JP5056273B2 - 樹脂成形体及びその成形方法 - Google Patents

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本発明は、樹脂成形体及びその成形方法に係り、特に自動車等の車両のルーフや窓の透明パネル状部材として用いるのに好適な樹脂成形体と、その成形方法とに関する。
自動車の樹脂製窓プレートとして、透明な樹脂パネルの周縁に不透明な樹脂で縁取りを形成した二色成形品よりなるものが特開2003−320548及び特開2005−103907に記載されている。
第14図(a),(b)は特開2005−103907の図1に記載された二色成形品31を示す断面図および正面図である。
この二色成形品31は、矩形平板状に形成された透明部32と、この透明部32の表裏面のうち一方の面の外周端部に一体成形された枠部33とを備えた自動車用の窓である。透明部32の外周部分において、透明部32および枠部33は、互いに厚さ方向に積層されており、透明部2の中央部分は、枠部33が積層されない単層構造となっている。この二色成形品31は、枠部33を不透明な材料で成形した後、透明部32を透明な材料で成形する、二色射出成形によって製造されている。
特開2003−320548 特開2005−103907
本発明は、上記第14図の二色成形品など、第1の樹脂成形体の表面の一部に第2の樹脂成形体が一体に形成されている樹脂成形体において、この第2の樹脂成形体の際(きわ)が鮮明となっている樹脂成形体と、その成形方法を提供することを目的とする。
請求項1の樹脂成形体は、第1の成形体の表面の一部に第2の成形体が射出成形により一体に形成された樹脂成形体において、該第1の成形体の前記表面に、該第2の成形体の端縁に沿って延在する凸条が設けられており、前記第1の成形体は、厚さ2〜10mmの板状体であり、前記第2の成形体は該板状体の板面に設けられており、該第1の成形体は該板面と垂直方向において透明であり、前記第2の成形体は、該板面と垂直方向において不透明であることを特徴とするものである。
請求項2の樹脂成形体は、請求項1において、前記凸条の幅が0.01〜10mmであり、凸条の高さが0.05〜0.5mmであり、該第2の成形体は該凸条の該第2の成形体側の面に接していることを特徴とするものである
求項の樹脂成形体は、請求項1又は2において、該第2の成形体は、第1の成形体の周縁に沿って延在する帯状に設けられていることを特徴とするものである。
請求項の樹脂成形体は、請求項において、帯状の該第2の成形体の樹脂成形体板央側は、板央側ほど厚みが小さくなっていることを特徴とするものである。
請求項の樹脂成形体は、請求項において、該第2の成形体の前記凸条に沿う辺縁部は、延在方向と垂直な断面において凸に湾曲した断面形状となっていることを特徴とするものである。
請求項の樹脂成形体は、請求項ないしのいずれか1項において、帯状の該第2の成形体の樹脂成形体外縁側の辺縁部は、前記第1の成形体の周縁よりも該板央側に位置していることを特徴とするものである。
請求項の樹脂成形体の成型方法は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂成形体を射出成形する方法であって、固定型、該固定型にキャビティを介して対峙する対向型及び第1の可動型を用いて前記第1の成形体を射出成形する第1成形工程と、該第1の可動型を、第2の成形体成形用キャビティを有した第2の可動型に交換し、該第1の成形体と一体となった前記第2の成形体を射出成形する第2成形工程とを有しており、該第1の可動型と第2の固定型との合わせ面の隙間によって該第1の成形体に前記凸条を形成することを特徴とするものである。
請求項の樹脂成形体の成形方法は、請求項において、請求項の樹脂成形体を成形する方法であって、前記第2の成形体を成形するに際し、第2の可動型を第1の成形体の周縁部に当接させておくことを特徴とするものである。
請求項1〜の樹脂成形体は、請求項の方法によって成形することができる。この方法によると、第2の成形体を成形するに際し、第2の可動型の縁部(第2の固定型側の縁部)を第1の成形体の凸条に係合させておくことにより、第2の成形体を形成するための樹脂が該凸条によって堰止められ、第1の成形体上に第2の成形体の樹脂がハミ出すように広がることが防止される。これにより、第2の成形体の際(きわ)すなわち辺縁部が綺麗に仕上った樹脂成形体となる。
請求項の樹脂成形体によると、第2の成形体は射出成形時に該凸条側の先端部にまで樹脂が十分に充填されたものとなる。
