JP5043599B2 - 高分子の連続配向体の製造方法および製造装置 - Google Patents

高分子の連続配向体の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、高分子の連続配向体の製造方法および製造装置に関するものである。
現在、電子回路の集積化が進む中でリソグラフィー技術の限界と共にボトムアップ技術、特に分子で構成される分子デバイスへの期待が高まっている。このボトムアップ技術を用いれば、従来の無機良導体/半導体デバイスをリソグラフィー技術で作成する場合には困難であった、一工程で良導体/半導体のパターンを基板に作成することができる。また、容易に大面積の基板に対応できるし、プラスチック等の衝撃性には優れるが高温耐性のない基板を用いることができる。さらに、平面ではない基板を用いることが可能となる、といった製造コストやデバイス作成の自由度の面で有利になる。
このボトムアップ技術において、有機良導体及び/または有機半導体の高分子は分子デバイス作成の基礎材料となるものであり、広く研究が為されている。例えば、導電性分子材料としては、例えばポルフィリン化合物の線状高分子体(特許文献1)が報告されている。
また、この有機良導体及び/または有機半導体の高分子が溶媒に溶解すれば、印刷工程と同様の手法で基板上に意図した形状に配置することが可能になる。意図した形状に有機半導体の溶液を塗布する方法として、例えば基板上に親油領域と撥油領域を設けた後、基板全面に塗布した有機半導体の溶媒を親油領域のみで結晶化させる方法や、印刷法・インクジェット法を用いる方法が提案されている。
更に、これらの分子デバイスの本来持つ性能を十分引き出すためには、分子デバイスを構成する分子または分子の集合体を配向させることが効果的であり、配向体形成方法は非常に重要である。有機高分子の配向体を作成する一般的な方法としては、ラビング基板法、グレーティング基板法などあらかじめ配向規制力を付与した基板を作成しその基板上に高分子の配向体を作成する方法がある。また、電場配向法、磁場配向法、流動配向法、エピタキシャル成長法など高分子の集合体を形成する際に外力を加えて配向体を作成する方法がある。また、延伸・圧延配向法、摩擦転写法、光配向法などあらかじめ高分子の無配向体を作成しこれに外力を加えて配向させる方法がある。例えば、延伸・圧延配向法により一軸配向させたポリオレフィンフィルムを集積した超強力梱包バンド(特許文献2)が報告されている。
また、高分子の水面展開膜を基板に転写する方法(ラングミュアブロジェット法)がある。これら様々な配向方法はそれぞれ特徴があり、高分子素材の特徴や配向させる目的によって様々な方法が選択される。またこれらの配向方法は可溶または融解可能な高分子を対象にしたものだが、不溶不融の高分子でも基板に擦りつけて配向薄膜を作成する方法(特許文献3)が報告されている。
また、これら配向方法により分子を配向させることは、前述の導電性分子デバイスを製造する上で効果的であるばかりではなく、光学的異方性や熱的異方性を持つ様々な活性高分子デバイスを作成する際にも非常に重要である。熱伝導率の良い高分子を磁場を用いて垂直方向に配向させ、垂直方向の熱伝導性を向上させたシート(特許文献4)等が報告されている。
特開2005−328030号公報 特開平8−47971号公報 特許第2535780号公報 特開2001−81202号公報
しかしながら、上記有機良導体及び/または有機半導体の溶液を印刷工程で基板上に塗布してパターンを作成する方法にはいくつかの課題がある。
まず、塗布された有機物は溶媒の蒸発に伴って基板上で固体になるが、塗布した領域全体が一体の単結晶や一様な多結晶状態になるとは限らない。場所によって結晶化度や多結晶のドメインサイズが異なったり、アモルファスの部分が混在すると、期待した良導体及び/または半導体の性能を発現できない可能性が出てくる。この課題は、基板が巨大になり塗布面積が大きくなればなるほど深刻になる。
また、特に微少なギャップ電極間に有機半導体を配置してトランジスタ等を作成する場合、分子が電極間の方向に対して平行になるように配向させることが有利または必須である。この為、有機半導体デバイスを作る際には、あらかじめ基板上に配向方向を規定する何らかの処理を施すか有機半導体を作成する際に電場や磁場といった外力を加える必要が生じる。
更にこの一定以上の配向度を持った配向体を作成する方法にも、いくつかの課題がある。
例えば、配向規制力を付与した基板を用いる方法の場合、あらかじめ電極などを形成した基板上にラビング等の処理を施すのは困難である。
高分子の集合体を形成する際に外力を加える方法の場合、作成時に形成された高分子の結晶核に外力が作用して結晶核の成長方向が規制されその結果配向体になるが、高い配向度の集合体を作成するにはこの結晶核を適切に成長させる必要がある。結晶成長に最適な条件と配向に最適な条件が必ずしも一致しない可能性がある。
無配向体に外力を加える方法の場合、外力が強力だと高分子の無配向体が破断することが生じる可能性がある上、分子自身の立体構造が不可逆的に破壊される可能性もある。
上述の課題点がすべて解決したとしても、外力に引っ張り力を用いる場合、実際の生産現場では無配向体を延伸・圧延して一工程で膜状または帯状の一軸配向体を作成しているが、大きな力を均一にかける大がかりな生産設備が必要となる上、あらゆる素材が破断することなく延伸できるとは限らない、という課題も生じる。
更に基板上の無配向体に外力を加えて配向体にする場合、配向体を作り込む基板の表面も高分子の分子が外力を受けて回転・配向しやすいものにする必要がある。例えば、高分子と化学的、静電気的に結合しにくい素材を選ぶ、あるいは分子の移動・回転を妨げるような凹凸が存在しない基板を用意しなければならない。このため、配向体と基板とを一体にして何らかの電子デバイスを作成する場合は、基板上の電極が集合体の作成の障害になる、電極を作成する際のエッチング操作等によって基板表面が荒れて配向体と電極が接触している部分の配向体側のきわめて基板に近い部分(高分子十〜百個分の厚みの比重に微小な領域)の配向度が高められずデバイスが期待した性能を発揮しない、といった問題が起こりうる。
さらに、複数種類の高分子を同時に含有した配向体を作成する場合、高分子を同じ溶媒で溶解して混合する必要がある。この為、疎水性高分子と親水性高分子、溶解性高分子と不溶性高分子といった容易には混合できない組み合わせの高分子を使用することはできない。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、高分子の集合体を作成する際に配向した高分子の連続配向体を作成する方法において、容易に高分子の連続配向体を製造する方法および装置を提供するものである。
なお、ここでいう連続配向体とは、構成する高分子材料が一体の形状になった形成物で、かつその形成物を構成する少なくとも一種類の高分子が一軸方向に配向し、形成物の大部分が全体として電気的及び/または光学的等の異方性を示すもののことをいう。連続配向体は一種類の高分子から構成されていてもよいし、また複数種類から構成されていても良い。構成する高分子材料は、溶解固化や溶融固化により高分子同士が相互に化学的に結合して連続体を形成しても良いし、分子同士の化学的な結合は無いが固着や圧着により物理的に結合して連続体を形成しても良い。更に、連続配向体を構成する高分子材料の一部が、一軸配向した高分子を化学的・物理的に結合する役割を担っており配向度が低い/無配向の状態であっても、連続体が全体として一軸配向した高分子によって何らかの異方性を示せばよい。一般に、連続配向体としては、膜状のものが好ましく用いられる。
本発明は、大きく分けて3つの発明から成る。
そのうち第一の発明と第二の発明は、特に、基板表面の凹凸の影響や基板上に電極を形成した電子デバイスにおいても、配向が乱されることがない高分子の連続配向体の製造方法および製造装置を提供するものである。尚、第二の発明及び第三の発明は、第一の発明に対する参考発明である
また第三の発明は、特に、基板上の特定部位に溶液塗布方法により、半導体/良導体有機高分子材料である螺旋型置換ポリアセチレンの連続配向体を容易に形成できる連続配向体および基板上にこの連続配向体を配してなるデバイスを製造する方法および装置を提供するものである。
以下に、上記の課題を解決する、第一から第三の発明について述べる。
高分子の連続配向体を製造する第一の発明は、高分子の多結晶体を粉砕して単結晶を形成する工程と、前記単結晶に外力を加えて配向方向のそろった単結晶群にする工程と、前記単結晶群を連続配向体にする工程とを備えることを特徴とする。
上記の課題を解決する高分子の連続配向体の製造装置は、高分子の多結晶体を粉砕して単結晶を形成する手段と、前記単結晶に外力を加えて配向方向のそろった単結晶群にする手段と、前記単結晶群を連続配向体にする手段とを備えることを特徴とする。
前記単結晶に磁場または電場による外力を加え配向方向をそろえることが好ましい。
前記単結晶群を連続配向体にする工程が個々の単結晶表面部分を溶媒による溶解または加熱による溶融によって単結晶同士をつないで連続配向体を形成することが好ましい。
前記単結晶群を連続配向体にする工程が単結晶群を基板上に固定するか、または単結晶群を樹脂中に固定して連続配向体にすることが好ましい。
また、高分子の連続配向体を製造する第二の発明は、高分子の配向繊維を作成する工程と、前記配向繊維に電場、磁場又は振動による外力を加えて一軸方向に配列した一軸配列繊維群にする工程と、前記一軸配列繊維群を連続配向体にする工程を有することを特徴とする。
またこの第二の発明においては、前記一軸配列繊維群を連続配向体にする工程が、前記一軸配列繊維群の個々の繊維の表面部分のみを溶媒による溶解または加熱による溶融によって繊維同士をつないで連続配向体にする工程であることが好ましい。
前記高分子が複数種類からなり、かつ製造される前記連続配向体が複数種類の高分子からなることが好ましい。
上記の課題を解決する連続配向体の製造装置は、高分子を配向繊維にする手段と、前記配向繊維を基板または液面の上に静置する手段と、前記基板または液面の上の配向繊維を一軸配列繊維群にする手段と、前記一軸配列繊維群を連続配向体にする手段を有することを特徴とする。
またこの第二の発明においては、前記配向繊維を一軸配列繊維群にする手段が、前記基板または液面の上の配向繊維に外力を加えて一軸配列繊維群にする手段からなることが好ましい。
また、高分子の連続配向体を製造する第三の発明は、
ひも状の分子形状をした半導体/良導体有機高分子材料である螺旋型置換ポリアセチレンが、溶液状態から溶媒の蒸発に伴って固化する際に自己組織的に結合してカラムナ構造を作って分子の方向がそろう特徴を持っている。その為に、本発明者らは、この螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を基板上に線状の形状で塗布すると溶媒の蒸発による溶液の流動によって分子が一軸に配向するという性質を利用し、螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を線状に塗布して溶媒の蒸発に伴って配向した螺旋型置換ポリアセチレンのパターンを作成する工程を有することを特徴とする。
また更にこの第三の発明により、この一軸に配向した螺旋型置換ポリアセチレンの配向体を電極等を有する基板上に形成することによりデバイスが作成できる。
この第三の発明による連続配向体の製造方法は、螺旋型置換ポリアセチレンからなる配向体の製造方法であって、基板上に螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を線状に塗布する工程、前記溶液中の溶媒を蒸発させる工程を有することを特徴とする。
前記線状の形状が幅5mm以下、長さと幅とのアスペクト比(長さ/幅)が2以上であることが好ましい。
前記線状の形状が幅2mm以下、長さと幅とのアスペクト比(長さ/幅)が5以上であることが好ましい。
溶液を線状に塗布する工程が、描画法、印刷法またはインクジェット法により行われることが好ましい。
さらに、本発明は、線状に配置した長周期の螺旋構造を有する螺旋型置換ポリアセチレンを備えたデバイスの製造方法であって、基板を用意する工程、基板上に螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を線状に塗布する工程、前記溶液中の溶媒を蒸発させる工程を有することを特徴とするデバイスの製造方法である。
一対の電極が設けられた基板上に螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を線状に塗布することが好ましい。
第一の発明によれば、短時間で高分子の連続配向体を作成できるようになる。従来、作成時に外力を加えて配向体を作成する場合、単結晶を成長させるように長時間かけて連続体した配向体を作成させる必要があった。それに対し、本発明は短時間で多結晶体を作成し、この多結晶体を粉砕して得られた微少な単結晶群を外力で短時間に配向させ、最後に連続体にすることによって連続配向体にすることが可能となる。
また、本発明は結晶作成工程と配向工程とを別々にすることにより、それぞれの工程で最適な条件を選択できるようになった。この為、従来の例えば結晶作成には低温にする必要がある、一方で電場等の外力を加えることによって発熱が起こる場合、冷却装置を準備する、または熱による配向度の低下は妥協するといった必要が無くなる、といった効果が得られる。
第二の発明によれば、従来より弱い外力を用いて連続配向体を作成できるため、外力発生に必要なエネルギーを減らすことが可能となる。また、製造装置自身またはそれに付属した安全装置・外力を装置内に止めるためのシールド装置などを軽量小型化することによって、連続配向体の製造コストを引き下げることが可能となる。例えば外力に磁場を用いる場合、従来は超伝導磁石を用いていたものが、本発明の方法を用いることで永久磁石程度ですむようになり装置構成が大幅に簡単になる上に電力等のエネルギーが不用になる。また、例えば外力に電場を用いる場合、従来は高分子の絶縁破壊やリーク電流による発熱等のためにある程度の配向度しか得られなかった場合があるが、本発明の方法を用いることでより低電圧印可でも一定の配向度を期待することが可能となった。
更に、例えば、外力に引っ張り力を用いる場合、従来は高分子の固まりを延伸して破断することなくシート状にすることが可能な素材に限られておりかつシート全面に均一な力がかかるような延伸装置が必要だった。それに対し、第一、第二の発明によれば、本発明の方法は高分子の固まりを延伸して繊維状にするだけなので、より幅広い素材を簡単な延伸装置で配向させることが可能となる、といった効果が得られる。また、複数種類の高分子を同時に含有した連続配向体を作成することが可能となる。このことによって、目的の異なる複数の高分子を一つの集合体中で配向させ一つの集合体に複数の目的を持たせることが可能である。また、従来は不可能であった、疎水性高分子と親水性高分子、溶解性高分子と不溶性高分子といった容易には混合できない複数種類の高分子を一つの連続配向体中に含有することも可能となる。
第三の発明によれば、基板上の特定部位に溶液塗布方法だけで、半導体/良導体有機高分子材料である螺旋型置換ポリアセチレンの配向体を容易に形成できる配向体の製造方法を提供することができる。
本発明に用いられる高分子とは、第一、第二の発明に関しては、結晶を作る高分子であれば特に限定されない。光学材料・導電性材料などに用いられる、または期待されるものが特に好適で、例えばポリアセチレンなどが挙げられる。また、第三の発明に関しては、螺旋型置換ポリアセチレンが好適である。
