JP5046207B2 - 硬軟試験方法、硬軟試験装置、及び硬軟測定装置 - Google Patents
硬軟試験方法、硬軟試験装置、及び硬軟測定装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5046207B2 JP5046207B2 JP2007217367A JP2007217367A JP5046207B2 JP 5046207 B2 JP5046207 B2 JP 5046207B2 JP 2007217367 A JP2007217367 A JP 2007217367A JP 2007217367 A JP2007217367 A JP 2007217367A JP 5046207 B2 JP5046207 B2 JP 5046207B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hardness
- load
- indentation
- contact
- measurement
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Measuring And Recording Apparatus For Diagnosis (AREA)
Description
すなわち、接触圧子を軸方向に移動可能に支持すると共に、その接触圧子が軸方向にバネ部材によって付勢されて構成される。そして、その接触圧子の変位量や押込荷重によって硬度を測定して測定対象物表層の硬軟を評価している。
なお、押込荷重の大きさが一定でないと誤差が大きく再現性が劣るため、自重で荷重を掛けて計測する装置もある。
すなわち、既存の筋硬度計(筋肉組織緊張度合い、筋肉の固さの度合い、弾性の大小の度合い、これらを定量化する計測機器)の原理は、一定の荷重で押込んだ圧子の変位量または変位に応じた荷重の大きさから判定しており、スポンジ、ゴムやプラスチックなど高分子材料の硬軟を測定するデュロメータ(JIS、ISOに準拠)と同じである。これらの計測では、測定試料の条件が表面平滑で相応の厚さと均質な組成を有するような条件下で、かつ表層から数ミリ下の下層の硬軟、柔らかさを捉える程度の機能しかない。この条件から外れた、人体のような皮膚を含む脂肪層の厚さや粘弾性の違いによる上層の影響を除去して、その下層にある筋肉組織の弾性の程度を捉えることは困難であることから、従来の装置で得られた数値の客観性が疑問とされるなど、解決すべき点が多い。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、相対的に柔らかな表層下部に存在する下層(筋肉など)の硬軟を評価することが可能な硬軟試験方法及び硬軟測定装置を提供することを課題としている。
上記測定対象物は、硬軟の異なる複数層から構成され、表層の下部に当該表層よりも弾性係数が大きな測定層を有し、その測定層の硬軟を評価対象とし、
予め設定した設定押込荷重となったときの、単位時間当たりの押込深さの変化に対する押込荷重の変化で表される傾きの値によって硬軟を評価することを特徴とするものである。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した構成に対し、上記外筒体の底部は、その外径面が外筒体の筒部内径面に対して螺合によって固定される円柱状のプラグ部材であって、外筒体の内径面に対する軸方向位置を調整可能となっていることを特徴とするものである。
なお、例えば、対象とする測定対象物に応じて、実験その他によって押込荷重−押込深さの曲線を想定して、その曲線の傾きが立ち上がる位置に上記設定押込荷重を設定すればよい。
また、例えば設定押込荷重を低く設定すれば、若干精度は落ちるものの、表層の硬軟を評価することも出来る。
また、請求項5又は請求項6に記載する硬軟測定装置を使用することで、上記傾きと、それに対応する押込荷重を測定することを行うことが出来る。
(硬軟測定装置)
図1は、本実施形態の硬軟試験方法に使用される、硬軟測定装置の一部透視図的に図示した断面図である。
硬軟測定装置は、接触圧子1と、その接触圧子1を軸方向Sに進退可能に案内する内筒体7と、その内筒体7の外周側に入れ子状に支持される外筒体12と、その内筒体7と外筒体12との間に介装される第1バネ部材16と、上記内筒体7に対する接触圧子1の軸方向Sへの変位量を検出する相対変位検出手段と、上記接触圧子1に負荷される荷重を検出する荷重検出手段と、その荷重検出手段を接触圧子1側に付勢する第2バネ部材21と、を備える。
上記棒状部3は、断面円形の棒状体からなっている。ただし、本実施形態では、軸方向S中途部が小径となって、相対変位検出手段が外径方向にできるだけ張り出さないように設計している。すなわち、棒状部3は、先端部側から、第1棒状部4、その第1棒状部4よりも小径の第2棒状部5、及び第1棒状部4と同径の第3棒状部6を同軸に連結して構成される。図1では、第1棒状部4の後端部に対して第2棒状部5の先端部をネジ止めで固定し、同様に、第3棒状部6の先端部に対して第2棒状部5の後端部をネジ止めで固定することで一体となっている。
