JP5045043B2 - 防護用布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば高温の溶融金属が飛散する作業時や、火花が飛散する作業時に身体を保護するための防護衣に用いられる布帛に関する。詳しくは、芯鞘構造を有する複合糸からなる布帛で、複合糸の鞘糸としてフッ素系樹脂繊維を選択的に用いた防護用布帛に関するものである。
溶融金属の飛沫から身体を保護する衣服として、従来からアルミニウムを鍍金したレーヨン製の織物又はレザーが使用されている。これらの衣服では溶融金属に接触した場合に大量の熱が衣服を通過するのを防ぐため、嵩高で充分に厚くする必要があったため、軽量で着心地の良い保護衣服が要望されていた。
これに対し、ポリテトラフルオロエチレン繊維の表面と、溶融しない織物繊維の基質繊維布とを有する保護用衣服が提案されている(例えば特許文献1)。
この従来技術においては、ポリテトラフルオロエチレン繊維の表面シートは飛沫となった溶融金属が侵入できないような閉じた表面を形成し、平滑なために、溶融金属を容易にはじき返すことができる保護用衣服を提案している。
しかしながら、この技術で得られる保護用布帛は、ポリテトラフルオロエチレン繊維の表面シートと、溶融しない織物繊維の基質繊維布とを固く付着する必要があり、ハイドローリックニードルというジェット水圧で両者を固く付着する必要があった。ポリテトラフルオロエチレン繊維の表面シートと溶融しない織物繊維とを固く付着しようとすればするほど、ジェット水圧を高くする必要があり、これにより、表面にジェット水圧の通気孔が生じ、表面シートの閉じた表面が失われてしまうという欠点を有していた。また、ポリテトラフルオロエチレン繊維の表面シートと溶融しない織物繊維の基質繊維布が充分に付着していない場合には、着用時に両者がずれて、溶融金属の飛沫に対する保護性能が全ての部位で達成できるものではなかった。あるいはまた、充分に付着していない場合には、溶融金属が多量に付着した際、表面シートが収縮して、溶融しない織物繊維の基質繊維布から剥離を生じて、保護用布帛としての機能を果たさなくなるという問題があった。
一方で、フッ素系樹脂繊維はその優れた電気特性から、回路用基板への応用が検討されている。回路用基板はガラス繊維の織物にエポキシ樹脂を複合させて使用することが知られているが、更に高周波に対応した基板用に、優れた電気特性を有するフッ素系樹脂繊維を用いることが検討されている(例えば特許文献2)。
この従来技術においては、ガラス繊維にフッ素系樹脂からなる繊維を部分的に被覆し、毛羽が無く、平滑な織物基材を得ることを提案している。回路基板用として粗目に被覆することで樹脂との接着性を悪化させないことを狙ったものである。
従って、この従来技術においては、フッ素系樹脂からなる繊維は部分的な被覆に留める必要があり、また、回路基板用途として樹脂との接着性、さらには銅箔との接着性を重視するものであり、防護用布帛とは思想も異なる上に、防護用布帛に求められる性能については一切提案されていないものであった。
また一方で、フッ素系樹脂繊維はベルト用途に使用されることが知られている(例えば特許文献3)。
この従来技術においては、耐熱性に優れ、また熱寸法安定性に優れたガラス繊維やアラミド系繊維等からなる織物を構成する織糸にフッ素系樹脂繊維を含ませることにより、該織物表面にコーティングするフッ素樹脂被膜との接着性を改善し、織物表面に付着する被加工物質(食品や繊維)の剥離性を向上することを狙ったものである。
従って、この従来技術においては、フッ素系樹脂繊維はコーティングするフッ素樹脂被膜と充分に接着させるために必須であり、溶融金属からの防護とは思想も異る上に、防護用布帛に求められる性能については一切提案されていないものであった。
特開昭60−94607号公報 特許第2607947号公報 特開平11−302940号公報
本発明は、溶融金属の飛沫からの保護特性に優れ、かつ柔軟な防護用布帛を提供することを目的とする。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用する。すなわち本発明は、フッ素系樹脂繊維のマルチフィラメントを鞘糸として有する異なる方向の撚りを組み合わせてなる芯鞘複合糸を有してなることを特徴とする防護用布帛である。