以下に、第一、第二、第三の発明を、それぞれ詳細に説明する。
第一の発明を詳細に説明する。
本発明に係る高分子の連続配向体の製造方法は、高分子の多結晶体を粉砕して単結晶を形成する工程と、前記単結晶に外力を加え配向方向のそろった一群の単結晶群にする工程とを有する。そして、前記単結晶群を連続配向体にする工程とを有する。
本発明に係る高分子の連続配向体の製造装置は、高分子の多結晶体を粉砕して単結晶を形成する手段と、前記単結晶に外力を加えて配向方向のそろった単結晶群にする手段と、前記単結晶群を連続配向体にする手段とを備えることを特徴とする。
本発明の原理を模式的に説明すると以下のようになる。
本発明による高分子の連続配向体およびこの連続配向体を配したデバイスの製造方法、は以下のA、B、C、Dの四工程より成る。以下に、各工程について説明する。
(工程A、高分子の多結晶体を作成する工程)
上記の高分子の多結晶体を作成する。ここでいう多結晶体とは、一定の配向方向を持つ直径約1μmから100μm程度の領域(単結晶)が、複数結合して全体として一体の個体を形成しているものの全体としては配向方向がそろっていないものをいう。高分子の多結晶体の形状は、高分子の性質や作成の条件によって大きく左右されるので一概には言えないが、直径が100μmから5mm程度、大半は500μmから2mm程度の粒子状のものが好適である。また、高分子の多結晶体を溶媒に溶解した溶液を、平坦な基板上に滴下し蒸発条件を整えて溶媒を蒸発さえて作成すれば、例えば直径2cm厚さ100μmの膜状でもよい。上述のものより大きな形状の場合は、後述する工程Bでの粉砕処理が困難になる場合がある。その場合は、事前に適切な大きさに切断する等の前処理を施すことが好ましい。
この多結晶体を偏光顕微鏡で観察すると、ステージの回転に伴い、一体の多結晶体の様々な部分が光を透過して特有の色で光ったり暗くなったりするものの、全体が一度に光ることはない。一個の個体全体が一定方向に配向して、偏光顕微鏡下で全体が一度に光る単結晶とも、特に配向しておらず偏光顕微鏡下では光を通さない非晶質体(アモルファス)とも異なる。
多結晶体の作成方法としては様々な方法があり、特に限定されないので、高分子の性質によって最適な方法を用いればよい。
例えば、高分子が溶媒に溶解する場合は、溶媒蒸発法が一般的に用いられる。また逆に非溶解性のものは蒸着法が用いられる。これらは一般的には単結晶を作成する方法だが、単結晶は非常に厳しい条件でのみ作成可能で、逆に言うと条件を詰めていない系では単結晶が成長せず容易に多結晶体になる。
高分子がタンパク質やゴムの場合、高分子を液体窒素等に浸漬して瞬時に凍結させることにより容易に多結晶体になる。
高分子がポリアセチレンのようなカラムナ構造を作るものは、溶媒雰囲気に曝すことにより容易に多結晶体になる。
なお、この工程は、あらかじめ用意した高分子が、上述の偏光顕微鏡等による観察で既に多結晶体になっている場合は省略して次の工程Bに進んでも良いし、更に結晶度を上げるために工程Aを行っても良い。
(工程B、高分子の多結晶体を粉砕して単結晶を形成する工程)
次に、前記高分子の多結晶体から粉砕微結晶の単結晶を作成する。ここでいう粉砕微結晶とは、多結晶体を粉砕して直径約1μmから100μm程度にした単結晶をいう。
多結晶体は、それを構成する単結晶部分は比較的固い一方で、個々の単結晶同士をつなぐ部分は結合力が弱く柔らかいため、何らかの外力を加えると、まず単結晶同士の結合部分が破断する。この為、適度な外力を加えて粉砕すれば容易に結合部分のみを破壊してバラバラな状態の単結晶にすることが出来る。この粉砕方法としては様々な方法が考えられ特に限定されない。必要に応じて最適なものを用いればよい。例えば、多結晶体を直接または高分子を溶解しない媒体に懸濁してホモジナイザ、超音波ホモジナイザ等で粉砕する方法が好適である。
(工程C、単結晶に外力を加え配向方向のそろった一群の単結晶群にする工程)
次に、前記粉砕微結晶の単結晶に配向規制力として何らかの外力を加えて一軸配向単結晶群にする。一軸配向単結晶群とは結晶方位がそろった一群の単結晶群のことである。前述の粉砕微結晶の個々の微結晶の配向方向が同一方向になり、偏光顕微鏡でステージを回転させて観察した際にある角度で一群の微結晶が同時に光を透過して全体が特有の色で光ったり、逆に暗くなったりする状態をいう。
一軸配向単結晶群にする為に外力を加える方法としては様々な方法があり、特に限定されないので、高分子の性質および作成する配向体・デバイスの特徴によって最適な方法を用いればよい。
例えば、高分子が導電性でかつ基板が絶縁性のものであれば外力に電場を用いることで、結晶が容易に電場方向に配向する。また、配向体を電極間に作成して最終的に何らかの電子デバイスにする場合は、同様に外力に電場を用いればあらかじめ基板上に作り込んだ電極を配向用にも用いることができる。さらに、デバイスの向きと外力の向きをあわせるアライメント操作を省略できるので効率的である。印可する電圧は高分子の性質や基板の絶縁破壊等を考慮して適宜決定すればよい。
また、作成する配向体およびデバイスが夾雑物やゴミを極端に嫌うものの場合は、外力に磁場を用いれば非接触で操作を完了することが可能となる。
また、必要に応じて上述の外力を複数組み合わせてもよい。
なおこの工程で、基板と単結晶との摩擦を小さくしてより小さい外力で短時間に配向させるために単結晶を水や空気、高分子を溶解しない媒体及び/または高分子より融点が大幅に低い媒体に懸濁させてもよい。
これらの操作によって、高分子の粉砕微結晶の配向方向を一軸方向にそろえた一軸配向単結晶群が作成される。
(工程D、単結晶群を連続配向体にする工程)
最後に、前記方法で配向方向がそろった単結晶群を配向した連続配向体にする。ここでいう連続配向体とは、一軸配向単結晶群に何らかの処理を施すことによって、単結晶が相互に結合して一体の形状になり、かつ配向体全体で一軸配向状態を保ったものをいう。その方法としては様々な方法があり、特に限定されないので、高分子の性質および作成する配向体の特徴によって最適な方法を用いればよい。
前記単結晶群を連続配向体にする工程が、個々の単結晶表面部分を溶媒による溶解または加熱による溶融によって単結晶同士をつないで連続配向体を形成することが好ましい。
例えば、高分子が溶解または溶融するものであれば工程Aの高分子の多結晶体を作成する工程と同様の方法を用いることができる。つまり、一軸配向単結晶群を半溶解または半溶融状態にし、その後溶媒を除去または温度を下げ、単結晶の溶解または溶融した表面部分同士を結合させ配向した連続配向体にすればよい。溶解または加熱溶融した部分の分子の配向は多少乱れるが、微少領域のため再度固化する際に溶解または溶融しなかった周りの配向分子の影響を受けて再度配向する為、できあがった連続体は高い一軸配向状態を維持している。
ここでいう半溶解状態とは、高分子の単結晶が溶媒を吸収して表面の分子間の結合が緩くなり流動性が生じているものの単結晶の配向状態を保った状態をいう。また半溶融状態とは高分子の単結晶を融点またはガラス転移点のどちらか低い方に近い温度に加温し表面の分子間の結合が緩くなり流動性が生じているものの単結晶の配向状態を保った状態をいう。工程Bの部分で説明したように、粉砕微結晶が多結晶体を粉砕して作成したものでありその表面は他の部分に比べて結晶度が劣る。このため、溶媒に曝された際や融点付近に加温された際に、一軸配向単結晶群を構成する粉砕微結晶は表面部分のみが溶解/溶融した状態である半溶解/半融解状態に成りやすいものと考えられる。
また、高分子の分子構造及び/または立体構造が圧力等で変性しないものであれば一軸配向単結晶群をプレス機等で加圧してもよい。この際、前述の半溶解・半溶融と組み合わせてもよい。
また、例えば偏光フィルタのように配向体デバイスの使用目的によっては高分子を化学的に結合して分子レベルで均一にした集合体にする必要がない場合もある。このような場合は、単結晶を一軸配向した状態で無配向の透明シートに貼り付けたり包んだりしてもよい。また、工程Bの最後で述べた基板と結晶との摩擦を小さくする為の媒体として次のようなものがある。例えば、重合開始剤を添加したモノマー、光等の刺激で固化する流動性素材、高分子より融点が大幅に低い流動性素材がある。これを用い、単結晶が配向した後に、一定時間後、光を照射、温度を下げる等で、一軸配向単結晶群を媒体ごと固定してもよい。
なおこの工程Dは工程Cとは無関係に別に行ってもよいが、工程Cで単結晶が一軸方向に配向した直後に工程Cの外力を加え続けたまま行うと、工程Dの際に配向度が低下する危険性を軽減することができる。
これらの操作によって、高分子の個々の単結晶の結晶方位を一軸方向にそろえ、この単結晶群の個々の単結晶が相互に結合して一体の形状になり、かつ連続配向体全体で一軸配向状態を保ったものが作成される。
以上の4つの工程を合わせることにより、実用的な配向度を持った高分子の配向した連続配向体をより短時間で作成できる。また、基板表面の凹凸の影響や基板上の配向体を作り込んで電子でバイスを作成する場合の電極等の影響によって集合体作成時に配向が乱される課題を回避することが可能となる。
(一軸配向の確認方法)
これら一連の工程で作成した連続配向体が一軸配向しているかどうかを確認する方法は様々ある。もっとも容易な方法は、作成した連続配向体を一軸配向していることが確かな偏光フィルタと重ねてそれぞれを回転させる/または連続配向体を偏光顕微鏡の回転ステージに乗せ回転させて、光の透過具合を確認する方法である。
ただ、この方法は数値化が困難であることや、連続配向体が薄い膜で光の透過度の変化が肉眼では確認できない場合は、偏光フィルタ付きの吸光光度計で測定すればよい。この際、吸収スペクトルのピークにおける0°(吸光強度最大値)の吸光度をA、90°(吸光光度最小値)の吸光度をBとして、D=(A−B)/(A+B)で求められる二色比(D)を求めれば、一軸配向体の配向度を数値的に示すことができる。
(磁場による単結晶群の一軸配向)
次に工程Cで、外力として磁場を用いた場合について更に詳細に説明する。
磁場を外力とする配向体作製方法は、ひも状・棒状・板状といった二次元または三次元的に異方性を持つ化合物の分子または結晶が磁場の影響を受けて、磁力線に沿う方向または磁力線に垂直な面上に並ぶ現象を利用したものである。近年、超伝導磁石の性能が向上し、従来は不可能だった数十テスラ(以下、Tと表記)といった磁場を作り出すことが可能となり、様々な有機高分子を配向させた例が報告されている。例えばPolymer Preprint,Japan vol.47、No14(1998),4075には、水系の溶媒中に分散させたポリエチレン繊維が超伝導磁石チャンバ中で磁力線と垂直な面に配向したと報告されている。
以下に磁場を用いて単結晶の配向方向をそろえる方法を具体的に説明する。
まず、工程Bで作成した粉砕微結晶を基板上に分散させる。用いる基板は必要に応じて適切なものを用いればよい。例えば、プラスチック、ガラス、シリコンなどが好適である。
図1は、磁場により粉砕微結晶群(多結晶体を粉砕して得られた単結晶群)を一軸配向単結晶群にする方法及び装置を示す模式図である。図1(a)のように多結晶体を粉砕して得られた一群の微細な単結晶(粉砕微結晶群)101を、高分子を溶解しない液体の媒体及び/または基板を加温しながら(加温手段は図示せず)高分子より融点が大幅に低い液体の媒体102に懸濁させる。これは、単結晶101と基板103との間の摩擦抵抗が弱まるためよい。次にこの基板を図1(b)のように磁場発生装置104を設置した磁場中に静置する。基板103の向きは図1(b)では磁力線105と平行だが、必要に応じて適切な方向にすればよい。また基板上にあらかじめ電極等を作り込んである場合、電極の向きも考慮する必要がある。この磁場発生装置104は、配向に必要な磁力が生成可能であれば、永久磁石、通常の電磁石、超伝導磁石等何でもよい。
この磁場中に基板103を一定時間静置すれば、単結晶101は結晶方位を一軸方向にそろえる。この際の基板の向き、配向方向および静置する時間は、事前に検討して決定すればよい。
最後に必要なら媒体102を除去する。除去方法は媒体102の性質によって異なるが、基板を加温(加温手段は図示せず)して媒体を蒸発させる、基板の一端からノズル(不図示)で吸引除去するといった方法が考えられる。いずれにせよ、媒体除去の際に結晶方位をそろえた一軸配向単結晶群の配向が乱されることの無いよう、媒体の流れを穏やかにするといった配慮が必要である。また、この除去操作は単結晶が配向し終わった後に行ってもよいが、配向が完了していない時点から徐々に除去されるような条件を設定すれば、若干だが工程Bの作業時間を短縮させることができる。
以上、工程Bで磁場を外力とする方法について述べたが、この方法は磁場発生手段と必要なら媒体除去の手段のみで生産設備を構成することが可能である。また基板と配向手段とが非接触の為、配向体作製工程で不純物が混入する危険がきわめて低く、歩留まりのよい生産が期待できる。
(電場による単結晶群の一軸配向)
次に工程Cで、外力として電場を用いた場合について更に詳細に説明する。
電場を外力とする配向体作製方法は、ひも状・棒状・板状といった二次元または三次元的に異方性を持つ化合物の分子または結晶が電圧印加下で並ぶ現象を利用したものである。
分子を分散又は溶解させた液を電圧印加した電極間に滴下して乾燥する方法では溶媒蒸発による集合体作成の前に分子が電極に引き付けられて均一に一軸配向した集合体にならないことが多い。これは電場が不均一であるためと、電極付近での強い電場に分子が引き付けられてしまうためである。この為、実際に電場により配向体を作製するには、サンプルを破壊してしまう限界ギリギリの電界印加を行う等、印加電圧、電極構造、電極材料、溶媒、温度、雰囲気の湿度と材料の性質に大きく依存する。
しかし、本発明者等はこの方法が単結晶を同じ方位にそろえる為に効果があることを見出した。その理由としては、単結晶が高度に一軸配向したものである為と考えられる。
以下に電場を用いて単結晶の配向方向をそろえる方法を具体的に説明する。
まず、工程Aで作成した単結晶を基板上に分散させる。用いる基板は特に限定されない。必要に応じて適切なものを用いればよい。例えば、プラスチック、ガラス、シリコンなどが好適である。
図2(a)、(b)および(c)は、電場により粉砕微結晶群(多結晶体を粉砕して得られた単結晶群)を一軸配向単結晶群にする方法及び装置を示す模式図である。図2(a)、(b)および(c)のように、多結晶体を粉砕して得られた単結晶201を非導電性でかつ高分子を溶解しない液体の媒体及び/または基板を加温しながら高分子より融点が大幅に低い媒体202に懸濁させる。これは、粉砕単結晶群201と基板203との間の摩擦抵抗が弱まるためよい。
次にこの基板上の単結晶に電場をかけるのだが、電場のかけ方としては基板を電界中に静置する方法と基板上に作成した電極に直接電圧を印可する方法の二種類がある。
基板を電界中に静置する方法としては、図2(a)のように単結晶201を乗せた基板203を例えば空気などの絶縁物を挟んだ一対の電極204の間に設置すればよい。基板203の向きは図2(a)では電界206と平行だが、必要に応じて適切な方向にすればよい。最終的な連続配向体の配向方向によっては、基板203を電界206に対して垂直に設置してもよい。
