JP5048895B2 - 白色ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ等ゴム製品の白色ゴム部分に用いられる白色ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、タイヤのサイドウォール部には、装飾用として白色ゴムで形成される円形ラインや製造会社名、ブランド名などのレター、あるいはデザイン模様等、いわゆるホワイトライン、ホワイトレター等を設けることがある。
【0003】
この白色ゴム用の充填剤としては、通常のゴム組成物配合に用いられるカーボンブラックに代えて、炭酸カルシウムやカオリン系クレー、シリカ等の白色充填剤が使用されている。
【0004】
上記の白色充填剤は、カーボンブラックに比べゴムの補強効果が低く、ゴム強度や硬度、モジュラス等のゴム特性がカーボンブラック配合よりも劣り、使用中に白色ゴム部にクラックが発生しやすく、外観を損ねるだけでなくタイヤの耐久性を低下させるという問題がある。
【0005】
また、上記ゴム特性の不足により、白色ゴムを表面に露出形成するサイドウォール部表面の研磨工程において、白色ゴム表面にグライダーの研磨跡が残り商品価値を低下させるという問題があり、またタイヤ使用中にこの研磨跡にゴミ、塵埃などが詰まり、白色ゴムが汚染されたり変色するなどの、装飾性を損なうという問題がある。
【0006】
従来の白色充填剤では、炭酸カルシウムは白色度は高いが補強効果が特に小さく、カオリン系クレーは黄白色粉末であるためゴム色がくすみ、シリカは鮮やかな白色が得られるものゴム中への分散性が劣り未加硫ゴムの粘度上昇や加硫速度が遅くなるという、各々の問題がそれぞれの白色充填剤にあり、白色度とゴム特性が両立して満足できる白色充填剤が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決するもので、鮮やかな白色度を発現し、かつゴム加工性や加硫特性に優れると共にゴム強度、硬度、モジュラスなど優れたゴム特性を有する白色ゴム組成物及びそれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ハロゲン化ブチルゴム20重量部以上を含むゴム成分100重量部に対して、繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーからなる群の少なくとも1種類を10〜200重量部配合してなることを特徴とする白色ゴム組成物である。
【0009】
この発明の白色ゴム組成物によれば、ハロゲン化ブチルゴムは耐候性、耐薬品性、耐油性などに優れ、他のゴムとの相溶性が良く、加硫速度も良好にあるので白色ゴム成分として適している。繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーからなる群から選ばれた単独または2種類以上を併用して所定量配合することで、白色度及びゴム特性に優れた、加工性のよい白色ゴム組成物を得ることができる。
【0010】
また、本発明は、前記白色ゴム組成物を使用したことを特徴とするタイヤであり、前記白色ゴム組成物を主にサイドウォール部に適用し、ホワイトラインやホワイトレターを形成し、鮮やかな白色を発現して優れた装飾効果を得て、外観性能を向上することができる。また、ホワイトライン等形成の際の研磨加工性が良く、研磨傷が小さく商品価値が高く、また傷跡にゴミなどが詰まりにくいので使用中の汚染を防ぐことができ、さらに白色部のクラック発生を抑えることができ、通常のタイヤと同等の耐久性を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明の白色ゴム組成物は、ゴム成分として無色透明性の高いハロゲン化ブチルゴムを原料ゴム成分100重量部に対して20重量部以上を含む。残余のゴム成分としては特に限定されないが、タイヤのサイドウォール部を構成する観点から、ゴムの強度、硬度やモジュラスなどの耐久性に優れたゴム特性が得られるジエン系ゴムが好ましく、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられ、その1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
前記ハロゲン化ブチルゴムとしては、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴムなどを用いることができ、耐オゾン性、耐紫外線性などの耐候性、耐薬品性、耐油性などに優れ、さらにブチルゴムはハロゲン化されることで他のゴムとの相溶性や加硫速度の遅れが改善されるので、白色ゴム成分に好ましい。
【0014】
このハロゲン化ブチルゴムの配合量は、20重量部未満では耐オゾン性、耐紫外線性などの耐候性が充分得られず、タイヤ使用中の白色ゴム部に微少クラックなどの劣化を生じやすくなり、外観及び耐久性の低下を招きやすくなる。
【0015】
本発明に用いられる白色充填剤は、繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーからなる群から選ばれた単独又は2種類以上を併用して、ゴム成分100重量部に対して10〜200重量部の範囲で配合される。
【0016】
繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーは加硫ゴムの白色度を向上し、従来の白色充填剤よりも鮮やかな白色を発現すことができる。
