JP5050219B2 - 連続鋳造圧延方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は棒鋼、線材又は棒鋼、線材用鋼片を連続鋳造によって製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
棒鋼、線材等は通常、素材として連続鋳造によって製造された横断面形状が円又は正方形又は長方形の鋼片又は連続鋳片が使用される。当該素材に対しては高級品ほど中心偏析、収縮孔、多孔質等の芯部欠陥や内部割れ、粒界割れ等の内部欠陥等鋳造起因の欠陥が充分解消されていることが望まれる。
【0003】
他方圧延された鋼材に対しては圧延起因の一般的欠陥の他に高級特殊鋼では材料内部の組織や焼入性の精密な均等性が問題になる。なぜなら焼入性の微妙な偏差に起因して最終製品の熱処理特性−−熱処理組織の正確性、熱処理歪みや機械的性質の安定性等−−に影響するからである。
【0004】
さらに圧延鋼材に付き物の表面脱炭についてもJISを越える水準が要望されている。表面脱炭は最終製品の耐疲労性やヘタリ等に強く影響するほか、熱処理不良やバネ加工等の冷間加工の精密性にも影響する悪質な欠陥である。
【0005】
鋼材組織の均質性は凝固組織の均一性に強く影響されるほか、加熱、圧延による各種元素の拡散や塑性流れの均等性の影響も受ける。
【0006】
均質な圧延鋼材を得るための第1の方法は鋳片を大型化して鍛錬効果を得る方法である。それなりの効果はあるがマクロ、セミマクロ、ミクロ偏析が解消されるわけではない。
【0007】
第2の方法は、偏析対策として凝固組織の等軸晶化や凝固末期鋳片の圧下等が実施されているが充分ではない。高級品には長時間均熱処理による均質化がなされる。この場合コスト及び設備の処理能力(t/h)に問題が大きい。
【0008】
その上特殊鋼の棒鋼、線材用の素材として大型ブルームの使用は慣用的であるが設備の大型化、分塊工程の必要等コスト上の負担が大きい。今後の課題である連鋳・圧延一貫による省エネルギーには基本的になじまない。
【0009】
第3の方法即ち特開平8−39219では上記問題の多くを解決する方法が示されている。即ち、該方法は一種の湾曲式の連続鋳造方法であって、鋳型断面形状を円形とし、鋳片表層のチル晶の内側すべてを実質的に柱状晶のみの凝固組織とし、鋳片引抜軌跡を3/4円周までは同一曲率円弧、以後は水平とし、鋳片内部の溶融芯を1/2円周を越えて鋳込み面から約1.4m高い位置まで保持し、該位置において重力により鋳片凝固殻から離脱させて真空の中空鋳片を形成し、その後圧延により中実鋳片へ圧接成形する。特に鋳込温度制御を加えて柱状晶のみの凝固組織としている。本方法の効果は、
1)凝固終点が無いので中心偏析、収縮孔、多孔質等の芯部欠陥が解消される。2)鋳造能率が飛躍的に向上する。その結果、連鋳・圧延一貫も容易になる。3)鋳片内部は柱状晶のみで構成されるので均質性が極めて高い。現在最良の均質材とされているESR鋼塊(Electro-slag Remelting Process)と同様の柱状晶からなる鋼片が得られる。
【0010】
問題点は、中実化への圧接圧延により鋳片断面はフラット状になる。横断面における柱状晶の方位は、圧下面では圧下面に対して垂直、側面では平行に配向する。この不均等性は棒鋼、線材までの圧延で解消されない。従って棒軸に対して回転対称性を持つ精密均質材料としては問題が残る。
【0011】
第4の方法として、垂直式連続鋳造による円断面ブルームでは横断面において回転対称の凝固組織を持ち、その結果、円断面棒鋼の均質性に優れることが解明されている。(文献 CAMP-ISIJ Vol.13(2000)-764 )
【0012】
本方法では圧延鋼材の組織は内部は等軸晶、周辺部は柱状晶から来ているので半径方向には均質でないが接線方向には均質性は改善され、即ち回転対称性が大きい。最終製品のギア等回転対称の形状を持つ特殊鋼製品には焼入歪みの均等性や製品寿命の改善がなされた。
【0013】
