JP4982424B2 - 止着テープの製造方法及び止着テープの製造装置 - Google Patents

止着テープの製造方法及び止着テープの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、止着テープの製造方法及び止着テープの製造装置に関する。更に詳しくは、フック材が止着テープの基材に接合されている中央部付近における、フック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じ難い止着テープの製造方法等に関する。
一般に、テープ型おむつは、例えば、図12に示すテープ型おむつ150のように、吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ110を更に備えている(例えば、特許文献1〜3参照)。
このようなテープ型おむつ150によれば、着用者の排泄物はトップシート18の液透過性の部分(図中ではセンターシート18a)を透過して吸収体22に吸収されるとともに、通常、液不透過性の材料で構成されるバックシート20によって外部への漏洩が防止され、排泄物をおむつ内部に保持することができる。また、止着テープ110によっておむつの前身頃2と後身頃6とを相互に固定することで、着用者に容易に装着させることができるという利点をも有するものである。
ところで、従来、テープ型おむつのファスニングシステムとしては、粘着剤の粘着力により固定を行う粘着ファスナーが汎用されていたが、近年では、凸部材(フック材)と凹部材(ループ材)の機械的結合により固定を行うメカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)への移行が進行しつつある。
このような止着テープは、図13に示すように、上記したメカニカルファスナーのフック材144を、基材148の表面に付設させることによって形成されている。フック材の付設方法については、例えば、フック材の裏面に接着剤を塗布して接合する方法、又は、基材として、熱可塑性の樹脂フィルムで表面を被覆した基材を用い、上記した接着剤と併用して、フック材の側縁部を一定の幅でヒートシールして基材の表面に接合する方法が用いられていた。図13においては、フック材144のそれぞれの側縁部144aを、フック材144の表面側から基材148側に向けて帯状に加熱押圧することによってヒートシールした例を示している。
特開2004−201894号公報 特開2005−319319号公報 特開2005−279005号公報
しかしながら、特許文献1及び2に示すような、例えば、フック材の側縁部をヒートシールして基材に付設させた場合には、フック材が止着テープの基材に接合されている中央部付近における、フック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じてしまうことがあり、止着テープの止着力が低下してしまうという問題があった。
このようにフック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じた止着テープをテープ型おむつ等に用いた場合には、おむつを固定する止着テープが外れ易くなってしまったり、装着感が悪くなってしまったりする。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、フック材が止着テープの基材に接合されている中央部付近における、フック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じ難く、おむつの装着感を向上させることが可能な止着テープの製造方法等を提供するものである。
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、フック材を基材に付設する際に、フック材の両端の圧着部の中央部にも圧着部を形成することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の止着テープの製造方法及び止着テープの製造装置が提供される。
[1] メカニカルファスナーのフック材である長尺フック材の裏面と、前記長尺フック材よりも幅広の長尺基材シートとを長手方向を揃えて重ね合わせて長尺シート積層体を得る工程と、得られた長尺シート積層体の前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向中央部同時に押圧し、圧着する工程を含む止着テープの製造方法。
] 前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向中央部を、それぞれの部位に対応する位置に凸部を有するパターンロールにより同時に押圧し、圧着する上記[1]に記載の止着テープの製造方法。
] メカニカルファスナーのフック材である長尺フック材の裏面と、前記長尺フック材よりも幅広の長尺基材シートとを長手方向を揃えて重ね合わせて得られた長尺シート積層体の前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向両端部の間の少なくとも一部を押圧し、圧着する工程に使用されるパターンロールを備えている止着テープ製造装置であって、筒状周面の両端部であって前記長尺フック材の幅方向両端部に対応する位置および軸方向中央付近であって前記長尺フック材の幅方向中央部に対応する位置に凸部が形成されているパターンロールを備えている止着テープ製造装置。
前記パターンロールが軸方向中央で2分割可能に形成されている前記[3]に記載の止着テープ製造装置
止着テープにおいて、フック材の両端部を基材に圧着する場合には、強く押すと材料が中央方向に寄り、中央部分が盛り上がる。その結果、エンボス部分がずれたりしわが入ったりして不安定になり、圧着強度も下がるという問題がある。しかしながら、本発明の止着テープの製造方法においては、両端部の間の少なくとも一部を押すことで、このようなトラブルを抑え、安定した生産が可能になる。
本発明の止着テープの製造方法により製造された止着テープは、フック材が止着テープの基材に接合されている中央部付近における、フック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じ難く、おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられた際には、おむつの装着感を向上させることができる。また、本発明の方法によって得られるテープ型おむつは、前記止着テープを備えたものであるため、止着力が高く、また、おむつを繰り返し長期間使用した場合や、着用者が寝返りをうつ等の動作を行った際にも、良好な装着感を実現することができる。