なお、請求項の成形方法によると、第2の成形工程において、第1の成形体の周縁部を第2の可動型で押えておくので、第1の成形体に反りが発生することが防止される。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)は実施の形態に係る樹脂成形体の全体断面図、第1図(b)はこの樹脂成形体の一部の拡大図である。第2図(a)、第3図〜第8図はこの樹脂成形体の成形方法を示す断面図である。なお、第2図(b)は対向型及び第1の可動型の斜視図、第4図は第3図の一部の拡大図、第8図は第7図の一部の拡大図である。
この樹脂成形体20は、車両の樹脂製窓ガラスであり、第1図の通り、板状の第1の成形体21と、該第1の成形体21の周縁部を周回するように設けられた枠状の第2の成形体22とを備えている。この実施の形態では、この樹脂成形体(窓ガラス)20は方形であるが、これに限定されるものではない。
第1の成形体21は、厚みtが2〜10mm程度の透明のものであり、第2の成形体は、厚みtが0.5〜5mm程度の不透明のものである。
第2の成形体22は、台形断面形状であり、成形体板央側すなわち第1の成形体21の板面の中央側に面する側面22aは斜面となっている。このため、第2の成形体22は、板央側ほど厚みが小さくなっている。
第2の成形体22は、第1の成形体21の外縁部から距離Lだけ離隔している。このLは、好ましくは0.1〜10mm特に0.5〜7mmとりわけ2〜5mmである。
図示の通り、第1の成形体21の一方の板面にのみ第2の成形体22が設けられている。第1の成形体21の該一板の板面には、第2の成形体22の板央側の辺縁部に沿って延在する凸条21aが設けられている。この実施の形態では、凸条21aは2つの平面状の斜面よりなる略V字形断面形状であるが、後述の通り、断面形状はこれに限定されない。なお、このV字の開き角度は1〜150°程度、中でも1°〜90°程度が好適である。尚、凸条21aは、その略V字形先端部に、V字開き角度よりも鋭角な、微小鋭角V字部を有してもよい。
第2の成形体22の板央側の辺縁部は凸条21aの該第2の成形体22側の斜面に接していることが好ましい。
凸条21aの幅wは、好ましくは0.01〜10mm特に0.05〜1mmであり、高さhは好ましくは0.01〜1mm特に0.02〜0.8mmとりわけ0.05〜0.5mmである。幅W及び高さhは周方向において均一であってもよく、不均一であってもよいが、均一であることが好ましい。
次に、第2図〜第8図を参照してこの樹脂成形体の成形方法について説明する。
まず、第2〜4図に示すように、金型1の固定型2と対向型4及び第1の可動型11との間に形成されるキャビティ3に、透明樹脂材料を射出し、第1の成形体21を成形する。この第1の可動型11は、固定型2のキャビティ面の周縁部に対峙する方形枠形である。対向型4は、この第1の可動型11に内嵌する形状及び大きさのものである。第1の可動型11と対向型4とは、第2図(a)の上下方向に摺動自在に接している。
第2図の通り、対向型4と第1の可動型11とは、それらのキャビティ面が面一となるようにして固定型2に対し型締めされる。この型締め状態において、対向型4のキャビティ面の外周縁と第1の可動型11のキャビティ面の内周縁との間には、微かながらこれらキャビティ面よりも凹陥する溝状部5が形成される。キャビティ3内に射出された前記透明樹脂材料がこの溝状部5に入り込むことにより、第4図の通り、第1の成形体21に凸条21aが形成される。
第1の成形体21の成形後、第5図の如く第1の可動型11を型開きする。対向型4は、型開きせず、第1の成形体21に接したままとする。第5図の通り、第1の成形体21には凸条21aが形成されている。
次いで第6図の如く第2の可動型12を型合わせし、第7,8図の通り、第2の可動型12によって形成されるキャビティ13に樹脂を射出し、第2の成形体22を形成する。このキャビティ13は第2の成形体22に合致した形状のものである。その後、対向型4及び第2の可動型12を型開きして脱型することにより、樹脂成形体20が得られる。
第2の可動型12は、第1の可動型11と同じく方形枠状のものであり、対向型4に対し第6〜8図の上下方向に摺動自在に嵌合している。この第2の可動型12の前面すなわち第1の成形体21に対峙する面から該キャビティ13が凹陥している。尚、第2の可動型12は、成形体22も射出圧縮成形により得る場合には、キャビティ13を有する部分とその他の部分とからなる構成(図示せず)として、キャビティ13を有する部分を動かして射出圧縮成形を行ってもよい。
