低速普及機における短寿命部品と消耗品を一体化したカートリッジ方式は、部品寿命が来る前に消耗品であるトナーが無くなるように設計されている。使用者がトナーの無くなる度に一体化カートリッジを交換することにより、大量にプリントしなければ結果として装置のメンテナンスは不要となる。低速機においては生涯プリント枚数が比較的少ないため、短寿命部品以外の本体部品が寿命に達する以前に買い替えられることが通常行われているからである。カートリッジは扱いがシンプルで、実質的にメンテナンスフリーを実現するすぐれた方式であり、使用者に広く支持されている。
しかしカートリッジ部品の寿命は短寿命部品で構成されているとはいえ、トナーが使いきられる枚数よりはるかに長い。これらの部品もトナーに合わせて交換される現状では、多くの使用可能部材が廃棄されることになり、省資源、廃棄物処理及び使用者のコスト負担の観点において問題を含んでいる。一体化カートリッジが開発された当時とは異なり、最新の技術進展により最短寿命部品でも3〜4万枚プリント可能の耐久性を有する。一方のトナー容量は、20ppm(ppm:1分間にプリントする枚数)以下の低速普及機では2,000枚から5,000枚であるのが普通である。なおプリントスピードが30ppmクラスの中速機では1万枚容量の一体化カートリッジもあるが、最短寿命部品の耐久性は数万枚以上に設計されているので低速普及機と同様の問題を含んでいる。
このような事情から、装置提供者は部品のリサイクルを目的にカートリッジの回収に努めている。しかし全数回収は現実的に不可能である。また回収する際にカートリッジ部材の完全なる保全もその形態上困難であり、その結果、実際に再利用される部材はきわめて少なく限られている。また必然的に使用者が負担するプリントコストも高くなっている。
その点消耗品補充方式は部品の無駄遣いが少なく、省資源の観点からカートリッジ方式より合理的である。しかし該消耗品補充方式においては、必然的に装置のメンテナンスが必要になり、たとえば基本的に高コストな出張サービスによるメンテナンスを組み合わせることになる。プリント枚数の多い高速機では部品や機構にコストをかけ長寿命化を図り、メンテナンスサービスの頻度を下げることによりプリントコストを下げている。
しかしプリント枚数の少ない低速機では部品や機構に大きなコストをかけることができず、相対的に廉価短寿命部品を使わざるを得ない。これにメンテナンスサービスを適用しても頻度が高くなり一層の高コストを余儀無くされ現実的ではない。使用者のサービスコールに素早くかつ完全に対応するため、装置提供者は、サービス拠点網の拡大及び各拠点におけるフィールドエンジニアの増強、実際の使用頻度が極めて低いものを含めた,全ての補修部品のストックなどの負担を強いられる。膨大な人的・資材的コストがかかるため、かなりのプリントボリュームが見込まれる中・高速機分野以外は採算があわない。このような実態から、低速機においてはカートリッジ方式から脱却できないでいるのが現状である。
以上の現状認識から電子写真方式記録装置における課題は明確である。すなわち、部品の無駄遣いによる不要コストの排除、部品を寿命近くまで使い切る無駄の無い仕組み、コストのかかる出張メンテナンスサービスを不要にすること、カートリッジ交換に匹敵する簡便で安心な方式、これら全てを満たす装置を開発することであり、それを実現する技術の開発である。本発明はこの課題解決を目的としている。
この目的を実現する技術を最大限に活用すれば、記録装置使用者および提供者の両者における廃棄物の低減すなわち「記録装置ビジネスにおける廃棄物低減」が可能になり、さらには「使用者にとって購入しやすい価格体系」を考案することが可能になる。
本発明は上記目的を達成するために、第1の解決手段として、リースあるいはレンタル方式に於いて繰り返し用いられる電子写真方式記録装置であって、該記録装置を構成する部材の使用限界枚数のうち、短寿命部材の使用限界枚数に安全率をかけた所定枚数までプリントできるだけのトナーが内填されていること、該記録装置が具備するトナー消費量リアルタイムモニタリング手段と内臓コンピューターシステムにより少なくとも印刷枚数を含む印刷状況情報と必要に応じて課金情報を表示する機能を具備し、上記コンピューターシステムによりこれらの情報が記録装置提供者の有する代金決済システムと連動し課金が全うされる機能を具備すること、上記トナー消費量リアルタイムモニタリング手段が各色トナーのいずれかにおいて、トナー切れに至る直前のあらかじめ決められた所定時期に到達したことを最初に検知した時、「記録装置が間もなくリファービッシュのための交換時期になる」ことを使用者と記録装置提供者に告知する手段を具備すること、この告知情報を基に記録装置が交換されること、を特徴とする電子写真方式記録装置を考案したものである。
そして第1の解決手段の付加的解決手段として、「記録装置が間もなく交換の時期になる」ことを告知する所定時期が、標準時期と他の時期に変更可能とした。
さらに使用後の記録装置の搬送に対する機能保全機構を具備するものとした。
第2の解決手段は、第1の解決手段記載の電子写真方式記録装置であって、さらに、記録装置使用者が行う消耗品の補充や交換およびメンテナンスのための出し入れの対象部材は転写紙収納容器のみであり、それ以外の一切の部材は出し入れ出来ないように記録装置本体に固定されていること、および紙詰まり処理のための開閉機構以外に、内部部材には使用者が触れないように、一切の開閉機構を具備していないこと、を特徴とする電子写真方式記録装置である。
第3の解決手段は、電子写真方式記録システムであって、解決手段1記載の電子写真方式記録装置本体と該記録装置本体を収納し搬送する梱包箱を用い、該記録装置が具備するトナー消費量リアルタイムモニタリング手段と内臓コンピューターシステムにより少なくとも印刷枚数を含む印刷状況情報と必要に応じての課金情報を作り表示し、これらの情報を記録装置提供者の有する代金決済システムに送信し、これを基に印刷代金の決済を全うする印刷従量課金サブシステムと、上記トナー消費量リアルタイムモニタリング手段が各色トナーのいずれかにおいて、トナー切れに至る直前のあらかじめ決められた所定時期に到達したことを最初に検知した時、「記録装置が間もなくリファービッシュのための交換の時期になる」ことを使用者と記録装置提供者に告知し、該告知情報に基づいて先ず梱包箱に収められた代替記録装置が使用者に送付され、次いで該梱包箱を用い前記交換の時期に到達した記録装置が記録装置提供者に返送され、リファービッシュされ繰り返し使用される、記録装置本体交換式メンテナンスのサブシステム、とからなることを特徴とする電子写真記録システムである。
その他の解決手段として、第4は、記録装置提供者と使用者の間の約款がレンタルあるいはリースであり、その価格体系が、少なくとも、当該記録装置の想定通常販売価格の割引価格である初期費用と、想定通常販売価格と初期費用の差額である残額の分割払い額と、プリント代金とで構成されることを特徴とする繰り返し使用される電子写真方式記録装置の販売方法である。
そして、装置価格の残額である分割払い総額を、預かり保証金として記録装置提供者が使用者から預かり、契約終了に当たり返却することを特徴とする繰り返し使用される電子写真方式記録装置の販売方法である。
第5の課題解決手段は、電子写真方式記録装置のトナー量モニタリング手段であって、トナーの攪拌などが行われていない静止状態で測定される間歇的なトナー量の実体測定手段と、記録情報量に相当する画像書き込み用光パルスの数量からトナー消費量を推定する発光量積算式手段とを持ち、この発光量積算式手段で得られたトナー消費量を実体測定から算出されたトナー消費量で補正しモニター値とすることを特徴とするトナー量モニタリング手段である。
そして、プリント毎にトナー量モニタリング手段を用いてトナー消費量を算出し、その算出値を予め決められた標準印字率のプリント枚数に換算し表示することを特徴とするプリント枚数リアルタイムモニタリング手段である。
さらに、トナー量の実体測定手段が、光源と光収束手段と受光素子及び結像手段を有し、トナー層の上面の位置を検知するものであることを特徴とするトナー量モニタリング手段である。
またさらに、トナー量の実体測定手段が、トナー層の上面にフロート部材を置き、その位置を検知するものであることを特徴とするトナー量モニタリング手段である。
第6の課題解決手段は、電子写真方式記録装置において、記録装置が搬送される時、この装置の一部を構成するトナーを内包する機構及び容器と像担持体の間隙を塞ぐ部材を、トナーを内包する機構および容器の間隙位置に具備することを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
そして、トナーを内包する機構及び容器と像担持体の間隙を塞ぐ部材が、固定軸を支軸として回転可能な偏心ローラであることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
さらに、その偏心ローラは駆動手段に結合されており、記録装置の通電時には偏心ローラが像担持体から離隔し、非通電時には像担持体に密着することを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
第7の課題解決手段は、トナーを内包する機構及び容器を像担持体に密着する部材が、空気の注入により膨張する弾性体の管であることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
そして、この管が、定量の空気を注入できるような送気機構に結合されていることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
さらに、この管が圧力調節機構に結合されていることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
またさらに、この送気機構は所定容積を有する蛇腹とそれを圧縮するための空気による加圧手段からなることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
またさらに、この送気機構は記録装置の梱包材に具備されており、梱包時に自動的に送気されるようになっていることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
またさらに、空気による加圧手段が梱包材の一部をなす空気袋であって、梱包時に記録装置の重力によりその空気袋の内圧が高まり、それにより蛇腹が圧縮されるようになっていることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
第8の課題解決手段は、電子写真方式記録装置において記録装置が搬送される時、少なくとも「現像容器と像担持体の間隙」と「該間隙と相対する部材」の両者が定常位置から開かれ両者間に伸縮自在のマットが挿入され、次いで両者は元の位置に戻され、これによって伸縮自在のマットが圧縮反発し該間隙が塞がれることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
そして、伸縮自在のマットがエアーマットであることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