しかし偏析問題は未解決であること、垂直式連続鋳造は鋳造能率が大きくないこと、垂直式と言うこととブルームであることは連鋳・圧延一貫による省エネルギーに対して2重に適合困難等の基本問題がある。
【0014】
他方表面脱炭に関してはその低減策として通常、鋼片表面脱炭層の溶削や研削による完全除去、鋼片の低温短時間加熱、圧延孔型の適正化等が採用され、必要なら圧延鋼材の表面切削も適用される。いずれにしろコスト上の負担は相当大きい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のように一長一短を持つ従来方法の各種の問題をまとめて解決しようとする。具体的には1)材料内部品質を従来の最良水準と同等とすること、2)鋳造能率を従来の最良水準と同等とし連鋳と圧延が合理的に直結できること、3)従来以上に簡素な設備であること、4)円断面の圧延鋼材が棒軸に対して回転対称の均質組織を持ち、且つ脱炭層が極めて薄いこと等を総合して精密熱処理、精密冷間加工に適した高品質特殊鋼鋼材を安価且つ容易に提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため発明者は従来方法の長所を踏襲するとともに短所を排除する新規の工夫を加えて以下の発明をなした。その骨格は、連鋳と圧延の直結に対しては特許第2989737号の方法を踏襲する。材料内部品質の改善に対しては特開平8−39219に提示された方法に加えて凝固組織、圧接組織の最適化を図る。簡素な設備に対しては、中空鋳片の中実化の方法を工夫し、特許第2989737号の例示をさらに簡素にする。圧延鋼材の均質性、特に棒軸に対して回転対称の均質組織を持つことに対しては等方的圧接と孔型圧延の適正化の2手段を工夫した。さらに圧延鋼材の表皮組織の健全性、即ち脱炭層の実質解消に対しては、連鋳と圧延の直結に伴う再加熱工程の省略による脱炭防止と上記孔型適正化の組み合わせで予想外の改善効果を得た。
【0017】
第1の発明は一種の湾曲式の連続鋳造方法であって、溶鋼が垂直に鋳型内に鋳込まれ、鋳型下方から引き抜かれた鋳片の引抜軌跡を3/4円周までは同一曲率円弧とし以後は水平とし、鋳片内部の溶融芯を1/2円周を越えて鋳込み面から約1.4m高い位置まで保持し該位置で重力により鋳片凝固殻から離脱させて中空鋳片を形成し、その後水平部位において圧延機又はプレスにより凝固殻内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法において、鋳型横断面形状を実質円形とし、鋳片表層部のチル晶の内側すべてを実質的に柱状晶のみの凝固組織とし、中空鋳片の凝固殻厚比αを0.4〜0.9とし、鋳片横断面内において向心状に分布している柱状晶の方位が中実化に際しても維持されるように圧接することを特徴とする連続鋳造圧延方法である。
ここで、 α=2d/D
d; 中空鋳片の凝固殻厚(mm)
D; 中空鋳片の直径(mm)
【0018】
第2の発明は第1の発明において、中空鋳片を中空部を開口させずに切断して空洞を閉じこめた鋼片とした後、又は中空鋳片を切断せずに連続鋳片のまま、それぞれ後続の棒鋼又は線材用圧延ラインに供給して中実化を該圧延ラインの中で行うことを特徴とする連続鋳造圧延方法である。
【0019】
第3の発明は第1の発明又は第2の発明の方法によって製造された中実材料を以後の各パスにおける断面拡幅比(=パス後の鋼材幅/パス前の鋼材幅)が1.5以下である圧延ラインに供給して円断面の棒鋼又は線材を製造することを特徴とする連続鋳造圧延方法である。
【0020】
第4の発明は第1又は第2又は第3発明の方法によって製造され、横断面のマクロ組織が棒軸に対して回転対称性を保持し、且つ表面脱炭最大深さが鋼材直径の0.3%以下であることを特徴とする円断面の棒鋼又は鋼線材である。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の連続鋳造圧延方法の例の概要である。タンディシュ1の中の所定温度に制御された溶鋼2を円形断面の鋳型3に鋳込み、鋳片4の外皮を形成する。該鋳型3から円弧状に引き抜かれた該鋳片4を2次冷却装置5を貫通させつつスプレイ6により冷却し凝固を進行させる。溶融芯7を保有する該鋳片4を1/2円周を越えて、鋳込面より約1.4m高い位置Q点(この値は大気圧に相当する溶鋼のヘッドで、溶鋼密度やガス含有量によりある程度変化する。)まで引き抜くと、該溶融芯7は凝固殻8の内面から離脱し、管状の中空鋳片9が形成される。該中空鋳片9を3/4周点で伸直ロール10により伸直して水平に引き抜く。次に例えばオーバル孔型を持つユニバーサル式圧接圧延機11により該中空鋳片9を圧下して凝固殻内面を互いに圧接せしめ断面形状が円と正方形の中間形状の中実鋳片12とする。
