JP5048999B2 - 工作機械の温度制御システム - Google Patents

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Description

この発明は、工作機械に循環させる熱媒体液の温度を制御して工作機械の温度を一定に保つ工作機械の温度制御システムに関し、詳しくは、超精密加工用の工作機械の加工精度を長時間にわたって高精度に維持するために、熱媒体液の温度を高精度に目標値に一致させ、温度を均一化するとともに熱媒体液の温度の長期変動も抑制することのできる工作機械の温度制御システムに関する。
工作機械の機体は、環境温度、発熱部からの熱などにより変形する。機体の変形は、加工精度に影響を及ぼすので、従来から機体各部の温度を一定温度に制御することが行われている。この温度制御の方法は、種々提案されているが、通常温度制御された一定流量の冷却油を工作機械の発熱部に常時流して発熱部を冷却している。この冷却油は熱交換器を介して冷媒により冷却されるものである。
工作機械に要求される加工精度が高くなるほど、この温度制御のシステムも高精度のものが必要となる。最近では、微細加工や高精度加工の必要性が増大するとともに、それらの加工に対する要求も高度化しており、加工精度に対する要求は数十nm(ナノメートル)のレベルに達するようになっている。また、加工形状の特殊化や加工精度の高精度化によって、加工時間が長時間となる傾向も顕著であり、加工時間が数日にも及ぶような場合もある。特に、光学部品や光学部品製造用金型などの加工において、加工精度の高精度化や加工時間の長時間化が著しい。このため、最近の高精度加工においては、数時間程度の温度の安定性だけでなく、数日程度の長期間にわたる温度の安定性も要求されるようになってきている。
高精度加工のための工作機械の精密な温度制御に関しては、本出願人は下記の特許文献1のような技術を既に提案している。特許文献1には、熱媒体液を前段冷却手段によって冷却した後、その熱媒体液を高精度の温度調節器と加熱ヒータによって精密に温度制御するようにして、例えば、±0.005℃程度の精度で熱媒体液の温度制御を行うことができる温度制御システムが記載されている。
特開平5−253790号公報
特許文献1の温度制御システムは、加工精度が数μmから1μm以下程度の工作機械の温度制御を行うには十分な精度を有していた。特許文献1の技術を使用した温度制御システムにおける、温度制御の到達精度は±0.005℃/2時間程度である。すなわち、2時間までの連続運転において±0.005℃の精度が達成できるものであり、さらに長時間の連続運転においては長時間ドリフトなどにより温度制御の精度が悪化する。具体的には、長時間の制御精度は±0.06℃/5日程度であった。
これに対して、前述のような加工の高精度化や長時間化により、長時間における温度制御精度への要求が厳しくなってきており、特許文献1の技術を使用した温度制御システムであっても、これらの要求精度を満足することは困難になってきた。
そこで、本発明は、超精密加工用の工作機械の加工精度を長時間にわたって高精度に維持するために、熱媒体液の温度を高精度に目標値に一致させ、温度を均一化するとともに熱媒体液の温度の長期変動も抑制することのできる工作機械の温度制御システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の工作機械の温度制御システムは、工作機械に循環させるための熱媒体液を貯留する受液槽と、冷却用の熱交換器と、前記受液槽の熱媒体液を前記熱交換器に強制的に送り込むポンプを備えた冷却手段と、前記冷却手段によって冷却した熱媒体液を貯留し、前記受液槽とは区分された冷却液槽と、前記冷却液槽の熱媒体液の温度が最終目標温度よりも所定温度だけ低い温度となるように前記冷却手段を制御する冷却制御手段と、前記冷却液槽と連通して熱媒体液を貯留する開放型の貯留槽であって、熱媒体液の温度変動を減少させる開放型減衰槽と、前記開放型減衰槽から送られた熱媒体液を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を通過した熱媒体液の空間的な温度分布を均一化するとともに時間的な温度分布も均一化する液温均一化手段と、前記加熱手段