図1は本発明の実施形態による共振型電力変換装置としての双方向昇降圧回路の構成図である。図1に示すように、本発明の双方向昇降圧回路は、直流電源E、入力コンデンサCin、出力コンデンサCout、メインスイッチング素子S1〜S4、主リアクトルL2、補助リアクトルL1,L3、補助コンデンサC1〜C4、補助スイッチング素子S1a〜S4a、補助ダイオードD1〜D4、補助ダイオードDRB1〜DRB4、入力電圧センサ2、主リアクトル電流センサ4、出力電圧センサ6及び負荷8を具備する。
直流電源Eは、負荷8に出力コンデンサCoutを通して電力供給するための蓄電装置であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などであり、複数の単電池がモジュール化された複数のバッテリブロックが直列接続されている。直流電源Eはキャパシタでも良い。入力コンデンサCinは負荷8からの電圧を平滑化し、直流電源Eを充電するためのコンデンサであり、正極が直流電源Eの正極に接続され、負極が直流電源Eの負極に接続されている。負荷8はインバータ及びモータ等である。
メインイッチング素子S1〜S4は、直流電源E(入力コンデンサCin)から負荷8(出力コンデンサCout)への昇圧(順方向昇圧)、直流電源E(入力コンデンサCin)から負荷8(出力コンデンサCout)への降圧(順方向降圧)、負荷8(出力コンデンサCout)から直流電源E(入力コンデンサCin)への昇圧(逆方向昇圧)、負荷8(出力コンデンサCout)から直流電源E(入力コンデンサCin)への降圧(逆方向降圧)を行うためのスイッチであり、主スイッチング素子及び主ダイオードで構成される。以下、主スイッチング素子及び主ダイオードを符号S1〜S4で表す。
順方向昇圧では、主スイッチング素子S1がON/OFF、主スイッチング素子S4が常時ON、主スイッチング素子S2,S3が常時OFFされる。順方向降圧では、主スイッチング素子S4がON/OFF、主スイッチング素子S2が常時ON、主スイッチング素子S1,S3が常時OFFされる。逆方向昇圧では、主スイッチング素子S3がON/OFF、主スイッチング素子S2が常時ON、主スイッチング素子S1,S4が常時OFFされる。逆方向降圧では、主スイッチング素子S2がON/OFF、主スイッチング素子S4が常時ON、主スイッチング素子S1,S3が常時OFFする。
主スイッチング素子(第1主スイッチング素子)S4は、例えば、IGBT素子で構成され、コレクタが入力コンデンサCinの正極(第1端子)に接続され、エミッタが補助リアクトルL3の一端及び主スイッチング素子S3のコレクタに接続されている。主スイッチング素子S4に逆並列に主ダイオードS4が接続されている。主ダイオードS4は、アノードが主スイッチング素子S4のエミッタ及び補助リアクトルL3の一端に接続され、カソードが主スイッチング素子S4のコレクタ及び入力コンデンサCinの正極に接続されている。
補助コンデンサ(第1補助コンデンサ)C4は、順方向降圧のときに、主スイッチング素子S4のターンオフをソフトスイッチにより行い、第1部分共振回路により主ダイオードS4をターンONして、主スイッチング素子S4をソフトスイッチするためのコンデンサである。第4補助コンデンサC4は、正極が直流電源Eの正極、主スイッチング素子S4のコレクタ及び主ダイオードS4のカソードに接続され、負極が補助スイッチング素子S4aのエミッタ及び補助ダイオードD4のアノードに接続されている。
補助スイッチング素子(第1補助スイッチング素子)S4aは、順方向降圧のときに、主ダイオードS3の電荷を消滅させるための第1リカバリ電流消滅回路及び第1部分共振回路を構成するスイッチであり、エミッタが補助コンデンサC4の負極及び補助ダイオードD4のアノードに接続され、コレクタが補助ダイオードDRB4のカソードに接続されている。
補助ダイオード(第1補助ダイオード)D4は、第1リカバリ電流消滅回路を構成するダイオードであり、アノードが補助スイッチング素子S4aのエミッタ及び補助コンデンサC4の負極に接続され、カソードが補助リアクトルL3の他端、補助ダイオードD3のアノード及び主リアクトルL2の一端に接続されている。
補助ダイオードDRB4は、補助スイッチング素子S4aとともに第1リカバリ電流消滅回路及び第1部分共振回路を形成するダイオードであり、アノードが主リアクトルL2の他端、補助スイッチング素子DRB3のカソード、補助リアクトルL1の一端、補助ダイオードD2のカソード及び補助ダイオードD1のアノードに接続されている。
主スイッチング素子(第2主スイッチング素子)S3は、例えば、IGBT素子で構成され、コレクタが主スイッチング素子S4のエミッタ及び補助リアクトルL3の一端に接続され、エミッタが直流電源Eの負極(第2端子)に接続されている。主スイッチング素子S3に逆並列に主ダイオードS3が接続されている。主ダイオードS3は、アノードが主スイッチング素子S3のエミッタ及び直流電源Eの負極に接続され、カソードが主スイッチング素子S3のコレクタ及び補助リアクトルL3の一端に接続されている。
補助コンデンサ(第2補助コンデンサ)C3は、逆方向昇圧時、主スイッチング素子S3のターンオフをソフトスイッチにより行い、第2部分共振回路を形成して主ダイオードS3をターンONし、主スイッチング素子S3をソフトスイッチするコンデンサである。補助コンデンサC3は、正極が補助ダイオードD3のカソード及び補助スイッチング素子S3aのコレクタに接続され、負極が直流電源Eの負極に接続されている。
補助スイッチング素子(第2補助スイッチング素子)S3aは、逆方向昇圧時、主ダイオードS4の電荷を消滅させる第2リカバリ電流消滅回路及び第2部分共振回路を構成するスイッチであり、コレクタが補助ダイオードD3のカソード及び補助コンデンサC3の正極に接続され、エミッタが補助ダイオードDRB3のアノードに接続されている。
補助ダイオード(第2補助ダイオード)D3は、第2リカバリ電流消滅回路を形成するダイオードであり、アノードが補助リアクトルL3の他端、主リアクトルL2の一端及び第4補助ダイオードD4のカソードに接続され、カソードが補助スイッチング素子S3aのコレクタ及び補助コンデンサC3の正極に接続されている。
補助ダイオードDRB3は、補助スイッチング素子S3aとともに第2リカバリ電流消滅回路及び第2部分共振回路を形成するダイオードであり、アノードが補助スイッチング素子S3aのエミッタに接続され、カソードが主リアクトルL2の他端、補助スイッチング素子DRB4のアノード、補助リアクトルL1の一端、補助ダイオードD2のカソード及び補助ダイオードD1のアノードに接続されている。
主スイッチング素子(第3主スイッチング素子)S2は、例えば、IGBT素子で構成され、コレクタが出力コンデンサCoutの正極(第3端子)及び補助コンデンサC2の正極に接続され、エミッタが補助リアクトルL1の他端及び主スイッチング素子S1のコレクタに接続されている。主スイッチング素子S2に逆並列に主ダイオード(第3主ダイオード)S2が接続されている。主ダイオードS2は、アノードが主スイッチング素子S2のエミッタ及び補助リアクトルL1の他端に接続され、カソードが補助コンデンサC2の正極及び主スイッチング素子S2のコレクタに接続されている。
補助コンデンサ(第3補助コンデンサ)C2は、逆方向降圧時、主スイッチング素子S2のターンオフをソフトスイッチにより行い、第3部分共振回路を形成して主ダイオードS2をターンオンし、主スイッチング素子S2をソフトスイッチするコンデンサである。補助コンデンサC2は、正極が主スイッチング素子S2のコレクタ、主ダイオードS2のカソード及び出力コンデンサCoutの正極に接続され、負極が補助スイッチング素子S2aのエミッタ及び補助ダイオードD2のアノードに接続されている。
補助スイッチング素子(第3補助スイッチング素子)S2aは、逆方向降圧時、主ダイオードS1の電荷を消滅させる第3リカバリ電流消滅回路及び第3部分共振回路を形成するスイッチであり、コレクタが補助ダイオードDRB2のカソードに接続され、エミッタが補助コンデンサC2の負極及び補助ダイオードD2のアノードに接続されている。
補助ダイオード(第3補助ダイオード)D2は、第3リカバリ電流消滅回路を形成するダイオードであり、アノードが補助スイッチング素子S2aのエミッタ、補助コンデンサC2の負極に接続され、カソードが主リアクトルL2の他端、補助リアクトルL1の一端及び補助ダイオードD1のアノードに接続されている。
補助ダイオードDRB3は、補助スイッチング素子S2aとともに第3リカバリ電流消滅回路及び第3部分共振回路を形成するダイオードであり、アノードが補助リアクトルL3の他端、補助ダイオードD3のアノード、補助ダイオードD4のカソード及び主リアクトルL2の一端に接続され、カソードが補助スイッチング素子S2aのコレクタに接続されている。