本発明の防護用布帛によれば、フッ素系樹脂繊維のマルチフィラメントを鞘に用いた複合糸を用いているので、溶融金属が防護用布帛表面に滞留せず、蓄熱による損傷を回避することができる。さらにまた、布帛を適正構造とすることで表面を平滑にし、溶融金属の滞留を更に予防する効果がある。さらにまた、芯構造は分解点が350℃以上である繊維を使うことで、溶融金属が万が一、長い時間滞留しても、溶融金属が貫通して身体に接触することを予防でき、かつ、熱による収縮も小さいことから、防護衣料として原形をとどめる効果も奏する。
本発明の防護用布帛はフッ素系樹脂繊維のマルチフィラメントを鞘糸として有する芯鞘複合糸を有してなることが重要である。フッ素系樹脂繊維のマルチフィラメントを鞘糸として用いることにより、布帛の表面に溶融金属の飛沫が付着しても、フッ素系樹脂繊維の低摩擦性により溶融金属が滑って滞留せず、蓄熱による着用者の火傷や防護用布帛の損傷を防ぐことができる。
用いるフッ素系樹脂繊維は、重合体の繰り返し構造単位の90%以上が、主鎖または側鎖にフッ素原子を1個以上含むモノマーで構成された繊維であれば、いずれのものでも使用することができるが、フッ素原子数の多いモノマーで構成された繊維ほど好ましく、例えば、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)またはエチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、または、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを使用することができる。かかるフッ素繊維としては、耐熱性と低い摩擦抵抗に特に優れているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることが好ましい。
鞘糸の形態としては、布帛表面の平滑性をより発揮するため、マルチフィラメントが用いられる
また本発明の防護用布帛は、芯鞘複合糸がフッ素系樹脂繊維の他の繊維を芯糸として有することが重要である。フッ素系樹脂繊維は前述のように溶融金属の滞留を防ぐことができるが、溶融金属が流れ落ちる行き場が無い等の理由により滞留を防ぎきれない場合には、フッ素系樹脂繊維は融点を有するためそこから溶融して穴が開くおそれがある。そこで他の繊維を組み合わせることにより、溶融金属の滞留に対する耐久性を向上させる。また、他の繊維を芯糸とすることにより寸法安定性も向上する。
また、フッ素系樹脂繊維は他の繊維と接着性が低いため一般に他素材との複合が難しいが、芯鞘構造とすることで、フッ素系樹脂繊維の表面特性を活かしつつ、安定して他の繊維と複合することができる。
上述のような、溶融金属の滞留に対する耐久性を向上させるという観点から、芯糸に用いるフッ素系樹脂繊維の他の繊維としては、分解点が350℃以上で融点を有さないものが好ましい。そうすることで、万が一、溶融金属が長い時間滞留して鞘糸のフッ素系樹脂繊維が溶融をしても、複合糸全体が貫通されることはなく、着用者の身体を保護することが出来る。さらにまた、火花が飛び散るような作業時の防護用としても、高い耐久性を有するので好ましく用いることができる。
分解点が350℃以上で融点を有さない繊維としては、芳香族アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、液晶ポリエステル繊維、PBO繊維等が好適である。
芳香族アラミド繊維としては例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社製“ノーメックス”)等のメタ系全芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン(株)製“ケブラー”)およびコポリパラフェニレン−3、4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人(株)製“テクノーラ”)等のパラ系芳香族ポリアミド繊維がある。これらは分解点が350℃以上で融点を有さない繊維であることに加え、熱寸法安定性が優れていて、且つ柔軟性にも富むことから、芯糸として特に好適に用いることができる。中でもメタ系全芳香族ポリアミド繊維の方が分解点が高く特に好適である。
芯糸の形態としては、マルチフィラメント、紡績糸、モノフィラメントのいずれも好適に用いることができるが、寸法安定性と柔軟性の観点からマルチフィラメントをより好適に用いることができる。
