JP5046283B2 - 仕切護岸 - Google Patents

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Description

本発明は、海岸部分または湾内に廃棄物堆積場を、仕切護岸を構築して所定の広さを有
する海域を区切る護岸に関し、特に、長く構築する仕切護岸の間で、護岸構造体の間に遮
水手段を挟むように構成するとともに、任意の長さの護岸の各接続部での遮水性が性状に作用していることを確認可能にする技術に関する。
一般に、土木工事現場等から排出されるような瓦礫や土砂等の廃棄物や、一般の家庭や事業所等から排出される燃えないごみ等は、山間部や海岸部の一部を区切って、所定の広さを有する廃棄物処分場を区画して、廃棄物を埋め立て処分することが行われている。例えば、海の一部を区切って処分場を区画するためは、その処分場を区画するために、ケーソンや石積の護岸を構築して設け、その護岸自体と基礎の海底地盤の双方に対して、水を通さないようにする処理を行って構築している。それは、処分場の内部に堆積される廃棄物に触れて、汚染物質を含んでいる水が区画の外に流れ出ることにより、周囲の海域を汚染しないようにするためでもある。
前記仕切護岸を構築して、堆積処分場を区画するためには、例えば、特開2006−204965号公報(特許文献1)等に説明されているように、ケーソン等を1列状に立設して、処分場の周囲を囲むように構築して構築することが、一般的な手段として知られている。前記仕切護岸においては、立設するケーソンの間に遮水性を維持させるような処理を行い、さらに、立設するケーソンとその基礎部の捨石基礎と、海底地盤のそれぞれに対しても、遮水性を維持させる処理を施している。
特開2006−204965号公報
近年は、前記廃棄物の海面処分場を、新たな海域に求めることが困難になりつつあることから、現在使用中の処分場に隣接する海域に続けて、新規の処分場を構築する例が多くなっている。そのために、現在使用中の仕切護岸に連続させて、新たな仕切護岸を構築する手法を用い、現在使用中の処分場を拡張するようにしている。したがって、そのような手法を用いる場合には、現在使用中の排水処理施設等を一部増強するか、または、改良するのみでそのまま使用できて、環境に関する周囲との摩擦を、少なくできる等の利点を発揮できるようにしている。
ところで、前記既設の仕切護岸に接続する状態で、新たな護岸を構築することは、その工事自体は比較的容易にできることではある。しかしながら、その仕切護岸を構築する海域の地質等の条件によっては、新旧の護岸を接続する部分での遮水性能に、信頼性を持ち得ない状態が発生することが予測される場合がある。つまり、新たに構築する仕切護岸に対して、その構造物を支持する海底地盤の深さが異なることと、護岸を支持する地層が異なる場合には、新旧の護岸を支持する地層の沈下速度が、新旧の護岸で異なるという状態が発生する。その他に、地震が発生したときや地殻変動が生じた場合に、海底地盤と支持される構造物の各々で、滑り等の影響が異なる値として現れること等で、新旧の護岸の接続部での遮水性に、問題が発生し易いことが懸念される。
前述したように、新旧の護岸の接続部の他に、例えば、水深の異なる海域で、高さの異なるケーソン等のグループを、適当な位置で接続しながら、長い仕切護岸を構築する場合でも、前記新旧護岸の接続と同様な、種類の異なるケーソン等の構造物間での、遮水構造を構築しておくことが良い場合が多くある。そこで、前記新旧2つの護岸の接続部で、遮水性を確保するという問題に対して、前記従来例やその他の公知の技術手段では、遮水性に問題が発生したとしても、その状態を早期の段階で検知する方法や、遮水性に異常が発生したことを、管理側に知らせる手段は殆ど知られてない。
そして、例えば護岸における遮水性に欠陥が発生して、仕切護岸の内外に水が流通する状態となったとしても、大量に汚れた水が外海に流れ出して、処分場の周囲の海域が汚染されていることを、何等かの理由により知るまでは分からないものである。その他に、定期的な水質検査によらなければ、汚れた水が流出していることは、知ることはできないのであり、大きな問題が発生してから、漏水が発生していたことが知られることになる。
