以下、本発明の止着テープ、その製造方法及び製造装置、並びにテープ型おむつを実施するための最良の形態について、具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える止着テープ、その製造方法及び製造装置、並びにテープ型おむつを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において「テープ型おむつ」とは、図1に示すテープ型おむつ1のように、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、後身頃6を前身頃2に対して固定するための止着テープ10を更に備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
[1]止着テープ:
まず、本発明の止着テープの一の実施形態について説明する。本発明の止着テープは、図1〜図4に示される止着テープ10のように、おむつの前身頃2と後身頃6とを固定するために用いられ、基材48と、この基材48の表面に付設されたメカニカルファスナーのフック材44とを備え、フック材44のそれぞれの端部44aには、フック材44の表面側から基材48側に向けて所定の幅で押圧された帯状の凹部60が形成されている。
上記した凹部60は、押圧深さの深い深凹部62と、深凹部62よりも押圧深さが浅い浅凹部64とが、所定の繰り返しパターンを有するように配列して構成されている。
このような本発明の止着テープは、基材とフック材とが剥がれ難く、且つ、基材とフック材との接合部分に反りや波打ちが生じ難く、例えば、おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いた場合には、おむつの装着感を向上させることができる。
ここで、図1は、本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す一部切り欠き断面図であり、テープ型おむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。図2は、本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す拡大図であり、図1に示すテープ型おむつの止着テープ部分を拡大して示す図である。図3は、図2示す止着テープのフック材が付設された部位を更に拡大した拡大図である。図4は、図3に示す止着テープをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
上記した凹部は、フック材の表面側が圧縮されて、上記所定の繰り返しパターンが形成されたものであれば、例えば、フック材と基材とを圧力をかけて単に圧着させたものであってもよいし、圧力とともに熱を加えてフック材と基材とを融着させたものであってもよい。即ち、上記フック材は、接着剤等によって基材に接合され、更にフック材の両端部を押圧して上記凹部が形成されたものであってもよいし、また、接着剤等によってフック材と基材とが接合又は仮接合されるとともに、フック材の両端部が更にヒートシールや超音波溶着によって凹部の形成とともに再度接合されたものであってもよい。
上記フック材を接合する接着剤としては、例えば、従来公知のホットメルト接着剤等を挙げることができる。
本発明の止着テープ10は、図1〜図3に示すように、凹部60を構成する深凹部62及び浅凹部64のそれぞれが、凹部60形成時における押圧によって、フック材44の止着力をそれぞれ喪失したものであることが好ましい。
このように構成することによって、深凹部62及び浅凹部64(即ち、凹部60全体)によって、フック材44の両端部に所定の幅の非止着部位(止着力を喪失した部位)を形成することができ、基材48からフック材44がより脱離し難くなる。
即ち、フック材44を接合する際には、上記した両端部における非止着部位の幅が広いほど、フック材44の接合強度(ピール強度)を高くすることができる。このため、深凹部62及び浅凹部64が止着力を喪失したものとすることによって、フック材44に反りや波打ちを生じ難くさせつつ、フック材44の接合強度を向上させることが可能となる。
更に、このように構成することによって、例えば、止着テープ10の先端部分が内側に向けて折れ曲がってフック材44に係合してしまった場合であっても、止着テープ10の先端部分を摘み易くして、係合した止着テープ10の先端部分をフック材44から簡単に引き剥がすことができる。
例えば、フック材が、メカニカルファスナーのような複数の突起(以下、ピンともいう)を有するものである場合には、上記ピンが押圧され塑性変形して凹部が形成されていることが好ましい。なお、特に限定されることはないが、本発明の止着テープにおいて、上述したように、凹部の浅凹部が止着力を喪失したものである場合には、フック材を構成するピンの突端から根元までの長さ(L)に対する、深凹部の押圧深さ(H1)と浅凹部の押圧深さ(H2)との差(H1−H2)の割合((H1−H2)/L)が、0.1〜0.8であることが好ましく、0.15〜0.75であることが更に好ましく、0.2〜0.5であることが特に好ましい。なお、上記「ピンの突端から根元までの長さ」とは、ピンの突端に対して応力が加えられておらず、且つ前記ピンが塑性変形していない状態(即ち、押圧前の状態)におけるピンの長さのことをいう。また、「押圧深さ」とは、押圧前の状態におけるピンの突端から、押圧によって塑性変形した凹部の表面(底面)までの距離をいう。
このように、上記割合((H1−H2)/L)を0.8以下とすることにより、浅凹部におけるフック材を構成するピンの形状が保持されず、肌に当たった際に痛みを感じなくすることができる。一方、上記割合((H1−H2)/L)を0.1以上とすることにより、フック材の反りや波打ちを有効に防止することができる。
凹部は、接合したフック材の剥がれ難さ、また製造上の簡便さ等から、一定幅の帯状に形成されたものであることが好ましい。また、この凹部の幅については特に制限はないが、上記したように、浅凹部が止着力を喪失したものである場合には、フック材自体の幅や大きさによっても異なるが、帯状に形成された凹部の幅が、1〜9mmであることが好ましく、2〜8mmであることが更に好ましく、3〜7mmであることが特に好ましい。
このように構成することによって、フック材に十分な止着力を残すことができる。また、押圧をヒートシールや超音波溶着によって行う場合には、ヒートシール等による十分な接合強度を発現させることができる。
なお、特に限定されることはないが、例えば、上記凹部は、フック材のそれぞれの端部から、フック材を付設した基材側にはみ出すように形成されていてもよい。このように構成することによって、フック材と基材とが凹部、特に深凹部によって押圧されるため、フック材と基材との接着力を更に向上させることが可能となる。なお、このような場合には、フック材の深凹部が、基材の表面側にまで達する深さまで押圧されて形成されていることが好ましい。