キャビティ13は、この方形枠状の第2の可動型12の内周縁部に臨んでいる。キャビティ13は、第2の可動型12の外周縁部からは前記距離L(第1図(b)参照)だけ離隔している。第2の可動型12を型締めした状態では、キャビティ13と第2の可動型12の外縁部との間の辺縁部12cが第1の成形体21に当接している。
第2の可動型12を型締めした状態では、キャビティ13内は第1の成形体21の凸条21aの付け根側(凸条21aの隆起方向の基端側)に臨んでいる。第2の可動型12の内周縁の先端は凸条21aの隆起方向の先端側に接している。成形された第2の成形体22の板央側の辺縁は、この凸条21aの第2の成形体22側の斜面の付け根側に接している。
この金型1を用いた樹脂成形体20の成形方法によると、キャビティ13内に射出された樹脂は、この凸条21aによって堰止められ、第1の成形体21の板央側へバリ状にはみ出すことがない。この結果、第2の成形体22の板央側の際(きわ)すなわち辺縁が鮮明かつ美麗に仕上ったものとなる。
特に、この実施の形態では、第8図の通り、第2の可動型の内周縁の先端は凸条21aの隆起方向の先端側に接している。このため、キャビティ13内に射出された樹脂が第1の成形体21の板央側へはみ出すことが十分に防止され、第2の成形体22の板央側の辺縁が極めて鮮明かつ美麗に仕上ったものとなる。
また、この実施の形態では、第2の可動型12の前面の辺縁部12cが第1の成形体21に当接しているため、成形途中において、第1の成形体21が反り変形することが防止される。また、第2の成形体22を成形するための樹脂がキャビティ13から樹脂成形体10の外縁側へ広がること(いわゆる裏回り)も防止される。
なお、上記実施の形態では、第2の成形体22の板央側の側面を斜面としているが、このように構成すると、第1の成形体21に作用する第2の成形体22の収縮応力が緩和され、第1の成形体21に微小な歪みが生じることが防止される。樹脂成形体を自動車用窓ガラスとして用いる場合、第1図(b)の通り、第2の成形体22の全幅Lと斜面よりなる側面22aの幅Lと、第2の成形体22の厚さtとは次の関係にあることが望ましい。
/t≧1.75
1>L/L≧0.25
この理由は次の通りである。すなわち、第2の成形体22の厚さtに対して斜面よりなる側面22aの幅Lが小さすぎると、厚さ方向の収縮の影響が大きくなりすぎてしまい、パネル状成形体の外観見栄えが低下する。また、第2の成形体22の全幅Lに対して斜面の幅Lが小さすぎると、収縮の影響を吸収する領域が少ないために、収縮により外観見栄えが低下する。L,L,tを上記範囲とすることにより、樹脂成形体20の外観上の見栄えが良好なものとなる。
第9図〜第12図を参照して別の実施の形態について説明する。
上記実施の形態では、凸条21aはV字形断面形状とされているが、第9図(a)〜(c)の樹脂成形体20A,20B,20Cのように円弧形断面形状の凸条21b、第2の成形体22側の面が膨出した凸曲面状の凸条21c、板央側の斜面が第2の成形体22の斜面22aと連続面となっている凸条21dなど各種の断面形状の凸条を設けることができる。
上記実施の形態では、第2の成形体22の斜面22aは平面状であったが、第10図(a),(b)の樹脂成形体20D,20Eの第2成形体22D,22Eのように、凹に湾曲した斜面22dであってもよく、階段状の斜面22eであってもよい。図示はしないが、凸に湾曲した斜面であってもよい。
本発明では、第11図(a)及びその一部の拡大図である第11図(b)の樹脂成形体20Fの第2の成形体22Fのように、板央側の辺縁部の断面形状を曲率半径Rにて凸に湾曲したものとしてもよい。第2の成形体22Fの該板央側の辺縁は、凸条21aの斜面の付け根側に接していることが望ましい。
この湾曲の曲率半径Rは0.1〜10mm特に0.5〜10mmとりわけ1〜5mm程度が好適である。このように辺縁部をR付けすることにより、第2の成形体22Fを成形する際に該辺縁部に樹脂を十分に充填することができる。
なお、曲率半径Rの中心は、第1の成形体21Fの内部に位置することが好ましい。
この曲率半径Rの中心は、第1の成形体21の表面(第2の成形体22Fを設けた板面)から2・t以内に位置するのが好ましい。tは第2の成形体の厚み(第1図参照)である。
本発明では、第12図(a),(b),(c)の樹脂成形体20G,20H,20Iのように第1の成形体21G,21H,21Iの外縁側が第2の成形体22側に回り込んでいてもよい。第12図(a),(c)では、この第1の成形体21G,21Iが第2の成形体22の側面を覆っている。第12図(b)では、第1の成形体21Hと第2の成形体22の側面との間に若干の隙間があいている。第12図(b),(c)では、第1の成形体21H,21Iの回り込んだ部分が、先端側ほど肉薄となっている。