主スイッチング素子(第4主スイッチング素子)S1は、例えば、IGBT素子で構成され、コレクタが補助リアクトルL1の他端及び主スイッチング素子S2のエミッタに接続され、エミッタが直流電源Eの負極(第4端子)に接続されている。主スイッチング素子S1に逆並列に主ダイオード(第4主ダイオード)S1が接続されている。主ダイオードS1は、アノードが主スイッチング素子S1のエミッタ及び直流電源Eの負極に接続され、カソードが補助リアクトルL1の他端、主スイッチング素子S2のエミッタ及び主スイッチング素子S1のコレクタに接続されている。
補助コンデンサ(第4補助コンデンサ)C1は、順方向昇圧時、主スイッチング素子S1のターンオフをソフトスイッチにより行い、第4部分共振回路を形成して主ダイオードS1をターンオンし、主スイッチング素子S1をソフトスイッチするコンデンサである。補助コンデンサC1は、正極が補助ダイオードD1のカソード及び補助スイッチング素子S1aのコレクタに接続され、負極が直流電源Eの負極に接続されている。
補助スイッチング素子(第4補助スイッチング素子)S1aは、順方向昇圧時、主ダイオードS2の電荷を消滅させる第4リカバリ電流消滅回路及び第4部分共振回路を形成するスイッチであり、コレクタが補助ダイオードD1のカソード及び補助コンデンサC1の正極に接続され、エミッタが補助ダイオードDRB1のアノードに接続されている。
補助ダイオード(第4補助ダイオード)D1は、第4リカバリ電流消滅回路を形成するダイオードであり、アノードが主リアクトルL2の他端、補助リアクトルL1の一端及び補助ダイオードD2のカソードに接続され、カソードが補助スイッチング素子S1aのコレクタ及び補助コンデンサC1の正極に接続されている。
補助ダイオードDRB1は、補助スイッチング素子S1aとともに第4リカバリ電流消滅回路及び第4部分共振回路を形成するダイオードであり、アノードが補助スイッチング素子S1aのエミッタに接続され、カソードが補助リアクトルL3の他端、主リアクトルL2の一端及び補助ダイオードDRB2のアノードに接続されている。
補助リアクトル(第1補助リアクトル)L3は、補助リアクトルL1とともに第1〜第4リカバリ電流消滅回路の構成、順方向昇圧及び逆方向降圧時、第1及び第2部分共振回路の構成、及び主スイッチング素子S3,S4のON時、補助コンデンサC3,C4の放電電流の立ち上がり及び立ち下りを抑制するリアクトルであり、一端が主スイッチング素子S4のエミッタ及び主スイッチング素子S3のコレクタに接続され、他端が補助ダイオードD4のカソード、補助ダイオードD3のアノード、主リアクトルL2の一端、補助ダイオードDRB2のアノード及び補助ダイオードDRB1のカソードに接続されている。即ち、補助リアクトルL3は、補助ダイオードD3,D4の接続点と主スイッチング素子S3,S4の接続点の間に設けられている。
補助リアクトル(第2補助リアクトル)L1は、補助リアクトルL2とともに第1〜第4リカバリ電流消滅回路の構成、順方向降圧及び逆方向昇圧時、第4及び第3部分共振回路の構成、及び主スイッチング素子S1,S2のON時、補助コンデンサC1,C2の放電電流の立ち上がり及び立ち下りを抑制するリアクトルであり、一端が主リアクトルL2の他端、補助ダイオードDRB3のカソード、補助ダイオードDRB4のアノード、補助ダイオードD1のアノード及び補助ダイオードD2のカソードに接続され、他端は、主スイッチング素子S2のエミッタ及び主スイッチング素子S1のコレクタに接続されている。即ち、補助リアクトルL1は、補助ダイオードD1,D2の接続点と主スイッチング素子S1,S2の接続点の間に設けられている。
主リアクトルL2は、磁気エネルギーを蓄積して、双方向昇降圧を行うためのリアクトルであり、一端が補助リアクトルL3の他端、補助ダイオードD3のアノード及び補助ダイオードD4のカソードに接続され、他端が補助ダイオードDRB3のカソード、補助ダイオードDRB4のアノード及び補助リアクトルL1の一端に接続されている。
入力電圧センサ2は直流電源Eの電圧を検出して、電圧に対応する電気信号を出力するセンサである。主リアクトル電流センサ4は、主リアクトルL2に流れる電流を検出するセンサであり、例えば、主リアクトルL2の他端と補助ダイオードDRB3のカソード及び補助ダイオードDRB4のアノードの間に設けられている。出力電圧センサ6は、出力コンデンサCoutの電圧を検出するセンサである。まず、SAZZ双方向昇降圧回路の双方向の昇圧・降圧動作の説明をする。
(a) 順方向昇圧の場合
順方向昇圧時は、主スイッチング素子S4は常時ON、主スイッチング素子S2,S3は常時OFF、主スイッチング素子S1はON/OFF、補助スイッチング素子S2a,S3a,S4aは常時OFF、補助スイッチング素子S1aはON/OFFされる。
MODE1は、補助コンデンサC1が充電されている状態で補助スイッチング素子S1aのみをオンし、主ダイオードS2(出力ダイオード)の蓄積電荷を消滅させるための状態である。補助スイッチング素子S1aをオンにすると、(4)に示すように、出力側から入力側に電流が流れる。
即ち、(4)に示すように、出力コンデンサCout→主ダイオードS2→補助リアクトルL1→補助ダイオードD1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinに主ダイオードS2の蓄積電荷を消滅させるための電流が流れる。ここで、補助リアクトルL1,L3により、(4)に示す電流は、0から徐々に増加し、補助スイッチング素子S1aはZCS(零電流スイッチング)でターンオンする。一方、(6)に示すように、入力コンデンサCin→→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutへの順方向の電流が流れている。
MODE1では、主スイッチング素子S1はOFFのままである。MODE3が開始される時刻で主スイッチング素子S1がONするように、後述のように、主スイッチング素子S1がONする時刻よりも可変遅延時間Td1(t)だけ前に補助スイッチング素子S1aがONするよう制御する。(4)に示すリカバリ電流を消滅させるための出力側から入力側に流れる電流と(6)に示す入力側から出力側に流れる電流が等しくなると、主ダイオードS2の電流が零電流となり、主ダイオードS2に蓄積された電荷が消滅する。
MODE2は、主リアクトルL2に流れる電流と補助スイッチング素子S1aに流れる電流が等しくなり、主ダイオードS2に流れる電流が零となり、補助スイッチング素子S1aのターンオンによる共振モードの状態である。この状態では、主ダイオードに流れる電流が零となったことから、(10)に示すように、主リアクトルL2→補助ダイオードD1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→主リアクトルL2のループで還流電流が流れる。
すると、補助リアクトルL1の他端の主ダイオードS2からのバイアスが解放されて、(8)に示すように、補助コンデンサC1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCin→補助コンデンサC1によりLC部分共振回路が形成され、補助コンデンサC1の放電が始まり、補助リアクトルL3を流れる電流はLC共振する。その後、補助コンデンサC1のエネルギーは補助リアクトルL3に移行する。そして、補助コンデンサC1の放電が終了して、補助コンデンサC1の電荷が消滅又は最小となり、補助コンデンサC1の電圧は零又は最小となる。
MODE3は、補助コンデンサC1の電圧が零又は最小となり、主スイッチング素子S1のターンオンがZVZCT動作を行う状態である。補助コンデンサC1の電圧が零になった状態では、補助リアクトルL3に逆起電力が発生し、主ダイオードS1がONして、(12)に示すように、主ダイオードS1→補助リアクトルL1→補助ダイオードD1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCin→主ダイオードS1の経路により、第2補助リアクトルL3に蓄えられたエネルギーが反転電流として流れ始める。補助コンデンサC1の電圧が零又は最小となったとき、主スイッチング素子S1をONする。
主スイッチング素子S1をONした時、補助コンデンサC1に電荷が残存していると、補助ダイオードD1が逆バイアスされて、補助コンデンサC1→補助ダイオードD1→補助リアクトルL1→主スイッチング素子S1→補助コンデンサC1に放電電流が流れる。このとき、後述するように、放電電流の立ち上がり及び立ち下がりは補助リアクトルL1のインダクタンスにより抑制されて、主スイッチング素子S1のスイッチング損失及びスイッチングノイズが抑制される。
また、主スイッチング素子S1をONすると、(16)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL21補助リアクトルL1→主スイッチング素子S1→入力コンデンサCinの経路により電流が流れる。