なお、本発明の止着テープは、上記凹部が、深凹部と浅凹部とから構成されていれば、例えば、浅凹部がフック材の止着力を喪失せずに有していてもよい。このように構成することによって、浅凹部についてもフロントパッチ等の被止着部位に止着させることができ、フック材の広い範囲を用いて止着させることができる。
また、例えば、ヒートシールや超音波溶着によって接合を行った場合には、例えば、フック材と基材との熱による収縮率の差によって生じる反りや波打ちは、押圧深さが浅く、フック材と基材との接合時における自由度の高い浅凹部によって緩和され、反りや波打ち、しわ等の発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明の止着テープ10は、帯状の凹部60における上記繰り返しパターンによって接合部分の強度に差異が生じており、凹部60の一部(例えば、いずれかの端縁)が剥がれてしまうようなことがあっても、その剥がれが凹部60全体にまで及ぶという事態を有効に回避することが可能となる。
なお、このような止着テープの凹部は、例えば、フック材の表面側を押圧するパターンロールとして、深凹部と浅凹部との配列パターンに対応した凸部が押圧面に形成されたパターンロールを用いることによって形成することができる。
具体的なパターンロールの構成としては、例えば、その押圧面に、深凹部の配列パターンに対応した高凸部(深凹部の反転形状)と、浅凹部の配列パターンに対応した低凸部(浅凹部の反転形状)とから構成された凸部が形成されたものを挙げることができる。このようなパターンロールを用いることによって、上記高凸部によって深凹部が形成され、低凸部によって浅凹部が形成される。
また、止着テープの凹部の形成を超音波溶着によって行う場合には、超音波溶着用の超音波ホーンと超音波ホーンの受け台としての受けロールとのうちの一方の押圧面に、深凹部に対応した高凸部と、浅凹部に対応した低凸部とから構成された凸部が形成されたものを用いることが好ましい。なお、通常、超音波ホーンの押圧面はプレーン面とした方が好ましいため、超音波ホーンの受けロールの押圧面に上記凸部を形成することがより好ましい。このような場合には、超音波ホーンを基材の裏面側に配置し、また、超音波ホーンの受けロールをフック材の表面側に配置して超音波溶着を行う。押圧面に凸部を形成した超音波ホーンの受けロールとしては、例えば、上述したパターンロールと同様に構成されたものを好適に用いることができる。また、超音波ホーンとしては、ロール状の超音波ホーンを用いることもできるし、ロール状ではない固定式等の超音波ホーンを用いることもできる。
図3及び図4に示すように、止着テープ10を構成する基材48の裏面については、フック材48表面の押圧の凹凸が出現しておらず、平面状に構成されていることが好ましい。
基材の裏面のみを平面状にする場合には、基材とフック材とを押圧する際に、例えば、フック材の表面側を押圧するパターンロールとして、深凹部と浅凹部との配列パターンに対応した凸部を有するパターンロールを用い、且つ、基材の裏面側を押圧するロールとして、その表面が平坦なプレーンロールを用いればよい。
また、本発明の止着テープにおいては、この基材の裏面に、上記フック材に止着可能なループ材(以下、「裏面側ループ材」ということがある)が付設されていてもよい。
この裏面側ループ材は、フック材が付設された基材の裏面側に、上記凹部を形成した後に接合されたものであることが好ましい。上記裏面側ループ材は、ホットメルト接着剤等を用いて接合することができる。
このように構成することによって、例えば、図5に示すように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、本発明の止着テープ10x,10yが2個ずつ配置されたテープ型おむつ1とした場合に、各側縁6a,6bにおける一方の止着テープ10xをフロントパッチ12に止着し、他方の止着テープ10yを、フロントパッチ12に止着した一方の止着テープ10xの裏面の裏面側ループ材に対して止着させることもできる。
このような止着テープは、着用者の体型、具体的には、ウエスト周り、脚周りの寸法に合わせてテープ位置、締め付け具合を調節できるという点で優れている。
ここで、図5に示すテープ型おむつ1は、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、本発明の止着テープ10が2個ずつ配置されたものである(止着テープ10x,10y)。
例えば、基材の裏面、又は基材の裏面に裏面側ループ材を付設した場合には裏面側ループ材の表面に、フック材の凹部に対応した凹凸が出現していると、一の止着テープの裏面に他の止着テープを止着させた場合に、上記凹凸によって十分な止着力が得られず、他の止着テープが外れ易くなってしまうことがある。
また、本発明の止着テープにおいては、深凹部の総面積S1と浅凹部の総面積S2との総和面積(S1+S2)に対する、上記深凹部の総面積S1の割合(S1/(S1+S2))が、0.4〜0.9であることが好ましく、0.5〜0.8であることが更に好ましく、0.6〜0.7であることが特に好ましい。
このように構成することによって、フック材と基材との十分な接合強度を保ちつつ、フック材の反りや波打ちを有効に抑制することができる。
凹部を構成する深凹部と浅凹部との配列パターンについては特に制限はなく、一定の繰り返しパターンを有するものであればよい。例えば、図3に示すようなストライプ状のもの以外に、図6〜図10に示すような形状を挙げることができる。
なお、図3は、帯状の凹部60に、斜め縞状に深凹部62と浅凹部64とが繰り返し形成された止着テープ10の例を示し、図6は、帯状の凹部60aにフィッシュボーン状(魚の骨状)の浅凹部64aが形成され、この凹部60aの他の部位が深凹部62aとなる止着テープ10aの例を示している。
また、図7は、帯状の凹部60bに、ドット状の浅凹部64bが形成され、凹部60bの他の部位が深凹部62bとなる止着テープ10bの例を示し、図8は、横縞状、即ち、帯状の凹部60cに、帯状の凹部の一方の側縁側から他方の側縁側にかけて凹部の長手方向に垂直となるよう配列された深凹部62cと浅凹部64cとが、凹部の長手方向に交互に形成された止着テープ10cの例を示している。
更に、図9は、帯状の凹部60dに、V字状の深凹部62dと浅凹部64dとが、凹部の長手方向に交互に形成された止着テープ10dの例を示し、図10は、帯状の凹部60eに、十字状の浅凹部64eが形成され、この凹部60eの他の部位が深凹部62eとなる止着テープ10eの例を示している。