したがって、従来の廃棄物処分場では、深刻な事態が生じてから、それに対する対応策が検討されるという、基本的で最も重要な問題が解決されないままで残っている。
本発明は、廃棄物海面処分場等を画する仕切護岸において、構造体間での遮水層の状態が、正常でない状態に変化したことを、その変化の最初の段階で検知できて、検知手段としてのパイプを用いて、遮水層の変化に対する対応策を、容易に行い得るような方法を提供することを目的としている。
本発明は、海域を仕切護岸により外海から区画して使用中の廃棄物処分場を拡張するために、前記使用中の旧仕切護岸に、新たに構築する新仕切護岸を接続して護岸を延長し、前記新旧の仕切護岸を一体化して、新たな遮水性を有する護岸として構築する仕切護岸に関する。
請求項1の発明は、前記新たに構築する新仕切護岸を旧仕切護岸と接続する位置では、護岸構造物を間に介在させるように構築した中間護岸を設け、前記新旧仕切護岸の間に前記中間護岸を挟んで一体化した遮水性を有する仕切護岸として構成し、前記中間の護岸構造物を挟んで新旧仕切護岸が接続される部分では、前記新旧の仕切護岸と前記中間護岸構造物がそれぞれ接する面には、遮水材を充満させた遮水層をそれぞれ構築し、
前記遮水材を充満させた遮水層に対しては、中空なパイプを遮水層から海面上の所定の高さの位置にまで突出させて設け、前記パイプ内での遮水材の状態を知ることにより、前記遮水層での遮水材の状況の検知を可能にすることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記新旧の仕切護岸の間に構築する中間護岸は、前記新旧の仕切護岸の構造物のそれぞれよりも、埋立地側に突出させる大きさのものとして構成し、
前記新旧の仕切護岸構造物と中間護岸とが接続される接続部の各々では、前記各接続部での隙間を埋めるように遮水材を充満させた遮水層を設け、
前記遮水材を充満させた遮水層に中空なパイプの下端を挿入し、遮水層から海面上の所定の高さの位置にまで前記中空なパイプの上端を突出させて設けることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記2つの新旧の仕切護岸と中間の護岸構造物との間に設ける遮水層が、前記構造物の厚さ方向の斜面部に設けられる部分でも、前記遮水層の中にパイプを一定の間隔で多数本立設して設け、前記遮水層での遮水材の状態を検知する手段として用いることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記遮水層に多数本一定の間隔で立設するパイプにおいて、遮水層での遮水材の異常を検知したパイプに対しては、その状況に応じて随時遮水材を補給する等の対応策を任意に適用可能とすることを特徴とする。
前述したように、廃棄物処分場の仕切護岸を構築するに際して、新旧の護岸を接続する部分で障害が発生したときに、その情報を早急に得て、対策を容易にとれるような手段を設けることで、遮水層が機能しない状態の発生を解消できる。また、ケーソン等の護岸構造物の接続部に対して、遮水材を充填した遮水層を対象とすること、もしくは、捨石を積み重ねて構築する護岸の表面に、遮水材を所定の厚さで形成して、遮水層として構築した例を対象とすることが可能である。
さらに、前記遮水材を所定の厚さの層状に構築した遮水層を覆うように、遮水シートの遮水層を組み合わせた場合の、そのいずれの例においても、遮水材の層に異常が生じたときに、その情報を的確に知ることができ、欠陥を生じた部分に向けて、遮水材を補給する等の処理を容易に行うことが可能になる。そして、処分場で堆積されている廃棄物に触れて、廃棄物の有害成分を含んで汚された水が、海に流れ出すことがなくて、環境を汚染することがなくなる。
一般の廃棄物海面処分場を構築するに際しては、港湾内の海域を仕切護岸により区画して、その仕切られた内部を廃棄物処分場として区画し、建築廃棄物や不燃ごみや燃焼させたごみの焼却灰等を、積み重ねて投棄する場所として利用している。そして、その廃棄物を堆積させた処分場では、堆積された廃棄物の表面を覆うように、土の層を所定の厚さで設けて木や草を植栽して、緑地化する処理を行う等の処理を行って、公園等としての利用に供することが一般的である。
