以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される増幅型固体撮像装置、例えばMOS型イメージセンサの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本適用例に係るMOS型イメージセンサ10は、光電変換素子である例えばフォトダイオードを含む単位画素11、この画素11が行列状に2次元配列されてなる画素アレイ部12、垂直選択回路13、信号処理回路であるカラム回路14、水平選択回路15、水平信号線16、出力回路17およびタイミングジェネレータ18等を有するエリアセンサ構成となっている。
画素アレイ部12には、行列状の画素配列に対して列ごとに垂直信号線121が配線されている。単位画素11の具体的な回路構成については後述する。垂直選択回路13は、シフトレジスタなどによって構成され、画素11の転送トランジスタ112を駆動する転送信号や、リセットトランジスタ113を駆動するリセット信号などの制御信号を行単位で順次出力することによって画素アレイ部12の各画素11を行単位で選択駆動する。
カラム回路14は、画素アレイ部12の水平方向の画素ごと、即ち垂直信号線121ごとに配される信号処理回路であり、例えばS/H(サンプルホールド)回路およびCDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)回路などによって構成される。水平選択回路15は、シフトレジスタなどによって構成され、カラム回路14を通して出力される各画素11の信号を順次選択して水平信号線16に出力させる。なお、図1では、図面の簡略化のため、水平選択スイッチについては図示を省略している。この水平選択スイッチは、水平選択回路15によって列単位で順次オン/オフ駆動される。
水平選択回路15による選択駆動により、カラム回路14から列ごとに順次出力される単位画素11の信号は、水平信号線16を通して出力回路17に供給され、この出力回路17で増幅などの信号処理が施された後、デバイス外部へ出力される。タイミングジェネレータ18は、各種のタイミング信号を生成し、これら各種のタイミング信号を基に垂直選択回路13、カラム回路14および水平選択回路15などの駆動制御を行う。
(画素回路)
図2は、単位画素11の回路構成の一例を示す回路図である。図2に示すように、本回路例に係る単位画素11Aは、光電変換素子、例えばフォトダイオード111に加えて、例えば転送トランジスタ112、リセットトランジスタ113および増幅トランジスタ114の3つのトランジスタを有する画素回路となっている。ここでは、これらトランジスタ112〜114として、例えばNチャネルのMOSトランジスタを用いている。
転送トランジスタ112は、フォトダイオード111のカソードとFD(フローティングディフュージョン)部116との間に接続され、フォトダイオード111で光電変換され、ここに蓄積された信号電荷(ここでは、電子)を、ゲートに転送パルスφTRGが与えられることによってFD部116に転送する。
リセットトランジスタ113は、選択電源SELVDDにドレインが、FD部116にソースがそれぞれ接続され、フォトダイオード111からFD部116への信号電荷の転送に先立って、ゲートにφリセットパルスRSTが与えられることによってFD部116の電位をリセットする。選択電源SELVDDは、電源電圧としてVDDレベルとGNDレベルとを選択的にとる電源である。
増幅トランジスタ114は、FD部116にゲートが、選択電源SELVDDにドレインが、垂直信号線121にソースがそれぞれ接続されたソースフォロア構成となっており、選択電源SELVDDがVDDレベルになることによって動作状態となって画素11Aの選択をなし、リセットトランジスタ113によってリセットした後のFD部116の電位をリセットレベルとして垂直信号線121に出力し、さらに転送トランジスタ112によって信号電荷を転送した後のFD部116の電位を信号レベルとして垂直信号線121に出力する。
図3は、単位画素11の回路構成の一例を示す回路図である。図3に示すように、本回路例に係る単位画素11Bは、光電変換素子、例えばフォトダイオード111に加えて、例えば転送トランジスタ112、リセットトランジスタ113、増幅トランジスタ114および選択トランジスタ115の4つのトランジスタを有する画素回路となっている。ここでは、これらトランジスタ112〜115として、例えばNチャネルのMOSトランジスタを用いている。
転送トランジスタ112は、フォトダイオード111のカソードとFD(フローティングディフュージョン)部116との間に接続され、フォトダイオード111で光電変換され、ここに蓄積された信号電荷(ここでは、電子)を、ゲートに転送パルスφTRGが与えられることによってFD部116に転送する。
リセットトランジスタ113は、電源VDDにドレインが、FD部116にソースがそれぞれ接続され、フォトダイオード111からFD部116への信号電荷の転送に先立って、ゲートにリセットパルスφRSTが与えられることによってFD部116の電位をリセットする。
選択トランジスタ115は、例えば、電源VDDにドレインが、増幅トランジスタ114のドレインにソースがそれぞれ接続され、ゲートに選択パルスφSELが与えられることによってオン状態となり、増幅トランジスタ114に対して電源VDDを供給することによって画素11Bの選択をなす。なお、この選択トランジスタ115については、増幅トランジスタ114のソースと垂直信号線121との間に接続した構成を採ることも可能である。
増幅トランジスタ114は、FD部116にゲートが、選択トランジスタ115のソースにドレインが、垂直信号線121にソースがそれぞれ接続されたソースフォロア構成となっており、リセットトランジスタ113によってリセットした後のFD部116の電位をリセットレベルとして垂直信号線121に出力し、さらに転送トランジスタ112によって信号電荷を転送した後のFD部116の電位を信号レベルとして垂直信号線121に出力する。
