JP5056178B2 - 電着塗膜の乾燥方法及び電着乾燥炉 - Google Patents

電着塗膜の乾燥方法及び電着乾燥炉 Download PDF

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Description

本発明は、電着塗膜の乾燥方法及び電着乾燥炉に関し、特に乾燥後の電着タレ(二次タレともいう。)による不具合の発生を防止できる電着塗膜の乾燥方法及び電着乾燥炉に関する。
溶接組立工程を終了した自動車の車体(いわゆるホワイトボディ)には、耐食性を確保するために塗装工程にて下塗りとしての電着塗装が施される。近年の電着塗装は、カチオン電着塗料中に車体を浸漬し、車体側を陰極に、槽内電極(電着塗料)を陽極にして、電気泳動によって車体鋼板表面に電着塗膜を析出させることにより行われている。
電着塗料に車体を全没させる、いわゆるディッピング法で電着塗装を施すと、吹き付け塗装法では塗布できない車体の内板、袋構造部あるいは鋼板合わせ目の内面にまで塗膜を形成することができるので、耐食性確保の有効な手段として広く実施されている。
この種のディッピング電着塗装法においては、電着槽を出槽した直後の車体内外に電着塗料が残留または付着するので、電着槽から電着乾燥炉の間に水洗ゾーンを設け、清浄な水を洗浄水として吹き付けることで、残留または付着した電着塗料を洗い流すことが行われている。
水洗ゾーンを通過し終えた車体には、通常、洗浄水が付着するが、その大部分は車体が乾燥炉に入槽される前に振り落とされる。しかしながら、車体のパネル合わせ面等の狭隘箇所等に僅かな量の水が残留することは避けがたく、この種の残留水を含んだ状態で車体が電着乾燥炉に入槽されて電着塗膜の焼き付け乾燥が開始されると、残留水が車体の狭隘箇所等から流出し、これが乾燥後の電着タレによる不具合の原因となる。電着タレは、車体から流出した電着液や水が乾燥炉内で硬化して、一種の肌荒れになったもので、これによって最終仕上がり品質が低下し、その修正作業工数に多大の時間を要するといった問題につながる。このような理由から、水洗後の車体に残留する水をできる限り完全に除去排出させたのち塗膜の焼き付けを行うことが望ましい。
水洗後の車体に残留する水を除去排出させる方法として、水洗後の車体を、自然放置させたり、焼き付け乾燥前の予熱ゾーンにおいて比較的高温(100〜130℃)で加熱することで、車体から残留水を蒸発させることが考えられる。また、特許文献1では、焼き付け乾燥前の予熱ゾーンに複数のエアーノズルを設け、車体に高圧エアーを吹き付けることで車体に付着した洗浄水を吹き飛ばす技術が提案されている。特許文献2では、水洗工程を経た車体をハンガーとともに後ろ上がりに傾斜させて洗浄水を排出し、さらに焼き付け乾燥炉前の予熱ゾーンでは前上がりに傾斜させて乾燥炉の入口前までに残留水を減らす技術が提案されている。
しかしながら、自然放置による場合、車体から残留水を蒸発させるには長時間が必要であり、これによって生産リードタイムが長くなる点、また生産設備の長大化を余儀なくされる点で、最終的な生産性が悪化する。
焼き付け乾燥前の加熱による場合、車体から残留水の蒸発をより完全に行うためには比較的高温の雰囲気を所定時間保持しておく必要がある。この所定時間を保持しておくためには予熱ゾーンの延長等、既存乾燥炉の設計変更が必要となる点で、生産性に悪影響を及ぼすおそれがある。また比較的高温の雰囲気に保持するため、洗浄水が沸騰し、これが原因となって直接的に電着塗膜を冒したり、塗膜表面に凝集物が固着して電着タレの原因となる。
