JP5054902B2 - AlN半導体の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ハイドライド気相成長法を用いて基板上にAlNを結晶成長させるAlN半導体の製造方法、及びAlN半導体を製造するためのAlN半導体製造装置に関する。
窒化アルミニウム(AlN)は、実用化が見込める半導体のなかで最も広いバンドギャップ(〜6.2eV)を有することから、波長の短い深紫外域での半導体発光素子や各種半導体デバイスとしての応用が期待されている。これまで深紫外域のレーザとしてエキシマレーザやYAGレーザ等が利用されているが、AlNを利用した深紫外レーザダイオードが実現すれば、これらのレーザに比べて高効率化を図ることができ、半導体リソグラフィとしての利用や小型・低価格の汎用精密加工、あるいは医療分野での利用といった広範な用途展開が期待できるほか、記録密度の高い光ストレージ、AlNの高い熱伝導率を活かしたハイパワーの白色LED、高出力・高周波電子デバイス作製のための基板材料など電子デバイス分野でも様々な応用が可能となる。
AlN半導体を結晶成長させる技術としては、窒化アルミニウム原料を成長容器に入れ、この成長容器を高周波誘導加熱等によって加熱して原料部を1900〜2250℃程度の高温に保ちつつ原料の昇華分解を進め、この原料部より低温な箇所に再結合再結晶させてAlN単結晶を育成する昇華法、Al原料を溶かした飽和溶液を冷却しながら、AlN結晶を析出させる溶液成長法(フラックス法)、及びホットウォール(hot wall)方式の石英反応管を用い、この石英反応管の原料部で高純度のAl(固体)とHCl(ガス)を反応させてAlのハロゲン化物(ガス)を生成させ、このAlハロゲン化物を石英反応管の反応部に輸送してNH3ガスと反応させてAlNを気相成長させるハイドライド気相成長(Hydride Vapor Phase Epitaxy, HVPE)法が検討されている(HVPE法については、例えば特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。しかしながら、昇華法及びフラックス法では口径の大きな結晶を得ることが難しく、AlN半導体を工業的な製品やデバイスに応用するには不向きである。
一方で、ハイドライド気相成長法は比較的大口径の結晶が得られ、成長速度も高く厚膜のAlNを得るのに適しているものの、AlとHClとを反応させた際に発生するAlClガスやAlCl2ガスが石英反応管(SiO2)を激しく腐食してしまうため、AlN結晶にSiが不純物として混入してしまうおそれがあり、場合によっては石英反応管を破損させてしまう等の問題を抱える。
このような状況のもと、本発明者らは、上記特許文献1及び非特許文献1に記載するように、ハイドライド気相成長法によるAlNの結晶成長について、石英反応管内の原料部でのAlとHClとの反応を熱力学的に解析してこれまでの問題を解決するに至った。すなわち、図4に示すように、原料部(原料反応部)において反応温度を700℃以下に制御して石英反応管を腐食するおそれのないAlCl3を優先的に発生させ〔下記式(1)〕、このような塩化アルミニウムガスを反応部(成長反応部)に輸送してNH3ガスと反応させてAlNを気相成長させる〔下記式(2)〕ことに成功している。
原料部:Al(s)+3HCl(g)=AlCl3(g)+3/2H2(g) ・・・ ・・・(1)
反応部:AlCl3(g)+NH3(g)=AlN(s)+3HCl(g) ・・・ ・・・(2)
このハイドライド気相成長法を用いたAlN半導体の製造方法については、更なる検討課題を挙げることができる。AlNの成長速度を広範囲に制御するためには、反応部におけるAlCl3ガスの分圧P0 AlCl3を広範囲に制御する必要がある。ハイドライド気相成長法では上記の式(1)の反応により生成したAlCl3ガスを用いる。このために、反応部におけるAlCl3ガスの分圧P0 AlCl3は、次の式(3)に示されるように、原料部に供給するHClガスの分圧P0 HClとHClガスの供給量FLOWHClと反応部における全流量FLOWTotalとにより決定される。
0 AlCl3=1/3・P0 HCl・FLOWHCl/FLOWTotal ・・・ ・・・(3)
しかしながら、P0 HClは使用するHClガスボンベ中のHCl濃度により一義的に決まる。このために、反応部におけるAlCl3ガスの分圧P0 AlCl3の制御はHClガスの供給量FLOWHClで行わなくてはならない。この流量の制御には通常マスフローコントローラと呼ばれる流量制御器が用いられるが、その制御可能な範囲はは使用するマスフローコントローラの制御範囲で決まってしまい、通常はフルスケールの数%以下は制御ができない。そのため、AlNを結晶成長させる上でのAl源の供給が限られた範囲でしか行えないことになり、AlN半導体の制御に制約が生じてしまう。さらには、式(1)での反応はAlCl3の選択的な生成のために700℃以下の低温を用いる必要がある。そのために、高濃度のHCl供給を行うと、式(1)で示される反応が不十分となり未反応のHClガスが式(2)の主反応部に供給されてしまう。この未反応のHClガスが反応部に供給された場合は、式(2)で予想されるように成長速度が遅くなる。
