以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるIPS(In−Plane Switching)駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図8を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1を参照して説明する。
図1は、TFTアレイ基板の上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図である。
図1において、本実施形態に係る液晶装置では、本発明に係る「第1基板」の一例としてのTFTアレイ基板10と、本発明に係る「第2基板」の一例としての対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に本発明に係る「電気光学物質」の一例としての液晶層が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素部が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。尚、画像表示領域10aは、本発明に係る「表示領域」の一例である。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。尚、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域が存在する。言い換えれば、TFTアレイ基板10の中心から見て、この額縁遮光膜53より以遠が周辺領域として規定されている。
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
尚、後に詳細に説明するが、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線、共通配線等の配線の上層側に画素電極及び共通電極が設けられている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、格子状の遮光膜が形成されている。また、TFTアレイ基板10及び対向基板20間に挟持された液晶層に含まれる液晶分子は、液晶装置の動作時に、画素電極及び共通電極間に生じた横電界によって駆動される。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、後述する共通電位供給回路910が設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、これらの回路の他、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の要部の電気的な構成について、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る液晶装置の要部の電気的な構成を示すブロック図である。
図2において、本実施形態に係る液晶装置は、そのTFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、プリチャージ回路610、サンプリング回路7、共通電位供給回路910等の駆動回路が形成されている。尚、データ線駆動回路101及びサンプリング回路7は、後述する画像信号線6と共に、本発明に係る「画像信号供給回路」の一例を構成する。
走査線駆動回路104には、外部回路から外部回路接続端子102(図1参照)を介してYクロック信号(及び反転Yクロック信号)、Yスタートパルス信号等の各種制御信号が供給される。走査線駆動回路104は、これらの信号に基づいて走査信号G1、・・・、Gmをこの順に順次生成して走査線11に出力する。尚、後述するように、走査線11は、走査線11a及び11bから構成されている。
データ線駆動回路101には、外部回路から外部回路接続端子102を介してXクロック信号(及び反転Xクロック信号)、Xスタートパルス信号等の各種制御信号が供給される。データ線駆動回路101は、Xスタートパルス信号が入力されると、Xクロック信号に基づくタイミングで、サンプリング信号S1、・・・、Snを順次生成して出力する。
プリチャージ回路610は、データ線駆動回路101から出力されるサンプリング信号Si(i=1、・・・、n)の各々に対応して設けられた、n個のプリチャージスイッチ611からなる。プリチャージスイッチ611は、NAND回路611a及びインバータ611bを含んでいる。NAND回路611aには、サンプリング信号Si(i=1、・・・、n)及びプリチャージタイミング信号NRGが入力され、インバータ611bを介して、出力信号として、サンプリング信号Si又はプリチャージタイミング信号NRGがサンプリング回路7に出力される。ここで、サンプリング信号Si(i=1、・・・、n)は画像信号VIDのデータ書き込み期間を規定するためのタイミング信号であり、プリチャージタイミング信号NRGは、本発明に係る「プリチャージ期間選択信号」の一例であり、上記データ書き込み期間に先立つプリチャージ期間を規定するためのタイミング信号である。プリチャージタイミング信号NRGは、外部回路から外部回路接続端子102及びプリチャージタイミング信号供給線612を介して、プリチャージ回路610に供給される。