MODE4は、主スイッチング素子S1がONしている状態である。この状態では、(16)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主スイッチング素子S1→入力コンデンサCinの経路により電流が流れて、主リアクトルL2にエネルギーが蓄積される。
MODE5は、主スイッチング素子S1及び補助スイッチング素子S1aがターンオフしている状態である。この状態では、補助スイッチング素子S1aのターンオフについては、補助コンデンサC1の放電が終了しているので、補助スイッチング素子S1aには電流が流れていない。そのため、補助スイッチング素子S1aはZCSでターンオフする。更に、(18)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助ダイオードD1→補助コンデンサC1→入力コンデンサCinの経路にて電流が流れて、補助コンデンサC1が充電される。補助コンデンサC1が充電されることにより、主スイッチング素子S1のターンオフは、ZVTとなる。
MODE6は、主スイッチング素子S1がOFFしている状態である。補助コンデンサC1が充電されて、出力側の電圧に等しくなると、主ダイオードS2がONし、(19)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサC4の経路にて電流が流れて、主リアクトルL2に貯められたエネルギーが負荷8側に流れ出す。以上のMODE1〜MODE6を繰り返す。
(b) 順方向降圧の場合
順方向降圧時は、主スイッチング素子S2は常時ON、主スイッチング素子S1,S3は常時OFF、主スイッチング素子S4はON/OFF、補助スイッチング素子S1a,S2a,S3aは常時OFF、補助スイッチング素子S4aはON/OFFされる。
MODE1は、補助コンデンサC4が充電されている状態で補助スイッチング素子S4aのみをオンし、主ダイオード(還流ダイオード)S3の蓄積電荷を消滅させるための状態である。補助スイッチング素子S4aをオンにすると、(20)に示すように、出力側から入力側に電流が流れる。
即ち、(20)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助ダイオードD4→補助リアクトルL3→主ダイオードS3→出力コンデンサCoutに主ダイオードS3の蓄積電荷を消滅させるための電流が流れる。補助リアクトルL1,L3により、(20)に示す電流は、0から徐々に増加し、補助スイッチング素子S4aはZCS(零電流スイッチング)でターンオンする。一方、(24)に示すように、主ダイオードS3→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutへの順方向の還流電流が流れている。
MODE1では、主スイッチング素子S4はOFFのままである。MODE3が開始される時刻で主スイッチング素子S2がONするように、後述のように、主スイッチング素子S2がONする時刻よりも可変遅延時間Td2(t)だけ前に補助スイッチング素子S2aがONするよう制御する。(20)に示すリカバリ電流を消滅させるための出力側から入力側に流れる電流と(24)に示す入力側から出力側に流れる電流が等しくなると、主ダイオードS3の電流が零電流となり、主ダイオードS3に蓄積された電荷が消滅する。
MODE2は、主リアクトルL2に流れる電流と補助スイッチング素子S4aに流れる電流が等しくなり、主ダイオードS3に流れる電流が零となり、補助スイッチング素子S4aのターンオンによる共振モードの状態である。この状態では、主ダイオードS3に流れる電流が零となったことから、(28)に示すように、主リアクトルL2→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助ダイオードD4→主リアクトルL2のループで還流電流が流れる。
すると、補助リアクトルL3の一端の主ダイオードS3からのバイアスが解放されて、(26)に示すように、補助コンデンサC4→入力コンデンサCin→出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助コンデンサC4によりLC部分共振回路が形成され、補助コンデンサC4の放電が始まり、補助リアクトルL1を流れる電流はLC共振する。その後、補助コンデンサC4のエネルギーは補助リアクトルL1に移行する。そして、補助コンデンサC4の放電が終了して、補助コンデンサC4の電荷が消滅又は最小となり、補助コンデンサC4の電圧は零又は最小となる。
MODE3は、補助コンデンサC4の電圧が零又は最小となり、主スイッチング素子S4のターンオンがZVZCT動作を行う状態である。補助コンデンサC4の電圧は零になった状態では、補助リアクトルL1に逆起電力が発生し、主ダイオードS4がONして、(30)に示すように、主ダイオードS4→入力コンデンサCin→出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助ダイオードD4→補助リアクトルL3→主ダイオードS4の経路により、補助リアクトルL1に蓄えられたエネルギーが反転電流として流れ始める。補助コンデンサC4の電圧が零又は最小となったとき、主スイッチング素子S4をONする。
主スイッチング素子S4をONした時、補助コンデンサC4に電荷が残存していると、補助ダイオードD4が逆バイアスされて、(32)に示すように、補助コンデンサC4→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→補助ダイオードD4→補助コンデンサC4に放電電流が流れる。このとき、後述するように、放電電流の立ち上がり及び立ち下がりは補助リアクトルL3のインダクタンスにより抑制されて、主スイッチング素子S4のスイッチング損失及びスイッチングノイズが抑制される。
また、主スイッチング素子S4をONすると、(34)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutの経路により電流が流れる。
MODE4は主スイッチング素子S4がONしている状態である。この状態では、(34)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutの経路により電流が流れて、主リアクトルL2にエネルギーが蓄積される。
MODE5は主スイッチング素子S4及び補助スイッチング素子S4aがターンオフしている状態である。この状態では、補助スイッチング素子S4aのターンオフについては、補助コンデンサC4の放電が終了しているので、補助スイッチング素子S4aには電流が流れていない。そのため、補助スイッチング素子S4aはZCSでターンオフする。更に、(36)に示すように、入力コンデンサCin→補助コンデンサC4→補助ダイオードD4→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutの経路にて電流が流れて、補助コンデンサC4が充電される。補助コンデンサC4が充電されることにより、主スイッチング素子S4のターンオフは、ZVTとなる。
MODE6は、主スイッチング素子S4がOFFしている状態である。補助コンデンサC4が充電されて、入力側の電圧に等しくなると、主ダイオードS3がONし、(38)に示すように、主ダイオードS3→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutの経路にて電流が流れて、主リアクトルL2に貯められたエネルギーが負荷8側に流れ出す。以上のMODE1〜MODE6を繰り返す。
(c) 逆方向昇圧の場合
逆方向昇圧時は、主スイッチング素子S2は常時ON、主スイッチング素子S1,S4は常時OFF、主スイッチング素子S3はON/OFF、補助スイッチング素子S1a,S2a,S4aは常時OFF、補助スイッチング素子S3aはON/OFFされる。
MODE1は、補助コンデンサC3が充電されている状態で補助スイッチング素子S3aのみをオンし、主ダイオードS4(出力ダイオード)の蓄積電荷を消滅させるための状態である。補助スイッチング素子S4aをオンにすると、(52)に示すように、出力側から入力側に電流が流れる。
即ち、(52)に示すように、入力コンデンサCin→主ダイオードS4→補助リアクトルL2→補助ダイオードD3→補助スイッチング素子S3a→補助ダイオードDRB3→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutに主ダイオードS4の蓄積電荷を消滅させるための電流が流れる。ここで、補助リアクトルL1,L3により、(52)に示す電流は、0から徐々に増加し、補助スイッチング素子S3aはZCS(零電流スイッチング)でターンオンする。一方、(54)に示すように、出力コンデンサCout→→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinへの順方向の電流が流れている。