前記廃棄物処分場を構築するに際しては、最初に港湾の防波堤を構築するときと同様に、上部の仕切護岸のような構造物の重量が載置されることから、海底地盤に対しては、そのような重量に耐え得るように、地盤を強化する処理を行っている。そのような処理を行った地盤の上に、所定の高さで捨石基礎を構築してから、その基礎の上にケーソン等の構造物を立設し、海底地盤の所定の範囲と、基礎の表面およびケーソン列の間の全てに亘って、遮水層としての機能を持たせる処理を行い、廃棄物処分場を区画する仕切護岸として構築するのである。
図示される例にしたがって本発明を説明する。既存の廃棄物処分場を拡張して構築する場合には、図1に示すように、既存の仕切護岸11の端部に、ケーソン13を直交させて立設してから、前記既設の護岸11を延長させて、新たな護岸12を構築する。そして、前記新たな護岸12を、新たな処分場を囲むように構築して、現在使用中の廃棄物処分場を区画する。前記既存の護岸11と直交させるように配置する護岸13、および、護岸12、13の接続部では、護岸を構成するケーソン間に遮水層を配置し、遮水性を良好に発揮できるように処理している。
また、前記図1に示すように、既存の護岸11と延長した護岸12、および中間に配置する護岸13の各々は、例えば、新しい護岸は海岸線から次第に遠ざかる沖の方に、つまり、次第に水深が深くなる方向に構築されることになる。したがって、図2に仮想線で示すように、海底地盤3の上に構築する捨石基礎5、5aは、深い位置に構築されて、それぞれの護岸を構成するケーソン等の構造物は、その高さH1、H2として説明しているように、既製のものの背が低くて、新設するものの背が高くされたものを組み合わせて用いている。なお、前記新旧護岸の中間に配置しているところの、ケーソンを用いた中間の護岸13は、任意の形状のもので良いが、海上に突出する部分は、その両側の構造物と同じになるように構成される。
前記図1、2に示したように、新旧の護岸11、12の間に中間の護岸13を設ける場合に、前記中間の護岸と新旧の護岸との接続部では、図3に示すような接続手段が用いられている。この図3に示す例においては、中間の護岸13は堆積物の圧力を大きく受けることがないものであるから、比較的厚さの小さい(巾が狭い)コンクリートケーソン、またはハイブリッドケーソンのような構造物を用いることが可能である。そして、その中間の護岸構造物の両側に、新旧の護岸の端部をそれぞれ位置させた状態で突き合わせ、それぞれの護岸構造物の端部が、遮水層14、15の2種類の遮水手段を、挟んだ状態で位置させるように構築している。
前記図1〜3に示したように、新旧の護岸11、12の間に中間の護岸13を設ける場合に、前記中間の護岸と新旧の護岸との接続部では、図3に示すような接続手段を用いている。この図3に示す例においては、新たに構築する新護岸12は、ケーソンを1列に立設した内海側に、石を積み重ねた層を設けて、その石の層の斜面を覆うようにシート19を隙間なく敷設し、シート間でも水が滲み出ることがないようにした、遮水層として構成している。さらに、前記立設する各構造物の下部では、海底地盤を所定の範囲で覆うように、底面シート19aを前記斜面部でのシートに連続させるように敷設して、地盤においても遮水性を良好に発揮できるように処理している。
なお、前記各実施例において、中間の護岸を挟むようにして立設する2つの護岸は、前記構築される時期が異なる場合も含まれるが、その他に、水深が大きく変化する位置を挟んで、高さや構造の異なるケーソン列を組み合わせて、遮水壁として構築する場合も考えられる。そして、前記2種類の遮水壁の接続部では、中間の遮水壁を挟んで、一方の側の構造体(陸側の護岸)と、他方の側の護岸構造体とのいずれでも、ケーソンを用いるか、あるいは、ケーソンの処分場側に石積の補助面を設ける等の、任意の構成を採用することが考えられる。