以下、本発明の止着テープの製造方法及び止着テープの製造装置を実施するための最良の形態について、具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える止着テープの製造方法及び止着テープの製造装置を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書中において「フック材」とは、メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)の凸部材であり、凹部材であるループ材との機械的結合により固定を行うことができるものである。このフック材は基材の表面に付設される。「フック材」としては、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成されたものが用いられる。
「基材」とは、一方の端部付近にフック材が付設され、且つ他方の端部が、例えば使い捨ておむつの後身頃の左右の各側縁に固定されることによって、止着テープの本体として機能するものである。
「テープ型おむつ」とは、図10に示すテープ型おむつ1のように、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、後身頃6を前身頃2に対して固定するための止着テープ10を更に備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
[1]止着テープの製造方法:
本発明の止着テープの製造方法の一の実施形態について説明する。本発明の止着テープの製造方法は、メカニカルファスナーのフック材である長尺フック材の裏面と、前記長尺フック材よりも幅広の長尺基材シートとを長手方向を揃えて重ね合わせて長尺シート積層体を得る工程と、得られた長尺シート積層体の前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向中央部同時に押圧し、圧着する工程を含むものである。ここで、長尺フック材と長尺基材シートとを長手方向を揃えて重ね合わせるとは、長尺フック材と長尺基材シートとがずれないように両者の長手方向を平行を保ちつつ重ね合わせることを指し、両者の幅方向の一端を揃えて重ね合わせる場合や両者の幅方向中心線を揃えて重ね合わせる場合等が含まれる。
このように構成することによって、止着テープを簡便且つ低コストに製造することができる。
以下、図3に示す止着テープ製造装置を用いて止着テープを製造する例について、各工程毎に更に具体的に説明する。ここで、図3は、本発明の止着テープの製造方法に用いられる止着テープ製造装置の構成を模式的に示す説明図であり、図4は、図3に示す止着テープ製造装置のBに示す部分(シート押圧部近傍)を拡大して示す一部概略斜視図である。
[1−1]シート積層工程:
前記止着テープを製造する際には、まず、図3に示すように、長尺基材シート78を用意し、この長尺基材シート78の一方の面に、長尺基材シート78の長手方向に沿って帯状の長尺フック材74を載置して長尺シート積層体71を得る。
長尺シート積層体71を成形する場合には、図3に示すように、長尺基材シート78と長尺フック材74とを予め接着剤92によって接合又は、仮接合することが好ましい。図3に示す止着テープ製造装置90においては、接着剤塗布手段94によって、長尺フック材74の裏面に接着剤92を塗布し、接着剤92が塗布された裏面を長尺基材シート78に重ね合わせて長尺シート積層体71を形成している。
[1−2]圧着工程:
次に、図3および図4に示すように、得られた長尺シート積層体71の長尺フック材74の両側縁部74aを、長尺フック材74の表面側から長尺基材シート78側に向けて所定の幅で押圧して圧着し、凹部80を形成する(圧着工程)。
上記した凹部80は、例えば、図1および図2に示すような、長尺フック材74の両側縁部74aの位置に対応した凸部99と中央凹部81の位置に対応した中央凸部101が形成されたパターンロール98を用いて形成することができる。ここで、図1は、凹部の形成に用いられるパターンロールの構成を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示すパターンロールのCに示す部分を拡大して示す一部平面図である。
このように構成することによって、長尺フック材74の両側縁部74aの凹部80と、長手方向中央部分の中央凹部81とを同時に形成することができる。ここで、凹部は、基本的に、フック材が圧着により押し潰され、止着力を喪失している。
なお、圧着工程において使用するパターンロール98が、上記したように凸部99と中央凸部101とを有する場合において、凸部99と中央凸部101との間の非突出部分、及び、中央凸部101が、凸部99に平行に二列以上の突出部分を有するときには、これらの中央凸部101の相互間の非突出部分によって、止着力を喪失していない止着領域を確保することができる。
なお、このパターンロール98は、中央部分で分割され、両側の凸部99の間隔を調整可能に構成されていることが好ましい。このように構成することによって、長尺フック材の幅に合わせて、パターンロール98の幅を調整することができ、長尺フック材に形成する押圧部位置の微調整や、幅の異なる長尺フック材に応じて、凸部99の位置を調節することが可能となる。なお、このパターンロール98の中央凸部101は省略することも可能である。この場合には、目的とする止着テープの中央付近の圧着部に対応する位置に凸部を備えた第二のパターンロールによる圧着工程を前記パターンロール98による圧着工程の前または後に行うことが必要となる。
なお、図3及び図4に示すように、圧着工程においては、長尺基材シート78の裏面側を押圧するロールとして、長尺基材シート78との接触面が平坦なプレーンロール100を用いることが好ましい。
圧着工程において長尺基材シート78と長尺フック材74との接合を行う場合には、パターンロール98とプレーンロール100とを加熱させて、長尺基材シート78と長尺フック材74とヒートシールする。