MODE1では、主スイッチング素子S3はOFFのままである。MODE3が開始される時刻で主スイッチング素子S3がONするように、後述のように、主スイッチング素子S3がONする時刻よりも可変遅延時間Td3(t)だけ前に補助スイッチング素子S3aがONするよう制御する。(52)に示すリカバリ電流を消滅させるための出力側から入力側に流れる電流と(54)に示す入力側から出力側に流れる電流が等しくなると、主ダイオードS4の電流が零電流となり、主ダイオードS4に蓄積された電荷が消滅する。
MODE2は、主リアクトルL2に流れる電流と補助スイッチング素子S3aに流れる電流が等しくなり、主ダイオードS4に流れる電流が零となり、補助スイッチング素子S3aのターンオンによる共振モードの状態である。この状態では、主ダイオードS4に流れる電流が零となったことから、(58)に示すように、主リアクトルL2→補助ダイオードD3→補助スイッチング素子S3a→補助ダイオードDRB3→主リアクトルL2のループで還流電流が流れる。
すると、補助リアクトルL3の他端の主ダイオードS4からのバイアスが解放されて、(56)に示すように、補助コンデンサC3→補助スイッチング素子S3a→補助ダイオードDRB3→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCout→補助コンデンサC3によりLC部分共振回路が形成され、補助コンデンサC3の放電が始まり、補助リアクトルL1を流れる電流はLC共振する。その後、補助コンデンサC3のエネルギーは補助リアクトルL1に移行する。そして、補助コンデンサC3の放電が終了して、補助コンデンサC3の電荷が消滅又は最小となり、補助コンデンサC3の電圧は零又は最小となる。
MODE3は、補助コンデンサC3の電圧が零又は最小となり、主スイッチング素子S3のターンオンがZVZCT動作を行う状態である。補助コンデンサC3の電圧は零になった状態では、補助リアクトルL1に逆起電力が発生し、主ダイオードS3がONして、(60)に示すように、主ダイオードS3→補助リアクトルL3→補助ダイオードD3→補助スイッチング素子S3a→補助ダイオードDRB3→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCout→主ダイオードS3の経路により、補助リアクトルL1に蓄えられたエネルギーが反転電流として流れ始める。補助コンデンサC3の電圧が零又は最小となったとき、主スイッチング素子S3をONする。
主スイッチング素子S3をONした時、補助コンデンサC3に電荷が残存していると、補助ダイオードD3が逆バイアスされて、補助コンデンサC3→補助ダイオードD3→補助リアクトルL3→主スイッチング素子S3→補助コンデンサC3に放電電流が流れる。このとき、後述するように、放電電流の立ち上がり及び立ち下がりは補助リアクトルL3のインダクタンスにより抑制されて、主スイッチング素子S3のスイッチング損失及びスイッチングノイズが抑制される。
また、主スイッチング素子S3をONすると、(64)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主スイッチング素子S3→出力コンデンサCoutの経路により電流が流れる。
MODE4は、主スイッチング素子S3がONしている状態である。この状態では、(64)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主スイッチング素子S3→出力コンデンサCoutの経路により電流が流れて、主リアクトルL2にエネルギーが蓄積される。
MODE5は、主スイッチング素子S3及び補助スイッチング素子S3aがターンオフしている状態である。この状態では、補助スイッチング素子S3aのターンオフについては、補助コンデンサC3の放電が終了しているので、補助スイッチング素子S3aには電流が流れていない。そのため、補助スイッチング素子S3aはZCSでターンオフする。更に、(66)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助ダイオードD3→補助コンデンサC3→出力コンデンサCoutの経路にて電流が流れて、補助コンデンサC3が充電される。補助コンデンサC3が充電されることにより、主スイッチング素子S3のターンオフは、ZVTとなる。
MODE6は、主スイッチング素子S3がOFFしている状態である。補助コンデンサC3が充電されて、出力側の電圧に等しくなると、主ダイオードS4がONし、(68)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL2→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinの経路にて電流が流れて、主リアクトルL2に貯められたエネルギーが負荷8側に流れ出す。以上のMODE1〜MODE6を繰り返す。
(d) 逆方向降圧の場合
逆方向降圧時は、主スイッチング素子S4は常時ON、主スイッチング素子S1,S3は常時OFF、主スイッチング素子S2はON/OFF、補助スイッチング素子S1a,S3a,S4aは常時OFF、補助スイッチング素子S2aはON/OFFされる。
MODE1は、補助コンデンサC2が充電されている状態で補助スイッチング素子S2aのみをオンし、主ダイオード(還流ダイオード)S1の蓄積電荷を消滅させるための状態である。補助スイッチング素子S2aをオンにすると、(80)に示すように、出力側から入力側に電流が流れる。
即ち、(80)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→補助ダイオードDRB2→補助スイッチング素子S2a→補助ダイオードD2→補助リアクトルL1→主ダイオードS1→入力コンデンサCinに主ダイオードS1の蓄積電荷を消滅させるための電流が流れる。補助リアクトルL1,L3により、(80)に示す電流は、0から徐々に増加し、補助スイッチング素子S2aはZCS(零電流スイッチング)でターンオンする。一方、(84)に示すように、主ダイオードS1→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主ダイオードS4への順方向の還流電流が流れている。
MODE1では、主スイッチング素子S2はOFFのままである。MODE3が開始される時刻で主スイッチング素子S4がONするように、後述のように、主スイッチング素子S4がONする時刻よりも可変遅延時間Td4(t)だけ前に補助スイッチング素子S4aがONするよう制御する。(80)に示すリカバリ電流を消滅させるための出力側から入力側に流れる電流と(84)に示す入力側から出力側に流れる電流が等しくなると、主ダイオードS1の電流が零電流となり、主ダイオードS1に蓄積された電荷が消滅する。
MODE2は、主リアクトルL2に流れる電流と補助スイッチング素子S2aに流れる電流が等しくなり、主ダイオードS1に流れる電流が零となり、補助スイッチング素子S2aのターンオンによる共振モードの状態である。この状態では、主ダイオードS1に流れる電流が零となったことから、(88)に示すように、主リアクトルL2→補助ダイオードDRB2→補助スイッチング素子S2a→補助ダイオードD2→主リアクトルL2のループで還流電流が流れる。
すると、補助リアクトルL1の一端の主ダイオードS1からのバイアスが解放されて、(88)に示すように、補助コンデンサC2→出力コンデンサCout→入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→補助ダイオードDRB2→補助スイッチング素子S2aによりLC部分共振回路が形成され、補助コンデンサC2の放電が始まり、補助リアクトルL3を流れる電流はLC共振する。その後、補助コンデンサC2のエネルギーは補助リアクトルL3に移行する。そして、補助コンデンサC2の放電が終了して、補助コンデンサC2の電荷が消滅又は最小となり、補助コンデンサC2の電圧は零又は最小となる。
MODE3は、補助コンデンサC2の電圧が零又は最小となり、主スイッチング素子S2のターンオンがZVZCT動作を行う状態である。補助コンデンサC2の電圧は零となった状態では、補助リアクトルL3に逆起電力が発生し、主ダイオードS2がONして、(90)に示すように、主ダイオードS2→出力コンデンサCout→入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→補助ダイオードDRB2→補助スイッチング素子S2a→補助ダイオードD2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2の経路により、補助リアクトルL3に蓄えられたエネルギーが反転電流として流れ始める。このとき、主スイッチング素子S2をONする。