サンプリング回路7は、データ線6a毎に設けられた複数のサンプリングスイッチ7sを備えている。各サンプリングスイッチ7sは、本発明に係る「サンプリング用スイッチング素子」の一例であり、Nチャネル型のTFTから構成されている。尚、各サンプリングスイッチ7sは、Pチャネル型のTFT或いは相補型のTFTから構成されてもよい。各サンプリングスイッチ7sは、ソースが画像信号線6に電気的に接続され、ドレインがデータ線6aに電気的に接続され、ゲートがプリチャージ回路610の出力線に電気的に接続されている。液晶装置の動作時には、サンプリング回路7に、シリアル−パラレル展開或いはシリアル−パラレル変換された、即ち相展開された2相(或いは2系列)の画像信号VID1及びVID2が2本の画像信号線6を介して供給される。尚、画像信号の相展開数(即ち、シリアル−パラレル展開される画像信号の系列数)に関しては、本実施形態では、説明の簡単のため、2相としたが、2相に限られるものでなく、例えば、6相、9相、12相、24相、48相、96相・・・など、複数相に展開された画像信号が、その展開数に対応した数を一組としたデータ線6aの組に対して供給されるよう構成してもよい。また、シリアル−パラレル展開しないで、データ線6aに対して線順次に供給されるように構成してもよい。そして、各サンプリングスイッチ7sは、データ線駆動回路101からプリチャージ回路610を介して供給されるサンプリング信号Siにより順次閉じられる(即ち、オン状態とされる)。即ち、画像信号VIDをデータ線6a毎にサンプリング信号Siに応じてサンプリングして、複数のデータ線6aにデータ信号として夫々印加する。他方、このようなデータ線6aに対するデータ信号の供給に先立って、ビデオプリチャージが行われるように構成されている。具体的には、ビデオプリチャージの際、各サンプリングスイッチ7sには、画像信号線6を介してプリチャージ電位を有するプリチャージ信号が供給され、プリチャージタイミング信号供給線612からプリチャージ回路610を介して供給されるプリチャージタイミング信号NRGにより各サンプリングスイッチ7sは閉じられる。即ち、プリチャージタイミング信号NRGによって規定されるプリチャージ期間に、各サンプリングスイッチ7sはオン状態とされ、複数のデータ線6aにプリチャージ信号を印加するように構成されている。このように、本実施形態では、画像信号線6は、プリチャージ期間において、プリチャージ信号を供給するプリチャージ信号線としても機能する。
共通電位供給回路910は、各走査線11に対応して設けられた共通配線510に対して個別に共通電位信号Vci(但し、i=1、・・・、m)を供給する。共通電位供給回路910は、共通配線510毎に設けられたスイッチ回路911を含んでいる。共通電位供給回路910の構成については後に詳細に説明する。
図2において、本実施形態に係る液晶装置には、更に、そのTFTアレイ基板の中央を占める画像表示領域10aに、マトリクス状に配列された複数の画素部700が設けられている。
画素部700は、画素スイッチング用のTFT30、液晶素子72及び蓄積容量70を備えている。
TFT30は、本発明に係る「画素スイッチング素子」の一例であり、ソースがデータ線6aに電気的に接続され、ゲートが走査線11に電気的に接続され、ドレインが後述する液晶素子72の画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用のTFT30は、走査線駆動回路104から供給される走査信号Gi(但し、i=1、・・・、m)によってオン状態及びオフ状態が切り換えられる。尚、後述するように、本実施形態では、画素スイッチング用のTFT30は、2つのゲート電極を有している、即ちダブルゲート構造を有している。
液晶素子72は、画素電極9a、共通電極21並びに画素電極9a及び共通電極21間に位置する液晶から構成されている。画素電極9aは、本発明に係る「第1電極」の一例であり、TFT30を介してデータ線6aに電気的に接続されている。共通電極21は、本発明に係る「第2電極」の一例であり、共通配線510に電気的に接続されている。尚、画素電極9a及び共通電極21は、上述したように、いずれもTFTアレイ基板10上に設けられている。液晶装置の動作時には、データ線6a及びTFT30を介して供給された画像信号の電位を有する画素電極9aと、共通配線510を介して供給された共通電位信号の電位を有する共通電極21との間には、TFTアレイ基板10の基板面に沿った横電界が生じる。液晶は、当該横電界に応じて駆動されることによって、即ち、当該横電界に応じて分子集合の配向や秩序が変化することによって、光を変調し、階調表示を可能とする。
蓄積容量70は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、液晶素子72と並列に付加されている。蓄積容量70を構成する一方の電極は、画素電極9aに電気的に接続され、他方の電極は、共通電極21に電気的に接続されている。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の具体的な構成について、図3から図6を参照して説明する。
図3及び図4は、本実施形態に係る液晶装置の複数の画素部を示す平面図である。図3及び図4は、それぞれ、後述する積層構造のうち下層部分(図3)と上層部分(図4)とを分かって図示している。図5は、図3及び図4を重ね合わせた場合のA−A´断面図である。図6は、図4のB−B´断面図である。尚、図5及び図6においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。図3では、液晶層50及び対向基板20側の構成を省略してある。図4では、層間絶縁膜44より下層側の構成を省略してある。
図3において、データ線6a及び走査線11(即ち、走査線11a及び11b)が互いに交差するように設けられている。即ち、走査線11a及び11bは、それぞれ、X方向に沿って延びており、データ線6aは、走査線11a或いは11bと交差するように、Y方向に沿って延びている。走査線11a及びデータ線6aが互いに交差する個所の各々には画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
図3及び図5において、TFT30は、半導体層1a、ゲート電極3a及び3bを含んで構成されている。