さらに、伸縮自在のマットが軟質発泡プラスチックであることを特徴とするトナー漏れ防止方法である。
第9の課題解決手段は、電子写真方式記録装置において、この記録装置が搬送される時、レバーの操作で可動部材を可動域の一方向に押し付けて固定することを特徴とする可動部材振動防止方法である。
第10の課題解決手段は、この記録装置が搬送される時、記録装置の一部が記録装置外の押圧部材と当接することにより、可動部材を可動域の一方向に押し付けて固定することを特徴とする可動部材振動防止方法である。
さらに、この押圧部材が梱包箱に具備されていることを特徴とする可動部材振動防止方法である。
またさらに、この押圧部材が空気袋であることを特徴とする可動部材振動防止方法である。
第11の課題解決手段は、記録装置の搬送における機能保全のための梱包箱に関わり、これは蓋、胴および底の3部分に分割でき、各々が独立的に、内側に互いに空気通路で連通された複数のエアー・セルからなる空気袋を有し、その空気袋は空気の注入および排出のための開口部を有していることを特徴とする梱包箱である。
そして、この底に具備された空気袋に記録装置の配置が一意的に決められるような記録装置の脚受け皿を有していることを特徴とする梱包箱である。
さらに、この梱包箱の中に送気機構を有することを特徴とする梱包箱である。
第12の課題解決手段は、紙がその表面および裏面に対向するガイド板により給紙搬送される電子写真方式記録装置において、一方のガイド板が画像形成部機構と一体化して紙表面対向部を形成し、他方のガイド板が紙搬送部機構と一体化して紙裏面対向部を形成し、紙の進入位置に到達した紙の面に関して紙搬送路とは反対側に回転軸を設け、該回転軸を中心に画像形成部機構と一体化した紙表面対向部を、紙搬送部機構と一体化した紙裏面対向部から回転離隔して、該両部間を開放することを特徴とする紙詰まり回復機構である。
そして、この紙表面対向部が定着装置の紙表面対向機構と一体化しており、紙表面対向部が紙裏面対向部から回転離隔する時に、定着装置の紙表面対向機構と紙裏面対向機構の一方あるいは双方がカバーで覆われることを特徴とする紙詰まり回復機構である。
さらに、この両部間が開放されている時には定着装置の紙表面対向機構と紙裏面対向機構が圧接状態から解放されるかあるいは離隔することを特徴とする紙詰まり回復機構である。
第13の課題解決手段は、電子写真方式記録装置において、対向する2枚の側板に受け部材を設け、その部材に少なくとも感光ドラム、現像装置、クリーナ装置、帯電装置を個別に組付け、それらの部品、装置を抑え部材により固定する構造を特徴とする電子写真方式記録装置である。
前記各課題解決手段の作用は以下のとおりである。第1の課題解決手段による作用は次のとおりである。この発明になる記録装置はトナー量モニタリング手段を具備しており、このモニタリング手段がトナー切れに至る直前のあらかじめ決められた所定時期において、「記録装置が間もなく交換の時期になる」ことを告知するのである。そしてこの告知を受けて代替記録装置が使用者に送付される。このようにして、トナーが無くなる直前に記録装置が知らせてくれるので、使用者は装置提供者に伝え代替機を入手し、途切れることなくプリントができる。一方装置提供者は使い終わった記録装置をリファービッシュして再活用できる。清掃、寿命間近の部品の交換、トナー補給、その他のメンテナンスが、使用者サイドではなく提供者サイドで行なわれるので、フィールドサービスマンによる出張サービスに比し、資材・労力・作業プロセス・コストにおいて合理性を極大化できる。
そして、「記録装置が間もなく交換の時期になる」ことを標準時期以外に表示するよう変更可能なので、大量使用者における代替機の到着遅れや、少量使用者における代替機の早すぎる到着等を回避できる。
さらに、記録装置が具備するトナー消費量リアルタイムモニタリング手段と内臓コンピューターシステムにより少なくとも印刷枚数を含む印刷状況情報と必要に応じて課金情報を表示する機能を具備し、上記コンピューターシステムによりこれらの情報が記録装置提供者の有する代金決済システムと連動し課金が全うされる機能を具備することは、リースあるいはレンタル方式に於いてリファービッシュのための記録装置全体交換を行うシステムを効果的にせしめ、そこで最も合理的な消費トナー量従量課金を実現するものである。
第2の解決手段による作用は、紙以外の消耗品交換が無いことと、ジャム紙処理のための開閉以外は開閉不必要であることを活かし、その他の部材出し入れと装置の開閉を無くしたことにより、使用者が不必要にあるいは不用意に装置内部に触れることを防ぐ働きを持つことである。
第3の解決手段による作用は、トナー消費量従量課金システムと、リファービッシュのための記録装置全体交換方式を具現化するシステムの組み合わせで、第1の解決手段の記録装置の特徴を最適に引き出すものである。
その他の解決手段による作用は、第4としてレンタルにおいて他の分野ではごく普通に採用されているビジネス形態を、電子写真方式記録装置のビジネスに適用するものであり、特にこれまで困難であったプリント代金の「使った分だけ支払う」ことを組み込むことができたので、その作用として装置使用者にレンタルの長所を存分に享受してもらえるようになることである。
そして、上記レンタルの中に「預かり保証金」を設けたことは、使用者には割高とならない分割払い額をもたらし、提供者にはレンタルビジネスにありがちな資金回収の遅れを解消する作用をもたらす、一石二鳥の効果を生み出すのである。
第5の課題解決手段による作用は、発光量積算式手段で得られたトナー消費量をトナー量の実体測定手段で得られるトナー消費量で補正するので、発光量積算式手段のみでは累積されてしまう実際の消費量との誤差を解消できる。
そして、発光量積算式手段でプリント毎にトナー消費量が得られる。これを標準印字率のプリント枚数に換算し表示することにより常に現在の使用量がわかるので、プリント料金計算において装置使用者と装置提供者の双方にとり好都合である。
さらに、トナー量の実体測定手段が、光源と光収束手段と受光素子及び結像手段を用い、トナー層の上面の位置を検知するものであることにより、簡便な構成で確実に残存トナー量を知ることができる。
またさらにトナー量の実体測定手段が、トナー層の上面にフロート部材を置き、その位置を検知するものであることにより、残存トナー量の検知精度が向上する。
第6の課題解決手段による作用は、使用後の記録装置において、トナーを内包する現像器やクリーニング装置と像担持体との間隙をシールすることによって、その後の装置搬送における激しい振動や衝撃に対してトナー漏れを防止することができることである。
そして、偏芯ローラは単純な機構であるが、問題の間隙を確実にシールすることができる。使用者は、容易に識別できる色つきレバーを矢印の方向に回転させるという単純な処置を行うだけでよい。
さらに、偏芯ローラの回転セットを自動的に行うことで、使用者への負担をさらに減らし、うっかりミスも防止することができる。
第7の課題解決手段による作用は、上記第5の課題解決手段と同様に、トナーを内包する装置と像担持体との間隙をシールすることができるが、細いチューブ状のシール材なので狭小空間にも配置することができ、現像器やクリーニング装置の下部だけでなく、これらの上部の像担持体との間隙にも適用できるものである。
弾性体の管は、空気の注入で簡便に膨張させることができて、対向する物に容易に当接させることができ、しかも広い面に分散された穏やかな圧力によってもよく密着させることができ、高いシール性を得ることができる。
さらに、空気の注入という安全で簡便な方法でシール性を得ることができるので、記録装置の内外を問わず、シール機能を動作させる手段を設けることができる。
さらに、梱包箱と組み合わせることにより、記録装置を梱包箱に入れた時に自動的にシール機能を動作させるようにすることもできる。
第8の課題解決手段による作用は、使用後の記録装置において、ジャム紙除去と同じ処置動作で搬送路とプロセスユニットの間が開放され、そこに伸縮自在のマットが挿入され、次いで解放された本体が元に戻されると、搬送路とプロセスユニットにこの伸縮自在のマットが挟まれ圧縮反発する、この作用でプロセスユニットの一部を構成するトナーを内包する現像器やクリーニング装置と像担持体との間隙が反発し膨らんだマットの一部によってシールされる、というものである。これよって、その後の装置搬送における激しい振動や衝撃に対してトナー漏れを防止することができる。
そして、プロセスユニットが比較的大きく、かつ記録装置を閉じた時トナーを内包する現像器やクリーニング装置と像担持体との間隙と搬送路の距離が大きい場合でも、伸縮自在のマットとしてエアーマットを用いることで、エアーマットは確実に膨らみ間隙をシールする。
さらに、伸縮自在のマットとして軟質発泡プラスチックを用いることで、プロセスユニットが比較的小さく、記録装置を閉じた時トナーを内包する現像器やクリーニング装置と像担持体との間隙と搬送路の距離が短い場合に限られる使い方であるが、極めて単純なシートを置くだけで目的を果たせるのである。
第9の課題解決手段による作用は、電子写真方式記録装置が搬送される時、装置の外部に伸びて設けられたレバーの操作で、ばね等で付勢された可動部材を可動域の一方向に押し付けるものであるが、これにより可動部材はしっかりと固定され、その後の装置搬送における激しい振動や衝撃に対しても破損や機能の阻害を防止できる。
第10の課題解決手段による作用は、その可動域の一方向への押し付け固定を梱包箱に具備された部材の押圧で行うことを特徴とする可動部材振動防止方法である。これは振動防止機能を発揮するに止まらず、使用者に可動部材振動防止のアクションを特別に要請すること無く、梱包箱へ記録装置を入れるだけで自動的に施されるので、ケアレスミスが防げるのである。
第11の課題解決手段による作用は、記録装置の搬送における、梱包作業の容易さと機能保全性能と繰り返し使用を実現するための梱包箱に関わり、特に内部を空気袋で形成することにより記録装置は均等に密着したエアクッションで包囲されて安定な保持力と耐衝撃性が保障される。
そして、この梱包箱の底に設けられた位置決めの足受け皿が、梱包における収まりミスを防いでくれる。
さらに、梱包箱内に送気機構を持つことで、これがトナー漏れ防止のエアーチューブをアクチュエイトさせることができるのである。
第12の課題解決手段による作用は、電子写真方式の記録装置においては避けることのできない紙詰まりの回復処理に関わり、たとえばUターンタイプの紙搬送を採用した装置においても、単一操作で装置内の全紙搬送経路が一望でき、かつその状態で紙詰まりの回復処理も可能になる。従来はUターン部の外側でその中央部近傍に回転軸を設け画像形成部と紙搬送部を開放していたが、これではUターン部の紙進入位置までは開放されなかった。そのためさらにUターン部の紙進入位置まで手が届くように別途Uターン・ガイドの一部を開放する機構がとられていた。これが単一操作でできるようになるのである。
そして、紙詰まり回復処理のため上記のように紙搬送経路を開放するとき、定着装置も同様に開放する場合は高熱に対する安全性の確保が必須であり、上記課題解決手段の付随手段は定着装置に開放時カバーをすることで達成するものである。
さらに、紙詰まり回復処理の時、定着装置だけは大きく開放しないで、挟持された紙を引き出せるだけの開放とするものである。