特許文献1に記載の技術は、車体外部から局所的にエアーブローするものであるため、洗浄水のすべての残留部位に高圧エアーを到達させることができれば非常に有効な方法ではあるが、実際に問題となるのは複数のパネルが重ね合わせられたパネル合わせ面等の狭隘箇所等に残留する水であって、この部位にまで高圧エアーを到達させることは困難であり、結果としてこの部位に残留する水に対しては除去排出効果が少ない。特許文献2に記載の技術は、局所的に車体を傾斜させるものであるため、多量に残留した水に対しては、その除去排出効果が大きいものの、パネル合わせ面等の狭隘箇所等に残留する水に対しては除去排出効果が少ない。また予熱ゾーンでは通常100℃以上の温度で保持するため、洗浄水が沸騰し、これが原因となって直接的に電着塗膜を冒したり、塗膜表面に凝集物が固着して電着タレの原因となる。
特開平6−228794号公報 特開平6−235094号公報
本発明は、車体のパネル合わせ面等の狭隘箇所等に残留する水を効果的に除去排出させ、乾燥後の電着タレによる不具合の発生を防止することができる電着塗膜の乾燥方法及び電着乾燥炉を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る電着塗膜の乾燥方法は、ディッピング式電着塗装法によって電着塗膜が塗布された水洗後の自動車車体を、少なくとも昇温工程及び保持工程を通過させることにより前記電着塗膜を乾燥させる方法において、前記昇温工程の途中であって前記保持工程の開始前までに、前記電着塗膜が溶融を開始する温度未満の温度で前記車体を保持する加温工程を有し、少なくとも前記加温工程の中に、前記車体の搬送方向の前部と後部を交互に高くする車体揺動工程を有することを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る電着塗膜の乾燥炉は、両端に形成された入口と出口の間に少なくとも昇温ゾーン及び保持ゾーンを有する炉体と、ディッピング式電着塗装法によって電着塗膜が塗布された水洗後の自動車車体を少なくとも前記入口から出口まで搬送する搬送装置とを備えた電着乾燥炉において、前記炉体は、前記昇温ゾーンの途中であって前記保持ゾーンの手前までに、前記電着塗膜が溶融を開始する温度未満の温度で前記車体を保持する加温ゾーンを有し、少なくとも前記加温ゾーンに、前記車体の搬送方向の前部と後部が交互に高くなる車体揺動ゾーンを有することを特徴とする。
本発明に係る電着塗膜の乾燥方法及び電着乾燥炉によれば、車体のパネル合わせ面等の狭隘箇所等に残留する水を効果的に除去排出させ、乾燥後の電着タレによる不具合の発生を防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の電着乾燥炉2は、ボディ(車体)4に塗布された電着塗膜を焼き付けるためのもので、炉体6を有する。炉体6の両端には炉入口8と炉出口10が形成されており、これら炉入口8と炉出口10との間には、炉入口8側から炉出口10側に向けて、昇温ゾーン14及び保持ゾーン16が順次形成されている。なお、図1における符号Lはボディ4の搬送ラインを示すものであり、本実施形態では、少なくとも炉入口8と炉出口10の間の搬送ラインL上には、ボディ4を塗装台車3に搭載した状態で搬送させるフロアコンベア31が床面に敷設されている。したがって、ボディ4は、塗装台車3に搭載された状態で炉入口8から炉体6内に搬入された後、炉体6内の搬送ラインL上に敷設されたフロアコンベア31によって昇温ゾーン14及び保持ゾーン16を通過して炉出口10から搬出されるが、この間に当該ボディ4には所定温度が所定時間だけ印加され、これにより塗膜が硬化する。
本実施形態の電着乾燥炉2では、昇温ゾーン14の入口領域が上り勾配部とされ、保持ゾーン16の出口領域16aが下り勾配部とされている。そして、昇温ゾーン14及び保持ゾーン16はいずれも高床とされている。昇温ゾーン14の高床面f1,f2,f3のうち最も低い床面f1,f2は、昇温ゾーン14の入口領域が開始する部分(炉入口8部分)の開口上端縁とほぼ同じ高さとされているので、昇温ゾーン14に供給された熱風は、昇温ゾーン14より上流側の炉外へ逃げないようになっている。保持ゾーン16の高床面は、保持ゾーン16の出口領域16aが終了する部分(炉出口10部分)の開口上端縁の高さ以上の高さとされているので、保持ゾーン16に供給された熱風は、炉出口10より下流側の炉外へ逃げないようになっている。