半導体層1aは、例えばポリシリコンからなり、チャネル領域1a´、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eからなる。即ち、TFT30はLDD構造を有している。低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eは、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層1aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、ソース領域及びドレイン領域に流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下を抑制できる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極3aをマスクとして不純物を高濃度に打ち込んで高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
図3及び図5に示すように、ゲート電極3aは、走査線11aの一部として形成されており、例えば導電性ポリシリコンから形成されている。走査線11aは、X方向に沿って延びる本線部分と共に、TFT30のチャネル領域1a´のうち該本線部分が重ならない領域と重なるようにY方向に沿って延在する部分を有している。このような走査線11aのうちチャネル領域1a´と重なる部分がゲート電極3aとして機能する。ゲート電極3a及び半導体層1a間は、ゲート絶縁膜2(より具体的には、2層の絶縁膜2a及び2b)によって絶縁されている。
ゲート電極3bは、走査線11bの一部として形成されている。走査線11bは、X方向に沿うように、ストライプ状にパターニングされた本線部と、該本線部からY方向に沿って延在する延在部を有している。このような走査線11bのうちチャネル領域1a´と重なる部分がゲート電極3bとして機能する。走査線11bは、TFT30のチャネル領域1a´、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eに対向する領域を含むように形成されている。走査線11b及び半導体層1a間は、下地絶縁膜12によって絶縁されている。
このように、TFT30は、半導体層1aと、半導体層1aよりもゲート絶縁膜2を介して上層側に形成された走査線11aの一部として構成されるゲート電極3aと、半導体層1aよりも下地絶縁膜12を介して下層側に形成された走査線11bの一部として構成されるゲート電極3bとを有している。即ち、TFT30は、ダブルゲート構造を有している。よって、仮に半導体層1aよりも上層側又は下層側の一方だけにゲート電極が形成される場合と比較して、TFT30のオン電流を大きくすることができる。
走査線11bは、例えばタングステン(W)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)等の高融点金属材料等の遮光性の導電材料からなる。走査線11bは、半導体層1aよりも下層側に、半導体層1aのチャネル領域1a´、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに対向する領域を含むように配置されている。よって、走査線11bによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクタ等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域1a´を殆ど或いは完全に遮光できる。即ち、走査線11bは、走査信号を供給する配線として機能すると共に戻り光に対するTFT30の遮光膜として機能することが可能である。
図3及び図5において、TFTアレイ基板10上のTFT30よりも層間絶縁膜41を介して上層側には、蓄積容量70が設けられている。
蓄積容量70は、下部容量電極71及び上部容量電極300が誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
上部容量電極300は、各走査線11に沿った画素部の蓄積容量70のグループ毎に共通に設けられており、各走査線11に沿って延びるように形成されている。上部容量電極300は、画像表示領域10a(図1参照)内からその周囲に延設され、後述する共通配線510と図示しないコンタクトホールを介して電気的に接続された共通電位側容量電極である。上部容量電極300は、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)等の金属又は合金を含んだ非透明な金属膜から形成されており、TFT30を遮光する上側遮光膜(内蔵遮光膜)としても機能する。上部容量電極300は、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等から構成されていてもよい。
下部容量電極71は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9に電気的に接続された画素電位側容量電極である。より具体的には、下部容量電極71は、コンタクトホール83を介して高濃度ドレイン領域1eと電気的に接続されると共にコンタクトホール84を介して中継層93に電気的に接続されている。更に、中継層93は、コンタクトホール85を介して中継層94に電気的に接続され、この中継層94は、コンタクトホール86を介して画素電極9に電気的に接続されている。即ち、下部容量電極71は、中継層93及び94と共に高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9間の電気的な接続を中継する。下部容量電極71は、導電性のポリシリコンから形成されている。よって、蓄積容量70は、所謂MIS(Metal−Insulator−Semiconductor)構造を有している。
誘電体膜75aは、例えばHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、或いは窒化シリコン膜等から構成された単層構造、或いは多層構造を有している。
尚、下部容量電極71を、上部容量電極300と同様に金属膜から形成してもよい。即ち、蓄積容量70を、金属膜−誘電体膜(絶縁膜)−金属膜の3層構造を有する、所謂MIM(Metal−Insulator−Metal)構造を有するように形成してもよい。