また、上記ハイドライド気相成長法では、反応管内に原料部(原料反応部)と反応部(成長反応部)とを設ける必要があることから、反応装置自体が大規模になってしまう点も改良の余地がある。さらに、原料部に備えた金属Alを定期的に補充する必要があり、この際には反応装置を開放することになり、反応装置全体が水分や酸素等で汚染される原因となる。
ところで、ハイドライド気相成長法を用いたAlN半導体の気相成長においては、AlCl3を直接原料として用いることも考えられるが、これまで入手可能であったAlCl3の純度では、これに含まれる不純物金属によって石英反応管内の汚染を引き起こしてしまって十分に反応が進まなくなる問題や、得られるAlN中にこの不純物金属が混入してしまう問題があった。そのため、これまで、AlCl3を直接原料に用いてAlN半導体を製造したとする報告はされていない。
特開2003−303,774号公報 熊谷義直、纐纈明伯,「ハイドライド気相成長法によるAl系窒化物の高速成長」,社団法人電子情報通信学会 信学技報,ED2004-121、CPM2004-95、LQE2004-59(2004-10),p27−32. Yu-Huai LIU, Tomoaki TANABE, Hideo MIYAKE, Kazumasa HIRAMATSU, Tomohiko SHIBATA, Mutsuhiro TANAKA and Yoshihiko MASA, Japanese Journal of Applied Physics, vol.44, No.17, 2005, pp.L505-L507.
そこで本発明者らは、2インチ径以上の大口径のAlN半導体を製造することができると共に厚膜のAlN半導体を得るのに適した、ハイドライド気相成長法を用いたAlN半導体の製造方法において、従来の方法が抱える種々の検討課題を解決するために鋭意検討した結果、固体の無水塩化アルミニウム(AlCl3)を加熱して昇華又は気化させて得た塩化アルミニウムガスを用いてNH3ガスと直接反応させることによって、上述したような問題を全て解消することができることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、AlN半導体製造の実用化に向けて比較的有利とされるハイドライド気相成長法を用いたAlN半導体の製造方法において、従来の方法より簡便にAlN半導体を製造することができると共に、AlNの成長速度をより広い範囲で制御することが可能であり、尚且つ、不純物の混入のおそれを可及的に排除して、結晶性にも優れたAlN半導体を得ることができるAlN半導体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、AlN半導体を簡便に製造することができると共に、AlNの成長速度の制御が容易に行うことができ、尚且つ、不純物の混入を可及的に排除できるAlN半導体の製造装置を提供することにある。
すなわち、本発明は、無水塩化アルミニウムを加熱して昇華又は気化させて塩化アルミニウムガスを排出させる気化器と、この塩化アルミニウムガスとNH 3 ガスとを反応させる反応管とを備えたAlN半導体製造装置を用いて、塩化アルミニウムガスとNH3ガスとをハイドライド気相成長法により反応させ、基板上にAlNを結晶成長させるAlN半導体の製造方法であって、気化器は、その外周を取り囲むように設けられた温度制御可能な加熱手段と、前記塩化アルミニウムガスを外部に排出するための塩化アルミニウムガス排出管とを有し、反応管は、塩化アルミニウムガスを反応管内部に供給するための塩化アルミニウムガス供給管と、NH 3 ガスを供給するためのNH 3 ガス供給口と、AlNを結晶成長させる基板を保持するための基板保持手段と、反応管内のガスを排出するための排出口とを有して、この反応管の側面を覆う温度制御可能な加熱手段と共に反応装置を構成し、前記塩化アルミニウムガス排出管と塩化アルミニウムガス供給管との間が、塩化アルミニウムガスを輸送するための塩化アルミニウムガス輸送管によりつながれており、これら塩化アルミニウムガス排出管と塩化アルミニウムガス輸送管とが、いずれも温度制御可能な配管加熱手段を備えており、予め加熱して脱水処理した無水塩化アルミニウムを気化器に充填し、次いで、この無水塩化アルミニウムの加熱温度を85〜135℃の範囲で調節して昇華又は気化させてAlNの成長速度を制御することを特徴とするAlN半導体の製造方法である。
本発明においては、Al源として無水塩化アルミニウム(AlCl3)を加熱して昇華又は気化させて得た塩化アルミニウムガスを用い、N源としてはNH3ガスを用いて、下記式(4)に示すようなハイドライド気相成長法による反応により、基板上にAlNを結晶成長させる。
AlCl3(g)+NH3(g)=AlN(s)+3HCl(g) ・・・ ・・・(4)
このうち、基板上にAlNを結晶成長させる反応部における塩化アルミニウムガスの分圧P0 AlCl3については、温度Tに保たれた塩化アルミニウムの蒸気圧P00 AlCl3(T)と、この塩化アルミニウムを輸送するキャリアガスの供給量FLOWAlCl3キャリアと、反応部における全流量FLOWTotalとを用いて、以下の式(5)のように表すことができる。