深凹部と浅凹部とが、上記図6〜図10に示すような形状の繰り返しパターンを有するように配列されたものであっても、図3に示す止着テープと同様の効果を得ることができる。
なお、この止着テープは、それぞれの深凹部と浅凹部とが、帯状の凹部の一方の側縁側から他方の側縁側にかけて、凹部の長手軸に対して交差するような形状のものであることが好ましい。更に、図3に示す止着テープのように、帯状の凹部の長手軸に対して、深凹部と浅凹部とが斜めに配列されるような繰り返しパターンを有するように構成されていることがより好ましい。即ち、深凹部と浅凹部とが、帯状の凹部の長手軸に対して斜め縞状の繰り返しパターンを有するように構成されていることが好ましい。
このように構成することによって、例えば、凹部を形成する際に使用するパターンロール等の押圧面に、フック材の押圧時に発生するゴミやカスが挟まり難くなり、止着テープの生産性が向上する。また、上記パターンロール等の押圧面にゴミが挟まってしまった場合にも容易に取り除くことができる。
また、このように深凹部と浅凹部との少なくとも一方が、帯状の凹部の軸方向に対して、斜めに配列されるような繰り返しパターンを有する場合には、フック材の基材からの脱離を抑制する効果も期待することができる。
なお、本発明の止着テープにおいては、上記したように深凹部と浅凹部との少なくとも一方が斜めに配列されるような繰り返しパターンを有する場合に、例えば、図11に示す止着テープ10fのように、斜めに配列された繰り返しパターンが、フック材44の一方の端部側の凹部60fと、他方の端部側の凹部60fとで、パターンの向きが逆向き(即ち、斜めの向きが逆向き)になるように構成されていることが特に好ましい。このように構成することによって、フック材に、反りや波打ち、しわ等がより発生し難くなる。
また、本発明の止着テープにおいては、フック材の両端部に形成された凹部とは別に、フック材の中央部分の一部に、他の凹部(以下、「中央凹部」ということがある)が形成されていてもよい。
このような中央凹部が形成された止着テープとしては、例えば、図12に示すような、フック材44の中央部分の一部が、帯状の凹部60fと平行に所定の間隔でドット状に押圧された中央凹部61aが形成された止着テープ10gや、図13に示すように、フック材44の中央部分の一部が、帯状の凹部60fと平行に所定の幅で押圧された中央凹部61bが形成された止着テープ10hを挙げることができる。
上記中央凹部を形成することによって、フック材の中央部分の浮き、反り、波打ち等を有効に防止することができる。
なお、この中央凹部の形状については特に制限はないが、例えば、図12に示すような、帯状の凹部60fと平行に、所定の間隔でドット状に二列、千鳥状に押圧された中央凹部61aを好適例として挙げることができる。このように構成することによって、フック材44の中央部分の止着力を大幅に低下させることなく、上述した中央凹部61aによる効果を効率的に発現させることができる。
この中央凹部の押圧深さについては特に制限はないが、中央凹部によって、フック材の中央部分を基材と圧着させることができる程度の押圧力によって押圧されたものであることが好ましい。具体的には、浅凹部の押圧深さから深凹部の押圧深さまでの押圧深さであることが好ましく、深凹部の押圧深さと同程度の押圧深さであることが更に好ましい。
「フック材」とは、メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)の凸部材であり、凹部材であるループ材との機械的結合により固定を行うことができるものである。このフック材は基材の表面に付設される。「フック材」としては、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成されたものが用いられる。
一方、「ループ」としては、表面にループ状の繊維が配置されたもの等が用いられることが多い。このファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を剥離可能な状態に、且つ、強固に固着させることができる。
例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、止着テープ10の基材48にメカニカルファスナーのフック材44が付設されている。一方、前身頃2には、メカニカルファスナーのループ材52からなるフロントパッチ12が配置されており、フック材44を固定することが可能なように構成されている。
このような構成によって、おむつの後身頃6を前身頃2に対して固定することができ、おむつを着用者に装着させることが可能となる。図5は、図1に示すテープ型おむつ1の使用状態を示す図であり、止着テープ10を用いて、テープ型おむつ1を着用者に装着させた状態を示すものである。
なお、このようなフック材は、押圧によって圧縮されて上記したような特定の繰り返しパターンを形成することが可能なものであれば、特に制限はないが、その素材としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(いわゆるナイロン)、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いることができる。特に、ポリエチレンやポリプロピレンを好適に用いることができる。このような素材は、凹部の形成時に、例えば、加熱されたパターンロールを用いることによって、凹部の形成と、ヒートシールによる基材への接合とを同時に行うことが可能となる。
「基材」は、フック材を付設し、且つ止着テープ10を後身頃6の左右の各側縁6a,6bに固定することによって、止着テープ10の本体として機能するものである。
この基材の素材としては、スパンボンド、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)、カードエンボス、レジンボンド等の各種不織布からなるシート材を用いることができる。強度の面を考慮すると、スパンボンド不織布からなるシート材を用いることが好ましい。
不織布の構成材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(いわゆるナイロン)、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を挙げることができる。この場合、合成繊維は単繊維であってもよいし、芯鞘構造等を有する複合繊維であってもよい。一般に、単繊維を使用する場合は、ポリオレフィンが多く用いられるが、強度の面を考慮するとポリエステルを用いることも好ましい。