図3及び図5において、TFTアレイ基板10上の蓄積容量70よりも層間絶縁膜42を介して上層側には、データ線6a及び中継層93が設けられている。TFTアレイ基板10上の積層構造における層間絶縁膜41及び42間には、TFTアレイ基板10上で平面的に見て部分的に絶縁膜61が介在している。
データ線6aは、半導体層1aの高濃度ソース領域1dに、層間絶縁膜41、絶縁膜61及び層間絶縁膜42を貫通して開孔されたコンタクトホール81を介して電気的に接続されている。データ線6a及びコンタクトホール81内部は、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl(アルミニウム)含有材料、又はAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からなる。データ線6aは、TFT30を遮光する機能も有している。
中継層93は、層間絶縁膜42上においてデータ線6aと同層に形成されている。データ線6a及び中継層93は、例えば金属膜等の導電材料で構成される薄膜を層間絶縁膜42上に薄膜形成法を用いて形成しておき、当該薄膜を部分的に除去、即ちパターニングすることによって相互に離間させた状態で形成される。従って、データ線6a及び中継層93を同一工程で形成できるため、装置の製造プロセスを簡便にできる。
図4及び図5において、TFTアレイ基板10上のデータ線6a及び中継層93よりも層間絶縁膜43を介して上層側には、中継層94及び共通配線510が設けられている。
共通配線510は、各走査線11に対応して1本ずつ、該対応する走査線11に沿って(即ちX方向に沿って)設けられている。各共通配線510は、X方向に沿って延びる本線部510xと本線部510xから画素毎にY方向に沿って延設された複数の延設部510yを有している。各共通配線510は、対応する走査線11に沿って配列された同一行の画素部に設けられた共通電極21のグループ毎に共通に電気的に接続されている。各共通配線510は、共通電極21の各々に、層間絶縁膜44に開孔されたコンタクトホール87を介して電気的に接続されている。共通配線510は、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl(アルミニウム)含有材料、又はAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からなる。
中継層94は、層間絶縁膜43上において共通配線510と同層に形成されている。共通配線510及び中継層94は、データ線6a及び中継層93と同様に、互いに同一工程で形成できる。
図4及び図5において、TFTアレイ基板10上の中継層94及び共通配線510よりも層間絶縁膜44を介して上層側には、画素電極9及び共通電極21が設けられている。
画素電極9は、画素毎に設けられており、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜から形成されている。画素電極9は、Y方向に延びるように形成されている。画素電極9は、層間絶縁膜44に開孔されたコンタクトホール86を介して中継層94に電気的に接続されている。よって、画素電極9は、下部容量電極71、コンタクトホール83、84、85及び86、並びに中継層93及び94を介して半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。
共通電極21は、画素電極9に対応して、画素毎に設けられている。共通電極21は、画素電極9と同層に、ITO等の透明導電膜から形成されている。共通電極21は、後述する遮光膜23で規定された領域、より具体的には、各画素において実質的に光を透過させることが可能な開口領域を各画素間で互いに隔てる非開口領域に、Y方向に延びるように形成されている。共通電極21は、層間絶縁膜44に開孔されたコンタクトホール87を介して共通配線510に電気的に接続されている。
図6において、共通電極21及び画素電極9は、層間絶縁膜44上において同層に形成されている。共通電極21及び画素電極9の上側表面には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。
対向基板20上におけるTFTアレイ基板10と対向する側には、非開口領域を規定する遮光膜23が、対向基板20上で平面的に見て、格子状に設けられている。また、対向基板20上におけるTFTアレイ基板10と対向する側の表面には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。
TFTアレイ基板10及び対向基板20間には、液晶層50が挟持されている。液晶層50に含まれる液晶分子は、本実施形態に係る液晶装置の動作時に、共通電極21及び画素電極9に生じた横電界によって駆動される。
尚、本実施形態では、共通電極21及び画素電極9をTFTアレイ基板10上の積層構造における同層に形成し、IPS駆動方式の液晶装置として構成したが、例えば、共通電極21及び画素電極9をTFTアレイ基板10上の積層構造における互いに異なる層に形成し、FFS(Fringe Field Switching)駆動方式の液晶装置として構成してもよい。
以上に説明した画素部の構成は、図3及び図4に示すように、各画素部に共通である。画像表示領域10a(図1参照)には、かかる画素部が周期的に形成されていることになる。他方、本実施形態に係る液晶装置では、画像表示領域10aの周囲に位置する周辺領域に、図1及び図2を参照して説明したように、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101等の駆動回路が形成されている。
次に、本実施形態において特徴的である共通電位供給回路の構成について、図2に加えて図7及び図8を参照して詳細に説明する。
図7は、本実施形態における共通電位供給回路に含まれるスイッチ回路の等価回路図である。図8は、本実施形態におけるスイッチ回路に含まれるインバータの回路図である。