複合糸の製造方法は、従来公知の方法を採用することが好ましく、コアスパンヤーンによる方法や、カバリング装置による方法、リング撚糸機やダブルツイスターによるプライヤーンの製法等が好適に採用できるが、中でも、鞘糸のフッ素系樹脂繊維が複合糸の表面を均一に被覆していることが好ましいことから、カバリング装置による方法がより好適に採用できる。
芯鞘複合糸の鞘構造は、撚りのかかった構造とする。鞘構造のフッ素系樹脂繊維に撚りが加えられることで、フッ素系樹脂繊維表面の毛羽が内部に包含され、表面が平滑になる。さらには、撚りを加えることで、カバリング構造が強固に維持され、複合糸の表面を均一に被覆した複合糸とすることができる。さらにまた撚りをかけることで、織物等に製織する際に作用する張力やしごきに対して、複合糸の被覆が剥離せず、工程通過性が悪化しない。
芯鞘複合糸は、異なる方向の撚りを組み合わせてなるものである。そのようすることで、製織工程や製編工程などでしごきや張力が作用しても容易に被覆が解けるのを防ぐことができる。また、複合糸全体のトルクが相殺され、ねじれ防止に効果的である。
異なる方向の撚りを組み合わせてなる芯鞘複合糸の態様としては例えば、芯糸の撚り方向と鞘糸の撚り方向とが互いに逆方向であるものを好ましく採用することができる。この態様は、芯糸の撚りと鞘糸の撚りとが同位相にならないので、芯糸が表面に露出する確率を極めて低くすることが出来る。
また、鞘糸が多重巻きであり、下巻きの撚り方向と上巻きの撚り方向とが互いに逆方向であるものも好ましく採用することができる。この態様において、下巻きの鞘糸がフッ素系樹脂繊維の場合には、フッ素系樹脂繊維の鞘糸が多層に芯糸を被覆するので、芯糸が表面に露出する確率を極めて低くすることが出来る。また、下巻きの鞘糸が他の繊維の場合には、他の繊維の量を増やせる一方、フッ素系樹脂繊維の上巻き鞘糸の撚りと他の繊維の下巻き鞘糸の撚りとが同位相にならないので、他の繊維が表面に露出する確率を極めて低くすることが出来る。また、鞘糸が多重巻きの芯鞘複合糸は芯糸に実撚りを入れなくても鞘糸同士の撚りにより芯鞘複合糸全体としてのトルクを相殺できるので、前述の芯糸の撚り方向と鞘糸の撚り方向とが互いに逆方向である芯鞘複合糸と比べてもさらにトルクの発生を抑えやすく好ましい。
このような、鞘糸が多重巻きの芯鞘複合糸は、ダブルカバリング装置により製造することができる。
芯鞘複合糸の繊度としては、タテ・ヨコいずれも800〜2400dtexであることが好ましい。800dtex以上とすることで、織物や編み物とした時に、糸同士の隙間を狭くして溶融金属の飛沫が貫通することがなく好ましく、また、2400dtex以下とすることで、防護用布帛として必要な柔軟性も発揮できる。
複合糸からなる布帛としては、織物、編み物を好適に用いることができる。織物の織り組織は、平織、ツイル、サテンのいずれも用いることができるが、サテン織が特に好ましい。サテン織とすることで、タテ糸若しくはヨコ糸の浮き部分が織物表面に連続的に多く存在するので、浮き部分に前述のような芯鞘複合糸を用い、沈み部分に他の繊維を用いることが可能となり、溶融金属の飛沫から保護する機能に加えて、別の機能をヨコ糸によって具備させることが可能となり好ましい。さらにまた、沈み部分の糸、すなわちタテ糸若しくはヨコ糸のいずれかを少なくして織物の柔軟性を向上することが可能となるので、防護衣としての柔軟性を向上できる。
織物構造は、タテ・ヨコいずれも10〜40本/cmの範囲内にある織密度であることが好ましい。タテ糸、ヨコ糸が10本/cm以上とすることで、糸同士の間隔が狭くなり、溶融金属の飛沫が貫通する隙間が生じないので好ましく、また、40本/cm以下とすることで、防護用布帛として必要な柔軟性を維持できる。
複合糸からなる布帛表面の動摩擦係数は0.1〜0.5の範囲内であることが好ましい。動摩擦係数が0.1〜0.5の範囲内であることで、溶融金属の飛沫が付着しても滑り落ち、蓄熱して布帛の損傷を引き起こすことが無くなるので好ましい。動摩擦係数を適切な範囲にすることで、複合糸の鞘糸に用いるフッ素系樹脂繊維特有の非粘着性能と相まって、溶融金属の飛沫が容易にはじかれ、滑って落下し、蓄熱を生じない効果を発揮することができるので好ましい。動摩擦係数を0.1〜0.5の範囲内とするために、本発明の複合糸を用い、例えば織物として上述の範囲内にある織密度に製織し、しかる後にカレンダー加工して表面を平滑化させる手段も適宜用いることができる。本発明の複合糸は、強固に均一にフッ素系樹脂繊維が被覆されているので、カレンダー加工のような圧力を加えても芯糸が表面に露出せず、好ましい。