また、基材の素材として、複数の不織布やフィルムを積層した積層体を用いることもできる。フィルムの積層体を用いる場合には、フック材を配置する面と反対側の面に、フック材と係合し易い不織布又はループ材(裏面側ループ材)を配置すると、図5に示すように、一の止着テープ10xの裏面側に、他の止着テープ10yを止着させることができる。
[2]止着テープの製造方法:
次に、本発明の止着テープの製造方法の一の実施形態について説明する。本発明の止着テープの製造方法は、長尺基材シートの一方の面に、その長尺基材シートの長手方向に沿って帯状の長尺フック材を載置して長尺シート積層体を得るシート積層工程と、得られた長尺シート積層体の長尺フック材の両側縁部を、長尺フック材の表面側から長尺基材シート側に向けて所定の幅で押圧して凹部を形成する凹部形成工程と、凹部を形成した長尺シート積層体を、所定の幅で切り離すことにより複数の止着テープを得る止着テープ切離工程と、を備え、凹部形成工程において、上記凹部を、押圧深さの深い深凹部と、その深凹部よりも押圧深さが浅い浅凹部とが、所定の繰り返しパターンを有するように形成するものである。
このように構成することによって、これまでに説明した本発明の止着テープを簡便且つ低コストに製造することができる。
以下、図14に示す止着テープ製造装置を用いて止着テープを製造する例について、各工程毎に更に具体的に説明する。ここで、図14は、本発明の止着テープの製造方法に用いられる止着テープ製造装置の構成を模式的に示す説明図であり、図15は、図14に示す止着テープ製造装置のBに示す部分(シート押圧部近傍)を拡大して示す一部概略斜視図である。
[2−1]シート積層工程:
本発明の止着テープを製造する際には、まず、図14に示すように、長尺基材シート78を用意し、この長尺基材シート78の一方の面に、長尺基材シート78の長手方向に沿って帯状の長尺フック材74を載置して長尺シート積層体71を得る。
長尺シート積層体71を形成する場合には、図14に示すように、長尺基材シート78と長尺フック材74と予め接着剤92によって接合、又は仮接合することが好ましい。図14に示す止着テープ製造装置90においては、接着剤塗布手段94によって、長尺フック材74の裏面に接着剤92を塗布し、接着剤92が塗布された裏面を長尺基材シート78に重ね合わせて長尺シート積層体71を形成している。
[2−2]凹部形成工程:
次に、図14及び図15に示すように、得られた長尺シート積層体71の長尺フック材74の両側縁部74aを、長尺フック材74の表面側から長尺基材シート78側に向けて所定の幅で押圧して凹部80を形成する(凹部形成工程)。
上記した凹部80は、例えば、図17及び図18に示すような、その押圧面に凹部の形状に対応した凸部99が形成されたパターンロール98を用いて形成することができる。即ち、このパターンロール98の押圧面の凸部99は、突出高さの高い高凸部99aと、高凸部99aよりも突出高さの低い低凸部99bとが、所定の繰り返しパターンを有するように配列して構成されたものである。ここで、図17は、凹部の形成に用いられるパターンロールの構成を模式的に示す平面図であり、図18は、図17に示すパターンロールのCに示す部分を拡大して示す一部平面図である。
このようなパターンロール98は、その押圧面の両側に上記凸部99が形成され、パターンロール98の押圧面の中央部分の少なくとも一部には突出部分(凸部)が形成されていない。この突出部分が形成されていない領域では、長尺フック材74を構成するピンの押し潰しが行われないため、長尺フック材74の中央部分に止着力を喪失していない止着領域を確保することができる。
なお、図14及び図15に示すように、凹部形成工程においては、長尺基材シート78の裏面側を押圧するロールとして、長尺基材シート78との接触面が平坦なプレーンロール100を用いることが好ましい。
凹部形成工程において長尺基材シート78と長尺フック材74との接合を行う場合には、パターンロール98とプレーンロール100とを加熱させて、長尺基材シート78と長尺フック材74とをヒートシールする。
一方、長尺基材シート78と長尺フック材74との接合を既に行っている場合には、パターンロール98とプレーンロール100とを必ずしも加熱させる必要はなく、単にパターンロール98によって長尺フック材74の両側縁部74aを圧縮して所定の繰り返しパターンの凹部80を形成することもできる。
また、本発明の製造方法においては、例えば、図16に示すように、超音波溶着用の超音波ホーン96と超音波ホーンの受けロールを有し、超音波ホーン96と受けロールとのうちの一方の押圧面に、深凹部に対応した高凸部と、浅凹部に対応した低凸部とから構成された凸部が形成された押圧手段95によって、凹部の形成を行ってもよい。なお、図16に示す止着テープ製造装置90aにおいては、超音波ホーンの受けロールとして、その押圧面に凸部が形成されたパターンロール98を用いている。ここで、図16は、本発明の止着テープの製造方法に用いられる止着テープ製造装置の他の構成を模式的に示す説明図である。
なお、本発明の製造方法においては、上記したように一対の押圧用のロールや超音波ホーンとその受けロール等によって、深凹部と浅凹部とを同時に形成するのではなく、深凹部と浅凹部とを別々に形成することもできる。
具体的には、例えば、まず、長尺フック材の両側縁部を、浅凹部の深さで一定幅に押圧し、その後、深凹部に対応する部位を、浅凹部よりも更に深い押圧深さで押圧して、深凹部と浅凹部とから成る繰り返しパターンを形成してもよい。
また、この凹部形成工程においては、長尺フック材74の両側縁部74aに形成された凹部80とは別に、長尺フック材の長手方向中央部分の一部に、他の凹部(中央凹部81)を形成してもよい。
このような中央凹部を形成する場合には、図17及び図18に示すように、パターンロール98として、上記凸部99とは別に、中央凹部81の形成パターンに対応した中央凸部101が形成されたパターンロール98を用いればよい。このように構成することによって、長尺フック材74の両側縁部74aの凹部80と、中央部分の中央凹部81とを同時に形成することができる。
なお、凹部形成工程において使用するパターンロール98が、上記したように凸部99と中央凸部101とを有する場合には、凸部99と中央凸部101との間の非突出部分、及び、中央凸部101が、凸部99に平行に二列以上の突出部分を有する場合には、これらの中央凸部101の相互間の非突出部分によって、止着力を喪失していない止着領域を確保することができる。
なお、このパターンロール98は、中央部分で分割され、両側の凸部99の間隔を調整可能に構成されていることが好ましい。このように構成することによって、長尺フック材の幅に合わせて、パターンロール98の幅を調整することができ、長尺フック材に形成する凹部位置の微調整や、幅の異なる長尺フック材に応じて、凸部99の位置を調節することが可能となる。