前記中間の護岸13と新護岸12との間には、遮水材を所定の厚さで充満させた層状の遮水層14を設けて、構造物間での遮水性を持たせている。また、前記中間の護岸13のケーソン表面をも、必要に応じて遮水シートにより覆って保護する。前記中間の護岸と新たな護岸12との接続部では、中間の護岸13の表面と新護岸12の表面部の間では、中間の護岸13から所定の間隔を介して、枕状のブロックを設けて、前記斜面のシート19の端部を固定するとともに、中間の護岸13と新護岸12との間に、斜めの遮水層16を設けることにより、2つの護岸の表面での遮水層に、隙間が生じないようにする処理を行っている。
この斜めの遮水層16は、アスファルトマスチックのような流動性のある遮水材を、前記ブロック17とケーソン13の間に、所定の厚さとなるように設けるもので、その厚さを規定するためには、前記斜めの遮水層の上面を規制する型枠を設けて、打設するマスチックが固化するまでの間、前記型枠により規制しても良い。または、遮水層を構築した後で型枠を外さずに、遮水層の上面を型枠で押圧したままの状態としておき、遮水シート上から押圧して保護するように砂の層をその上に設けることや、時に応じて、前記遮水層と遮水シートとの上に、廃棄物を投棄して押圧する部材として用いることができる。
前記図3に示したように、2つの構造物の接続部に対して遮水処理を行う場合に、実際には、海底地盤の地質が、構造物の長さ方向の途中部分で異なる場合等には、廃棄物と護岸の重さ等によって地盤が圧密されて、構造物が沈下する速度が異なる等の、地質に関連した影響が現れることも考えられる。また、地震の影響により構造物の滑りが生じて、接続部の遮水層15がその役割を良好に果たすことができなくなる等の、不都合な事態の発生が想定される。
前記遮水層での欠陥が発生するということは、例えば、構造物間の間隔が変化したときに、間隔が狭くなった位置では、遮水層が圧密される状態となり、余分な遮水材は余裕のある方向に向けて押し出される。これに対して、間隔が広くなった位置では、遮水材と構造物の壁の間に隙間が形成されることから、遮水性が損なわれる状態となる。
前述したように、構造物間での隙間の変化が発生したときに、その情報を出来るだけ早く得るために、遮水材のレベルを検知する手段を用いると良いと考えられる。そこで、構造物の間の隙間に中空なパイプを挿入して、そのパイプ中の遮水材のレベルを検知することにより、遮水層の状態を検知することができる。そして、例えば、が所定のレベルよりも下がった状態にあると判定されたときに、そのパイプを通して遮水材を注入する等の、対応策を早急に行うことができる。
例えば、前記図3に説明する遮水層の例においては、その斜めに形成される遮水層の中に、高さの異なる位置となるように、複数本のパイプを順次挿入して、遮水層の状態を検知する手段を設けると良いことになる。そして、前記接続部15での斜めに形成した遮水層16の一部で、積み上げた石の層の中で、遮水材が何等かの理由により流れ出して、空洞が形成された状態を検知したときには、直ちにパイプの上部から遮水材を注入して、その空洞を補修することで、欠陥を生じた部分がより拡大されることを阻止する。また、構造物間の隙間から遮水材が流出した時にも、その隙間に挿入しているパイプを用いて、遮水材の情報を知ったならば、早期にその状態に対する対応策を取り得ることになる。
図4に示す例は、前記構造物12、13の間に設ける遮水層16に対して、遮水材の情報を得て、補給作業を行うための対策の1つを説明している。この図4に示す例は、図5の平面図と対応させて説明しているが、中間の護岸13の表面部に、パイプに代えて縦の凹溝21、21aを所定の間隔で形成している。前記縦の凹溝の開放側は、遮水シート20により覆われたものとすると、全体として1つのパイプ状のものとして構成される。前記凹溝21、21aの下端部は、斜めに形成する遮水層16の中間部分に対応させて、任意の大きさの開口22、22a……を設けておくと良い。そして、何等かの理由により、遮水層16から局部的に遮水材が流出するような事故が発生したときに、その事故の情報を凹溝内での遮水材のレベルから知ることができる。そこで、その凹溝に遮水材を注入して、遮水層に欠陥が生じた非部分にまで補給することによって、遮水層としての機能を回復させる処理を、容易に施すことが可能となる。