基板上に作成した電極に直接電圧を加える方法としては、図2(b)のように基板上の一対の基板上電極207に端子208を接触させて電圧を印可すればよい。更にこの基板及び基板上の連続配向体が最終的に何らかの電気的デバイスになる場合、デバイスの電極として用いるものを配向用の基板上電極207として流用してもよい。また図2(c)のように一対の電極の一方を基板上電極207とし、もう一方は基板外の電極204として設置してもよい。この場合も基板203の向きは必要に応じて適切な方向にすればよい。
次に、上記電極204または基板上電極207に電源装置205を接続して一定の電圧を一定時間印可する。この際の電圧は、基板の絶縁破壊電圧を上限として、電極間の距離や単結晶の導電性の有無などによって左右されるが、一般に電圧が高いほど短時間で配向が完了する。この為、印加電圧および時間は、事前に検討して決定すればよい。
最後に必要なら媒体202を除去する。除去方法は媒体202の性質によって異なるが、基板を加温(加温手段は図示せず)して媒体を蒸発させる、基板の一端からノズル(不図示)で吸引除去するといった方法が考えられる。いずれにせよ、媒体除去の際に一軸配向した結晶群の配向方向が乱されることの無いよう、媒体の流れを穏やかにするといった配慮が必要である。また、この除去操作は単結晶が配向し終わった後に行ってもよいが、配向が完了していない時点から徐々に除去されるような条件を設定すれば、若干だが工程Bの作業時間を短縮させることができる。
以上、電場を外力とする方法について述べたが、この方法は電極、電源等からなる電界印加手段と必要なら媒体除去の手段のみで生産設備を構成することが可能である。また配向体作製時の基板上電極がそのままデバイスの電極になる為、電極を橋渡しするような配向体を作成する際に基板のアライメント等の調整が不必要となり、スループットの高い生産が期待できる方法である。
(溶解による連続配向体の作成)
次に工程Dで用いられる、溶解による連続配向体の作成について更に詳細に説明する。
工程Aで、高分子を溶媒に溶解して多結晶体を作成した場合、同じ溶媒を用いて工程Cで作成した一軸配向単結晶群を半溶解状態(個々の結晶の表面のみ溶解状態)にして連続配向体にすればよい。この際、配向結晶群を完全に溶かしてしまうと、結晶内の配向した分子が乱され配向体作成後の配向度が低下してしまう危険がある為、表面のみ溶解して内部には溶媒が十分に浸透せず固定状態を保ったままでいるように結晶と溶媒との接触時間を制御する必要がある。この時間は高分子の種類や溶媒によって異なるので、事前に検討して決めればよい。また、溶媒を吸収して半溶解状態になったものから急激に溶媒を蒸発させると、溶媒の発泡によって結晶と結晶が接合した部分の配向した分子が乱され配向体作成後の配向度が低下してしまう危険もある。このため、配向結晶群を数ppmオーダーの溶媒蒸気に一定時間曝して半状態にした後、1時間程度かけて徐々に溶媒蒸気を除去/大気との置換を行う配慮が重要である。具体的な濃度、時間等は高分子、溶媒の種類、単結晶の大きさや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
以上、工程Dで半溶解状態にすることによって連続配向体を作成する方法について述べたが、この方法は高分子を分子レベルで均一な連続配向体に出来る上、工程Aとおなじ溶媒を用いれば配向結晶群の挙動が予測しやすく工程の各種条件を決めやすい方法である。
(溶融による連続配向体の作成)
次に工程Dで用いられる、溶融状態にすることによる連続配向体の作成について更に詳細に説明する。
工程Aで、高分子を加温溶融して多結晶体を作成した場合、同様に加温して工程Cで作成した一軸配向単結晶群を半溶融状態(個々の結晶の表面のみ溶融状態)にして連続配向体にすればよい。この際、配向結晶群を完全に溶かしてしまうと、結晶内の配向した分子が乱され配向体作成後の配向度が低下してしまう危険がある為、表面のみ溶解して内部は固定状態を保ったままでいるように配向結晶群の加温時間を制御したり加温方法を工夫する必要がある。また、配向結晶群を1〜2℃/分の穏やかな温度上昇速度で上昇させ融点またはガラス転移点のどちらか低い方に近づく前に温度を一定にしてそれ以上は上げない、といった配慮も重要である。具体的な温度上昇速度、時間等は高分子、単結晶の大きさや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
以上、工程Dで溶融によって連続配向体を作成する方法について述べたが、この方法は高分子を分子レベルで均一な連続配向体に出来る。さらに、基板を加温手段に静置するだけなので、工程Dの設備を工程Cの設備に組み込んで工程Cの後外力を加えたまま工程Dを行うことが容易な方法である。
なお、表面のみの溶解または溶融による連続配向体作成を行う場合、もし高分子の分子構造及び/または立体構造が圧力等で変性しないものであれば、同時に一軸配向単結晶群をプレス機等で加圧すればより薄く均一な連続配向体が作成できる。ただこの際、加圧されて配向体の厚みが薄くなり広がってしまうと、結晶内の配向した分子が乱され配向体作成後の配向度が低下してしまう危険がある。このため、加圧する際に対象物が一軸方向にのみ伸びるようにプレス機の型を作成し、型の軸方向と配向結晶群の配向方向が平行になるようにして加圧する、といった配慮が重要である。具体的な圧力、時間等は高分子、単結晶の大きさや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
(固定による連続配向体の作成)
次に工程Dで用いられる、一軸配向単結晶群を固定することによる連続配向体の作成について更に詳細に説明する。
固定には2つの方法がある。1つは、多結晶体を粉砕して単結晶微粒子にした後外力を加えて一軸配向させた状態である一軸配向結晶群を、一軸配向したまま粘着物が付いたシートに貼り付けたり包んだり(ラミネートパック)する方法である。工程Cで基板上に一軸配向した結晶群を基板ごと固定してもよい。
もう1つは、多結晶体を粉砕して単結晶微粒子にした後外力を加えて一軸配向させた状態である一軸配向結晶群を他の樹脂中等に包埋して固めてしまう方法である。工程Cで基板と結晶との摩擦を小さくする為に結晶を媒体に懸濁させる方法について触れた。これに対し、この媒体にアクリレート等の重合性モノマーに過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を添加した流動性の素材、UV硬化樹脂といったの何らかの外的な刺激で固化する流動性素材、高分子より融点が大幅に低い流動性素材を用いてもよい。粉砕した単結晶微粒子は配向させた後に、流動性素材に刺激を与えるか、または温度を下げれば、一軸配向粉砕結晶群を媒体ごと固定させることができる。同様の固定方法としては、微結晶粒子の生成方法は異なるが、特開2005−171221に有機色素のナノサイズの結晶をUV硬化樹脂に懸濁して磁場中で配向させながら紫外線を照射して樹脂を硬化させた。製造されたものは、光を偏向吸収するバルク素材ができたと報告されている。
これらの方法を用いる場合、連続配向体デバイスが偏光/偏向フィルタならば、基板として用いる固定用のシートまたは媒体は必要な波長を透過する無配向の素材であれば特に限定されない。例えば、媒体にメチルメタアクリレートに過酸化ベンゾイルを添加したものを用い粉砕結晶を配向させた後50℃に加温する。媒体にポリウレタンアクリレートにベンゾフェノンを添加したものを用い粉砕結晶を配向させた後紫外線を照射する、といった方法が好適である。
以上、工程Dで固定によって連続配向体を作成する方法について述べたが、この方法は配向処理を行った微粒子の高い配向度を維持したまま簡単に連続配向体に加工できるという利点がある。
第二の発明を詳細に説明する。
本発明による高分子の連続配向体の製造方法は、高分子の配向繊維を作成する工程と、前記配向繊維に電場、磁場又は振動による外力を加えて一軸方向に配列した一軸配列繊維群にする工程と、前記一軸配列繊維群を連続配向体にする工程を有することを特徴とする。
本発明による高分子の連続配向体の製造装置は、高分子を配向繊維にする手段と、前記配向繊維を基板または液面の上に静置する手段と、前記基板または液面の上の配向繊維を一軸配列繊維群にする手段と、前記一軸配列繊維群を連続配向体にする手段を有することを特徴とする。
本発明の原理を模式的に説明すると以下のようになる。
本発明による高分子の連続配向体およびこの連続配向体を配したデバイスの製造方法は、下記のE、F、G三工程より成る。以下に、各工程について説明する。
(工程E、高分子の配向繊維を作成する工程)
まず、高分子を配向した繊維形状にする。ここでいう配向繊維とは、長辺(長さ)が1μm以上、短辺(外径)が50nm以上のひも形状のもので、かつ繊維を構成する個々の分子が軸方向(長手方向)に一軸配向しているものをいう。配向繊維の作成方法としては様々な方法が考えられ特に限定されないので、高分子の性質によって最適な方法を用いればよい。
例えば、高分子がポリエチレンのように常温で柔らかいものやDNAのようにキャストまたはホットプレスして容易に柔軟なシート状になるものであれば、そのまま延伸して細い繊維状にすればよい。
高分子がビニロンやアクリルのように揮発性溶媒に溶解するが変性しないものであれば、高分子の粉末または粒塊に少量の溶媒を加えて混練し粘度の高い軟化した状態にする。次に、この軟化した状態の高分子を化学繊維の乾式紡糸工程と同様の方法で延伸したり、細いノズルから噴出させたりして細い糸状にする。
高分子がポリ塩化ビニルやポリカーボネートのように熱可塑性の場合は、融点またはガラス転移点等その高分子が柔らかくなるまで温度を上昇させ、化学繊維の溶融紡糸工程と同様の方法で延伸したり、細いノズルから噴出させたりして細い糸状にする。高分子がセルロースのように非揮発性の溶媒に溶解するものであれば、高分子の溶液を作成し、これを化学繊維の湿式紡糸工程と同様の方法で細いノズルから凝固液中に噴出させて固体化して細い糸状にする。また、高分子がアルギン酸のように容易に溶媒(アルギン酸の場合は水)に溶解しかつ特定の刺激(アルギン酸の場合はカルシウムイオンとの接触)で凝固するものなら、同様の方法が利用できる。
上述の方法は高分子を配向繊維にする方法だが、高分子のモノマーまたはオリゴマーに重合開始剤を添加して混練し、重合が進んだところで前述のアクリル樹脂と同様の方法で細い繊維状にする、という方法でも良い。
したがって、本発明は、高分子から成るシートを延伸して一工程で連続配向体にする方法と違っている。上述の工程Eでは、事前に均一な機械的強度を持った膜を作成し、これを0.1MPaから500MPaの応力を膜全面に均一に加えるような機構を備えた延伸装置は不要である。
上記の方法は高分子が本来柔らかいか何らかの方法で軟化した状態になる場合に採用される方法である。さらに、不溶不融の高分子であってもポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))やポリジメチルシランの様に摩擦転写によってこすりつけた基板上に配向薄膜が転写されるものであれば、基板表面に転写された細いリボン状のものを剥離回収すればよい。もし、高分子が粉末状ならば事前に加圧成型してペレットにしておけばよい。摩擦転写によって一工程で連続配向体にする方法と違って、工程Eでは事前に凹凸の無い基板を用意し、これにやはり凹凸のない高分子のペレットを均一な圧力で押しつけ移動させるような機構を備えた転写装置は不要である。
上記の方法は事前に用意した高分子を繊維状にする方法である。更に、高分子のモノマーを溶媒に溶解したものに重合開始剤を添加して噴出させる、モノマー溶液を重合開始剤の存在下または重合開始環境下で噴出させる等の方法を用いて重合課程で細い繊維状に形成させてもよい。
これらの操作によって、高分子の個々の分子が繊維の軸方向に並んだ状態の配向繊維が作成される。この繊維はそのまま以下に記述する工程Fに送ってもよいし、必要に応じて切断・粉砕して一定の長さにした後で工程Fに送ってもよい。繊維の最適の長さは、工程Fの外力・作成する連続配向体の形状や最終的なデバイスの形状によって異なる。例えば外力に磁場や電場を用いる場合は、長さ1μmから1mm、外径50nmから500nmが、更には長さ100μmから500μm、外径100nm好適である。また、外力に振動や媒体の流動を用いる場合は、長さ1mmから10cm程度が好適である。
(工程F、配向繊維に外力を加えて一軸方向に配列した繊維群にする工程)
前記方法で作成した配向繊維に外力を加えて配向繊維群にする。その方法としては様々な方法があり特に限定されないので、高分子の性質および作成する連続配向体・デバイスの特徴によって最適な方法を用いればよい。
例えば、高分子が導電性でかつ基板が絶縁性のものであれば外力に電場を用いることで、配向繊維が容易に電場方向に配列する。また、連続配向体を電極間に作成して最終的に電子デバイスにする場合は、同様に外力に電場を用いればあらかじめ基板上に作り込んだ電極を配向用にも用いることができ、かつデバイスの向きと外力の向きをあわせるアライメント操作を省略できるので効率的である。印可する電圧は高分子の性質や基板の絶縁破壊等を考慮して適宜決定すればよい。
また、配向方向に細長いリボン状の連続配向体を作成する場合や工程Eで容易に長さ数cmの剛直な配向繊維が作成できる場合、一軸方向に窪んだまたは溝や突起を作成した基板上に配向繊維を積層して基板を振動させればよい。もし、配向繊維が剛直でないか湾曲している場合は上記方法でおおよその配向方向に繊維を並べた後繊維の一端を固定して、水や空気等の高分子を溶解しない媒体の流れに曝して配向繊維を流れ方向に配列させてもよい。
また、作成する連続配向体およびデバイスが夾雑物やゴミを極端に嫌うものの場合や振動等による破損の恐れがある場合は、外力に磁場を用いれば非接触・無振動で操作を完了することが可能となる。
また、必要に応じて上述の外力を複数組み合わせてもよい。
なおこの工程で、基板と配向繊維との摩擦を小さくしてより小さい外力で短時間に配列させるために配向繊維を水や空気、高分子を溶解しない媒体及び/または高分子より融点が大幅に低い媒体に懸濁させてもよい。
これらの操作によって、高分子の個々の分子が繊維の軸方向に並んだ状態の配向繊維を一軸方向に配列させた一軸配列繊維群が作成される。
(工程G、一軸配列繊維群を連続配向体にする工程)
最後に、前記方法で一軸方向に配列させた繊維群を連続した配向体にする。
その方法としては様々な方法があり特に限定されないので、高分子の性質および作成する連続配向体の特徴によって最適な方法を用いればよい。
例えば、高分子が溶解または溶融するものであれば、一軸配列繊維群を個々の繊維の表面部分のみが溶解または溶融する。そして繊維の大部分は配向した半溶融状態にし、その後溶媒を除去または温度を下げ、繊維の溶解または溶融した表面部分同士を結合させ連続配向体にすればよい。溶解または溶融した部分の分子の配向は多少乱れるが、微少領域のため再度固化する際に溶解または溶融しなかった周りの配向分子の影響を受けて再度配向する。
ここでいう半溶解状態とは、高分子の配向繊維が溶媒を吸収して表面の分子間の結合が緩くなり流動性が生じているものの繊維の配向状態を保った状態をいう。また半溶融状態とは高分子の配向繊維を融点またはガラス転移点のどちらか低い方に近い温度に加温し表面の分子間の結合が緩くなり流動性が生じているものの繊維の配向状態を保った状態をいう。工程Eの部分で説明したように、配向繊維は延伸配向等の方法で高分子の個々の分子を長手方向に並べたものでありその表面は中心部分に比べて結晶度が劣る。このため、溶媒に曝された際や融点付近に加温された際に、配向繊維は表面部分のみが溶解/溶融した状態である半溶解/半融解状態に成りやすいものと考えられる。溶解または溶融した部分の分子の配向は多少乱れるが、微少領域のため再度固化する際に溶解または溶融しなかった周りの配向分子の影響を受けて再度配向する為、できあがった連続体は高い一軸配向状態を維持している。