なお、この中央凸部は、長尺フック材の両側縁の凹部と必ずしも同時に形成する必要はなく、凹部の形成前、又は凹部を形成した後に、別のパターンロールを用いて中央凸部を形成してもよい。また、この中央凸部は、超音波溶着によって形成することもできる。
[2−3]止着テープ切離工程:
次に、凹部を形成した長尺シート積層体を、所定の幅で切り離すことにより複数の止着テープを得る(止着テープ切離工程)。上記のような方法によれば、多数の止着テープを簡便に効率よく製造することが可能となる。
この止着テープ切離工程は、例えば、図15に示すように、長尺シート積層体71を、切断の軌跡が長尺シート積層体71の長手方向に沿ってS字カーブを描くように切断して2枚の止着テープ中間体72を得、得られた各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことによって、複数の止着テープ10を得る方法を挙げることができる。
なお、このシートの切断方法としては、上記切断の軌跡が、長尺フック材74を幅方向に跨ぐようにS字状に切断する方法を挙げることができる。このように構成することによって、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された山部側に、深凹部82と浅凹部84とから構成された凹部80を有するフック材が、それぞれ配置されることとなる。
長尺シート積層体71の切断は連続的な形状に切断する限り特に制限はないが、通常は、図15に示すように、その軌跡が連続的なS字状、即ち、周期的な波型となるように切断することが好ましい。これにより、止着テープを一時に多数得ることが可能となる。
このようにして各止着テープ中間体を得た場合には、得られた各止着テープ中間体のS字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことによって、複数の止着テープを得る。上記のような方法によれば、多数の止着テープを簡便に効率よく製造することが可能となる。
具体的には、図19に示すように、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を切り離すことによって、複数の止着テープ70を得る。図示の例では、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を、側縁104と直交する方向に切り離すことによって、複数の止着テープ70を得ている。
このように止着テープ中間体を切り離すことによって、複数の止着テープを得ることができる。但し、この「切り離し」に先立って、フック材及び止着テープの仮止めを行っておくことが好ましい。自由端を有する止着テープが遊動している状態であると、連続的な生産を行う際に、その自由端が製造設備に引っかかる等の不具合の原因となるおそれがあるからである。
例えば、止着テープ中間体を、フック材が付設された部位と直線状に形成された側縁との間においてフック材を内側とするように折り返し、フック材を長尺基材シートの表面に仮止めをした後、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことが好ましい。S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離す前に仮止めをすることにより、複数の止着テープについての折り返し作業を一時に且つ連続的に行うことができ、「切り離し」の後に前記折り返し作業を行った場合と比較して、安定的且つ効率的に、前記折り返し作業を行うことができる。
図19に示す製造方法は、止着テープ中間体72を、フック材が付設された部位と直線状に形成された側縁104との間においてフック材84を内側とするように折り返し、フック材84を長尺基材シート78の表面に仮止めをした後(仮止め部86)、S字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を切り離した例である。
[3]止着テープ製造装置:
次に、本発明の止着テープ製造装置の一の実施形態について説明する。本発明の止着テープ製造装置は、これまでに説明した止着テープの製造方法に用いられる製造装置である。
即ち、本発明の止着テープ製造装置は、図14及び図15に示すよう、長尺基材シート78の一方の面に、長尺基材シート78の長手方向に沿って帯状の長尺フック材を載置して長尺シート積層体71を形成するシート積層部122と、長尺シート積層体71の長尺フック材74の両側縁部74aを、長尺フック材74の表面側から長尺基材シート78側に向けて所定の幅で押圧する凸部99が押圧面に形成された押圧手段95(図14及び図15においては、パターンロール98)を有するシート押圧部124と、を備えている。
本発明の止着テープ製造装置においては、この押圧手段の押圧面の凸部が、突出高さの高い高凸部と、高凸部よりも突出高さの低い低凸部とから構成されている。例えば、図17及び図18に示すパターンロール98の凸部99は、突出高さの高い高凸部99aと、高凸部99aよりも突出高さの低い低凸部99bとが所定の繰り返しパターンを有するように配列したものである。
なお、本発明の止着テープ製造装置の押圧手段としては、例えば、超音波溶着によって、上記凹部の形成を行うものであってもよい。例えば、図16に示す止着テープ製造装置90aは、押圧手段95として超音波溶着用の超音波ホーン96と超音波ホーンの受けロールとを有し、この超音波ホーンの受けロールの押圧面に、深凹部に対応した高凸部と、浅凹部に対応した低凸部とが形成されている(パターンロール98)。なお、図16に示すように、凹部を形成するための凸部は、超音波溶着が良好に行うことができるように、超音波ホーンの受けロール(パターンロール98)に形成されるが、例えば、図示は省略するが、超音波ホーンの押圧面に凸部を形成し、フック材の表面側に超音波ホーンを配置して超音波溶着を行ってもよい。また、図16においては、固定式の超音波ホーン96を用いた例を示しているが、例えば、ロール状の超音波ホーンを用いてもよい。
これらのような止着テープ製造装置を用いることによって、フック材のそれぞれの端部に、深凹部と浅凹部とから構成された凹部が形成された止着テープを簡便且つ低コストに製造することができる。
[3−1]シート積層部:
シート積層部は、長尺基材シートの一方の面に、長尺基材シートの長手方向に沿って帯状の長尺フック材を載置して長尺シート積層体を形成するものであり、このようなシート積層部は、従来の止着テープ製造装置における、長尺基材シートに長尺フック材を載置するシート積層部と同様に構成されているものを用いることができる。例えば、図14及び図15に示すように、長尺基材シート78を連続的に繰り出し可能な長尺基材シート供給ロール118と、長尺フック材74を連続的に繰り出し可能な長尺フック材供給ロール114と、長尺基材シート78の一方の面側に長尺フック材74を案内して、長尺基材シート78の一方の面側に長尺フック材74を載置する支持ロール116とを有するものを挙げることができる。