上述した3トランジスタ構成の単位画素11Aや、4トランジスタ構成の単位画素11Bでは、フォトダイオード111で光電変換して得られる信号電荷を転送トランジスタ112によってFD部116に転送し、当該FD部116の信号電荷に応じた電位を増幅トランジスタ114によって増幅して垂直信号線121に出力するアナログ的な動作が行われる。このようなアナログ的な動作を行う画素回路においては、増幅トランジスタ114を含む各トランジスタのチャネル長が短いと、ショートチャネル効果によってしきい値電圧Vthがばらつくため、増幅トランジスタ114を含む各トランジスタにはチャネル長の長いMOSトランジスタが用いられることになる。
次に、上述の単位画素11(11A、11B)における増幅トランジスタに適用される、本発明に係る増幅トランジスタの実施の形態について説明する。
図4に、本実施の形態に係る増幅トランジスタの好ましい一例を示す。本実施の形態では、増幅トランジスタ211を埋込みチャネルを有する構成とする共に、この埋込みチャネルの構成を最適化し、特に1/fノイズを抑制するように構成する。本例では、増幅トランジスタとしてnチャネルMOSトランジスタを用いている。
本実施の形態に係る増幅トランジスタ211は、第1導電型、本例ではp型の半導体基板212の一主面上に第2導電型、本例ではn型の半導体領域からなるソース領域213及びドレイン領域214が形成され、このソース領域213及びドレイン領域214間を含んで、n型埋込み層によるn型の埋込みチャネル領域215が形成される。半導体基板212の表面にはゲート絶縁膜216を介してゲート電極217が形成される。ゲート電極217としては、好ましくはp型不純物を導入したポリシリコン膜からなるp+型ゲート電極217で形成される。p+型ゲート電極217の両側壁には絶縁膜によるサイドウォール218が形成される。ソース領域213及びドレイン領域214は、不純物濃度が高いn+領域220aとサイドウォール218下に対応した不純物濃度に低いn−領域220bとを有するLDD構造に形成される。ゲート電極217及びサイドウォール218表面を含む基板表面は、絶縁膜222で被覆され、ソース領域213及びドレイン領域214のn+領域220aにソース電極223及びドレイン電極224が形成される。
そして、本実施の形態においては、特に、埋込みチャネル領域215を素子分離領域225から離れて、いわゆる活性領域内に形成するようになす。より詳しくは、埋込みチャネル領域215は、素子分離領域225のエッジ部から離れて形成される。素子分離領域225としては、例えば絶縁層を半導体基板の溝内に埋め込んでなる溝分離領域(STI)、あるいは半導体基板内に形成した拡散層とその上に絶縁層とによる拡散分離領域(EDI)などで形成することができる。そして、埋込みチャネル領域215を取り囲むようにp型半導体層226が形成される。なお、素子分離領域となるEDIに関しては、参考文献「K.Itonaga,IEDM Tech,Dig,p33−1,2005」を参照。
本実施の形態に係る増幅トランジスタ211によれば、埋込みチャネル型のトランジスタとして構成されるので、1/fノイズの抑制効果が得られる。この埋込みチャネルによる1/fノイズ抑制については、後述する。同時に素子分離領域225下の基板界面、すなわち素子分離領域225のエッジ部近傍に形成されるダメージによるトラップ準位から埋込みチャネル領域215が離れているので、埋込みチャネル領域215でのノイズ抑制効果がさらに高くなる。このように、本実施の形態では、トランジスタのゲート寸法L及び活性領域の寸法Wを増大させたり、ゲート絶縁膜容量Coxを増加させたりしなくても、1/fノイズを原理的に低減させることが可能になる。
因みに、従来は、埋込みチャネル領域の形成が素子分離領域のところまで活性領域の全体に形成されるのが一般的である。そうすると、ゲートをオンしたときに、ダメージが形成される素子分離領域のエッジ部に接する部分にもチャネルが形成されて電流が流れるため、界面のダメージによるトラップ準位の影響を受けることになる。このため、1/fノイズが増大する。
これに対して、図4の構成では、ゲート電極217にゲート電圧が印加されたとき、埋込みチャネル領域215でのしきい値電圧Vtは低く、埋込みチャネル領域215のオフセット部分226aでのしきい値電圧Vtが高くなる。このため、電子電流は埋込みチャネル領域215に集中して流れ、1/fノイズが低減される。埋込みチャネル領域215は、濃度が高いほど埋込みチャネル性が強くなる。
次に、埋込みチャネルの効果について詳述する。図5に、一般的な表面チャネル型NMOSトランジスタと埋込みチャネル型NMOSトランジスタのゲートチャネル部における深さ方向のポテンシャルプロファイルを示す。
このポテンシャルプロファイルから明らかなように、半導体基板(シリコン基板)中のポテンシャルが最小となる領域、つまり電流が流れる領域は、表面チャネルの場合、ゲート絶縁膜/基板界面に形成され、埋込みチャネルの場合、ゲート絶縁膜から離れた基板内部の箇所に形成される。そして、基板/ゲート絶縁膜界面で電子/正孔のトラップ準位が形成されると、表面チャネル型NMOSトランジスタの方が埋込みチャネル型NMOSトランジスタよりもトラップ準位の影響を受ける。
従って、MOS型イメージセンサ10において、単位画素11内の増幅トランジスタ114として,図4に示す埋込みチャネル型としたNMOSトランジスタの増幅トランジスタ211を用いることで、増幅トランジスタ211では、基板212中のポテンシャルが最小になる領域(電流が流れる領域)が、ゲート絶縁膜/基板界面ではなく、ゲート絶縁膜216から離れた基板212内部の箇所に形成されるため、ゲート絶縁膜/基板界面で電子/正孔のトラップ準位が形成されても、当該トラップ準位によるチャネルを流れる電流への影響を抑えることができる。すなわち、1/fノイズの発生原因となるトラップ準位による電流の揺らぎが抑制される。
すなわち、図2、図3における増幅トランジスタ114として、本日の増幅トランジスタ211を用いることで、1/fノイズの発生原因となるトラップ準位による電流の揺らぎを抑制することができるため、増幅トランジスタ114のゲート長(ゲート寸法)Lおよびゲート幅(活性領域の寸法)Wを増大させたり、ゲート絶縁膜容量Coxを増加させたりしなくても、1/fノイズを原理的に低減できることになる。