昇温ゾーン14(後述の加温ゾーン12部分を除いた部分)は、加温工程後のボディ4を電着塗膜の硬化温度である170℃まで、できる限り短時間で昇温させるための領域であって、電着塗膜の硬化温度よりも高い温度、たとえば180℃〜190℃の雰囲気温度とされる。
保持ゾーン16は、昇温工程後のボディ4を電着塗膜の硬化温度である170℃に保持するための領域であって、電着塗膜の硬化温度よりもやや高い温度、たとえば175℃〜190℃の雰囲気温度とされる。
特に本実施形態では、昇温ゾーン14の入口領域(「昇温ゾーン14の途中」の一態様)に加温ゾーン12を設けてある。加温ゾーン12は、炉入口8から炉体6内に搬入されてきたボディ4のパネル合わせ面等の隙間に残留する水(以下、適宜単に「残留水」ともいう。)を流出させるために、ボディ4に塗布された電着塗膜が溶融を開始する温度(以下、単に「塗膜溶融開始温度」という。)未満の温度でボディ4を保持するための領域である。本実施形態では、加温ゾーン12の入口領域12a(上述の昇温ゾーン14の入口領域に同じ)と、加温ゾーン12部分を除いた昇温ゾーン14部分への移行領域12bとがいずれも上り勾配部とされている。本実施形態では、昇温ゾーン14が高床とされていることから、この昇温ゾーン14の途中に設けられた加温ゾーン12も高床であり、しかもその高床面f1,f2は、炉入口8部分の開口上端縁とほぼ同じ高さとされているので、加温ゾーン12に供給される温風は炉入口8側から炉外へ逃げないようになっている。
また、本実施形態では、加温ゾーン12の全域を車体揺動ゾーン13としており、この車体揺動ゾーン13では、ボディ4の搬送ラインLを上り傾斜と下り傾斜にすることで、ここを通過するボディ4の搬送方向の前部(ボディ4の前部)と後部(ボディ4の後部)が交互に高くなるようにしている。なお、車体揺動ゾーン13では、ボディ4の搬送方向の「前部と後部が交互に高く」なるように構成すればよいので、ボディ4の搬送ラインLの上り傾斜と下り傾斜の順序は問わない。
図2に示すように、本実施形態では、図1に示す搬送ラインL上に、フロアコンベア31を敷設しているので、このフロアコンベア31により搬送されるボディ4は、加温ゾーン12の入口領域12aでは、車体前部が高くなるように傾斜(前上がり傾斜)し、その後、車体後部が高くなるように傾斜(前下がり傾斜)する。
特に本実施形態では、ボディ4の搬送方向の前部と後部が一度ずつ高くなることを1回の揺動を定義付けた場合に、当該揺動が2回繰り返されるように車体揺動ゾーン13を構成している。ボディ4の搬送方向の前部と後部が交互に高くなる頻度、すなわち上りと下りの繰り返し頻度が多ければ多いほどその効果が向上する傾向にある。
図1に戻り、車体揺動ゾーン13におけるボディ4の傾斜角度αは、特に限定されないが、水平面から20°未満とすることが望ましい。傾斜角度αが水平面から20°以上であっても、残留水の除去排出効果の向上に役立つので問題ないが、傾斜角度αを20°以上とした状態で、実際に複数のボディ4,4,…を複数の塗装台車3,3,…で連続して搬送させると、前を行くボディ4が後ろのボディ4と干渉する不都合を生じるおそれがある。
本実施形態では、塗装台車3はフロアコンベア31によりボディ4が前向きに進行する方向に搬送されるが、塗装台車3に対するボディ4の搭載方向は何ら限定されず、後ろ向き、右向き、左向きであっても良い。
次に作用(電着塗膜の乾燥方法)を説明する。
電着槽を出槽し、さらに最終水洗処理が施されたボディ4は、電着乾燥炉2の前工程で電着用ハンガーから塗装台車3に乗せ替えられる。このとき、ボディ4は塗装台車3に水平に搭載される。そして、炉入口8から炉体6の内部に搬送されたボディ4は、まず、昇温ゾーン14の入口領域に設けてある加温ゾーン12にて加温される。
加温工程