一方、長尺基材シート78と長尺フック材74との接合が既に行われている場合には、パターンロール98とプレーンロール100とを必ずしも加熱させる必要はなく、単にパターンロール98によって長尺フック材74の両側縁部74aを押圧して圧着することにより両者の接合を強化して所定の繰り返しパターンの凹部80を形成することもできる。
また、この圧着工程においては、パターンロール98の凸部99を、突出高さの高い高凸部99aと、高凸部99aよりも突出高さの低い低凸部99bとが、所定の繰り返しパターンを有するように配列して構成しても良い。
このようなパターンロール98は、その両側に上記凸部99が形成され、パターンロール98のロール面の中央部分の少なくとも一部には突出部分(凸部)が形成されていない。この突出部分が形成されていない領域では、長尺フック材74を構成するピンの押し潰しが行われないため、長尺フック材74の中央部分に止着力を喪失していない止着領域を確保することができる。
また、本発明の製造方法においては、例えば、図5に示すように、超音波溶着用の超音波ホーン96とパターンロール98とからなり、パターンロール98の押圧面に、深凹部に対応した高凸部と、浅凹部に対応した低凸部とから構成された凸部が形成された押圧手段95によって、凹部80の形成を行ってもよい。ここで、図5は、本発明の止着テープの製造方法に用いられる止着テープ製造装置の他の構成を模式的に示す説明図である。図5においては、超音波ホーン96として固定式のプレーンのものを図示したが、これに限られず、回転可能なプレーンとしても良い。
[1−3]シート切断工程:
次に、凹部を形成した長尺シート積層体を、所定の幅で切り離すことにより複数の止着テープを得る(止着テープ切離工程)。上記のような方法によれば、多数の止着テープを簡便に効率よく製造することが可能となる。
この止着テープ切離工程は、例えば、図4に示すように、長尺シート積層体71を、切断の軌跡が長尺シート積層体71の長手方向に沿ってS字カーブを描くように切断して2枚の止着テープ中間体72を得る。なお、このシート切断工程においては、上記切断の軌跡が、長尺フック材74を幅方向に跨ぐようにS字状に切断し、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された山部側に、凹部80を有するフック材が、それぞれ配置されることとなる。
長尺シート積層体71の切断は連続的な形状に切断する限り特に制限はないが、通常は、図4に示すように、その軌跡が連続的なS字状、即ち、周期的な波型となるように切断することが好ましい。これにより、止着テープを一時に多数得ることが可能となる。
[1−4]止着テープ切離工程:
次に、各止着テープ中間体のS字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことによって、複数の止着テープを得る。上記のような方法によれば、多数の止着テープを簡便に効率よく製造することが可能となる。
具体的には、図6に示すように、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を切り離すことによって、複数の止着テープ70を得る。図示の例では、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を、側縁104と直交する方向に切り離すことによって、複数の止着テープ10を得ている。
このように止着テープ中間体を切り離すことによって、複数の止着テープを得ることができる。但し、この「切り離し」に先立って、フック材及び止着テープの仮止めを行っておくことが好ましい。自由端を有する止着テープが遊動している状態であると、連続的な生産を行う際に、その自由端が製造設備に引っかかる等の不具合の原因となるおそれがあるからである。
例えば、止着テープ中間体を、フック材が付設された部位と直線状に形成された側縁との間においてフック材を内側とするように折り返し、フック材を長尺基材シートの表面に仮止めをした後、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことが好ましい。S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離す前に仮止めをすることにより、複数の止着テープについての折り返し作業を一時にかつ連続的に行うことができ、「切り離し」の後に前記折り返し作業を行なった場合と比較して、安定的かつ効率的に、前記折り返し作業を行うことができる。
図6に示す製造方法は、止着テープ中間体72を、フック材が付設された部位と直線状に形成された側縁104との間においてフック材84を内側とするように折り返し、フック材84を長尺基材シート78の表面に仮止めをした後(仮止め部86)、S字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を切り離した例である。
[2]止着テープ製造装置:
次に、本発明の止着テープ製造装置の一の実施形態について説明する。本発明の止着テープ製造装置は、止着テープの製造方法に用いられる製造装置である。本発明の製造装置は、メカニカルファスナーのフック材である長尺フック材の裏面と、前記長尺フック材よりも幅広の長尺基材シートとを長手方向を揃えて重ね合わせて得られた長尺シート積層体の前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向両端部の間の少なくとも一部を押圧し、圧着する工程に使用されるパターンロールであって、筒状周面の両端部であって前記長尺フック材の幅方向両端部に対応する位置および軸方向中央付近であって前記長尺フック材の幅方向中央部に対応する位置に凸部が形成されているパターンロールを備えている。すなわち、このパターンロールは、筒状周面の両端部および軸方向中央付近に凸部が形成されている。なお、このパターンロールは軸方向中央で2分割可能に形成されているのが好ましい。
