JP5055913B2 - 固体高分子型燃料電池用電極触媒層及びその製造方法並びに固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Description
散性に異方性を付与させる必要がある。
これまで、電極触媒層のガス拡散性を向上させるため、電極形成後に取り除くことが出来る造孔剤を触媒インクに分散させることで、電極触媒層のガス拡散性を向上させる方法が考案されている。特許文献1には、長手方向に所定の配向性を持つ針状の鉄などを造孔剤として用いる方法が開示されている。電極に対して垂直方向に磁場を印加した環境下で触媒インクを塗布もしくは乾燥させることで、造孔剤の磁化容易軸と磁束が平行に配置した状態で電極が形成するため、電極触媒層に垂直な配向性を持った複数の細孔を形成する方法が考案されている。
造孔剤が触媒インクに分散した状態であれば、個々の造孔剤の磁化容易軸と磁束がそれぞれの位置で平行になるように磁場配向させ、造孔剤の配向を維持したまま、触媒インクの分散溶媒を乾燥させて電極触媒層を形成することで、高分子電解質膜に対して異方性のあるガス拡散性を有した固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法を提供するものである。
るものあれば特に制限はないが、揮発性の液体有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましく、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノ―ル、2−プロパノ―ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノ−ル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノ-ル等の極性溶剤等が使用される。また、これらの溶剤のうち二種以上を混合させたものも使用できる。また、溶剤として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高く、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。プロトン伝導性高分子となじみがよい水が含まれていてもよい。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
、長すぎると成膜レートが遅くなるので、保持時間0.1秒〜1分が好ましい。
《実施例》
〔触媒インクの調整〕
白金担持量が45wt%である白金担持カーボン触媒と造孔剤、市販のプロトン伝導性高分子(ナフィオン)溶液を溶媒中で混合し、遊星型ボールミル(FRITSCH社製 Pulverisette7)で分散処理を行った。造孔剤には、半径0.1μm、長さ1μmの針状の鉄を用いた。ボールミルのポット、ボールにはジルコニア製のものを用いた。出発原料の組成比は白金担持カーボンと造孔剤、ナフィオンは重量比で2:2:1とした。溶媒は水、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ルを体積比で1:1:1とした。また、固形分含有量は10重量%とした。
〔積層体〕
不均一な磁束密度分布を形成する平面状の積層体は、厚みが10mmのアルミ(弱磁性体)を母材に、セパレータの流路部分と同じ形状の1mm厚の鉄(強磁性体)が埋め込まれた積層体を使用した。
〔電極触媒層の作製方法〕
磁場発生装置に磁場強度10テスラを発生する超伝導マグネットを使用し、磁場発生空間内に25℃の水を循環させたガラス二重管を固定した。カーボンペーパーを積層体上に配置し、磁場強度10テスラを印加した状態で、調整した触媒インキを加圧式スプレーで塗布し、乾燥することで電極触媒層を作製した。電極触媒層の厚さは、白金担持量が0.3mg/cm2になるように調節した。造孔剤は、1N硫酸によって取り除き、イオン交換水で複数回洗浄を行った。
《比較例》
〔触媒インクの調整〕
実施例記載と同様の出発原料組成、分散方法で触媒インクを調整した。
〔電極触媒層の作製方法〕
積層体を使用せず、それ以外は全て実施例記載と同様に電極触媒層の作製を行った。
《電解質膜電極接合体作製》
実施例および比較例において作製した電極を5cm2の正方形に打ち抜き、燃料極および空気極とした。プロトン伝導性高分子膜はデュポン株式会社製ナフィオン212を用いた。プロトン伝導性高分子膜をカーボンペーパー上に形成した二つの電極で挟持し、130℃、6.0×106Pa、10分の条件でホットプレスを行い、電解質膜電極接合体を得た。
《評価》
〔発電特性〕
各種膜電極接合体にセパレータを張り合わせ、これを燃料電池測定装置(東陽テクニカ社製GFT−SG1)でセル温度80℃、アノード100%RH、カソード26%RHの条件下、電流電圧測定を行い、最大出力(mW/cm2)を計測した。燃料ガスとして水素を毎分200ml、酸化剤ガスとして酸素を毎分100ml一定に流し、発電特性の評
価を行った。
《測定結果》
磁場強度10テスラを印加した状態で作製した電極触媒層は、最大出力1.5W/cm2と高い値を示した(実施例)。一方、アルミと鉄からなる積層体をしない状態で作製した電極触媒層は、最大出力1.3W/cm2であった(比較例)。従って、実施例で得られた電極触媒層は、最大出力が比較例と比べて増大していることから、高負荷運転でも物質輸送が円滑に行われていることが推察される。
Claims (8)
- 一対の電極触媒層で挟まれたプロトン伝導性高分子電解質膜を、一対のガス拡散層で挟持した固体高分子型燃料電池における、前記電極触媒層の製造方法であって、触媒物質を担持したカーボン粒子と、高分子電解質と、磁気異方性を有し、磁気と相互作用する造孔剤とを分散溶媒に分散させた触媒インクを、平面状の基材上に塗布する工程および前記触媒インク中の分散溶媒を蒸発させる工程から選択された少なくとも1の工程を、磁化率の異なる2の物質を積層した積層体であって、前記2の物質のうち磁化率の高い物質をセパレータの流路の形状に合わせて平面的に配置した積層体に磁場を印加して、前記積層体の磁化率の高い物質に磁力を集中させ、所望の磁束密度分布のある磁場内で行い、磁場によって造孔剤を配向させることで、前記電極触媒層中の直線状に形成された細孔の軸同士が、前記高分子電解質膜に対して連続的に傾斜した配向性を持つことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法。
- 前記磁束密度分布のある磁場を形成する永久磁石もしくは磁場発生装置の最大磁束密度が0.1テスラ以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法。
- 前記分散溶媒に分散させた前記造孔剤を、電極触媒層形成後に前記造孔剤の溶媒によって除去することで、前記電極触媒層の細孔の軸が前記高分子電解質膜に対して連続的に傾斜した配向性を持つことを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法。
- 前記分散溶媒に分散させた前記造孔剤を、発電で発生する水によって除去することで、前記電極触媒層の細孔の軸が前記高分子電解質膜に対して連続的に傾斜した配向性を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法。
- 前記基材の温度が20℃〜120℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法により作製された前記固体高分子型燃料電池用電極触媒層において、電極触媒層の細孔の軸が前記高分子電解質膜に対して連続的に傾斜した配向性を持つことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極触媒層。
- 一対の電極触媒層で挟まれたプロトン伝導性高分子電解質膜を、一対のガス拡散層で挟持した固体高分子型燃料電池において、少なくとも一方の前記電極触媒層が、請求項6に記載の固体高分子型燃料電池用電極触媒層からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
- 前記少なくとも一方の電極触媒層とプロトン伝導性高分子電解質膜の間に、プロトン伝導性高分子からなる層を有することを特徴とする請求項7に記載の固体高分子型燃料電池。
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