また、高分子の分子構造及び/または立体構造が圧力等で変性しないものであれば一軸配列繊維群をプレス機等で加圧してもよい。この際、前述の表面のみの溶解・溶融と組み合わせてもよい。
また、例えば偏光フィルタのように配向体デバイスの使用目的によっては高分子を分子レベルで均一にした配向体にする必要がない場合もある。このような場合は、一軸配列繊維群をその配列を保った状態で固定して一体の連続配向体にすればよい。この際、連続配向体が期待される光学異方性を保持できれば、とくに一軸配列繊維同士を隙間なく密に接着させる必要はない。
具体的な固定方法は特に限定されない。配向体に要求される光学特性等に応じて適切な方法を選択すればよい。
例えば、配向繊維を一軸配列した状態で無配向の透明シートに貼り付けたり包んだりしてもよい。また、工程Fの最後で述べた基板と繊維との摩擦を小さくする為の媒体として固化可能な流動性素材を用い、配向繊維を一軸配列した状態で固化しても良い。固化可能な流動性素材としては、例えば、重合開始剤を添加したモノマー、光等の刺激で固化する流動性素材、高分子より融点が大幅に低い流動性素材がある。配向繊維が配列した後に、一定時間静置、光を照射、温度を下げる等で流動性素材ごと一軸配列繊維群を固化すればよい。
なおこの工程Gは工程Fとは無関係に別の場所で行ってもよいが、工程Fで繊維が一軸方向に配列した直後に工程Fの外力を加え続けたまま行うと、工程Gの際に配向度が低下する危険性を軽減することができる。
これらの操作によって、高分子の個々の分子が繊維の軸方向に並んだ状態の配向繊維を一軸方向に配列させ、この繊維群の個々の繊維が相互に結合して一体の形状になり、かつ配向体全体で一軸配向状態を保ったものが作成される。
これら3つの工程を合わせることにより、高分子の連続配向体を従来より小さい外力で作成する、電極等の為に凹凸がある基板上でも連続配向体を作成する、混合できない複数高分子を含有した連続配向体を作成することが可能となる。
(延伸による配向繊維の作成)
工程Eで用いられる、延伸による配向繊維作成について更に詳細に説明する。
図3は、延伸による配向繊維の製造方法を示す模式図である。
延伸による配向繊維作製方法は、ひも状・棒状・板状といった二次元または三次元的に異方性を持つ化合物の分子が延伸によって、延伸方向に並ぶ現象を利用したものである。まず、溶媒を少量添加して混練する、融点またはガラス転移点付近まで加温する等の方法で高分子を軟化した状態にする。この軟化した高分子2101を図3(a)のように一組のクランプ2102にはさんで矢印2103、2103’方向に引く。図3(b)のように針2104を差し込んで矢印2105方向に引く。これらの方法で延伸して、糸を引いたような状態にし、糸の中央付近の太さが均一な部分を切断回収すればよい。図示しないが、図3(a)または(b)で引き延ばした糸の先端を糸車(ホイール)に巻き付けて糸車を回転させれば、一定の形状の糸をメートルオーダーで作成することも可能になる。
また、図3(c)のように高分子2101をシリンダ2106に充填してピストン2107で押し、内径を作成したい繊維の太さに合わせたノズル2108から押し出せば、作成される配向繊維の外形や配向度を一定に保つことが可能になる。いずれにせよ、延伸する際の引っ張り強度や速度、ピストンを押す力、速度などの条件は、軟化した状態軟化した状態になった素材の性質や必要とする繊維の太さ等を考慮して、事前に検討して決定すればよい。
以上、工程Eで延伸法を用いる方法について述べたが、この方法は高分子が通常状態、溶媒を添加した状態及び/または加温した状態で柔らかい軟化した状態になるものであれば幅広く用いることができる。その上、簡単な装置で実施可能な方法である。
(摩擦転写による配向繊維の作成)
工程Eで用いられる、摩擦転写による配向繊維作成について更に詳細に説明する。
図4は、摩擦転写による配向繊維の製造方法を示す模式図である。
従来、何らかの配向方法を用いて連続配向体を作成するためには、目的素材が柔らかい素材である、溶媒に溶解して溶液状態になる、溶融して液体状態または軟化した状態になる必要があった。このため、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))やポリジメチルシランのような不溶不融の素材の連続配向体は作成不可能だと考えられてきた。しかし、Nature,352、414から417頁(1991)には、ポリテトラフルオロエチレンのペレットを一定温度の基板表面に摩擦転写することで、ポリテトラフルオロエチレンがペレットの走引方向に並び連続配向体になると報告されている。
工程Eにおける配向繊維の作成方法および配向原理はこれらと同様である。摩擦転写によって連続配向体を作成する場合には、膜を均一にする為に高分子のペレットおよび基板の表面を可能な限り凹凸を減らして平滑にし、ペレットを均一な圧力で基板に押しつけ移動させる装置が必要となる。しかし配向繊維を作成する場合は、基板及びペレットの面出しは不要である。図4のように高分子のペレット2201を基板2202に矢印2203方向に一定の力で押しつけて矢印2204方向に一定速度で移動させ、擦りつけた後の基板表面に付着した繊維状・リボン状の配向体2205を基板2202から剥離して回収するだけでよい。用いる基板は表面が繊維の太さに対して平滑で、高分子のペレットより硬度が低ければ特に限定されない。必要に応じて適切なものを用いればよい。また、必要なら基板2202の裏面に加温手段(不図示)を取り付けてもよい。ペレットを基板に押しつける力やペレットの移動速度などの条件は、ペレットの性質や必要とする繊維の太さ等を考慮して、事前に検討して決定すればよい。
以上、工程Eで摩擦転写法を用いる方法について述べたが、この方法は高分子が前述の延伸法が使えない不溶不融のものである場合に用いることができる上、簡単な装置で実施可能な方法である。
(磁場による配向繊維の一軸配列)
次に工程Fで、外力として磁場を用いた場合について更に詳細に説明する。
磁場を外力とする配向体作製方法の原理は、第一の発明の部分で詳細に記述したので省略し、磁場を用いた配向繊維の一軸配列方法を具体的に説明する。
図5は、磁場による配向繊維の配列を示す模式図である。
まず、工程Eで作成した配向繊維を基板上に分散させる。用いる基板は必要に応じて適切なものを用いればよい。例えば、プラスチック、ガラス、シリコンなどが好適である。このとき図5(a)のように配向繊維2301を、高分子を溶解しない液体の媒体及び/または基板を加温しながら(加温手段は図示せず)高分子より融点が大幅に低い液体の媒体2302に懸濁させる。すると、繊維2301と基板2303との間の摩擦抵抗が弱まるためよい。次にこの基板を図5(b)のように磁場発生装置2304を設置した磁場中に静置する。基板2303の向きは図5(b)では磁力線2305と平行だが、必要に応じて適切な方向にすればよい。また基板上にあらかじめ電極等を作り込んである場合、電極の向きも考慮する必要がある。この磁場発生装置2304は、配向に必要な磁力が生成可能であれば、永久磁石、通常の電磁石、超伝導磁石等何でもよい。また、長さ5μm以上の配向繊維は0.5T程度の磁力で十分一軸配列するので、電力を必要とせず機構も単純ですむサマリウムコバルトやネオジム等の強力な永久磁石を用いたものが好適である。
この磁場中に基板2303を一定時間静置すれば、配向繊維301は一軸方向に配列する。この際の基板の向き、配列方向および静置する時間は、事前に検討して決定すればよい。
最後に必要なら媒体2302を除去する。除去方法は媒体2302の性質によって異なるが、基板を加温(加温手段は図示せず)して媒体を蒸発させる、基板の一端からノズル(不図示)で吸引除去するといった方法が考えられる。いずれにせよ、媒体除去の際に一軸配列した繊維群の配列が乱されることの無いよう、媒体の流れを穏やかにするといった配慮が必要である。また、この除去操作は繊維が配列し終わった後に行ってもよいが、配列が完了していない時点から徐々に除去されるような条件を設定すれば、若干だが工程Fの作業時間を短縮させることができる。
以上、工程Fで磁場を外力とする方法について述べたが、この方法は磁場発生手段と必要なら媒体除去の手段のみで生産設備を構成することが可能である。また基板と配向手段とが非接触の為、配向体作製工程で不純物が混入する危険がきわめて低く、歩留まりのよい生産が期待できる。更に、磁場発生源に永久磁石を用いれば、配向体作製時にほとんどエネルギーを必要としないローコストな一軸配列繊維群の作成が可能な方法である。
(電場による配向繊維の一軸配列)
次に工程Fで、外力として電場を用いた場合について更に詳細に説明する。
電場を外力とする配向体作製方法の原理は、第一の発明の部分で詳細に記述したので省略しするが、配列させたい高分子が5μm以上の繊維形状でかつ配向している場合、繊維を電場内に置いた場合に繊維の両端に電荷が生じ回転力が生じる。この為繊維は回転力が最小になる電場と平行な方向に動き、結果として一軸方向に配列すると考えられる。
以下に電場を用いた配向繊維の一軸配列方法を具体的に説明する。
図6は、電場による配向繊維の配列を示す模式図である。
まず、工程Eで作成した配向繊維を基板上に分散させる。用いる基板は特に限定されない。必要に応じて適切なものを用いればよい。例えば、プラスチック、ガラス、シリコンなどが好適である。図6(a)乃至(c)のように配向繊維2401を非導電性でかつ高分子を溶解しない液体の媒体及び/または基板を加温しながら(加温手段は図示せず)高分子より融点が大幅に低い媒体2402に懸濁させる。すると、配向繊維2401と基板2403との間の摩擦抵抗が弱まるためよい。
次にこの基板上の配向繊維に電場をかけるが、電場のかけ方としては基板を電界中に静置する方法と基板上に作成した電極に直接電圧を印可する方法の二種類がある。
基板を電界中に静置する方法としては、図6(a)のように配向繊維2401を乗せた基板2403を例えば空気などの絶縁物を挟んだ一対の電極2404の間に設置すればよい。基板2403の向きは図6(a)では電界2406と平行だが、必要に応じて適切な方向にすればよい。例えば、繊維を基板に垂直に配向させる場合は、基板2403を電界406に対して垂直に設置すればよい。
基板上に作成した電極に直接電圧を加える方法としては、図6(b)のように基板上の一対の電極2407に端子2408を接触させて電圧を印可すればよい。更にこの基板及び基板上の連続配向体が最終的に何らかの電気的デバイスになる場合、デバイスの電極として用いるものを配向用の基板上電極2407として流用してもよい。また図6(c)のように一対の電極の一方を基板上電極2407とし、もう一方は基板外の電極2404として設置してもよい。この場合も基板2403の向きは必要に応じて適切な方向にすればよい。
次に、上記電極2404または基板上電極2407に電源装置2405を接続して一定の電圧を一定時間印可する。この際の電圧は、基板の絶縁破壊電圧を上限として、電極間の距離や配向繊維の導電性の有無などによって左右されるが、一般に電圧が高いほど短時間で配列が完了する。この為、印加電圧および時間は、事前に検討して決定すればよい。
最後に必要なら媒体2402を除去する。除去方法は媒体2402の性質によって異なるが、基板を加温(加温手段は図示せず)して媒体を蒸発させる、基板の一端からノズル(不図示)で吸引除去するといった方法が考えられる。いずれにせよ、媒体除去の際に一軸配列した繊維群の配列が乱されることの無いよう、媒体の流れを穏やかにするといった配慮が必要である。また、この除去操作は繊維が配列し終わった後に行ってもよいが、配列が完了していない時点から徐々に除去されるような条件を設定すれば、若干だが工程Fの作業時間を短縮させることができる。
以上、電場を外力とする方法について述べたが、この方法は電極、電源等からなる電界印加手段と必要なら媒体除去の手段のみで生産設備を構成することが可能である。また連続配向体作製時の電極をそのままデバイスの電極にする為、電極を橋渡しするように繊維を配列させる為の基板のアライメント調整が不必要となり、スループットの高い生産が期待できる方法である。
(振動による配向繊維の一軸配列)
次に工程Fで、外力として振動を用いた場合について更に詳細に説明する。
振動を外力とする配向繊維の一軸配列方法は、ひも状・棒状といった二次元的に異方性を持つ形状のものが無秩序に積層した状態の際にこれに一定周期または不規則的な振動を加える。すると、それらが秩序正しく一軸方向を向いて配列する現象を利用したものである。ただ、一般的にこの現象では異方性形状を持つものの配列方向は不特定になってしまうため、異方性形状を持つものを積層する基板を配列方向に平行になるように窪ませる、または基板表面に配列方向に平行な溝を掘ればよい。
以下に振動を用いた配向繊維の一軸配列方法を具体的に説明する。
図7は、振動による配向繊維の配列を示す模式図である。
まず、工程Eで作成した配向繊維を基板上に分散させる。用いる基板は特に限定されない。必要に応じて適切なものを用いればよい。このとき、図7(a)のように、工程Eで作成した配向繊維2501を振動手段2502上に固定した基板2503上に分散・積層させる。このとき基板503は図7(b)のように円筒の側面の一部を切り出したような形状や図7(c)のように基板は平坦だが表面に一軸方向に溝を切った及び/または一軸方向に線上の突起がある構造になっている必要がある。基板の形状はどちらでもよいので、必要に応じて使い分けるとよい。図7(b)の基板を用いると完成後の連続配向体の厚さが中心部分と周辺部分で若干差ができる。一方図7(c)の場合は完成後の連続配向体の裏側に筋状の突起及び/または凹みが残る。いずれにせよ、均一な厚さの配向体を得るには、配向体を研磨して厚さを一定にする/突起を除去する必要がある。なお図7(b)乃至(c)の図において、矢印504は配向繊維が配列する方向である。
次にこの配向繊維2501を分散・積層した基板2503を振動手段2502で振動させる。振動手段は特に限定されないが、例えばモーターとその回転運動を上下運動に変えて基板に伝える機構の組み合わせ、軸に偏芯オモリを取り付けたモーター、音波発振子及び/または超音波発振子と発信器の組み合わせなどが好適である。振動の周波数、一定周期か不規則的か、振動させる時間等の条件は、基板の形状・大きさ、繊維の長さや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
以上、工程Fで振動を外力とする方法について述べたが、この方法は工程Eで作成される配向繊維が1mmから10cmと長い場合に適している。この方法は基板の形状が若干特殊であることの除けば基板の振動手段のみで生産設備を構成することが可能であり、きわめて短時間に繊維を配列させることができる。その為、生産設備のコストおよび生産のスループットがよい一軸配列繊維群の作成が可能な方法である。また基板と配向手段とが非接触の為、配向体作製工程で不純物が混入する危険がきわめて低く、歩留まりのよい生産が期待できる。
またこの方法から派生した方法として、配向繊維を高分子を溶解しない液体の媒体の表面に浮遊させ、この液体の媒体に波を起こして繊維に振動を加えてもよい。
図8は、水面展開による配向繊維の配列を示す模式図である。