本発明の防護用布帛は、溶融金属からの防護用に好適に用いることができる。溶融金属は高温の熱を有することに加え、流動性が高く、飛沫状で飛散しやすいため危険性が高い。溶融金属の中でも特に鉄やアルミニウムは流動性が高く、細かい飛沫となって飛び散る傾向にあるが、本発明の防護用布帛は鉄やアルミニウムからの保護用に特に好適に使用できる。
本発明の防護用布帛は柔軟な構造を有しているので、保護衣料を構成する布帛に用いることもできるし、溶融金属の飛沫に特に曝されやすい部分、即ち、二の腕部分や太腿部、下肢部分にパッチ状に縫い付けて使用することもできる。
[測定方法]
(1)動摩擦係数
表面性測定装置トライボギア(HEIDON タイプ14DR、新東科学(株)製)を用い、幅80mm×長さ200mmに試料をカットし、金属板の上にエポキシ樹脂で接着・固定した。試料と一体化した金属板をネジでトライボギア上に固定し、試料上部に金属球を摩擦材として接地し、6000mm/分の速度で80mm移動させて動摩擦係数を測定した。金属球の摩擦材は200gの荷重が試料にかかるように設定し、試料5枚の測定値の平均値を採った。
(2)飛沫試験
20cm長さ×40cm幅に試料をカットし、45度の傾き角を有する市販のセメントボードの斜面上に20cm長さ×40cm幅にカットしたポリ塩化ビニル樹脂フィルム(信越ポリマー株式会社製)を1枚置いた。試料の中心から垂直に、上方50cmの距離に溶融金属が排出されるように取り付けられた誘導炉を置き、200gのアルミニウム・ペレットを入れて加熱溶融した。アルミニウムの温度が780±15℃に達したら、1.5秒の間試料上に溶融したアルミニウムを排出させた。
飛沫試験による判定は、アルミニウムを排出させた直後から1分経過後にポリ塩化ビニル樹脂フィルムが10%以上の寸法変化を生じている場合には「不合格」、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムが10%未満の寸法変化であれば「合格」と判定した。
(3)剛軟度
JIS L 1096:1999 8.20.1 A法(ガーレ法)に則り、剛軟度を求めた。用いた装置はガーレ剛軟度試験機((株)東洋精機製作所製)である。試料は89mm長さ×25mm幅のサイズにカットし、測定数は5枚、それぞれの試料の表裏を測り、タテ方向の平均値を剛軟度とした。
[実施例1]
(複合糸)
芯糸として220dtexのパラ系アラミド繊維(“ケブラー(R)”東レ・デュポン(株)製、分解点(炭化)537℃、融点なし)を用い、鞘糸として440dtexのポリテトラフルオロエチレン繊維(“トヨフロン(R)”東レ(株)製)を2本使用し、芯糸は無撚りの状態でその周囲に鞘糸を1本下巻きにS撚りしながら被覆し、さらに上巻きに鞘糸1本を撚り数800T/mでZ撚りしながら被覆したダブルカバリングの複合糸を得た。複合糸は1400dtexの繊度で、表面から芯糸のパラ系アラミド繊維は全く見られず、極めて均一にカバリングされた複合糸であった。
(布帛)
上記で得られた複合糸を用い、タテ糸密度20本/cm、ヨコ糸密度15本/cmの朱子織(二飛び5枚サテン織組織)の織物を製織した。製織時には、しごきや張力がかかったが、フッ素系樹脂繊維の被覆が剥がれたり、毛羽を生ずることもなく、製織性は極めて良好であった。
得られた布帛を用いて飛沫試験を実施したところ「合格」の判定であり、尚且つ、試験実施後の布帛表面を観察してみたところ、溶融アルミニウムの滞留が無かったために鞘糸のポリテトラフルオロエチレン繊維は溶融劣化しておらず、芯糸のパラ系アラミド繊維の露出も見られなかった。尚且つ、布帛の熱による寸法変化も無く、防護用布帛として充分な耐久性を有することがわかった。
[実施例2]
(複合糸)
実施例1と同様にして複合糸を得た。
(布帛)
上記で得られた複合糸を用い、タテ糸密度23本/cm、ヨコ糸密度12本/cmの平織りの織物を製織した。製織時には、しごきや張力がかかったが、フッ素系樹脂繊維の被覆が剥がれたり、毛羽を生ずることもなく、製織性は極めて良好であった。
得られた布帛の飛沫試験結果は「合格」で、試験後の試料の寸法変化や芯糸の露出も無く良好な結果であったが、剛軟度が若干高く、着用する時のごわごわ感があるものであった。
比較例3
(複合糸)