上記内筒体7は、その中空部が、上記第1棒状部4及び第3棒状部6が摺動可能な径の内径面に形成されている。ただし、上記第2棒状部5と対向可能な部分は大径の中空部となっていて、その大径の中空部に相対変位検出手段を構成する、リニアゲージ11(変位計)が設置されている。このリニアゲージ11は、上記第2棒状部5の軸方向S変位を検出し、その検出信号を後述の演算装置30に出力する。上記内筒体7は、装置本体を構成する。
また、上記内筒体7の長さは、上記接触圧子1の長さよりも短い。つまり、内筒体7先端と接触圧子1の先端とが面一の状態では、接触圧子1の後端部側は、内筒体7の後端部から突出した状態となる。
また、上記第3内筒体10の後端部側は、内径面が大径となって、第1バネ部材16の座面10aを形成している。
そして、第1外筒体13の先端部側内径面に、第3内筒体10が軸方向Sに摺動可能に嵌め込まれることで、内筒体7と外筒体12とが軸方向Sへ進退可能に一部入れ子状となっている。また、第1外筒体13の先端部側内径面内に、コイルバネからなる第1バネ部材16が同軸に配置されている。第1バネ部材16は、一方の端部を第3円筒体の後端側に設けた座面10aに当接させ、他方の端部を上記第1外筒体13の内向きフランジ13aに当接させている。なお、第1バネ部材16は、位置決め手段を構成する。
そのロードセル18はセル支持部材19に連結している。セル支持部材19は、短寸の円柱状部材であって、上記第2外筒体14の内径面に同軸に且つ軸方向Sに進退可能に配置されている。
そのセル支持部材19の後端部側面には、第2バネ部材21の端部を着座させるための凹部19aが形成されている。
そのプラグ部材22にも、第2バネ部材21を着座させる凹部22aが形成されている。そして、第2外筒体14内に同軸に第2バネ部材21が配置され、一方の端部をセル支持部材19の凹部19aに着座させ、他方の端部をプラグ部材22の凹部22aに着座させている。この第2バネ部材21の弾性力によって、ロードセル18を介して接触圧子1に予圧が負荷される。
演算装置30は、連続的に入力される検出信号に基づき、所定時間間隔毎(例えば、0.1秒毎)における、棒状部3の変位量つまり押込深さxと、そのときの押込荷重Wのデータを記憶部31に記憶する。また、表示部32にその結果を加工して表示する。
なお、演算装置30は、例えば、ロードセル18が検出した荷重が初期予圧よりも大きくなったときや、リニアゲージ11による相対変位量が発生したことを検知したら、計測開始点と判断する。
θ=tan−1(ΔW/Δx) [°] ・・・(1)
そして、求めた傾きθを表示部32に表示したり、印字したりする。
ここで、上記演算装置30は、演算した押込深さxと押込荷重Wとの関係を図2のように表示すると共に、押込荷重Wと押込深さxの時系列の変化についても表示する。
押込荷重Wの変化速度が早い場合には、測定誤差が大きくなる可能性があるので、警告を出力する。
ここで、例えば、上記予め設定してある設定押込荷重W1は、上記硬軟測定装置の最大荷重より若干小さな値に設定しておく。
図6のように、測定対象物は、表面から所定深さまでが粘弾性体の特性を有する物体とし、人体のように、表面側から表層部とその下部の下層52とを有し、表層部よりも下層52の方が弾性力が大きいものとする。下層52は測定層となる。
まず、初期設定として、ネジ17の取付け位置で装置のストローク量(内筒体7に対する外筒体12のストローク量)を設定する。また、プラグ部材22の螺合量を調整することで、第2バネ部材21による初期荷重を調整する。
なお、上記計測は、複数回行って、傾きθの平均値を取ることが好ましい。
そして、その傾きθの大きさによって、表層部の下にある下層52の硬軟を評価する。
ここで、本硬軟評価方法の測定原理について説明する。
本測定原理は、静的粘弾性測定法、つまり試料に一定歪み(応力)を与え、応力(歪み)変化を測定する方法を応用したもので、試料が固くなる(ストレスが大きい)と傾きθの角度が大きくなる性質を利用している。また傾きθが立ち上がる部分の傾きθに着目して、下層52の定量化を検討したものである。
各試料A〜E単体の硬軟については、JISやISOに準拠した従来例のような硬軟測定装置によって、それぞれの硬軟を求めることが出来、その試料A〜Eの硬軟の序列を容易に得ることが出来る。
次に、図7(b)〜(d)のように、試料を複数の層となるように積層した場合を考える。なお、(b)は上層51と下層52の厚さが等しい2層構成で下層52が試料A〜Eで弾性が異なり、(c)は上層51が下層52よりも2倍厚い場合で、(d)は下層52が上層51よりも2倍厚い場合である。
1)上層51の弾性体の下部にある下層52の弾性体の変化が定量化でき、その序列も整理できる。
2)下層52の弾性体の大きさの違いと変化が定量化でき、これを絶対値として表せる。絶対値とは上層51の弾性体を除去し、直接に下層52の弾性体の大きさを定量化することであり、下層52の弾性そのものを測定したことと等しい結果を得る。すなわち、図7(a)のような、単体で測定した場合と同等な数値として得る。