【0022】
該鋳片12は切断せずそのまま直結して例えば線材圧延ライン13に供給されるか、又はシアー16により切断して線材用の鋼片15とされる。該鋼片15は加熱炉14で所定温度に再加熱後、線材圧延ライン13に供給される。
【0023】
圧延条件として各パスでの材料横断面の拡幅比は1.5以下となるよう設定される。鋳片12又は鋼片15は円断面の棒鋼又は線材に仕上げられる。上記鋼材は横断面内で均一性、回転対称性が極めて高いマクロ組織を持つ。さらに脱炭層の厚さ分布の均一性も高く最大値が小さくなる。連鋳と圧延を直結する場合には脱炭厚さは容易に鋼材径の0.3%以下とすることができる。
【0024】
管状の中空鋳片9を連続鋳造機内で中実化せず、中実化を製品圧延ライン13の中で行うというより簡素な方法もある。その第1は中空のまま製品圧延ライン13に供給すると数パス以内に中実化がなされる。
【0025】
第2の方法は特開平10−180428に提示されているように、中空鋳片9において切断予定部位近傍のみ予めプレス17により圧接し、その後シアー16により切断する。中空部を閉じこめた鋼片18が製造される。該鋼片18は前項同様製品圧延ライン13の上流部の数パス以内に中実化がなされる。
【0026】
上述の設備及び作業方法及び製品において本発明の要件は以下に特定される。1)鋳型横断面形状は円又は実質円形、例えば8角形等に限定される。
【0027】
2)鋳片表層部のチル晶(通常3〜8mm程度の厚さ)の内側は実質的に柱状晶のみの凝固組織とする。
【0028】
3)殻厚比αの値は0.4〜0.9の適切な値に設定される。
【0029】
4)鋳片横断面内において向心状に分布している柱状晶の方位配向が中実化に際しても維持されるように圧接する。
【0030】
5)中実材から棒鋼又は線材への圧延に際して各パスの拡幅比を1.5以下とする。
【0031】
【作用】
以下本発明の上記5要件の作用、根拠及び意義について説明する。
【0032】
鋳型横断面形状を実質円とした理由を以下に示す。その第1は、凝固組織が鋳片軸に対して回転対称になる。第2は、特許第2989737号に開示されたように表面品質に有利である。第3は、バルジング対策が不要になり設備及び管理作業が簡素化される。第4は、角断面の場合、鋼種によってはコーナー近傍において一種の粒界偏析が発生する。場合により割れに成長する。円断面では当該問題は自ずと解消される。
【0033】
凝固組織を実質的に柱状晶のみとするよう限定した理由を述べる。柱状晶自体はマクロ的には均質である。しかしそれを構成するデンドライトの微細な樹枝間には樹枝構造に対応した偏析即ちミクロ偏析を必然的に内在している。柱状晶の基部ではチル晶と同様デンドライトは極めて微細でミクロ偏析率も1に近い(均質に近い)。鋳片内部に向かって大きく成長するにつれデンドライトは粗くなり且つミクロ偏析率も徐々に大きくなる。等軸晶になるとミクロ偏析率は一段と大きくなることは既に知られている。ミクロ偏析率も等軸晶に見られる程度にまで大きくなると連鋳・圧延直結の場合解消されにくくなる。なぜなら再加熱、分塊圧延等拡散・均質化効果を持つ工程が介在しないからである。
【0034】
なお柱状晶を得る方法として鋳込温度即ちタンディシュ1内の溶鋼2の温度は当該鋼種の液相線温度の約20℃以上の適切な温度範囲に制御される。高温ほど柱状晶は発達しその長さは容易に200mm以上になる。
【0035】
殻厚比αの値を0.4〜0.9と特定した理由を以下に述べる。0.9以上では柱状晶先端は中心に近くなる。鋳造条件の変動や柱状晶成長のばらつき等場合により空洞が部分的に閉じられ偏析が発生する危険性があるのでこの値を上限とした。
