)と高分子量のフェノール樹脂(F)を組み合わせた場合を用いて、フェノール樹脂(F)の分子量(繰り返し単位数(n))が、耐熱性と密着性に与える影響を確認した。
【0191】
そこで、下記表8及び表9に示すように、エポキシ樹脂(A)としてエポキシ化物G1を使用し、エポキシ樹脂用硬化剤(B)としてフェノール樹脂(F)のうち、前記一般式(37)で表されるフェノールビフェニレンアラルキル型樹脂の右側の水素を左側のエポキシ化合物+メチレン基で置換した構造(以下、一般式38と呼ぶ)で、分子量が異なるフェノール樹脂(それぞれ、Mwが、2500、5000、8000、10000)を化学量論比で配合して、本発明例1と同様の条件で作成した積層板について、ガラス転移温度と銅箔との密着性を評価した。ちなみに、前記一般式(38)において、繰り返し単位(n)が10のとき、重量平均分子量(Mw)が3086程度である。したがって、Mwが3100程度の場合が、本発明のフェノール樹脂(F)に含まれるフェノールビフェニレンアラルキル樹脂(一般式38)の分子量の下限に該当する。
【0192】
ただし、例17〜22および参考例2に示したエポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂用硬化剤(B)および水酸化アルミニウムの総量100質量%)において、この総量100質量%中に占める水酸化アルミニウム1の含有量が35質量%となるように配合し、エポキシ樹脂組成物の総量100質量%に対して、イミダゾール類を0.045質量%、アミノシランを0.10質量%それぞれ添加した。尚、下記表9には、本発明の例についても示してある。
【0193】
【表8】
【0194】
【表9】
【0195】
(本発明の例24〜43)
前述の本発明の例17〜22と同様に、エポキシ樹脂組成物が、耐熱性と密着性に優れる一例として、低分子量のエポキシ化物(G)と高分子量のフェノール樹脂(F)を組み合わせた場合を用いて、窒素含有硬化剤と無機難燃剤の影響と更に炭化促進触媒の効果、水酸化アルミニウムの添加効果についても調べた。
【0196】
また、用いた窒素含有硬化剤としての窒素含有フェノール樹脂と、無機難燃剤は、下記表10に示され、窒素含有フェノール樹脂の構造は、下記化77式の一般式(49)で表せる。
【0197】
【表10】
【0198】
【化77】
(式中、l、nはそれぞれ独立に、0から10の整数を表す。mは1より大きく10より小さい整数を表す)
【0199】
下記表11は、窒素含有樹脂の効果について示している。また、下記表12は無機系難燃剤の効果と窒素含有樹脂との併用効果を示している。また、下記表13は無機系難燃剤の添加量による影響を示している。
【0200】
さらに、下記表14及び表15は水酸化アルミニウムの添加量による影響を夫々示している。
【0201】
第1図は本発明の実施例によるフェノール樹脂(F)の分子量(Mw)とガラス転移温度(Tg、℃)との関係及び第2図は本発明の例によるフェノール樹脂(F)の分子量(Mw)と銅箔との密着性(kN/m)との関係を示す図である。
【0202】
第1図と第2図から明らかなように、本発明のフェノール樹脂(F)を用いた場合に、耐熱性(ここではガラス転移温度を指す。)と密着性(ここでは銅箔との密着性を指す。)に極めて優れることが判る。
【0203】
【表11】
【0204】
【表12】
【0204】
【表13】
【0206】
【表14】
【0207】
【表15】
【0208】
以上示したように、本発明は、ハロゲン系やリン系の難燃剤を使用しないで、耐熱性及び密着性に同時に優れるプリント配線板用のエポキシ樹脂組成物を実現できる。
【0209】
すなわち、本発明は、まず、エポキシ樹脂用硬化剤として、先行例よりも高分子量で特定の範囲の分子量分布をもつフェノールアラルキル型樹脂を含有し、さらに、エポキシ樹脂として、特定の分子量分布(先行例の範囲内で、同時に使用するエポキシ樹脂硬化剤よりも低分子量である。)を持つフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を使用することで、耐熱性と密着性の改良に特異的な効果を得るものである。
【0210】
さらに、本発明は、エポキシ樹脂用硬化剤として、特定の分子量分布(先行例の範囲内で、同時に使用するエポキシ樹脂よりも低分子量である。)をもつフェノールアラルキル型樹脂を使用し、エポキシ樹脂として、先行例よりも高分子量で特定の範囲の分子量分布を持つフェノールアラルキル型エポキシ樹脂を含有することで、耐熱性と密着性の改良に特異的な効果を得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0211】
以上示したように、本発明のエポキシ樹脂組成物は、ハロゲン系やリン系の難燃剤を使用しておらず、耐熱性及び密着性に同時に優れるので、プリント配線板用のエポキシ樹脂組成物に適用することができる。
Claims (43)
- エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化1式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化2式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位Xの繰り返し数と前記構造単位Yの繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化3及び4式の一般式(5)及び(7)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F)を含有し、
前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化5式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化6式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が0以上10以下である下記化7及び8式の一般式(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化9式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化10式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位Xの繰り返し数と前記構造単位Yの繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化11乃至13式の一般式(3)、(5)及び(7)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F)を含有し、