図2において、共通配線510は、m本の走査線の各々に対応して1本ずつ設けられており、X方向に沿ってそれぞれ形成されている。共通電位供給回路910は、共通配線510毎に1つずつ設けられた、m個のスイッチ回路911を備えている。
図7に示すように、スイッチ回路911は、本発明に係る「第1の極性反転回路」の一例であり、Nチャネル型のTFT912及び913並びにインバータ914及び915を含むフリップフロップ回路として構成されている。スイッチ回路911のワード線916は、対応する走査線11に電気的に接続されている。即ち、TFT912及び913のゲートには、ワード線916を介して走査信号Giが供給されるように構成されている。TFT912のソースには、1フレーム期間毎に基準電位よりも高い高定電位VcHと基準電位よりも低い低定電位VcLとで極性反転される共通電位Vcomが供給され、TFT913のソースには、共通電位Vcomが基準電位に対して反転された反転共通電位Vcombが供給されるように構成されている。スイッチ回路911の出力線917は、共通配線510に電気的に接続されている。
図8に示すように、インバータ914は、Pチャネル型のTFT914p及びNチャネル型のTFT914nから構成されている。TFT914pのソースには、高定電位VcHを有する電源信号が供給され、TFT914nのソースには、低定電位VcLを有する電源信号が供給されるように構成されている。インバータ915は、インバータ914と同様に構成されている。
即ち、スイッチ回路911は、走査信号Giに応じて高定電位VcHと低定電位VcLとで極性反転される共通電位信号Vciを、共通配線510に対して供給するように構成されている。言い換えれば、共通電位供給回路910は、各共通配線510に対して個別に、走査信号Giに応じて共通電位信号Vciを極性反転させつつ供給するように構成されている。
次に、本実施形態に係る液晶装置の動作について、図2に加えて図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態における共通電位信号の極性反転タイミングを示すタイミングチャートである。
図9において、本実施形態では、画像信号VID(即ち、画像信号VID1及びVID2)は、1フレーム期間(或いは1垂直期間又は1垂直走査期間)毎に基準電位に対して高位側の正極性(図中「+」で示す)と低位側の負極性(図中「−」で示す)とで極性反転されつつデータ線6aへ供給され、更にTFT30を介して画素電極9へ供給される。即ち、本実施形態では、画像表示領域10aの複数の画素部700において夫々、画素電極9を同一極性の電位で駆動しつつ、係る電位極性を1フレーム期間周期で反転させる、所謂「面反転駆動」が行われる。
本実施形態では特に、共通電位供給回路910は、TFT30がオン状態とされるタイミングと同時のタイミングで、共通電極21が当該共通電極21と対をなす画素電極9と異なる極性となるように、複数の共通配線510の各々に対して個別に、共通電位信号Vciを、基準電位に対して極性反転させつつ供給する。即ち、スイッチ回路911は、走査信号Giに応じて高定電位VcHと低定電位VcLとで極性反転される共通電位信号Vciを、共通配線510に対して供給する。
より具体的には、図9に示すように、例えば、走査信号G1が供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vc1の電位は、走査線11に走査信号G1が供給されるタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる(即ち、基準電位に対して極性反転される)。同様に、走査信号Gi(但し、i=2、・・・、m)が供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vci(但し、i=2、・・・、m)の電位は、走査線11に走査信号Gi(但し、i=2、・・・、m)が供給されるタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる。
よって、各画素部700において、画素電極9がオン状態とされたTFT30を介してデータ線6aに電気的に接続された状態となったタイミングと同時のタイミングで、共通電極21に供給される共通電位信号Vciは、共通電極21の電位が画素電極9と異なる電位となるように、基準電位に対して正極性及び負極性のいずれかに極性反転される。従って、各画素部700おいて、共通電極21の電位の変動に伴い、液晶素子72における保持容量による容量カップリングによって、画素電極9の電位も変動してしまうことを低減或いは好ましくは防止できる。このため、画素スイッチング用のTFT30として、ソース−ドレイン間耐圧特性、オフ電流特性等の素子特性が比較的低いTFTを用いることが可能となる。
即ち、仮に、上述したようなコモン振り駆動で一般的に行われるのと同様に、TFT30がオン状態とされるタイミングよりも早い或いは前のタイミングで、共通電極21が当該共通電極21と対をなす画素電極9と異なる極性となるように、共通電位信号Vciを、基準電位に対して極性反転させつつ共通電極21に供給する場合には、共通電極21の電位の変動に伴い、液晶素子72における保持容量による容量カップリングによって、画素電極9の電位が変動してしまうおそれがある。よって、画素スイッチング用のTFT30のソース−ドレイン間の電圧は、例えば、画像信号VIDの電位の基準電位に対する振幅の2倍程度に大きくなってしまうおそれがあるため、TFT30としては、ソース−ドレイン間耐圧が画像信号VIDの電位の基準電位に対する振幅の2倍以上のTFTを用いる必要がある。しかるに本実施形態では特に、上述したように、TFT30がオン状態とされるタイミングと同時のタイミングで、共通電極21が当該共通電極21と対をなす画素電極9と異なる極性となるように、共通電位信号Vciを、基準電位に対して極性反転させつつ共通電極21に供給するので、画素電極9の電位が変動してしまうことを低減或いは防止できる。即ち、共通電極21の電位が極性反転されるタイミングでは、該共通電極21と対をなす画素電極9は、オン状態とされたTFT30を介してデータ線6aに電気的に接続されており、データ線6aから供給される画像信号VIDの電位に維持される。よって、画素電極9は、共通電極21の電位の変動に伴う、容量カップリングに起因した電位の変動を殆ど或いは全く生じない。このため、TFT30として、ソース−ドレイン間耐圧特性等の素子特性が比較的低いトランジスタを用いることが可能となる。この結果、画素スイッチング素子としてのTFT30をオフ状態からオン状態に切り換える走査信号Gi(但し、i=1、・・・、m)の電位を低下させることができる。即ち、走査信号Giを供給する走査線駆動回路104の駆動電圧を低下させることができる。よって、本実施形態に係る液晶装置を駆動する際の消費電力を低減することが可能となる。