図8のように配向繊維2601を液体の媒体で満たした水槽2602の液面に分散する。水槽2602の水面に垂直に上下可能な基板2603を挿入し、水槽2602の少なくとも一端に水面方向(矢印2605の方向)に移動可能なバリア2604を設置する。基板2603とバリア2604は、水槽2602を上部から見下ろした時に、基板2603とバリア2604が水面と接した線とが平行になるように配置する。
次に、バリア2604を矢印2605の方向に前進後退を繰り返す及び/または基板2603を上下させることで液面にさざ波を立てながら、次第に繊維を分散させた液面を狭めてゆく。この動きによって繊維は次第にバリア2604が液面に接している線と平行に配列してゆく。一定密度になるまで繊維を分散させた液面を狭めた後、液面に基板2603を挿入して再度引き上げる/事前に挿入しておいた基板2603を引き上げると、液面に配列した繊維が基板の両面に転写される。
また、バリア2604の前進後退の動きで水面上の配向繊維を配列させた後、水面と平行に設置した基板(不図示)を平行の位置関係を保ったままゆっくり下げて水面に接触させ、水面上の繊維を基板に転写しても良い。
以上、工程Fで振動を外力とする方法の派生方法について述べたが、この方法は平坦な基板を用いる事ができる。繊維を媒体表面に浮遊させた状態で振動させるため、前述の一般的な振動を用いた方法よりは不純物が混入する可能性が高まるが、その他の特徴はほぼ同じである。
(流動による配向繊維の一軸配列)
次に工程Fで、外力として媒体の流動を用いた場合について更に詳細に説明する。
媒体の流動を外力とする配向繊維の一軸配列方法は、ひも状・棒状といった二次元的に異方性を持つ形状のものをこの素材を溶解しない液体及び/または気体の媒体に懸濁して基板上に滴下しこの媒体を一定方向に流動させる。これによって、基板表面と若干の摩擦が存在する状態でこの異方性を持つ形状の物体が一軸方向に配列する現象を利用したものである。
以下に流動を用いた配向繊維の一軸配列方法を具体的に説明する。
図9は、流動による配向繊維の配列を示す模式図である。
まず、工程Eで作成した配向繊維を基板上に分散させる。用いる基板は媒体に溶解しなければ特に限定されない。必要に応じて適切なものを用いればよい。図9(a)のように、工程Eで作成した配向繊維を懸濁した媒体2701を媒体循環手段2702、媒体除去手段2703とパイプ2704等で接続された基板静置槽2705に充填し、この基板静置槽内の媒体液面下に基板2706を沈めた。用いる基板は媒体に溶解しないものであれば特に限定されない。必要に応じて適切なものを用いればよい。また、媒体も特に限定されないが、配向繊維の比重と比べて同じまたは軽いものが好適である。
次に、この媒体を媒体循環手段2702で循環させる。媒体循環手段は特に限定されないが、例えばダイアフラム等を持ったポンプやプロペラスクリューなどが好適である。ポンプ等は媒体を脈流かつ乱流にすることが多いので、媒体循環手段2702の突出側に媒体の流れの脈流成分を抑制する機構、例えば空気室を追加するのがよい。または、基板静置槽2705の基板2706より上流側に媒体の流れが整流になるようにする機構、例えば整流板を装着するとなおよい。配向繊維を懸濁させた媒体2701を循環させながら、媒体除去手段2703で徐々に除去し矢印2707のように循環系から排出する。すると、次第に媒体中の配向繊維の密度が上昇し基板706上に配向繊維が媒体の流動方向に沿って一軸配列した状態で積層してゆく。媒体除去手段は特に限定されないが、配向繊維は通過できないが媒体は通過できるフィルタとろ過した媒体のみ排出する機構の組み合わせや、媒体を蒸発させる機構などが好適である。媒体の流速、循環時間等の条件は、基板の形状・大きさ、繊維の長さや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
また、もし工程Eで作成される配向繊維が基板の長辺より長く、かつ直線状ではない場合、基板上に繊維を分散・積層した後、基板を振動させてほぼ一軸配列させる。その後、繊維の一端を基板の端に固定し、その上で流動配列させると繊維が直線状になってより配向度の高い連続配向体が期待できる。
以上、工程Fで媒体の流動を外力とする方法について述べたが、この方法は工程Eで作成される配向繊維が1mmから10cmと長い場合に適している。また、工程Eで繊維を作成した後、繊維内部の溶媒の不均一な蒸発などによって繊維が湾曲してしまった場合に有効な方法である。また、工程Eが化学繊維の紡糸工程の様に延伸した繊維をホイールに巻き取って回収しその後適当な長さに切断して工程Fに供する為に配向繊維が弓なりに湾曲している場合に、特に有効な方法である。
(溶解による連続配向体の作成)
次に工程Gで用いられる、溶解による連続配向体作成について更に詳細に説明する。
工程Eで、高分子を溶媒に溶解して配向繊維を作成した場合、同じ溶媒を用いて工程Gで作成した一軸配向単結晶群を半溶解状態にして連続配向体にすればよい。この際、配列繊維群を完全に溶かしてしまうと、繊維内の配向した分子が乱され作成後の連続配向体の配向度が低下してしまう危険がある。その為、表面のみ溶解して内部には溶媒が十分に浸透せず固定状態を保ったままでいるように繊維と溶媒との接触時間を制御する必要がある。この時間は高分子の種類や溶媒によって異なるので、事前に検討して決めればよい。また、溶媒を吸収して溶解状態になったものから急激に溶媒を蒸発させると、溶媒の発泡によって繊維と繊維が接合した部分の配向した分子が乱され作成後の連続配向体の配向度が低下してしまう危険もある。このため、配列繊維群を数ppmオーダーの溶媒蒸気に所定時間曝して表面のみ溶解状態にした後、1時間程度かけて徐々に溶媒蒸気を除去/大気との置換を行う配慮が重要である。具体的な濃度、時間等は高分子、溶媒の種類、配向繊維の太さや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
以上、工程Gで表面のみ溶解状態にすることによって連続配向体を作成する方法について述べた。この方法は高分子を分子レベルで均一な連続配向体に出来る上、工程Eとおなじ溶媒を用いれば配列繊維群の挙動が予測しやすく工程の各種条件を決めやすい方法である。
(溶融による連続配向体の作成)
次に工程Gで用いられる、溶融状態による連続配向体作成について更に詳細に説明する。
工程Eで、高分子を加温溶融して配向繊維を作成した場合、同様に加温して工程Gで作成した一軸配向単結晶群を半溶融状態(個々の繊維の表面のみ溶融状態)にして連続配向体にすればよい。この際、配列繊維群を完全に溶かしてしまうと、繊維内の配向した分子が乱され作成後の連続配向体の配向度が低下してしまう危険がある。その為、表面のみ溶解して内部には溶媒が十分に浸透せず固定状態を保ったままでいるように繊維と溶媒との接触時間を制御する必要がある。また、配列繊維群を1℃/分から2℃/分の穏やかな温度上昇速度で上昇させ融点またはガラス転移点のどちらか低い方に近づく前に温度を一定にしてそれ以上は上げない、といった配慮も重要である。具体的な温度上昇速度、時間等は高分子、配向繊維の太さや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
以上、工程Gで溶融によって連続配向体を作成する方法について述べた。この方法は高分子を分子レベルで均一な連続配向体に出来る上、基板を加温手段に静置するだけなので、工程Gの設備を工程Fの設備に組み込んで工程Fの後外力を加えたまま工程Gを行うことが容易な方法である。
なお、表面のみの溶解または溶融による連続配向体作成を行う場合、もし高分子の分子構造及び/または立体構造が圧力等で変性しないものであれば、同時に一軸配列繊維群をプレス機等で加圧すればより薄く均一な連続配向体が作成できる。ただこの際、加圧されて厚さが薄くなり広がってしまうと、繊維内の配向した分子が乱され作成後の連続配向体の配向度が低下してしまう危険がある。このため、加圧する際に対象物が一軸方向にのみ伸びるようにプレス機の型を作成し、型の軸方向と配列繊維群の配列方向が平行になるようにして加圧する、といった配慮が重要である。具体的な圧力、時間等は高分子、配向繊維の太さや量などによって最適な値が変わってくるため、事前に検討して決定すればよい。
(固定による連続配向体の作成)
次に工程Gで用いられる、一軸配列繊維群を固定することによる連続配向体作成について更に詳細に説明する。
固定には2つの方法がある。1つは、配向繊維を一軸配列した状態で片側に粘着物が付いたシートに貼り付けたり包んだりする(ラミネートパックする)方法である。工程Fで基板上に一軸配列した繊維群を基板ごと固定してもよい。
もう一つは、配向繊維を一軸配列した状態で他の樹脂中等に包埋して固めてしまう方法である。工程Fで基板と繊維との摩擦を小さくする為に繊維を媒体に懸濁させる方法について触れた。この媒体にアクリレート等の重合性モノマーに過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を添加した流動性の素材、UV硬化樹脂といったの何らかの外的な刺激で固化する流動性素材、高分子より融点が大幅に低い流動性素材を用いてもよい。配向繊維が配列した後に、流動性素材に刺激を与えるか、または温度を下げれば、一軸配列繊維群を媒体ごと固化させることができる。
これらの方法を用いる場合、連続配向体デバイスが偏光/偏向フィルタならば、基板として用いる固定用のシートまたは固化媒体は必要な波長を透過する無配向の素材であれば特に限定されない。例えば、媒体にメチルメタアクリレートに過酸化ベンゾイルを添加したものを用い配向繊維を配列させた後50℃に加温する。媒体にポリウレタンアクリレートにベンゾフェノンを添加したものを用い配向繊維を配列させた後紫外線を照射する、といった方法が好適である。
以上、工程Gで固定及び/または固化によって連続配向体を作成する方法について述べたが、この方法は配向繊維の高い配向度を維持したまま簡単に連続配向体に加工できるという利点がある。
次に、第三の発明を詳細に説明する。
本発明による螺旋型置換ポリアセチレンからなる連続配向体の製造方法は、基板上に螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を線状に塗布する工程、前記溶液中の溶媒を蒸発させる工程を有することを特徴とする。
本発明による線状に配置した長周期の螺旋構造を有する螺旋型置換ポリアセチレンを備えたデバイスの製造方法は、基板を用意する工程、基板上に螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を線状に塗布する工程、前記溶液中の溶媒を蒸発させる工程を有することを特徴とする。
前記線状の形状が幅5mm以下、長さと幅とのアスペクト比(長さ/幅)が2以上であることが好ましい。
前記線状の形状が幅2mm以下、長さと幅とのアスペクト比(長さ/幅)が5以上であることが好ましい。
溶液を線状に塗布する工程が、描画法、印刷法またはインクジェット法により行われることが好ましい。
本発明の原理を模式的に説明すると以下のようになる。
ひも状・棒状の分子形状をした半導体/良導体有機高分子材料である螺旋型置換ポリアセチレンは、クロロフォルム等の溶媒に容易に溶解する。この螺旋型置換ポリアセチレンは自己組織的に結合して分子の方向がそろって密に集積した状態のカラムナ構造を作る特徴を持っている。その為、螺旋型置換ポリアセチレンの溶液から溶媒が蒸発し溶液中の濃度が上昇すると、無秩序に凝集するのではなく自然に分子同士が結合して分子の方向がそろった分子束を形成する。
基板上に滴下した螺旋型置換ポリアセチレンの液滴の内部では、上述のように、溶媒の蒸発に伴って分子束が形成されつつ溶媒の蒸発に伴って基板上に分子及び分子束が配向した状態で基板上に析出する。液滴が最後まで残り溶液が複雑に流動する微少な部分を除いて、線状の液滴の線方向に向かって配向すると考えられる。また、液滴が直線形状である必要はない。液滴が角度を持って折れ曲がった形状になると、その部分で配向方向の連続性が低下する危険があるが、曲線や蛇行した線ならその線方向とベクトルを合わせるように高分子の集合体は連続的に配向する。
ここで流動配向について再度説明する。流動配向とは一般に、ひも状・棒状といった二次元的に異方性を持つ形状のものを一軸方向に配向させる方法の一つである。この方法はひも状・棒状のものを液体または気体の媒体に懸濁し、この媒体を何らかの手段を用いて一定方向に流動させることによって、この異方性を持つ形状の物体が最も抵抗の少ない方向に配列する現象を利用したものである。本発明は、基板上に液滴を静置するだけなので、液の流れを発生させる工程や液を動かす為の手段を必要とする流動配向とは異なる。これは、基板上の線状の液滴中の溶媒の蒸発に伴い、分子が配列し、完全に溶媒が蒸発した時点で線状の高分子集合体全体が線状の配向体になる、と考えられる。
これらの観点より、一定の平坦さを持った基板上に一定のアスペクト比(長さ/幅)を持った線状の液滴を塗布した場合、溶媒の蒸発に伴って、螺旋型置換ポリアセチレンは分子束を形成する。さらに、線状の液滴の影響を受けて線の方向と同一の方向に並び、溶媒が完全になくなり固体状態になる頃には高配向かつ高密度な配向体になる、と考えられる。
次に、本発明による高分子の連続配向体およびこの連続配向体を配したデバイスの製造方法は、下記のH、Iの二工程より成る。以下に、この方法に用いられる高分子および各工程について具体的に説明する。
(螺旋型置換ポリアセチレンについて)
まず、本発明に必須の螺旋型置換ポリアセチレンの原理を模式的に説明すると以下のようになる。
本発明における螺旋型置換ポリアセチレンは側鎖構造を制御することにより溶解性を制御できるため、可溶性の導電性高分子材料として用いることが出来る。溶解性を付与する側鎖構造としては、直鎖及び分岐のアルキル基等が挙げられる。また、その螺旋構造はポリアセチレン主鎖の交互二重結合により構成されているため、剛直性の高い棒状の形状を有するため、導電性の分子ワイヤとして用いることが可能である。
本発明において、導電性分子ワイヤは絶縁構造としての非共役官能基で被覆されているため、分子間の電気的接触を制御している。このため、被覆された導電性分子ワイヤとして分子素子の配線材料へ利用することが出来る。また、本発明において、導電性分子ワイヤは一分子で用いることもでき、数分子が集まった分子束構造や薄膜のようなバルク構造でも使用することができる。
Rh錯体触媒により合成した置換ポリアセチレンは擬ヘキサゴナル構造を形成しており、この構造中では図10に示すようにポリアセチレン主鎖はシス−トランソイド構造の交互二重結合が捻じれた螺旋構造を形成している。また、その螺旋構造は二重結合3100、3101、3102の3ユニットでほぼ一回転する3/1螺旋に近い構造である(Macromol.Chem.Phys.,203,66から70頁、2002年)。
本発明では、上述のように主鎖が螺旋構造で長い距離に渡ってこの構造を維持している置換ポリアセチレンを螺旋型置換ポリアセチレンと定義する。上記螺旋型置換ポリアセチレンの主鎖方向の螺旋の間隔は長い距離に渡って一定であるため、導電性が期待できる。上記螺旋型置換ポリアセチレンは、主鎖方向に大きな導電性の異方性を有するため、良好な溶解性を有する良導体または半導体の分子ワイヤとして用いることが出来る。
図10では側鎖にフェニル基が存在するが、上記螺旋型置換ポリアセチレンでは、特に側鎖に単環及び/または多環の芳香族環の存在が必須ではない。
この螺旋型置換ポリアセチレンはバルク、薄膜又は分子状等の様々な構造での導電性材料として用いることが出来る。以下,本発明の導電性材料である螺旋型置換ポリアセチレンについて更に詳しく述べる。