本発明は、第13図のように三色成形された樹脂成形体20Jについても適用できる。この樹脂成形体20Jは、板状の第1の成形体211と、この第1の成形体211の外周側に形成された第3の成形体213と、これら第1及び第3の成形体211,213の一方の板面上に形成された第2の成形体22とを備えている。第1の成形体211に凸条21aが設けられている。第2の成形体22の形状は第1図〜第8図の実施の形態と同じであるが、これに限定されない。凸条21aは、この第2の成形体22の板央側の辺縁に沿って延在している。
この樹脂成形体21Jの成形手順は次の通りである。まず、第1の固定型と第2の固定型及び第3の可動型によって第1の成形体211を射出成形し、この際、第1の成形体211に凸条21aを形成する。なお、第3の可動型(図示略)は、第1の可動型11の前面に対し、第1の成形体211の周囲を囲む枠状凸段部を設けた形状のものである。次いで第3の可動型を第1の可動型に交換し、第3の成形体213を成形する。次いで、第1の可動型を前記第2の可動型に交換し、第2の成形体22を成形する。その後、脱型することにより、この樹脂成形体20Jが得られる。第3の成形体213を第1の成形体211よりも先に成形してもよい。第3の成形体213を構成する樹脂は透明であってもよく、不透明であってもよい。
本発明は、三色成形に限らず、四色以上の多色成形にも適用可能である。
次に、本発明の樹脂成形体を自動車用窓ガラス等に適用する場合に好適な材料について説明する。
第1の成形体の構成材料は、透明樹脂であれば、従来公知の任意のものから適宜選択することが出来る。ここで、透明とは、JIS K7105に準拠して測定された表面の平滑な厚み3mmの板状成形品における全光線透過率として、通常10%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であることを意味する。染料または顔料を含有する透明な樹脂においては、斯かる染料または顔料の使用割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、通常0.001〜2重量部、好ましくは0.005〜120重量部、更に好ましくは0.005〜0.5重量部である。
上記の様な透明樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙られる。これらの中では、耐衝撃性や耐熱性の面から、ポリカーボネート樹脂(PC)、中でも、芳香族ポリカーボネート樹脂を主構成樹脂とするものが好ましい。なお、主構成樹脂とするとは、芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上であることを意味する。
PCを主構成樹脂とする場合に併用する樹脂は、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、その形態は、透明性を維持する形態であればアロイでも共重合体でもよい。
第1の成形体の構成材料には、前述の染料または顔料以外に、従来公知の任意の助剤を添加することが出来、その例としては、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、アルカリ石鹸、金属石鹸、可塑剤、流動性改良剤、造核剤、難燃剤、ドリッピング防止剤などが挙げられる。これらの助剤の使用量は公知の範囲から適宜選択される。
第2の成形体の構成材料としては、特に制限されず、各種公知の任意の熱可塑性樹脂が使用できる。具体的には、例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性、剛性、意匠部(1)との密着性の点から、PCや熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましく、中でも、PCを主材としたもの、特に熱可塑性ポリエステル樹脂との併用が好ましい。
第2の成形体の構成材料として、PCと熱可塑性ポリエステル樹脂とから成るポリマーアロイを使用する場合、両成分の合計量に対するPCの割合は通常10〜90重量%である。