ここで、図2、図3に示すように、垂直信号線121の一端には定電流源122が接続されることになるが、この定電流源122は通常チャネル幅Wの大きいMOSトランジスタ(負荷MOSトランジスタ)で構成される。したがって、この負荷MOSトランジスタと増幅トランジスタ114が同じトランジスタだった場合、増幅トランジスタ114の方が1/fノイズに対して支配的となる。この観点からしても、MOS型イメージセンサ10において、その増幅トランジスタ114に本実施の形態の増幅トランジスタ211を使用するのが有効であると言える。
なお、埋込みチャネル型のMOSトランジスタは、チャネル長(ゲート長)を短くしていくと生ずるショートチャネル効果に弱いことが知られている。しかし、単位画素11では、光電変換素子で光電変換して得られる電荷をフローティングディフージョン部に転送し、このフローティングディフージョン部の電荷に応じた電位を増幅トランジスタによって増幅して信号線に出力する、いわゆるアナログ的な動作が行われることから、増幅トランジスタのチャネル長が短いトショートチャネル効果によりしき値電圧がばらつくため、増幅トランジスタ114にはチャネル長の長いMOSトランジスタが用いられる。このため、増幅トランジスタ114としては、ショートチャネル効果に弱い埋込みチャネル型のMOSトランジスタを用いることができることになる。
図6に、埋込みチャネル型NMOSトランジスタと表面チャネル型NMOSトランジスタの1/fノイズの比較例を示す。
図6から明らかなように、ゲートバイアスが低いほど電流がゲート絶縁膜/基板界面を流れ、埋込みチャネル型NMOSトランジスタも表面チャネル型NMOSトランジスタも同等の1/fノイズになる。具体的には、ゲート/ソース間バイアスが1.5Vを超えると、埋込みチャネル型NMOSトランジスタと表面チャネル型NMOSトランジスタとが同等のノイズになる。
換言すれば、ゲートバイアスが1.5V以上であれば、埋込みチャネル型NMOSトランジスタの方が表面チャネル型NMOSトランジスタよりも1/fノイズを低減でき、1.0V程度でノイズレベルが一桁異なる。したがって、埋込みチャネル型NMOSトランジスタにおけるゲートバイアスは1.5V以上が望ましい。
ここで、ゲートバイアスが1.5Vを超えると、埋込みチャネル型NMOSトランジスタも表面チャネル型NMOSトランジスタも同等の1/fノイズレベルになるのは次の理由による。すなわち、ゲートバイアスが増加すると、埋込みチャネル型NMOSトランジスタであっても、ゲート下部のポテンシャルの最小となる領域が表面チャネル近くになり、図7に示すように、電流もゲート絶縁膜/基板界面を通過するようになるためである。
これに対して、本実施形態に係る単位画素11(11A/11B)では、先述したように、増幅トランジスタ114がソースフォロア構成となっているため、1/fノイズの低減効果が大である。何故ならば、ソースフォロア回路ではゲート/ソース間バイアスが小さいため、ソースフォロア構成の増幅トランジスタ114に表面チャネル型のMOSトランジスタを用いることで、図8に示すように、ゲート絶縁膜/基板界面よりも基板内部側を電流が流れることになり、埋込みチャネル性をより強くすることができるため、より確実に1/fノイズを低減できることになる。
なお、ゲートバイアスを印加しても埋込みチャネル性を維持するためには、チャネル領域に注入するN型不純物のドーズ量として1×1019 (atoms/cm3)以上が必要である。
図9に、表面チャネル型NMOSトランジスタおよび埋込みチャネルNMOSトランジスタをソースフォロワの増幅トランジスタに用いたときの入出力特性を示す。
図9から、入力信号Vin−出力信号Voutの特性のニアリティーは、表面チャネル型NMOSトランジスタに比べて埋込みチャネル型NMOSトランジスタの方が優れていることがわかる。
埋込みチャネル型のMOSトランジスタの場合、移動度μがゲート絶縁膜/基板界面のラフネス(表面粗度)の影響を受けないために移動度μが高く、よって当該移動度μをパラメータの一つとする伝達コンダクタンスgm が上がり、Vout/Vinの傾き(=gm/(gm+gds+gmbs)が増加する。ここで、gdsは出力コンダクタンス、gmbs は基板バイアス効果の比例係数である。
また、埋込みチャネル型のNMOSトランジスタからなる増幅トランジスタ211を形成する場合、チャネル領域にn型の不純物を導入するに当たって、n型不純物を1種類だけ導入するよりも、拡散係数が異なる少なくとも2種類のn型不純物を導入することで、埋込みチャネル性をより強くすることができる。拡散係数が異なる少なくとも2種類のN型不純物としては、例えばヒ素(As)やリン(P)などを用いることができる。
図10に、埋込みチャネルのチャネル不純物として、リン、ヒ素、リンおよびヒ素を用いた埋込みチャネル型NMOSトランジスタをソースフォロア構成の増幅トランジスタに用いた際の入出力特性を示す。
図10から明らかなように、リンのみ、ヒ素のみ、リンおよびヒ素をチャネル領域に注入した順に入出力特性のリニアリティーが良いことがわかる。これは、リンのみ、ヒ素のみ、リンおよびヒ素を注入した順に相互コンダクタンスが良いためである。
また、拡散係数が異なる2種類のN型不純物としてリンおよびヒ素を導入するに当たっては、拡散係数の小さいヒ素を、拡散係数の大きいリンよりもゲート絶縁膜25に近い側に濃い濃度で分布させることで、ヒ素によってゲートチャネル部における深さ方向のポテンシャルプロファイルのピークを形成しつつ、リンによってN型を基板深部までブロードに広げることができるため、ショートチャネル特性が良い状態で埋込みチャネルの形成が可能になる。
また逆に、拡散係数が異なる2種類のN型不純物としてリンおよびヒ素を導入するに当たっては、拡散係数の小さいヒ素を、拡散係数の大きいリンよりもゲート絶縁膜25から遠い側に濃い濃度で分布させる構成を採ることも可能である。この構成を採る場合には、ショートチャネル特性が上記の場合よりも悪くなるものの、チャネルがより深い位置に形成されることになるため、1/fノイズをより確実に低減できることになる。