置換ポリアセチレンの構造としては、炭化水素基、ハロゲンや炭化水素基で置換されたエーテル、チオエーテル基等または置換、無置換の環状炭化水素がある。さらに、非共役へテロ環、任意の長さのメチレンオキシド鎖、エチレンオキシド鎖等の非共役置換基を側鎖に有していれば良い。
置換ポリアセチレンの構造としては特に限定されるものはないが、例えば式1に示すような構造が挙げられる。
式中、Zは鎖状、環状の炭化水素の他、ヘテロ原子や金属原子を有する置換基を示す。より具体的には例えばフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エチルエステル基、メチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
Z’はZと同様の置換基のほか水素原子でも良い。nはXに結合している水素を置換する官能基の数を示し、nの値は1から20の整数である。
螺旋型置換ポリアセチレンの合成は、遷移金属錯体を触媒として用いて、アセチレン化合物を周知の方法により製造する(Nanoletters,2,877から880頁、2002年)。
遷移金属錯体としては、ロジウム(ノルボルナジエン)塩化物二量体([Rh(NBD)Cl]2)やロジウム(シクロオクタジエン)塩化物二量体([Rh(COD)Cl]2)等のロジウム化合物が挙げられる。特に[Rh(NBD)Cl]2が好ましく用いられる。助触媒としてアミンやリチウム化合物、燐化合物等が挙げられ、特にトリエチルアミンが好ましく用いられる。また、ロジウム錯体の二量体のみでなく、Rh[C(C65)=C(C652](NBD)((C653P)のような単量体を用いても良い。溶媒としてはクロロフォルムやテトラヒドロフランのような非極性溶媒だけでなく、エチルアルコールやトリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、水のような極性溶媒が挙げられ、特にクロロフォルム、エチルアルコール、トリエチルアミンが好ましく用いられる。これらの溶媒は単独もしくは組み合わせて用いることが出来る。CODはシクロオクタジエンを、NBDはノルボルナジエンを表す。
高次構造としてはバルク、薄膜等の構造が考えられる。螺旋型置換ポリアセチレンの生成は長周期に欠陥の無い螺旋構造を形成することが必要であり、集合構造は必須ではない。このため、螺旋型置換ポリアセチレン構造は主鎖方向に電気伝導性の異方性を有する単一分子の導電性分子ワイヤとして用いることが出来る。さらに絶縁被覆層で分子間の電気的接触を抑制しているため、被覆された良導体または半導体分子ワイヤとして用いることが出来る。本発明の高分子良導体及び/または半導体材料は、次のように作成する。まず、例えば、クロロフォルム、テトラヒドロフランのような有機溶剤の溶液を作成する。そして、例えばシリコン基板上にパターニングした金,白金等の金属電極上に塗布することで薄膜状の高分子良導体及び/または半導体材料として使用する。
本発明の螺旋型置換ポリアセチレンの長さは典型的には数nmから数μm程度であるが、重合度の制御によりその長さを変えることが出来る。数ナノメートルから数100nmのギャップを有するナノ電極は、例えばシリコン基板上に堆積した金薄膜をFIB等の手法を用いてパターニングして作成することが出来る。そのナノ電極上に電極間距離よりも長い螺旋型置換ポリアセチレンを塗布することでナノ電極間を螺旋型置換ポリアセチレンでつないだ構造を形成する。この電極構造における導電機構では電極間が単一分子で橋かけされており、分子間のホッピングによるキャリア移動が抑制されるため、導電キャリアの移動度が向上する。
(工程H、基板上に螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を線状に塗布する工程)
前述の螺旋型置換ポリアセチレンを溶解する溶媒は、螺旋型置換ポリアセチレンを溶解するもので、かつ後述するデバイス基板や液滴塗布手段を溶解及び/または変性させないものであれば特に限定されない。螺旋型置換ポリアセチレンは、置換基によって多種多様なものが作成しうるが、例えばクロロフォルムはその多くを溶解することが可能で、かつ常温での揮発性が高いので、後述する工程Iでの溶媒蒸発速度を制御する手段を簡略化するか省略出来る利点がある。蒸発速度を遅くしたい場合は、揮発性の低いトルエンやTHFなども使うことが出来る。また、メチルアルコールならば、置換基の違いによる溶解性に関してはクロロフォルムに若干劣るものの、取り扱いが容易でかつ安価な上、クロロフォルムでは溶解するがメチルアルコールでは溶解しないプラスチックが多いため基板の材質の選択範囲が広がる。更に、置換基の中に−NH+Cl-といった電離するものを組み込むことで水溶性を付与した螺旋型置換ポリアセチレンを用いるならば、純水またはその他水系の溶媒を用いても良い。この場合は、有機溶媒に比べて廃液/排気ガスの処理が容易または不要になる利点がある。また、後述するように、この溶媒を用いたポリアセチレンの溶液を意図した形状で基板上に塗布するため、溶液が基板上で一定の形状を維持する必要がある。そこで、この目的のために溶液に増粘剤等を添加し、後述の溶液塗布工程に支障が出ない範囲で粘度を上げても良い。
固体形状の螺旋型置換ポリアセチレンを上述の溶媒に溶解すればよい。溶液を1μm以下の孔径のフィルタでろ過して溶液中の溶け残り成分などを除去しておけば、基板上に作成される線状の配向体の均一性がよりいっそう向上する。
次に、デバイスを作成する基板は、工程Hの溶媒で溶解及び/または変性しない素材/またはそのような素材で表面が覆われたものであれば特に限定されない。ただ、後述するように、溶液を基板上に線状形状に塗布する必要があるため、溶媒の液滴を基板上に滴下した際の接触角が10度を下回り流出してしまうような、例えば溶媒が水の場合の超親水処理を施した基板等は避けた方がよい。また、例えば溶媒が水の場合に基板表面に撥水処理を施すような、液滴の接触角が10度を上回るような処理を基板表面に施すとなお良い。
本発明において、螺旋型置換ポリアセチレンの分子は溶媒蒸発時の溶液液滴の流動によって高度に配向するため、基板表面は均一で凹凸は少ない方がよい。ただ、液滴の高さは高いものでは1mmを超えることも多い。よって、基板上に電極等を設けた基板表面と電極表面の間に1μm以下の段差が生じることもある。しかし、その段差周辺で局部的に螺旋型置換ポリアセチレンの分子の配向方向は乱れるものの、全体としては大きな課題はない。また、電極領域周辺の窪んだ部分を非導電性素材で埋め導電性領域と非導電性領域の高低差を無くせばなお良い。
次に、塗布する液滴の線状の形状であるが、同様に液滴中の液の流動による配向を利用するため、線状の長さと幅の絶対値とアスペクト比に配慮する必要がある。
まず幅の絶対値であるが、前述のように液滴は軸方向に向かっても収縮するためあまり幅が広いと溶媒の蒸発に伴う液滴の軸方向への収縮により分子および分子束が軸方向に向かって(つまり、線方向と垂直に)配向する部分が無視できない大きさになる。この為、完全に溶媒が蒸発した後に得られる高分子の集合体は、線方向に一様に配向せず、周辺部は軸方向に向かって配向し、中心部は線方向に配向するという複雑な配向体になってしまい、期待通りの性能を発揮できない可能性がある。この点を考慮して、本発明者等は実験を繰り返したが、液滴の粘度や基板との相互作用などによっても左右されるが、液滴の幅は5mm以下、好ましくは2mm以下ならば、溶媒蒸発後に一様に配向した高分子の集合体が得られることがわかった。
更に、アスペクト比であるが、1前後では配向方向が規定されず、また1以上だとしても小さいと意図した一軸方向へ十分配向せず、結果的に作成される高分子の集合体の配向度が極端に低下したり配向方向が蛇行してしまう。この点を考慮して本発明者等は実験を繰り返したが、液滴の粘度や基板との相互作用などによっても左右されるが、アスペクト比は2以上、好ましくは5以上ならば、良好な配向体が得られることがわかった。
実際に工程Hで用意した螺旋型置換ポリアセチレンの溶液を基板上に線状に塗布する方法は、特に限定されない。例えば、細管の開口端から溶液を流出させながら細管を基板上で移動させる/刷毛・筆・スポンジ等にふくませた後その一端を基板上で移動させる描画法がある。この方法における細管等の開口端や刷毛等の一端を以後「ペン先」と表現する。インク液を塗布する形状の版を用いて溶液を基板上に転写する印刷法、基板上の必要な部分に微少なインク液の滴弾を噴射するインクジェット法などが好ましい。
描画法について説明する。この方法では、ペンとして描画に用いられる溶液連続的な供給手段としては、溶液を充填した容器やシリンダを使用すればよい。この場合、図11のように、容器/シリンダに接続された注射針やピペットチップのような細管の開口端がペン先3203となり、ここからインク液を流出させながらペンを基板上で移動させることで意図した線状形状の液滴3202が作成される。この時、ペン及びペン先を移動させる手段としては、特に限定されないが、手、XYプロッタ、ロボットアームなどが用いられる。
この方法は、汎用的に用いられるペン先を持った描画用のペンを準備するだけなので、作成するパターンの確認の為にデバイスを数枚作成するといった場合の簡便な試作に適している。
次に、図12により、印刷法について説明する。図12(a)に示す様に、基板上に転写するために使用する版としては、凸版、凹版、謄写版(孔版)、平板など一般的に印刷に用いられるものを使うことが出来る。作成するパターンの大きさ・精度などに応じて適したものを選べばよい。また、版の素材は溶媒に溶解/変性しないものならば特に限定されないが、一般的に印刷に用いられているものを用いればよい。平板法の場合は、インク液であるポリアセチレン溶液の溶媒が疎水性の有機溶媒の場合は、表面が親水部分で作成された基板上に作成する形状の鏡面形状の疎水部位を作成すればよい。謄写版以外の場合は、図12(b)のように版をポリアセチレンの溶液3303に浸し、次に図12(c)のように版の一部(図12では凸版なので凸部分3302)にポリアセチレン溶液3306を付着させる。これを図12(d)のようにデバイスを作成するための基板3308に接触させ、最終的に図12(e)のように基板3308上に意図した形状のポリアセチレン溶液の液滴3309を転写する。謄写版の場合は、まずデバイスを作成する基板に版を重ね、上からポリアセチレンの溶液をインク液として注げばよい。また、必要に応じて、謄写版上のインク液をへらやローラ等で広げれば、基板上へ塗布される液滴がより均一になる。
この方法は、まず版を作成する必要があるが、同一デバイスを大量に生産する場合に、低コスト・高スループットの方法として適している。
インクジェット法について更に説明する。この方法では、図13のようにパソコン等の制御装置(不図示)で制御されたインクジェットプリンタのインクノズル3403を矢印3404方向にラスタスキャンさせる。必要に応じてポリアセチレンの溶液の微少なインク液の滴弾3405を基板上の微小ギャップ電極3401a、3401bの上に吹き付け、基板上でこの液滴がつながって一体化した液滴3402となり最終的に意図した形状の液滴になる。インクノズルから溶液を吹き付ける方法は特に限定されない、溶液を機械的に突出させる方法や小型ヒータを使って加熱して発泡させその泡による体積の増大を駆動力にする方法などが挙げられる。また、精巧な形状を描画する場合、インクノズルからの一回に突出される微少なインク液の滴弾の量を少なくする必要があるが、あまり少なすぎると単位面積あたりに必要な量のポリアセチレンを乗せることが出来なくなる。この場合は、数回同じ所に微少なインク液の滴弾を吹き付けても良い。また、この図13ではインクノズル3403をラスタスキャンさせている。作成したい液滴のパターン形状によっては、その形状をなぞるようにインクノズル3403をベクタスキャンした方がスループットが向上する場合がある。どちらを用いるかは適宜判断すればよい。
この方法は、精巧なパターンの作成に適している。また、高速なインクジェットプリンタを用いれば、パターン形状の検討といった試作段階から大量生産にまで幅広く対応できる。
描画する液滴の形状は前述のように線状でなければならないが、描画法やインクジェット法を用いる場合、必ずしも1本の線を一度のペン先またはインクジェットノズルの移動で作成する必要はない。溶媒が蒸発せず基板上に残留している間に一定の領域をペン先またはインクジェットノズルで塗り込み、最終的に一体化した線状の液滴を作成できればよい。もちろん、ペン先またはインクジェットノズルの移動方向と最終的にできあがる線状の液滴の軸方向とが一致している必要もない。また、描画法やインクジェット法では、ペン先やインクジェットノズルを複数用意して一度に複数の領域へ液滴を塗布しても良い。また印刷法の場合、複数の版を用意して、基板上に順次転写を行い最終的に複数の版のパターンを合わせた形状の液滴を塗布しても良い。
作成される配向体中の螺旋型置換ポリアセチレンの量は塗布する液滴の濃度と量によって決定される。しかし、最適な塗布量は螺旋型置換ポリアセチレンの側鎖の種類、溶媒の種類、濃度、温度等により決まると思われる溶液の粘度や表面張力によっても左右される。また、更に基板と溶液との親和性によって変化する接触角によっても、基板の単位面積あたりに乗せることが可能な液滴量が変わる。この為、作成するデバイスの性質に応じて最適の事前に塗布する液滴量を検討して決定すればよい。なおここで実際に液滴量の制御は、描画法の場合はペン先からの溶液の吐出速度及びペン先の移動速度、印刷法では凸版等の形状および素材、インクジェット法ではノズルからの吐出速度及びノズルの移動速度の制御によって行われる。
また、同様に基板上に塗布された線状の液滴の幅に対する実際に作成された配向体の幅や、複数の線状の液滴を狭い間隔で平行に塗布する場合に最低どの程度の間隙が必要かも上記の塗布量と同様に様々な要因が関わるため、事前に検討して最適値を決定すればよい。
(工程I、溶液中の溶媒を蒸発させる工程)
上記の様にして基板上に意図した形状の液滴を作成した後、溶媒蒸発工程で乾燥させればよい。
上記の説明でも述べたように、螺旋型置換ポリアセチレンの分子は溶媒蒸発時の溶液液滴中の液の流動によって高度に配向するため、分子の配向度すなわち基板上に形成される螺旋型置換ポリアセチレン集合体の性能は蒸発速度に左右される。最適な値は溶液の粘度や基板によっても変わるため、事前に検討して決定すればよい。
このように蒸発時間に配慮すれば、蒸発工程はどの様な方法を用いても良い。例えば、溶媒にクロロフォルムのような揮発性のものを用いたところ、室温で約10分程度で自然乾燥して溶媒が完全に蒸発し、十分な配向体が得られることがわかり、特別な蒸発制御手段は不必要であることがわかった。沸点が高い溶媒や低い溶媒を用いる場合は、基板を温度の制御が可能な台または容器に静置するか、及び/または基板を内部の気圧や気化した溶媒の分圧の制御が可能な密閉容器に静置するなどの方法で、溶媒の蒸発速度が適切になるよう制御すればよい。なおこの際、加温・減圧によって溶液が沸騰し溶液内部に気泡が発生して意図しない液流が発生しないように配慮する必要がある。
また、基板が振動したり、一方向に極端に傾いたり、基板表面に基板と平行方向の空気等の移動が存在したりして、溶媒蒸発時に液が蒸発による移動以外の要因で移動したり、特定部位に集中すると均一な高分子の集合体の作成や意図した方向への配向が困難になる。この為、蒸発工程は、振動・傾斜・気流が少ない環境または装置内に基板を静置して行うのが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳述するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