【0017】
また、ゴム中の分散性が良いのでゴム粘度の上昇がなく、加硫促進剤などの加硫薬品を吸着しないので加硫の遅延がない。従って、ゴム加工性、作業性を損なわず、さらにゴム補強効果に優れるため、ゴムの強度や硬度、モジュラスなどのゴム特性をカーボンブラック配合と同等に向上することができる。
【0018】
繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーの配合量が10重量部未満では、ゴム組成物の白色度発現が充分でなく、ゴム強度、硬度、モジュラスなどのゴム特性の改善が得られない。また、配合量が200重量部を越えると、ゴム中の分散性が低下し、混合や成型加工が困難となり好ましくない。
【0019】
前記繊維状ゾノトライトは、化学式 6CaO・6SiO・2HO で示される針状結晶物質をいい、その繊維形状は特に限定されないが、平均繊維長(L)が1〜5μm、平均繊維径(D)が0.1〜0.5μmが好ましい範囲であり、Lが5μmを越え、Dが0.1μm未満ではゴム混合時にゴム中に均一に分散させることが困難となり、Lが1μm未満、Dが0.5μmを越えると補強性に欠け、所望のゴム特性を得るのが困難となる。
【0020】
また、繊維状ゾノトライトの表面を界面活性剤やカップリング剤で処理した、表面処理繊維状ゾノトライトを用いることもでき、ゴム中の分散性が未処理品に比べ向上し、ゴムの補強効果をより発揮し、ゴム特性を向上することができる。
【0021】
前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、両性イオン系及び非イオン系の各種界面活性剤が使用でき、例えばアルキルエーテル硫酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、ジメチルアルキルラウリルペタイン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミンなどが挙げられる。
【0022】
また、前記カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ホウ素系カップリング剤などの各種カップリング剤が使用できるが、ゴム中の分散性からシラン系カップリング剤が好ましい形態であり、シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。
【0023】
なお、この表面処理繊維状ゾノトライトの繊維形状は、未処理品と同様に、平均繊維長(L)が1〜5μm、平均繊維径(D)が0.1〜0.5μmが好ましい範囲である。
【0024】
前記マグネシウムオキシサルフェートウィスカーは、化学式 MgSO・5Mg(OH)・3HO で示されるウィスカー状物質をいい、そのウィスカー形状は特に限定されないが、平均ウィスカー長(L)が10μm以下、平均ウィスカー径(D)が0.5〜1.0μmが好ましい範囲であり、Lが10μmを越え、Dが0.5μm未満ではゴム混合時にゴム中に均一に分散させることが困難となり、Dが1μmを越えると補強性に欠け、所望のゴム特性が得られず好ましくない。
【0025】
本発明の白色ゴム組成物では、上記繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーをそれぞれ単独配合で使用することも、2種類以上を併用して配合し使用することもできる。
【0026】
また、本発明の白色ゴム組成物には、酸化チタン及び群青を添加することが好ましく、酸化チタンは白色ゴムの黄変を防止し、少量の群青は白色を引き立てより鮮やかな白色度を発現する効果がある。
【0027】
さらに、本発明の白色ゴム組成物には、ステアリン酸、亜鉛華、充填剤、軟化剤、老化防止剤、樹脂類、加硫剤、加硫促進剤などの配合剤を必要により使用することができる。
【0028】
本発明の白色ゴム組成物は、ゴム成分と繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカー、及び他の配合剤とをゴム工業で通常に使用されているバンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用いて、常法に従い混合して得られる。
【0029】
また、本発明は、前記白色ゴム組成物を使用したタイヤであり、通常はサイドウォール部のホワイトラインやホワイトレターなど白色ゴム部に用いられ、乗用車用やトラック・バス用などの自動車用タイヤ、自動2輪車用タイヤ、自転車用タイヤ、幼児用三輪車や遊技用タイヤなどの装飾用に用いられ、外観性能を向上することができる。
【0030】
上記ホワイトラインやホワイトレターの形成は、一般的なホワイトラインを有するタイヤの製造工程で行われている方法であり、すなわちテープ状に形成した未加硫の白色ゴム組成物を未加硫タイヤのサイドウォール部周上に埋設し、タイヤ加硫後のサイドウォール部周上をグラインダー装置を用いて研磨し、サイドウォール部表面に白色ゴム部を露出させ形成すればよい。
【0031】
もちろん、本発明の白色ゴム組成物はタイヤ以外の用途にも用いることができる。
【0032】
(実施例)
以下、実施例、比較例に従い本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例および比較例に使用した、ゴム成分、配合剤及び白色充填剤は下記に示す通りであり、その配合量(重量部)を表1及び表2に示した。