による加熱後の熱媒体液であって前記液温均一化手段に流入する前の熱媒体液の温度を検出する第1液温センサと、前記液温均一化手段から流出した熱媒体液の温度を検出する第2液温センサと、前記最終目標温度と前記第2液温センサの検出値が等しくなるように加熱温度目標値を設定する主フィードバックループと、前記主フィードバックループの内部に含まれ、前記加熱温度目標値と前記第1液温センサの検出値が等しくなるように前記加熱手段の駆動電力を制御する従フィードバックループを含む制御を行い、熱媒体液の温度が前記最終目標温度に維持されるように前記加熱手段を制御する加熱制御手段と、前記液温均一化手段を通過した熱媒体液の温度変動を減少させる密封型減衰手段と、前記密封型減衰手段を通過して高精度に前記最終目標温度に維持された熱媒体液を前記工作機械に循環させるとともに、循環後の熱媒体液を前記受液槽に戻す循環路とを有するものである。
また、上記の工作機械の温度制御システムにおいて、前記加熱制御手段は、前記主フィードバックループおよび前記従フィードバックループをPID制御によって行うものであることが好ましい。
また、上記の工作機械の温度制御システムにおいて、前記加熱制御手段は、前記加熱手段の駆動電力をサイリスタによって制御するものであることが好ましい。
また、上記の工作機械の温度制御システムにおいて、前記液温均一化手段は、2系統の液体流通経路を備えたプレート型熱交換器であり、その2系統の液体流通経路を直列に接続したものであることが好ましい。
また、上記の工作機械の温度制御システムにおいて、前記開放型減衰槽は、前記冷却液槽と連通して前記開放型減衰槽内に突出し、内周側と外周側を貫通する複数の拡散口が形成された第1拡散パイプを備え、前記冷却液槽から流入した熱媒体液が第1拡散パイプを介して前記開放型減衰槽内の熱媒体液と拡散混合するものであることが好ましい。
また、上記の工作機械の温度制御システムにおいて、前記密封型減衰手段は、熱媒体液の流入口と流出口が設けられた密封容器と、前記流入口に接続され、内周側と外周側を貫通する複数の拡散口が形成された第2拡散パイプとを備え、前記流入口から流入した熱媒体液が前記第2拡散パイプを介して前記密封容器内の熱媒体液と拡散混合するものであることが好ましい。
また、上記の工作機械の温度制御システムにおいて、各部に電力を供給する電源は、出力電圧を安定化した安定化電源であることが好ましい。
また、上記の工作機械の温度制御システムにおいて、熱媒体液の流通部および貯留部は、断熱処理および熱遮蔽処理を施したものであることが好ましい。
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
熱媒体液を最終目標温度よりも所定温度だけ低い温度まで冷却した後、最終目標温度まで加熱するようにしたので、熱媒体液の温度を極めて高精度に最終目標温度に一致させることができる。また、熱媒体液の送液経路中で加熱制御を行うようにしたので、応答性に優れた高精度の液温制御が可能である。また、加熱後の熱媒体液を液温均一化手段に流入させるようにしたので、熱媒体液の空間的な温度分布を均一化させて温度制御の精度を向上させることができるとともに、熱媒体液の時間的な温度分布も均一化させることができる。さらに、熱媒体液を密封型減衰手段に流入させるようにしたので、熱媒体液の温度変動をいっそう減少させることができる。
液温センサを液温均一化手段の前後に配置し、二重のフィードバックループを有するPID制御を行うようにしたので、極めて高精度に熱媒体液の温度制御を行うことができ、温度制御の応答性と安定性も向上させることができる。
冷却手段として、熱媒体液をポンプによって冷却用の熱交換器に強制的に送り込むようにしたので、応答性に優れた冷却制御を行うことができる。
液温均一化手段として、2系統の液体流通経路を備えたプレート型熱交換器の液体流通経路を直列に接続したものを使用することにより、簡素な構成で優れた均一化性能を実現することができる。
拡散パイプによって冷却液槽と連通した開放型減衰槽によって、簡素な構成により冷却後の熱媒体液の温度変動幅を大幅に減少させることができる。
密封型減衰手段を内部に拡散パイプを設けた密封容器とすることにより、簡素な構成により熱媒体液の最終的な温度変動幅を大幅に減少させることができる。