主スイッチング素子S2をONした時、補助コンデンサC2に電荷が残存していると、補助ダイオードD2が逆バイアスされて、(92)に示すように、補助コンデンサC2→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードD2→補助コンデンサC2に放電電流が流れる。このとき、後述するように、放電電流の立ち上がり及び立ち下りは補助リアクトルL1のインダクタンスにより抑制されて、主スイッチング素子S2のスイッチング損失及びスイッチングノイズが抑制される。
また、主スイッチング素子S2をONすると、(94)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinの経路により電流が流れる。
MODE4は主スイッチング素子S2がONしている状態である。この状態では、(94)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinの経路により電流が流れて、主リアクトルL2にエネルギーが蓄積される。
MODE5は主スイッチング素子S2及び補助スイッチング素子S2aがターンオフしている状態である。この状態では、補助スイッチング素子S2aのターンオフについては、補助コンデンサC2の放電が終了しているので、補助スイッチング素子S2aには電流が流れていない。そのため、補助スイッチング素子S2aはZCSでターンオフする。更に、(96)に示すように、出力コンデンサCout→補助コンデンサC2→補助ダイオードD2→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinの経路にて電流が流れて、補助コンデンサC2が充電される。補助コンデンサC2が充電されることにより、主スイッチング素子S2のターンオフは、ZVTとなる。
MODE6は主スイッチング素子S2がOFFしている状態である。補助コンデンサC2が充電されて、入力側の電圧に等しくなると、主ダイオードS1がONし、(98)に示すように、主ダイオードS1→補助リアクトルL1→主リアクトルL2→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinの経路にて電流が流れて、主リアクトルL2に貯められたエネルギーが負荷8側に流れ出す。以上のMODE1〜MODE6を繰り返す。
ゲート信号生成手段12は、主スイッチング素子S1〜S4及び補助スイッチング素子S1a〜S4aをON/OFFするためのゲート信号を生成するものであり、主スイッチング素子S1〜S4がターンオンするよりも、後述するように、可変遅延時間Td1〜Td4(t)だけ前に、補助スイッチング素子S1a〜S4aをONし、入力電圧E及び出力電圧Voutによるデューティ比に応じたパルス幅の時間だけ主スイッチング素子S1〜S4がオンするように、主スイッチング素子S1〜S4及び補助スイッチング素子S1a〜S4aにゲート信号を出力する。
図6に示すように、ゲート信号生成手段12は、発振回路50、パルス幅変調回路52、リカバリ電流消滅期間算出部54、補助SW制御部56及び主SW制御部58を有する。発振回路50は、一定の周波数の発振信号を出力する。パルス幅変調回路52は、出力電圧Vout及び入力電圧Eに基づき、発振信号から昇圧/降圧比に相当するデューティ比のパルス幅を有するパルス幅変調信号を生成する。
リカバリ電流消滅期間算出部54は、順方向昇圧時、順方向降圧時、逆方向昇圧時及び逆方向降圧時のそれぞれにおいて、主ダイオードS2,S3,S4,S1にそれぞれ蓄積された電荷がリカバリ電流消滅回路を通して、放出されるまでの時間であるリカバリ電流消滅期間Tsw11,Tsw12,Tsw13,Tsw14を算出する。以下、リカバリ電流消滅期間算出部54の動作説明をする。
(a) 順方向昇圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw11の算出
図7は、順方向昇圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw11の算出方法を示す図である。図7中の横軸が時間、縦軸が補助スイッチング素子S1aに流れる電流IS1a及び主リアクトルL2に流れる電流IL2である。順方向昇圧時では、主スイッチング素子S4を常時ON、主スイッチング素子S2,S3を常時OFF、補助スイッチング素子S2a,S3a,S4aを常時OFFする。図2中のMODE1の(6)に示すように、主リアクトルL2から主ダイオードS2に順方向の電流IL2が流れて、主ダイオードS2に電荷が蓄積される。
補助スイッチング素子S1aがONすると、図2中の(4)に示す、出力コンデンサCout主ダイオード→S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードD1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinの経路に電流IS1aが(6)とは逆方向に補助リアクトルL1に流れる。
このとき、補助リアクトルL1,L3の両端には、出力電圧Voutと入力電圧Eとの電圧差(Vout−E)が印加される、任意の時刻tにおける補助スイッチング素子S1aに流れる電流IS1aをIS1a(t)とすると、次式(1)が成り立つ。
(L1+L3)dIS1a(t)/dt=Vout−E ・・・ (1)
ここで、L1,L3は補助リアクトルL1,L3のインダクタンスである。補助スイッチング素子S1aをONした時刻t0では、電流IS1a(t0)=0であり、MODE1(リカバリ電流消滅期間Tsw11)では、図7に示すように、電流IS1a(t)がリニアに変化すると仮定することができ、電流IS1a(t)=(Vout−E)×(t−t0)/(L1+L3)で近似することができる。
順方向の電流IL2と逆方向の電流IS1aが等しくなると、主ダイオードS2に流れる電流が零となって、主ダイオードS2に蓄積された電荷が消滅し、主スイッチング素子S1をターンオンしたときのリカバリ電流が消滅する。よって、補助スイッチング素子S1aをONしてから、両者の電流IL2,IS1aが等しくなるまでが、リカバリ電流消滅期間Tsw11となる。
一方、主リアクトルL2に流れる電流IL2(t)は、補助スイッチング素子S1aをONすると、リップル電流が補助スイッチング素子S1aに流れる電流の影響により、低減することから、リカバリ電流消滅期間Tsw11では略一定となり、時刻t0における電流IL2(t0)に略等しくなる。よって、IS1a(t1)=IL2(t0)となる時刻t1はリカバリ電流が消滅する時刻であり、時刻t0から時刻t1までの時間がリカバリ電流消滅期間Tsw11となる。
よって、リカバリ電流消滅期間Tsw11は、次式(2)により算出することができる。
Tsw11=(t1−t0)=(L1+L3)×IL2(t0)/(Vout−E)
・・・ (2)
Vout=E×昇圧比により算出することができる。また、E=Vout/昇圧比により算出することができる。従って、Vout,Eのいずれか一方は、出力電圧センサ6や入力電圧センサ2の検出信号を用いずに、昇圧比及び他方のVout/Eより算出することができる。
リカバリ電流消滅期間Tsw11が経過すると、主ダイオードS2の電流が零となり、図2中の(10)に示すように、主リアクトルL2→補助ダイオードD1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→主リアクトルL2の還流パスが形成されて、還流電流が流れる。補助スイッチング素子S1aへの主ダイオードS2からのバイアスが解放されて、補助コンデンサC1に蓄積された電荷が、図2中の(8)に示すように、補助コンデンサC1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→補助リアクトルL3→補助ダイオードD4→入力コンデンサCin→補助コンデンサC1の経路による部分共振回路により放電する。
部分共振回路は、図8に示すように、直流電源E、補助リアクトルL3及び補助コンデンサC1の直列回路で構成されるLC回路である。この回路の微分方程式は、次式(3)で表される。
E=L3dI/dt+C1∫v(t)dt ・・・ (3)
但し、C1は補助コンデンサC1の容量、v(t)は補助コンデンサC1の電圧である。
式(3)において、初期条件I(0)=IL3(0),v(0)=Voutとして解くと、1周期ω=2π(L3C1)1/2の半周期分の時間(部分共振期間)において、
Vout≧2E(昇圧率2倍以上)のとき、v(π(L3C1)1/2)=0
Vout<2Eのとき、v(π(L3C1)1/2)は最小値となる。
よって、補助コンデンサC1の放電開始時刻から部分共振期間(π(L3C1)1/2)が経過した時刻t2が補助コンデンサC1の電荷が消滅又は残存電荷が最小となる。
よって、補助コンデンサC1が放電を開始して、電荷が消滅又は残存電荷が最小となる時間Tsw12(MODE2の期間)は、次式(4)のようになる。
Tsw12=π(L3C1)1/2 ・・・ (4)