【0034】
・天然ゴム:SIR3L
・臭素化ブチルゴム:EXXON ブロモブチル 2255
・ステアリン酸:工業用ステアリン酸
・亜鉛華:1号亜鉛華
・群青:第一化成(株) 群青No、1500
・酸化チタン:古川機械金属(株) アナターゼ型FA−50
・硫黄:150メッシュ粉末硫黄
・加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株) ノクセラーDM
・炭酸カルシウム:日東粉化(株) ノーベライトTT
・カリオン系クレー:竹原化学(株) ハードブライト
・シリカ:日本シリカ工業(株) ニプシールAQ
・繊維状ゾノトライト(ゾノトライトAと表記):宇部マテリアルズ(株) ゾノハイジ
・表面処理繊維状ゾノトライト(ゾノトライトBと表記):宇部マテリアルズ(株) 表面処理ゾノハイジ
・マグネシウムオキシサルフェートウィスカー(Mgウィスカーと表記):宇部マテリアルズ(株) モスハイジ
表1及び表2の各ゴム組成物を20リットル密閉式バンバリーミキサーを用いて、通常の方法で混合し、各白色ゴム組成物を作成し、その加硫特性、ゴム特性、白色度、及び研磨性を下記の試験方法により評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0035】
(加硫特性)
ムーニー粘度:JIS K 6300 に準拠し、100℃で測定し「ML1+4」で示した。比較例1を100として指数で示し、指数80〜130が良好な範囲である。
【0036】
レオメーター加硫速度:JIS K 6300 に準拠し、160℃で測定し「t90」で示した。比較例1を100として指数で示し、数値が小ほど加硫速度が速く、良好である。
【0037】
(ゴム特性)
JIS K 6253 に準拠し、硬度「Hs」、100%及び300%引張応力「M100」、「M300」、引張強度「TB」、及び伸び「EB」を測定し、示した。比較例1を100として指数で示し、数値が大ほど良好である。
【0038】
(白色度)
各白色ゴム組成物の加硫サンプルを目視にて判定し、鮮やかに白いを「◎」、白い(比較例1と同等レベル)を「○」、白色がくすむを「△」と白色度を評価し、表に示した。
【0039】
(研磨性)
各白色ゴム組成物をサイドウォール部に埋設したホワイトラインタイヤ(サイズP215/65R14)を試作し、グラインダー研磨機を用いてサイドウォール部を研磨し白色ゴムを露出させ、白色ゴム表面の研磨跡を目視にて判定し、研磨傷が微少かつ少なく極めて良好を「◎」、研磨傷が小さく良好なレベルであるを「○」、研磨傷が大きくかつ多数あり、外観性不良を「△」と、研磨性を評価し、表に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0005048895
【0041】
【表2】
Figure 0005048895
【0042】
表1に示す通り、本発明に係わる実施例では、いずれも加硫特性、ゴム特性が良好であり、満足できる白色度と優れた研磨性を有する。なかでも、繊維状ゾノトライト又はマグネシウムオキシサルフェートウィスカーを70重量部配合した実施例2、4,6,7,8は鮮やかな白色を発現して、強度、伸びを維持しゴム硬度、モジュラスを向上することができ研磨性に優れている。
【0043】
一方、表2に示す各比較例では、白色充填剤がカリオン系クレー(比較例2)では白色度が劣り、シリカ配合(比較例3)は白色度は満足できるが、粘度の上昇、加硫速度が遅く作業性が劣り、ゴム特性も低下する。また、ゾノトライト配合量の少ない比較例4は白色度が満足できず、ゴム特性の低下による研磨性が劣り、多量配合の比較例5は白色度は良好であるが、ゴム中への分散性が低下しムーニー粘度の上昇、加硫速度の遅延が見られ好ましくない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の白色ゴム組成物では、ハロゲン化ブチルゴム20重量部以上を含むゴム成分100重量部に対して、繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーを単独又は併用して10〜200重量部配合してなり、白色度及び加工性、加硫性などの作業性に優れゴムの強度や硬度、モジュラスなど優れたゴム特性を有するものであり、これをサイドウォール部に用いたホワイトラインを有するタイヤは鮮やかな白色を示し、かつ使用中の汚染を抑えることのできる優れた外観性能を有する。

Claims (3)

  1. ハロゲン化ブチルゴム20重量部以上を含むゴム成分100重量部に対して、繊維状ゾノトライト及びマグネシウムオキシサルフェートウィスカーからなる群の少なくとも1種類を10〜200重量部配合してなることを特徴とするタイヤ装飾用白色ゴム組成物。
  2. ハロゲン化ブチルゴム20重量部以上を含むゴム成分100重量部に対して、平均ウィスカー長(L)が10μm以下、平均ウィスカー径(D)が0.5〜1.0μmのマグネシウムオキシサルフェートウィスカーを10〜200重量部配合してなることを特徴とするタイヤ装飾用白色ゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載の白色ゴム組成物を使用して、サイドウォール部に白色ゴム部分からなるレターまたはデザイン模様を設けたことを特徴とするタイヤ。
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