第2の成形体で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂の好適な具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレート樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT),ポリへキシレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−ナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)樹脂(PCT)、ポリシクロヘキシルシクロヘキシレート(PCC)等が挙げられる。これらの中では、流動性と耐衝撃性の点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレート樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)が好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された熱可塑性ポリエステル樹脂、所謂マテリアルリサイクルされた熱可塑性ポリエステル樹脂の使用も可能である。
また、第2の成形体の構成材料には、剛性、寸法安定性、耐熱性を向上させる目的で無機フィラーを配合することが好ましい。斯かる無機フィラーとしては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、アルミナ、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸アルミニウム(マイカ)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラス繊維、けい砂、けい石、石英粉、しらす、けいそう土、ホワイトカーボン、鉄粉、アルミニウム粉などが挙げられる。これらの中では、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸アルミニウム(マイカ)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)が好ましい。無機フィラーは2種類以上を併用することも出来る。
無機フィラーの使用量は、第2の成形体の樹脂材料100重量部に対し、通常2〜50重量部、好ましくは5〜40重量部である。
第2の成形体の構成材料には、帯電防止性や静電塗装が可能な導電性を付与する目的で導電性カーボンブラック及び/又は中空ナノカーボン繊維を配合することが出来る。導電性カーボンブラックとしては、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラック、原油を原料としファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッテェンブラック等が挙げられる。中空ナノカーボン繊維は、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層から成る外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。更に、上記の外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状である。上記の中空領域の直径は通常2〜20nmである。この様な中空ナノカーボン繊維は、ハイペリオン・カタルシス社により、「グラファイト・フィブリル」と言う商品名で販売しており、容易に入手できる。
第1の成形体は非強化合成樹脂で構成されるのに対し、第2の成形体は強化合成樹脂で構成されるのが好ましい。すなわち、第2の成形体の樹脂材料には強化用繊維を配合するのが好ましい。強化用繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、生分解繊維、タルク、マイカ、ウォラストナイトの群から選ばれる1種以上のものを使用できる。繊維の重量平均繊維長は、強度および分散性観点から、通常1.5〜10mm、好ましくは1.8〜5mmである。
また、図示しないが、本発明においては、第1の成形体21の傷つきや劣化を主に防止するため、保護膜としての硬質被膜が設けられてもよい。斯かる硬質被膜は第2の成形体と反対側の面に配置される。
上記の硬質被膜は、単層でもよいが、保護機能を高めるため、少なくとも2層以上の多層構造を備えているのが好ましく、当該多層構造においては、最外層の硬度を最大に設定するのが好ましい。多層構造を有する硬質被膜としては、例えば、熱線遮蔽、紫外線吸収、サーモクロミック、フォトクロミック、エレクトロクロミックの各機能性層やプライマー層などのうち、少なくとも一つ以上の機能を備えているのが好ましい。
