JP5051631B2 - 水分散用抽出物含有組成物及びそれを用いた飲料 - Google Patents

水分散用抽出物含有組成物及びそれを用いた飲料 Download PDF

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Description

本発明は、水分散用抽出物含有組成物及びそれを用いた飲料に関し、さらに詳しくは、プロポリス抽出物等の水難溶性成分を含有し、水に溶解可能な水分散用抽出物含有組成物及びそれを水に溶解させた飲料に関する。
従来、漢方生薬としてトウヒ、センブリ、薬用ニンジン、ロクジョウ等、多くの動植物が利用されている。また、ビワの葉(利尿)、カミツレ(消炎)、サンザシ(鎮静)、クマザサ(抗腫瘍、抗炎症)等には多くの薬理効果のある物質が含まれており、民間療法薬、香粧品、食品などに広く利用されている。特に、近年、生活習慣病等を予防する機能性食品として、プロポリス(抗菌、抗ガン、抗酸化)、イチョウ葉(認知症)、大豆イソフラボン(更年期障害改善)、ブルーベリー(眼精疲労改善)等が注目されている。
上記動植物の有効成分には、テルペン類、ステロイド類、フラボノイド類等、多くの疎水性物質がある。また、酸性条件下では水に難溶性の芳香族有機酸等が含まれる場合もある。こうした水難溶性抽出物を飲料とするために、食品用乳化剤によって乳化又は可溶化する各種の方法が提案されている。例えば、特許文献1では、ポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチンとを乳化剤として使用し、カロチノイド溶解油脂を多価アルコール含有水相に微細乳化した組成物について提案されている。また、特許文献2では、各種の油溶性物質の可溶化組成物について提案されている。さらに、蜜蜂の巣から採取されるプロポリスのエタノール抽出物については、ポリオール脂肪酸エステル(特許文献3)、サポニン(特許文献4)や、リゾレシチン(特許文献5)が乳化剤として利用されている。
特開平9−157159号公報 特開平11−332463号公報 特開平2−245159号公報 特開平6−197734号公報 特開平9−180号公報
しかし、これらの可溶化組成物では、透明性が不十分であったり、ホモミキサーや高圧ホモジナイザー等の強力な攪拌装置を必要とする等の問題がある。
この点、発明者らが開発した水分散用抽出物含有組成物を用いれば、プロポリスやイチョウ葉のエタノール抽出物等の水難溶性抽出物を、強力な攪拌装置を用いることなく、容易に水中で分散させることができる。また、その分散液の透明性も極めて優れている(特許文献6)。
特開2004−91392号公報
上記特許文献6の水分散用抽出物含有組成物は、溶媒を加えない場合、極めて粘度の高い可塑性の固体となり、粉末として取り扱い難くなる性質がある。通常はエタノールを含んだチンキタイプの濃縮液として市販されているため、取り扱い上の問題はないが、エタノールを高濃度に含む組成物は危険物に指定され、保管場所や運搬方法について、法的規制の対象となる。また、アルコールに耐えるため、内側が樹脂膜でコーティングされたアトロン缶やガラスびん等を容器として用いる必要がある。さらには、使いやすい容器とするためには、容器をスポイトびんや滴下びん等の特殊形状のびんとする必要がある。このため、包装コストの面では若干の問題があった。
また、品質保持のために、チンキタイプの水分散用抽出物含有組成物を冷蔵したり冷凍したりしようとした場合、乳化剤が析出するという問題があった。このため、冷蔵・冷凍したチンキタイプの水分散用抽出物含有組成物を室温に戻して使用する場合には、加熱し、撹拌混合して再度均一な分散状態に戻す必要があった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、粉末状で取り扱いが容易であり、水に溶解させることにより透明性に優れた分散状態となり、保存下においてもほとんど変質しない水分散用抽出物含有組成物及びそれを用いた飲料を提供することを解決すべき課題としている。
発明者らは、上記特許文献6の水分散用抽出物含有組成物をさらに取り扱いやすくするため、その組成物を粉末に吸着させて粉末化することを試みた。しかしながら、通常において可溶化粉末として多用されているシクロデキストリン粉末やアラビアゴム粉末を用いた場合、水分散用抽出物含有組成物の水への分散性が悪くなり、濁りを生じてしまうことが分かった。このため、さらに様々な粉末について鋭意研究を行った結果、水分散用抽出物含有組成物を単糖類粉末や二糖類粉末等の糖粉末と混合すれば、水への分散性を損なうことなく、粉末化することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水分散用抽出物含有組成物は、生物由来の水難溶性抽出物1〜50重量%と、炭素数8〜22の脂肪酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステル1〜99重量%と、サポニン0〜20重量%と、レシチン0〜20重量%とを含有し、該ポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリン飽和脂肪酸エステルと平均エステル化率3〜25%のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルとから成る乳化剤含有組成物が、単糖類粉末、二糖類粉末、オリゴ糖粉末及び糖アルコール粉末の1種又は2種以上から成る糖粉末と混合されていることを特徴とする。
本発明の水分散用抽出物含有組成物では、上記組成の乳化剤含有組成物が糖粉末と混合されている。このため、乳化剤組成物の粒子表面に糖粉末が付着して粘着性が緩和され、塊状化を防ぐことができる。このため、流動性のある粉末状となり、秤取りや袋詰等の取り扱いが極めて容易となる。また、発明者らの試験結果によれば、この水分散用抽出物含有組成物の水に対する透明性に優れた分散性能は、糖粉末と混合したことによっても、ほとんど損われることはない。さらには、本発明の水分散用抽出物含有組成物を冷蔵・冷凍しても、何らの変質も認められず、品質保持のための冷蔵・冷凍が可能である。
本発明において使用される乳化剤含有組成物中の水難溶性抽出物の含有量(水難溶性抽出物が抽出液の場合は、その抽出液中の固形分の含量を表す)は、1〜50重量%であるが、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは8〜25重量%である。
また、分散の対象となる生物由来の水難溶性抽出物としては、プロポリス抽出物、イチョウ葉抽出物、セージ抽出物、ブルーベリー抽出物、ユーカリ抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、ビワの葉抽出物、イカリソウ抽出物、クマザサ抽出物、ノコギリ椰子抽出物、植物ステロール、γ−オリザノール、大豆イソフラボン、ユビキノン等の植物抽出物等が挙げられる。
また、カカオ色素、β−カロチン、アナトー色素、ウコン色素、トウガラシ色素、オイルレッド色素、パプリカ色素、ナフトールイエロー色素等の疎水性の天然色素も挙げられる。
本発明において使用される糖粉末としてはグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類や、トレハロース、シュクロース、マルトース、ラクトース等の二糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、還元水飴等の糖アルコール、オリゴ糖の各粉末を用いることができる。
発明者らの試験結果によれば、糖粉末がトレハロース粉末である場合には、水に分散させた場合の透明性が特に優れており好適である。また、トレハロースは低う蝕性の糖であるため、虫歯予防としての効果もある。特に、生物由来の水難溶性抽出物が「う歯」や「歯槽膿漏」の原因菌に対して抗菌作用のあるプロポリス抽出物である場合、トレハロースとの相乗効果によって抗菌効果をさらに高めることができる。
(乳化剤含有組成物含有量)/(糖粉末含有量)は重量比で0.001〜0.3であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.2、もっとも好ましくは0.05〜0.2である。ここで乳化剤含有組成物含有量とは、乳化剤含有組成物を乾燥させた固形分の含有量を意味する。糖粉末の含有量が少ない場合には、粘着性の防止効果が少なくなるため、取り扱いが困難となる。また、糖粉末の含有量が多い場合には、粘着性の防止効果は優れるが、甘みが強くなり、水難溶性抽出物独特の味覚とのバランスが悪くなりやすい。
また、本発明において使用される乳化剤含有組成物中のポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数8〜22の脂肪酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する。グリセリンの重合度は、通常2〜12、好ましくは8〜12である。
さらに、上記のポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルと平均エステル化率3〜25%のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルとを組み合わせて使用することが重要である。かかる組合せ使用により、被可溶化物である生物由来の水難溶性抽出物の水への溶解性が著しく高まる。
こうしたポリグリセリン飽和脂肪酸エステルとしては、構成脂肪酸の炭素数が10〜18であるものが好ましく、構成脂肪酸の70%以上がラウリン酸又はミリスチン酸であるものが特に好ましい。ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルの平均エステル化率は、通常3〜25%、好ましくは4〜20%、さらに好ましくは5〜17%である。ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルの具体例としては、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノカプリレート、デカグリセリンモノパルミテート、デカグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノカプリレート、テトラグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノカプリレート等が挙げられる。
上記の平均エステル化率3〜25%のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルとしては、構成脂肪酸の炭素数が10〜22であるものが好ましく、構成脂肪酸の70%以上がオレイン酸であるものが特に好ましい。平均エステル化率は、好ましくは4〜20%、特に好ましくは5〜17%である。ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルの具体例としては、デカグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、デカグリセリンジオレエート、デカグリセリンモノリノレート等が挙げられる。
前記のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルとポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルとの重量比は、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル1に対して、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルが、通常1〜100、好ましくは1.5〜20、さらに好ましくは 2〜5である。また、特に好ましい組合せは、デカグリセリンモノラウレート及び/又はデカグリセリンモノミリステートとデカグリセリンモノオレエートとの組合せである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの水分散用抽出物含有組成物中の含有量は、1〜99重量%、好ましくは2〜70重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。
本発明に使用する乳化剤含有組成物中にサポニンを添加することにより、水難溶性抽出物の水への溶解性がさらに高められ、本発明の水分散用抽出物含有組成物を水に希釈分散させた水溶液の透明性が向上する。サポニンとしては、例えば、甘草サポニン、茶葉サポニン、人参サポニン、キラヤサポニン、大豆サポニン、酵素処理大豆サポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、エンジュサポニン、ユッカフォーム抽出物などが挙げられる。これらの中では、甘草サポニンが好ましく、甘草由来の物質、例えば、甘草抽出物、甘草抽出物の主成分であるグリチルリチン、グリチルリチンにβ−グルクロニダーゼを作用させてグルクロン酸を1つ外すことにより得られるグリチルレチン酸モノグルクロナイド等が特に好ましい。これらの甘草由来の物質は高甘味物質であり、動植物由来の水難溶性抽出物の中には苦味や辛味を有するものが多いことから、味質の改善作用も期待される。また、甘草抽出物及びグリチルリチンには、抗潰瘍作用、抗炎症作用があり、グリチルレチン酸モノグルクロナイドには、発ガン予防効果等の薬理作用がある。
サポニンは、任意の成分であり、水分散用抽出物含有組成物中の含有量は、0〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜12重量%である。
また、乳化剤含有組成物中にカチオン界面活性剤として機能するレシチンを添加することにより、本発明の水分散用抽出物含有組成物を水に希釈分散させた飲料の耐熱性及び酸性下での分散性を向上させることができる。レシチンとは、代表的なグリセロリン脂質で、主に卵黄及び大豆から調製されたものが乳化剤として広く食品に利用されている。グリセロリン脂質の主なものとしては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸などがある。また、レシチンのエステル結合を酵素(ホスフォリパーゼ)により加水分解して得られるリゾレシチン、酵素的にレシチンのホスファチジル基を水酸基含有化合物に転移させた酵素転移レシチン等、レシチンを酵素的に改質したものもある。これらの中では、親水性の高いリゾレシチンが特に好ましい。
レシチンは、任意の成分であり、従って、水分散用抽出物含有組成物中の含有量は、0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
以下、本発明を具体化した実施例1〜14について、比較例1〜10と比較しつつ詳細に説明する。
(実施例1〜12)
<水可溶性プロポリス液の調製>
ブラジル産プロポリスの粉砕物1重量部に対し、2重量部の75v/v%−エタノール水溶液を加え、室温にて2日間攪拌抽出後、濾過してプロポリス抽出液を得る(固形分24重量%)。この抽出液586gにサポニン(丸善製薬社製、商品名「キラヤニンS−100」)100g、リゾレシチン(ツルーレシチン工業社製、商品名「SLPホワイトリゾ」)45g、デカグリセリンモノラウレート(三菱化学フーズ社製、商品名「リョートーポリグリエステルL−7D」):デカグリセリンセスキオレエート(三菱化学フーズ社製、商品名「リョートーポリグリエステルO−15D=4:1の重量比の混合物197gを加え、撹拌して乳化させることにより、透明な水可溶性プロポリス液を得る。この水可溶性プロポリス液が乳化剤含有組成物である。
<乳化剤含有組成物と糖粉末との混合>
上記の水可溶性プロポリス液2gに対し、糖粉末10gの割合で混合し、乾燥機で乾燥させて淡褐色〜茶褐色のプロポリス抽出物含有粉末を得た。このプロポリス抽出物含有粉末が水分散用抽出物含有組成物である。糖粉末の種類としては、実施例1ではトレハロース、実施例2ではキシリトール、実施例3ではシュクロース、実施例4ではグルコース、実施例5ではフルクトース、実施例6ではガラクトース、実施例7ではラクトース、実施例8ではソルビトール、実施例9では無水結晶マルトース、実施例10ではエリスリトール、実施例11では還元麦芽糖(株式会社 林原製 「マビット(登録商標)」、実施例12ではラクトスクロースを用いた。
(比較例1〜8)
実施例1〜12における糖粉末の替わりに、比較例1では高度分枝環状デキストリン(商品名「クラスターデキストリン」 江崎グリコ(株)製)、比較例2では水溶性食物繊維(商品名「サンファイバー」 太陽化学工業(株)製)、比較例3ではマルトデキストリン(商品名「パインデックス」 松谷化学工業(株)製)、比較例4ではシクロデキストリン、比較例5ではアラビアゴム、比較例6ではビタミンC、比較例7では塩化ナトリウム、比較例8ではステビアを用いた。他の条件は実施例1〜12と同様であり、説明を省略する。
(評 価)
実施例1〜12及び比較例1〜8のプロポリス抽出物含有粉末1gを水10mlに加え撹拌した後、その状態を目視によって観察した。評価基準としては、0〜5までの6段階で評価し、0が「透明」、1が「ほぼ透明」、2が「やや不透明」、3が「不透明(乳濁までにはいたらない)」、4が「乳濁」、5が「沈殿が発生」とした。結果を表1に示す。また、それらの写真を図1〜3に示す。
表1及び図1〜3に示すように、糖粉末として単糖類を用いた実施例4〜6、二糖類を用いた実施例1、3、7、9、糖アルコールを用いた実施例2、8、10、11、オリゴ糖を用いた実施例12、のいずれにおいても透明性の評価が「0」となり、極めて優れた透明性及び分散性を示した。
これに対し、比較例1〜7では、いずれも3以上の評価となり、分散性に劣っていた。特に、シクロデキストリンを用いた比較例4では評価「5」となり、通常可溶化のために用いられるシクロデキストリンを用いても、分散性が極めて悪いことが分かった。また、ステビアを用いた比較例8では透明性の評価が「2」となり、若干の濁りはあるが、ある程度の分散性を示した。このことから、分散性にさほど影響しない甘味料として、ステビアを使用できることが分かる。
また、糖粉末としてトレハロースを用いた実施例1のプロポリス抽出物含有粉末について、水に対する溶解性を調べた。すなわち、水20mlに対し、実施例1のプロポリス抽出物含有粉末を0.2g、1.0g、5.0g、10.0g及び20.0g添加して撹拌し、溶解性を目視により測定した。その結果、図4に示すように、いずれの濃度においても濁ることなく溶解した。
また、実施例1〜12のプロポリス抽出物含有粉末を−20°Cで6ヶ月間保存した後、同様の試験を行ってところ、その評価は変わらなかった。このことから、長期間の冷蔵・冷凍が可能であることが分かった。
(実施例13)
実施例13では、糖粉末としてトレハロースを用い、トレハロース10gに対して水可溶性プロポリス液を0.1g、1.0g、2.0g、5.0g、10.0g、20.0gの割合で添加し温風乾燥させた。他の条件は実施例1のプロポリス抽出物含有粉末と同様であり、説明を省略する。その結果、水可溶性プロポリス液を0.1g添加した場合には、僅かに褐色を帯びた白色粉末となり、プロポリス特有の臭味が僅かに感じられた。また、1.0gの添加では淡黄褐色の粉末となり、プロポリス特有の臭味と刺激とが明らかに感じられた。さらに2.0gの添加では、淡褐色の粉末となり、プロポリス特有の臭味と刺激とが強く明らかに感じられた。また、5.0gの添加では乾燥中に塊状となったため、再度粉砕して黒褐色粉末を得た。このものは、プロポリス特有の臭味と刺激とが非常に強く、固まりやすくて取り扱いが困難であった。
(実施例14)
<水可溶性イチョウ葉液の調製>