0 AlCl3=P00 AlCl3(T)・FLOWAlCl3キャリア/FLOWTotal ・・・(5)
ここで、図1に塩化アルミニウムの蒸気圧曲線を示す。実線が二量体〔(AlCl3)2〕の蒸気圧曲線を表し、破線が単量体〔AlCl3〕の蒸気圧曲線を表す。通常、塩化アルミニウムは440℃以下の気体では二量体となっていると考えられるため、本発明において塩化アルミニウムガスと言う場合には単量体と二量体とのいずれの状態をも含むものとする。そして、本発明においては、無水塩化アルミニウムの加熱温度を調節することにより塩化アルミニウムの蒸気圧P00 AlCl3(T)を変えることができ、塩化アルミニウムガスの分圧P0 AlCl3を、FLOWAlCl3キャリアのみならずP00 AlCl3(T)の制御によって幅広い範囲で制御することが可能となる。すなわち、無水塩化アルミニウムの加熱温度を調整することにより、AlNの成長速度を広範囲に制御することが可能となる。
具体的には、無水塩化アルミニウムの加熱温度を50〜180℃、好ましくは70〜150℃、より好ましくは85〜135℃の範囲で調節するのがよい。無水塩化アルミニウムの加熱温度が50℃より低いと、塩化アルミニウムガスの分圧P0 AlCl3が低くなりすぎて十分なAlNの成長速度を確保することができず、反対に180℃より高くなると図1より明らかなように、塩化アルミニウムの蒸気圧P00 AlCl3(T)が1atmに達し、塩化アルミニウムガスの分圧P0 AlCl3の制御が不可能となる。そして、このように無水塩化アルミニウムを加熱する際の加熱温度を調節することによって、塩化アルミニウムガスの分圧P0 AlCl3は、塩化アルミニウムガスのキャリアガス供給量FLOWAlCl3キャリアにもよるが、1×10-6〜1×10-1atmの範囲で幅広く設定することが可能になり、AlNの結晶成長速度を0.1〜1000μm/hの範囲で制御することが可能となる。
また、本発明において用いる無水塩化アルミニウム(AlCl3)については、Alと同じIII族の元素以外の不純物成分を可及的に低減した無水塩化アルミニウムであるのがよく、好ましくはIII族元素以外の不純物成分の合計が0.001重量%以下であるのがよい。III族元素としてガリウム(Ga)、ホウ素(B)及びインジウム(In)等を挙げることができるが、これらの元素が無水塩化アルミニウム中に含まれていて、仮にAlNを結晶成長させる際に混入したとしても、AlN半導体と混晶を形成すると考えられることから、特に積極的な排除は要しない。一方、III族元素以外の不純物成分としては、例えば工業的な無水塩化アルミニウムの製造に用いられるアルミニウム原料に由来するナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、カリウム(K)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)等の不純物金属や、水(H2O)や酸素(O)等の不純物を挙げることができる。上記のようなアルミニウム原料由来の不純物金属がAlNに混入すると、AlNの結晶性(結晶の品質)に悪影響を与えると考えられ、得られたAlN半導体を電子デバイスに用いた際にバンドギャップ、透過率等の光学的特性や、導電性、キャリア密度、移動度等の電気的特性等に影響を及ぼすおそれがある。また、水(H2O)や酸素(O)についても同様に排除が必要である。そのため、III族元素以外の不純物成分の合計が0.001重量%以下である無水塩化アルミニウムを用いるのが好ましい。更に好ましくは、無水塩化アルミニウムの純度が99.999重量%以上である高純度無水塩化アルミニウムであるのがよい。ここで、「無水塩化アルミニウムの純度」とは、III族元素を含めた不純物成分の合計を差し引いて求められる無水塩化アルミニウムの純度であって、通常供される分析法において検出可能な不純物濃度以外は全て純分とみなすという意味である。
本発明において、無水塩化アルミニウムを加熱して塩化アルミニウムガスを昇華させ又は気化させる際には気化器を用いるようにするのが好ましい。気化器については有機金属気相成長法(MOVPE)等において一般的に使用されるものを用いることができ、具体的には、少なくとも収容した無水塩化アルミニウムを昇華又は気化させる温度制御可能な加熱手段と、塩化アルミニウムガスを輸送するキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管と、キャリアガスと共に塩化アルミニウムガスを気化器の外部に排出させる排出管とを備えたものであるのがよい。なお、無水塩化アルミニウムは常温では固体の粉末であって、空気中の水分を吸って加水分解を起こし易いことから、気化器に充填する際には無水塩化アルミニウムが大気と触れないようにグローブボックス内で作業する必要がある。尚、無水塩化アルミニウムを気化器に充填する際には予め120℃程度で0.5〜1時間加熱する脱水処理を行うようにするのがよい。