前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化14式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化15式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が0以上10以下である下記化16及び17式の一般式(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化18式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化19式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位Xの繰り返し数と前記構造単位Yの繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記式20及び21式の一般式)(5)及び(7)のうちの一つで表されるフェノール樹脂(F)を含有し、
前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化22式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させたものをエポキシ化して得られる下記化23式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が0以上10以下である下記化24、25及び26式の一般式(11)、(13)及び(15)のうちの一つで表されるエポキシ化物(G)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至3の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、無機充填材(C)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物において、前記無機充填材(C)が、水酸化アルミニウム(C’)であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物において、前記水酸化アルミニウム(C’)の50質量%平均粒径(D50)が、0.5μmから20μmであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至6の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、硬化促進触媒(D)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至7の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ基含有型であるか非含有のフェノキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至8の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、可撓性付与剤としてゴム成分を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至9の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、シランカップリング剤を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至10の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、メルカプト化合物を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至11の内のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物において、窒素含有硬化剤及び無機難燃剤の内の少なくとも一種を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至12の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させてなることを特徴とするワニス溶液。
- 請求項13に記載のワニス溶液を、基材に含浸させて、脱溶剤化させたのち得られる半硬化状態の樹脂シートからなることを特徴とするプリプレグ材。
- 請求項14に記載のプリプレグ材を積層してなることを特徴とする積層板。
- 請求項14に記載のプリプレグ材の片面に銅箔を張り付けたことを特徴とする銅張積層板。
- 請求項13に記載のワニス溶液を、銅箔表面に塗工して得られることを特徴とする樹脂付き銅箔。
- 銅箔と、樹脂材とを積層してなるプリント配線板であって、前記樹脂材は、エポキシ樹脂組成物のみからなるか又はエポキシ樹脂を含む基材からなり、前記エポキシ樹脂組成物は請求項1乃至12の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含む半硬化状態であるか又は硬化状態であることを特徴とするプリント配線板。
- 請求項18に記載のプリント配線板において、前記樹脂材はエポキシ樹脂組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させたワニス溶液を基材に含浸させて、脱溶剤化させたのち得られる半硬化状態の樹脂シートからなるプリプレグ材を含むことを特徴とするプリント配線板。
- 請求項18又は19に記載のプリント配線板において、前記樹脂材は、前記銅箔に前記エポキシ樹脂組成物が塗工されたものを含むことを特徴とするプリント配線板。
- エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化27式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化28式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化29及び30式の一般式(37)及び(39)のうちの一つで表されるエポキシ化物(H)を含有し、
前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化31式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる上記化32式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、下記化33及び34式の一般式(23)及び(25)のうちの一つで表され、繰り返し数(nまたは、m+m’)が0以上10以下である、フェノール樹脂(F’)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化35式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化36式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化37、38及び39式の一般式(35)、(37)及び(39)のうちの一つで表されるエポキシ化物(H)を含有し、