【0036】
他方中実化に際して鋳片横断面内において向心状に分布している柱状晶の方位配向が維持されるように圧接するには横断面内においてある程度の等方的圧下が必要である。αの値が0.4以下では空洞が相対的に大きく、等方的圧接に対して圧延パス数が増加する等煩雑になる。従ってこの値を下限とした。
【0037】
αの値を大きく設定した場合、鋳造能率に関しては不利になるがその対策として(1)式に従い機長Lを大きくし、且つ凝固定数kを大きくする。
P=πρk2L(2/α−1) −−−−−(1)
ここで
P;鋳造能率(kg/h) ρ;鋼の密度(kg/m3)
k;凝固常数(m/√h) L;機長=鋳込面からQ点までの距離(m)
【0038】
中実化に際して鋳片横断面内において向心状に分布している柱状晶の方位配向が維持されるように圧接する理由は、図2に従って説明する。
(a)はチル晶、柱状晶、等軸晶が同心状に分布する中空鋳片を漫然と1方向圧下する場合で断面は中実フラットになる。これを円形に成形すると柱状晶部、等軸晶部が同心状に分布せず特有の不均一凝固パターンを残存させる。
【0039】
図2(b)は前項において等軸晶を保有しない場合で、鮮明な凝固パターンは緩和されるが柱状晶の方位が向心状、同心状から偏り均質性に欠ける。
【0040】
図2(c)は本発明例を示し、実質柱状晶のみの組織を持つ中空鋳片をそれぞれオーバル孔型を持つユニバーサル・ミルを使用してほぼ等方的に圧下しているので、柱状晶は概ね向心状、同心状の分布を維持する。4面鍛造で圧接するならなお良い。柱状晶のみの場合は本来均質性が高いので向心性は厳密でなくても実質的には問題とならない。
【0041】
棒鋼、線材への圧延に際して各パスの拡幅率を1.5以下とする第1の理由は、中実鋳片横断面内において向心状に分布している柱状晶の方位配向が円断面の棒鋼、線材においても概ね維持され、マクロ組織を棒軸に対して回転対称とするためである。1.5以上では図2(b)に示したような傾向が生ずる。
【0042】
凝固マクロ組織パターンが概ね維持される圧延孔型の選定に関しては当業者にとって特別の困難は無い。各パスの拡幅比及び断面アスペクト比の限度を適切に設定すればよい。
【0043】
例として図3Aに示すように減面率で有利な角−オーバルの孔型を使用すると拡幅率が異様に大きく且つ歪み分布の不均等性が大きくなって回転対称性が崩れる。図3Cのように円−オーバルの無理のない孔型系列にすると拡幅比は通常1.4以下で回転対称性の維持に好都合である。拡幅比と回転対称性は完全に一致するものではないが、実用的には一元的な尺度にはなる。
【0044】
拡幅比特定の第2の理由は、表皮の不均等流れを低減するためである。孔型圧延では表皮の不均等流れは不可避である。その結果、加熱時に発生した脱炭層は全体としては延伸により薄くなるが局所的には一層薄く又は厚くなる。不均等性は主として孔型に依存する。
【0045】
図3Aのように角−オーバルの孔型では延伸効率は有利であるが脱炭層はx点で薄く、a点は集積し不適切である。同様に図3Bの角−菱の孔型では圧下率もしくは減面率が大きいとb点にかなり集積する。拡幅比を抑制すると集積は低減できる。図3Cの円−オーバルで拡幅比を無理の無い1.5以下にすると集積は小さくなる。図3Dに示す3方ロールによる円−デルタの孔型では拡幅比は1に近く、円周上の歪み分布の均一性は極めて高い。脱炭層の集積はほとんど発生しない。本発明ではB、C、Dが使用できる。拡幅比と脱炭層の集積度は完全に一致するものではないが、実用的な尺度にはなるのでこれを特定した。
【0046】
以上に述べたようにマクロ組織の回転対称性を維持する圧延方法は同時に表皮の流れの接線方向の不均等性を抑制する効果も持つ。
【0047】
連鋳と圧延を直結する場合は鋼片加熱工程が介在しない。脱炭反応は鋳造・圧延時間のみに制限される。脱炭は実質的にはほとんど発生しない。既述の圧延孔型の適正化と総合すると脱炭層厚さを鋼材径の0.3%以下にすることは容易に達成できる。0.3%はJISを凌駕する値として特定した。
【0048】
【実施例】
棒鋼用鋼片及び棒鋼について本発明の設計例を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
比較例として特許第2989737号と特開平9−39219の方法を採った。なお圧接状況及びマクロ組織の回転対称性の検証にはプラスチシン・モデルを使用した。
【0051】
従来方法では図2(b)のように容易に中実化されるが柱状晶方位は向心状にはならない。さらに断面アスペクト比が大きいので断面を円形に成形しても向心状にはならない。
【0052】
本発明例では圧接には不充分な水平と垂直の2回の圧接で円と正方形の中間形状に成形しているので柱状晶方位はほぼ向心状である。しかし空洞は残存する。これは後続の粗圧延の中で解消される。
【0053】
【発明の効果】
本発明によると表層のチル晶と実質的に柱状晶からなる円断面の中空鋳片を横断面内において等方的な圧接圧延により中実化しているので、1)中心偏析、収縮孔、多孔質等芯部欠陥が無く、2)ミクロ均質性が高く、3)向心状に分布する柱状晶の方位配向はほぼ維持されマクロ組織は棒軸に対して回転対称を持つ中実鋳片が得られる。
【0054】
上記中実鋳片を拡幅比を抑制した孔型圧延によって円断面鋼材とするので回転対称性はなお維持され、且つ表皮の脱炭層分布も不均一性の小さい棒鋼、線材が得られる。
【0055】
連鋳と圧延が直結の場合、脱炭反応時間が短いので実質的に無脱炭鋼材となる。以上から精密焼入性、精密冷間加工性に適した材料が得られる。
【0056】
上記の高品質の鋼材は連鋳と圧延の直結の省エネルギー工程により比較的低設備費且つ低コストで製造される。両工程を直結しない場合でも従来より簡素な設備で鋼片を製造することができる。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する連続鋳造方法を例示する。
【図2】凝固組織パターンの圧接圧延による変化を示し、(a)は等軸晶を含む場合、(b)は柱状晶のみで1方向のみの圧下による圧接の場合、(c)は本発明の例で、柱状晶のみでほぼ等方的に圧下、圧接する場合である。
【図3】棒鋼、線材を製造する場合の圧延孔型の例を示す。
【符号の説明】
1:タンディシュ 2:溶鋼 3:鋳型 4:鋳片 5:2次冷却装置 6:スプレイ 7:溶融芯 8:凝固殻 9:中空鋳片 10:伸直ロール 11:圧接圧延機 12:中実鋳片 13:圧延ライン 14:加熱炉 15:鋼片 16:シアー 17:プレス 18:中空鋼片
Claims (1)
- 下記連続鋳造方法において、圧延機による圧接工程ではオーバル孔型を持つユニバーサル・ミルを使用して等方的に圧下して、1)少なくとも中実化の大半を終えるとともに、2)中空鋳片横断面内において柱状晶が同心状・向心状に分布した凝固組織パターンを該圧延後においても維持した鋼片とし、次いで該鋼片から円形断面を持つ圧延鋼材への製品圧延においても各パスの断面拡幅比を1.5以下として該パターンを維持したことを特徴とする棒鋼又は線材の連続鋳造圧延方法。
[記]
一種の湾曲式連続鋳造方法であって、溶鋼が垂直に鋳型内に鋳込まれ、鋳型下方から引き抜かれた鋳片の引抜軌跡を3/4円周までは同一曲率円弧とし以後は水平とし、鋳片内部の溶融芯を1/2円周を越えて鋳込み面から約1.4m高い位置まで保持し該位置で重力により鋳片凝固殻から離脱させて中空鋳片を形成し、該中空鋳片を3/4円周で伸直ロールにより伸直し、次いで圧延機により凝固殻内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法であって、鋳型横断面形状を実質円形とし、鋳込温度の特定により鋳片表層部のチル晶の内側すべてを柱状晶のみの凝固組織とし、中空鋳片の凝固殻厚比αを0.4〜0.9とすることを特徴とする連続鋳造方法。
ここで、 α=2d/D
d:中空鋳片の凝固殻厚(mm)
D:中空鋳片の直径(mm)
断面拡幅比=パス後の鋼材幅/パス前の鋼材幅
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