実施例1
本実施例は、工程Cに磁場配向法を、工程Dに溶解法を用いてポリアセチレンの連続配向体を作成した例である。
高分子として、下記の式2に示すように、アミド基のN側にオクチル基を結合したものをパラ位に結合したフェニル基を持った構造の置換ポリアセチレンを用意した。この置換ポリアセチレンはクロロフォルムに容易に溶解するがメチルアルコールには不溶である。
このポリアセチレンの黄色い粉末10mgを一片約1.8cmの正方形の石英ガラス上に分散した。
次に、内容積が約13mLのガラスシャーレを用意し、底部に0.5mLのクロロフォルムを滴下し、一片5mmの立方体のガラスを静置し、その上に前述の表面にポリアセチレンの粉末を分散した石英ガラスを乗せ、ふたをした。この状態で、石英ガラス表面の配列結晶は直接クロロフォルムの溶液に触れることはないが、およそ5ppm程度のクロロフォルム蒸気に曝される。この状態で、シャーレを室温で約1時間静置したところ、石英ガラス表面の粉末は色が黒っぽく変化していた。
次に、この石英ガラスを顕微鏡で観察したところ、個々の粉末は直径約500μmから2mm程度であった。また、ポラライザとアナライザをクロスニコルにして視野を暗くした状態の偏光顕微鏡の回転ステージを回した。その結果、同一の粉末でもステージを回転させるにつれて異なる部分が赤色に光り、一つの粉末が様々な方位に配向した微少な結晶から成る多結晶体であることがわかった。
次に、このポリアセチレンの多結晶体粉末を、試験管に入った約0.5mLのメチルアルコールに混合し、溶液に出力20Wの超音波ホモジナイザのホーンを挿入して1秒ON1秒OFFのサイクルで5分間粉砕して、ポリアセチレン微粉末の懸濁液とした。この懸濁液の一部を取って顕微鏡で観察したところ、個々の微粉末は直径約1μmから20μm程度であった。また、偏光顕微鏡の回転ステージを回したところ、個々の微粉末は一定方位で全体が赤色に光り、一つの微粉末が一方位に配向した単結晶である粉砕微結晶ことがわかった。
次に、一片約1.8cmの正方形の石英ガラスの上に前述のポリアセチレン粉砕微結晶懸濁液を滴下し、石英ガラスの表面が磁力線に平行で重力に垂直になるようにした。そして、チャンバ中心付近の磁場が約8Tの冷凍機冷却型超伝導磁石(住友電工社製)705のチャンバ中心付近に静置した。約1時間超伝導磁石で磁界を発生させたところ、基板上のメチルアルコールは完全に蒸発し、石英ガラス上の粉末の大部分が一ヶ所に密集したような状態の結晶群になっていた。この石英ガラスを偏光顕微鏡の回転ステージに乗せて観察したところ45度ごとに一群の微結晶群全面が明るく赤色に光ったり消光して暗くなったりした。このことから、微結晶群全面が一軸配向単結晶群になっていると推測できた。
次に、内容積が約13mLのガラスシャーレを用意し、底部に0.5mLのクロロフォルムを滴下し、一片5mmの立方体のガラスを静置し、その上に前述の表面に結晶群が付着した石英ガラスを乗せ、ふたをした。この状態で、石英ガラス表面の結晶群は直接クロロフォルムの溶液に触れることはないが、およそ5ppmのクロロフォルム蒸気に曝される。この状態で、シャーレを室温で約10時間静置したところ、石英ガラス表面の密集した微粉末は結合して一枚の連続配向体になっていた。シャーレ内のクロロフォルムは完全になくなっていたので、ふたを開け石英ガラスを取り出した。
最後に、この石英ガラスを偏光顕微鏡の回転ステージに乗せて観察したところ45度ごとに膜全面が明るく赤色に光ったり消光して暗くなったりした。また顕微鏡で膜表面を観察したところ、若干の膜厚のムラは見られたものの完全に融合した1枚の膜であることが確認された。また、偏光吸光光度計(Lambda950:パーキンエルマー社製)で偏光吸光度を測定し320nmにおける二色比(D)を計算したところ、0.41であった。これらから、膜は全面が一軸方向に配向した偏光フィルタになっていることが確認できた。
比較例1
実施例1と同じポリアセチレン粉末をクロロフォルムに溶解し20.0mg/mLの溶液0.5mLを作成した。この溶液を実施例1と同様にスライドグラスに滴下して、約8Tの超伝導磁石のチャンバ内に約1時間静置した。スライドグラス上のクロロフォルムはすべて蒸発しポリアセチレンの薄膜が形成された。この石英ガラスを偏光顕微鏡の回転ステージに乗せて観察したところ、一軸配向していないことが確認された。また、偏光吸光光度計で偏光吸光度を測定し320nmにおける二色比(D)を計算したところ、0.02であった。
実施例2
本実施例は、工程Cに磁場配向法を、工程Dに固定法を用いてポリアセチレンの連続配向体を作成した例である。
高分子として、下記式3に示すように、酸素にヘキシル基が結合したものをパラ位に結合したフェニル基を持った構造の置換ポリアセチレンを用意した。この高分子はクロロフォルムに容易に溶解する。
このポリアセチレンの黄色い粉末を実施例1と同様に石英ガラスの上に分散してクロロフォルム蒸気に約1時間曝したところ、石英ガラス表面の粉末は色が黒っぽく変化していた。
次に、この石英ガラスを顕微鏡で観察したところ、実施例1とほぼ同様の多結晶構造であることがわかった。
次に、このポリアセチレンの多結晶体の粉末を、試験管に入った約0.5mLのUV硬化樹脂(ビームセットAQ−9C、荒川化学工業社製)の溶液に混合した。溶液に出力20Wの超音波ホモジナイザのホーンを挿入して1秒ON1秒OFFのサイクルで5分間粉砕して、ポリアセチレン粉砕微結晶の懸濁液とした。
次に、一片約1.8cmの正方形の石英ガラスの上部に前述のポリアセチレンの粉末微結晶懸濁液を滴下した。石英ガラスの表面が磁力線に平行で重力に垂直になるようにして、チャンバ中心付近の磁場が約8Tの冷凍機冷却型超伝導磁石(住友電工社製)705のチャンバ中心付近に静置した。約1時間超伝導磁石で磁界を発生させた。その後、この基板をチャンバから静かに取り紫外線(ピーク波長365nm)を照射したところ、約5分で硬化した。
最後に、この石英ガラスを偏光顕微鏡の回転ステージに乗せて観察したところ45度ごとに膜全面が明るく赤色に光ったり消光して暗くなったりした。また、偏光吸光光度計で偏光吸光度を測定し320nmにおける二色比(D)を計算したところ、0.28であった。これらから、膜は全面が一軸方向に配向し、赤い光を選択的に透過する偏光フィルタになっていることが確認できた。
実施例3
本実施例は、工程Cに磁場配向法を、工程Dに固定法を用いてポリアセチレンとフィニレンビニレンが混合した連続配向体を作成した例である。
高分子として、実施例2で用いた置換ポリアセチレン及び、下記式4で示すオリゴ(p−フェニレンビニレン)が2つ水素結合したダイマー(以下、OPVダイマーと表記)を
用意した。
ポリアセチレンは実施例2と同様の方法で多結晶体にし、ついで粉砕して微結晶粉末の懸濁液とした。
一方、OPVダイマーは、石英ガラス上に粉末を乗せて窒素雰囲気下で260℃に加熱して融解し、ついで2℃/minの降温速度で冷却して室温に戻したところ粉末が溶融して、石英ガラス上で一体の膜状になっていた。この石英ガラスを顕微鏡で観察したところ、膜は多結晶構造であることがわかった。次にこの膜を石英ガラスから剥離し、ポリアセチレンと同様にUV硬化樹脂に混合し、超音波ホモジナイザで粉砕して粉砕微結晶の懸濁液とした。この懸濁液を石英ガラスに滴下して顕微鏡で観察したところ、膜は粉々になり個々の微粒子がそれぞれある特定のステージ角度の時に微粒子全体が黄色に光る粉砕微結晶に成っていることがわかった。
次にこれら二種類の懸濁液を混合し、実施例2と同様に約1時間超伝導磁石チャンバ中に静置し、その後紫外線を照射して固化した。
最後に、この石英ガラスを偏光顕微鏡の回転ステージに乗せて観察したところ45度ごとに固化した部分全面が明るくオレンジ色に光ったり消光して暗くなったりした。また、偏光吸光光度計でこの石英ガラスの固化した部分の透過率を測定したところ、波長約620nm(赤色)と590nm(黄色)の二つの波長の透過率が高いことがわかった。更に偏光吸光度を測定し320nmにおける二色比(D)を計算したところ、0.22であった。これらから膜は全面が一軸方向に配向し、赤色および黄色の光を選択的に透過する偏光フィルタになっていることが確認できた。
実施例4
本実施例は、工程Eに延伸法を、工程Fに磁場配向法を、工程Gに表面溶解法を用いてポリアセチレンの連続配向体を作成した例である。
高分子として、式5に示すように、パラ位にブチル基を結合したフェニル基を側鎖に持った構造の置換ポリアセチレンを用意した。この高分子はクロロフォルムに容易に溶解する。
このポリアセチレンの粉末50mgにクロロフォルムを1mL添加して十分混練しポリアセチレンの軟化した状態にした。ポリアセチレンにクロロフォルムを添加した直後は全粉末が溶解した状態ではないが溶解した部分の液は流動性も良く、延伸しても糸を引いたりはしない。しかし約10分間混練操作を行い全粉末が練り込まれ糸を引く軟化した状態になる頃には、この操作が室温・開放系で行われ特にクロロフォルムの蒸発を抑制していない為、ポリアセチレンのクロロフォルムに対する比率は更に高くなっているものと思われる。
この軟化した状態のポリアセチレンにステンレス製の針を突き刺しすぐ50mmほど引き抜いたところ、図3(b)のように軟化した状態のポリアセチレンと針の先端との間に糸を引いたような状態となった。この糸の中央付近の太さが均一なところを長さ約20mmになるように切り取った。この操作を10回行い、得られた10本の繊維を顕微鏡で観察したところ、すべて太さは5から10μmであった。また、ポラライザとアナライザをクロスニコルにして視野を暗くした状態の偏光顕微鏡の回転ステージを回したところ、45度ごとに繊維全体が明るく青色に光ったり消光して暗くなったりした。このことから、繊維は全体が一軸方向に配向していると推測できた。約5mm間隔で切断し、配向繊維を40本用意した。
次に図5(b)のように、2個のネオジム磁石(ネオジミウム、鉄、ホウ素などを主成分とする磁石)を互いに引き合う様に配置して隙間を約2cmにして固定した。このときの磁石間の磁場強度をテスラメータ(ハンディテスラ/ガウスメータ410、レイクショアー社製)で測定したところ、磁石間のほぼどの位置でも約0.4Tであった。
次にこの磁石の間に図5(b)のように、一片約1.8cmの正方形の石英ガラスを表面が磁力線に平行で重力に垂直になるように固定した。更に、その表面に約1mLの蒸留水を滴下して、その水面に前述の40本の配向繊維を静かに乗せた。この時、それぞれの配向繊維はバラバラな方向を向いていたが、約20分後にはすべての配向繊維が磁力線と同じ方向に配列していた。
次にこの石英ガラス上の水を水面の配列繊維群の配列を乱さないように注意しながらピペットで吸引し、更に風乾して石英ガラス表面や配向繊維に付着していた水分を完全に除去した。
次に、内容積が約13mLのガラスシャーレを用意し、底部に0.5mLのクロロフォルムを滴下し、一片5mmの立方体のガラスを静置し、その上に前述の表面に配列繊維群が付着した石英ガラスを乗せ、ふたをした。この状態で、石英ガラス表面の配列繊維は直接クロロフォルムの溶液に触れることはないが、およそ5ppmのクロロフォルム蒸気に曝される。この状態で、シャーレを室温で約10時間静置したところ、石英ガラス表面の配向繊維群は結合し一枚の膜状になっていた。シャーレ内のクロロフォルムは完全になくなっていたので、ふたを開け石英ガラスを取り出した。
最後に、この石英ガラスを偏光顕微鏡の回転ステージに乗せて観察したところ45度ごとに膜全面が明るく青色に光ったり消光して暗くなったりした。また顕微鏡で膜表面を観察した、その結果、若干の膜厚のムラは見られたものの完全に融合した1枚の膜であることが確認された。また、偏光吸光光度計で偏光吸光度を測定し320nmにおける二色比(D)を計算したところ、0.40であった。これらから、膜は全面が一軸方向に配向した偏光フィルタになっていることが確認できた。
比較例2
実施例4と同じポリアセチレンをクロロフォルムに溶解して、10mg/mLの溶液を作成した。この溶液を実施例1と同様にネオジム磁石を2cmの間隔を置いて並べたものの間に静置した一片約1.8cmのスライドグラス上に1mL滴下した。
約10分後にはスライドグラス上の溶媒はすべて蒸発しポリアセチレンの薄膜が形成された。この石英ガラスを偏光顕微鏡の回転ステージに乗せて観察したところ、一軸配向していないことが確認された。また、偏光吸光光度計で偏光吸光度を測定し320nmにおける二色比(D)を計算したところ、0.02であった。
実施例5
本実施例は、工程Eに摩擦転写法を、工程Fに流動配向法を、工程Gに固化法を用いてポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))の連続配向体を作成した例である。
高分子として、一片約1.5cmのポリテトラフルオロエチレン製の立方体のペレットを用意した。図4のように、このペレットの一辺を、表面をアセトンで洗浄し十分風乾した幅2cmのシリコン基板の表面に約20kgの荷重をかけて押しつけ、20cm/秒の移動速度で一方向に動かしたところ、摩擦した部分がわずかに白っぽくなった。この白っぽくなった部分を切り出し、表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、図14のように太さ約200nmのポリテトラフルオロエチレンの繊維がペレットの移動方向に並んでいた。
同様に摩擦転写を行ったシリコン基板を約100枚用意し、これらをビーカーに入れたUV硬化樹脂(ビームセットAQ−9C、荒川化学工業社製)の溶液に浸漬した。ビーカーごと水槽型超音波洗浄機に入れ、約10分間基板表面を洗浄した。その後、UV硬化樹脂の溶液を交換して再度表面洗浄を行い、基板を抜き、先に洗浄に用いたものと合わせて目視観察したところ若干白濁していた。これを顕微鏡で観察したところ、微少な繊維状のものが懸濁した状態であることがわかった。
次に、図9のような装置を用意し、基板静置槽2705から前述の白濁した懸濁液を注ぎ込み、同時にガラス製のほぼ基板固定槽と内径が同じ基板2706を沈めた。その後、ポンプ2702を動かし懸濁液を循環させながら、ポアサイズが0.22μmのフィルタ2703でろ過したUV硬化樹脂をフィルタの排出側に取り付けたポンプ(不図示)で矢印2707の様に徐々に系外へ引き抜いた。
ガラス基板上部の懸濁液がほぼ無くなり、白濁した基板表面が露出してきた頃、ポンプ2702を止め、基板静置槽2705中から表面の液が流れないように基板2706を静かに取り紫外線(ピーク波長365nm)を照射したところ、約5分で硬化した。
最後に、このガラス基板を偏光フィルタと重ね、フィルタを回転させたところ90度ごとに膜全面が光を透過しなくなり真っ暗になった。このことから、膜は全面が一軸方向に配向し、青い光を選択的に透過する偏光フィルタになっていることが確認できた。
実施例6
本実施例は、ポリアセチレンとポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))の2種類を含有した連続配向体を作成した例である。複数種類の高分子を用いた例である。
まず実施例4と同様にポリアセチレンの配向繊維を作成し、実施例2で用いたUV硬化樹脂に混入した後、超音波ホモジナイザで粉砕した。これを顕微鏡で観察したところ、ポリアセチレンは長さ100μm程度の繊維になっていた。次に実施例5と同様の方法でポリテトラフルオロエチレンの微少な繊維がUV硬化樹脂に懸濁したものを作成した。