補助コンデンサC1の電荷が消滅又は最小となる時刻で主スイッチング素子S1をONすることにより、主スイッチング素子S1のスイッチング損失を最小にすることができる。補助SW制御部56は、現在時刻tが主スイッチング素子S1をONする時刻よりも次式(5)で示される可変遅延時間Td1(t)前の時刻であれば、現時刻tにおいて、補助スイッチング素子S1aをONするようゲート信号を出力する。即ち、主スイッチング素子S1をターンオンする時刻よりも可変遅延時間Td1(t)だけ前に補助スイッチング素子S1aをターンオンする。
Td1(t)=(L1+L3)×IL2(t)/(Vout−E)+π(L3C1)1/2
・・・ (5)
但し、IL2(t)は、現在時刻tにおける主リアクトルL2の電流である。
主SW制御部58は、パルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号が示すパルス幅だけ、主スイッチング素子S1がONするように、主スイッチング素子S1のオON/OFFを制御する。これにより、主スイッチング素子S1をターンオンする時刻よりもTd1(t)だけ前に補助スイッチング素子S1aをターンオンする。
主スイッチング素子S1がONすると、図2中の(14)に示すように、補助コンデンサC1に残存電荷があるとき、補助ダイオードD1が逆バイアスされて、補助コンデンサC1→補助ダイオードD1→主スイッチング素子S1→補助コンデンサC1に放電電流が流れる。また、主スイッチング素子S1がONすると、図2中の(16)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主スイッチング素子S1の経路で電流が流れる。
図9は主スイッチング素子S1をONしたとき、補助コンデンサC1に残存電荷がある場合の主スイッチング素子S1に流れる電流を示す図であり、aは主スイッチング素子S1の両端の電圧、bは本発明の実施形態による図2中の(14)に示す経路に流れる電流、cは図2中の(16)に示す経路に流れる電流、dは従来の補助ダイオードD1から主スイッチング素子S1に流れる短絡電流である。
本実施形態では、図2中の(14)に示すように、補助ダイオードD1から補助リアクトルL1を通して、主スイッチング素子S1に補助コンデンサC1の電荷が放電されるので、放電電流の立ち上がり及び立ち下りは、補助リアクトルL1により、図9中の(b)に示すように、Vc1(t)/L1の傾きで変化して0から徐々に増加・減少し、抑制される。Vc1(t)は補助コンデンサC1の電圧である。従って、aに示す主スイッチング素子S1の電圧の立下りにおけるbに示す放電電流が抑制されるので、主スイッチング素子S1のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減することができる。
一方、従来は、補助ダイオードD1から主スイッチング素子S1にdに示すように短絡電流が流れるので、主スイッチング素子S1のスイッチングロスが問題となっていた。その結果、本実施形態では、補助コンデンサC1に残存電荷が存在する場合にも、主スイッチング素子S1のスイッチングロスによる発熱及びスイッチングが抑制されて、スイッチングロスによる主スイッチング素子S1の劣化が抑制される。
(b) 順方向降圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw21の算出
図10は、順方向降圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw21の算出方法を示す図であり、横軸が時間、縦軸が補助スイッチング素子S4aに流れる電流IS4a及び主リアクトルL2に流れる電流IL2である。順方向降圧時は、主スイッチング素子S2を常時ON、主スイッチング素子S1,S3を常時OFF、補助スイッチング素子S1a,S2a,S3aを常時OFFする。図3中のMODE1の(24)に示すように、主ダイオードS3から主リアクトルL2を通して主ダイオードS2に順方向の電流IL2が流れ、主ダイオードS3には電荷が蓄積される。
補助スイッチング素子S14aがONすると、図3中の(20)に示すように、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助ダイオードD4→補助リアクトルL3→主ダイオードS3→出力コンデンサCoutの経路で電流IS4aが(24)とは逆方向に補助リアクトルL1,L3に流れる。
このとき、補助リアクトルL1,L3の両端には、出力電圧Voutが印加される。任意の時刻tにおける電流IS4aをIS4a(t)とすると、次式(6)が成り立つ。
(L1+L3)dIS4a(t)/dt=Vout ・・・ (6)
ここで、L1,L3は補助リアクトルL1,L3のインダクタンスである。補助スイッチング素子S4aをONした時刻t0では、電流IS4a(t0)=0であり、MODE1(リカバリ電流消滅期間Tsw21)では、図9に示すように、電流IS4a(t)がリニアに変化すると仮定することができ、電流IS4a(t)=Vout×(t−t0)/(L1+L3)で近似することができる。
順方向の電流IL2と逆方向の電流IS4aが等しくなると、主ダイオードS3に流れる電流が零となって、主ダイオードS3に蓄積された電荷が消滅し、主スイッチング素子S4をターンオンしたときのリカバリ電流が消滅する。よって、補助スイッチング素子S3aをONしてから、両者の電流IL2,IS4aが等しくなるまでが、リカバリ電流消滅期間Tsw21となる。
一方、主リアクトルL2に流れる電流IL2(t)は、補助スイッチング素子S4aをONすると、リップル電流が補助スイッチング素子S4aに流れる電流の影響により、低減することから、リカバリ電流消滅期間Tsw21で略一定となり、時刻t0における電流IL2(t0)に略等しくなる。よって、IS4a(t1)=IL2(t0)となる時刻t1はリカバリ電流が消滅する時刻であり、時刻t0から時刻t1までの時間がリカバリ電流消滅期間Tsw21となる。
よって、リカバリ電流消滅期間Tsw21は、次式(7)により算出することができる。
Tsw21=(t1−t0)=(L1+L3)×IL2(t0)/Vout
・・・ (7)
リカバリ電流消滅期間Tsw21が経過すると、主ダイオードS3の電流が零となり、図3中の(28)に示すように、主リアクトルL2→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助ダイオードD4→主リアクトルL2の還流パスが形成されて、還流電流が流れる。
補助スイッチング素子S4aへの主ダイオードS3からのバイアスが解放されて、補助コンデンサC4に蓄積された電荷が、図3中の(26)に示すように、補助コンデンサC4→入力コンデンサCin→出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助コンデンサC4の経路による部分共振回路により放電する。
部分共振回路は、出力コンデンサCout、補助リアクトルL1、補助コンデンサC4及び入力コンデンサCinの直列回路で構成されるLC回路である。この部分共振回路は、順方向昇圧時と同様に、周期ω=2π(L1C4)1/2の半周期分の時間(部分共振期間)において、
Vout≦E/2(降圧率2倍以上)のとき、v(π(L1C4)1/2)=0
Vout>E/2のとき、v(π(L1C4)1/2)は最小値となる。
よって、補助コンデンサC4の放電開始時刻から部分共振期間(π(L1C4)1/2)が経過した時刻t2が補助コンデンサC4の電荷が消滅又は残存電荷が最小となる。
よって、補助コンデンサC4が放電を開始して、電荷が消滅又は残存電荷が最小となる時間Tsw22は、次式(8)のようになる。
Tsw22=π(L1C4)1/2 ・・・ (8)
補助コンデンサC4の電荷が消滅又は最小となる時刻で主スイッチング素子S4をONすることにより、主スイッチング素子S4のスイッチング損失を最小にすることができる。補助SW制御部56は、現在時刻tが主スイッチング素子S4をONする時刻よりも次式(9)で示される可変遅延時間Td2(t)前の時刻であれば、現時刻tにおいて、補助スイッチング素子S4aをONするようゲート信号を出力する。即ち、主スイッチング素子S4をターンオンする時刻よりも可変遅延時間Td2(t)だけ前に補助スイッチング素子S1aをターンオンする。
Td2(t)=(L1+L3)×IL2(t)/Vout+π(L1C4)1/2
・・・ (9)
但し、IL2(t)は、現在時刻tにおける主リアクトルL2の電流である。
主SW制御部58は、パルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号が示すパルス幅だけ、主スイッチング素子S4がONするように、主スイッチング素子S4のON/OFFを制御する。これにより、主スイッチング素子S4をターンオンする時刻よりもTd2(t)だけ前に補助スイッチング素子S4aをターンオンする。