以上説明した、本実施の形態の埋込みチャネル型の増幅トランジスタ211を用いるという技術は、図2に示した3トランジスタ構成の単位画素11A、図3に示した4トランジスタ構成の単位画素11Bのいずれにも同じように適用することができるとともに、同じように1/fノイズの低減効果を得ることができる。
特に、ゲート電極がp+型の埋込みチャネル型の増幅トランジスタ211を、図3に示した4トランジスタ構成の単位画素11Bにおける増幅トランジスタ114に適用した場合には、次のように作用効果を得ることができる。
単位画素11Bの画素回路では、増幅トランジスタ114に対して電源VDD側に選択トランジスタ115が接続された構成となっており、選択トランジスタ115での電圧ドロップを抑えるために、増幅トランジスタ114のしきい値電圧をVtha、選択トランジスタ115のしきい値電圧をVtとした場合、Vt<Vtの条件を満たす必要がある。
このような条件下で、ゲート電極をn+型の埋込みチャネル型NMOSトランジスタを増幅トランジスタ114に適用した場合には、この増幅トランジスタ114のしきい値電圧Vtが小さくなり、このしきい値電圧Vtよりも選択トランジスタ115のしきい値電圧Vtをさらに小さく設定することになるため、選択トランジスタ115が常時オン状態となって画素選択を行えないことになる。
これに対して、ゲート電極をp+型にした埋込みチャネル型の増幅トランジスタ211を、上記増幅トランジスタ114に適用することで、この増幅トランジスタ114のしきい値電圧Vtを大きくできるため、このしきい値電圧Vtよりも選択トランジスタ115のしきい値電圧Vtを小さく設定したとしても、選択トランジスタ115が確実にオン/オフ動作を行うことができため、選択トランジスタ115による画素選択を確実に行いつつ増幅トランジスタ114での1/fノイズの低減効果を得ることができる。
図11及び図12に、素子分離領域225からオフセットした埋込みチャネル領域215を形成する形成方法を示す。
図11は、素子分離領域225として、STIによる素子分離領域を用いた場合である。半導体基板212に増幅トランジスタの活性領域を囲うように素子分離領域(STI)225が形成される。素子分離領域(STI)225は、通常、図示するように上面が幅広となるように基板212内部に向って傾斜した形状に形成される。
そこで、図11Aに示すように、第2導電型、本例ではn型不純物、例えば砒素(As)231を垂直方向からイオン注入して、n型の埋込みチャネル領域215を形成する。これにより、埋込みチャネル領域215は、素子分離領域225のエッジ部から離れた内側に形成される。
次に、図11Bに示すように、第1導電型、本例ではp型不純物、例えばボロン(B)232の斜めイオン注入する。例えばボロン(B)232を7度の傾斜角度をもって回転イオン注入し、埋込みチャネルを領域215を囲うp型半導体層226を形成する。この傾斜角度でイオン注入する際、半導体基板(ウェーハ)212をマスク開口の中心軸を中心にイオン注入手段に対して相対的に回転してイオン注入してもよく、もしくは回転せずにマスク開口の中心軸を中心に異なる方向にステップ的に分割して斜め注入するようにしてもよい
ここで、n型不純物231の導入深さは、p型不純物の導入深さよりも浅い領域に行う。従って、n型の埋込みチャネル領域215は浅く形成され、p型半導体層226は埋込みチャネル領域215の下側及び周側に形成される。以後の埋込みチャネル領域の形成方法においても同様である。
ここで、図11Bのp型半導体層226を形成する工程を先にし、図11Aのn型埋込みチャネル領域215を形成する工程を後にしてよい。
図12は、素子分離領域225として、EDIによる素子分離領域を用いた場合である。すなわち、半導体基板212に増幅トランジスタの活性領域を囲うように、例えばp型の拡散層227とその上の比較的に厚い膜厚の絶縁層228からなる素子分離領域(EDI)225が形成される。素子分離領域(EDI)225の絶縁層227は、通常、図示するように上面が幅広となるように基板内部に向って傾斜した形状に形成される。
そこで、図12Aに示すように、第2導電型、本例ではn型不純物、例えば砒素(As)231を垂直方向からイオン注入してn型の埋込みチャネル領域215を形成する。これにより、埋込みチャネル215は、素子分離領域225のエッジ部から離れた内側に形成される。
次に、図12Bに示すように、第1導電型、本例ではp型の不純物、例えばボロン(B)232を斜めイオン注入する。例えばボロン(B)232を7度の傾斜角度をもってイオン注入し、n型の埋込みチャネル領域215を囲うp型半導体層226を形成する。この傾斜角度でイオン注入する際、半導体基板(ウェーハ)212をマスク開口の中心軸を中心にイオン注入手段に対して相対的に回転してイオン注入してもよく、もしくは回転せずにマスク開口の中心軸を中心に異なる方向にステップ的に分割して斜め注入するようにしてもよい。
ここで、図12Bのp型半導体層226を形成する工程を先にし、図12Aのn型埋込みチャネル領域215を形成する工程を後にしてよい。
上述の埋込みチャネルの形成方法によれば、素子分離領域225をマスクにしたセルファラインで精度よく、素子分離領域225から離れたn型の埋込みチャネル領域215を形成することができる。また、ゲート電極の形成前に、埋込みチャネル領域215及びp型半導体層226を形成するので、ポケット注入を必要とせず、ゲート電極形状の影響を受けることなく、容易に精度よく埋込みチャネル領域215を形成することができる。ゲート電極の形成前であるので、埋込みチャネル領域215及びp型半導体層226の不純物濃度を容易にコントロールすることができる。濃度コントロールができるので、埋込みチャネル領域215の埋込みチャネル性を強めることもできる。埋込みチャネル領域215の深さのコントロールも容易にできる。
図13及び図14に、埋込みチャネルの他の形成方法を示す。図13の形成方法は、先ず、図13Aに示すように、半導体基板212上に形成すべき埋込みチャネル領域に対応して開口235aを有した所要パターンのレジストマスク235を形成する。このレジストマスク235を介して、垂直方向から本例ではn型不純物、例えば砒素(As)231をイオン注入してn型の埋込みチネル領域215を形成する。