更に、走査信号Giの電位を低下させることができるので、TFT30として、高速なTFTを用いることが可能となり、TFT30を製造する製造コストも低減可能である。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る液晶装置について、図2及び図6に加えて図10を参照して説明する。
図10は、第2実施形態における図9と同趣旨のタイミングチャートである。尚、図10において、図1から図9に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
第2実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態に係る液晶装置が所謂「面反転駆動」が行われるように構成されているのに代えて、所謂「ライン反転駆動」が行われるように構成されている点で、上述した第1実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
図10において、本実施形態では、画像信号VID(即ち、画像信号VID1及びVID2)は、1水平期間(或いは1水平走査期間又は1H期間)毎に基準電位に対して高位側の正極性(図中「+」で示す)と低位側の負極性(図中「−」で示す)とで極性反転されつつデータ線6aへ供給され、更にTFT30を介して画素電極9へ供給される。即ち、本実施形態では、走査線11に沿って配列された同一行の画素電極9を同一極性の電位で、且つ相隣接する行の画素電極9を互いに異なる極性の電位で駆動する、所謂「ライン反転駆動」が行われる。ここで、画像信号VIDが1水平期間毎に極性反転されるのに対応して、共通電位Vcom(及び反転共通電位Vcomb)は、1水平期間毎に基準電位に対して極性反転されるように構成されている。
本実施形態に係る液晶装置によれば、上述した第1実施形態に係る液晶装置と同様に、スイッチ回路911は、走査信号Giに応じて高定電位VcHと低定電位VcLとで極性反転される共通電位信号Vciを、共通配線510に対して供給する。より具体的には、図10に示すように、走査信号Gi(但し、i=1、・・・、m)が供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vci(但し、i=1、・・・、m)の電位は、走査線11に走査信号Gi(但し、i=1、・・・、m)が供給されるタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる。
よって、各画素部700において、画素電極9がオン状態とされたTFT30を介してデータ線6aに電気的に接続された状態となったタイミングと同時のタイミングで、共通電極21に供給される共通電位信号Vciは、共通電極21の電位が画素電極9と異なる電位となるように、基準電位に対して正極性及び負極性のいずれかに極性反転される。従って、各画素部700おいて、共通電極21の電位の変動に伴い、液晶素子72における保持容量による容量カップリングによって、画素電極9の電位も変動してしまうことを低減或いは好ましくは防止できる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る液晶装置について、図11から図14を参照して説明する。
先ず、第3実施形態に係る液晶装置の構成について、図11及び図12を参照して説明する。
図11は、第3実施形態における図2と同趣旨のブロック図である。図12は、第3実施形態におけるスイッチ回路の等価回路図である。
図11において、第3実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態における共通電位供給回路910(図2参照)に代えて共通電位供給回路920を備える点で、上述した第1実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
図11において、共通配線510は、m本の走査線の各々に対応して1本ずつ設けられており、X方向に沿ってそれぞれ形成されている。共通電位供給回路920は、共通配線510毎に1つずつ設けられた、m個のスイッチ回路921を備えている。
図12に示すように、スイッチ回路921は、Nチャネル型のTFT922n及び923n並びにインバータ924及び925を含むフリップフロップ回路として構成されている。スイッチ回路921のワード線926における入力側にはNAND回路927及びインバータ928が直列に電気的に接続されている。NAND回路927には、走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGが入力され、インバータ928を介して、走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGの論理積として生成されたゲート信号がワード線926に供給される。即ち、TFT922n及び923nのゲートには、ワード線926を介して走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGの論理積として生成されたゲート信号が供給されるように構成されている。
インバータ924及びインバータ925は、図7を参照して上述した第1実施形態におけるインバータ914と同様に構成されている。