主スイッチング素子S4がONすると、図3中の(32)に示すように、補助コンデンサC4に残存電荷があるとき、補助ダイオードD4が逆バイアスされて、補助コンデンサC4→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→補助ダイオードD4→補助コンデンサC4に放電電流が流れる。また、主スイッチング素子S4がONすると、図3中の(34)に示すように、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutの経路で電流が流れる。
本実施形態では、図3中の(32)に示すように、補助リアクトルL3を通して、主スイッチング素子S4に補助コンデンサC4の電荷が放電されるので、放電電流の立ち上がり及び立ち下りは、補助リアクトルL3により、Vc4(t)/L2の傾きで変化して0から徐々に増加し、抑制される。Vc4(t)は補助コンデンサC4の電圧である。従って、主スイッチング素子S4の電圧の立下りにおける放電電流が抑制されるので、主スイッチング素子S4のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減することができる。
一方、従来は、補助コンデンサC4から主スイッチング素子S4に短絡電流が流れていたので、主スイッチング素子S4のスイッチングロスが問題となっていた。その結果、本実施形態では、補助コンデンサC4に残存電荷が存在する場合にも、主スイッチング素子S4のスイッチングロスによる発熱及びスイッチングノイズが抑制されて、スイッチング損失による主スイッチング素子S4の劣化が抑制される。
(c) 逆方向昇圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw31の算出
逆方向昇圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw31は、主スイッチング素子S2を常時ON、主スイッチング素子S1,S4を常時OFF、補助スイッチング素子S1a,S2a,S4aを常時OFFするとともに、上述した順方向昇圧時のリカバリ電流消滅期間Ts11の算出において、主スイッチング素子S4,主ダイオードS4,主スイッチング素子S2,主ダイオード,補助コンデンサC1,補助ダイオードD1,補助スイッチング素子S1a,補助ダイオードDRB1,補助リアクトルL1,補助リアクトルL3,入力コンデンサCin,出力コンデンサCout,Vout,Eの代わりに、主スイッチング素子S2,主ダイオードS2,主スイッチング素子S4,主ダイオード、補助コンデンサC3,補助ダイオードD3,補助スイッチング素子S3a,補助ダイオードDRB3,補助リアクトルL3,補助リアクトルL1,出力コンデンサCout,入力コンデンサCin,E,Voutとすれば良い。
補助SW制御部56は、現在時刻tが主スイッチング素子S3をONする時刻よりも次式(10)で示される可変遅延時間Td3(t)前の時刻であれば、現時刻tにおいて、補助スイッチング素子S3aをONするようゲート信号を出力する。即ち、主スイッチング素子S3をターンオンする時刻よりも可変遅延時間Td3(t)だけ前に補助スイッチング素子S3aをターンオンする。
Td3(t)=(L1+L3)×IL2(t)/(E−Vout)+π(L1C3)1/2
・・・ (10)
MODE3において、補助コンデンサC3に残存電荷があるとき、図4中の(62)に示すように、補助コンデンサC3→補助ダイオードD3→補助リアクトルL3→主スイッチング素子S3→補助コンデンサC3の経路にて、放電電流が流れる。このとき、補助リアクトルL3により放流電流の立ち上がり及び立ち下りが抑えられ、主スイッチング素子S3のスイッチング損失及びスイッチングノイズを抑制できる。
(d) 逆方向降圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw41の算出
逆方向降圧時のリカバリ電流消滅期間Tsw41は、主スイッチング素子S4を常時ON、主スイッチング素子S1,S3を常時OFF、補助スイッチング素子S1a,S3a,S4aを常時OFFするとともに、上述した順方向降圧時のリカバリ電流消滅期間Ts21の算出において、主スイッチング素子S2,主ダイオードS2,主スイッチング素子S4,主ダイオードS4,補助コンデンサC4,補助ダイオードD4,補助スイッチング素子S4a,補助ダイオードDRB4,補助リアクトルL3,補助リアクトルL1,入力コンデンサCin,出力コンデンサCout,Vout,Eの代わりに、主スイッチング素子S4,4主ダイオードS4,主スイッチング素子S2,主ダイオードS2、補助コンデンサC2,補助ダイオードD2,補助スイッチング素子S2a,補助ダイオードDRB2,補助リアクトルL1,補助リアクトルL3,出力コンデンサCout,入力コンデンサCin,E,Voutとすれば良い。
補助SW制御部56は、現在時刻tが主スイッチング素子S2をONする時刻よりも次式(11)で示される可変遅延時間Td4(t)前の時刻であれば、現時刻tにおいて、補助スイッチング素子S2aをONするようゲート信号を出力する。即ち、主スイッチング素子S2をターンオンする時刻よりも可変遅延時間Td4(t)だけ前に補助スイッチング素子S2aをターンオンする。
Td4(t)=(L1+L3)×IL2(t)/E+π(L3C2)1/2
・・・ (11)
MODE3において、補助コンデンサC2に残存電荷があるとき、図5中の(92)に示すように、補助コンデンサC2→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードD2→補助コンデンサC2の経路にて、放電電流が流れる。このとき、補助リアクトルL1により放流電流の立ち上がり及び立ち下りが抑えられ、主スイッチング素子S2のスイッチング損失を抑制できる。
以下、図11〜図13を参照して、動作説明をする。
(a) 順方向昇圧動作
図12中のVs中のVs1は主スイッチング素子S1の電圧、Is1は主スイッチング素子S1の電流、Vs1aは補助スイッチング素子S1aの電圧、Is1aは補助スイッチング素子S1aの電流、Vc1は補助コンデンサC1の電圧、VL1は補助リアクトルL1の電圧,IL1は補助リアクトルL1の電流、VL2は主リアクトルL2の電圧、IL2は主リアクトルL2の電流、VL3は補助リアクトルL3の電圧、IL3は補助リアクトルL3の電流である。
パルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号に従って、図12中の時刻t5において、主スイッチング素子S1及び補助スイッチング素子S1aをターンオフする。すると、MODE5に移行し、補助コンデンサC1が充電され、主スイッチング素子S1のターンオフは、ZVTとなる。また、補助スイッチング素子S1aはZCSでターンオフする。
補助コンデンサC1が充電されて、補助コンデンサC1の電圧が出力側の電圧Coutに等しくなると、主ダイオードS2がオンして、入力コンデンサCin→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCoutの経路で電流が流れ、MODE6に移行する。例えば、時刻t6でMODE6に移行する。
リカバリ電流消滅期間算出部54は、以下に示す現在時刻tにおけるリカバリ電流消滅期間Tsw11を算出し、補助SW制御部56に出力する。図11中のステップS2で入力電圧センサ2から出力される入力電圧Eを読み込む。ステップS4で主リアクトル電流センサ4から出力される出力電圧Voutを読み込む。ステップS6で主リアクトル電流センサ4から出力される主リアクトルL2に流れる電流IL2(t)を読み込む。ステップS8で、式(2)に示すリカバリ電流消滅期間Tsw11(t)を算出し、リカバリ電流消滅期間Tsw12(t)に部分共振期間Tsw12を加算して、式(5)に示す可変遅延時間Td1(t)を算出する。
補助SW制御部56は、以下に示す補助スイッチング素子S1aのONを制御する。ステップS10で現在時刻tがパルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号が示す主スイッチング素子S1をONするべき時刻から可変遅延時間Td1(t)前であるか否かを判断する。肯定判定ならば、現在時刻tが遅延開始タイミングであると判断して、ステップS12に進む。否定判定ならば、ステップS2に戻る。
ステップS12で補助スイッチング素子S1aをターンオンする。例えば、時刻t1で補助スイッチング素子S1aをターンオンしたとする。すると、MODE1に移行し、出力コンデンサCout→主ダイオードS2→補助リアクトルL1→補助ダイオードD1→補助スイッチング素子S1a→補助ダイオードDRB1→補助リアクトルL3→補助リアクトルL3→主ダイオードS4→入力コンデンサCinに主ダイオードS2の蓄積電荷を消滅させるための電流が補助スイッチング素子S1aに流れる。このとき、補助スイッチング素子S1aに流れる電流は補助リアクトルL1,L3により抑制される。