次に、図13Bに示すように、同じレジストマスク235を用いて、上記Asイオン注入よりも加速エネルギーを高くして、本例ではp型不純物、例えばボロン(B)232を斜め回転イオン注入、あるいは斜めステップイオン注入により、n型の埋込みチャネル領域215を囲うp型半導体層226を形成する。なお。レジストマスク235を鎖線237で示すように、傾斜した形状に形成して、同様の不純物のイオン注入を行うようにすることもできる。
ここで、図13Bのp型半導体層226を形成する工程を先にし、図13Aのn型埋込みチャネル領域215を形成する工程を後にしてよい。
図14の形成方法は、先ず、図14Aに示すように、半導体基板212上に埋込みチャネルを囲うp型半導体層の領域に対応した開口236aを有した所要パターンの第1のレジストマスク236を形成する。この第1のレジストマスク236を介して、垂直方向から本例ではp型不純物、例えばボロン(B)232をイオン注入してp型半導体層226を形成する。
次に、図14Bに示すように、第1のレジストマスク236より開口面積が小さい開口237aを有する第2のレジストマスク、すなわちn型の埋込みチャネルの領域に対応した所要パターンの第2のレジストマスク237を形成する。この第2のレジストマスク237を用いて、上記Bイオン注入よりも加速エネルギーを低くして本例ではn型不純物、例えば砒素(As)231をイオン注入してn型の埋込みチャネル領域215を形成する。
図15に、埋込みチャネルのさらに他の形成方法を示す。先ず、図15Aに示すように、半導体基板212上にn型の埋込みチャネルの領域に対応した第1の開口238aを有する所要パターンのマスク238を形成する。このマスク238としては、後に開口を広げることが可能なマスクであれば良く、例えば酸化膜等の酸化膜を用いることができる。このマスク238を用いて、本例ではn型不純物、例えば砒素(As)231を垂直方向からイオン注入してn型の埋込みチャネル領域215を形成する。
次に、図15Bに示すように、マスク238の開口238aを広げて最2の開口238bを形成する。そして、この第2の開口238bを通して垂直方向から本例ではp型不純物、例えばボロン(B)232をイオン注入してp型半導体層226を形成する。
図16に及び図17に、埋込みチャネルの形成方法のさらに他の例を示す。図16の形成方法は、先ず、図16Aに示すように、半導体基板212にp型拡散層239とその上のシリコン酸化膜などの絶縁膜240を形成してなるいわゆるEDI素子分離領域241を形成する。この場合、絶縁膜240の幅d1をp型半導体層239の幅d2より狭く形成する。
次に、図16Bに示すように、絶縁膜240をマスクにn型不純物、例えば砒素(As)231をイオン注入してp型拡散層239に一部重なるようなn型の埋込みチャネル領域215を形成する。
図17の形成方法は、先ず、図17に示すように、半導体基板212にp型拡散層239とその上のシリコン酸化膜などの絶縁膜240を形成してなるいわゆるEDI素子分離領域241を形成する。この場合、絶縁膜240の幅d3をp型半導体層239の幅d2より広く形成する。
次に、図17Bに示すように、絶縁膜240の幅、特に素子分離領域241間の間隔を広げるように、絶縁膜240を後退させ、素子分離領域241の間隔L1を広げる。このとき、p型拡散層239の一部が臨むように広げる。そして、絶縁膜240をマスクにn型不純物、例えば砒素(As)231をイオン注入してp型拡散層239に一部重なるようなn型の埋込みチャネル領域215を形成する。
図13、図14、図15、図16及び図17の形成方法によっても、素子分離領域225から離れたn型の埋込みチャネル領域215を形成することができる。
ここで、埋込みチャネル領域215の埋込みチャネス性を強めるために、n型の埋込みチャネル領域215では不純物濃度を高くする。図18に示すように、レジストマスク241を介してn型不純物231、p型不純物232をイオン注入してn型の埋込みチャネル領域、p型半導体層を形成するが、高濃度の不純物が素子分離領域の絶縁膜225の一部にもイオン注入される。フッ酸洗浄の際に、不純物がドーピングされた絶縁膜(酸化膜)225は、洗浄レートが速くなる。その後のゲート絶縁膜を形成するに先立って、フッ酸エッチングで半導体基板212表面の自然酸化膜等の酸化膜を除去するときに、不純物がドーピングされた絶縁膜225も同時にエッチングされることになる。従来の埋込みチャネル領域を素子分離領域まで全体に形成する構成では、図示の実線で示すように、一部半導体基板212の表面にエッチングされる。この結果、半導体基板212埋込みチャネル形成領域の端部側にエッジ部242が形成されることになる。その後にゲート絶縁膜を形成すると、エッジ部242にゲート絶縁膜の薄い部分ができ、エッジ部に電界が集中するという不都合が生じる。このため、従来は濃いイオン注入が出来なかった。
これに対して、本実施の形態によれば、n型の埋込みチャネル領域215を素子分離領域225から離され形成されるので、このような不都合を解消することができる。MOSイメージセンサでの画素の増幅トランジスタは大きな電流を必要としないので、n型埋込みチャネルを狭く形成することができるので、素子分離領域から離間した形成を可能にしている。
また、88の埋込みチャネル領域215は、多少位置ずれしても上記エッジ部242にかからなければ良く、形成工程でのマスク合せ精度が緩くて済み、形成が容易になる。埋込みチャネル領域215及びp型半導体層226は浅いイオン注入であるので、レジストマスク241の厚さも薄くて済む。レジストマスク241を薄くできることで、パターニングの加工精度も高精度に得られる。
次に、図19及び図20に、増幅トランジスタの構成の好ましい他の例を示す。本実施の形態に係る増幅トランジスタは、しきい値電圧Vtを異にした複数のチャネル領域、少なくとも2種類のチャネル領域を有ると共に、ゲート電極を異なる導電型のポリシリコン膜で形成して成る。