気化器で昇華又は気化させた塩化アルミニウムガスについては、N2、He、Ar等の不活性ガス、及びH2からなる群より選ばれた1種又はこれらの組み合わせからなるAlCl3キャリアガスを用いて気化器の外部に排出させ、別途供給されるNH3ガスとハイドライド気相成長法により反応させて基板上にAlNを結晶成長させる。ハイドライド気相成長法は有機金属気相成長(MOVPE)法などの他の気相成長法に比べて目的とする結晶の成長速度が速く、使用する原料に炭素を含まないことから高純度の結晶が得られる特徴がある。ハイドライド気相成長法により塩化アルミニウムガスとNH3ガスとを反応させる温度については、AlNが結晶成長する基板上の温度が1000〜1200℃となるようにするのがよい。
塩化アルミニウムガスとNH3ガスとを反応させる際には反応管を用いて行うのがよく、好ましくは石英製の反応管を用いるのがよい。塩化アルミニウムガスとNH3ガスとを反応させるための温度に加熱する手段については特に制限はなく、ホットウォール(hot wall)方式で反応管自体を加熱しながら所定の温度になるようにしてもよく、コールドウォール(cold wall)方式により基板のみを加熱するようにしてもよい。そして、例えば上記反応管については、塩化アルミニウムガスを供給するための塩化アルミニウムガス供給管と、NH3ガスを供給するためのNH3ガス供給口と、AlNを結晶成長させる基板を保持するための基板保持手段と、反応管内のガスを排出するための排出口とを設けるようにし、特にホットウォール方式を採用する場合には反応管の側面を覆うようにした温度制御可能な加熱手段と共に反応管装置を構成するのがよい。
また、本発明におけるNH3ガスについては半導体製造分野において一般的に使用される半導体グレードのものを使用するのがよい。このNH3ガスを反応管内に供給する際にはN2、He、Ar等の不活性ガス、及びH2からなる群より選ばれた1種又はこれらの組み合わせからなるNH3キャリアガスを用いて導入するようにしてもよい。
また、本発明において、AlN半導体を結晶成長させる基板(初期基板)については、気相成長法で一般的に使用されるサファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)基板等を用いることができ、例えばサファイアでは(0001)を、AlN結晶を成長させる結晶成長面として用いることができる。反応管内で塩化アルミニウムガスとNH3ガスとを反応させる際には、NH3ガス供給口より塩化アルミニウムガス供給管の先端がより基板に近い位置になるように配置するのが好ましく、塩化アルミニウムガス供給管の先端と基板の結晶成長面との距離Lが10〜100mmとなるようにするのがよい。また、得られるAlNの成長膜厚の均一化の観点から、好ましくは塩化アルミニウムガス及びNH3ガスの流れに対して基板の結晶成長面を垂直にするのがよい。
本発明によれば、基板上にAlNを結晶成長させてAlN半導体を製造することができるが、このAlN半導体は、必要によりGa、B、In等の元素を任意の比率で混入させて混晶を形成するようにしてもよい。
本発明によれば、塩化アルミニウムガスとNH3ガスとを直接反応させて基板上にAlN半導体を結晶成長させることができるため、これまでのハイドライド気相成長法によるAlN半導体の製造方法、すなわち、高純度の金属Alを石英反応管の原料部にてHClと反応させてAlのハロゲン化物(ガス)を生成させ、このAlハロゲン化物を石英反応管の反応部に輸送してNH3ガスと反応させてAlNを気相成長させる方法で課題であったAlClガスやAlCl2ガスが石英反応管を腐食させる問題を根本的に解決することができる。また、従来の方法でAlCl3を優先的に発生させるために行っていた石英反応管の原料部での厳密な温度制御が不要となり、この原料部も設ける必要がなくなることから、石英反応管に係る装置自体もより簡易化・小型化することができ、その設計の自由度も増す。更には、無水塩化アルミニウム(AlCl3)の加熱温度を調節することにより塩化アルミニウムガスの蒸気圧P00 AlCl3(T)を変化させることができ、幅広い範囲で塩化アルミニウムガスの分圧P0 AlCl3を設定することができ、AlNの成長速度の制御がこれまでより簡便に、かつ、幅広い範囲で選択することができるようになる。
また、本発明の製造方法により得られるAlN半導体は、石英反応管の腐食に伴うSiの混入が防止されるほか、特に、高純度の無水塩化アルミニウム(AlCl3)を昇華又は気化させて得た塩化アルミニウムガスを使用することにより、デバイス特性に特に悪影響をおよぼすと考えられるMg、Na、K、Ca、Cr、Fe、Zn、C、O、H2O等の不純物の混入を可及的に低減することができ、純度が高く、結晶性に優れたAlN半導体である。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