本発明の止着テープ製造装置は、図3および4に示すように、長尺基材シート78の一方の面に、長尺基材シート78の長手方向に沿って帯状の長尺フック材を載置して長尺シート積層体71を形成するシート積層部122と、長尺シート積層体71の長尺フック材74の両側縁部74aを、長尺フック材74の表面側から長尺基材シート78側に向けて所定の幅で押圧する凸部99が押圧面に形成された押圧手段96(図3および4においては、パターンロール98)を有するシート圧着部124と、を備え、図1および図2に示すように、筒状周面の両端部であって前記長尺フック材の幅方向両端部に対応する位置および軸方向中央付近であって前記長尺フック材の幅方向中央部に対応する位置に凸部が形成されており、軸方向中央で2分割可能に形成されているパターンロールを備えるように構成されている。このように2分割することで、長尺フック材の幅に合わせて、パターンロール98の幅を調整することができ、長尺フック材に形成する押圧部位置の微調整や、幅の異なる長尺フック材に応じて、凸部99の位置を調節することが可能となる。
なお、本発明の止着テープ製造装置の押圧手段としては、例えば、超音波溶着によって、上記凹部の形成を行うものであってもよい。例えば、図5に示す止着テープ製造装置90aは、押圧手段95として超音波溶着用の超音波ホーン96とパターンロール98を有し、このパターンロール98の押圧面に、深凹部に対応した高凸部と、浅凹部に対応した低凸部とが形成されている。図5においては、超音波ホーン96として固定式のプレーンのものを図示したが、これに限られず、回転可能なプレーンとしても良い。
このような止着テープ製造装置を用いることによって、メカニカルファスナーのフック材が一方の端部付近に配設された帯状の止着テープであって、前記フック材の、前記帯状の基材の長手方向両端部および前記帯状の基材の長手方向両端部の間の少なくとも一部が前記帯状の基材に圧着されている止着テープを簡便且つ低コストに製造することができる。
[2−1]シート積層部:
シート積層部は、長尺基材シートの一方の面に、長尺基材シートの長手方向に沿って帯状の長尺フック材を載置して長尺シート積層体を形成するものであり、このようなシート積層部は、従来の止着テープ製造装置における、長尺基材シートに長尺フック材を載置するシート積層部と同様に構成されているものを用いることができる。例えば、図3及び図4に示すように、長尺基材シート78を連続的に繰り出し可能な長尺基材シート供給ロール118と、長尺フック材74を連続的に繰り出し可能な長尺フック材供給ロール114と、長尺基材シート78の一方の面側に長尺フック材74を案内して、長尺基材シート78の一方の面側に長尺フック材74を載置する支持ロール116とを有するものを挙げることができる。
また、本発明の止着テープ製造装置においては、長尺基材シートと、その表面に載置された長尺フック材とを接合するための接合手段を更に有していてもよい。このような接合手段としては、例えば、図3に示す止着テープ製造装置90のように、長尺フック材74の裏面に接着剤92を塗布する接着剤塗布手段94を挙げることができる。
また、本発明の止着テープ製造装置においては、例えば、圧着を行うシート圧着部にて、長尺基材シートと長尺フック材とを接合するように構成されたものであってもよいため、シート積層部においては、上述した接合手段を有するものとせず、単に長尺基材シートと長尺フック材とを重ね合わせて長尺シート積層体を形成するものであってもよい。
[2−2]シート圧着部:
シート圧着部は、一対のロール間に、上記した長尺シート積層体を通過させて、積層された各シートを圧着し、一対の圧着ロールのうちの一方のロール(パターンロール)に形成された凸部の配列パターンを、長尺フック材に刻設するものである。
具体的には、図3および図4に示すように、止着テープ製造装置90は、長尺シート積層体71の長尺フック材74の両側縁部74aを、長尺フック材74の表面側から長尺基材シート78側に向けて所定の幅で押圧・圧着して凹部80を形成するものである。このため、シート圧着部124は、形成する凹部80の形状に対応した押圧用のロール(パターンロール98)を有している。このパターンロール98としては、上記した本発明の止着テープの製造方法にて説明した、図1および図2に示すような、上記凸部99と、中央凹部81(図2参照)の形成パターンに対応した中央凸部101とが形成されている。なお、図1における符号97は、パターンロール98を回転可能に支持するためのパターンロール支持体を示す。
また、このパターンロール98の対となる圧着用のロールとしては、例えば、図3および図4に示すように、シート押圧部124は、長尺基材シート78の裏面側を押圧するロールとして、長尺基材シート78との接触面が平坦なプレーンロール100を好適例として挙げることができる。
更に、図示は省略するが、シート圧着部は、凹部の形成とともに、長尺基材シートと長尺フック材とをヒートシールして接合することができるように、パターンロール等を加熱する加熱手段を更に有していてもよい。このように構成することによって、凹部の形成と同時に、長尺基材シートと長尺フック材とを圧着部によって接合することができる。
パターンロールの配列パターンや、それぞれの凸部の高さや幅については特に制限はなく、製造する止着テープにおける押圧部の繰り返しパターンの形状等に応じて適宜決定することができる。即ち、止着テープにおける押圧部の繰り返しパターンの反転形状がパターンロールの凸部の配列パターンとなる。
また、図5に示す止着テープ製造装置90aのように、押圧手段95が、超音波溶着用の超音波ホーン96とパターンロール98とから構成される場合には、パターンロール98として、押圧面に、目的とする止着テープの凹部の形状に対応した凸部が形成されたものを好適に用いることができる。なお、押圧面の凸部の形状については、形成する凹部の形状に応じて適宜選択することができる。なお、超音波ホーンは、電気エネルギーを機械的振動エネルギーに変換する振動子を有し、振動子にて変換された機械的振動エネルギーを、超音波ホーンの押圧面から被接合体(即ち、長尺フック材と長尺基材シート)の境界面に伝達させ、境界面に生じる摩擦熱によって被接合体を融着させることができる。本発明の止着テープ製造装置においては、被接合体が溶融した際に圧力を加え、パターンロール98の押圧面の凸部の形状を、長尺フック材の両側縁部に刻設する。図5においては、超音波ホーン96として固定式のプレーンのものを図示したが、これに限られず、回転可能なプレーンとしても良い。
なお、超音波ホーンにより超音波溶着の条件について特に制限はなく、従来公知の超音波溶着の条件(例えば、振動子の振幅、押圧圧力等)に準じて超音波溶着を行うことができる。
[2−3]止着テープ製造装置のその他の構成:
本発明の止着テープ製造装置90は、例えば、シート圧着部124によって凹部80を形成した後に、長尺シート積層体71を、長尺シート積層体71の長手方向に沿ってS字カーブを描くように切断するシート切断部126、及び、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すシート切離部128と、を更に備えたものであってもよい。
図3に示す止着テープ製造装置90のシート切断部126は、長尺シート積層体71をS字状に切断するカッター等の切断手段132、フック材84が付設された部位と直線状に形成された側縁104との間においてフック材84を内側とするように折り返す折り返し手段134、折り返したフック材84を長尺基材シート78の表面に仮止めする仮止め手段136とを有している。なお、仮止め手段136は、折り返したフック材84の一部を長尺基材シート78の表面側に押圧するための凹凸が少なくとも一方に形成された、一対の仮止め用ロール136a,136bを有している。
また、シート切離部128は、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すカッター等の切離手段138を有している。
[3]止着テープ:
本発明の製造方法により得られる止着テープは、図7〜図10に示される止着テープ10のように、おむつの前身頃2と後身頃6とを固定するために用いられ、基材48と、この基材48の表面に付設されたメカニカルファスナーのフック材44とを備え、フック材44のそれぞれの側縁部44aおよび中央部付近には、フック材44の表面側から基材48側に向けて所定の幅で押圧されて圧着された帯状の凹部80(81)が形成されている。
このような止着テープは、基材とフック材との接合部分に例えば、おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いた場合には、フック材が止着テープの基材に接合されている中央部付近における、フック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じ難く、おむつの装着感を向上させることができる。
ここで、図7は、前記止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す一部切り欠き断面図であり、テープ型おむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。図8Aは、前記止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す拡大図であり、図7に示すテープ型おむつの止着テープ部分を拡大して示す図である。図8Bは、他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した拡大図である。図9は、図8に示す止着テープをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
例えば、従来の止着テープのように、フック材の側縁部を均一な深さにヒートシールして基材に付設させたのみのものは、フック材が止着テープの基材に接合されている中央部付近における、フック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じてしまうことがあり、止着テープの止着力が低下してしまう。また、このようなフック材は、基材から脱離し易くなってしまう。
止着テープ10は、フック材の側縁部に加えて、フック材の両側縁部の中央部付近にも圧着された帯状の凹部が設けられていることから、フック材が止着テープの基材に接合されている中央部付近における、フック材の止着テープ基材からの部分剥離が生じ難くなっている。また、このように構成されているため、基材からフック材が脱離し難くなる。
フック材の圧着部の圧着態様は、図8A、図8Bに示すように、フック材の両側縁部および両側縁部の中央部付近に設けられてさえいればいずれの態様であってもよい。例えば、図8Aおよび図8Bの両側縁部のように押圧凹部が深い凹部と浅い凹部とから形成されていてもよく、図8Aの両側縁部の中央部付近のように千鳥状に形成されていれもよく、また、図8Bの両側縁部の中央部付近のように一定の深さで一様に形成されていてもよい。さらに、図8Aおよび図8Bの両側縁部のように押圧凹部を深い凹部と浅い凹部とから形成する場合には、図8Aまたは図8Bのように深さを2段階にする場合に限らず、深さを多段階とすることができる。
基材の裏面のみを平面状にする場合には、基材とフック材とをヒートシールする際に、フック材の表面側を加熱押圧するシールヘッドとして、凹部の配置パターンに対応した凹凸を有するシールヘッドを用い、且つ、基材の裏面側を押圧するシールヘッドとして、ヘッドの表面が平坦な面(プレーン面)のものを用いればよい。
また、前記止着テープにおいては、この基材の裏面に、上記フック材に止着可能なループ材(以下、「裏面側ループ材」ということがある)が配置されていてもよい。
この裏面側ループ材は、フック材のヒートシールによる接合が終了した後に、別途、基材の裏面側に接合することが好ましい。例えば、上記裏面側ループ材は、ホットメルト接着剤等を用いて接合することができる。
このように構成することによって、例えば、図11に示すように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、前記止着テープ10x,10yが2個ずつ配置されたテープ型おむつ1とした場合に、各側縁6a,6bにおける一方の止着テープ10xをフロントパッチ12に止着し、他方の止着テープ10yを、フロントパッチ12に止着した一方の止着テープ10xの裏面の裏面側ループ材に対して止着させることもできる。
このような止着テープは、着用者の体型、具体的には、ウエスト周り、脚周りの寸法に合わせてテープ位置、締め付け具合を調節できるという点で優れている。
ここで、図11に示すテープ型おむつ1は、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、前記止着テープ10x,10yが2個ずつ配置されたものである。
例えば、基材の裏面や、上記した裏面側ループ材に、フック材のヒートシールによる押圧の凹凸が出現していると、一方の止着テープの裏面に他方の止着テープを止着させた場合に、上記凹凸によって十分な止着力が得られず、他方の止着テープが外れ易くなってしまうことがある。