尚、図11に示すように、共通電位供給回路920(即ち、m個のスイッチ回路921)には、プリチャージタイミング信号NRGがプリチャージタイミング信号供給線612から分岐された分岐配線92を介して供給される。
即ち、スイッチ回路921は、走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGの論理積として生成されたゲート信号に応じて高定電位VcHと低定電位VcLとで極性反転される共通電位信号Vciを、共通配線510に対して供給するように構成されている。言い換えれば、共通電位供給回路910は、各共通配線510に対して個別に、走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGの論理積として生成されたゲート信号に応じて、共通電位信号Vciを極性反転させつつ供給するように構成されている。
尚、図13に変形例として示すように、スイッチ回路921は、Nチャネル型のTFT922n及び923n(図12参照)に代えて、Pチャネル型のTFT922p及びTFT923pが設けられ、インバータ928(図12参照)が設けられない構成としてもよい。ここに図13は、変形例における図12と同趣旨の等価回路図である。この場合にも、共通電位供給回路910は、各共通配線510に対して個別に、走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGの論理積として生成されたゲート信号に応じて、共通電位信号Vciを極性反転させつつ供給することができる。更に、スイッチ回路921を、インバータ928を設けない分だけ、簡易な構成とすることができる。
次に、本実施形態に係る液晶装置の動作について、図11に加えて図14を参照して説明する。
図14は、第3実施形態における共通電位信号の極性反転タイミングを示すタイミングチャートである。
図14において、本実施形態では、上述した第1実施形態と同様に、画像信号VID(即ち、画像信号VID1及びVID2)は、1フレーム期間(或いは1垂直期間又は1垂直走査期間)毎に基準電位に対して高位側の正極性(図中「+」で示す)と低位側の負極性(図中「−」で示す)とで極性反転されつつデータ線6aへ供給され、更にTFT30を介して画素電極9へ供給される。即ち、所謂「面反転駆動」が行われる。
本実施形態では特に、共通電位供給回路920は、TFT30がオン状態とされるタイミングよりも遅いタイミングで、共通電極21が当該共通電極21と対をなす画素電極9と異なる極性となるように、複数の共通配線510の各々に対して個別に、共通電位信号Vciを、基準電位に対して極性反転させつつ供給する。即ち、スイッチ回路921は、走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGの論理積として生成されたゲート信号に応じて高定電位VcHと低定電位VcLとで極性反転される共通電位信号Vciを、共通配線510に対して供給する。
より具体的には、図14に示すように、走査信号G1が供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vc1の電位は、走査線11に走査信号G1が供給された状態で共通電位供給回路920にプリチャージタイミング信号NRGが供給されるタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる。同様に、走査信号Gi(但し、i=2、・・・、m)が供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vci(但し、i=2、・・・、m)の電位は、走査線11に走査信号Gi(但し、i=2、・・・、m)が供給された状態で共通電位供給回路920にプリチャージタイミング信号NRG供給されるタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる。
尚、プリチャージタイミング信号NRGは、上述したように、データ書き込み期間に先立つプリチャージ期間を規定するためのタイミング信号であり、図14に示すように、各走査線11に走査信号Gi(但し、i=1、・・・、m)が供給されるタイミングよりも所定時間だけ遅れたタイミングでプリチャージタイミング信号供給線612に供給される。
よって、各画素部700において、画素電極9がオン状態とされたTFT30を介してデータ線6aに電気的に接続された状態となったタイミングよりも遅いタイミングで、共通電極21に供給される共通電位信号Vciは、共通電極21の電位が画素電極9と異なる電位となるように、基準電位に対して正極性及び負極性のいずれかに極性反転される。従って、各画素部700おいて、共通電極21の電位の変動に伴い、液晶素子72における保持容量による容量カップリングによって、画素電極9の電位も変動してしまうことを低減或いは好ましくは防止できる。このため、画素スイッチング用のTFT30として、ソース−ドレイン間耐圧特性、オフ電流特性等の素子特性が比較的低いTFTを用いることが可能となる。
更に、本実施形態では特に、上述したように、走査信号Giが供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vciの電位は、走査線11に走査信号Giが供給された状態で共通電位供給回路920にプリチャージタイミング信号NRGが供給されるタイミングと同時のタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる。即ち、共通電位供給回路920は、サンプリングスイッチング7sがプリチャージタイミング信号NRGによってオン状態とされるタイミングと同時のタイミングで、複数の共通配線510の各々に対して個別に、共通電位信号Vciを、基準電位に対して極性反転させつつ共通配線510を介して共通電極21に供給する。よって、共通電位21の電位の変動に伴って、データ線6aの電位が変動してしまうことを低減或いは防止できる。