乾燥イチョウ葉(株式会社美濃関企画製)の粉砕物1重量部に対し、5重量部の80v/v%−エタノール水溶液を加え、室温にて2日間攪拌抽出後、濾過してイチョウ葉抽出液を得る。このイチョウ葉抽出液100mlに、サポニンとして甘草抽出物(丸善製薬社製、商品名「リコリスター」)4gを加え、さらにデカグリセリンモノラウレート(三菱化学フーズ社製、商品名「リョートーポリグリエステルL−7D」):デカグリセリンセスキオレエート(三菱化学フーズ社製、商品名「リョートーポリグリエステルO−15D=4:1の重量比の混合物4gを加え、撹拌して乳化する。そしてさらに減圧濃縮によってイチョウ葉抽出エキス含量が2倍となるまで濃縮することにより、透明な水可溶性イチョウ葉液を得る。この水可溶性イチョウ葉液が乳化剤含有組成物である。
<乳化剤含有組成物と糖粉末との混合>
上記の水可溶性イチョウ葉液1.5gに対し、トレハロース10gの割合で混合し、乾燥機で乾燥させて淡褐色のイチョウ葉抽出物含有粉末を得た。このイチョウ葉抽出物含有粉末が水分散用抽出物含有組成物である。
<評価>
実施例14のイチョウ葉抽出物含有粉末1gを水30mlに加えて撹拌したところ、淡黄色透明の液となった。この液はイチョウ葉特有の匂いを有し、甘さの中に軽い苦味のある飲みやすい飲料であった。
(比較例9)
比較例9は、上記実施例14を製造する場合に原料として用いたイチョウ葉抽出液4mlをトレハロース10gに吸着させ、さらに乾燥させた粉末である。この粉末を水に加えて撹拌したところ、沈殿物を伴う不透明な淡黄色液体となり、甘みと舌に残るえぐみのある飲料となった。
(比較例10)
比較例10は、上記実施例14を製造する場合に原料として用いたイチョウ葉抽出液を減圧乾燥させた黒色固形物である。この比較例10の固形物1gを水10mlに加えて撹拌したところ、不溶性の沈殿が多量に残った。
本発明はプロポリスのエタノール抽出物やイチョウ葉抽出物等、生物由来の水難溶性抽出物を水に溶け易い粉末状とすることができるため、お茶や紅茶等の他の飲料への添加物として利用することができる。
実施例1〜9のプロポリス抽出物含有粉末を水に分散させた液の写真である。 実施例10〜12のプロポリス抽出物含有粉末を水に分散させた液の写真である。 比較例1〜8のプロポリス抽出物含有粉末を水に分散させた液の写真である。 実施例1のプロポリス抽出物含有粉末についての水に対する溶解性を示す写真である。

Claims (6)

  1. プロポリス由来の水難溶性抽出物1〜50重量%と、炭素数8〜22の脂肪酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステル1〜99重量%と、サポニン1〜15重量%と、レシチン0.1〜15重量%とを含有し、該ポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリン飽和脂肪酸エステルと平均エステル化率3〜25%のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルとからなり、該サポニンが、甘草サポニン、茶葉サポニン、人参サポニン、キラヤサポニン、大豆サポニン、酵素処理大豆サポニン、茶種子サポニン、ビートサポニン、エンジュサポニン及びユッカフォーム抽出物の群から選ばれた少なくとも1種である乳化剤含有組成物が、
    トレハロース粉末と混合されていることを特徴とする水分散用抽出物含有組成物。
  2. (乳化剤含有組成物含有量)/(トレハロース粉末含有量)が重量比で0.001〜0.3であることを特徴とする請求項1記載の水分散用抽出物含有組成物。
  3. ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルの構成脂肪酸の70重量%以上がラウリン酸及び/又はミリスチン酸であることを特徴とする請求項1又は2の水分散用抽出物含有組成物。
  4. ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルの構成脂肪酸の70重量%以上がオレイン酸であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの1項記載の水分散用抽出物含有組成物。
  5. ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルはデカグリセリンモノラウレート及び/又はデカグリセリンモノミリステートであり、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルはデカグリセリンオレエートであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの1項記載の水分散用抽出物含有組成物。
  6. 請求項1〜の何れかに記載の水分散用抽出物含有組成物を水に分散させて成ることを特徴とする飲料。
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