両者を混合した後、実施例4と同様の流動配向およびUV硬化樹脂の固定を行い、全面に薄膜が付いたガラス基板を作成した。
最後に、このガラス基板を偏光フィルタと重ね、フィルタを回転させたところ90度ごとに膜全面が光を透過しなくなり真っ暗になった。また、偏光吸光光度計でこの石英ガラスの透過率を測定したところ、波長約460nm(青色)と610nm(オレンジ色)の二つの波長の透過率が高いことがわかった。更に偏光吸光度を測定し320nmにおける二色比(D)を計算したところ、0.22であった。これらから膜は全面が一軸方向に配向し、青色およびオレンジ色の光を選択的に透過する偏光フィルタになっていることが確認できた。
比較例3
実施例4と同じポリアセチレンをクロロフォルムに溶解して10mg/mLの溶液を作成した。この溶液にポリテトラフルオロエチレンを細かく砕いた微少チップを懸濁しようとしたが、ポリテトラフルオロエチレンがクロロフォルムを弾いて液面の一ヶ所に集まってしまった。ポリアセチレンおよびポリテトラフルオロエチレンが共に溶解または懸濁した溶液を作成することはできなかった。
実施例7
本実施例は、工程Hおよび工程Iを用い、ガラス基板上に直線の配線を作成したデバイスを描画法で作成した例である。
高分子として、下記の式6に示すように、側鎖にエチル基のついたプロピオレートを重合した構造の螺旋型置換ポリアセチレンを用意した。この高分子はクロロフォルムに溶解する。
図11のように、あらかじめアセトンで洗浄し、その後十分に乾燥させ実験机上に静置した幅約3cm長さ約6cmのスライドガラスの基板3201を用意した。次に、前述のこのポリアセチレンの20mg/mLのクロロフォルム溶液を作成した。先端が内径1mm外径2mm程度のピペットチップ3203(ポリプロピレン製)の付いた0から200mL分注用ピペッタ(ギルソン社製)で約100μL吸い取り、このピペットチップの先端をペン先に見立て、ピペッタから徐々に溶液を出しながら、基板と平行な矢印3204の方向に、幅約2mmで、長さ10mm移動させ、液滴の直線3202を描いた。
同様の方法で、約5mm間隔で、幅約2mmで、長さ約30mm、50mmの平行な3本の線を描画した。この時線状の液滴のアスペクト比(長さ/幅)は、長さ10mm、30mm、50mmのそれぞれは5、15、25である。
このスライドガラスをそのまま静置したところ、液滴は約10分で完全に固化し、幅約2mm、長さ約10、30、50mmの膜が約5mm間隔で3本並んだものが得られた。
次に、このスライドグラスを互いにクロスニコルの関係になるように設置した2枚の偏光板の間に設置し、下部から光を照射し、スライドグラスを回転させながら上部から観察した。この時、ガラスのみの部分は回転角度に無関係に常に暗い一方で、直線状の膜部分は45度ごとに3本の線のほぼ全体が一度に明るく光ったり消光して暗くなったりし、3本の膜はすべてほぼ全面が一軸方向に配向している事がわかった。
このことから、描画法により、ガラス基板上に幅約2mm、長さ10、30、50mmの直線の配向体が、約5mm間隔で3本形成されたデバイスが作成されていることが確かめられた。
比較例4
実施例7と同様のポリアセチレンのクロロフォルム溶液および洗浄済みスライドガラスを用意した。これに実施例1と同様のピペットチップを付けたピペッタを用いて直径約2mmの円状の液滴を描いた。この時、液滴のアスペクト比は1.0である。
このスライドガラスをそのまま静置したところ、液滴は約10分で完全に固化し直径約2mmの円状の膜が出来た。
次に、このスライドグラスを実施例7と同様の2枚の偏光板の間に設置し観察した。スライドグラスを回転させたところ、膜の一部が不規則に明るく光ったり消光して暗くなったりし、膜が部分的に無秩序に配向していることがわかった。
このことから、アスペクト比が1.0では配向した膜が作り込まれたデバイスを作成できないことが確かめられた。
比較例5
実施例7と同様のポリアセチレンのクロロフォルム溶液および洗浄済みスライドガラスを用意した。これに、内径2mm外径4mm程度のピペットチップ(ポリプロピレン製)の付いた0から1000mL分注用ピペッタ(ギルソン社製)で、幅10mm長さ約30、50mmの直線状の液滴を描いた。この時線状の液滴のアスペクト比は3、5である。
このスライドガラスをそのまま静置したところ、液滴は約10分で完全に固化し幅約10mm、長さ約30、50mmの膜が出来た。
次に、このスライドグラスを実施例7と同様の2枚の偏光板の間に設置し観察した。スライドグラスを回転させたところ、ある角度で膜の中心軸付近が一直線に明るく光ったが、その明るい直線の周辺は部分的にその直線と直交する方向に縞状に光った。これらの明るい部分は、スライドガラスの回転に応じて45度ごとにほぼ同時に明るく光ったり消光して暗くなったりし、膜の中心軸付近は線方向に配向しているものの、周辺部分は配向部分と無配向または低配向の部分が混在した状態になっていることがわかった。
このことから、液滴の幅が10mmでは長軸方向に配向した膜が形成されたデバイスを作成できないことが確かめられた。
実施例8
本実施例は、工程Hおよび工程Iを用い、ガラス基板上に曲線の配線を形成したデバイスを印刷法で作成した例である。
実施例7と同様のポリアセチレンのクロロフォルム溶液および洗浄済みスライドガラスを用意した。次に図12(a)に示すような、縦5cm横3cmのアルミニウムの平板上に、円を2つに切断しその一方を円の直径の距離だけずらしてつないだような形状の幅約2mm、長さ約6cmの曲線状の突起部分3302を深さ5mm程度で彫り込んだ凸版3301を作成した。
次に図12(b)のようにこの凸版3301を矢印3305の下方向に移動した。凸の部分3302を容器3304中のポリアセチレンのクロロフォルム溶液3303に浸し、矢印3305の上方向に上げると、図12(c)のように、凸の突起部分3302にポリアセチレンの溶液3306が付着する。次に、図12(d)のように矢印3307の下方向に凸版を下げてスライドグラス基板3308にゆっくり押し当て、すぐに矢印3307の上方向に凸版を下げて離したところ、図12(e)のようにスライドガラス表面に幅約2mm、正弦波状の曲線の液滴3309が転写塗布された。
このスライドガラスをそのまま静置したところ、液滴は約10分で完全に固化し幅約2mm、正弦波状の曲線の膜が出来た。
次に、このスライドグラスを実施例7と同様の2枚の偏光板の間に設置し観察した。この時、ガラスのみの部分は回転角度に無関係に常に暗かった。一方で曲線状の膜部分はその曲線の接線ベクトルが同一の部分が一度に明るかった。スライドグラスを回転するに従って連続的に光る部分が移動して行き、45度回転した位置で、光っていた部分が最も暗くなった。また、曲線上で光っている部分の接線ベクトルを調べると、常に同一方向または直交方向であることがわかり、曲線の膜はほぼ全体が連続的に線方向に向いて配向している事がわかった。
このことから、印刷法により、ガラス基板上に幅約2mm、長さ6cmの曲線状の配向体が形成されたデバイスが作成されていることが確かめられた。
実施例9
本実施例は、工程Hおよび工程Iを用い、電極を作り込んだシリコン基板上の電極ギャップ間に薄膜を作成したデバイスをインクジェット法で作成した例である。
高分子として、下記の式7に示すように、側鎖に、アミド基のN側にエチルヘキシル基を結合したものをパラ位に結合したフェニル基を持った構造の螺旋型置換ポリアセチレンを用意した。この高分子はメチルアルコールに溶解する。
この螺旋型置換ポリアセチレンを用い、10mg/mLのメチルアルコール溶液を作成し、これをインクジェットプリンタ(PIXUS950i、キヤノン社製)のインクカートリッジに充填し、このカートリッジをプリンタに装着した。次に、表面を酸化シリコンで被覆したシリコン基板表面にギャップ幅500nmの金電極を複数個作成し、アセトンで表面を洗浄したものを用意した。金電極の膜厚は約100nm、つまり電極と基板の間には100nm前後の段差があることになる。
次に、このシリコン基板を前述のインクジェットプリンタのトレイに装填した。インクジェットプリンタを接続したパソコン上の描画ソフトによって、図13のように、一対の電極3401a、3401bのギャップを横断しギャップ方向と液滴の長軸方向が直交するようにした。そして、幅約0.1mm、0.5mm、1mm、2mm、5mm、長さ40mmの直線状や曲線状の液滴3402を塗布した。インクジェットプリンタのノズル3403から打ち出される一個の微少なインク液の滴弾3405の体積は1pL(10−9cm)、直径は、およそ10μm、だった。微少なインク液の滴弾を吸収しない基板に着弾させた際には直径約20μmの半球状態になり、本デバイス作成用のプリンタとしては溶液の噴射量が少ない。この為、4回繰り返し重ね打ちをすることで、基板上に必要な量の液滴を塗布した。事前のテストでインク塗布直後の基板を実体顕微鏡で観察し、吹き付けられた個々の液滴は互いに融合して一体化し、幅約0.1mm、0.5mm、1mm、2mm、5mmで、長さ40mmの液滴になることを確認した。
この電極付き基板をそのまま静置したところ、最も狭い幅0.1mmの液滴は約1分で、最も広い幅5mmの液滴は30分で完全に固化した。幅5mmの液滴のみ若干幅が収縮しておよそ4mm程度になったが、それ以外はほぼ液滴の幅がそのまま膜の幅になった。
このシリコン基板を落射型偏光顕微鏡の回転ステージに乗せ観察した。幅5mmの液滴から出来た膜の周囲の明るさが若干劣るもののそれ以外はすべての膜のすべての部位がほぼ同じ明るさに光った。ステージを回転させると直線は同じ角度で、曲線は接線ベクトルが同じ部分が明るくなったり暗くなったりし、膜はほぼ全体が連続的に線方向に向いて配向している事がわかった。
また、このポリアセチレンの配向体をギャップ間に作り込んだ一対の電極の電気的特性を測定する事も可能である。
本発明によれば、より簡単な条件かつ短時間で実用的な配向度を持った高分子半導体/良導体の連続配向体を作成できる上、基板表面の凹凸や電極等の影響によって高分子の集合体作成時に配向が乱される課題を回避することが可能となる。この連続配向体を用い、より容易にナノサイズの電極間に有機導電性材料の一軸配向体を配置することが可能となり、スイッチング素子やトランジスタ素子等のデバイスに利用することができる。
また本発明は、描画法、印刷法、インクジェット法などの塗布工程で簡単に、高分子半導体/良導体である螺旋型置換ポリアセチレンの配向体およびこの配向体を基板上に設けたデバイスの製造に利用することができる。
磁場による粉砕微結晶(多結晶体を粉砕して得られた単結晶)の配列を示す模式図である。 電場による粉砕微結晶(多結晶体を粉砕して得られた単結晶)の配列を示す模式図である。 電場による粉砕微結晶(多結晶体を粉砕して得られた単結晶)の配列を示す模式図である。 電場による粉砕微結晶(多結晶体を粉砕して得られた単結晶)の配列を示す模式図である。 延伸による配向繊維の製造方法を示す模式図である。 摩擦転写による配向繊維の製造方法を示す模式図である。 磁場による配向繊維の配列を示す模式図である。 電場による配向繊維の配列を示す模式図である。 電場による配向繊維の配列を示す模式図である。 電場による配向繊維の配列を示す模式図である。 振動による配向繊維の配列を示す模式図である。 水面展開による配向繊維の配列を示す模式図である。 流動による配向繊維の配列を示す模式図である。 螺旋型置換ポリアセチレンの構造の一例を示す模式図である。 描画法によるデバイスの製造方法を示す概略図である。 印刷法によるデバイスの製造方法を示す工程図である。 インクジェット法によるデバイスの製造方法を示す概略図である。 本発明の実施例2の摩擦転写により得られた配向繊維の形状を示すSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
符号の説明
101 粉砕微結晶群(多結晶体を粉砕して得られた単結晶)
102 粉砕微結晶群を懸濁した媒体
103 基板
104 磁場発生装置
105 磁界(磁力線)方向
201 粉砕微結晶群(多結晶体を粉砕して得られた単結晶)
202 粉砕微結晶群を懸濁した媒体
203 基板
204 電極
205 電源装置
206 電界方向
207 基板上に設置した電極
208 端子
2101 軟化した状態の高分子
2102 クランプ
2103、103’ 延伸方向
2104 針
2105 延伸方向
2106 シリンダ
2107 ピストン
2108 ノズル
2201 高分子のペレット
2202 基板
2203 ペレットを加圧する方向
2204 ペレットを移動させる方向
2205 基板表面に付着した繊維状・リボン状の配向体
2301 配向繊維
2302 配向繊維を懸濁した媒体
2303 基板
2304 磁場発生装置
2401 配向繊維
2402 配向繊維を懸濁した媒体
2403 基板
2404 電極
2405 電源装置
2406 電界
2407 基板上に設置した電極
2408 端子
2501 配向繊維
2502 振動手段
2503 基板
2504 配向繊維が配列する方向
2601 配向繊維
2602 水槽
2603 基板
2604 バリア
2605 バリアが前進後退する方向
2701 配向繊維を懸濁した媒体
2702 媒体循環手段
2703 媒体除去手段
2704 パイプ
2705 基板静置槽
2706 基板
2707 媒体除去手段で徐々に除去された媒体の排出される方向
3100から3105 主鎖を構成する部分の二重結合
3106 側鎖のアルキル基
3107,3108 側鎖の芳香基
3109 主鎖方向
3201 基板
3202 線状の液滴
3203 ペン先(ピペットチップ)
3204 ペン先の移動方向
3301 アルミニウムの板から作成した凸版
3302 凸版の突起部分
3303 ポリアセチレン溶液
3304 ポリアセチレン溶液を入れた容器
3305 凸版の移動方向
3306 突起部分に付着したポリアセチレン溶液
3307 凸版の移動方向
3308 基板
3309 基板上に転写されたポリアセチレン溶液の液滴
3401a、3401b 微少ギャップを持った一対の電極
3402 形成されつつある線状の液滴
3403 インクジェットノズル
3404 インクジェットノズルがスキャンする方向
3405 インクジェットノズルから打ち出された微少なインク液の滴弾

Claims (5)

  1. 高分子の連続配向体の製造方法であって、高分子の多結晶体を粉砕して単結晶を形成する工程と、前記単結晶に外力を加えて配向方向のそろった単結晶群にする工程と、前記単結晶群を連続配向体にする工程とを備えることを特徴とする高分子の連続配向体の製造方法。
  2. 前記外力が磁場または電場であることを特徴とする請求項1に記載の高分子の連続配向体の製造方法。
  3. 前記単結晶群を連続配向体にする工程が個々の単結晶表面部分を溶媒による溶解または加熱による溶融によって単結晶同士をつないで連続配向体を形成することを特徴とする請求項1に記載の高分子の連続配向体の製造方法。
  4. 前記単結晶群を連続配向体にする工程が単結晶群を基板上に固定するか、または単結晶群を樹脂中に固定して連続配向体にすることを特徴とする請求項1記載の高分子の連続配向体の製造方法。
  5. 高分子の連続配向体の製造装置であって、高分子の多結晶体を粉砕して単結晶を形成する手段と、前記単結晶に外力を加えて配向方向のそろった単結晶群にする手段と、前記単結晶群を連続配向体にする手段とを備えることを特徴とする高分子の連続配向体の製造装置。
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