本実施の形態に係る増幅トランジスタ251は、図19(平面図)の概略図に示すように、ゲート電極252を挟んで第2導電型、本例ではn型のソース領域253及びドレイン領域254が形成され、ゲート電極252下を含んでソース領域253及びドレイン領域254に延長されるように幅dの狭い埋込みチャネル領域255(破線図示)が形成される。本例ではソース領域253及びドレイン領域254と同導電型のn型の埋込みチャネル領域255が形成される。埋込みチャネル領域255を囲うようにp型半導体層258が形成される。埋込みチャネル領域255は、ゲート幅方向の中央付近、すなわちソース領域253及びドレイン領域254のゲート幅方向における中央付近に素子分離領域256のエッジ部から離れて形成される。ゲート電極252は、ゲート幅方向の中央部分に第2導電型、本例ではn型の埋込みチャネル領域255上を含み埋込みチャネル幅dより大きい幅D1の第1導電型本例ではp型のポリシリコン膜によるp+型ゲート電極部252Pと、さらにその両側に第2導電型、本例ではn型のポリシリコン膜からなるn+ゲート電極部252Nとから構成される。
p+型ゲート電極部252Pは、埋込みチャネル領域255を中心にチャネル幅方向に左右対称に形成され、n+型ゲート電極部252Nは、p+型ゲート電極部252Pを挟んでソース領域253及びドレイン領域254から素子分離領域256上に延長するように形成される。
p+型ゲート電極部252Pの中央付近はn型の埋込みチャネル領域255が形成され、これより外側のp+型ゲート電極部252P下には表面チャネル257が形成され、さらに外側のn+型ゲート電極部252N下には表面チャネルが形成される。すなわち、p+型ゲート電極部252Pは、埋込みチャネル領域255と、埋込みチャネル領域255と表面チャネル領域257との境界、表面チャネル領域257の一部に跨がるように形成される。n+型ゲート電極部252Nは、表面チャネル領域257の残りの部分(他部)から素子分離領域256に跨がるように形成される。本例の増幅トランジスタ251は、しきい値電圧Vtの異なる3種類のチャネル領域を有するが、実質的には、後述するように、p+型ゲート電極部252P下の埋込みチャネル領域255とn+型ゲート電極部252N下の表面チャネル領域257Bの2種類の構成となる。
図20A,Bに、図19のA−A線上の拡大断面構造、B−B線上の拡大断面構造を示す。p型の半導体基板261の一主面側にn型のソース領域253及びドレイン領域254が形成される。ソース領域253及びドレイン領域254は、n+領域262a及びn−領域262bからなるLDD構造に構成される。またチャネル形成領域からソース領域253及びドレイン領域254に延長するように、中央付近に幅dのn型の埋込みチャネル領域255が形成される。この半導体基板261上にゲート絶縁膜263を介して、ゲート幅方向に中央部分がp+型ゲート電極部252Pとなり、その両側がn+型ゲート電極部252Nとなるゲート電極252が形成される。ゲート電極252の側壁にはサイドウォール、この例では絶縁膜によるサイドウォール264が形成される。また最表面に絶縁膜265が形成される。さらにソース領域253及びドレイン領域254にオーミック接続したソース電極266及びドレイン電極267が形成される。
図21に、本実施の形態の増幅トランジスタ251のチャネル部分のしきい値電圧Vtの分布(同図B)及びゲート電極252のp+、n+の不純物濃度分布(同図C)を示す。同図B,Cは,同図A(増幅トランジスタの平面図)のゲート電極252の中心を通る線上の分布である。本実施の形態の増幅トランジスタ251では、図21Bに示すように、p+型ゲート電極部252P下のn型の埋込みチャネル領域255を低Vt領域とし、その両側のp+型ゲート電極部252P下の表面チャネル257Aを高Vt領域とし、n+型ゲート電極部252N下の表面チャネル257Bを中間Vt領域となるように形成される。共に表面チャネル257A、257Bでありながら、p+型ゲート電極部252P下とn+型ゲート電極部252N下で高Vtと中間Vtになるのは、p型とn型の仕事関数が1.1V差があることから来ている。また、図21Cに示すように、p+型ゲート電極部252Pのp型(例えばAs)不純物濃度ピークIが、n+型ゲート電極部252Nのn型(例えばP)不純物濃度IIより高い。
図22に、本実施の形態の増幅トランジスタ251のゲート電圧Vg−オン電流Ion特性を示す。同図において、太破線aはp+型ゲート電極部252P下のn型の埋込みチャネル領域255としたトランジスタ部の特性、太鎖線bはn+型ゲート電極部252N下の表面チャネル領域257bとしたトランジスタの特性であり、細破線線cは従来の表面チャネルとしたトランジスタの特性である。同図では、同じソース電圧Vsとした場合の各特性についても比較して示している。
そして、図22で示すように、本実施の形態の増幅トランジスタ251のVg−Ion特性は、太破線aと太鎖線bの足し算した太実線dで示す特性となる。すなわち、埋込みチャネル領域255のトランジスタではゲート電圧Vgを上げていってもチャネル幅が小さいので、電流量は少ない。しかし、他のトランジスタよりも低いVtでオンする。ゲート電圧Vgを高くしてゆくと、n+型ゲート電極部252Nのトランジスタがオン始める。この結果、増幅トランジスタ251の全体のVgーIon特性は太実線dとなる。この増幅トランジスタ251では、ソースフォロワ動作させるときに、VgーIon特性のうちの低電流領域(微小電流領域)Aを使うように、ゲート電圧Vgを設定するようになす。
本実施の形態の増幅トランジスタ251によれば、複数のチャネル領域255、257a、257bが形成され、中央の埋込みチャネル領域255に電流を流すようにしている。このため、埋込みチャネル255が素子分離領域256から離れて形成されるので、1/fノイズ低減を改善できると共に、微小電流を扱うことができる。従って、MOS型イメージセンサにおいて、画素を構成する増幅トランジスタ、すなわちソースフォロワ動作で使われる増幅トランジスタに適用して好適である。複数チャネル構成であるので、ソースフォロワ動作のゲインを増加することができる。1/fノイズに関しては、トランジスタのゲート寸法L及び活性領域の寸法Wを増大させたり、ゲート絶縁膜容量Coxを増加させたりしなくても、1/fノイズを原理的に低減することが可能になる。