時刻t1からTsw11が経過後の時刻t2において、主リアクトルL2に流れる電流と補助スイッチング素子S1aに流れる電流が等しくなり、主ダイオードS2に流れる電流(補助リアクトルL1に流れる電流)が零となり、主ダイオードS2の蓄積電荷が消滅し、MODE2に移行する。
MODE2で、補助コンデンサC1の放電が新たに始まり、補助スイッチング素子S1aを流れる電流はLC部分共振する。その後、MODE2の開始から部分共振の半周期が経過すると、補助コンデンサC1の電荷が消滅又は電荷が最小になる。補助コンデンサC1のエネルギーは補助リアクトルL2に移行する。
一方、補助SW制御部56は、時刻t1から時刻t3までの間は、以下の処理を行う。ステップS14で遅延タイマに遅延時間Td1(t)をセットして、遅延タイマカウント開始する。ステップS16でゲート遅延実行して主スイッチング素子S1をOFFしたままとする。ステップS18で遅延タイマカウント終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS20に進む。否定判定ならば、ステップS16に戻り、ゲート遅延を実行する。ステップS20でゲート遅延を解除して、ステップS22で主スイッチング素子S1をオンする。例えば、時刻t3で主スイッチング素子S1をONする。
時刻t3では、補助コンデンサC1の電圧が最小である。主スイッチング素子S1がONしていることから、補助コンデンサC1に残存電荷があると、補助コンデンサC1→補助ダイオードD1→補助リアクトルL1→主スイッチング素子S1→補助コンデンサC1の経路で補助コンデンサC1の電荷が放電するが、補助リアクトルL1により補助コンデンサC1の放電電流は抑制される。時刻t4で主スイッチング素子S1の電圧Vs1は零となる。パルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号に従って、時刻t5で主スイッチング素子S1及び補助スイッチング素子S1aをターンオフする。
(b) 順方向降圧動作
パルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号に従って、主スイッチング素子S4及び補助スイッチング素子S4aをターンオフする。すると、MODE5に移行し、補助コンデンサC4が充電され、主スイッチング素子S4のターンオフは、ZVTとなる。また、補助スイッチング素子S4aはZCSでターンオフする。
補助コンデンサC4が充電されて、補助コンデンサC4の電圧が入力側の電圧に等しくなると、主ダイオードS3がONし、主ダイオードS3→補助リアクトルL3→主リアクトルL2→補助リアクトルL1→主ダイオードS2→出力コンデンサCout→主ダイオードS3の経路にて電流が流れて、主リアクトルL2に貯められたエネルギーが負荷8側に流れ出し、MODE6に移行する。
リカバリ電流消滅期間算出部54は、以下に示す現在時刻tにおけるリカバリ電流消滅期間Tsw21を算出し、補助SW制御部56に出力する。図13中のステップS50で入力電圧センサ2から出力される入力電圧Eを読み込む。ステップS52で主リアクトル電流センサ4から出力される出力電圧Voutを読み込む。ステップS54で主リアクトル電流センサ4から出力される主リアクトルL2に流れる電流IL2(t)を読み込む。ステップS8で、式(7)に示すリカバリ電流消滅期間Tsw21(t)を算出し、リカバリ電流消滅期間Tsw21(t)に部分共振期間Tsw22を加算して、式(9)に示す可変遅延時間Td2(t)を算出する。
補助SW制御部56は、以下に示す補助スイッチング素子S4aのONを制御する。ステップS58で現在時刻tがパルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号が示す主スイッチング素子S4をONするべき時刻から可変遅延時間Td2(t)前であるか否かを判断する。肯定判定ならば、現在時刻tが遅延開始タイミングであると判断して、ステップS60に進む。否定判定ならば、ステップS50に戻る。
ステップS60で補助スイッチング素子S4aをターンオンする。すると、MODE1に移行し、出力コンデンサCout→主スイッチング素子S2→補助リアクトルL1→補助ダイオードDRB4→補助スイッチング素子S4a→補助ダイオードD4→補助リアクトルL3→主ダイオードS3→出力コンデンサCoutに主ダイオードS3の蓄積電荷を消滅させるための電流が流れる。主リアクトルL2に流れる電流と補助スイッチング素子S4aに流れる電流が等しくなり、主ダイオードS2に流れる電流(補助リアクトルL3に流れる電流)が零となり、主ダイオードS2の蓄積電荷が消滅し、MODE2に移行する。
MODE2で、補助コンデンサC4の放電が新たに始まり、補助スイッチング素子S4aを流れる電流はLC部分共振する。その後、MODE2の開始から部分共振の半周期が経過すると、補助コンデンサC4の電荷が消滅又は電荷が最小になる。補助コンデンサC4のエネルギーは補助リアクトルL4に移行する。
一方、補助SW制御部56は、以下の処理を行う。ステップS62で遅延タイマに遅延時間Td2(t)をセットして、遅延タイマカウント開始する。ステップS64でゲート遅延実行して主スイッチング素子S4をOFFしたままとする。ステップS66で遅延タイマカウント終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS68に進む。否定判定ならば、ステップS50に戻り、ゲート遅延を実行する。ステップS68でゲート遅延を解除して、ステップS70で主スイッチング素子S4をオンする。このとき、補助コンデンサC4に残存電荷が存在すると、補助コンデンサC4→主スイッチング素子S4→補助リアクトルL3→補助ダイオードD4→補助コンデンサC4の経路で補助コンデンサC4の電荷が放電するが、補助リアクトルL3により補助コンデンサC4の放電電流の立ち上がり及び立ち下がりは抑制される。パルス幅変調回路52より出力されるパルス幅変調信号に従って、主スイッチング素子S4及び補助スイッチング素子S4aをターンオフする。
(c) 逆方向昇圧動作
逆方向昇圧時の動作は、上述した順方向昇圧動作において、主スイッチング素子S4,主ダイオードS4,主スイッチング素子S2,主ダイオード、補助コンデンサC1,補助ダイオードD1,補助スイッチング素子S1a,補助ダイオードDRB1,補助リアクトルL1,補助リアクトルL3,入力コンデンサCin,出力コンデンサCout,Vout,Eの代わりに、主スイッチング素子S2,主ダイオードS2,主スイッチング素子S4,主ダイオードS4,補助コンデンサC3,補助ダイオードD3,補助スイッチング素子S3a,補助ダイオードDRB3,補助リアクトルL3,補助リアクトルL1,出力コンデンサCout,入力コンデンサCin,E,Voutとすれば良い。
(d) 逆方向降圧動作
逆方向降圧時の動作は、上述した順方向降圧時の動作において、主スイッチング素子S2,主ダイオードS2,主スイッチング素子S4,主ダイオード、補助コンデンサC4,補助ダイオードD4,補助スイッチング素子S4a,補助ダイオードDRB4,補助リアクトルL3,補助リアクトルL1,入力コンデンサCin,出力コンデンサCout,Vout,Eの代わりに、主スイッチング素子S4,主ダイオードS4,主スイッチング素子S2,主ダイオードS2,補助コンデンサC2,補助ダイオードD2,補助スイッチング素子S2a,補助ダイオードDRB2,補助リアクトルL1,補助リアクトルL3,出力コンデンサCout,入力コンデンサCin,E,Voutとすれば良い。
以上説明したように、本実施形態によれば、補助ダイオードD1のアノードと補助ダイオードD2のカソードの接続点と、主スイッチング素子S1のコレクタと主スイッチング素子S2のエミッタの接続点との間に補助リアクトルL1を設けたので、補助コンデンサC1,C2にMODE2の終了時点で残存電荷があっても、補助リアクトルL1を通して、残存電荷が放電されるので、放電電流の立ち上がり及び立ち下りを抑制でき、主スイッチング素子S1,S2のスイッチング損失及びスイッチングノイズを抑制できる。
また、補助ダイオードD3のアノードと補助ダイオードD4のカソードの接続点と、主スイッチング素子S3のコレクタと主スイッチング素子S4のエミッタの接続点との間に補助リアクトルL2を設けたので、補助コンデンサC3,C4にMODE2の終了時点で残存電荷があっても、補助リアクトルL2を通して、残存電荷が放電されるので、放電電流の立ち上がり及び立ち下りを抑制でき、主スイッチング素子S3,S4のスイッチング損失及びスイッチングノイズを抑制できる。
更に、補助スイッチング素子S1a〜S4aをONしたとき、補助リアクトルL1,L3を通して、補助スイッチング素子S1a〜S4aに電流が流れるので、電流の立ち上がりが抑制されて、補助スイッチング素子S1a〜S4aにおけるスイッチング損失を低減できる。