加温によってボディ4温度が上昇すると、ボディ4のパネル合わせ面等の隙間に残留する水の表面張力が低下して流動性(フロー性)が増し、これによってボディ4の隙間から抜けやすくなる。一方で、ボディ4の電着塗膜については、ボディ4温度が上昇することに伴って塗膜粘度が上昇していくが、ある温度を境に塗膜粘度が下降へと転じる。この塗膜粘度が上昇から下降へと転じるのは、塗膜中の樹脂のガラス転移点に基づく特性によるものであると思われる。
こうした点を考慮し、本実施形態における加温ゾーン12では、塗膜溶融開始温度未満の温度でボディ4を保持する(加温工程)。加温ゾーン12では、例えば塗膜溶融開始温度を上限とする雰囲気温度(すなわち塗膜溶融開始温度以下)とされる。
ただし、加温ゾーン12でのボディ温度が100℃以上になると、ボディ4中の残留水が沸騰する。そして、この温度領域で沸騰した残留水が電着塗膜に流れ落ちると、直接的に電着塗膜を冒してしまい、また流れ落ちた残留水に含まれる電着塗料の濃度によっては電着塗膜表面に凝集物が固着し、電着タレによる不具合の発生原因となりうる。したがって、塗膜溶融開始温度が100℃を超える場合には、加温ゾーン12でのボディ温度が100℃未満となるよう雰囲気温度を設定することが望ましい。
電着塗膜中の樹脂が例えば変性エポキシ樹脂とイソシアネートと架橋性ポリエーテル樹脂からなる組成系である場合、例えば図3に示すように、90℃付近までは塗膜に付着したあるいは塗膜内の水分が蒸発することによってその電着塗膜の粘度が上がる傾向にあり、この温度領域で残留水が電着塗膜に流れ落ちたとしても、その流れ落ちた残留水は電着塗膜を冒すことなくフローする。その反面、90℃付近からは塗膜中の樹脂のガラス転移点に基づく特性によって電着塗膜の粘度が下がる傾向にあり、この温度領域で残留水が電着塗膜表面に流れ落ちると、その流れ落ちた残留水はフローせずに電着塗膜を冒して跡が残り、電着タレの発生原因となりうる。
したがって、ボディ4に塗布される電着塗膜中の樹脂組成によって多少変動する要素はあるものの、ボディ4に塗布された電着塗膜の粘度を低下させずに、パネル合わせ面等の隙間に残留した水の表面張力を低下させてそのフロー性を向上させるとの観点からは、加温ゾーン12での雰囲気温度をボディ4の温度が90℃未満となるように設定することが好ましい。これに対し、パネル合わせ面等の隙間に残留した水の表面張力が低下しないと、当該残留した水はそこに居座ることとなり、これが乾燥後の電着タレによる不具合の発生原因になりうるので、加温ゾーン12での雰囲気温度をボディ4の温度が40℃以上となるように設定することがより好ましい。
なお、ボディ4のパネル合わせ面等の隙間が例えば0.1mm程度に極狭の場合、これが例えば0.35mmと僅かに広い場合と比較すると、より高い温度(例えば60℃より80℃)で加温した方がその隙間から残留水を抜きやすくなる傾向がある。
加温ゾーン12での雰囲気温度の保持時間は特に限定されず、残留水の表面張力を低下させ、そのフロー性を向上させるのに必要十分な時間を適宜設定すればよい。例えば1〜15分程度の保持時間とされる。
加温ゾーン12での昇温速度は特に限定されず、例えば10〜30℃/分程度の昇温速度とされる。
本実施形態では、ボディ4が加温ゾーン12を通過する際に、残留水のフロー性が増して、ボディ4の外部へと流れ出す。しかもボディ4の加温を塗膜溶融開始温度未満の温度で行うので、ボディ4に塗布された電着塗膜が溶融することはなく、電着塗膜表面に残留水が流れ落ちても、当該残留水がその部分に留まることなく、ボディ4外へと流れ落ちる。
車体揺動工程
本実施形態では、加温ゾーン12の全域をボディ4の搬送方向の前部(ボディ4の前部)と後部(ボディ4の後部)が交互に高くなる車体揺動ゾーン13としてある。このため、車体揺動ゾーン13を通過するボディ4は、その前部が高くなるように傾斜(前上がり傾斜)した後、後部が高くなるように傾斜(前下がり傾斜)する。ボディ4の搬送ラインLの上り傾斜と下り傾斜の順序は問わないので、ボディ4の後部が高くなるように傾斜(前下がり傾斜)した後、前部が高くなるように傾斜(前上がり傾斜)するようにしてもよい。この揺動によって、適度な加温によってフロー性が増した残留水がより効率的にボディ4の外部へと除去排出される。
