JP5054159B2 - ブレーキ - Google Patents
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そして、ブレーキレバーの操作に伴うインナーワイヤの移動により、インナーワイヤ保持部材が、インナーワイヤの張設方向に沿って直線移動させられアウターワイヤ保持部材に対して接近離間しつつ、多節リンク機構が作動することにより、ブレーキシューによるリムの挟み込みおよびその解除が切り替えられるように構成されている。
したがって、ブレーキレバーを操作したときに、両保持部材を互いに前記張設方向に沿って確実に接近移動させることが可能になり、ブレーキシューの左右方向のストローク量を安定させることができる。
すなわち、前記付勢手段を有し、かつ前述の案内部材や係合部を有しないブレーキでは、ブレーキシューの左右方向のストローク量を安定させるためには、付勢手段から左右一対のアームに付与する付勢力を各別に調整可能な調整手段が必要になるため、構造が複雑になり高コストになるおそれがある。
なお、付勢手段としては、例えばコイルスプリングが挙げられ、この場合、左右一対のアームそれぞれについて、互いに巻き方向が異なり弾性率が同等のコイルスプリングを各別に配設したり、コイルスプリングに対する押し付け力を調整する押しボルトや押しボルトを支持する支持体等を備える調整手段を各別に配設したりする必要がある。
本実施形態に係るブレーキ1は、左右一対のアーム11と、各アーム11を支持する支持体12と、各アーム11に配設されたブレーキシュー13と、各アーム11同士を連結する多節リンク機構14と、多節リンク機構14に装着されるとともに図示されないブレーキレバーに連係されたインナーワイヤWを保持するインナーワイヤ保持部材15と、多節リンク機構14に装着されるとともにインナーワイヤWが挿通されたアウターワイヤCを保持するアウターワイヤ保持部材16と、を備えている。
また、ブレーキシュー13は、各アーム11において中間部11aよりも下方(延在方向の一方側)に位置する部分に各別に配設されている。なお図示の例では、ブレーキシュー13は各アーム11における下端部に各別に配設されている。
多節リンク機構14は、各アーム11において中間部11aよりも上方(延在方向の他方側)に位置する部分同士を左右方向Xに接近離間自在に連結している。なお図示の例では、多節リンク機構14は各アーム11における上端部11e同士を連結している。
インナーワイヤWの張設方向は、左右方向Xに直交する方向であり、図示の例では、上下方向Yと一致している。
また、左右一対のアーム11それぞれにおいて、支持体12の周端部より下方に位置する下端部には、上下方向Yに延びかつ左右方向Xを向く支持板11bが前方に向けて突設され、これらの支持板11b同士の間を、リムRのうち上端部に近い部分が、車輪Tの回転に伴い前後方向Zに通過するようになっている。これらのアーム11の各支持板11bには、ブレーキシュー13から左右方向Xの外側に向けて突設された図示されない雄ねじ部が挿通される上下方向Yに長い長穴11dが形成されている。そして、この雄ねじ部の左右方向Xの外端部に袋ナット13aが螺着されて、ブレーキシュー13が、アーム11の支持板11bに左右方向Xの内側に向けて突出した状態で固定されている。
付勢手段20は、前後方向Zから見た正面視で、支持体12に沿うように下方に向けて開口した弧状をなす湾曲した金属線材となっている。付勢手段20は、前述のような弧状をなす支持体12の上端部から両周端部を下方に超えてアーム11の下端部に至っている。また、付勢手段20は、支持体12の後側に1つ配設されていて、1つの付勢手段20が左右一対のアーム11を双方ともに前述のように付勢している。
ここで、左右一対のアーム11の各下端部には、後方に向けて支持突起11cが各別に突設されており、付勢手段20の両末端部がそれぞれ、支持突起11cを左右方向Xの内側から外側に向けて押圧している。
ここで図示の例では、左右一対のアーム11、および支持体12はそれぞれ、前後方向Zから見た正面視で、対称軸Oに対して左右対称形状をなしている。