この場合における、押込荷重W−押込深さxの線図(W−x線図)は図8に示すようになる。そして、そのW−x線図の曲線は、上層51の厚さが薄い図7(b)の場合はY軸に近く、上層51が厚い図7(c)はY軸から離れる曲線となる。
また、図7(b)の例において、下層52の弾性体が異なる場合には、同じ設定押込荷重W1における、傾きθは、下層52の弾性体が硬いほど大きくなる。
なお、傾きθの範囲は、0°<θ≦90°となる。
1)θ→大:下層52の弾性体は硬い。
2)θ→小:下層52の弾性体は軟らかい。
3)θ=90°→対象物が完全な剛体。
4)θ≒0°→対象物が完全な軟体と想定される。
なお、従来のように、押込荷重Wが一定に近い設定で測定した場合には、押込荷重Wと押込深さxの最大値から、これらの変化を捉えることが出来ない。
なお、対象とする測定対象物50によって上記設定押込荷重W1は異なるが、例えば、一度、押込荷重Wと押込深さxの対応を求めてみて、傾きθの立ち上りが大きくなっていると想定されるところに設定押込荷重W1を設定すればよい。対象とする下層52の弾性体の弾性力の値が推測できれば、その弾性体の弾性力から上記設定押込荷重W1を経験値などに基づいて設定すればよい。
(1) 以上のように、上層51の弾性力や厚さによる影響を抑えて、上層51よりも硬い粘弾性体からなる下層52の硬軟を、傾きθを指標として求めることが出来る。そして、この傾きθの大きさによって下層52の硬軟の序列が付けられ、つまり下層52の硬度の定量的な評価が可能となる。
従来、筋肉の疲労度や炎症によりその内圧が上昇することが分かっており、治療により疲労や炎症が収まり回復した場合には内圧が降下することも分かっている。その確認方法は、従来では細い針を直接患部に刺入していたが、一般の検診ではできなくなっている。可能なのはアスリートなどに限られ、病院で診察した後に本人の同意を得て実施されている。
すなわち、定量化はもちろん評価方法や測定方法は全く確立されていないのが現状である。これに対し、本発明を使用することで、この課題が解消する。
なお、内筒体7の先端部も測定対象物50表面に押し付けられるが、外向きフランジ8aによって、その圧は小さくなると共に、表層の変位で吸収されて、下層52の硬軟測定に影響はないか小さい。
(2)また、設定押込荷重W1を小さく設定すれば、上層51の硬軟も評価することが可能となる。
上記説明では、予め設定した設定押込荷重W1での傾きθで評価しているが、これは逆に見れば、所定の傾きθとなる押込荷重Wで評価したのと、同等の関係にある。すなわち、予め所定の傾きθを設定傾きθ1として設定しておき、その設定傾きθ1となる押込荷重Wの大きさで評価するようにしても構わない。
上記実施形態で説明した硬軟測定装置及び硬軟評価方法を評価するために、人体の筋肉組織を計測してみた。
人体の試験部位として、僧帽筋(上部線維)、僧帽筋(中部線維)、上腕二頭筋、大腿直筋の4箇所を選定して実施した。選定理由は、僧帽筋は「肩こり」に代表されるところ、上腕二頭筋は「力こぶ」が容易に再現可能であること、大腿直筋は試験する際に硬軟測定装置を押し当てるのにあまり慣れを必要としないためである。なお、日頃運動をしている大学生を被験者としている。
ここで、この試験の初期設定値は以下のように設定した。
・設定押込荷重W1(30N)
・押込時間(7秒)
・接触圧子1の当接部2(外径φ40)
・押込ストローク(13mm)
・押込圧子寸法(SR4)
演算装置30で算出した値に基づき以下の検討を行った。
(1)押込深さx−押込荷重Wからの検討
最大押込荷重Wに対する、各部位の押込深さxを求めたところ図9に示す結果を得た。
また、各部位の押込荷重Wを求めたところ図10に示す結果を得た。この図9及び図10からは、対象部位の筋肉弾性の序列は同じ関係となっていて、以下のような序列となっている。
僧帽筋(上部線維) >僧帽筋(中部線維 )>大腿直筋 >上腕二頭筋
また、図9及び図10には、大腿直筋と上腕二頭筋に力を入れて筋肉を硬くした場合の測定結果も併記した。同図から分かるように、「力有り」では弾性(緊張度)は大きくなり、その比較は次にようになる。
大腿直筋(力有り) >上腕二頭筋(力有り)
押込荷重Wの変化ΔWと押込深さxの変化Δxとの関係から、任意の(ΔW/Δx)を与えた各対象部位の傾きθの角度を求めた。その結果を図11に示し、これを図10との対比が分かり易いように整理したものが図12である。
横軸の「1から5」及び「5から7」は荷重の範囲設定番号を表している。
設定方法は押込最大荷重Wに対するΔWを与える割合として、例えば次のように設定した。
番号1: 0.2〜0.5
番号2: 0.3〜0.6
番号3: 0.4〜0.7
番号4: 0.5〜0.8
番号5: 0.6〜0.9
番号6: 0.7〜0.9
番号7: 0.8〜0.9
僧帽筋(上部線維)>大腿直筋>僧帽筋(中部線維)>上腕二頭筋
また、「力有り」でも、押込荷重Wの大小でみた図10中の筋肉の部位4と6が入れ替わり、以下の関係にある。
上腕二頭筋(力有り)>大腿直筋(力有り)
このように、傾きθで評価すると、押込荷重Wによる序列とは異なる序列の部位が存在している。すなわち、押込荷重Wによる評価と、傾きθでの評価とは一致しない部分がある。