前記4において説明したように、遮水材の状態を随時検知する手段は、それを平面図として見た状態を図5〜7に、その変形例を含めて、説明している。前記凹溝の大きさは、遮水材の性質に応じて形成すると良く、柔らかく形成して流動性が良い遮水材、例えば、アスファルトマスチックのようなものを用いる場合には、比較的小さな孔であっても、それを補給することができることになる。これに対して、流動性の良くない遮水材として、例えば、粘土を主成分とした材料を用いる場合には、開口は比較的大きなものとして対処させることが可能である。
なお、前記図5に説明した例において、縦の凹溝21……を遮水シート20で覆った状態で、その遮水シートに対して外圧が加えられた、凹溝をカバーする状態を維持できずに、シートが凹むように変形することや、遮水シートが破れてしまったりすることが想定される。そのような不都合の発生が懸念される時には、凹溝の表面側を覆うように補助板24を設けて、その上面に遮水シート20を設けることで、補助板24を保持して、凹溝21を正常な形状に維持できるようにする。そして、前記補強手段を合わせて設けることで、シートと板24を貫通するように設けている孔22と、凹溝21の上部の開口とを利用して、遮水層の状態を検知することと、遮水材を補給する作用とに容易に対応できるようにしている。
前記図5に示す例のように、構造物の側面に凹溝を設けることは、その構造物の製造工程に1つの余分な工程を挟むことになる。そこで、そのような構造物本体に対して凹溝を形成する作業に代えて、図6に示すように、構造物の側面に沿わせるように、略半円形断面の補助板24を位置させて、その補助板と構造物側面とを遮水シート20で覆い、前記補助板24を前記図5の凹溝と同様に用い得るようにする。前記図6に説明するように、略半円形断面の補助板24を用いる場合には、任意の大きさの溝状部材を構造物の側面に沿わせて配置することができ、前記遮水シートと補助板24の所定の位置に設けた孔とを重ねて形成して、凸溝状の補給孔を形成しておくことができる。なお、このような例において、凹溝または凸溝の大きさ等は、その擁壁等の条件に応じて任意に作成できるものであり、特に、構成が限定されたりすることはないものである。
前記図7に示す例において、護岸12の斜面部の表面をカバーするように敷設する遮水シート19は、その下端部を海底地盤上に所定の距離延長して設け、その水平部に対して固定用のアンカー部材25Bを設けている。前記アンカー部材25は、シート19の自由側端部に固定用のブロック27を設けて、斜面部との間に遮水材を注入して構成する遮水材の層28により、遮水シートの端部を押さえるとともに、シート端部に対する遮水手段として用い得るようにする。なお、この図6の例において、2つの構造物の間に設ける斜めの遮水層16に対しては、その斜めの部材の下端部付近の所定の位置に、遮水材の流下を阻止する縦の板等を配置して、斜めの遮水層16の下部での形状を維持できるように、補助手段として設けると良い。
前記図7のアンカー部材25Bに対して、図8に示す例では、斜面をカバーする遮水シートの上部に対しても、上部アンカー部材25Aを設けて、斜面部での遮水層を構成することができる。なお、前記図6、7の2つの図面では、異なる構成の斜面部での遮水層を説明しているものであるが、図7のように、長く形成した石積層の斜面に配置する遮水シートに対しても、また、図8のように、捨石基礎の表面部のように局部的に構成した石積層の斜面に対しても、その斜面の表面に施す遮水層の止め方は、ほぼ同様に構成することで対処可能である。
前記図8に説明する例のように、斜面部の表面を覆うように遮水層25を配置する場合に、前記遮水層の上下の両端部で、遮水層を固定・保持するアンカー25A、25Bの双方では、自由側端部に配置するブロック27……の高さに対応させて、遮水材の層28……を設けている。そして、前記遮水材の層28……の状態を知るために、モニター用のパイプ30……をそれぞれ配置しており、遮水材の層の情報を得るためと、遮水材を補給する際に用いるようにする。そして、前記アンカー部材を構築してから、そのアンカー部材での遮水材の情報に異常が検知されたときに、その対応するパイプに対して遮水材を注入して、遮水層の状態を回復させために用いることができる。