昇温工程(加温工程部分を除く)及び保持工程
本実施形態では、上述した加温ゾーン12を通過したボディ4は、当該加温ゾーン12部分を除いた下流側の昇温ゾーン14部分に導入され、ここを通過する間に、ボディ4に塗布された電着塗膜が硬化し始め、さらには保持ゾーン16を通過することで塗膜の硬化作業が完了する。塗膜硬化後のボディ4は、炉出口10から乾燥炉2外へと搬送され、次工程へと送られる。
本実施形態では、昇温ゾーン14の入口領域に、塗膜溶融開始温度未満の温度でボディ4を保持する加温ゾーン12を有する(昇温工程の中に加温工程を有する)ので、残留水の流動性が増し、ボディ4のパネル合わせ面等の隙間から外部へと流出(フロー)させることができる。また、加温ゾーン12(加温工程)ではボディ4の温度保持をボディ4に塗布された電着塗膜の溶融開始温度未満の温度で行うので、その電着塗膜の粘度が低下することはない。その結果、ボディ4のパネル合わせ面等の隙間から外部へとフローしてきた残留水がボディ4の表面の電着塗膜上に流れ落ちても、その流れ落ちた残留水は流動性に優れるので流れ落ちた塗膜部分に留まることはなく、その残留水は塗膜表面を伝って床などへ除去排出され、これにより乾燥後の電着タレによる不具合の発生を防止することができる。
特に本実施形態では、加温ゾーン12の全域を、ここを通過するボディ4の前部と後部が交互に高くなる車体揺動ゾーン13としている(加温工程の全域で車体揺動を行っている)。すなわち、ボディ4の残留水のフロー性を向上させた状態で、ボディ4の前部と後部を交互に高くするので、適度な加温によってフロー性が増した残留水の除去排出効果が一層向上する。また本実施形態では、車体揺動ゾーン13を、ボディ4の搬送方向の前部と後部が一度ずつ高くなることを1回の揺動を定義付けた場合に、当該揺動が2回(複数)回繰り返されるように構成しているので、残留水の除去排出効果がより一層高められる。さらに本実施形態では、ボディ4の傾斜角度αが水平面から20°未満となるように車体揺動ゾーン13を構成しているので、複数のボディ4,4,…を複数の塗装台車3,3,…で連続して搬送させても、前を行くボディ4が後ろのボディ4と干渉するおそれは少ない。
その他の実施形態
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、加温ゾーン12(加温工程)は、保持ゾーン16の手前までの領域(保持工程の開始前まで)に設けてあれば良く、したがって昇温ゾーン14の手前(昇温工程の開始前)に配置しても良い。ただ、加温ゾーン12での保持温度(例えばT1)が室温(例えばT0)から保持ゾーン16での保持温度(電着塗膜の硬化温度。例えばT2)までの間に設定されることに鑑みると(T0<T1<T2)、室温T0から加温ゾーン12での保持温度T1まで上昇させ、さらに室温T0まで降下させた後、昇温ゾーン14に入れ、室温T0から保持ゾーン16での保持温度T2まで上昇させる温度プロファイル(T0→T1→T0→T2)を辿るよりも、例えば図4に示すようなT0→T1→T2の段階的な温度プロファイルを辿れる態様、すなわち、昇温ゾーン14の入口領域(「昇温ゾーン14の途中」の一態様)に加温ゾーン12を設けることが、エネルギー効率の観点からも望ましい。
図4では電着乾燥炉2内でのボディ4の温度プロファイルの一例がグラフ化されるとともに、電着乾燥炉2内でのボディ4の搬送軌跡も併記してある。図4では昇温ゾーン14の入口領域に加温ゾーン12を設け、加温工程と、当該加温工程を除く昇温工程とで、昇温工程の全体を構成する例が示されている。