図2は、本発明のAlN半導体の製造方法に用いるAlN半導体製造装置Xを示す。このAlN半導体製造装置Xは、内径60mm×長さ1000mmの横型石英反応管1とこの石英反応管1の外周側面を取り囲むように設けられた温度制御可能な反応管加熱手段7とからなる反応管装置8に、振り分け装置14を介して容積1500cm3の気化器9が接続されてなる。この石英反応管1は、その一端にNH3ガスを供給するためのNH3ガス供給口2と、その内部まで塩化アルミニウムガスを供給するための塩化アルミニウムガス供給管3と、他端側に反応管内部のガスを排出するための排出口4と、反応管内部でAlNを結晶成長させる基板(初期基板)5を保持する基板保持手段6とを備えてなる。気化器9は、その外周を取り囲むように設けられた温度制御可能な気化器加熱手段10によって図示外の供給口から内部に充填された固体の無水塩化アルミニウム(AlCl3)11を加熱できるようにされており、また、その内部にキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管12と、昇華した塩化アルミニウムガスを気化器9の外部に排出するための排出管13とを備えている。そして、これらキャリアガス供給管12及び排出管13の外部に露出した側の一端には、ガスのON−OFF制御が可能なバルブx1、バルブx2がそれぞれ設けられている。
反応管装置8と気化器9とをつなぐ振り分け装置14は、開口部A1、A2、B1、B2、及びB3を有した配管システムから構成されている。このうち開口部A2については気化器9のキャリアガス供給管12の先端とジョイント部15aを介して接続されており、開口部A1から流したキャリアガスが気化器9に供給されるようにキャリアガス配管16が設けられている。開口部B1については気化器9の排出管13の先端とジョイント部15bを介して接続されており、気化器9で昇華した塩化アルミニウムガスをキャリアガスと共に塩化アルミニウムガス輸送管17を介して輸送し、開口部B2が反応管装置8の塩化アルミニウムガス供給管3の一端と接続されて石英反応管1の内部に塩化アルミニウムガスが供給される。また、上記キャリアガス配管16は、開口部A1を入って途中で枝分かれして塩化アルミニウムガス輸送管17にバイパスされると共にその終端には開口部B3が備えられた捨て配管18が設けられている。
また、上記キャリアガス配管16の開口部A2の手前にはバルブx3が、塩化アルミニウムガス輸送管17の開口部B1の手前にはバルブx4が、塩化アルミニウムガス輸送管17の途中であって上記捨て配管18との接続部分より石英反応管1側の位置にはバルブx5が、捨て配管18の途中であってキャリアガス配管16と塩化アルミニウムガス輸送管17とをバイパスする途中にはバルブxが、及び捨て配管18の終端である開口部B3の手前にはバルブx7が、それぞれ設けられており、これらのバルブはいずれもガスのON−OFF制御が可能である。
そして更に、上記振り分け装置14の塩化アルミニウムガス輸送管17と、気化器9の排出管13の露出部分とには、温度制御可能な配管加熱手段19が備えられており、この配管加熱手段19によってこれらの配管の内部の温度が、気化器8によって昇華した塩化アルミニウムガスの温度よりプラス20℃程度となるように設定される。
このようにして構成したAlN半導体製造装置Xの使用方法の一例を示すと、先ず、塩化アルミニウムガスとNH3ガスとの反応を行わない待機状態では、上記バルブx3、x1、x2、及びx4を順次閉じた後、上記バルブx6を開けて開口部A1からキャリアガスを流しながら、バルブx5を開くと同時にバルブx7を閉じて石英反応管1にキャリアガスが流れた状態としておく。実際にAlNを結晶成長させる際には、上記の待機状態からバルブx4、x2、x3、及びx1を順次開いた後、バルブx6を閉じてキャリアガスを気化器9側に供給するようにする。そして、AlNの結晶成長を終了する際には、バルブx6を開き、バルブx3、x1、x2、及びx4を順次閉じてキャリアガスを直接石英反応管1に流し込むようにして、再び待機状態に戻すようにする。ここで、気化器9内に充填した無水塩化アルミニウムの残量が所定の値以下であれば、ジョイント部15a及び15bで気化器9を取り外し、無水塩化アルミニウムを充填して別途用意された新たな気化器9と交換するようにする。新たな気化器9が取り付けられた後には、上記バルブx7を開き、バルブx5を閉じた後、バルブx3及びバルブx4を開いて開口部B3からキャリアガスを排気しながら、気化器9の交換の際に振り分け装置14内に混入したおそれのある空気等を全て取り除くようにする。そして、バルブx3及びx4を閉じてバルブx5を開き、バルブx7を閉じて再び待機状態に戻すようにしておき、AlNの結晶成長を再開する場合には上記と同じ手順を繰り返せばよい。
このようなAlN半導体製造装置Xを用いてAlNを結晶成長させた。上記基板保持手段6の先端には、直径2インチで厚さ400μmのサファイア基板(0001)5が、塩化アルミニウムガス供給管3の先端から距離L=80mmの位置になるように取り付けられている。このサファイア基板5は、その(0001)がNH3ガス及びAlCl3ガスの流れに対して垂直になるように備え付けられており、この(0001)を結晶成長面としてAlNを結晶成長させる。そして、反応管加熱手段7によってこのサファイア基板5上の温度が1200℃となるように設定されている。なお、このサファイア基板5は、石英反応管1内に設置する前にアンモニア水溶液を用いて5分間のエッチング処理を行っている。