なお、図10に示すテープ型おむつ1は、止着テープ10の基材48にメカニカルファスナーのフック材44が付設されている。一方、前身頃2には、メカニカルファスナーのループ材52からなるフロントパッチ12が配置されており、フック材44を固定することが可能なように構成されている。
このような構成によって、おむつの後身頃6を前身頃2に対して固定することができ、おむつを着用者に装着させることが可能となる。図11は、図10に示すテープ型おむつ1の使用状態を示す図であり、止着テープ10を用いて、テープ型おむつ1を着用者に装着させた状態を示すものである。
なお、このようなフック材は、基材に対してヒートシールによって接合するものであることから、その素材としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(いわゆるナイロン)、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いることができる。特に、ポリエチレンやポリプロピレンを好適に用いることができる。
「基材」は、フック材を付設し、且つ止着テープ10を後身頃6の左右の各側縁6a,6bに固定することによって、止着テープ10の本体として機能するものである。
この基材の素材としては、スパンボンド、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)、カードエンボス、レジンボンド等の各種不織布からなるシート材を用いることができる。強度の面を考慮すると、スパンボンド不織布からなるシート材を用いることが好ましい。
不織布の構成材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(いわゆるナイロン)、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を挙げることができる。この場合、合成繊維は単繊維であってもよいし、芯鞘構造等を有する複合繊維であってもよい。一般に、単繊維を使用する場合は、ポリオレフィンが多く用いられるが、強度の面を考慮するとポリエステルを用いることも好ましい。
また、基材の素材として、複数の不織布やフィルムを積層した積層体を用いることもできる。フィルムの積層体を用いる場合には、フック材を配置する面と反対側の面に、フック材と係合し易い不織布又はループ材(裏面側ループ材)を配置すると、図11に示すように、一方の止着テープ10xの裏面側に、他方の止着テープ10yを止着させることができる。
[4]テープ型おむつ:
テープ型おむつは、その止着テープとして、既に説明した本発明の製造方法により得られる止着テープを備えるものである。より具体的には、吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えるとともに、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されており、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープを更に備え、その止着テープが、前記止着テープであるテープ型おむつである。
[4−1]止着テープ:
前記テープ型おむつは、その止着テープとして、既に説明した前記止着テープを備えるものであれば、他の構成について制限はない。但し、後身頃の左右の各側縁に、前記止着テープが2個ずつ配置されていることが好ましい。
例えば、図10および図11に示すテープ型おむつ1は、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、前記止着テープ10が2個ずつ配置されたものである。このように、止着テープが2個ずつ配置されたテープ型おむつは、1個ずつ配置されたテープ型おむつと比較して、着用者の体型、具体的には、ウエスト周り、脚周りの寸法に合わせてテープ位置、締め付け具合を調節できるという点で優れている。
前記テープ型おむつは、前記止着テープが融着によっておむつ本体に接合されたものであることが好ましい。融着によって接合することで、接着剤を用いた接着等と比較して、強固な接合を図ることができ、おむつ本体から止着テープが脱落する事態を有効に防止することができる。例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、おむつ本体の後身頃6の側縁6a,6b、より具体的にはサイドシート18bによって構成されるサイドフラップ8の両側縁に、超音波融着によって前記止着テープ10を接合した例である。
[4−2]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装される。より具体的には、吸収体は少なくとも股下部に介装され、この吸収体が前身頃や後身頃にまで及んでいてもよい。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図10に示すテープ型おむつ1は、吸収体22として、砂時計型の吸収体を用いた例である。
なお、吸収体には、その表面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、着用者の姿勢等に起因して、トップシート裏面側の空間が十分に形成されないような場合でも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
[4−3]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その裏面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の表面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば、吸収体の表面部に配置されるトップシートと、サイドフラップの部分に配置されるトップシートとを異なるシートによって構成する形態もよく利用される。図10に示すテープ型おむつ1は、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート18(センターシート18a)を配置し、おむつのサイドフラップ8部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるトップシート18(サイドシート18b)を配置した例である。
[4−4]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