第13の課題解決手段による作用は、対向する2枚の側板に受け部材を設け、その部材に少なくとも感光ドラム、現像装置、クリーナ装置、帯電装置を個別に組付け、それらの部品、装置を抑え部材により固定する構造としたので、組み立て工程が簡単になり、カートリッジ方式に比べて2重に構造体を設けることがないので構成も簡単になり、かつ完全に分解しなくても部品の取り出しが出来るので、メンテナンスも容易な装置が実現される。
1.比較的大量のトナーを収容し、使い切る寸前に代替機と全取り換えを行う、という本発明は、▲1▼実質的にメンテナンスフリーを実現し、使用者に使いやすさとともに安心を提供する。▲2▼無駄な廃棄物を大幅に低減させる。▲3▼新規なレンタル方式を可能とする。その効果として記録装置の低廉な導入費用と、割高ではない分割払い額と、実際に使ったトナー量に応じたプリント代金支払い方法を可能とする。
2.従来の一体型カートリッジ交換方式に比べ廃棄される部材の量を大幅に低減できる。一例として、従来の一体型カートリッジ交換方式に多くみられる2,500枚毎の交換に対し、本方式が1万枚毎の交換であれば、カートリッジ交換方式に比し3回分の無駄が省ける。カートリッジ部材の一部はリユースする努力がされているが、仮に1回に300gのカートリッジ部材が再利用されないとすると、合計900gの廃棄処分が生ずる。仮に100万台の装置が1万枚プリントした場合、一体型カートリッジ交換方式は本方式に比し900トンの無駄が生じる。もちろんこの全てが廃棄されるのではなく可能な限りの資材リサイクルの努力がされているが、現実的には限界がある。
3.従来のトナーカートリッジによる補給方式に比べても廃棄される部材の量を低減できる。それに加え、使用者に好まれないメンテナンス作業が不要となる。従来のトナーカートリッジは、それ自体が商品である関係上、包装にも一応の体裁が必要であり、機能保障のための緩衝材内包ダンボール箱が使用されている。カートリッジ容器を含めてこれらほとんどが廃棄物となり、分別廃棄の努力が必要である。本発明に成る方式においては、使用者サイドでは、交換した使い古しのトナー容器や、カートリッジの梱包や使い古したカートリッジなどの廃棄物は全く無い。購入時や交換時も梱包箱を通い箱として繰り返し使うので、まったく無駄が無い。
4.本方式の最適なビジネスモデルであるレンタルでは、装置は基本的に装置提供者に所属し、装置提供者が生涯にわたり完全に管理できる。それぞれの部品の過不足のない最適なタイミングでメンテナンスと交換が管理できる。プリベンティブメンテナンスであり使用者の利便性が高い。部品は寿命近くまで使われ、部品在庫も工場やリファービッシュセンターで集中的に管理されるので効率が高い。無駄なサービス用の分散的ストックが不要なのである。メンテナンスを行うフィールドエンジニアは基本的には必要ない。その人的、資材的コストと車や交通費が不要である。
5.またこの新規なレンタル方式では、使用者は極めて廉価な初期費用で記録装置を使い始めることができる。その後も使用量に応じた分割払いなのでこれも納得性が高い。消耗品も使った分だけをたとえば月額で払えばよいので、同様に納得性が高くかつ払いやすい。ビジネス全体を通じて無駄が省けることを活かしてプリント代金そのものも低減できる。
6.トナー量リアルタイムモニタリング方法の効果:従来多用されているトナー量の実体測定方法は分解能が低く、プリント毎のトナー使用量を検出できるものではない。しかし一定の精度の下、確実にトナー量を測れる。一方発光量積算方式はプリント毎のトナー使用量の近似値を検出できるが、使って行くうちに誤差の積算が拡大し精度が次第に低下していく。本発明の方法では、プリント毎のトナー使用量の近似値を検出することができ、積算誤差は間歇的に補正され、一定の精度で確実にトナー量を測ることができる、リアルタイムモニタリング方法である。
本発明においては従来のいわゆる「トナー残量有無検知」手段とは異なり、トナーが無くなることを検知するだけではなくトナーの残存量を常に検知しているので、使用したトナー量がいつでも把握可能である。これにより▲1▼使用者はトナー使用量の節約に達成感を覚える。自動車におけるリッター当りの走行距離表示が生み出す効果と同様である。▲2▼ある色が極端に減少していると、ドラフト等のプリントを他の多く残っている色で行い、交換時期を少しでも伸ばすことができる。▲3▼プリントした分だけ支払う、それも単にプリントした回数ではなく、実際にプリントで使用したトナー量に比例して支払う、ということができる。使用者にとって極めて納得のいく新しい課金方式が可能となる。
7.トナー漏れ防止手段の効果
これまで詳述したいずれのトナー漏れ防止手段も、「トナー内包機構及び容器と像担持体間に生じる間隙」を、記録装置が搬送される前に確実に塞ぐものである。トナー漏れ防止手段を持たない記録装置に対し、天地反転を含むさまざまな姿勢において搬送時の振動や衝撃を与えたところ、主に現像装置の下部、また使用済みの記録装置においては特にクリーニング装置の下部にトナーが漏れ出し、さらにそこから紙搬送部や駆動機構部にトナーが飛散し付着した。光学部品にもわずかではあるがトナー付着が認められた。同時に本発明の搬送用梱包箱に入れて同様な振動や衝撃を与えたところ、トナーの漏れる量は低減したが完全ではなかった。一方、トナー漏れ防止手段をセットし同様な振動や衝撃を与えた場合、間隙にトナーは充満していたが漏れ出しは一切なかった。トナー漏れが効果的に防止されたのである。
かように、本発明によるトナー漏れ防止手段を用いれば、特に使用済みの装置を搬送するに際し発生し易いトナー飛散を容易に防止できる。記録装置内のトナー飛散が無くなれば、記録装置のリファービッシュ作業が簡素化され、構成部品の再利用化も促進される。さらに、供給者から新たな記録装置を出荷するに際しても梱包作業が容易になる。
8.梱包箱の効果:本発明による梱包箱を用いれば、搬送が困難な使用後の装置の搬送保全が確実になり、搬送時のダメージやトナー飛散が防止され、装置のリファービッシュが容易になる。梱包作業も開梱作業も容易であり、梱包箱は提供者から使用者への搬送にも使用者から提供者への搬送にも繰り返し使用でき、しかも梱包箱の保管に場所をとらない。このような記録装置本体の搬送に対する保護の点だけでなく、資源保護の観点からも有益なやり方である。コストは、使い捨てダンボール箱に比しかなり高価なものであるが、繰り返し使うので1回当たりのコストはむしろ低くなる。コスト削減効果以上に価値が高い点は、一切の廃棄を出さないことである。現在の大量のダンボール箱と発泡スチロールの廃棄物の弊害は、本発明においては一掃されるのである。
9.紙詰まり回復手段の効果:本発明による機構を用いることにより、使用者の単一操作での紙詰まりの回復処理が可能になり、使用者の作業は極小化される。また使用者のミスによって惹起される不測の故障は低減されるので、メンテナンスサービスが原則的に無いことを前提とする本発明の方式によく馴染み、また使用者の作業が低減されるので、使用者は安心して記録装置を使用できる。
10.落とし込み構造の効果:本発明によれば、プロセスカートリッジを各色独立して構成し、各々をプリンタ本体に取り付ける従来の方式と異なり、プリンタ本体に直接プロセスの各構成要素を組み付けるので構成部品数も減り、組み立て工数も少なくなり、大幅なコスト低減が可能となる。また分解も容易でメンテナンスが容易である。さらにプロセス要素を組み込んだ側板を含む構造体の強度が向上し、かつ全体の幅も短縮できる。このような方式はプロセスカートリッジの交換によりメンテナンスを行うのではなくプリンタ本体を返送してメンテナンスを行うという新たな考えのもとに可能となったものである。
以下本発明の実施の形態を図を用いて説明する。最初に記録装置を構成する部材の中の最短寿命部材について、メンテナンスを必要とするプリント枚数を調べた。製品が対象とする市場やマーケティングの要請から製品仕様が決められ、それに合わせた過不足のない使用材料や設計構成が選ばれ、それらの部材から装置のメンテナンス間隔が決定される。小型の低速普及機においては、感光体をコーティングした像担持体や用紙のピックアップ・ローラが最初にメンテナンスを必要とする部材であった。特にカラーもモノクロ同様のプリントスピードを持ちながら、最近の流行である薄型デザインを実現するには、直径30mm以下の像担持体が必要であり、像担持体の周長が短くなった分だけ寿命が低下している。ピックアップ・ローラの短寿命の主たる要因は、表面への紙粉付着である。従来は、クリーニングペーパーを通してローラを清掃したり、それでも改善されないときは水を含ませた雑巾などで清掃したりすることを使用者に勧め、高価なサービスエンジニア派遣を避けている。もちろんこれらは使用者にとっては好ましいことではない。
市販されているさまざまな機種を調査すると、4〜6万枚で何らかのメンテナンスが必要となっている。一般の使用者はその枚数に達するのに数年以上かかり、そこで新機種に買い替えている。そういう使用者にとって、記録装置は生涯メンテナンス不要の如くに見える。しかしプリントボリュームの非常に多い使用者においては、1〜2年でメンテナンスを必要とする枚数に達する。したがって販売店やメーカーは購入時に使用者にメンテナンス契約を勧めている。
そこで本発明になる記録装置では、この短寿命部材の設計において企図された使用限界枚数に安全率、例えば0.5を掛けた枚数をプリントする量のトナーを内填した大容量トナー容器が搭載され、同時に、使用者によるトナー補給手段を無くし、代わりにトナー量を測るトナーモニタリング手段が各色トナーのいずれかにおいて、トナー切れに至る直前のあらかじめ決められた所定時期を検知した時点で、「記録装置が間もなくリファービッシュのための交換時期になる」ことを告知する手段を設けたのである。その後、これまでの電子写真方式記録装置では、トナーを使い切ったという告知を受け使用者はカートリッジ交換を行うが、本発明の電子写真方式記録装置においては、装置の一部であるカートリッジではなくトナーをほぼ使い切った状態の記録装置丸ごとを交換するのである。ここがポイントである。告知情報は記録装置提供者に送られ、トナーがなくなる直前に記録装置提供者からトナーが充填されリファービッシュされた初期状態の記録装置本体が搬送業者により使用者に送られ、同様のプリント機能が継続利用できる。搬送業者により工場に返送された終了状態の記録装置は、消耗品の補充やリファービッシュが施され次の使用者に提供される。いわば「一体型本体交換方式」でありその長所を持つと同時に、「トナー補給及びメンテナンスが全て工場で行われる方式」でありその長所をも併せ持つのである。いわば「一体型本体交換方式メンテナンスシステム」である。しかし現状の電子写真方式記録装置ではこのようなことは簡単にはできない。その主要な理由と解決手段の要点を次に記す。
(1)使用終了状態の記録装置の搬送に対応する記録装置の機能保全の不備と対策:一般の搬送業者により装置本体が装置提供者に返送される時、トナーが装置内に飛散しリファービッシュが困難となり、見かけ上きれいに清掃してもプリント品質の保証が難しいという問題が生じる。また、機構構成にもよるが一部の可動部品が固定されないままでは、搬送時の衝撃によってそれらが破損する可能性もある。従来行われている、いわゆる複写機レンタルビジネスにおいては、一般的には高価な高速大型機が扱われており、装置提供者の従業員により丁寧に梱包され持ち帰られるのが普通である。一方、普及機や低速機は広く使われており、これをすべて装置提供者自身が運搬するのは現実的ではない。一般の搬送業者を使わざるを得ない。したがって、新規な本方式を実現するためには、使用終了状態の記録装置がリファービッシュのために返送される際、以下に説明する搬送に対応する記録装置保全の手段が必須である。