また、「昇温ゾーン14の手前」には、電着乾燥炉2内での昇温ゾーン14の手前(上流側)の他、電着乾燥炉2に搬送される前も含む。すなわち、実質的な乾燥ゾーン(昇温ゾーン14及び保持ゾーン16)を有する電着乾燥炉2より上流側に、別途、前記加温ゾーン12を設け、水洗後のボディ4を、加温ゾーン12→電着乾燥炉2と通過させる場合も含む。
また、車体揺動ゾーン13は、「加温ゾーン12」に有していれば良く、したがって、加温ゾーン12の一部(途中)に設けてあってもよい。ただし、残留水の除去排出効果をより一層高めるためには、本実施形態のように加温ゾーン12の全域を車体揺動ゾーン13とすることが望ましい。また、車体揺動ゾーン13は、「少なくとも」加温ゾーン12に有していれば良いので、加温ゾーン12の手前(上流側)に車体揺動ゾーン13の開始点が存在し、ここから連続して加温ゾーン12の途中あるいは全域を終点とする態様であっても良い。すなわち、車体揺動ゾーン13の開始点が加温ゾーン12の上流側にはみ出す態様であっても良い。
本実施形態では、搬送ラインL上に配置する搬送装置のタイプに何ら制限はなく、フロアコンベア31の他に、塗装用ハンガーにボディを搭載して搬送するオーバーヘッドコンベアのタイプの搬送装置にも適用することができる。オーバーヘッドコンベアを用いる場合、その搬送軌跡が上の軌跡を描くように設置する。
また、上述した実施形態では、ボディ4の搬送方向の前部と後部を交互に高くする構成として、塗装台車3上に搭載されるボディ4の姿勢を終始水平とするとともに、搬送軌跡を上り傾斜及び下り傾斜とした搬送ラインLの軌跡を利用し、すなわちボディ4の搬送方向前部(ボディ4の前部)と後部(ボディ4の後部)が交互に高くなる搬送ラインL上でボディ4を搬送させるようにしたが、本発明では要するに加温ゾーン12を通過する際に、ボディ4を、その車体の前部と後部が交互に高くなるように傾斜させればよい。したがって、搬送ラインLを上の搬送軌跡を描くようなラインとする代わりに、搬送ラインLの軌跡は利用せず、搬送装置としてフロアコンベア31を用いるとともに、このフロアコンベア31により搬送すべきボディ4を搭載する塗装台車として、図5に示すようなリフター付塗装台車3aを用い、当該台車3aの台車本体3bの進行方向前部に設けられた第1リフト手段3cを作動させることによって台車3aに搭載されたボディ4の車体前部が高くなるように傾斜(前上がり傾斜)させ、あるいは台車本体3bの進行方向後部に設けられた第2リフト手段3dを作動させることによって台車3aに搭載されたボディ4の車体後部が高くなるように傾斜(前下がり傾斜)させても良い。
ボディ4の搬送方向についても何ら制限はなく、ボディ4を前向き、後ろ向き、さらには右向きあるいは左向きに搬送してもよい。したがって、ボディ4の搬送方向を前向きあるいは後ろ向きとした場合、「ボディ4の搬送方向の前部」はボディ4の前部あるいは後部となり、「ボディ4の搬送方向の後部」はボディ4の後部あるいは前部となる。この場合、車体揺動ゾーン13ではボディ4の前部と後部が交互に高くなる。これに対し、ボディ4の搬送方向を右向きあるいは左向きとした場合、「ボディ4の搬送方向の前部」はボディ4の右部あるいは左部となり、「ボディ4の搬送方向の後部」はボディ4の左部あるいは右部となる。この場合、車体揺動ゾーン13ではボディ4の右部と左部が交互に高くなる。
本実施形態における「前」及び「後ろ」とは、特に断らない限り、自動車の状態における前及び後ろを意味し、「右」及び「左」とは、特に断らない限り、自動車の状態での進行方向を基準にした場合における右及び左を意味する。
本実施形態では、乾燥炉のタイプに何ら制限はなく、いわゆる山型乾燥炉、平型乾燥炉あるいは半山型乾燥炉(炉入口または炉出口の一方が山型乾燥炉)の何れにも適用することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る電着乾燥炉を側面から見た断面図である。 図2は本実施形態におけるボディ4の搬送態様の一例を示す図である。 図3は本実施形態におけるボディ4に塗布された電着塗膜の温度と粘度の関係及び残留水の表面張力の推移を示すグラフである。 図4は本実施形態の電着乾燥炉2内でのボディ4の温度プロファイルの一例を示すグラフである。 図5は本実施形態におけるボディ4の搬送態様の一例を示す図である。