各部に電力を供給する電源を安定化電源とし、熱媒体液の流通部および貯留部に断熱処理および熱遮蔽処理を施すことにより、外乱の影響を排除して温度制御の精度をさらに向上させることができる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の工作機械の温度制御システム1の構成を示す図である。工作機械は超精密加工を行うためのものであり、数十nm以下の加工精度を長時間(例えば、数日間)にわたって維持する必要がある。このために、工作機械および温度制御システム1の全体が、室温変動が±0.1〜0.5℃程度に抑制された室内環境中に置かれる。
工作機械には主軸頭を初めとして種々の発熱源が存在する。例えば、主軸頭を例にして説明する。主軸頭には回転可能に主軸が支持されており、主軸には工具または工作物が取り付けられて回転駆動される。工作機械の主軸の回転速度は、停止状態から最高回転速度にまで変動するので、主軸を支持する主軸頭を冷却して温度制御を行い、主軸頭の温度を常に一定の温度に保つ必要がある。このために、目標温度に制御された熱媒体液を主軸頭などの発熱部に循環させて冷却し、工作機械の各部を常に一定の温度に維持する。
熱媒体液(例えば、冷却油など)は貯留槽3に収容され温度が一定温度となるように制御される。貯留槽3はその内部が3つの区画に区分されており、それぞれの区画が受液槽31、冷却液槽32、開放型減衰槽33となっている。高精度に目標温度に制御された熱媒体液は、循環路2を介して温度制御システム1から工作機械に送られる。そして、工作機械を循環して冷却した後の熱媒体液は循環路2から戻ってきて受液槽31に貯留される。受液槽31に貯留された熱媒体液は撹拌器35によって撹拌され、受液槽31内部の温度分布もできるだけ均一になるようにされている。
受液槽31の熱媒体液は、ポンプ4によって汲み上げて熱交換器5に送られる。熱媒体液は熱交換器5で所定の温度まで冷却された後、冷却液槽32に貯留される。一方、熱交換器5には低温の冷媒が流入している。この冷媒に関しては、まず、冷媒ガスが冷凍機6によって圧縮されて凝縮器7に送られる。凝縮器7では、圧縮されて温度上昇した冷媒ガスの熱が放熱されて液化される。凝縮器7は冷却水によって冷却されている。
液化された冷媒ガスは、さらに膨張弁8を通る際に絞り膨張されて低温低圧の気液混合状態となる。この低温低圧の気液混合の冷媒ガスが熱交換器5に流入して熱媒体液を冷却するのである。冷媒ガスは熱交換器5中で熱媒体液の熱を奪って気化し、気化熱により効率よく熱媒体液を冷却する。熱交換器5から流出した冷媒ガスは冷凍機6に戻り循環する。
これらのポンプ4、熱交換器5、冷凍機6、凝縮器7および膨張弁8が、熱媒体液の冷却手段を構成している。冷凍機6は、インバータ駆動によって駆動されており、駆動周波数を変更することにより冷凍機6の回転速度を変更することができる。これにより熱媒体液の冷却能力を変更制御できる。冷凍機6の駆動周波数は温度制御部20によって制御されている。温度制御部20は、冷凍機6の駆動周波数と膨張弁8の開度を制御して、熱媒体液の冷却温度の制御を行う。
冷却後の熱媒体液の温度は、冷却温度センサ21によって検出し、その冷却温度が設定温度(冷却目標温度)となるようにフィードバック制御を行う。フィードバック制御はPID制御により、高精度、高速応答かつ高安定な制御を行っている。すなわち、PID制御により冷凍機6を駆動するインバータ周波数を変更制御する。膨張弁8の開度は、冷凍機6のインバータ周波数に連動して変更される。
膨張弁8の開度yは、冷凍機6を駆動するインバータ周波数xに対して一対一に対応する関係となるように制御される。例えば、開度yは1次の関係式y=ax+bに従って制御される。ここで、a,bは定数である。定数a,bは、冷凍機6の容量や特性などに応じて適宜の値に設定されるものである。なお、膨張弁8はステッピングモータ駆動により弁体を移動させ、弁の開度を調整するものである。このため、デジタル値の開度指令によりそれぞれの弁の開度を調整することができる。