一方、気化器9には、表1に示す不純物成分を有するフレーク状の無水塩化アルミニウム400gが大気に触れないように図示外のブローブボックスを用いて充填されており、気化器加熱手段10によって気化器9内の無水塩化アルミニウム11が120℃に加熱されている。なお、この無水塩化アルミニウムは、気化器9に充填する前に予め120℃で1時間加熱する脱水処理を行ったものである。また、振り分け装置14の開口部A1からはキャリアガスとしてN2が供給されており、この振り分け装置14と気化器9の各バルブx17を上記で説明した待機状態からAlNの結晶成長を行える状態にして、気化器9内で昇華した塩化アルミニウムガスを含んだN2キャリアガスをキャリアガス供給量FLOWAlCl3キャリア=3800ml/minで石英反応管1内に輸送し、サファイア基板5にAlNを結晶成長させる反応部での塩化アルミニウムガスの分圧P0 AlCl3が5×10-3atmとなるようにした。
Figure 0005054902
また、石英反応管1のNH3ガス供給口2からは、キャリアガスとしてN2を用いてNH3ガス(太陽日酸株式会社製:スーパーアンモニア)を供給し、このNH3ガスを含んだキャリアガス供給量FLOWNH3キャリアを1500ml/minとして、サファイア基板5にAlNを結晶成長させる反応部でのNH3ガスの分圧P0 NH3を1×10-1atmとなるようにした。このような状況の下、横型石英反応管1内の全圧を1.0atmとして、1時間反応させてサファイア基板5の結晶成長面(0001)にAlNを結晶成長させてAlN半導体を製造した。この反応におけるP0 NH3/P0 AlCl3は20であって、サファイア基板5の結晶成長面に結晶成長したAlNの膜厚は82μm、AlNの成長速度は82μm/hであった。
参考例2〜4、実施例〜8]
実施例1で使用したAlN半導体製造装置Xを用いて、気化器8に入れた無水塩化アルミニウムの加熱温度をそれぞれ50℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、及び130℃に設定した以外は、実施例1と同様にしてサファイア基板5上にAlNを結晶成長させた(参考例2〜4、実施例〜8)。すなわち、参考例2〜4及び実施例〜8では反応部におけるNH3ガスの分圧P0 NH3は1×10-1atmであり、塩化アルミニウムガスの反応部における分圧P0 AlCl3は無水塩化アルミニウムの加熱温度を調節することにより塩化アルミニウムの蒸気圧P00 AlCl3(T)を変化させて、下記表2に示した値にした。その結果、各参考例2〜4及び実施例〜8におけるAlNの結晶成長は表2及び図3に示したとおりであり、また、上記実施例1での結果を含め、無水塩化アルミニウムの加熱温度を調節することによってAlNの成長速度が制御できることが確認された。
Figure 0005054902
[比較例1]
図4は、従来法のハイドライド気相成長法でAlN半導体を製造するための反応管装置20を示す。この従来法に係る反応管装置20は、内径60mm×長さ1500mmの横型石英反応管21と、この横型石英反応管21の長さ方向のおよそ半分の外周面を取り囲むようにしてこの取り囲んだ石英反応管21内の領域を下記所定の温度となるように温度制御して石英反応管21内に原料部を形成せしめる第一加熱手段25aと、上記石英反応管21の残り半分の外周面を取り囲むようにして取り囲んだ石英反応管21内の領域を下記所定の温度となるように加熱制御して反応部を形成せしめる第二加熱手段25bと、横型石英反応管21の一端から設けられてその先端が石英反応管21の反応部に達する位置でNH3ガスを供給するNH3ガス供給管22と、同じく石英反応管21の一端から設けられて石英反応管21の原料部にHClガスを供給するHClガス供給口23と、横型石英反応管21の他端に設けられて石英反応管21内のガスを排出するための排出口24と、石英反応管21の反応部でAlNを結晶成長させる基板(初期基板)27を保持するための基板保持手段26とからなり、この基板保持手段26の先端には、実施例1と同じサファイア(0001)基板27が実施例1と同様に、かつ、NH3ガス供給管22からの距離がL=60mmとなるように取り付けられている。また、石英反応管21の原料部には金属Alを収容するアルミナ製のAlボート28が設置されており、このAlボート28には純度99.9999重量%の金属Al(6NAl)が98g収容されている。
そして、横型石英反応管21内の全圧を1.0atmにして、原料部の温度を550℃にした状態で、HCl供給管13からHClガス(純度99.999重量%)を流量150ml/minで供給した。このHClガスはN2をキャリアガスとして導入した。原料部ではHClガスが金属Alと反応してAlCl3ガスを発生し、このAlCl3ガスは反応部側に輸送される。一方、石英反応管21の反応部では、サファイア基板27の結晶成長面の温度が1180℃に設定されており、原料部で生成した上記AlCl3ガスとNH3供給管22から流量1000ml/minで供給されたNH3ガス(太陽日酸株式会社製:スーパーアンモニア)とが反応して、サファイア基板27上に膜厚60μmのAlNが結晶成長した。なお、原料部におけるHClガスの供給から、サファイア基板27上でAlNの結晶成長を停止させるまでの反応時間は1.5時間であり、AlNの成長速度は40μm/hであった。