即ち、共通電極21の電位が極性反転されるタイミングでは、各データ線6aは、オン状態とされたサンプリングスイッチ7sを介してプリチャージ信号線としての画像信号線6に電気的に接続されており、画像信号線6から供給されるプリチャージ信号の電位に維持される。よって、データ線6aは、共通電極21の電位の変動に伴う、容量カップリングに起因した電位の変動を殆ど或いは全く生じない。このため、サンプリングスイッチング7sとして、ソース−ドレイン間耐圧特性等の素子特性が比較的低いトランジスタを用いることが可能となる。この結果、サンプリングスイッチ7sをオフ状態からオン状態に切り換えるサンプリング信号Si(但し、i=1、・・・、n)の電位を低下させることができる。即ち、サンプリング信号Si(但し、i=1、・・・、n)を供給するデータ線駆動回路101の駆動電圧を低下させることができる。よって、当該液晶装置を駆動する際の消費電力をより一層低減することが可能となる。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る液晶装置について、図11及び図12に加えて図15を参照して説明する。
図15は、第4実施形態における図14と同趣旨のタイミングチャートである。尚、図15において、図11から図14に示した第3実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
第4実施形態に係る液晶装置は、上述した第3実施形態に係る液晶装置が所謂「面反転駆動」が行われるように構成されているのに代えて、所謂「ライン反転駆動」が行われるように構成されている点で、上述した第3実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第3実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
図15において、本実施形態では、画像信号VID(即ち、画像信号VID1及びVID2)は、1水平期間毎に基準電位に対して高位側の正極性(図中「+」で示す)と低位側の負極性(図中「−」で示す)とで極性反転されつつデータ線6aへ供給され、更にTFT30を介して画素電極9へ供給される。即ち、本実施形態では、走査線11に沿って配列された同一行の画素電極9を同一極性の電位で、且つ相隣接する行の画素電極9を互いに異なる極性の電位で駆動する、所謂「ライン反転駆動」が行われる。ここで、画像信号VIDが1水平期間毎に極性反転されるのに対応して、共通電位Vcom(及び反転共通電位Vcomb)は、1水平期間毎に基準電位に対して極性反転されるように構成されている。
本実施形態に係る液晶装置によれば、上述した第3実施形態に係る液晶装置と同様に、スイッチ回路921は、走査信号Gi及びプリチャージタイミング信号NRGの論理積として生成されたゲート信号に応じて高定電位VcHと低定電位VcLとで極性反転される共通電位信号Vciを、共通配線510に対して供給する。
より具体的には、図15に示すように、走査信号Gi(但し、i=1、・・・、m)が供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vci(但し、i=1、・・・、m)の電位は、走査線11に走査信号Gi(但し、i=1、・・・、m)が供給された状態で共通電位供給回路920にプリチャージタイミング信号NRGが供給されるタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる。
よって、各画素部700において、画素電極9がオン状態とされたTFT30を介してデータ線6aに電気的に接続された状態となったタイミングよりも遅いタイミングで、共通電極21に供給される共通電位信号Vciは、共通電極21の電位が画素電極9と異なる電位となるように、基準電位に対して正極性及び負極性のいずれかに極性反転される。従って、各画素部700おいて、共通電極21の電位の変動に伴い、液晶素子72における保持容量による容量カップリングによって、画素電極9の電位も変動してしまうことを低減或いは好ましくは防止できる。
更に、本実施形態では特に、上述した第3実施形態と同様に、走査信号Giが供給される走査線11に対応する共通配線510に供給される共通電位信号Vciの電位は、走査線11に走査信号Giが供給された状態で共通電位供給回路920にプリチャージタイミング信号NRGが供給されるタイミングと同時のタイミングで、高定電位VcHから低定電位VcLへ或いは低定電位VcLから高定電位VcHへ切り換えられる。よって、共通電位21の電位の変動に伴って、データ線6aの電位が変動してしまうことを低減或いは防止できる。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
先ず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。ここに図16は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。図16に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図16を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、電気光学装置の駆動方法及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
6…画像信号線、6a…データ線、7…サンプリング回路、7s…サンプリングスイッチ、9…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、20…対向基板、21…共通電極、50…液晶層、70…蓄積容量、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走査線駆動回路、510…共通配線、610…プリチャージ回路、612…プリチャージタイミング信号供給線、700…画素部、910…共通電位供給回路、911…スイッチ回路