(1.1)シール機構−1:図2に代表的な電子写真方式記録装置のプロセスを断面図で示す。光導電性を有する像担持体1の表面に帯電装置2により静電荷3が一様に載せられ、情報画像が光像に変換されて順次この一様静電荷に投射される。4で示す、光が当てられた所の静電荷はこれにより消滅し、情報画像に対応した静電潜像が形成される。次いで現像装置容器5のトナー6によって静電潜像は可視画像(以下トナー像)7になる。トナーの集まりでなる可視画像は転写装置8により紙9に転写され定着装置10により紙に定着される。一方、転写後の像担持体1に残ったトナーはクリーニング装置11で清掃される。これらのプロセスは繰り返される。
ここで、図3−1に拡大して示すように、現像後は像担持体1上のトナー像7を乱さないために、現像装置容器5は像担持体1とは非接触である。12で示すように現像装置容器5と像担持体1の間にわずかな間隙がある。一般の搬送業者が使用後の装置を運搬すると、運搬時の振動や衝撃によってトナー6がこの間隙から漏れ落ちる。図3−2参照。漏れ落ちたトナー13はさらなる輸送の振動によって装置内に飛散する。この現像器と像担持体とのわずかな間隙を、使用時はオープンし、搬送時にはシールする手段が必要である。使用後に再利用を行わない従来機ではトナーが飛散しても構わないという考えで、そのようなシール機構は設けられていない。しかし本発明のように使用後の再利用を前提とする記録装置においては、リファービッシュの信頼性を確保するためにしっかりしたトナー飛散防止が必要であり、次に示すようなシール機構を新たに考案した。
具体的には、図1−1に示すように、現像装置容器5の底部から現像装置容器5の両側板をさらに下方に向かって伸ばし、そこに別の底部を作り、懐状別室14を設ける。この懐状別室14の両側板に密着させた偏芯ローラ15を回転自在に取り付ける。偏芯ローラ15表面にはクッション性のある表面層16が巻きつけられている。記録装置使用時は偏芯ローラ15が退避位置にあるが、搬送時には搬送に先立ちこの偏芯ローラ15を図1−2の15’に示すように、回転させてクッション性のある表面層16が像担持体表面と現像器下部に接触し間隙を塞ぐ。諸機能を出すための設計上の必要性から、その他の複数個所においても、トナー6が漏れる危険は発生しうる。たとえば現像装置容器5上部と像担持体1との間隙、クリーニング装置11と像担持体1の下部などである。他の手段で防げない場合は、そのような個所にもシール手段を設ける。
尚、偏芯ローラ15のセットはその軸に連結されたレバー(図示せず)を手動で回転させる。あるいは本装置の使用時である通電時はプランジャーなどの作用で図1−1の如く非接触位置に回転させておき、電源スイッチを切った時はプランジャーの力が消滅し、ばね機構(図示せず)を使って接触位置に回転させるのも良い方法である。この場合、画像形成装置本体の電源が切られると自動的にシールされるので、失敗やシールのセット忘れが防げる。さらにオフィス内外での移動やその他のことで本装置に大きな振動が加わった際にもトナー飛散を起こすことがない。
(1.2)シール機構−2 エアーチューブ式シール方法:先に現像装置容器と像担持体間の像担持体上にトナー像が形成されている部位についてのトナー漏れについて述べたが、トナー漏れの危惧される部位はまだ他にもある。ここで別のシール手段について述べる。図4に示すように、一般に、現像装置容器5の開口上部Aと開口下部B、およびクリーニング装置容器11の開口上部Cと開口下部Dなどと像担持体1の表面との間からのトナー漏れが危惧されても、記録装置の稼動時には記録装置に装着固定された現像装置容器5とクリーニング装置容器11に対し像担持体1の表面は相対的に移動するものであるから、それらを接合したり、あるいは強く接触させたりすることもできず、間隙を極力狭めて設けるかあるいは像担持体1の表面に緩く当接する吹き出し防止部材17を設けるなどしてトナーが漏れることを防止しようとする。しかし、このように記録装置に装着された状態の現像装置容器5やクリーニング装置容器11に衝撃や振動が与えられれば、トナーが容易に漏れて記録装置を汚染する恐れがある。特に使用後のクリーニング装置容器11においては、内部にかなり多量のトナーが存在することになるので、その恐れは大きい。ここで以下に述べるようなシール手段が発明された。すなわち、図5に図示するような、ラテックスあるいはポリウレタンのような気密性のある弾性体から成るチューブをシール部材18とし、必要に応じて空気流通管19、逆止弁20、脱気口21、シール部材保持芯22などを備えたシール機構23を、図6に図示するように、上記A、B、C、D部に対応するN’、B’、C’、D’部に、必要に応じて具備するものである。ここでD’部を代表させてその動作を説明する。図7に図示するように、少なくとも記録装置の稼動時には脱気口21は開放され(図示せず)シール部材18内の空気は減じられており、シール部材18と像担持体1とは離間している。一方、図8に図示するように、記録装置の非稼動時、特に記録装置がその内部に現像装置容器5やクリーニング装置容器11が装着された状態で搬送される時には、脱気口21を閉じ、シール空気注入口24より空気圧縮機(図示せず)や不燃性ガスボンベあるいはその他の送気手段により気体を注入しシール部材18を膨張させ、シール部材18を像担持体1に密着させる。このようにして、D’部におけるトナーの漏れは防止できる。
ここで、図9に図示するように、シール機構23に圧力調節弁25のような注入気体の圧力を調節する機能を付加すれば、所望のシール性を保障し、しかもシール機構23の破壊など不都合な事態の発生を防ぐことができる。さらには、分枝空気流通管26を用いることにより、ひとつのシール空気注入口24から複数のシール機構へ空気を注入することができる。
また、新規な本方式においては、一般の使用者による使用済みの記録装置の梱包が容易かつ確実になされることが要請されるので、シール空気注入口24への送気手段としては、以下に述べるものが有効である。図10に図示するように、梱包箱底27に、蛇腹ガイド28とそれに沿って伸縮できる蛇腹29と蛇腹内の空気を記録装置内へ送り出すための蛇腹内空気送気口30と記録装置の脚を乗せるための脚受け皿31と空気袋空気注入口32とキャップ33および空気袋空気送気管34を具備した空気袋35を設ける。一方、図11に図示するように、記録装置36において、記録装置底板37に記録装置脚38が設けられ、記録装置脚38が前記脚受け皿31に乗せられた時に前記蛇腹内空気送気口30と嵌合する位置にシール空気注入本体口39が設けられ、シール空気注入本体口39は送気管40によってシール部材18に連結されている。まず、人の呼気あるいは空気圧縮機(図示せず)など適当な空気注入手段をもって空気袋空気注入口32から空気袋35に空気を注入すれば、空気袋35は図10のように膨らむ。このとき注入する空気の量は、空気袋35に圧力調節機構(図示せず)を具備するか、あるいは蛇腹29の長さを監視することにより、蛇腹29が所定の長さになるように調整され、その後空気袋空気注入口32はキャップ33によって閉じられる。その後、脚受け皿31に記録装置脚38が合致するように記録装置36を空気袋35の上に置く。
これにより、図12に図示するように、シール空気注入本体口39に蛇腹内空気送気口30が嵌合し、かつ記録装置36の重さによって空気袋35の内部の圧力が高まるので、蛇腹29は押し潰され蛇腹29内にあった空気が送気管40を通してシール部材18の方へ移動し、シール部材18は膨張する。これによってシール効果を得ることができる。また記録装置36を空気袋35から離隔すればシール空気注入本体口39が開放され、シール部材18は収縮しそのシール作用は解除される。しかもこの時のシール機構には先の例にあったような逆止弁、脱気口および圧力調節弁などは必要としない。以上述べたように空気袋35を利用する方法においては、空気袋35に空気を注入して空気袋35の上に記録装置36を乗せることで自動的にシール作用を得ることができ、一方、空気袋35から記録装置36を離隔することにより自動的にシール作用を解除することができる。ここでは、現像装置容器5あるいはクリーニング装置容器11からのトナー漏れに関して、特に使用済みの記録装置36の搬送時のトナー漏れを防止するためのシール手段を、使用者が容易にあるいは自動的に活用できる方法を述べてあるが、これは、供給者から使用者へ新たな記録装置36が搬送される場合においても有効である。
(1.3)シール機構−3 圧縮自在のマット利用シール方法:図13に他の有効な方法を示す。図13−1において使い終わった現像容器5にトナー6が残っている。搬送時に像担持体1と現像容器5の間隙からトナー6が搬送ベルト41にこぼれ落ち機内に飛散するのを防ぐのであるが、図13−2のように、記録装置を開き搬送ベルト41の上にエアーマット42を載せる。次いで図13−3のように記録装置を閉じると、エアーマット42は像担持体1と現像容器5によって押圧され、内部の空気が移動してその他のところを押し広げる。下部は搬送ベルト41で行き止まりになるので、主に像担持体1と現像容器5の間隙にエアーマット42が膨らんで入り込んでいく。これにより間隙は塞がれる。エアーマット42の厚みは、搬送ベルト41から像担持体1と現像容器5の間隙までの距離をHとするとき、エアーマット42が押圧されたときHが確保できるように、搬送ベルト41のバッックアップ力やエアーマットの材質を考慮し、設計される。このようにクッション性を利用したシート状の他の手段として、図14にモルトプレーン43を用いた例を示す。図14−1において開かれた状態の記録装置にモルトプレーン43を置き、記録装置を閉じると、図14−2の状態となり、同等の作用と効果を得られる。
図15−1に4色のプロセスユニットが水平に連なったフルカラー記録装置を示す。前記のエアーマット42は、図15−3のように42a、42b、42c、42dと各色プロセスユニットに区切られて連結されている。記録装置を閉じた状態を図15−4に断面図で示すが、連結エアーマット42が独立変形して間隙を塞ぐようにフィットする。
図15−4は図15−2を閉じた状態で、エアーマット42a、42b、42c、42d、により各プロセスユニットの間隙が塞がれた状態を示す。いずれの実施形態も、「トナー容器と像担持体の間隙」とこの間隙と相対する部材が形成する空間に、圧縮時に空間長より長くなるに十分な厚みのある伸縮自在のマットを挿入しそして閉じれば、伸縮自在のマットが圧縮反発することによって間隙が塞がれ、トナー漏れが効果的に防止される。
(1.4)可動部材固定機構−1:記録装置には数か所にばね等で付勢された可動部材や、折り畳み式、引き出し式、開閉式のポジション易変位性部材がある。これらのうちいくつかは記録装置が搬送される際に振動により激しく揺れ動き、壊れる恐れがある。従来、これらの可動部材はテープなどで固定された上で搬送され、装置が使用される時にテープを取り外すことが行われている。使用終了時に返送する場合にも同様に可動部分を固定することが必要とされる。しかしながら使用者にテープで必要箇所を固定するように指示することは現実的ではないので、簡単に手動または自動で必要個所を固定する機構を設けることが好ましい。