硬質被膜の構成材料は透明樹脂が好適である。斯かる透明樹脂としては、ハードコート剤として知られている公知の材料を適宜使用することが出来、例えば、シコーン系、アクリル系、シラザン系などの種々のハードコート剤を使用することが出来る。これらの中では、接着性や耐候性を向上させるために、ハードコート剤を塗布する前にプライマー層を設ける2コートタイプのハードコートが好ましい。コーティング方法としては、スプレーコート、ディップコート、フローコート、スピンコート、バーコート等が挙げられる。また、フィルムインサートによる方法、転写フィルムに好適な薬剤を塗布して転写する方法なども採用し得る。
上記の硬質被膜の最外層に、各種機能(熱線遮蔽、紫外線吸収、サーモクロミック、フォトクロミック、エレクトロクロミックの各機能)の薬膜が形成されてもよい。
第1の成形体の表面と上記の硬質被膜との間に透明樹脂層が設けられてもよい。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の態様をもとりうる。
本発明は、車両とくに自動車の窓ガラスに適用するのに好適であり、とりわけサンルーフに適用するのに好適であるが、クォータ窓、リアウィンドなどにも適用可能である。
実施の形態に係る樹脂成形体の断面図である。 (a)図は実施の形態に係る樹脂成形体の成形方法を示す断面図、(b)図は可動型及び固定型の斜視図である。 実施の形態に係る樹脂成形体の成形方法を示す断面図である。 実施の形態に係る樹脂成形体の成形方法を示す断面図である。 実施の形態に係る樹脂成形体の成形方法を示す断面図である。 実施の形態に係る樹脂成形体の成形方法を示す断面図である。 実施の形態に係る樹脂成形体の成形方法を示す断面図である。 実施の形態に係る樹脂成形体の成形方法を示す断面図である。 別の実施の形態に係る樹脂成形体の断面図である。 別の実施の形態に係る樹脂成形体の断面図である。 別の実施の形態に係る樹脂成形体の断面図である。 別の実施の形態に係る樹脂成形体の断面図である。 別の実施の形態に係る樹脂成形体の断面図である。 従来例の説明図である。
1 金型
2 固定型
4 対向型
11 第1の可動型
12 第2の可動型
20,20A〜20J 樹脂成形体
21,21A,21B,21C,21F〜21I,211 第1の成形体
22,22D,22E,22F 第2の成形体
213 第3の成形体
21a、21b、21c、21d 凸条

Claims (8)

  1. 第1の成形体の表面の一部に第2の成形体が射出成形により一体に形成された樹脂成形体において、
    該第1の成形体の前記表面に、該第2の成形体の端縁に沿って延在する凸条が設けられており、
    前記第1の成形体は、厚さ2〜10mmの板状体であり、前記第2の成形体は該板状体の板面に設けられており、
    該第1の成形体は該板面と垂直方向において透明であり、
    前記第2の成形体は、該板面と垂直方向において不透明であることを特徴とする樹脂成形体。
  2. 請求項1において、前記凸条の幅が0.01〜10mmであり、凸条の高さが0.05〜0.5mmであり、
    該第2の成形体は該凸条の該第2の成形体側の面に接していることを特徴とする樹脂成形体。
  3. 請求項1又は2において、該第2の成形体は、第1の成形体の周縁に沿って延在する帯状に設けられていることを特徴とする樹脂成形体。
  4. 請求項において、帯状の該第2の成形体の樹脂成形体板央側は、板央側ほど厚みが小さくなっていることを特徴とする樹脂成形体。
  5. 請求項において、該第2の成形体の前記凸条に沿う辺縁部は、延在方向と垂直な断面において凸に湾曲した断面形状となっていることを特徴とする樹脂成形体。
  6. 請求項ないしのいずれか1項において、帯状の該第2の成形体の樹脂成形体外縁側の辺縁部は、前記第1の成形体の周縁よりも該板央側に位置していることを特徴とする樹脂成形体。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂成形体を射出成形する方法であって、
    固定型、該固定型にキャビティを介して対峙する対向型及び第1の可動型を用いて前記第1の成形体を射出成形する第1成形工程と、
    該第1の可動型を、第2の成形体成形用キャビティを有した第2の可動型に交換し、該第1の成形体と一体となった前記第2の成形体を射出成形する第2成形工程とを有しており、
    該第1の可動型と第2の固定型との合わせ面の隙間によって該第1の成形体に前記凸条を形成することを特徴とする樹脂成形体の成型方法。
  8. 請求項において、請求項の樹脂成形体を成形する方法であって、前記第2の成形体を成形するに際し、第2の可動型を第1の成形体の周縁部に当接させておくことを特徴とする樹脂成形体の成形方法。
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