また、本発明の止着テープ製造装置においては、長尺基材シートと、その表面に載置された長尺フック材とを接合するための接合手段を更に有していてもよい。このような接合手段としては、例えば、図14に示す止着テープ製造装置90のように、長尺フック材74の裏面に接着剤92を塗布する接着剤塗布手段94を挙げることができる。
なお、接合手段は、長尺基材シートと、その表面に載置された長尺フック材とを接合することが可能なものであれば、上記接着剤塗布手段に限定されることはない。また、本発明の止着テープ製造装置においては、例えば、凹部を形成するシート押圧部にて、長尺基材シートと長尺フック材とを接合するように構成されたものであってもよいため、シート積層部においては、上述した接合手段を有するものとせず、単に長尺基材シートと長尺フック材とを重ね合わせて長尺シート積層体を形成するものであってもよい。
[3−2]シート押圧部:
シート押圧部は、凸部が押圧面に形成された押圧手段によって、長尺シート積層体の長尺フック材の両側縁部を押圧し、上記凸部の配列パターンを長尺フック材の両側縁部に刻設するものである。
具体的には、図14及び図15に示す止着テープ製造装置90は、長尺シート積層体71の長尺フック材74の両側縁部74aを、長尺フック材74の表面側から長尺基材シート78側に向けて所定の幅で押圧して凹部80を形成するものである。このため、シート押圧部124は、押圧面に凹部80の形状に対応した凸部が形成された押圧用のロール(パターンロール98)を有している。このパターンロール98としては、上記した本発明の止着テープの製造方法にて説明した、図17及び図18に示すような、突出高さの高い高凸部99aと、高凸部99aよりも突出高さの低い低凸部99bとが、所定の繰り返しパターンを有するように構成された凸部99が形成されたパターンロール98を好適例として挙げることができる。
また、このパターンロール98の対となる凹部形成用のロールとしては、例えば、図14及び図15に示すように、長尺基材シート78との接触面が平坦なプレーンロール100を好適例として挙げることができる。
更に、図示は省略するが、シート押圧部は、凹部の形成とともに、長尺基材シートと長尺フック材とをヒートシールして接合することができるように、パターンロール及びプレーンロールを加熱する加熱手段を更に有していてもよい。このように構成することによって、凹部の形成と同時に、長尺基材シートと長尺フック材とを凹部によって接合(融着)することができる。
上記加熱手段は、従来公知のヒートシール装置に用いられる加熱手段を好適に用いることができる。加熱温度は、長尺基材シートと長尺フック材とをヒートシールすることが可能な温度まで、凹部形成用のロール(パターンロール98,プレーンロール100)を加熱可能なものであればよい。
パターンロールの高凸部と低凸部の配列パターンや、それぞれの凸部の高さや幅については特に制限はなく、製造する止着テープにおける凹部の繰り返しパターンの形状等に応じて適宜決定することができる。即ち、止着テープにおける凹部の繰り返しパターンの反転形状がパターンロールの凸部の配列パターンとなる。
また、このパターンロールは、例えば、図17及び図18に示すように、上記凸部99とは別に、上述した中央凹部81(図15参照)の形成パターンに対応した中央凸部101が形成されたものであってもよい。なお、図17における符号97は、パターンロール98を回転可能に支持するためのパターンロール支持体を示す。パターンロール支持体97は、パターンロール98の回転軸を支持し、また、パターンロール98が中央部分で分割可能に構成されている場合には、パターンロール支持体97を左右に移動させることによって、パターンロール98の凸部99の位置を調節することができる。
また、押圧手段が、超音波溶着用の超音波ホーンと超音波ホーンの受けロールとから構成される場合には、従来公知の超音波ホーン、及び超音波ホーンの受け台となる受けロールのいずれかの押圧面に、凹部の形状に対応した凸部が形成されたものを好適に用いることができる。なお、図16に示す止着テープ製造装置90aにおいては、受けロールとしてパターンロール98を用いている。なお、押圧面の凸部の形状については、形成する凹部の形状に応じて適宜選択することができる。なお、超音波ホーンは、電気エネルギーを機械的振動エネルギーに変換する振動子を有し、振動子にて変換された機械的振動エネルギーを、超音波ホーンの押圧面から被接合体(即ち、長尺フック材と長尺基材シート)の境界面に伝達させ、境界面に生じる摩擦熱によって被接合体を融着させることができる。本発明の止着テープ製造装置においては、被接合体が溶融した際に圧力を加え、超音波ホーンの押圧面の凸部の形状を、長尺フック材の両側縁部に刻設する。
なお、超音波ホーンによる超音波溶着の条件について特に制限はなく、従来公知の超音波溶着の条件(例えば、振動子の振幅、押圧圧力等)に準じて超音波溶着を行うことができる。
[3−3]止着テープ製造装置のその他の構成:
本発明の止着テープ製造装置は、これまでに説明したシート積層部及びシート押圧部を備えたものであれば、その他の構成については特に制限はなく、従来公知の止着テープ製造装置を構成する他の構成要素を更に備えたものであってもよい。
例えば、図14に示すテープ製造装置90は、シート押圧部124によって凹部80を形成した後に、その長尺シート積層体71を、長尺シート積層体71の長手方向に沿ってS字カーブを描くように切断するシート切断部126、及び、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すシート切離部128と、を更に備えている。
図14に示す止着テープ製造装置90のシート切断部126は、長尺シート積層体71をS字状に切断するカッター等の切断手段132、フック材84が付設された部位と直線状に形成された側縁104との間においてフック材84を内側とするように折り返す折り返し手段134、折り返したフック材84を長尺基材シート78の表面に仮止めする仮止め手段136とを有している。なお、仮止め手段136は、折り返したフック材84の一部を長尺基材シート78の表面側に押圧するための凹凸が少なくとも一方に形成された、一対の仮止め用ロール136a,136bを有している。
また、シート切離部128は、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すカッター等の切離手段138を有している。
[4]テープ型おむつ:
本発明のテープ型おむつは、その止着テープとして、既に説明した本発明の止着テープを備えるものである。より具体的には、吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えるとともに、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されており、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープを更に備え、その止着テープが、上記した本発明の止着テープであるテープ型おむつである。
[4−1]止着テープ:
本発明のテープ型おむつは、その止着テープとして、既に説明した本発明の止着テープを備えるものであれば、他の構成について制限はない。但し、後身頃の左右の各側縁に、本発明の止着テープが2個ずつ配置されていることが好ましい。
例えば、図1及び図5に示すテープ型おむつ1は、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、本発明の止着テープ10が2個ずつ配置されたものである。このように、止着テープが2個ずつ配置されたテープ型おむつは、1個ずつ配置されたテープ型おむつと比較して、着用者の体型、具体的には、ウエスト周り、脚周りの寸法に合わせてテープ位置、締め付け具合を調節できるという点で優れている。
本発明のテープ型おむつは、本発明の止着テープが融着によっておむつ本体に接合されたものであることが好ましい。融着によって接合することで、接着剤を用いた接着等と比較して、強固な接合を図ることができ、おむつ本体から止着テープが脱落する事態を有効に防止することができる。例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、おむつ本体の後身頃6の側縁6a,6b、より具体的にはサイドシート19によって構成されるサイドフラップ8の両側縁に、超音波融着によって本発明の止着テープ10を接合した例である。
[4−2]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装される。より具体的には、吸収体は少なくとも股下部に介装され、この吸収体が前身頃や後身頃にまで及んでいてもよい。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図1に示すテープ型おむつ1は、吸収体22として、砂時計型の吸収体を用いた例である。
なお、吸収体には、その表面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、着用者の姿勢等に起因して、トップシート裏面側の空間が十分に形成されないような場合でも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
[4−3]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その裏面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の表面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。また、おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面には、液透過性材料により構成されたトップシート(センターシート)が配置され、サイドフラップの部分には、更に別のシート(サイドシート)が配置されていてもよい。図1に示すテープ型おむつ1は、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート18(センターシート18a)を配置し、おむつのサイドフラップ8部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるサイドシート19を配置した例である。
[4−4]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
その配置方法については特に制限はないが、例えば、図1に示すテープ型おむつ1のように、おむつの外形と一致するように、バックシート20を配置する構成を採用することができる。但し、必ずしもこのような構成を採用する必要はなく、吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分に液不透過性材料からなるバックシートを配置してもよい。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[4−5]立体ギャザー:
着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
なお、立体ギャザーは、トップシートやバックシートとは全く別個のシート材により形成してもよいが、トップシート(例えば、センターシート)やサイドシート等を折り返すことにより形成してもよい。例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、サイドシート19を折り返すことにより立体ギャザー26(26a,26b)を形成した例である。但し、立体ギャザーは、セカンドシート以外の部材を折り返すことにより形成してもよい。
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26(26a,26b)が形成された例を示すものである。また、立体ギャザーは、少なくとも一対形成する必要があるが、二対以上形成してもよい。
立体ギャザーはおむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)とすることもできる。例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、立体ギャザー26(26a,26b)を内倒しギャザーとした例である。
[4−6]各種伸縮材:
テープ型おむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また、脚周り伸縮材を配置すると、おむつを交換する際に吸収体の両側で脚周り伸縮材が収縮するため、股下部近傍が椀状に変形し、凹部が形成される。このため、尿や体液がその凹部に溜まり、尿や体液をこぼすことなく、容易におむつの交換を行うことができる。
例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、おむつの長手方向に沿って、直線的に二本の脚周り伸縮材40を配置してレグギャザーを形成した例である。この脚周り伸縮材40は、糸ゴムによって構成されている。但し、脚周り伸縮材は、必ずしも直線的に配置する必要はなく、例えば、おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