図19において、ゲート電極252のゲート電極部252Nと152Pの導電型を上記と逆にすることも可能である。
図23及び図24に、増幅トランジスタの構成のさらに他の例を示す。本実施の形態に係る増幅トランジスタも、しきい値電圧Vtを異にした複数のチャネル領域、少なくとも2種類のチャネル領域を有すると共に、ゲート電極を異なる導電型のポリシリコン膜で形成して構成される。
本実施の形態に係る増幅トランジスタ271は、前述の図19で示す増幅トランジスタ251の変形であり、ゲート電極252を、p+型ゲート電極部252Pとn+型ゲート電極252Nで形成し、p+型ゲート電極部252Pをn型の埋込みチャネル領域255の内側に対応して形成し、その両側にn+型ゲート電極部252Nを形成して構成される。すなわち、すなわち、p+型ゲート電極部252Pは、埋込みチャネル領域255の内側に対応して形成される。n+型ゲート電極部252Nは、埋込みチャネル領域255の一部、埋込みチャネル領域255と表面チャネル領域257との境界、表面チャネル領域257に跨がるように形成される。本例の増幅トランジスタ271も、p+型ゲート電極部252P下の埋込みチャネル領域255Aと、n+型ゲート電極部252N下の埋込みチャネル領域255Bと、n+型ゲート電極部252N下の表面チャネル領域257Cのしきい値電圧Vtの異なる3種類のチャネル領域を有する構成となる。
その他の構成は、図18及び図20と同様であるので、対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
本実施の形態に係る増幅トランジスタ271においても、図19の増幅トランジスタ251と同様に、埋込みチャネル領域255が素子分離領域256から離れて形成されるので、1/fノイズ低減を改善できると共に、微小電流を扱うことができる。従って、MOS型イメージセンサにおいて、画素を構成する増幅トランジスタ、すなわちソースフォロワ動作で使われる増幅トランジスタに適用して好適である。複数チャネル構成であるので、ソースフォロワ動作のゲインを増加することができる。
図23において、ゲート電極252のゲート電極部252Pと252Nの導電型を逆にすることも可能である。
一方、本発明の増幅トランジスタにおいては、n型埋め込みチャネル領域の下にこれとは導電型の異なるp型半導体層を形成した構成とすることにより、ゲート長を短くしていったときにも、ショートチャネル効果が少なくしき値電圧Vtが変動し難い方向に改善し、良好な特性が得られて好ましい。図25及び図26を用いて説明する。図25は測定のための本実施の形態の増幅トランジスタの模式図である。半導体基板271におけるソース領域272及びドレイン領域273間にn型埋め込みチャネル領域274が形成され、その下にp型半導体層275が形成される。チャネル領域上にゲート絶縁膜277を介して、p型ゲート電極276が形成される。
図26は、n型埋め込みチャネル領域の下にp型半導体層を有する本実施の形態の増幅トランジスタ(図25参照)のショートチャネル効果が改善される特性図である。横軸にゲート長寸法1.0μmとしたときのしきい値電圧Vtをとり、縦軸にゲート長Lgが0.35μmのときのしきい値電圧と、0.30μmのときのしきい値電圧の差ΔVtを示す。この差が0であれば、ゲート長の寸法が変化しても、しきい値Vtは変化しないことを意味する。すなわち、この縦軸の値が小さい程、ショートチャネル効果が改善されて好ましい。図25において、特性aはボロンの打ち込みが無くp型半導体層275が無い場合である。特性bはボロンを30keVで2×1012 cm−2、イオン注入してpがた半導体層275を形成した場合である。特性cはボロンを30keVで4×1012 cm−2、イオン注入してp型半導体層275を形成した場合である。
図25において、例えば横軸のしきい値電圧Vtが低い領域でみたとき、特性aのボロンの打ち込みが無い(p型半導体層が無い)場合に比べて、特性b,cで示すp型半導体層を有する場合の方が縦軸の値が小さくなっており、ショートチャネル効果によるしきい値電圧Vtの変動が少なく好ましい特性を有している。また、p型半導体層の不純物濃度も高い方がより縦軸の値が小さくなり、好ましい。
上述の複数のチャネル領域を有する増幅トランジスタでは、第1チャネル領域、上例ではp+型ゲート電極部下のn型の埋込みチャネルが素子分離素子のエッジ部を含まない領域に形成され、第2チャネル領域、上例ではn+型ゲート電極部下の表面チャネルが素子分離領域のエッジ部を含む領域に形成される。ソースフォロワを構成としたときに、ソースバイアスが高い場合に、上記埋込みチャネルに流れる電流量が、上記表面チャネスを流れる電流量より多くなる。
上記増幅トランジスタでは、ソースフォロワを構成する定電流源に流れる電流量に値するとき、第1チャンウェル領域、上例では埋込みチャネルに流れる電流が支配的となる。
上記複数のチャネル領域を有する増幅トランジスタでは、第1チャネル領域、上例ではn型埋め込みチャネル領域と表面チャネル領域に流れる電流量が、ソースバイアスによって変化し、支配的に流れるチャネル領域、例えばn型埋込みチャネル領域の電流をコントロールする構成とすることができる。
上記複数のチャネル領域を有する増幅トランジスタでは、ソースフォロワを構成する定電流源に流れる電流量に値するとき、第1チャネル領域、上例では埋込みチャネルに流れる電流が支配的である構成とすることができる。仮に増幅トランジスタをソースフォロワ回路から切り離した場合を考え、ゲートーソース間電圧Vgと電源電圧Vddを等しくしたとき、電流が上記表面チャネルを支配的に流れる。
上記複数のチャネル領域を有する増幅トランジスタでは、第1チャネル領域と第2チャネル領域、上例では埋込みチャネルと表面チャネルをそれぞれ飽和動作させたときに、チャネル単位長さ当たりに流れる電流量が、上記表面チャネルより上記埋込みチャネルに方が大きくなる。