図16は給紙機構における押し上げ板の固定機構を説明するための模式断面図である。小容量の給紙機構においては用紙9を収容する押し上げ板44が用紙9の使用と共に上昇するようにバネ45などで支えられている。押し上げ板44は押し上げ板支軸46を支点として可動となっている。押し上げ板44の先端は一部が給紙カセットの先端部47の開口部より伸びて押さえ機構48に連結されている。押さえ機構48にはストッパ49が嵌合する切れ込み50があり、押さえ機構48をレバー(図示せず)により回転させて押し上げ板44をバネ45の押し上げる力に抗して下へ押し下げるとストッパ49が切れ込み50に嵌合し、押し上げ板44が固定される。破線でこの状態を示す。ストッパ49を押し下げることにより押し上げ板44の固定は解除される。押し上げ板44を押し下げて固定する代わりに回転カムなどを用いて上側に押し付けて固定してもよい。取り外し可能な給紙カセットであれば取り外して返送すればこのような機構は不要となる。返送用梱包箱に給紙カセットを取り外さないと本体が収容できないようにしておけばよい。
固定が必要となる可動部材は装置の構成により若干異なるが、ジャム処理のための紙搬送経路の開放機構や紙搬送の経路切り替え機構、スキャナーを有する装置の可動光学系などがある。本案で示した装置外の操作で可動域の一方向に押し付けるメカニカルストッパは、いずれの機構においても簡便で機能的である。装置への電源投入でプランジャーを働かせて一方向に押し付けをリリースし、電源オフで押し付け側にセットするのもセット忘れを防止できるので、より良い方法である。
折り畳み式、引き出し式、開閉式などのポジション易変位性部材の代表例は、手差し用トレー、排紙トレー、紙カセットの上蓋などである。基本的には使用者が使用に際し開状態にし、使用目的が終われば放置ないし閉状態にするものである。搬送時には閉状態にしかつ固定する必要がある。一つの方法は、閉時これらを受ける側に嵌合穴を設け、変位部材の嵌合穴に対応する位置に設けた突起状爪を、嵌合穴と変位部材双方のばね性を利用して係合させることである。他の方法は、閉時これらポジション易変位性部材を受ける側に回転自在の爪を設け、閉時爪を回転させて変位性部材を押えて固定する。これらは他の分野で広く使われている手段の応用であり、他にも多々代替案は存在する。いずれにしても使用後の装置の機能を維持するため、従来機では必要としなかったこれら可動部材固定機構は、本発明における搬送には必要である。
(1.5)可動部材固定機構−2:次に、搬送時における可動部材の固定のための他の方法について述べる。図17に図示する紙容器51の押し上げ板44および記録装置36に設置されたピックアップ・ローラ52は、一般に揺動する構造になっており、これらは互いに近接して配置された可動部材の代表的なものである。図17および図18に図示するように本体底37に押えレバー穴53、53′、53′′を設け、そこに押えレバー54、54′、54′′を押えレバー支軸55、55′、55′′を軸にして回動できるように設ける。さらに、押えレバー54、54′、54′′にばね板支軸56、56′、56′′が設けられ、それらにばね板57、57′、57′′が設けられている。さらに、押し上げ板44には小板支軸58を軸に回動できる小板59が小板ストッパ60に支えられて設けられている。一方、図19に図示するように、梱包箱62の梱包箱底27にはゴムなどの弾性体の押圧部材63と緩衝材64が設けられており、紙容器51を装着したままで記録装置36をその上に乗せると、ばね板57,57′、57′′が押圧部材63と圧接することにより押し潰され、自ずと押えレバー54,54′、54′′が押えレバー支軸55、55′、55′′を軸として回動し、押えレバー54および54′′はそれぞれ押し上げ板44を押し上げ板ストッパ61で制止されるまで押し上げ板支軸46を軸として回動させ、また54′は小板59を押し上げ、小板59は小板支軸58を軸に回動してピックアップ・ローラ52を制止部材(図示せず)に押しつける。このように本構成においては、記録装置36を梱包箱底27の上に置くだけで、押し上げ板44およびピックアップ・ローラ52が固定される。すなわち、使用者は使用済みの装置を提供者に返送する際に、押し上げ板44およびピックアップ・ローラ52を特別なことをしないでも固定することができるわけである。
また、図20に図示するように、梱包箱底27に前記押圧部材63に代えて空気袋65を設けると、紙容器51を装着したままで装置本体36をその上に乗せると、空気袋65の圧力によりばね板57、57′、57′′が押し潰され、前例と同様に押し上げ板44とピックアップ・ローラ52は制止させられる。しかし、弾性体の押圧部材64に代えて形状追従性のある空気袋65を用いるので、押圧部材63と緩衝部材64に求められていたような相互寸法精度が無くても、前例に比べてより確実な制止効果が得られる。このようにこれらの構成においては、装置本体36を梱包箱62の梱包箱底27の上に置くだけで、押し上げ板44およびピックアップ・ローラ52が固定される。すなわち、使用者は使用済みの装置を提供者に返送する際に、押し上げ板44およびピックアップ・ローラ52を特別なことをしないでも固定することができるわけである。
以上説明してきたことをまとめると、先ず、本発明の記録装置は、搬送時の可動部材の破損を防止する可動部材固定手段や残留トナーの飛散を防止するトナー漏れ防止手段のような搬送時の機能保全手段を具備する。これに関して多くの考案を示した。さらに、これら搬送時の機能保全手段のいわば作用手段を具備し、この作用手段の作用点への働き掛けにより搬送時の機能保全が確保されるように構成されている、と言うことである。この作用点は記録装置の出し入れ機構や開閉機構無しに底部を含む記録装置外周のいずれかの場所に位置せしめ、使用者の手に委ねるか梱包箱へ収めることに拠る自動的かは別として、働きかけを受けてその作用を起こすのである。
(2)繰り返し使用梱包箱:一般に記録装置提供者から使用者への記録装置の搬送に関しては、従来から広くなされているように、粘着テープ、固定部材、緩衝材あるいは取り外しの容易な疑似部材など種々の材料をふんだんに用いて搬送の保全を図ることができる。しかしながら、新規な本方式を実現するためには、特に使用者から提供者への記録装置の搬送のための梱包について考慮されなければならないし、それも格別の工夫が要請される。すなわち、本方式においては、使用後の記録装置の使用者から提供者への搬送が必須であり、搬送に関しての便宜と装置保全が肝要になり、従来にない新たな創意工夫が要請される。第一に搬送のための梱包が、梱包に関る専門的な知識のない一般の使用者でも容易にできること、第二に使用者の在所において梱包材料が容易に準備できること、第三に梱包に関る事物が物質的、空間的さらには時間的に合理的であり無駄もなく経済的であることが望まれる。第四に本方式においては、開梱作業の頻度が従来方式に比して自ずと多くなり、しかも一般の使用者によっても頻繁になされるものであるから、開梱作業の容易性も要請される。ここで梱包材料が繰り返し使用可能であって、かつ提供者から使用者への搬送のための梱包材料と使用者から提供者への搬送のための梱包材料が共用されているならば、上記第二および第三の要件は満たされることになる。さらに梱包材料が、梱包作業と開梱作業を容易にする構成のものであれば、上記第一および第四の要件が満たされることになる。この課題を解決するために、複数のエアー・セルから成る空気袋を具備することにより、分解、組み立て、保管および記録装置の配置が容易で、繰り返し使用が可能な通い箱タイプの梱包箱が発明された。
図21に本発明に係る繰り返し使用可能な梱包箱62を示す。梱包箱62は、図22に図示するように梱包箱蓋66、梱包箱胴67および梱包箱底27の独立した3部材より成り、それぞれ内側に空気袋68,69,65を具備し、各々を連結して箱形状を形成するべく連結部材(図示せず)を挿入するための連結穴70を有している。ここで独立した3部材で構成した目的は、新規な本方式を遂行するためである。このような梱包箱62を用いれば、繰り返し使用において、万一梱包箱62のいずれかの部材で損壊事故が発生したとしても他の部材への影響は少ないので、多くは部分的交換で対応して再使用することが可能であり、損壊中の使用においても空気袋65,68,69の機能は極端には損なわれない。さらに梱包箱62の開閉が容易であり、かつ梱包箱62に対しての記録装置36の出し入れも容易であるから、使用者によってなされる開梱作業と梱包作業は至極容易なものになる。図23は梱包箱胴67の一部を示すものである。空気袋69は複数のエアー・セル69−1、69−2、69−3と、各エアー・セル間を互いに連通させる空気通路71および空気注入口24より成っている。これにより、梱包箱胴67のすべてのエアー・セル69−1、69−2、69−3への空気の注入は同時になされるし、またすべてのエアー・セルは均一の空気圧を保つことができる。梱包箱蓋66および梱包箱底27についても空気袋68,65の構成は、梱包箱胴67のそれと同様である。ここで図24に図示するように、梱包箱底27の空気袋65の上には、記録装置36を置いた時に記録装置36と空気袋65の相対位置が一意的に決まるように記録装置脚38を乗せる脚受け皿31を設ける。一意的に決まるようにするのは、記録装置脚および脚受け皿31各々の配置あるいは形状などに特異性を持たせることによって実現できる。
これにより、記録装置36を梱包箱62の中に安定的に配置できると同時に、必要に応じて梱包箱底27の空気袋65と記録装置36の間を機能的に関連付けることもできる。図24は梱包箱62内に記録装置36が納まった時の梱包箱62と記録装置36の断面図である。梱包箱62を用いて記録装置36を梱包するには、まず梱包箱蓋66、梱包箱胴67、梱包箱底27の各々の空気袋68、69、65に人の呼気あるいは簡便な空気圧縮機を用いて空気を注入する。その後、梱包箱底27の空気袋65上に記録装置36を置き、梱包箱胴67を以って記録装置36を包み込み、さらに記録装置36上に梱包箱蓋66を被せる。その後、連結穴70に連結部材を挿入することで梱包箱62を固定する。梱包箱62により、極めて容易な梱包作業が実現され、記録装置36は空気圧によって梱包箱62内に保持される。梱包箱62内の記録装置36は、その周囲をごく均等に密着したエアクッションで包囲された状態になるので保持状態は安定し、しかも耐衝撃性に優れたものとなる。また、開梱すなわち記録装置36を梱包箱62より取り出す時は、上記梱包の手順を逆に行えば良く、その作業も極めて容易なものである。本方式においては、使用後の梱包箱62は、繰り返し再使用される。ただし、何らかの理由で梱包箱62の保管の必要性が生じた場合は、空気袋65、68、69の空気を抜くことによりその容積を小さくすることができる。特に梱包箱胴67については、図26に示すようにほぼ平らな状態になる。また、図25に図示するように梱包箱底27の空気袋65の上に脚受け皿31を記録装置36の記録装置脚に合致するように設ければ、記録装置36を所定の位置に容易に置くことができる。