なお、上述のように押込深さxによる評価と、押込荷重Wによる評価とは同じ序列となっている。
図11と図12からは、押込初期から終了までの各部位の序列は変わっていないため、W−x線図の傾きθは各部位により異なっていると見られる。
ここに、各部位のW−x線図の代表例を図13及び図14に示す。押込荷重Wによる評価である図10では、僧帽筋(中部線維)が大腿直筋(力無し)より大きいが、図12の傾きθの角度での評価では逆転しており、図13から、押込荷重10Nから最大値までの傾きは大腿直筋(力無し)が大きくなっていることが分かる。従って、この逆転現象に注目する必要がある。
そこで、更に詳しく検証すべく、人体の筋肉部位を弾性体と見立てた固さ(緊張)程度を試作品により計測した結果から、先に示した注目すべき点の要因やどちらの評価が正しく対象部位の弾性を捉えているのか検討してみた。
ここで、不確定要素が多い人体部位では測定や解析が複雑になるため、皮膚や脂肪層の下部にある筋肉層の弾性変化を定量化する基本的な試験を行う必要から、以下では試料をスポンジ弾性体に置き換えて、これらの点を検証してみた。
人体の筋肉組織は上層51に皮膚や脂肪及び血管からなる層が有り、その下に筋肉組織が有り、筋肉組織の緊張度は上層51にも影響があると思われるが、簡便化して、図15のような脂肪層の厚さを変えたモデルを想定した。皮膚や脂肪層は軟質スポンジ、下層52の筋肉は硬質スポンジ、骨部はアルミ板の金属板とした試料を作成する。
スポンジの硬度特性を表1に示す。
また、各スポンジの寸法は、幅100mm×長さ50mm×厚さ5mmの板部材とする。このスポンジから図15のモデルから図16に示す4種類の試験試料の組合せを検討した。
(a)1層(t):厚さ5mmで、試料A〜Eの5種類
(b)2層(t×t):上層51は軟質スポンジ試料A、厚さ5mm/下層52は試料A〜Eの5種類、厚さ5mm
(c)2層(2t×t):上層51は軟質スポンジ試料A、厚さ5mm×2/下層52は試料A〜Eの5種類、厚さ5mm
(d)2層(t×2t):上層51は軟質スポンジ試料A、厚さ5mm/下層52は試料A〜Eの5種類、厚さ5mm×2
上記と同じ方法及び解析を実施した。
まず、既存の硬度計を使用した2例の場合の例を比較のために示す。
(3)デュロメータによる試験(比較のための試験)
(ア)試験方法
この試験方法は、JIS K 6253 加硫ゴムの硬軟試験方法に準拠した市販品である。その仕様を以下に示す。
・デュロメータTypeE硬度計使用
・ミツトヨ社製ハードマチックHH−300
・準拠規格JIS K 6253 加硫ゴムの硬軟試験方法
(イ)試験結果
試験は、図16に示す4種について行った。
図17にその結果を示す。図中、斜めに傾斜した線が図16(a)の試料A〜Eの硬度値である。その結果を表2に示す。
・E :デュロメータE型
・数字:硬度の大きさ(単位:度)、測定値の中央値
・±数字:中央値に対するバラツキ
・数字:加圧面押し付け測定時間(単位:秒)
表2の硬度値は試料A〜Eのスポンジ硬軟(表1のメーカー測定値)に近似する結果である。この値は試料質感の表面からの値である。図17(a)は試料Aを上層51として下層52に試料A〜E(表2の硬度値を示す)に変えた硬度値である。同様に(b)と(c)からも、試料A−A−Aの組合せだけが僅かに小さくなるが、その他は判別が困難である。すなわち、上層51試料Aの上から下層52の硬軟変化を捉えることはできない。
すなわち、この従来の試験では、次のようなことが言える。
・下層52試料は上層51試料の層の硬軟質感に支配される。
・下層52試料は上層51試料の厚さの影響を受けた硬軟質感になる。
・下層52試料の硬軟の評価が困難である。
(ア)試験方法
この試験方法は、筋硬度計として市販されている製品を用いてデュロメータTypeE硬度計と同じ試料を用いてその得失を検討するために実施した。その仕様を以下に示す。
・NEUTONE TDM−N1硬度計を使用
・有限会社トライオール社製
(イ)試験結果
試験は、図16の4種について行った。その結果を、図18に示す。図中、斜めに傾斜する線が図16(a)の試料A〜Eの硬度値である。その結果を表3に示す。
・N : NEUTONE TDM−NIのN
・数字:指示値の読み、測定値の中央値
・±数字: 中央値に対するバラツキ
1層のN硬度値は表3の結果となった。試料A〜Eのスポンジ硬度は、表1のメーカー測定値とは異なるが、硬軟の序列は表2と同じである。図17と図18の2層の傾向は全く同じであり、試料A−A−Aの組合せだけが僅かに小さくなるが、その他は判別が困難である。すなわち、上層51試料Aの上から下層52の硬軟変化を捉えることはできない。
(ア)試験方法
上記実施形態で説明した硬軟測定装置を使用して、各種の試料で押込深さxと押込荷重Wとを測定した。
その押込荷重Wと試料との組合せの関係を図19に示す。
なお、図16(b)のようにt10mm(2枚重ね)とした試料を標準とした。試料A−A〜E−Eが図17と図18の試料A〜Eに対応する。
(イ)試験結果