その配置方法については特に制限はないが、例えば、図10に示すテープ型おむつ1のように、おむつの外形と一致するように、バックシート20を配置する構成を採用することができる。但し、必ずしもこのような構成を採用する必要はなく、吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分に液不透過性材料からなるバックシートを配置してもよい。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[4−5]立体ギャザー:
着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
なお、立体ギャザーは、トップシートやバックシートとは全く別個のシート材により形成してもよいが、センターシートやサイドシート等のトップシートを折り返すことにより形成してもよい。例えば、図10に示すテープ型おむつ1は、サイドシート18bを折り返すことにより立体ギャザー26(26a,26b)を形成した例である。但し、立体ギャザーは、セカンドシート等のトップシート以外の部材を折り返すことにより形成してもよい。
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図10に示すテープ型おむつ1は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26(26a,26b)が形成された例を示すものである。また、立体ギャザーは、少なくとも一対形成する必要があるが、二対以上形成してもよい。
立体ギャザーはおむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)とすることもできる。例えば、図1に示すテープ型おむつ1は、立体ギャザー26(26a,26b)を内倒しギャザーとした例である。
[4−6]各種伸縮材:
テープ型おむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また、脚周り伸縮材を配置すると、おむつを交換する際に吸収体の両側で脚周り伸縮材が収縮するため、股下部近傍が椀状に変形し、凹部が形成される。このため、尿や体液がその凹部に溜まり、尿や体液をこぼすことなく、容易におむつの交換を行うことができる。
例えば、図10に示すテープ型おむつ1は、おむつの長手方向に沿って、直線的に二本の脚周り伸縮材40を配置してレグギャザーを形成した例である。この脚周り伸縮材40は、糸ゴムによって構成されている。但し、脚周り伸縮材は、必ずしも直線的に配置する必要はなく、例えば、おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
脚周り伸縮材は、例えば、図10に示すテープ型おむつ1のように、立体ギャザー26の起立線46より外側の部分に、脚周り伸縮材40が形成されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
なお、図10に示すテープ型おむつ1は、脚周り伸縮材40の形状、配置位置、配置数等を左右対称とした例を示したが、これらが左右非対称なものであってもよい。そして、図10に示すテープ型おむつ1では、脚周り伸縮材40が片側につき二本配置された例を示したが、一本だけ配置されていてもよいし、三本以上配置されていてもよい。また、複数の脚周り伸縮材を用いる場合、その太さや伸張率等も目的に応じて適宜設定すればよく、全て同じものを用いる必要はない。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
なお、図10に示すテープ型おむつ1は、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置した例である。この帯状のウエスト周り伸縮材42は、ウレタンフォーム等の伸縮性フォームによって構成されている。図示の例では、後身頃(背側)のみにウエスト周り伸縮材42を配置しているが、前身頃(腹側)にウエスト周り伸縮材を配置してもよい。
なお、例えば、図10に示すテープ型おむつ1のように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、止着テープ10をそれぞれ2個ずつ配置した場合には、後身頃6の端縁に沿ってウエスト周り伸縮材42が付設されるとともに、少なくとも股下部4の両側縁に沿って脚周り伸縮材40を付設することが好ましい。
前記のような構成により、2個の止着テープ10のうち上側に配置された止着テープ10とウエスト周り伸縮材42が一体となって、着用者のウエスト周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。また、2個の止着テープ10のうち下側に配置された止着テープ10と脚周り伸縮材40が一体となって、着用者の脚周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。この効果は、上側に配置された止着テープ10を前身頃2の端縁と略同一方向に止め付け、下側に配置された止着テープ10を前身頃2の端縁側(おむつ上側)に向かって引き上げるように止め付けた場合に特に大きくなる。
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、110〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
[5]テープ型おむつの製造方法:
以下、テープ型おむつの製造方法を、図10に示すテープ型おむつ1を製造する場合の例で説明する。まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の表面に、親水性シートに包まれた吸収体22及び脚周り伸縮材40を載置し、更にその表面にトップシート18の材料となる長尺のシート材(トップシート材)を載置することにより、おむつの中間体となる積層体(おむつ連続体)を得る。この際、トップシート材は、センターシート18aに相当するトップシート材と、サイドシート18bに相当するトップシート材の2種類が使用される。サイドシート18bに相当するシート材には折り返し部分を設けることによって、立体ギャザー26が形成されている。
前記のようにして得られたおむつ連続体は、おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除し(Rカット)、脚周り開口部を形成する。最後に、おむつの後身頃6の側縁6a,6bに、本発明の製造方法で得られた止着テープ10を付設し、おむつ連続体を個々のおむつに切断することにより、テープ型おむつ1を製造する。この際、後身頃6の左右の各側縁部と止着テープ10の末端部とはヒートシール等の融着によって接合することが好ましい。
なお、上記のような方法の他、予めトップシート材に止着テープを付設しておき、バックシート材の表面に、親水性シートに包まれた吸収体及び脚周り伸縮材を載置し、更にその表面に止着テープが付設されたトップシート材を載置することにより、おむつ連続体を得てもよい。また、前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、テープ型おむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。
本発明の製造方法で得られた止着テープは、おむつの前身頃と後身頃とを固定するための止着テープとして好適に利用することができる。また、本発明の製造方法で得られた止着テープを利用したテープ型おむつは、乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用のおむつとして好適に利用することができる。
押圧部の形成に用いられるパターンロールの構成を模式的に示す平面図である。 図1に示すパターンロールのCに示す部分を拡大して示す一部平面図である。 本発明の止着テープ製造装置の一の実施形態の構成を模式的に示す説明図である。 図3に示す止着テープ製造装置のBに示す部分を拡大して示す一部概略斜視図である。 本発明の止着テープ製造装置の他の実施形態の構成を模式的に示す説明図である。 本発明の止着テープの製造方法の一の実施形態における、止着テープ切離工程を説明する平面図である。 本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す拡大図であり、図10に示すテープ型おむつの止着テープ部分を拡大して示す図である。 図7示す止着テープのフック材が付設された部位を更に拡大した拡大図である。 本発明の他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した拡大図である。 図8に示す止着テープをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す一部切り欠き断面図であり、テープ型おむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。 本発明の止着テープを用いたテープ型おむつを使用した状態を示す斜視図である。 従来のテープ型おむつの一の実施形態を示す一部切り欠き断面図であり、従来のテープ型おむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。 図12示す止着テープのフック材が付設された部位を更に拡大した拡大図である。
符号の説明
1,150:テープ型おむつ、2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:サイドフラップ、10,10x,10y:止着テープ、12:フロントパッチ、18:トップシート、18a:センターシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、26,26a,26b:立体ギャザー、36,36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:フック材、44a:端部(フック材の端部)、46:起立線、48:基材、52:ループ材、71:長尺シート積層体、72:止着テープ中間体、74:長尺フック材、74a:側縁部(長尺フック材の側縁部)、78:長尺基材シート、80:凹部、81:凹部(中央凹部)、84:フック材、86:仮止め部、90,90a:止着テープ製造装置、92:接着剤、94:接着剤塗布手段、95:押圧手段、96:超音波ホーン、97:パターンロール支持体、98:パターンロール、99:凸部、99a:高凸部、99b:低凸部、100:プレーンロール、101:中央凸部、102:谷部、104:側縁、106:仮止め用接着剤、114:長尺フック材供給ロール、116:支持ロール、118:長尺基材シート供給ロール、122:シート積層部、124:シート圧着部、126:シート切断部、128:シート切離部、132:切断手段、134:折り返し手段、136:仮止め手段、136a:仮止め用ロール、136b:140:止着テープ、144:フック材、144a:端部(フック材の端部)、148:基材。

Claims (4)

  1. メカニカルファスナーのフック材である長尺フック材の裏面と、前記長尺フック材よりも幅広の長尺基材シートとを長手方向を揃えて重ね合わせて長尺シート積層体を得る工程と、
    得られた長尺シート積層体の前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向中央部同時に押圧し、圧着する工程を含む止着テープの製造方法。
  2. 前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向中央部を、それぞれの部位に対応する位置に凸部を有するパターンロールにより同時に押圧し、圧着する請求項に記載の止着テープの製造方法。
  3. メカニカルファスナーのフック材である長尺フック材の裏面と、前記長尺フック材よりも幅広の長尺基材シートとを長手方向を揃えて重ね合わせて得られた長尺シート積層体の前記長尺フック材の幅方向両端部および前記長尺フック材の幅方向両端部の間の少なくとも一部を押圧し、圧着する工程に使用されるパターンロールを備えている止着テープ製造装置であって、
    筒状周面の両端部であって前記長尺フック材の幅方向両端部に対応する位置および軸方向中央付近であって前記長尺フック材の幅方向中央部に対応する位置に凸部が形成されているパターンロールを備えている止着テープ製造装置。
  4. 前記パターンロールが軸方向中央で2分割可能に形成されている請求項に記載の止着テープ製造装置
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