上記複数のチャネル領域を有する増幅トランジスタでは、ゲート電極へのコンタクト電極は、第1チャネル領域の上部のゲート電極、上例では埋込みチャネルに対応したp+ゲート電極部とすることができる。すなわち、例えば図19、図23の例では、埋め込みチャネル領域上のp+ゲート電極部にゲートバイアスを印加されるようになす。p+ゲート電極部とn+ゲート電極部は互いに例えばシリサイド層で接続しることもできるが、シリサイド層で接続しない構成とすることができる。この場合、n+ゲート電極部下のチャネル領域のしき値電圧Vtが高くなり、p+ゲート電極部下のしき値電圧Vtが低い埋め込みチャンルに流れる電流が支配的になる。
図27に、ゲート電極へのコンタクトの例をしめす。本例においては、p型の半導体基板291にn型のソース領域292及びドレイン領域293が形成され、またn型の埋め込みチャネル領域294とこれを取り囲むようにp型半導体層295が形成される。ソース領域293及びドレイン領域293間の基板表面にゲート絶縁膜295を介してゲート電極297が形成される。ゲート電極297は、n型埋め込みチャネル領域294の内側の上部がn+型電極部297Nとなり、p型半導体層295、n型埋め込みチャネル領域294の一部及び素子分離領域(STI)298の一部の上部がp+型電極部297Pとなる。コンタクト電極299は、中央のn+電極部297Nに形成される。
このMOSトランジスタ300では、図27Cに示すように、コンタクト電極299が接続されたn+型ゲート電極部297N下のn型埋め込みチャネル領域294のしきい値電圧Vtが最も低く、pn接合を介してゲートバイアスが印加されるp+型ゲート電極部297P下の埋め込みチャネル領域294及びp型半導体層295表面のチャネル領域のしきい値電圧Vtが高くなる。pn接合では逆バイアスがかかり、このためp+型ゲート電極部297下のチャネル領域のしきい値電圧Vtが高くなる。これによって、電流はn+型ゲート電極部297N下の埋め込みチャネル領域294に支配的に流れる、
なお、第1チャネル領域及び2チャネル領域の上部、上例では素子分離領域側のゲート電極部にゲートバイアスを印加することもできる。
ゲート電極として、第1チャネル領域と第2チャネル領域上で、上例では埋め込みチャネル領域上と表面チャネル領域上で異なる導電型のゲート電極としたが、その他、第1チャネル領域及び第2チャネル領域上のゲート電極、上例では埋め込みチャネル領域上及び表面チャネル領域上のゲート電極を共に同じ導電型つまり、単一導電型のゲート電極で形成することができる。例えば、ゲート電極をp+型の単一導電型で形成することができる。このような構成とするときは、ゲート電極の形成に際し、p+ゲート電極部及びn+ゲート電極部を打ち分けて形成するときに生じる位置合わせずれが無くなり、増幅トランジスタとしての特性のばらつきが少なくなる。
上例では、埋込みチャネル領域と表面チャネル領域を含む複数のチャネル領域を有する増幅トランジスタを構成したが、その他、全て表面チャネルによる複数のチャネルを有する増幅トランジスタにも適用することができる。
例えば、この増幅トランジスタとしては、第1チャネル領域をソース領域及びドレイン領域とは逆の導電型とし、第1チャネル領域を挟む第2チャネル領域の不純物をソース領域と同じ導電型とし、第1チャネル領域の内側にあるゲート電極部の導電型をソース領域及びドレイン領域と同じ導電型とし、第2チャネル領域、第1チャネル領域と第2チャネル領域との境界、及び第1チャネル領域の一部に跨がるゲート電極部の導電型をソース領域及びドレイン領域とは逆の導電型として構成することができる。
あるいは、この増幅トランジスタとしては、第1チャネル領域をソース領域及びドレイン領域とは逆の導電型とし、第1チャネル領域を挟む第2チャネル領域の不純物をソース領域と同じ導電型とし、第1チャネル領域、第1チャネル領域と第2チャネル領域との境界、及び第2チャネル領域の一部に跨がるゲート電極部の導電型をソース領域及びドレイン領域と同じ導電型とし、第2チャネル領域の他部のゲート電極部の導電型をソース領域及びドレイン領域とは逆の導電型として構成することができる。
増幅トランジスタとしては、上述したチャネル領域を素子分離領域のエッジ部から離す構成、複数のチャネル領域を有する構成組み合わせた構成とすることができる。このような構成とするときは、さらに1/fノイズを改善することができる。
上述した各実施の形態の増幅トランジスタは、MOSイメージセンサの画素を構成する増幅トランジスタに適用する以外にも、他の、特にソースフォロワ回路を構成する増幅トランジスタに適用しても好適である。
なお、上述の実施の形態では、増幅トランジスタとしてnチャネルのMOSトランジスタに適用した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限られるものではなく、増幅トランジスタとしてpチャネルのMOSトランジスタに適用することも可能である。nチャネルMOSトランジスタの場合は、上述したようにp型を第1導電型とし、n型を第2導電型としたが、pチャネルMOSトランジスタのときはp型が第2導電型、n型が第1導電型となる。すなわち、nチャネルとpチャネルでは導電型が逆の導電型となる。
また、上述の実施の形態では、光電変換素子と、この光電変換素子で光電変換して得られる電荷に応じた電位を増幅して出力する増幅トランジスタとを含む画素が行列状に2次元配列されてなるエリアセンサに適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はエリアセンサへの適用に限られるものではなく、上記画素が直線状に1次元配列されてなるリニアセンサ(ラインセンサ)にも同様に適用可能である。
211・・増幅トランジスタ、213・・ソース領域、214・・ドレイン領域、215・・埋込みチャネル領域、217・・P+型ゲート電極、218・・サイドウォール、226・・p型半導体層、251、271・・増幅トランジスタ、253・・ソース領域、254・・ドレイン領域、251・・ゲート電極、252P・・p+型ゲート電極部、252N・・n+型ゲート電極部、255・・埋込みチャネル領域、257・・表面チャネル領域、265・・サイドウォール、299・・コンタクト電極