試料A−A〜E−Eの両者の関係から、上記実施形態で説明した硬軟測定装置の機構が正常に機能していたことが分かる。
次に、図19(a)の試料A−A〜A−Eから分かるように、図17(a)と及び図18(a)と比較して、試料A−A〜A−Eの序列が判別できるようになり、他の2種には備わっていない機能が確認できた。
図19(b)では、上層51の厚さの影響によって下層52の変化を少し捉え難くなっているが、試料の序列は表れており、硬軟測定装置の機能が、上記従来例の種に比べ有効性、有用性の点で高い機能性があることが分かる。
(ア)試験方法
次に、上述に示したΔWの変化の割合による範囲と同じものを使用し、番号1から番号7で整理してみた。そして、W−x線図の形から検討も行い、傾きθの角度と下層52試料の硬軟との相関性について解析してみた。
ここでは、図17、図18及び図19における、2層組合せた下層52試料の硬軟序列が判別可能な方法について検討した。
図19の(a)、(b)と(c)に対応する傾きθの角度で整理すると、図20に示す結果を得る。
図20(a)から試料A−AはA−BとA−Cとの違いが分かるが、試料A−BとA−Cとの違いは小さく同程度と考えられ、図19(a)の序列と一致している。つまり、押込荷重Wの大小は傾きθの角度の大小と一致することが分かる。この考え方は、図20(c)と図19(c)でも同じ傾向になっているため、傾きθから下層52の硬軟判別は可能であることが分かる。
また、図19(b)の序列は大まかに捉えているが、その判定に有用な資料が有れば序列の断定が可能になる。図20(b)において番号5〜7の序列は図19(b)の序列を明確に表しており、その判別に有効であることが分かる。そして、押込荷重Wでは下層52の硬軟序列の判定が曖昧または難しい場合であっても、この傾きθによって評価した方がより精確に評価出来ることが分かる。
(ア)工業用硬度計として、スポンジやゴムの硬軟試験のデュロメータの結果である図17と筋硬度計NEUTONEで市販されている結果の図18における押込荷重Wによる方法では同図(a)、(b)と(c)の2層構成(上層51が下層52より軟らかい質感)では、試料1層と比べ下層52の硬軟の大きさや序列は困難または全く捉えられない。もっとも、上層51の厚さが薄い数mm以下では可能のようである。
(ウ)また、図19(b)の場合には、押込荷重Wによる序列の判別が難しいが、傾きθで評価すると、図20にように、下層52の硬軟変化を捉えられることが分かる。
このように、本実施形態の硬軟試験を使用すると、上層51に比較的軟らかな厚い層が存在しても傾きθの角度から、従来判別が不可能であった上層51下部の下層52の硬軟を定量的に評価することが出来る。
・医療福祉:リハビリ、手技療法、理学療法、成形外科
・競技スポーツ:スポーツドクター、トレーナー
・一般家庭:健康管理、疲労、コリ、料理など
・工業製品:高分子材料、品質管理など
・食品加工:弾性、硬軟、柔らかさ、品質管理など
・農 業:野菜、果物、穀物、生育、品質管理など
・畜 産:家畜の成育、品質管理など
・林 業:樹木、生育など
・水産業:成育、鮮度、品質管理など
・土木・建設業:土圧、老朽化、施工管理、水分・湿度吸収率、検査など
1)筋肉組織の緊張度測定(張りの具合)、診断時の治療前や治療後の回復程度を定量化する。筋肉は脂肪を介して存在するため脂肪層の厚さを取り除いた筋肉の硬軟を定量化する必要がある。
2)僧帽筋の緊張度(一般に言われている肩こり)と精神的なストレスによる因果関係とを定量化する。
3)肩こり時の値とこれが回復したときの値との違いを定量化する。最終目標として、指圧療法士が指先で感じるこりの大小が定量化できる性能に作り込む。
5)理学療法士においては、リハビリの成果を数値化して患者への励みや治療の効果について、患者や療法士の主観的な判断ではなく客観的な判断に利用できる。
6)押込み条件や小型化により、肌の張り(弾性)が測定でき肌年齢や化粧水により肌の回復力にも利用できる。化粧品会社や店頭ブースで使ってもらうことによる装置の効果も期待できる。
7)その他、多くの産業分野では粘弾性に近い対象物の弾性、粘性、硬軟を定量化したり品質管理したりする計測が行われており、これらの分野にも応用や適用が可能である。
2 当接部
3 棒状部
7 内筒体
12 外筒体
16 第1バネ部材
18 ロードセル
21 第2バネ部材
30 演算装置
50 測定対象物
51 上層
52 下層(測定層)
W 押込荷重
W1 設定押込荷重
θ 傾き
θ1 設定傾き
ΔW 荷重変化量
Δx 変位変化量
Claims (5)
- 測定対象物の表面に接触圧子を押し付け、その接触圧子に負荷される押込荷重と接触圧子の押込深さから測定対象物の硬軟を評価する硬軟試験方法であって、
上記測定対象物は、硬軟の異なる複数層から構成され、表層の下部に当該表層よりも弾性係数が大きな測定層を有し、その測定層の硬軟を評価対象とし、