すなわち、支持軸17において、アーム11の上端部11eと、リンク列14bにおける2つのリンク14aの端部同士の連結部分と、の間に位置する部分、並びにアーム11の上端部11eとナット18との間に位置する部分にそれぞれ挿通するワッシャ19aの数を増減させ、それに伴い、アーム11を前記中間部11a回りに回動変位させず、支持軸17を左右方向Xに移動させることで、複数のリンク14aの上下方向Yに対する傾斜角度が変化するように構成されている。
なお、この調整作業は、ナット18を支持軸17から外し、かつアーム11の上端部11eから支持軸17を抜くことで行うことができる。
図示の例では、インナーワイヤ保持部材15は、前後方向Zから見た正面視で、対称軸Oに対して左右対称形状をなしている。
保持部15cは、図示の例ではナットおよびワッシャを備え、ナットが突部15bに螺着されることにより、突部15bの挿通孔に挿通されたインナーワイヤWをワッシャが本体板15aに向けて前方から押し付けて固定するように構成されている。なお、突部15bの挿通孔に挿通されるインナーワイヤWは、アウターワイヤCから下方に突出した部分となっている。
また、本体板15aにおいて、突部15bおよび保持部15cを左右方向Xに挟む両側に、各リンク列14bが備える2つのリンク14aのうち下側に位置するリンク14aの下端部が1つずつ、前後方向Zに延びる軸線回りに回転自在に連結されている。
図示の例では、アウターワイヤ保持部材16は、前後方向Zから見た正面視で、対称軸Oに対して左右対称形状をなしている。
前記接続部材は、雌ねじ筒16bに螺着された雄ねじ部16fと、該雄ねじ部16fの上端に上方に向けて突設されアウターワイヤCの下端部が嵌合される有底筒状の嵌合筒16dと、を備え、雄ねじ部16fには、アウターワイヤCから下方に向けて突出したインナーワイヤWが挿通される図示されない貫通孔が上下方向Yの全長にわたって形成されている。
ナット16cは、接続部材の雄ねじ部16fにおいて雌ねじ筒16bよりも上方に位置する部分に螺着されて、雌ねじ筒16bの上面に向けて締め込まれている。このようにナット16cおよび雌ねじ筒16bと、接続部材の雄ねじ部16fと、が螺合し、かつアウターワイヤCの下端部が接続部材の嵌合筒16d内に嵌合することにより、アウターワイヤCがアウターワイヤ保持部材16に固定されている。
また本体板16aにおいて、雌ねじ筒16bを左右方向Xに挟む両側に、各リンク列14bが備える2つのリンク14aのうち上側に位置するリンク14aの上端部が1つずつ、前後方向Zに延びる軸線回りに回転自在に連結されている。
案内部材21は、多節リンク機構14、インナーワイヤ保持部材15およびアウターワイヤ保持部材16より後方に配置されるとともに、上下方向Yに延びる棒状体とされ、図示の例では、支持体12から上方に向けて延設されている。また、案内部材21の上下方向Yから見た平面視形状は、四角形状となっている。さらに、案内部材21は、前後方向Zから見た正面視で、前記対称軸Oに沿って延在している。なお、図示の例では、案内部材21は、支持体12の上端部における左右方向Xの中央部に配設されている。
本実施形態では、案内部材21の平面視形状が四角形状となっているので、係合部22、23は、案内部材21に対する該案内部材21の軸線回りの回転移動も規制されている。
以上のように構成されたブレーキ1は全体が、前後方向Zから見た正面視で、前記対称軸Oに対して左右対称な形状となっている。
この際、左右一対のアーム11の各上端部11eが、各リンク列14bにおける2つのリンク14aの端部同士の連結部分により左右方向Xの外側に向けて押されることで、左右一対のアーム11が付勢手段20による付勢力に抗して中間部11aを中心に回動する。これにより、各ブレーキシュー13が左右方向Xに互いに接近移動しリムRを挟み込む。
以上の過程において、インナーワイヤ保持部材15およびアウターワイヤ保持部材16は、各係合部22、23が案内部材21に係合した状態で、上下方向Yに沿って互いに接近移動する。
したがって、ブレーキレバーを操作したときに、両保持部材15、16を互いに上下方向Yに沿って確実に接近移動させることが可能になり、ブレーキシュー13の左右方向Xのストローク量を安定させることができる。
さらに本実施形態では、多節リンク機構14が、対称軸Oに対して左右対称形状をなし、案内部材21が、前後方向Zから見た正面視で、対称軸O上に沿って延設されているので、構造を複雑にすることなく前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
また、インナーワイヤWの張設方向を上下方向Yと一致させたが、インナーワイヤWは、左右方向Xに直交する方向であれば、上下方向Yに限らず任意の方向に張設してもよい。
さらに、アーム11を延設する方向と、インナーワイヤWの張設方向と、を互いに異ならせてもよい。
また、アーム11が中間部11a回りに回動する中心軸線の延びる方向と、多節リンク機構14の備える複数のリンク14aがそれぞれの端部回りに回転する中心軸線の延びる方向と、を互いに異ならせてもよい。
さらに、左右一対のアーム11に配設された各ブレーキシュー13の左右方向Xのストローク量は、互いに同等にしてもよいし、異ならせてもよい。
さらに、各リンク列14bが備える2つのリンク14aのうち、上側に位置するリンク14aの上端部同士を、アウターワイヤ保持部材16における同じ部分に連結して前後方向Zに重ね合わせてもよい。
また、各リンク列14bが備える2つのリンク14aのうち、下側に位置するリンク14aの下端部同士を、インナーワイヤ保持部材15における同じ部分に連結して前後方向Zに重ね合わせてもよい。
さらに、各リンク列14bは、リンク14aを3個以上備えてもよい。
さらに、案内部材21は、前後方向Zから見た正面視で対称軸Oから左右方向Xにずれた位置に延設されてもよい。
また、案内部材21は、支持体12ではなく他の部材に配設してもよいし、また、上下方向Yから見た平面視形状を円形状、あるいは四角形状以外の多角形状等にしてもよい。
さらに、係合部22、23は、前記実施形態に限らず例えば、案内部材21が挿通される筒体にする等適宜変更してもよい。
11 アーム
11a 中間部
12 支持体
13 ブレーキシュー
14 多節リンク機構
15 インナーワイヤ保持部材
16 アウターワイヤ保持部材
19 調整手段
21 案内部材
22、23 係合部
C アウターワイヤ
O 対称軸
W インナーワイヤ
X 左右方向
Y 上下方向(延在方向、張設方向)
Z 前後方向
Claims (4)
- 左右一対のアームと、
各アームをその延在方向の中間部回りに回動自在に支持する支持体と、
各アームにおいて前記中間部より前記延在方向の一方側に位置する部分に各別に配設されたブレーキシューと、
各アームにおいて前記中間部より前記延在方向の他方側に位置する部分同士を左右方向に接近離間自在に連結する多節リンク機構と、
該多節リンク機構に装着されるとともに、ブレーキレバーに連係されたインナーワイヤを保持するインナーワイヤ保持部材と、
前記多節リンク機構に装着されるとともに、前記インナーワイヤが挿通されたアウターワイヤを保持するアウターワイヤ保持部材と、を備え、
前記ブレーキレバーの操作に伴うインナーワイヤの移動により、前記インナーワイヤ保持部材およびアウターワイヤ保持部材が、インナーワイヤの張設方向に沿って直線移動させられ互いに接近離間しつつ、前記多節リンク機構が作動するブレーキであって、
前記インナーワイヤ保持部材およびアウターワイヤ保持部材には、前記張設方向に沿って延びる案内部材に前記張設方向に移動自在に係合する係合部が各別に備えられていることを特徴とするブレーキ。 - 請求項1記載のブレーキであって、
前記多節リンク機構は、前記張設方向に沿って延びる対称軸に対して左右対称形状をなし、前記案内部材は、前記多節リンク機構の平面視で前記対称軸上に沿って延設されていることを特徴とするブレーキ。 - 請求項1または2に記載のブレーキであって、
前記インナーワイヤ保持部材においてインナーワイヤが保持された部分を挟む両側、並びに前記アウターワイヤ保持部材においてアウターワイヤが保持された部分を挟む両側に、前記多節リンク機構が備える複数のリンクのうちの1つの端部が単独で各別に連結されていることを特徴とするブレーキ。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のブレーキであって、
前記左右一対のアームのうちの少なくとも一方と、前記多節リンク機構と、の連結部分には、それぞれのアームに配設されたブレーキシュー同士の左右方向の間隔を一定に維持した状態で、前記多節リンク機構が備える各リンクの前記張設方向に対する傾斜角度を調整可能な調整手段が配設されていることを特徴とするブレーキ。
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