[比較例2]
HClガスの流量を10ml/minにした以外は比較例1と同様にして膜厚3.7μmのAlNを結晶成長させてAlN半導体を製造した。
[AlNのX線回折]
上記実施例1でサファイア基板上に成長させたAlN膜について、X線回折で結晶構造を分析した結果を図5に示す。測定にはスペクトリス社製X'pertMRDを使用し、測定条件は45kV、40mAとした。得られた回折ピークは、AlN(0002)のFWHM(半値幅)もチルト角が15arcminと狭く、また(000n)以外の回折ピークがないことから、本発明の製造方法によりAlNエピタキシャル膜が成長できていることが確認できる。
[AlNの紫外線吸収スペクトル]
実施例1で得られたAlNの紫外線吸収スペクトルを図6に示す。測定には日本分光社製V-7300型紫外可視近赤外分光光度計を使用した。これより、6.1eV付近から急峻な吸収が始まっており、AlNが成長していることが確認できる。
[TOF−SIMSによるAlNの分析]
実施例5で得たAlNと比較例1で得たAlN膜について、飛行時間型二次イオン質量分析計(Time of flight SIMS:TOF-SIMS)を用いてそれぞれのAlN膜中に存在する不純物分析を行った。このTOF−SIMSは、極表面(表面から10nm程度)に存在する微量成分の元素を定性分析することができることから、本発明におけるAlN半導体の製造方法で得たAlNと従来の方法(比較例1)で得たAlNとの不純物混入の程度を比較するのに適している。使用した機器はTRIFT III(Physical Electronics社製)であり、分析条件は次の通りである。一次イオン:Ga+,Cs+、加速電圧:15kV、電流:600pA(DCとして)、スパッタ面積:300μm×300μm、スパッタ時間:1min、分析面積:200μm×200μm、積算時間:3min、及び検出イオン:正イオン、の各条件であり、また、分析はAlNの最表面からCsイオンで1分間スパッタしてから行った。
図7〜図11は、Si、Mg、Na、Ca、及びKの各元素の質量付近の正イオン検出拡大スペクトルである。これら図7〜図11のうち、それぞれ上段の(A)は比較例1で得たAlN、下段の(B)は実施例5で得たAlNについての結果を示す。また、これらの元素以外の分析結果を含めたものを表3にまとめて示す。この表3は、Gaイオンでスパッタ及び分析したピーク強度で、各元素のピーク強度とマトリックスのAlの強度で規格化して求めた規格化ピーク強度を示す。尚、表中の「M/Z」は質量数を表す。
図7〜図11及び表3から明らかなように、比較例1で得たAlN膜からはSi、Mg、Na、Ca、及びKが検出されたが、実施例5で得たAlN膜からはこれらの元素はほとんど検出されなかった。また、表4は、Csイオンでスパッタ及び分析した場合のAl及びGaの分析結果を示す。この表4から、実施例5で得られたAlNでは比較例1のAlNよりGaの検出量が1/4であることが分かる。
Figure 0005054902
Figure 0005054902
[D−SIMSによるAlNの分析]
参考例3で得たAlNと比較例2で得たAlNについて、D−SIMS(Dynamic-SIMS)によりそれぞれのAlN膜中に存在する不純物分析を行った。使用した装置はATOMICA社製ATOMICA SIMS4100であり、測定条件は以下の通りとした。一次イオン種:Cs(superscript:+)、一次加速電圧:7kV、ビーム電流:83nA、スキャン幅:150μm、検出イオン:(superscript:12)C(superscript:+)、(superscript:18)O(superscript:+)、(superscript:28)Si(superscript:+)、(superscript:55)AlN(subscript:2)(superscript:+)、(superscript:81)Al(subscript:3)(superscript:+)、の各条件である。図12に参考例3のAlNから得たプロファイルを示し、図13に比較例2のAlNから得たプロファイルを示す。図12及び図13ともに、縦軸は二次イオン信号強度を示し、横軸はAlN膜の表面からの深さを表し、AlN膜の最表面を0μmとした。この横軸については、スパッタ痕の深さを表面粗さ計で計測し、AlN膜の表面から深さ方向にサファイア基板までCsイオンでスパッタした時間をもとに深さに換算したものである。また、分析元素の量比較のため、サファイア基板中の(superscript:18)O強度で規格化を行なっている。両者を比較するとO、C、Siのいずれの強度も参考例3で得たAlNの方が少ないことが分かり、本発明における製造方法の方が従来法よりも優れていることが確認された。