前述したように、本発明の適用される護岸としては、古い護岸に延長して新しい護岸を構築する際に、その接続部に中間の構造体を配置して構築する場合が想定される。その他に、例えば、水深の異なる海域で、高さの異なるケーソン等のグループを、適当な位置で接続しながら、長い仕切護岸を構築する場合でも、前記新旧護岸の接続と同様な、種類の異なるケーソン等の構造物間での、遮水構造を構築しておくことが良いことは、前述の通りである。そして、前述したようにして、新旧2つの護岸の接続部で、遮水性に異常が発生したことを、早期の段階で検知できて、遮水性を確保する対応策が容易に施されるという利点を発揮できることになる。
また、前記各実施例に説明したものにおいて、前記2種類の遮水壁の接続部では、中間の遮水壁を挟んで、一方の側の構造体(陸側の護岸)と、他方の側の護岸構造体とのいずれでも、ケーソンを用いるか、あるいは、ケーソンの処分場側に石積の補助面を設ける等の任意の構成を採用することが考えられる。
廃棄物処分場を区画する仕切護岸の増築の例を示す説明図である。 護岸の大きさを説明する概略断面図である。 護岸接続部に設ける遮水層の説明図である。 構造物の壁に設けた凹溝を用いた検知手段の説明図である。 図4に説明した検知孔の平面図である。 図5と異なる形態の凹溝部材の配置状態の説明図である。 複数の検知手段を組み合わせて構成する例の説明図である。 護岸の基礎部に設ける遮水層と、検知手段の説明図である。
符号の説明
2 処分場、 3 海底地盤、 5 捨石基礎、
10 仕切護岸、 11〜13 護岸、 14 中間遮水層、
15 遮水層、 16 斜めの遮水層、 17 止めブロック、
18 水平な遮水層、 19 護岸表面遮水層、
20 遮水シート、 21 縦の孔、 22 開口、
25 遮水層、 25A・25B アンカー部材、
26 シート層、 27 止めブロック、 28 遮水層、
30 パイプ。

Claims (4)

  1. 海域を仕切護岸により外海から区画して使用中の廃棄物処分場を拡張するために、前記使用中の旧仕切護岸に、新たに構築する新仕切護岸を接続して護岸を延長し、前記新旧の仕切護岸を一体化して、新たな遮水性を有する護岸として構築するに際して、
    前記新たに構築する新仕切護岸を旧仕切護岸と接続する位置では、護岸構造物を間に介在させるように構築した中間護岸を設け、前記新旧仕切護岸の間に前記中間護岸を挟んで一体化した遮水性を有する仕切護岸として構成し、
    前記中間の護岸構造物を挟んで新旧仕切護岸が接続される部分では、前記新旧の仕切護岸と前記中間護岸構造物がそれぞれ接する面には、遮水材を充満させた遮水層をそれぞれ構築し、
    前記遮水材を充満させた遮水層に対しては、中空なパイプを遮水層から海面上の所定の高さの位置にまで突出させて設け、前記パイプ内での遮水材の状態を知ることにより、前記遮水層での遮水材の状況の検知を可能にすることを特徴とする仕切護岸。
  2. 前記新旧の仕切護岸の間に構築する中間護岸は、前記新旧の仕切護岸の構造物のそれぞれよりも、埋立地側に突出させる大きさのものとして構成し、
    前記新旧の仕切護岸構造物と中間護岸とが接続される接続部の各々では、前記各接続部での隙間を埋めるように遮水材を充満させた遮水層を設け、
    前記遮水材を充満させた遮水層に中空なパイプの下端を挿入し、遮水層から海面上の所定の高さの位置にまで前記中空なパイプの上端を突出させて設けることを特徴とする請求項1に記載の仕切護岸。
  3. 前記2つの新旧の仕切護岸と中間の護岸構造物との間に設ける遮水層が、前記構造物の厚さ方向の斜面部に設けられる部分でも、前記遮水層の中にパイプを一定の間隔で多数本立設して設け、前記遮水層での遮水材の状態を検知する手段として用いることを特徴とする請求項2に記載の仕切護岸。
  4. 前記遮水層に多数本一定の間隔で立設するパイプにおいて、遮水層での遮水材の異常を検知したパイプに対しては、その状況に応じて随時遮水材を補給する等の対応策を任意に適用可能とすることを特徴とする請求項3に記載の仕切護岸。
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