熱媒体液の冷却温度(冷却温度センサ21によって検出される温度)は、熱媒体液の最終的な目標温度(工作機械に循環されるべき熱媒体液の温度)よりも所定温度だけ低く設定される。所定温度とは2〜3℃の範囲の決められた温度である。すなわち、熱媒体液を予め最終目標温度よりも所定温度だけ低い温度まで冷却し、その後、高精度の加熱制御を行うことにより、熱媒体液の温度を極めて高精度に最終目標温度に一致させることができるのである。
以上のように、熱媒体液の冷却手段として、熱媒体液をポンプ4によって熱交換器5に強制的に送り込む強制循環冷却方式を採用しているので、冷却される側の時定数が小さく応答性にも優れている。また、冷凍機を駆動するインバータ周波数と膨張弁の開度を組み合わせて制御を行うことにより、直線性および応答性に優れた高精度の液温制御が可能となっている。
なお、冷却手段としては、ここで採用している強制循環冷却方式のものが望ましいが、受液槽31内に熱交換器を配置して受液槽31内の熱媒体液を直接冷却する方式(開放撹拌冷却方式)とすることもできる。その場合には、受液槽31と冷却液槽32とを区切る必要はなく、両者を1つの液槽として構成すればよい。また、冷凍機を駆動するインバータ周波数と膨張弁の開度を組み合わせて制御することが望ましいが、これ以外の制御(例えば、オン・オフ制御等)を使用することもできる。
冷却液槽32に貯留された熱媒体液は、拡散パイプ34を通って開放型減衰槽33に流入する。拡散パイプ34は、冷却液槽32と連通して開放型減衰槽33内に突出するように設けられている。拡散パイプ34の周面には、内周から外周に貫通する多数の拡散口が形成されている。冷却液槽32からの熱媒体液はこの拡散口を通って開放型減衰槽33内に均一に拡散し、すでに貯留されていた熱媒体液と均一に拡散混合する。また、開放型減衰槽33内の熱媒体液は、撹拌器36によって撹拌されて、温度分布がさらに均一化される。
開放型減衰槽33は、開放型の貯留槽を形成しており、内部に貯留する熱媒体液の時定数によって、熱媒体液の時間的な温度変動を減衰させる機能を有する。この例では、冷却液槽32内の熱媒体液の温度変動幅が、設定値に対して±0.05〜0.1℃であったが、開放型減衰槽33によって熱媒体液の温度変動幅が±0.01〜0.02℃に減衰された。このように、開放型減衰槽33によって熱媒体液の温度変動幅が1/5程度に減衰されるのである。
開放型減衰槽33に貯留された熱媒体液は、ポンプ9によって汲み上げて加熱手段10に送られる。加熱手段10は駆動電力により発熱量を精密制御可能な電気ヒータである。加熱手段10によって加熱された熱媒体液は、次に液温均一化手段11に流入し、その液温分布を空間的にも時間的にも均一化される。液温均一化手段11としてはプレート型熱交換器が適している。プレート型熱交換器の具体的な構成については後述する。
加熱後の熱媒体液の温度は、加熱手段10から流出直後の位置に配置されたスレーブ温度センサ22と、液温均一化手段11から流出後の位置に配置されたマスター温度センサ23の両者によって検出される。これらのスレーブ温度センサ22、マスター温度センサ23によって検出された温度は温度制御部20に送られて、加熱手段10の発熱量制御に使用される。温度制御部20は、二重ループPID制御によって、極めて高精度に加熱手段10の発熱量を制御するものである。具体的な制御ループの構成については後述する。
これらの加熱手段10、液温均一化手段11、温度制御部20によって、熱媒体液は極めて高精度に最終目標温度に温度制御される。この時点での熱媒体液の温度変動幅は±0.003〜0.005℃程度であり、また連続運転時にも5日間までその変動幅の範囲を維持できる。その熱媒体液は、次に密封型減衰手段12に流入され、熱媒体液の温度変動幅をさらに減衰される。密封型減衰手段12から流出した熱媒体液が、循環路2を介して工作機械に循環される。
密封型減衰手段12は、熱媒体液の流入口と流出口を備えた密封容器として形成されており、内部に拡散パイプを備え、熱媒体液の温度変動幅を減衰するのである。密封型減衰手段12の具体的な構成については後述する。密封型減衰手段12から流出する熱媒体液の温度変動幅は±0.0015〜0.002℃程度であり、また連続運転時にも5日間までその変動幅の範囲を維持できる。これが、工作機械に循環される熱媒体液の最終的な変動幅と長時間安定性を表す数値となる。