符号の説明
2… 電着乾燥炉
4… ボディ(自動車の車体)
6… 炉体
8… 炉入口
10… 炉出口
12… 加温ゾーン
12a… 入口領域
12b… 移行領域
13… 車体揺動ゾーン
α… 傾斜角度
14… 昇温ゾーン
16… 保持ゾーン
16a… 出口領域
3… 塗装台車
3a… リフター付塗装台車
3b… 台車本体
3c… 第1リフト手段
3d… 第2リフト手段
31… フロアコンベア
f1,f2,f3… 高床面
L… 搬送ライン

Claims (10)

  1. ディッピング式電着塗装法によって電着塗膜が塗布された水洗後の自動車車体を、少なくとも昇温工程及び保持工程を通過させることにより前記電着塗膜を乾燥させる方法において、
    前記昇温工程の途中であって前記保持工程の開始前までに、前記電着塗膜が溶融を開始する温度未満の温度で前記車体を保持する加温工程を有し、
    少なくとも前記加温工程の中に、前記車体の搬送方向の前部と後部を交互に高くする車体揺動工程を有することを特徴とする電着塗膜の乾燥方法。
  2. 前記加温工程での雰囲気温度を車体温度が90℃未満となるように設定する請求項1記載の電着塗膜の乾燥方法。
  3. 前記加温工程での雰囲気温度を車体温度が40℃以上となるように設定する請求項2記載の電着塗膜の乾燥方法。
  4. 前記車体の搬送方向の前部と後部を一度ずつ高くすることを1回の揺動と定義付けた場合に、当該揺動を複数回行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の電着塗膜の乾燥方法。
  5. 前記車体揺動工程における車体の傾斜角度が水平面から20°未満である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電着塗膜の乾燥方法。
  6. 前記車体の搬送方向が、前向き、後ろ向き、右向き及び左向きのいずれかである請求項1〜5のいずれか一項に記載の電着塗膜の乾燥方法。
  7. 前記車体の搬送方向前部と後部が交互に高くなる搬送ライン上で車体を搬送させるか、または搬送装置としてフロアコンベアを用いるとともに、
    このフロアコンベアにより搬送すべき車体を搭載する塗装台車として、台車本体の進行方向前部に配置された第1リフト手段と、前記台車本体の進行方向後部に配置された第2リフト手段とを備えたリフター付き塗装台車を用いることにより、前記車体揺動工程を実現する請求項1〜6のいずれか一項に記載の電着塗膜の乾燥方法。
  8. 両端に形成された入口と出口の間に少なくとも昇温ゾーン及び保持ゾーンを有する炉体と、
    ディッピング式電着塗装法によって電着塗膜が塗布された水洗後の自動車車体を少なくとも前記入口から出口まで搬送する搬送装置とを備えた電着乾燥炉において、
    前記炉体は、前記昇温ゾーンの途中であって前記保持ゾーンの手前までに、前記電着塗膜が溶融を開始する温度未満の温度で前記車体を保持する加温ゾーンを有し、
    少なくとも前記加温ゾーンに、前記車体の搬送方向の前部と後部が交互に高くなる車体揺動ゾーンを有することを特徴とする電着乾燥炉。
  9. 前記車体の搬送方向の前部と後部が一度ずつ高くなることを1回の揺動を定義付けた場合に、当該揺動が複数回繰り返されるように前記車体揺動ゾーンが構成されている請求項8記載の電着乾燥炉。
  10. 前記車体揺動ゾーンにおける車体の傾斜角度が水平面から20°未満である請求項8または9記載の電着乾燥炉。
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