芯糸として220dtexのパラ系アラミド繊維(“ケブラー(R)”東レ・デュポン(株)製、分解点(炭化)537℃、融点なし)を用い、鞘糸として880dtexのポリテトラフルオロエチレン繊維(“トヨフロン(R)”東レ(株)製)を1本使用し、芯糸は無撚りの状態でその周囲に鞘糸を撚り数800T/mでZ撚りしながら被覆し、シングルカバリングの複合糸を得た。複合糸は1350dtexの繊度で、表面から芯糸のパラ系アラミド繊維は見られないが、複合糸にトルクが残っている複合糸であった。
(布帛)
上記で得られた複合糸を用い、タテ糸密度22本/cm、ヨコ糸密度13本/cmの朱子織(二飛び5枚サテン織組織)の織物を製織した。製織時には、しごきや張力がかかったので、ポリテトラフルオロエチレン繊維の被覆が一部剥がれ、ポリテトラフルオロエチレン繊維被覆の均一性が若干損なわれるものであったが、製織性は良好であった。
得られた布帛を用いて飛沫試験を実施したところ「合格」の判定であったが、一部で芯糸のパラ系アラミド繊維が露出しており、この状態から再び溶融アルミナ飛沫に曝された場合には保護具としての機能を果たさなくなる可能性があることがわかった。
[比較例1]
(複合糸)
複合糸は用いず、1440dtexのポリテトラフルオロエチレン繊維(“トヨフロン(R)”、東レ(株)製)のみを用いた。
(布帛)
上記の糸を用い、タテ糸密度60本/cm、ヨコ糸密度30本/cmの平織りの織物を製織した。用いた糸がポリテトラフルオロエチレン繊維のみであったため、若干強力が弱く、製織時に糸切れが生じることがあった。
得られたポリテトラフルオロエチレン繊維100%からなる布帛を用いて飛沫試験を実施したところ、布帛自体が大きく収縮して変形してしまい、実用不可能であることがわかった。
[比較例2]
(複合糸)
複合糸は用いず、1600dtexのパラ系芳香族ポリアミド繊維(“テクノーラ(R)”帝人(株)製、分解点500℃、融点なし)のみを用いた。
(布帛)
上記の糸を用い、タテ糸密度45本/cm、ヨコ糸密度20本/cmの2/1ツイル(三の綾)の織物を製織した。製織時にはしごきや張力によって若干の毛羽が発生した。
得られたパラ系芳香族ポリアミド繊維100%からなる布帛を用いた飛沫試験を実施したところ、飛沫が滑らず布帛上に飛沫が滞留したために蓄熱し、「不合格」となった。さらにまたパラ系芳香族ポリアミド繊維のみで構成されるために非常に硬く、衣料用として使用可能な柔らかさを有さないものであった。
Figure 0005045043
表1の結果から明らかなように、飛沫試験に合格し、保護衣料として必要な柔軟性を兼備するのは実施例の防護用布帛のみであり、比較例の防護用布帛においては、溶融金属の飛沫によって布帛そのものが大きく変形して原形をとどめず、保護部位をカバー出来なくなるという問題が生じたり、あるいは、溶融金属の飛沫が防護用布帛の表面に滞留して蓄熱し、人体側に熱が伝導して保護具としての役割を果たさなくなっており、防護用途に用いられないことが明らかである。
本発明は、溶融金属から人体を保護する機能に優れ、かつ、保護衣料として着心地の良いことから、防護用途に好適に用いることができる。その応用範囲はこれに限定されるものではない。
本発明の防護用布帛に用いる芯鞘複合糸で、鞘糸が多重巻きの例を示す模式図である。
符号の説明
1:芯を構成する糸(無撚り)
2:鞘糸の下巻き(S撚り)
3:鞘糸の上巻き(Z撚り)

Claims (8)

  1. フッ素系樹脂繊維のマルチフィラメントを鞘糸として有し、他の繊維を芯糸として有する異なる方向の撚りを組み合わせてなる芯鞘複合糸を有してなることを特徴とする防護用布帛。
  2. 前記フッ素系樹脂繊維の他の繊維が分解点350℃以上で融点を有さない、請求項1に記載の防護用布帛。
  3. 前記芯鞘複合糸がカバードヤーンである、請求項1または2に記載の防護用布帛。
  4. 前記鞘糸が複合糸の表面を均一に被覆している、請求項1〜3のいずれかに記載の防護用布帛。
  5. 前記鞘糸が多重巻きであり、下巻きの撚り方向と上巻きの撚り方向とが互いに逆方向である、請求項1〜4のいずれかに記載の防護用布帛。
  6. 前記布帛の表面の動摩擦係数が0.1〜0.5の範囲内にある、請求項1〜5のいずれかに記載の防護用布帛。
  7. 前記布帛が織物であり、その織密度がタテ・ヨコいずれも10〜40本/cmである、請求項1〜6のいずれかに記載の防護用布帛。
  8. 溶融金属からの防護用に用いる、請求項1〜のいずれかに記載の防護用布帛。
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