(3)トナー使用量モニタリング手段:現在市場ではトナー補給や一体型カートリッジ交換は、2,000枚から1万枚程度のプリントを賄うトナー量で一般的に行われている。本発明の一体型本体交換方式でその趣旨を全うするには、メンテナンスが必要となるプリント積算枚数(部品寿命)に達するまでプリントできる大量のトナーが装置内に収納されることが望ましい。最も短寿命の部品は一体型カートリッジの主要部材、いわゆるプロセスユニットを構成する像担持体、現像器、クリーニング、帯電部材やシール部材、およびこれらの汚れ、そして用紙ピックアップ・ローラなどである。メンテナンスが必要となる最低枚数は、使用材料や設計内容にもよるが、安全率0.5を掛けて低速普及機では1万枚から2万枚、中速機では2万枚から5万枚程度である。
ここで厄介な問題が生じる。もともとトナー消費量とプリント枚数を関係づけることは困難である。プリント1枚当たりのトナー消費量は、プリントされる情報量により10倍以上異なる。記録装置業界ではA4用紙1枚に5%の印字率でプリントした場合を基準に何枚プリントできるかを目安として使用者に提示するのが一般的である。またトナー量検知の目的も、「間もなく無くなる」ことを知らせるだけである。このため使用者の心理として、思ったより早く無くなったと思いがちである。特に積算プリント枚数1万枚以上に達するような長期間の使用の末、突然、所定時期に達したことを告げられるとその思いは強い。できることなら近似値で良いから、リアルタイムにトナー使用量を使用者に知らせておきたいのである。さらに後述する本方式に適するビジネス形態では、何万枚かのトナー量に対する高額の代金を一度に徴収するのではなく、使った量だけのトナー代金を月毎などの分割で使用者に支払ってもらうのであるが、そのためにも実効的なトナー量リアルタイムモニタリング手段が必要となる。
これまでトナーのいわゆる残量検知方法は数多く提案されている。例えば、光学式検出装置:特許公報特開2006−284999号など、キャパシタンス変化検出方法:特許公報:特開2001−117441号など、発光量積算式検出装置:特開平10−240084号公報など、機械的負荷変化検出装置:特開平05−323788号公報である。さらにこれらを組み合わせて使うことも知られている。例えば上記特開平10−240084号公報が一例である。これらの提案は全て残量検知にかかわるものである。さらにわずかではあるが消費量をリアルタイムで検知し表示・告知する使用量モニタリング手段の提案もあるようである。しかし実際に製品に使われているものは未だ無いと理解している。特にレーザーダイオードやLEDアレイなど感光体ドラムへ画像を形成する手段の発光量を積算してこれを換算してトナー消費量とする検出方法は、リアルタイムに1ページ毎のトナー使用量を換算できるので魅力的であるが、実際には使われていない。これは主に精度が悪いためである。残量検知手段としても使われていない。
本発明におけるトナー使用量モニタリングの方法は発光量積算式方法を基本としており、トナーが予め知られているある量まで使用され減量したところに他の実体検知センサー、例えばキャパシタンス式検出装置や光学式検出装置を設け、その検出値V1により、そこまでに算出された発光量積算式検出方法の値(V2とする)を比較し、V2の補正を行うものである。
図27−1〜図27−3は本発明になるトナー使用量のモニタリング方法を説明するための現像装置の模式断面図である。
1は感光体ドラム(像担持体)、72は現像ローラ、5は現像装置容器、6はトナー、73、74はキャパシタンス測定によりトナーの有無を検出するトナー検出センサーである。当初は図27−1に示すようにトナー検出センサー73にトナーが存在する状態である。
プリントすべき画像は通常C、M、Y、Kに色分解され、必要により階調処理、ガンマ変換処理をされて感光体ドラムへの露光量に変換される。露光量は一画素毎にオンかオフの場合とPWM方式のように連続的に変化する場合がある。トナー使用量のモニタリングのためにはこの露光量を積算して形成した画素数を算出し、トナー使用量に換算する。露光量の積算は色毎に行う。
露光量からトナー使用量への換算は予め得られた標準的な係数を用いる。連続的に変化する露光量の場合は例えば8ビットの数値で積算してトナー使用量に換算する。トナー使用量は必ずしも露光量に比例しない。
エッジ効果があるような現像システムの場合には色分解された画像データの段階でラプラシアンフィルタなどにより画像のエッジを検出、積算してトナー消費量を画像のエッジの量に応じて増大する方向に補正することにより精度を向上させることもできる。また画像の存在しない白地部においてもドラム上のカブリとしてトナー消費される場合もある。このような場合には白地部の画素数も積算し一定の係数を乗じて付加したり、プリント枚数に比例し一定量のトナーが付加的に消費されるとしたりして計算を行う。
積算プリント枚数が増加し図27−2の状態になるとトナー検出センサー73よりトナー6が無くなった信号が検出される。図28は積算発光量を横軸としてトナー検出センサー73の出力(キャパシタンス)を示した実験結果である。トナー6の使用に伴い、トナー検出センサー73のキャパシタンスはセンサー73全体がトナーに埋もれた状態から完全に周囲にトナーがなくなった状態にかけてトナー上面のレベルに応じて変動しながら減少してゆく。図29においてb点でトナーがセンサー上面付近まで減少し、c点でセンサー中央付近、d点でセンサー下部まで減少した状態に対応している。
トナー検出センサー73のキャパシタンスはこのように変化してゆくのでどの位置での検出値を用いるか予め決めておく。通常は測定値aを用いるがe、fの測定値も利用すれば1つのセンサーで2点のトナー使用量を検出できる。この状態で検出された実際のトナー消費量がV1であったとする。この時点で発光量積算式検出方法による消費量の値がV2であったとすると換算の係数がV1/V2だけずれていたことがわかる。これ以降は換算の係数をV1/V2倍して計算する。この時点までに消費されたトナーの量もV1に変換されるが、変換は一度に行っても徐々に正しい値に近づけていってもよい。
さらにプリント枚数が増加し図27−3の状態になるとトナー検出センサー74よりトナー6が無くなった信号が検出されるのでトナー6が間もなく無くなることを表示して使用者に装置の交換を促す。
トナー使用量モニタリングの第二実施例を図30により説明する。図30において5は現像装置容器、6は収容されたトナーを示す。現像装置容器5の上面にはレーザーダイオード75とコリメータレンズ76が透明窓77を介して容器5の外側に取り付けられている。レーザーダイオード75のレーザー光は、コリメータレンズ76によりほぼ平行な光束とされ、残存トナーの上面に照射される。トナー上面は必ずしも平面ではないので、光束は数ミリメーター以上の大きさとして誤差を小さくする。トナーからの反射光は、透明窓77の上部に設けられた結像レンズ78により、リニアCCDアレイ79に照射される。黒トナーであっても数パーセントの光は反射されるので十分に測定可能であるCCDアレイ79の光検出領域よりその中心位置を求めることにより、三角測量の原理に基づき、残存トナーの上面の位置が算出される。トナー容器の断面積に高さを乗じたものがトナー量となるので、高さにより断面積が変化する場合にはテーブルや計算式などにより、高さからトナー量に変換して残存トナー量を求める。トナーの上面の位置は攪拌装置の影響などにより変動するので、トナーの攪拌などが行われていない静止状態で測定を行い、過去の数回分の測定値を平均して用いる。測定の時期はプリント1枚毎でも良いし、プリント10枚毎といった頻度でもよい。測定用透明窓77は小型モータ80とワイパー81により定期的に清掃される。このように個別のモータを用いる代わりにトナーの攪拌機構などからリンク機構により清掃部材を動作させることもできる。トナーからの反射光を直接用いる代わりにトナーの上面に樹脂発泡体や風船のような低比重のフロート部材を置き、それからの反射光を測定してもよい。
図31は現像装置容器5に収容されたトナー6の上面に樹脂発泡体82を置いた例であり、この上面の位置を光学的検知手段で求めてトナー消費量を知ることができる。距離の測定には光学的手段の他には電波を用いる方法がある。レーダーのように到達時間から求める方法、複数のセンサーで受信してその時間差より求める方法、電波の減衰量から求める方法などがある。図32は浮きに電波の発信機83を設けたものであり、受信機84で受信する電波の減衰量より距離を求め、トナー消費量に換算する
これらの方法では発光量積算方式のようにプリント1枚単位に換算するようなトナー消費量は求められないが収容トナー全体量の数パーセント単位での使用量が小さい誤差で求められるので課金のためやトナー切れの予告に用いるには充分な精度でトナー消費量を求めることができる。
課金のために1枚単位でトナー使用量や換算プリント枚数を表示したい場合には、上記のような間欠的に得られる実消費量に対し、その間の使用量を表示するために発光量積算方式と組み合わせて用いることがよい。発光量積算方式と組み合わせる場合より誤差は大きくなるが実プリント枚数を用いることも可能である。すなわち実トナー使用量より換算プリント枚数を算出したあとは次の実トナー使用量取得までは実プリント枚数を加算してゆき、次に実トナー使用量が得られて換算プリント枚数を算出した時点で修正する。
トナー切れを使用者に予告し、使用者に代替装置への切り替えを促す時期は、通常残存トナー量がプリント枚数に換算して、例えば300枚から500枚程度を標準設定とする。必要ならこの予告時期を使用者の使用形態に応じて変更することもできる。代替装置の到着前にトナー切れが発生しないようにするために短期間に大量のプリントを行う使用者は予告時期を例えば残存トナー量がプリント枚数にして1,000枚と設定できる。少量使用者はあまり早く代替装置が到着しても邪魔となるので、例えば100枚と設定する。装置内あるいはプリンタドライバ内にそのような選択手段を設け、使用者が設定できる。
(4)新規なビジネス方式の考案とその作用:
これまで「主に低速普及機分野において、比較的大容量のトナーを収納し、トナーが無くなる直前にそのことを使用者に告知し、初期状態に整備された代替機を使用者に送り、使用者は使い終わった装置を搬送時の機能保全をセットし装置提供者に送り返し、リファービシュして再使用する電子写真方式記録装置とその利用方法」を要点とする発明と、これを実現するためのいくつかの新規な技術手段を説明してきた。続いてここで本発明の趣旨を最大限に活かす新規なビジネス方式を説明する。その基本は売り切りではなくレンタルのビジネス方式である。
類似公知例として消耗品の供給や部品の交換および装置の修理などのサービスを、使用者の手を煩わせないで、提供者が行うということについては、特開2003−30353および特開2003−30555などで提案されている。しかし、前者の特開2003−30353は供給者が使用者の要求により記録装置を回収しサービスを提供するものであるが、使用者が購入した記録装置に関するものであって、サービスの提供後、該記録装置自体を同じ使用者へ再提供するものであり、該記録装置が回収されている間は該記録装置を使用することが出来ないし、また該記録装置の使用後の取り扱いについては使用者の判断に委ねられることになり、環境保全の観点からはなんら工夫がなされていないと言える。