本発明によれば、無水塩化アルミニウム(AlCl3)を昇華させて得た塩化アルミニウムガスとNH3ガスとを直接反応させてAlN半導体を製造することができることから、この反応に用いる石英反応管に係る装置自体を小型化・簡略化することができると共に、AlNの結晶成長の制御も自在にかつ容易に行うことができるため、ハイドライド気相成長法による利点を活かして大口径のAlN半導体を得ることができ、AlN半導体の製造方法として工業上の応用に向けて極めて有効な発明である。
また、本発明により得られるAlN半導体は、不純物の混入が可及的に排除され、特に、デバイス特性に悪影響をおよぼすとされる元素の混入を防止することができるため、汎用精密加工や医療分野等の広範な用途展開が期待できる高効率の深紫外レーザダイオード、記録密度の高い光ストレージ、AlNの高い熱伝導率を活かしたハイパワーの白色LED、高出力・高周波電子デバイス作製のための基板材料等の様々な応用が期待できる。
図1は、塩化アルミニウムの蒸気圧曲線を示す。 図2は、本発明のAlN半導体製造装置の断面説明図である。 図3は、無水塩化アルミニウムの加熱温度とAlNの成長速度との関係を示す。 図4は、ハイドライド気相成長法によりAlN半導体を製造する従来法の反応管装置の断面説明図である。 図5は、実施例1においてサファイア基板上に成長させたAlNのX線回折の回折パターンである。 図6は、実施例1で得られたAlNの紫外線吸収スペクトルを示す。 図7は、TOF−SIMSによる分析によって得られたSiの質量付近の正イオン検出拡大スペクトルである。上段(A)は比較例1で得たAlN、下段(B)は実施例5で得たAlNについて分析した結果である。 図8は、TOF−SIMSによる分析によって得られたMgの質量付近の正イオン検出拡大スペクトルである。上段(A)は比較例1で得たAlN、下段(B)は実施例5で得たAlNについて分析した結果である。 図9は、TOF−SIMSによる分析によって得られたNaの質量付近の正イオン検出拡大スペクトルである。上段(A)は比較例1で得たAlN、下段(B)は実施例5で得たAlNについて分析した結果である。 図10は、TOF−SIMSによる分析によって得られたCaの質量付近の正イオン検出拡大スペクトルである。上段(A)は比較例1で得たAlN、下段(B)は実施例5で得たAlNについて分析した結果である。 図11は、TOF−SIMSによる分析によって得られたKの質量付近の正イオン検出拡大スペクトルである。上段(A)は比較例1で得たAlN、下段(B)は実施例5で得たAlNについて分析した結果である。 図12は、参考例3で得たAlNのD−SIMSのプロファイルである。 図13は、比較例2で得たAlNのD−SIMSのプロファイルである。
符号の説明
X:AlN半導体製造装置、1:横型石英反応管、2:NH3ガス供給口、3:塩化アルミニウムガス供給管、4:排出口、5:サファイア基板、6:基板保持手段、7:反応管加熱手段、8:反応管装置、9:気化器、10:気化器加熱手段、11:無水塩化アルミニウム(AlCl3)、12:キャリアガス供給管、13:排出管、14:振り分け装置、15a,15b:ジョイント部、16:キャリアガス配管、17:塩化アルミニウムガス輸送管、18:捨て配管、19:配管加熱手段、20:反応管装置、21:横型石英反応管、22:NH3ガス供給管、23:HClガス供給口、24:排出口、25a:第一加熱手段、25b:第二加熱手段、26:基板保持手段、27:サファイア基板、28:Alボート、A1,A2,B1,B2,B3:開口部、x1,x2,x3,x4,x5,x6,x7:バルブ。

Claims (1)

  1. 無水塩化アルミニウムを加熱して昇華又は気化させて塩化アルミニウムガスを排出させる気化器と、この塩化アルミニウムガスとNH 3 ガスとを反応させる反応管とを備えたAlN半導体製造装置を用いて、塩化アルミニウムガスとNH3ガスとをハイドライド気相成長法により反応させ、基板上にAlNを結晶成長させるAlN半導体の製造方法であって、気化器は、その外周を取り囲むように設けられた温度制御可能な加熱手段と、前記塩化アルミニウムガスを外部に排出するための塩化アルミニウムガス排出管とを有し、反応管は、塩化アルミニウムガスを反応管内部に供給するための塩化アルミニウムガス供給管と、NH 3 ガスを供給するためのNH 3 ガス供給口と、AlNを結晶成長させる基板を保持するための基板保持手段と、反応管内のガスを排出するための排出口とを有して、この反応管の側面を覆う温度制御可能な加熱手段と共に反応装置を構成し、前記塩化アルミニウムガス排出管と塩化アルミニウムガス供給管との間が、塩化アルミニウムガスを輸送するための塩化アルミニウムガス輸送管によりつながれており、これら塩化アルミニウムガス排出管と塩化アルミニウムガス輸送管とが、いずれも温度制御可能な配管加熱手段を備えており、予め加熱して脱水処理した無水塩化アルミニウムを気化器に充填し、次いで、この無水塩化アルミニウムの加熱温度を85〜135℃の範囲で調節して昇華又は気化させてAlNの成長速度を制御することを特徴とするAlN半導体の製造方法。
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