前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化40式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化41式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、下記化42及び43式の一般式(23)及び(25)のうちの一つで表され、繰り返し数(nまたは、m+m’)が0以上10以下である、フェノール樹脂(F’)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)とを含み、前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化44式の一般式(9)で表される構造単位X’、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化45式の一般式(10)で表される構造単位Y’のうち少なくとも一つを含有し、
前記構造単位X’の繰り返し数と前記構造単位Y’の繰り返し数の総和(nまたは、m+m’)が10より大きく75より小さい下記化46及び47式の一般式(37)及び(39)のうちの一つで表されるエポキシ化物(H)を含有し、
前記エポキシ樹脂用硬化剤(B)が、ビフェニルの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化48式の一般式(1)で表される構造単位X、又はベンゼンの異性体もしくはそれらの混合物とフェノール系化合物とを反応させて得られる下記化49式の一般式(2)で表される構造単位Yのうち少なくとも一つを含有し、下記化50、51及び52式の一般式(21)、(23)及び(25)のうちの一つで表され、繰り返し数(nまたは、m+m’)が0以上10以下である、フェノール樹脂(F’)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至23のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、無機充填材(C)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項24に記載のエポキシ樹脂組成物において、前記無機充填材(C)が、水酸化アルミニウム(C’)であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項25に記載のエポキシ樹脂組成物において、前記水酸化アルミニウム(C’)の50質量%平均粒径(D50)が、0.5μmから20μmであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至26の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、硬化促進触媒(D)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至27の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ基含有型であるか非含有のフェノキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至28の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、可撓性付与剤としてゴム成分を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至29の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、シランカップリング剤を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至30の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、更に、メルカプト化合物を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至31の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物において、窒素含有樹脂及び無機系難燃剤の内の少なくとも一種を更に含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項21乃至32の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させてなることを特徴とするワニス溶液。
- 請求項33に記載のワニス溶液を、基材に含浸させて、脱溶剤化させたのち得られる半硬化状態の樹脂シートからなることを特徴とするプリプレグ材。
- 請求項34に記載のプリプレグ材を積層してなることを特徴とする積層板。
- 請求項34に記載のプリプレグ材の片面に銅箔を張り付けたことを特徴とする銅張積層板。
- 請求項33に記載のワニス溶液を、銅箔表面に塗工して得られることを特徴とする樹脂付き銅箔。
- 銅箔と、樹脂材とを積層してなるプリント配線板であって、前記樹脂材は、エポキシ樹脂組成物のみからなるか又はエポキシ樹脂を含む基材からなり、前記エポキシ樹脂組成物は請求項21乃至32の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含む半硬化状態であるか又は硬化状態であることを特徴とするプリント配線板。
- 請求項38に記載のプリント配線板において、前記樹脂材はエポキシ樹脂組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させたワニス溶液を基材に含浸させて、脱溶剤化させたのち得られる半硬化状態の樹脂シートからなるプリプレグ材を含むことを特徴とするプリント配線板。
- 請求項38記載のプリント配線板において、前記樹脂材は、前記銅箔に前記エポキシ樹脂組成物が塗工されたものを含むことを特徴とするプリント配線板。
- 銅箔と、樹脂材とを積層してなるプリント配線板であって、前記樹脂材は、エポキシ樹脂組成物のみからなるか又はエポキシ樹脂を含む基材からなり、前記エポキシ樹脂組成物は請求項1乃至12の内のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含む半硬化状態であるか又は硬化状態であることを特徴とするプリント配線板。
- 請求項41に記載のプリント配線板において、前記樹脂材はエポキシ樹脂組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させたワニス溶液を基材に含浸させて、脱溶剤化させたのち得られる半硬化状態の樹脂シートからなるプリプレグ材を含むことを特徴とするプリント配線板。
- 請求項41に記載のプリント配線板において、前記樹脂材は、前記銅箔に前記エポキシ樹脂組成物が塗工されたものを含むことを特徴とするプリント配線板。
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