これに比して、本発明によれば、記録装置の回収時においても使用者は連続して記録装置を使用できるし、記録装置は提供者の管理のもとに環境保全に充分配慮されて取り扱われる。後者の特開2003−30555は使用者に貸し付けられた特定の記録装置に関するものであって、提供者が消耗品の消耗量や故障状況を含む記録装置の使用状態を情報データとして管理し、その情報に従って該記録装置自体にサービスを提供するものであり、それを実現するためには種々の使用状態を検出するに充分な検出手段が必要になるであろうし、また提供するサービスの方法や提供場所については何ら言及されていないので、サービスの質について特段の工夫がなされているとは言えない。これに比して、本発明によれば、少ない検出手段によって良質のサービスの提供が可能になる。本案のポイントは先ず代替装置が使用者に送られ、次いで使い終わった装置が提供者に送られる、と強調してきた。これは本来、売り切りビジネスにはなじまない。
(4.1)「使用量に応じたプリント料金月額払い方式」:一般にレンタルでは初期費用と日額料金ないしは月額料金などの分割払い料金を組み合わせた料金設定が行われる。利用者に導入しやすい初期コストと、使う期間に応じた無駄のない使用料金が魅力である。一般的には分割払い料金は定額である。これらに加え使用によって消耗する材料がある場合は、いわゆるランニングコストがかかる。これを含んだ一括レンタルもあるが、使用量に応じたランニングコストの月額(月間という期間は一例である)払いが合理的で良く用いられている。
電子写真方式記録装置の、特に低速普及機の特徴は、本体コストに比し、消耗品のコストがかなり高額な点である。往々にして生涯コストは後者のほうがはるかに高額となるので、可能であれば分納である使用量に応じたプリント料金月額払い方式が望ましい。しかし、これは先にも説明したように、プリント毎のトナー消費量を特定することが技術的に難しいため、使用者が納得するような方法は未だ実用化されていない。「トナーが間もなく無くなる」ことを伝えるだけである。したがって電子写真方式記録装置のレンタルビジネスで使用量に応じたプリント料金月額払い方式の実現には、トナー量リアルタイムモニタリング手段がどうしても必要となったのである。本提案では既述のようにこれを発明したのである。以下に詳述する。
既述のリアルタイムトナー量モニタリング装置は、1枚当たりの情報量をときおり行う実体測定によって補正しつつ、「A4用紙1ページに5%印字率でのプリント」換算で何ページ分のプリントをしたかを表示する。これは現在の日本の記録装置業界で一般的に用いられているものであるので本案でもこれを使って説明するが、この表現に限るものではない。実際のビジネスでは、記録装置提供者は使用者に何らかの基準に基づく積算プリント枚数を明示する必要がある。これを「換算プリント枚数」と呼ぶことにする。
プリンタドライバには、プリントを行うたびに実際に行ったプリント枚数と、それに消費されたトナー量を「換算プリント枚数」としてコンピュータ画面上に表示されるようにしてある。色毎の表示である。各種の積算枚数も表示される。一連のプリント作業毎、日毎、月毎、装置使用開始からの全積算枚数などである。使用者は随時トナー消費量を「換算プリント枚数」として把握することができるので、コストの計算ができ、無駄なプリントをしないよう留意することができる。プリント枚数に対応する課金については、このような基本データがあるので様々な方法を約款できる。代表的なのは1月分をまとめて月額払いとすることであろう。使用者は決められた日までにコンピュータ画面上の1月分のプリント枚数を装置提供者に連絡する。簡単なアプリケーションソフトをダウンロードし、それに従って必要な基礎情報を登録しておけば、ワンクリックでデータを送ることができる。基本的に使用者の意思で送る。あくまでも使用者の判断と責任で行われるべきことであり自動ではない。その場合、使用者による送信忘れや長期留守なども起こりえるが、その対策は通常のビジネスの知恵が約款に入っておれば済むことであり、ここで特には説明しない。
より柔軟な支払い方法として、使用者による自由時期申告も可能である。使用者がプリント代金を支払いたい時に、上記のようにワンクリックで未払い分のデータを送ればよいのである。
月額払いか自由時期申告払いかの選択、あるいは電子マネー等を含めた支払い方法なども使用者と装置提供者の間で様々に取り決めることができる。
参考までに、インターネットを使ったプリント枚数報告と支払いの手順を、PC画面上での表示例として図で紹介する。代金決済システムの一例である。図33はプリント終了時にPC画面上にポップアップする「Print Status」の2ページ目であり、プリント枚数のステイタスを示すものすなわち印刷状況情報である。実際にプリントした回数が「紙」のコラムに、「今日」、「今月」、「合計」で示されている。その下に各色の「換算プリント枚数」が同様な期間毎で示される。ちなみにプリント開始時には1ページ目が表示される。「プリント代金」のタグをクリックすると図34が現れる。「換算プリント枚数」と「プリント代金」が同様な期間毎で示される。「プリント代金」を支払うには「支払いますか?」、「はい」、「支払い方法」、「登録の方法」とクリックし、最後に「決定/送信」ボタンを押せば良い。インターネットを使用しない場合は、「プリント」ボタンを押し、この画面のプリントをファックスで送信すればよい。要するに、記録装置による課金情報創出・表示と送信指示、記録装置提供者の有する代金決済システムによる印刷代金決済、これらの連動からなる印刷従量課金のシステムである。図35、36には数字を入れて参考に供す。
(4.2)「装置本体残額の使用量に応じた月額払い方式」:一般的には装置本体の月額料金は、残額を契約月数で割った額とする。しかしこれでは少量使用者が期間中に使い切れなかった場合、使用者にとっては割高になる。一方、大量使用者が契約期間前にトナーを使い切ると装置提供者には代金回収不足になる問題が起こることが考えられる。いろいろな工夫で対応はできるが、良い方法が考えられた。
すなわち、第一の方法は、本体装置の使用量は主に使われる黒トナーの消費量に比例し、この黒トナーの消費量の平均値はプリント枚数にだいたい比例していることに着目し、月間プリント枚数を黒トナーがプリントできる最大プリント枚数で割った係数をこの本体残額に掛ける方法である。より精密な第二の方法は、黒トナーの月間消費量を黒トナーの最大プリント枚数で割った係数をこの本体残額に掛ける方法である。これはトナー量リアルタイムモニタリング手段の発明により算出可能となった。尚、ここでは月単位で説明したが、四半期払いや半年払いもありうる。さらに後述する自由時期申告も可能である。
(4.3)「預かり保証金方式」:これまでレンタルの一般的な価格体系を基に、「装置本体の初期費用」と「装置本体残額の使用量に応じた月額払い」と「使用量に応じたプリント料金月額払い」で構成される、本発明のコンセプトを活かす価格体系を紹介してきたが、さらに「預かり保証金方式」を加えて趣旨を徹底したい。すなわち残額総額を「預かり保証金」として初期費用とは別に預かり契約終了時に利用者に返却するのである。一般的に分割払い総額は契約期間中の利息が加味され、結果として2倍程度になることも多い。しかし本案では分割払い額に利息を乗せない。その利息は預かり保証金の利息と相殺させるのである。こうすれば分割払いの割高感を解消できる。
(4.4)レンタル料金体系の実際例:以下に典型的な例を示すが、本案の内容はこれらに限定するものではない。[初期費用]は仕様、性能から通常販売における適正価格を仮に6万円であるとし、使用者は3万円、2万円、ゼロ円の中から「装置本体の初期費用」を選ぶことができるとする。ここでは2万円として説明する。
[預かり保証金]は、4万円となる。[本体の月額料金]は、残額を契約月数2年割った額とする。すなわち1,667円である。少量使用者が期間中に使い切れなかったら次の契約では使い切るまで無料とし、大量使用者が契約期間前にトナーを使い切ると、残額を払って次の契約に入るとする。インセンティブとしていくらか割り引くこともあろう。これらは一般のビジネスで使われているやり方の範疇である。
[プリント料金]は、仮に最短寿命部品のメンテナンス枚数が4万枚であるとわかっておれば安全係数0.5を掛けて2万枚のトナー収容量とする。A4ページ1枚あたり5%の印字率でプリントしてのことである。トナー消費量から当月に5%印時率換算で800枚プリントしたとし、単価が仮に2円ならば、当月プリント料金は1,600円となる。2万枚の使い切り総額は4万円である。
[本体の月額料金]を「使用量に応じた本体月額料金」とすることも可能である。先の数字例を使うと、残額4万円なので40,000x800/20,000=1,600円である。
通常の売り切り方式と比べてみよう。本体価格を同額とし、6万円一括払いであるとする。カートリッジ方式のプリント代金の単価は一般的に高いので、それを仮に3円/枚とする。トナーが2,500枚相当入った一体型カートリッジ交換方式で2万枚のプリントをとった場合、7,500円のカートリッジを8回も購入することになる。たとえ仮にプリント単価が同額としても、5,000円のカートリッジを8回も購入することになる。この説明で用いた数字は仮のものであり、実際のビジネスでは流動的なものであることは論を待たない。しかしこのような相対関係になることは理解できるであろう。
(4.5)期間レンタル方式。 これまでは記録装置全体を交換するレンタルを基本コンセプトとし、これを実現させる開発技術とビジネス方式を説明してきた。そしてトナーを使い切ることを前提としていた。しかし本発明の基本コンセプトは、トナーを使い切ることに限定するものではない。一般的に採用されている期間レンタル方式においても、新しいビジネス方式を可能とする。たとえば、使用トナー量に応じた、合理的なプリント代金の徴収が可能となる。記録装置本体の期間代金も従来どおりの固定でも良いし、新たにより使用者サイドに立ったプリント枚数比例とすることも可能である。提供者においても記録装置全体を交換する既述の効果があることは同様である。
(5)リファービッシュ、メンテナンスの実施例。 装置にとって最初の使用者から装置提供者に返送された記録装置は分解清掃され、像担持体交換、ピックアップ・ローラの表面研磨がおこなわれ、トナーが補充される。廃トナー容器から廃トナーが抜き取られ、装置コントロール部においては必要な初期化と履歴データ管理がなされる。故障個所があれば修理され、必要であれば外装カバーの交換も行われる。設計内容によるが定着器のオイル塗布装置のメンテナンスが施される。その後品質検査を受けてリファービッシュは終了する。2度目のリファービッシュにおいては上記に加えて、現像器とクリーニング装置のシールの交換がなされ、ピックアップ・ローラについては表面研磨ではなく交換がなされる。必要であればプリントドライバーを最新のものに更新する。3度目のリファービッシュにおいては、さらに現像ローラの交換、クリーニングブレードの交換が行なわれる。ここでは一例を記して説明したが、このようにリファービッシュの内容は、本質的にプリベンティブメンテナンスであり、かつ必要な部材のみの交換である。
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、設計内容や市場での実績に応じて種々の実施形態で対応すべきものである。