脚周り伸縮材は、例えば、図1に示すテープ型おむつ1のように、立体ギャザー26の起立線46より外側の部分に、脚周り伸縮材40が形成されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
なお、図1に示すテープ型おむつ1は、脚周り伸縮材40の形状、配置位置、配置数等を左右対称とした例を示したが、これらが左右非対称なものも本発明の範囲に含まれる。そして、図1に示すテープ型おむつ1では、脚周り伸縮材40が片側につき二本配置された例を示したが、一本だけ配置されていてもよいし、三本以上配置されていてもよい。また、複数の脚周り伸縮材を用いる場合、その太さや伸張率等も目的に応じて適宜設定すればよく、全て同じものを用いる必要はない。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
なお、図1に示すテープ型おむつ1は、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置した例である。この帯状のウエスト周り伸縮材42は、ウレタンフォーム等の伸縮性フォームによって構成されている。図示の例では、後身頃(背側)のみにウエスト周り伸縮材42を配置しているが、前身頃(腹側)にウエスト周り伸縮材を配置してもよい。
なお、例えば、図1に示すテープ型おむつ1のように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、止着テープ10をそれぞれ2個ずつ配置した場合には、後身頃6の端縁に沿ってウエスト周り伸縮材42が付設されるとともに、少なくとも股下部4の両側縁に沿って脚周り伸縮材40を付設することが好ましい。
前記のような構成により、2個の止着テープ10のうち上側に配置された止着テープ10とウエスト周り伸縮材42が一体となって、着用者のウエスト周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。また、2個の止着テープ10のうち下側に配置された止着テープ10と脚周り伸縮材40が一体となって、着用者の脚周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。この効果は、上側に配置された止着テープ10を前身頃2の端縁と略同一方向に止め付け、下側に配置された止着テープ10を前身頃2の端縁側(おむつ上側)に向かって引き上げるように止め付けた場合に特に大きくなる。
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、110〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
[5]テープ型おむつの製造方法:
以下、本発明のテープ型おむつの製造方法を、図1に示すテープ型おむつ1を製造する場合の例で説明する。まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の表面に、親水性シートに包まれた吸収体22及び脚周り伸縮材40を載置し、更にその表面にトップシート18の材料となる長尺のシート材(トップシート材)を載置することにより、おむつの中間体となる積層体(おむつ連続体)を得る。この際、トップシート材は、センターシート18aに相当するトップシート材と、サイドシート19に相当するサイドシート材の2種類が使用される。サイドシート19に相当するサイドシート材には折り返し部分を設けることによって、立体ギャザー26が形成されている。
前記のようにして得られたおむつ連続体は、おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除し(Rカット)、脚周り開口部を形成する。最後に、おむつの後身頃6の側縁6a,6bに、本発明の止着テープ10を付設し、おむつ連続体を個々のおむつに切断することにより、テープ型おむつ1を製造する。この際、後身頃6の左右の各側縁部と止着テープ10の末端部とはヒートシール等の融着によって接合することが好ましい。
なお、上記のような方法の他、予めトップシート材に止着テープを付設しておき、バックシート材の表面に、親水性シートに包まれた吸収体及び脚周り伸縮材を載置し、更にその表面に止着テープが付設されたトップシート材を載置することにより、おむつ連続体を得てもよい。また、前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、テープ型おむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。
1,150:テープ型おむつ、2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:サイドフラップ、10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10x,10y:止着テープ、12:フロントパッチ、18:トップシート、18a:センターシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、26,26a,26b:立体ギャザー、36,36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:フック材、44a:端部(フック材の端部)、46:起立線、48:基材、52:ループ材、60,60,60a,60b,60c,60d,60e,60f,60g,60h:凹部、61a,61b:凹部(中央凹部)、62,62a,62b,62c,62d,62e,62f:深凹部、64,64a,64b,64c,64d,64e,64f:浅凹部、70:止着テープ、71:長尺シート積層体、72:止着テープ中間体、74:長尺フック材、74a:側縁部(長尺フック材の側縁部)、78:長尺基材シート、80:凹部、81:凹部(中央凹部)、84:フック材、86:仮止め部、90,90a:止着テープ製造装置、92:接着剤、94:接着剤塗布手段、95:押圧手段、96:超音波ホーン、97:パターンロール支持体、98:パターンロール、99:凸部、99a:高凸部、99b:低凸部、100:プレーンロール、101:中央凸部、102:谷部、104:側縁、114:長尺フック材供給ロール、116:支持ロール、118:長尺基材シート供給ロール、122:シート積層部、124:シート押圧部、126:シート切断部、128:シート切離部、132:切断手段、134:折り返し手段、136:仮止め手段、136a:仮止め用ロール、136b:140:止着テープ、144:フック材、144a:端部(フック材の端部)、148:基材。