予め設定した設定押込荷重となったときの、単位時間当たりの押込深さの変化に対する押込荷重の変化で表される傾きの値によって硬軟を評価することを特徴とする硬軟試験方法。 - 硬軟の異なる複数層から構成され、表層の下部に当該表層よりも弾性係数が大きな測定層を有する測定対象物の表面に接触圧子を押し付け、その接触圧子に負荷する押込荷重と接触圧子の押込深さとに基づき、単位時間当たりの押込深さの変化に対する押込荷重の変化で表される傾きを求め、予め設定した設定傾きの値になったときの押込荷重の値によって上記測定層の硬軟を評価することを特徴とする硬軟試験方法。
- 硬軟の異なる複数層から構成され且つ表層の下部に当該表層よりも弾性係数が大きな測定層を有する測定対象物の表面に接触圧子を押し付け、その接触圧子に負荷される押込荷重と接触圧子の押込深さから上記測定層の硬軟を評価するための硬軟試験装置であって、
軸方向に進退可能に装置本体に支持されて測定対象物表面に先端部を接触可能な接触圧子と、上記装置本体に対する接触圧子の相対変位量を検出する相対変位検出手段と、上記接触圧子に負荷される荷重を検出する荷重検出手段と、上記相対変位検出手段及び荷重検出手段の検出信号に基づき、相対変位の変化に対する荷重の変化の割合で表される傾きを算出すると共に、予め設定された設定荷重となったときの上記傾きを算出する演算装置とを、備えることを特徴とする硬軟試験装置。 - 測定対象物の表面に接触させる当接部及びその当接部に先端部を連結した棒状部からなる接触圧子と、上記接触圧子を中空部に配置して当該接触圧子を軸方向に案内する内筒体と、その内筒体外径面側に入れ子状に配置されて内筒体に対し上記軸方向へ進退可能に支持される外筒体と、上記内筒体と外筒体との間に介装されて上記軸方向に弾性力を発生して内筒体に対し外筒体が離れる方向へ相対的に付勢するバネ部材からなる位置決め手段と、上記外筒体の中空部内で上記棒状部の後端部に連結して接触圧子に負荷されている荷重を検出する荷重検出手段と、外筒体の中空部内でその荷重検出部を上記軸方向に移動可能に案内する荷重検出部案内手段と、上記荷重検出部と外筒体の底部との間に介在されて上記軸方向に弾性力を発生する第2バネ部材と、上記内筒体に対する上記軸方向への接触圧子の相対変位量を検出する相対変位検出手段と、備えることを特徴とする請求項3に記載した硬軟測定装置。
- 上記外筒体の底部は、その外径面が外筒体の筒部内径面に対して螺合によって固定される円柱状のプラグ部材であって、外筒体の内径面に対する軸方向位置を調整可能となっていることを特徴とする請求項4に記載した硬軟測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007217367A JP5046207B2 (ja) | 2007-08-23 | 2007-08-23 | 硬軟試験方法、硬軟試験装置、及び硬軟測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007217367A JP5046207B2 (ja) | 2007-08-23 | 2007-08-23 | 硬軟試験方法、硬軟試験装置、及び硬軟測定装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009052912A JP2009052912A (ja) | 2009-03-12 |
JP5046207B2 true JP5046207B2 (ja) | 2012-10-10 |
Family
ID=40504135
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007217367A Expired - Fee Related JP5046207B2 (ja) | 2007-08-23 | 2007-08-23 | 硬軟試験方法、硬軟試験装置、及び硬軟測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5046207B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5283227B2 (ja) * | 2009-06-05 | 2013-09-04 | 学校法人日本大学 | 椎間板硬度計測装置 |
JP5816457B2 (ja) | 2011-05-12 | 2015-11-18 | オリンパス株式会社 | 術具装置 |
WO2015121957A1 (ja) | 2014-02-14 | 2015-08-20 | 富士通株式会社 | 触診支援装置、触診支援方法及び触診支援プログラム |
JP7001246B2 (ja) * | 2016-01-19 | 2022-02-04 | 国立大学法人京都工芸繊維大学 | 押込試験装置および試料のヤング率を算出する方法 |
JP2018054445A (ja) * | 2016-09-28 | 2018-04-05 | 株式会社ブリヂストン | ゴム積層体試験方法 |
WO2017164426A2 (ja) * | 2017-02-11 | 2017-09-28 | 新光電子株式会社 | 押込み試験装置 |
JP6806393B2 (ja) * | 2017-10-30 | 2021-01-06 | 国立大学法人大阪大学 | 測定装置、測定方法、及び測定プログラム |