(6)使用者の作業の極小化―「紙詰まり回復手段」
一般に記録装置を使用する上で使用者の日常の処置は、記録装置にプリント指示を与えることの外に、トナーの補給、紙などの記録媒体の補給および紙詰まりの回復処理等である。
しかし、本発明の方式によればトナーの補給は使用者が行う必要の無い処置になるので、使用者に委ねられる処置は主に紙の補給と紙詰まりの回復処理ということになる。一方本発明の方式によれば原則的にメンテナンスサービスを前提とするものではないので、特に使用者のミスによる不測の故障などが惹起されないように、使用者の作業は極小化されなければならない。また、使用者の作業が低減されるならば、使用者は記録装置を安心して使用できることになるので、一石二鳥である。本発明ではこの考えを具現化出来るのである。すなわち既述の説明で理解されるように、使用者が行う消耗品の補充や交換およびメンテナンスのための部材取り出しとなる対象部材は転写紙収納容器のみでありそれ以外の一切の部材は記録装置本体に固定されており出し入れ機構を具備していない。さらに紙詰まり処理のための開閉機構以外の一切の開閉機構を具備していない。
紙は記録媒体の典型的なものであるが、シート状の紙の搬送性に影響する剛度、平滑性、カール特性、表面剥離性などについて多様なものが存在し使用され、また特定の紙に限ってみても、その使用環境や保管状態などによってその性質が変化する。記録装置においては紙搬送の安定化の工夫が種々なされているが、紙詰まりを皆無にすることができていないのが現実である。
したがって紙詰まりは発生するものであるということを前提にせざるを得ない。一般には発生箇所や確認要請箇所が表示パネルに表示され、それに従って使用者が装置に備えられた操作手段を用いて紙詰まりの回復処理を行っている。もし単一操作で装置内の全紙搬送経路が一望でき、かつその状態で回復処理ができるならば使用者の作業の大いなる低減になる。従来、紙の紙容器内に在る時の上面にプリントする、紙搬送のいわゆる平面機構あるいはL型機構をもつものにおいては実施された例がある。しかし、紙の紙容器内に在る時の下面にプリントする、紙搬送のいわゆるUターン機構を持つ場合についてはその例を見ない。
これは一般に、Uターン機構が小領域に納められ、しかも装置の筐体の側板に近い位置に配置されるので、側板の外部から直接Uターン機構に処理を施す作業ができるようにするのが設計上容易であると考えられてきたからであろう。しかしながら、本発明の方式においては使用者の作業を極小化することが重要になるので、単一操作で紙搬送に係る故障の回復処理を可能にする手段が求められており、以下の発明に至った。
図37に紙搬送のUターン機構90を持つ記録装置を示す。記録装置は像担持体1K、1Y、1M、1C上に可視像を形成する画像形成部機構85、搬送ベルト41と搬送ローラ(下)86から成る紙搬送部機構87、Uターン・ガイド板(外)88とUターン・ガイド板(内)89とから成るUターン機構90、ピックアップ・ローラ52と紙容器51から成る給紙部機構91、および紙表面対向機構92と紙裏面対向機構93から成る定着装置94で構成される。紙容器51内の紙はピックアップ・ローラ52によって紙容器51から送り出され、紙の先端はUターン・ガイド板(外)88と紙進入位置95において接する。ここで、Uターン・ガイド板(外)88と画像形成部機構85を一体化して紙表面対向部96を形成し、かつUターン・ガイド板(内)89と紙搬送部機構87を一体化して紙裏面対向部97を形成する。さらに、Uターン機構90の紙進入位置95に到達した紙の面に関して紙搬送路98とは反対側において紙表面対向部96と紙裏面対向部97を回転軸99によって結合する。図38に紙表面対向部96が紙裏面対向部97に対して回転離隔した状態を図示する。図示されているように記録装置の紙搬送経路は概ね一望の下に開放されるし、紙詰まりにより発生した記録装置内の停留紙の拘束は解かれ、その除去も容易になる。
さらに、図39は前記図37および図38で図示ししたものを改良した例である。すなわち、定着装置94の紙表面対向機構92と紙表面対向部96を一体化したものであって、記録装置の紙搬送経路は全て一望の下に解放され、前例の効果に加え定着装置94の停留紙の除去も容易になる。ここにおいて、紙表面対向機構カバー100および紙裏面対向機構カバー101を図40に図示するように紙表面対向部96を紙裏面対向部97から回転離隔した時に各々紙表面対向機構92および紙裏面対向機構93を覆うようにし、図41に図示するように紙表面対向部96が紙裏面対向部97に装着された時に各々のカバーが退避位置に戻るようにされている。さらに、図42は前記図37および図38で図示したものを改良した別の例である。すなわち、紙表面対向部96を紙裏面対向部97から回転離隔した時に、定着装置94の紙表面対向機構96が紙裏面対向機構97から離隔ばね102により離隔し、紙表面対向部96が紙裏面対向部97に装着された時に押圧ばね103により紙表面対向機構92が紙裏面対向機構93と圧接するように構成されたものである。これにより、紙表面対向部96が紙裏面対向部97から回転離隔した時に、記録装置の紙搬送経路は全て一望の下に解放され前例と同様に全ての停留紙の除去が容易になる。
(7)新規な装置構造
(7.1)落とし込み組み立て構造:本発明の基本的コンセプトにおいては使用者によるトナー補給やカートリッジ交換が不要である。これによって新たな装置構造が可能となった。記録装置の構造をなす対向する2枚の側板に受け部材を設け、その受け部材に各種部品を取り付ける。図43において側板は図示されていない。140は転写装置であり、エンドレスな転写ベルト141がローラ142と他のローラ(図示せず)との間に懸架されている。104、105は転写ローラでありバネにより上方へ附勢されており、感光ドラム107に転写ベルト141を介して接触している。転写装置は構造体106により一体化され、2枚の側板の間に図示しない手段により、上下動可能に取り付けられている。
受け部材108は位置決めピンとネジなどにより側板の内側に取り付けられ、クリーナ容器109、感光ドラム107、現像容器110は受け部材108と抑え部材兼受け部材111により固定される。受け部材108及び抑え部材兼受け部材111とほぼ対称な形状の部材がもう一方の側板にも取り付けられており、これらの部材が双方からクリーナ容器109、感光ドラム107及び現像容器110を固定する。クリーナ容器109及び現像容器110の一部には突出部が設けられ、受け部112、113、114、115などに嵌合され、固定される。クリーナ容器109や現像容器110の受け部材などと接する端部には必要により、弾性体よりなるシール材が接合されている。感光ドラム107は受け部116に装着される。
抑え部材兼受け部材111に設けられた受け部117、118、119には、それぞれ帯電ローラ120、現像ローラ121、摺擦ローラ122が取り付けられる。それぞれ端部には必要によりトナーシール部材が接合されている。各ローラは、軸受けを介し受け部に取り付けられるか、受け部を軸受けとして作用する部材で構成されている。帯電ローラ120、現像ローラ121、摺擦ローラ122は、抑え部材兼受け部材123により固定される。金属支持部とウレタンゴムより構成されるクリーニングブレード124は、抑え部材兼受け部材111に設けられた切込み125に金属支持部が差し込まれ、抑え部材兼受け部材123により固定される。現像ローラ121上にトナー薄層を形成するための金属ブレード126は、抑え部材兼受け部材123に設けられた切込み127へ支持部が差込まれ、押さえ部材128により固定される。トナー攪拌部材129やトナー搬送部材130は撓ませて挿入することができるので、抑え部材兼受け部材に設けた軸受け部に端部を差し込んで回転可能に支持する。その他のカバー130、131、一様露光手段132も同様な方法で固定する。
回転駆動することが必要な感光ドラム107、現像ローラ121、摺擦ローラ122の端部にはギアが一体的に取り付けられており、これらの部材が側板に取り付けたモータとギアなどで連結され、駆動する。図44は、感光ドラム107の位置での模式的な横断面図である。側板133、134に取り付けられた受け部材108、108−2と受け部材兼押さえ部材111、111−2により感光ドラム107が回転可能に支持されている。感光ドラム107の左端にはギア135が一体的に設けられている。感光ドラムの駆動ギア136の部分は受け部材が2重構造となっている。支持板108−3は駆動ギア136を避けた位置で108とステーにより結合されており、駆動ギア136は108と108−3で支持されている。駆動ギア137を有する駆動モータ138は側板の外側より固定される。
感光ドラム107と現像ローラ121は数パーセントの速度差で逆方向に回転するのでギアを直結させればよいが、現像ローラ121と摺擦ローラ122は同方向に回転するため、アイドルギアを介して連結する必要がある。このような部分についても受け部材または押さえ部材を2重構造とし、ギアを内包させる。受け部材を別部品で構成することなく側板に切れ込みまたは突出部を設けてそこへ部品をセットする構成にすることもできる。
また上記実施例においては感光ドラムなどの回転部材を支持するためにはその軸の部分で受け部材と押さえ部材に分割したが、受け部材と押さえ部材に分割する位置はこれに限らず、たとえば受け部材に感光ドラムの軸受け部を設けて両側の受け部材に感光ドラムをセットした状態で受け部材を側板間に挿入する形に変形することも本発明の範疇である。また全体の構成として、底板139に側板を固定した構成ではなく、2枚の側板をステーなどで結合しておき、プロセス要素が組み付けられた側版を一体としてその端部で回転可能に支持し、ジャム紙の除去をし易くした構成としてもよい。
本発明の中心的思想は、使用者によるメンテナンスが用紙補給・交換と用紙のジャム処理だけであり、トナー補給やカートリッジ交換などが不要である点である。このことから記録装置の構造において新たな考案が可能となる。
具体的には、▲1▼プロセスユニットを個別に作り、出し入れ自在にする必要がないので、プロセス部材を側板間に直接組み付けることが可能となる。そのやり方の一例が上記のとおりである。▲2▼トナー補給やカートリッジ交換のための大きな開口部を必要としないので、全体的に強度が上がる。▲3▼梁を側板間の自在の場所に設けること、あるいは側板間上面にトラスを入れることが可能となる。これらにより、側板を含む構造体の強度が向上する、あるいは従来側板上端と下端に設けられている強度を出すための折り曲げ部の幅を短くでき、全体の幅を短縮できる。これらすべてはコスト低減にも効果を生む。
側板間にローラ類を組み込むためには一般的には側板に軸受けなどを設けておき、ローラ類を差し込んでから2枚の側板を固定する方法がとられる。しかしながらこの方法ではローラを交換する際には全てを分解しなければならない。本発明の方法によれば押さえ部材などを取り外すだけでローラの交換ができ、メンテナンスが容易となる。
本発明における付随的な効果としてユーザによるトナー補給を行わないため、現像剤容器を密閉状態に近い状態にすることができることがあげられる。このことにより、現像剤の温湿度による特性変化が小さくなり、画質が安定する。