なお、加熱手段10の駆動電力の変更制御は、具体的には交流電源をサイリスタによってスイッチングすることにより行う。スイッチング方式は交流電圧のゼロクロス点でスイッチングするものが好ましいが、任意の位相でスイッチングする方式を使用することもできる。また、加熱時の制御方式としては、ここで採用している二重ループPID制御が制御精度や応答性の観点からは望ましい。ただし、液温均一化手段11の液温均一化機能が十分であれば、液温均一化手段11後のマスター温度センサのみを設けて、通常の単一ループの制御とすることもできる。
このように、本発明の温度制御システム1によって、極めて高精度に温度制御された熱媒体液を長期間にわたって安定して工作機械に循環させることができ、工作機械の加工精度を長期間にわたり超高精度に維持することができるのである。
図2は、冷却手段(熱交換器5、冷凍機6、凝縮器7、膨張弁8)と温度制御部20による熱媒体液の冷却時の温度制御ループを示す制御ブロック図である。前述のように、冷却温度の目標値は最終目標温度に対して所定温度だけ低く設定される。所定温度とは2〜3℃の範囲の決められた温度である。熱媒体液の冷却温度は冷却温度センサ21によって検出され、冷却温度の目標値と冷却温度の検出値が等しくなるように、冷凍機6の駆動周波数と膨張弁8の開度を制御する。このフィードバック制御はPID制御により、高精度、高速応答かつ高安定な制御を行っている。さらに、冷却後の熱媒体液は、開放型減衰槽33によって温度変動幅が大幅に減衰される。
図3は、加熱手段10、液温均一化手段11、温度制御部20よる熱媒体液の加熱時の温度制御ループを示す制御ブロック図である。温度制御部20は液温均一化手段11の前後に配置されたスレーブ温度センサ22とマスター温度センサ23によって熱媒体液の温度を検出し、図示のような二重のフィードバックループによって加熱手段の駆動電力を制御している。すなわち、外側のループにより、最終目標温度とマスター温度センサ23の検出値が等しくなるように加熱温度目標値を設定する。そして、内側のループにより、加熱温度目標値とスレーブ温度センサ22の検出値が等しくなるように加熱手段の駆動電力を制御する。それぞれのループのフィードバック制御はPID制御により、高精度、高速応答かつ高安定な制御を行っている。さらに、液温均一化手段11から流出した熱媒体液は、密封型減衰手段12によってその温度変動幅がさらに減衰される。
図4は、液温均一化手段11としてのプレート型熱交換器の構成を示す図である。プレート型熱交換器は、液体の流通経路として2つの独立した経路A,Bを有するものである。それらの経路A,Bは点線矢印で示されている。経路Aには流入口A1と流出口A2が設けられ、経路Bには流入口B1と流出口B2が設けられている。それぞれの経路A,Bを流れる液体は互いに混じることなく独立に流通し、それらの間で熱交換が行われる。
図5は、プレート型熱交換器内部の経路A,Bの構成を示す断面図である。プレート型熱交換器の内部には厚さ方向(図4の紙面垂直方向)に、複数の波状板が間隔を持って配置されており、それらの波状板の隙間が交互に経路A,Bとして流入口と流出口に接続されている。波状板により内部を流通する液体に乱流が発生して、液体が均一に混合されるとともに、経路A,Bを流通する液体間で効率よく熱交換が行われる。
本発明では、プレート型熱交換器の以上のような特性を利用して、液温均一化手段11として使用している。熱媒体液を流入口A1から流出口A2へ経路A内を流通させ、流出口A2から出た熱媒体液をさらに流入口B1から流出口B2へ経路B内を流通させる。熱媒体液は経路A,Bを流通する間に十分に混合されて空間的な温度分布が均一化される。また、経路A,Bを流通する熱媒体液の間で熱交換が行われるため、温度分布が時間的にも均一化される。
なお、ここでは液温均一化手段11としてプレート型熱交換器を利用しているが、これに限定されるわけではない。液温均一化手段11としてプレート型熱交換器以外の他の機器を利用することもできる。液温均一化手段11は、熱媒体液の液温分布を均一化する機能を有するものであればよく、特に、熱媒体液を内部で混合する際の均一化性能の優れたものが好ましい。また、内容量が小さくコンパクトな機器の方が制御系の無駄時間が小さくなり好ましい。
図6は、密封型減衰手段12の構成を示す部分断面図である。密封型減衰手段12は、熱媒体液の流入口123と流出口124を備えた密封容器121として形成されている。密封容器121の内部に拡散パイプ122を備え、拡散パイプ122の一端は流入口123に接続されている。拡散パイプ122の周面には、内周から外周に貫通する多数の拡散口が形成されている。流入口123から流入した熱媒体液はこの拡散口を通って密封容器121内に均一に拡散し、すでに貯留されていた熱媒体液と均一に拡散混合する。密封型減衰手段12は内部に貯留する熱媒体液の時定数によって、熱媒体液の時間的な温度変動を減衰させる機能を有する。
図7は、実際に本発明の温度制御システム1を稼働させて、熱媒体液の温度変動を測定した結果を示すグラフである。測定期間は8547分(約5.9日)にわたり、1分ごとに温度制御システム1から出力される熱媒体液の温度を測定した。測定点は8548点である。各測定点をグラフに示した。測定結果から分かるように、約5.9日の測定期間における熱媒体液の温度変動幅は0.0036℃となっている。中心温度からの温度変動幅は±0.0018℃である。この結果により、本発明では連続運転5日間における温度変動幅が±0.0015〜0.002℃という制御精度と長期安定性とを実現していることが分かる。
なお、本発明においては、工作機械に超高精度の精密加工が求められているために、工作機械および温度制御システム1の全体が、室温変動が±0.1〜0.5℃程度に抑制された室内環境中に置かれる必要がある。また、温度制御システム1の各部に電力を供給する電源は、出力電圧を安定化した安定化電源とすることが望ましい。
さらに、熱媒体液の流通部(循環路2や各流通管路)および貯留部(貯留槽3、密封型減衰手段12など)は、断熱処理および熱遮蔽処理を施しておくことが望ましい。また、冷却手段(熱交換器5、冷凍機6、凝縮器7、膨張弁8および冷媒循環路など)の必要部分にも断熱処理および熱遮蔽処理を施しておくことが望ましい。具体的には、断熱処理とは各部に断熱材料による被覆を施す等の処理であり、熱遮蔽処理とは各部に熱源からの熱輻射を反射するアルミ箔等の被覆を施す等の処理である。
以上のように、本発明の温度制御システムによって、極めて高精度に温度制御された熱媒体液を長期間にわたって安定して工作機械に循環させることができ、工作機械の加工精度を長期間にわたり超高精度に維持することができるのである。
本発明によれば、極めて高精度に温度制御された熱媒体液を長期間にわたって安定して工作機械に循環させることができ、工作機械の加工精度を長期間にわたり超高精度に維持することができる。
本発明の工作機械の温度制御システム1の構成を示す図である。 冷却手段による熱媒体液の冷却時の温度制御を示す制御ブロック図である。 熱媒体液の加熱時の温度制御ループを示す制御ブロック図である。 液温均一化手段11としてのプレート型熱交換器の構成を示す図である。 プレート型熱交換器内部の流路の構成を示す断面図である。 密封型減衰手段12の構成を示す部分断面図である。 本発明の温度制御システム1における熱媒体液の温度変動を測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 温度制御システム
2 循環路
3 貯留槽
4,9 ポンプ
5 熱交換器
6 冷凍機
7 凝縮器
8 膨張弁
10 加熱手段
11 液温均一化手段
12 密封型減衰手段
20 温度制御部
21 冷却温度センサ
22 スレーブ温度センサ
23 マスター温度センサ
31 受液槽
32 冷却液槽
33 開放型減衰槽
34 拡散パイプ
35,36 撹拌器
121 密封容器
122 拡散パイプ
123 流入口
124 流出口

Claims (8)

  1. 工作機械に循環させるための熱媒体液を貯留する受液槽(31)と、
    冷却用の熱交換器(5)と、前記受液槽(31)の熱媒体液を前記熱交換器(5)に強制的に送り込むポンプ(4)を備えた冷却手段(4,5,6,7,8)と、
    前記冷却手段(4,5,6,7,8)によって冷却した熱媒体液を貯留し、前記受液槽(31)とは区分された冷却液槽(32)と、
    前記冷却液槽(32)の熱媒体液の温度が最終目標温度よりも所定温度だけ低い温度となるように前記冷却手段(6,8)を制御する冷却制御手段(20)と、
    前記冷却液槽(32)と連通して熱媒体液を貯留する開放型の貯留槽であって、熱媒体液の温度変動を減少させる開放型減衰槽(33)と、
    前記開放型減衰槽(33)から送られた熱媒体液を加熱する加熱手段(10)と、
    前記加熱手段(10)を通過した熱媒体液の空間的な温度分布を均一化するとともに時間的な温度分布も均一化する液温均一化手段(11)と、
    前記加熱手段(10)による加熱後の熱媒体液であって前記液温均一化手段(11)に流入する前の熱媒体液の温度を検出する第1液温センサ(22)と、
    前記液温均一化手段(11)から流出した熱媒体液の温度を検出する第2液温センサ(23)と、
    前記最終目標温度と前記第2液温センサ(23)の検出値が等しくなるように加熱温度目標値を設定する主フィードバックループと、前記主フィードバックループの内部に含まれ、前記加熱温度目標値と前記第1液温センサ(22)の検出値が等しくなるように前記加熱手段(10)の駆動電力を制御する従フィードバックループを含む制御を行い、熱媒体液の温度が前記最終目標温度に維持されるように前記加熱手段(10)を制御する加熱制御手段(20)と、
    前記液温均一化手段(11)を通過した熱媒体液の温度変動を減少させる密封型減衰手段(12)と、
    前記密封型減衰手段(12)を通過して高精度に前記最終目標温度に維持された熱媒体液を前記工作機械に循環させるとともに、循環後の熱媒体液を前記受液槽に戻す循環路(2)とを有する工作機械の温度制御システム。
  2. 請求項に記載した工作機械の温度制御システムであって、
    前記加熱制御手段(20)は、前記主フィードバックループおよび前記従フィードバックループをPID制御によって行うものである工作機械の温度制御システム。
  3. 請求項に記載した工作機械の温度制御システムであって、
    前記加熱制御手段(20)は、前記加熱手段(10)の駆動電力をサイリスタによって制御するものである工作機械の温度制御システム。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載した工作機械の温度制御システムであって、
    前記液温均一化手段(11)は、2系統の液体流通経路(A,B)を備えたプレート型熱交換器であり、その2系統の液体流通経路を直列に接続したものである工作機械の温度制御システム。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載した工作機械の温度制御システムであって、
    前記開放型減衰槽(33)は、
    前記冷却液槽(32)と連通して前記開放型減衰槽(33)内に突出し、内周側と外周側を貫通する複数の拡散口が形成された第1拡散パイプ(34)を備え、
    前記冷却液槽(32)から流入した熱媒体液が第1拡散パイプ(34)を介して前記開放型減衰槽(33)内の熱媒体液と拡散混合するものである工作機械の温度制御システム。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載した工作機械の温度制御システムであって、
    前記密封型減衰手段(12)は、
    熱媒体液の流入口(123)と流出口(124)が設けられた密封容器(121)と、
    前記流入口(123)に接続され、内周側と外周側を貫通する複数の拡散口が形成された第2拡散パイプ(122)とを備え、
    前記流入口(123)から流入した熱媒体液が前記第2拡散パイプ(122)を介して前記密封容器(121)内の熱媒体液と拡散混合するものである工作機械の温度制御システム。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載した工作機械の温度制御システムであって、
    各部に電力を供給する電源は、出力電圧を安定化した安定化電源である工作機械の温度制御システム。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載した工作機械の温度制御システムであって、
    熱媒体液の流通部および貯留部は、断熱処理および熱遮蔽処理を施したものである工作機械の温度制御システム。
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