CN113624627B (zh) * | 2021-07-28 | 2024-08-13 | 东风柳州汽车有限公司 | 检测辅助装置以及软质发泡件软硬度的检测方法 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH019528Y2 (ja) * | 1985-01-29 | 1989-03-16 | ||
JPS6431034A (en) * | 1987-07-28 | 1989-02-01 | Shimadzu Corp | Indentation hardness testing method |
JPH06313752A (ja) * | 1993-04-30 | 1994-11-08 | Imada:Kk | 軟質材用硬度計 |
JPH09126974A (ja) * | 1996-09-17 | 1997-05-16 | Shimadzu Corp | 押込硬さ試験方法および装置 |
JP3291210B2 (ja) * | 1996-11-13 | 2002-06-10 | 松下電工株式会社 | 板状体の強度試験装置 |
JP3694467B2 (ja) * | 2001-04-23 | 2005-09-14 | ファミリー株式会社 | 触診マッサージ装置 |
JP4154720B2 (ja) * | 2002-07-04 | 2008-09-24 | 株式会社ウェイブサイバー | 粘弾性体表面の力学特性測定装置 |
JP2006250557A (ja) * | 2005-03-08 | 2006-09-21 | Citizen Watch Co Ltd | 硬さ計 |
JP4352022B2 (ja) * | 2005-05-30 | 2009-10-28 | 樋渡 勝吾 | 筋硬度計 |
-
2007
- 2007-08-23 JP JP2007217367A patent/JP5046207B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009052912A (ja) | 2009-03-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5046207B2 (ja) | 硬軟試験方法、硬軟試験装置、及び硬軟測定装置 | |
Zinder et al. | Reliability, validity, and precision of a handheld myometer for assessing in vivo muscle stiffness | |
Križaj et al. | Short-term repeatability of parameters extracted from radial displacement of muscle belly | |
Roy et al. | Reliability of hand-held dynamometry in assessment of knee extensor strength after hip fracture | |
Arokoski et al. | Feasibility of the use of a novel soft tissue stiffness meter | |
Delaney et al. | Assessing contractile ability of the quadriceps muscle using ultrasound imaging | |
Xiong et al. | An indentation apparatus for evaluating discomfort and pain thresholds in conjunction with mechanical properties of foot tissue in vivo. | |
Sillanpää et al. | Body composition changes by DXA, BIA and skinfolds during exercise training in women | |
Park | Theory and usage of tensiomyography and the analysis method for the patient with low back pain | |
Inami et al. | Relationship between isometric contraction intensity and muscle hardness assessed by ultrasound strain elastography | |
Ashton et al. | Serial grip strength testing-its role in assessment of wrist and hand disability | |
Chapman et al. | Perceptual, mechanical, and electromyographic responses to different relative loads in the parallel squat | |
Ditroilo et al. | Validity and inter-day reliability of a free-oscillation test to measure knee extensor and knee flexor musculo-articular stiffness | |
JP2011117920A (ja) | 弾力計測装置 | |
Ouedraogo et al. | Chest tcpO2 changes during constant-load treadmill walking tests in patients with claudication | |
Koyama et al. | Toe flexor muscle strength and morphological characteristics of the foot in judo athletes | |
Murayama et al. | Biceps brachii muscle hardness assessed by a push-in meter in comparison to ultrasound strain elastography | |
Owens Jr et al. | The reliability of a posterior-to-anterior spinal stiffness measuring system in a population of patients with low back pain | |
Novak et al. | Postural and respiratory function of the abdominal muscles: A pilot study to measure abdominal wall activity using belt sensors | |
Hofstetter et al. | Instrumented measurement of spinal stiffness: a systematic literature review of reliability | |
Stanton et al. | Reliability of assisted indentation in measuring lumbar spinal stiffness | |
Zaras et al. | Effect of inter-repetition rest vs. Traditional resistance training on the upper body strength rate of force development and triceps brachii muscle architecture | |
Pekünlü et al. | Avoiding systematic errors in isometric squat-related studies without pre-familiarization by using sufficient numbers of trials | |
Teoh et al. | Minimum indentation depth for characterization of 2nd sub-metatarsal head and heel pad tissue properties | |
Boukhenous et al. | A postural stability analysis by using plantar pressure measurements |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100820 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120124 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120125 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120301 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120508 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120611 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120626 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120709 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150727 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |