JP5656425B2 - 高分子単結晶含有膜の製造方法および高分子単結晶の製造方法 - Google Patents

高分子単結晶含有膜の製造方法および高分子単結晶の製造方法 Download PDF

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本発明は、螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜の製造方法、および螺旋型ポリアセチレンの単結晶からなる高分子単結晶の製造方法に関する。
現在、電子回路の集積化が進む中で有機半導体等の導電性有機物を用いた有機デバイスが注目を浴びている。有機デバイスは曲げることが可能であるメリットや、また溶液からの製造プロセスが可能になために安価にデバイス作製が出来、大面積へのプロセスが可能となるメリットがある。有機半導体はペンタセンのような低分子系の有機半導体とポリチオフェンなどの高分子系半導体がある。高分子系の半導体は特に溶液プロセスとの親和性がよいため大面積プロセス、低価格プロセス用の導電性材料として注目されている。
有機半導体において分子配列の規則性を向上させることで性能向上させる試みがなされている。例えば低分子系の有機半導体の性能の向上に単結晶化が有効であることが報告されている。しかし、高分子において単結晶を作成することは非常に難しく、生分解性ポリエステルの一種であるポリヒドロキシブチレートなどのごく一部の高分子材料において主に等温結晶化や蒸気圧制御法による単結晶の作成が報告されている。高分子において溶媒キャスト法を適用した単結晶の作成の報告は無い。これは通常高分子の結晶形成速度が遅いため、等温溶融下、もしくは溶液中で蒸気圧を制御しながら長時間かけてゆっくりと析出させる必要がある。そのために、短時間で溶媒を蒸発させる溶媒キャスト法は単結晶の製造方法として適していないと考えられていた。
高分子系半導体としてはポリチオフェンやポリフェニレンビニレンなどが挙げられる。一方、螺旋型ポリアセチレンが電子デバイスに応用可能な材料として注目されておいる。例えば特許文献1では電極間に螺旋型ポリアセチレンを平行に配向した配向膜デバイスが電子デバイスに応用できることが記載されている。螺旋型ポリアセチレンは置換ポリアセチレンが立体規則的な繰返し構造を形成しており、主鎖のポリアセチレン鎖は図2の202のように螺旋状の構造を形成している。
また、非特許文献1では螺旋型ポリアセチレンは分子集合体としてカラムナー構造を形成することが報告されている。カラムナー構造とは図2(A)のように一本の螺旋高分子が円筒形のカラムを形成し、そのカラムが束になって最密充填した図2(B)の207のような構造であり、分子軸と垂直な面に対して分子は六方晶を形成している。螺旋型ポリアセチレンの単結晶の製造方法について、特許文献2にはカラムナー構造の集合体である多結晶体を粉砕してカラムナー構造の単結晶を取り出す方法が記載されている。
特開2008−084979号公報 特開2008−150584号公報
Macromolecular Symposia,239,7(2006)
しかしながら、上記の単結晶方法ではサイズを大きくすることが困難であり、また、単離が難しいので、粉砕中に結晶を壊す恐れがあった。サイズが小さい単結晶の場合、デバイスを作成するのは困難であり、作成できたとしても非常に高度な技術を要する。また、結晶成長に時間がかかるために生産性が低いという難点もあった。
また、通常の高分子では結晶と言われているものの多くは規則性はそれほど高くなく、螺旋型ポリアセチレンにおいてもカラムナー構造のX線回折を測定すると半値幅が1〜3°程度の比較的ブロードなピークが観測されることから、カラムナー構造の規則性はそれほど高くはない。有機電子デバイスの性能を向上させるために単結晶化が非常に有効である。そのためには高分子結晶内の規則性も向上させる必要があるが、これまで螺旋型ポリアセチレンにおいてそのように高度に規則的な分子配列を有する単結晶の製造方法は報告されていない。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、電子デバイスに応用可能な螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶膜を容易に製造する方法を提供するものである。
また、本発明は、電子デバイスに応用可能な螺旋型ポリアセチレンの単結晶からなる高分子単結晶を容易に製造する方法を提供するものである。
上記の課題を解決する高分子単結晶含有膜の製造方法は、螺旋型ポリアセチレンと溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を製造する方法であって、前記螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有率が25%以上であり、前記単結晶のX線回折による半値幅が0.1度以下、且つ前記単結晶の一辺の長さが50μm以上であることを特徴とする。
上記の課題を解決する高分子単結晶の製造方法は、カラムナー含有率が25%以上である螺旋型ポリアセチレンと、溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を得る工程、前記高分子単結晶含有膜を溶媒で処理して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶からなる高分子単結晶を得る工程を有し、前記単結晶のX線回折による半値幅が0.1度以下、且つ前記単結晶の一辺の長さが50μm以上であることを特徴とする。
本発明によれば、電子デバイスに応用可能な螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を容易に製造する方法を提供することができる。
また、本発明は、電子デバイスに応用可能な螺旋型ポリアセチレンの単結晶からなる高分子単結晶を容易に製造する方法を提供することができる。
本発明の高分子単結晶含有膜の製造方法により得られた単結晶含有膜の偏光顕微鏡写真である。 本発明に用いられる螺旋型ポリアセチレンのカラムナー構造の説明図である。 本発明の高分子単結晶含有膜の製造方法により得られた単結晶含有膜のX線回折図である。 本発明の製造方法における溶媒の蒸発速度を制御して溶媒を除去する装置を示す概略図である。 本発明の高分子単結晶の製造方法における単結晶の分離方法の説明図である。 本発明の実施例1で得られた螺旋型ポリアセチレンのX線回折図である。 比較例1の基板上の高分子膜の偏光顕微鏡写真である。 実施例2の基板上の高分子膜の偏光顕微鏡写真である。 実施例3の基板上の高分子膜の偏光顕微鏡写真である。 比較例1の高分子膜のX線回折図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る高分子単結晶含有膜の製造方法は、螺旋型ポリアセチレンと溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を製造する方法であって、前記螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有率が25%以上であることを特徴とする。
本発明は、螺旋型ポリアセチレンと溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去する溶媒キャスト法による高分子単結晶含有膜の製造方法である。本発明では溶媒キャスト法による高分子単結晶含有膜の製造方法に適した高分子として螺旋型ポリアセチレンを用いる。
本発明の高分子単結晶含有膜の製造方法によれば、電子デバイスに応用可能な材料である螺旋型ポリアセチレンの単結晶を容易に製造できる。さらに溶媒キャスト法における溶媒を除去する際の溶媒の蒸発速度が早くても単結晶が作製できるメリットがあり、従来の主な高分子単結晶の製造方法である溶融結晶化、蒸気圧制御法、多結晶粉砕法と比較して生産性が向上するという利点もある。
本発明の製造方法により得られた螺旋型ポリアセチレンの単結晶は導電性高分子からなり、電子デバイスヘの応用が可能である。従来の分子集合体であるカラムナー構造に比べてX線回折測定のピークの半値幅が極めて狭く、分子配列の規則性が飛躍的に向上していることから、移動度などの電気特性が向上する。
本発明に用いられる螺旋型ポリアセチレンは、置換ポリアセチレンが立体規則的な周期構造をしており、カラムナー構造を含有する。図2は、本発明に用いられる螺旋型ポリアセチレンのカラムナー構造の説明図である。主鎖のポリアセチレン鎖は、図2に示すように螺旋状の構造202を形成している。本発明に用いられる螺旋型ポリアセチレンの主鎖は、炭素−炭素二重結合203と炭素−炭素一重結合204の繰り返し構造をしており、主鎖の炭素原子に対して側鎖205と水素が交互に結合している。図2において、側鎖205はフェニル基であり、更にフェニル基にアルキル鎖R(206)が置換している。
本発明におけるポリアセチレンの主鎖は螺旋構造を形成しており、ほぼ6個の炭素原子の周期で一回転する3/1螺旋構造に近い構造である。この螺旋構造中では主鎖の二重結合は螺旋周期間隔で上下に並列しており、π電子軌道が重なる程度の距離の間隔、より具体的には0.5nm以下の周期間隔、より典型的には0.3nm以上0.5nm以下の周期間隔を有する螺旋構造を形成する。しかもその周期構造が長い距離、典型的には5nmから10μmにわたり形成されているため、螺旋型ポリアセチレンは導電性を有している。
本発明における螺旋型ポリアセチレンは主鎖に導電性を有するが、側鎖にベンゼン環のような芳香環を置換した場合には芳香環間のπスタッキング構造による側鎖の共役系も形成する。また、螺旋型ポリアセチレンは主鎖が剛直な不飽和結合により構成されているため、分子形状が直線状を呈する。そのため、分子間のファンデアワールス力が働きやすく、単結晶のような規則的配列を形成するのに適した高分子である。
螺旋型ポリアセチレンは、例えば有機溶媒中で立体規則性重合触媒、例えばロジウム等の遷移金属錯体を用いて、溶媒中で置換アセチレンを重合させることで得られる。置換アセチレンとしてはプロピオール酸アルキルエステル、プロパルギルアミド化合物、フェニルアセチレンおよびその誘導体が挙げられ、溶媒としてはトルエン、クロロホルム、メタノール、エタノール等が挙げられる。
螺旋型ポリアセチレンと溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去して(溶媒キャストと称する。)、前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を製造する。本発明の高分子単結晶含有膜の製造方法において、溶媒キャスト法は以下のように行う。まず、螺旋型ポリアセチレン溶液を準備する。典型的な濃度としては、例えば0.1から100g/lであり、例えば螺旋型ポリアセチレン10mgを溶媒10mlに溶解させることで作製できる。溶媒は螺旋型ポリアセチレンの良溶媒を用いるが、側鎖構造により溶解性が異なるため、必要に応じて適宜選択する。有機溶媒としては、例えばトルエンやクロロホルムなどが挙げられる。この際、不溶物が認められる場合はシリンジフィルターなどで取り除く方が好ましい。
次に得られた溶液を基板上に滴下する。基板は、例えばガラスやシリコンが挙げられるが、必要に応じて適した基板を使用すればよい。滴下する溶液の量は溶液と基板との接触角、必要な膜の大きさや単結晶の量などを勘案して決めればよいが、10μlから1ml程度が好ましい。
次に、溶液を乾燥して溶媒を除去する。乾燥する工程は通常、大気圧下、室温で行うが、後述するような蒸発速度を制御する手段を用いても良い。
本発明の製造方法に用いる螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有率は、25%以上、好ましくは30%以上であることが望ましい。
ポリフェニルアセチレンなどの螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有量は通常5%程度であるため、本発明に用いる螺旋型ポリアセチレンは25%以上にカラムナー含有量を高める必要がある。螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有量を高める方法としては特に限定されるものは無いが、例えば以下の方法が挙げられる。
側鎖に直鎖のアルキル鎖を有する螺旋型ポリフェニルアセチレンにおいて、そのアルキル鎖の長さを炭素数8個以上とすることでカラムナー含有量を高くすることができる。例えば炭素数8個のアルキル鎖を有するポリ(p−n−オクチルオキシフェニルアセチレン)や炭素数14個のアルキル鎖を有するポリ(p−n−テトラデシルオキシフェニルアセチレン)などが挙げられる。
また、ポリマー中に含まれるオリゴマーや触媒残渣等の不純物を再沈殿等の精製により減少させることでカラムナー含有量を高くすることができる。再沈殿の方法としては例えば螺旋型ポリアセチレンをクロロホルム等の良溶媒に溶解させ、大量のメタノール等の貧溶媒に滴下する操作を繰り返す方法が挙げられる。
また、リビング重合法などの手法を用いて分子量分散を1.0から1.5程度に低く抑え、分子量を揃えることでカラムナー含有量を高くすることができる。リビング重合は螺旋型ポリアセチレンの合成方法において用いるロジウム錯体触媒溶液を例えば以下のように調製することで行うことが出来る。1,1,2−トリフェニルビニル臭化物をトルエンに溶解し、0℃でブチルリチウム溶液を等モル量ゆっくり加える。得られる1,1,2−トリフェニルビニルリチウムのトルエン溶液をロジウムノルボルナジエン塩化物二量体のトルエン溶液に等モル量加えることでリビング重合用のロジウム錯体触媒溶液が調製でき、この触媒溶液を用いて合成することで分子量分散の低い螺旋型ポリアセチレンを作成することができる。
また、以上の方法を併せて用いても良く、その場合はアルキル鎖の長さや分子量分散の値などの条件が上記の範囲よりも広がるメリットがある。
螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有量は以下のようにX線回折測定により評価する。カラムナー含有量は塊状の螺旋型ポリアセチレンのX線回折パターンを測定し、カラムナー構造に起因するピークと非晶構造に起因するシグナルとに帰属し、それぞれの面積を計算し、その比から求める。
ここでカラムナー構造に起因するピークとは分子構造から計算したおよその直径の値から(110)反射を算出し、その角度付近に現れた比較的ブロードなピークをさす。さらに(100)面やそれらの二次反射もピークとして認識できる場合はその領域も含む。非晶構造に起因するシグナルとしては典型的には20°付近に観測されるブロードなシグナルをさす。
例えば、図6に塊状のポリ(パラ−オクチルオキシフェニルアセチレン)のX線回折測定結果を示す。ポリ(パラ−オクチルオキシフェニルアセチレン)は分子構造から計算により直径がおよそ3.4nmと算出されることから、3.3°付近に現れている半値幅1.1°のピークはカラムナー構造の(110)面に帰属され、20°付近のブロードなシグナルは非晶構造に帰属される。これらのシグナルの積分強度を面積とし、以下の式からこの螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有率は35%と算出される。
Cc=Ac/(Ac+Aa)
Cc:カラムナー含有率(%)
Ac:カラムナーピークのシグナルの面積
Aa:非晶シグナルの面積
カラムナー含有率の高いものは比較的高速に分子集合体を形成する能力が高く、その特性が本発明の単結晶を含有する高分子単結晶含有膜の作製にも影響している。そのため、材料としての特性を見極めるという観点からカラムナー含有率を測定する条件は一定であることが望まれる。本発明においてカラムナー含有率の測定は、高分子溶液を貧溶媒に滴下して高分子を析出させた後に行う。貧溶媒は螺旋型ポリアセチレンの溶解性により適当な溶媒を用いればよいが、例えばメタノール等が挙げられる。
本発明で得られた螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜の評価は、X線回折測定および偏光顕微鏡観察により以下のように行う。
膜のX線回折測定においてシグナルの半値幅から分子配列構造の規則性を評価することができ、単結晶が形成しているかどうかを判別することが出来る。さらに偏光顕微鏡観察においてポラライザとアナライザをクロスニコルにして視野を暗くした状態で偏光顕微鏡の回転ステージを回すと一軸配向している部分が45度ごとに明暗を繰り返すため、この部分が単結晶のような一軸配向していることを確認でき、その大きさを評価することが出来る。ここで単結晶の大きさは偏光顕微鏡で観察される単結晶の最長の辺の長さと定義する。
図3は、本発明の高分子単結晶含有膜の製造方法により得られた単結晶含有膜のX線回折結果を示す。得られた単結晶の面方向の秩序性はX線回折測定のピークの線幅から評価できるが、その値は0.1度以下であり、カラムナー構造と比較して高い規則性を有していることがわかる。
図1に本発明の高分子単結晶含有膜の製造方法で作製した単結晶含有膜の偏光顕微鏡観察結果を示す。ポラライザとアナライザをクロスニコルにした状態で偏光顕微鏡の回転ステージを回した結果、膜のほぼ全面で明暗を繰り返す単結晶が観測でき、その一つ一つの単結晶のサイズは最長の一辺の長さが50μm以上である。
本発明の製造方法により得られた単結晶はカラムナー構造よりも極めて高い規則性を有し、単に形態を変えただけではなく、分子配列の規則性が向上し、単結晶の大きさが巨大化する。本発明の製造方法に用いる螺旋型ポリアセチレンとしてはカラムナー含有率が25%以上の高いことが求められるが、カラムナー含有率は螺旋型ポリアセチレンの側鎖構造、分子量、重合条件等により変化する。
種々の螺旋型ポリアセチレンを用いて溶媒キャスト法による単結晶含有膜の作製を試みたところ、単結晶含有膜の作製の可否とバルクの状態でのカラムナー含有率との間に相関があることを見出した。
表1に種々の螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有率とカラムナー構造のピークの半値幅、本発明の高分子単結晶含有膜の製造方法で作製した単結晶含有膜の単結晶ピークの半値幅を示す。
(注)
*1)重合溶媒:トルエン
*2)重合溶媒:クロロホルム
*3)観測は不可能。
カラムナー構造のX線回折測定からは半値幅1から3°程度のブロードなピークが観測され、カラムナー含有率は螺旋型ポリアセチレンの種類により5%から69%まで変化した。カラムナー含有率が25%以上の場合にX線回折測定から0.1°以下の非常に狭い半値幅を有するピークが観測され、非常に高い規則性を有する単結晶が形成されていることを確認した。
また、カラムナー含有率がそれより低い場合ではX線回折測定からシャープなピークが観測されなかったことから、この条件下では単結晶は形成しないことを確認した。また、この膜を偏光顕微鏡に設置し、ポラライザとアナライザをクロスニコルにした状態で偏光顕微鏡の回転ステージを回した結果、膜のほぼ全域が暗状態のままであり、光学的に等方性の非晶質からなっていることを確認した。
本発明においてカラムナー含有率が25%以上の螺旋型ポリアセチレンを用いて溶媒キャスト法により製膜することで非常に高い規則性を有する単結晶を含む単結晶含有膜を作製できる。
本発明の製造方法において、前記溶媒の蒸発速度を制御して前記溶媒を除去することが好ましい。本発明の膜製造方法において溶媒の蒸発速度を制御することにより、作製する単結晶のサイズを制御することが出来る。蒸発速度の制御方法としては特に限定されるものはないが、例えば、溶媒を透過しない容器と溶媒を少しづつ揮発させる機構があればよい。
図4は、本発明における溶媒の蒸発速度を制御して溶媒を除去する装置を示す概略図である。例えば、図4のように、溶液402を滴下した基板401をガラス容器403とガラス板404に囲まれた空間に設置し、ガラス容器403とガラス板404に少し隙間を設けることで溶媒の蒸発速度を調整しながら製膜できる。405は台である。例えば、ポリ(p−オクチルオキシフェニルアセチレン)の単結晶含有膜中の単結晶のサイズはこの手法を用いない場合は50〜100μm程度であるが、この方法を用いると最大5mm程度まで大型化できる。
本発明の蒸発速度を制御することにより、作製した単結晶は従来の製造方法と比較してそのサイズを巨大化することが出来る。従来、多結晶粉砕法では螺旋型ポリアセチレンの単結晶サイズは最大100μmであったが、本発明の製造方法を用いることで最大5mmの単結晶を作成することが出来るため、電極間距離が数百μm程度の作成が容易な電極製造方法を用いて単結晶デバイスを作成できる。
また、現在技術進化が進んでいるナノメートルオーダーでの電極製造方法を用いてデバイスを作成した場合、従来よりも多くのパターンを一つの単結晶に作成することが出来るため、デバイス作成の効率が向上する。
また、本発明に係る高分子単結晶の製造方法は、カラムナー含有率が25%以上である螺旋型ポリアセチレンと、溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を得る工程、前記高分子単結晶含有膜を溶媒で処理して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶からなる高分子単結晶を得る工程を有することを特徴とする。
本発明により作製した高分子単結晶含有膜は適当な溶媒を選択することで、溶媒処理により容易に単結晶のみを単離できる。
図5は、本発明の高分子単結晶の製造方法における単結晶の分離方法の説明図である。溶媒処理とは図5Aのような基板501上の単結晶503を含む膜502に対して、図5Bのように溶媒504を1ml程度滴下し、膜の一部を溶解させる。その後、基板を少し傾けることにより図5Cのように膜の一部が溶解した溶液505を元の膜が存在しない領域に移した後、溶媒を蒸発させることで単結晶のみの領域507を形成させることができる。508は非晶質を含む膜を示す。
単結晶の単離としては溶媒により単結晶以外の部分、例えば非晶質や残存した重合触媒である金属錯体などを除去しても良いし、逆に単結晶部分のみを移動させて離れた箇所に再び単結晶を析出させても良い。
選択される溶媒は単結晶のみを溶解もしくは単結晶のみが不溶な溶媒を選択する必要がある。螺旋型ポリアセチレンの溶解性は分子量や側鎖構造により異なるため、材料ごとに最適な溶媒を見つけ出す必要がある。溶媒としてはTHF等が挙げられる。
以下に本発明における高分子単結晶含有膜および単結晶の製造方法について詳しく説明する。
まず、下記の方法により、螺旋型ポリアセチレンを合成した。
減圧及び窒素置換後密閉した試験管にロジウム(ノルボルナジエン)塩化物二量体29mg、トルエン15ml、トリエチルアミン0.1mlを入れ、30℃で15分攪拌した後、p−オクチルオキシフェニルアセチレン0.5gとトルエン2.0mlの混合溶液を注入することにより重合反応を開始させる。反応は30℃で30分間行い、重合が充分進行した後、得られたポリマーをメタノールで洗浄、濾過した後、24時間真空乾燥することで目的のポリアセチレン、ポリ(p−オクチルオキシフェニルアセチレン)を得た。得られたポリマーの分子量はポリスチレン標準試料を用いたGPC測定により評価し、重量平均分子量は232,000、分子量分散は3.3であった。
螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有率はX線回折測定により評価した。実施例1で得られた螺旋型ポリアセチレンのX線回折測定結果を図6に示す。3.3°付近に現れているピークがカラムナーに帰属される信号であり、20°付近のブロードなシグナルが非晶に帰属される信号である。各々の積分強度からカラムナーピークのシグナルの面積(Ac)は、4600であり、非晶シグナルの面積(Aa)は8400である。各シグナルの面積から、このポリマーのカラムナー含有率(Cc(%)=Ac/(Ac+Aa))は35%と算出される。
次に、得られたポリマー10mgをトルエン10mlに溶解させる。充分に溶解した後、残存固体を0.45μmのシリンジフィルターで濾過して取り除いてポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液を一辺3cm程度の大きさのシリコン基板上に0.1ml程度滴下し、大気圧下、室温でトルエンを蒸発させて除去する。1時間程度放置し、充分に乾燥した後、得られた高分子膜を偏光顕微鏡により観察して単結晶の有無を調べた。
図1に基板上の高分子膜の偏光顕微鏡写真を示す。偏光顕微鏡に、得られたシリコン基板をセットし、ポラライザとアナライザをクロスニコルにして視野を暗くした状態で偏光顕微鏡の回転ステージを回した。その結果、一辺が50μm以上の花弁状の部分101が45度ごとに明暗を繰り返し、この花弁状部分に一軸配向した単結晶が形成していることが確認された。
次に得られた基板上の高分子膜のX線回折測定を行ったところ、図3のような結果が得られた。製膜前のポリマーのカラムナー構造には見られない4.95°付近のシャープなピークが観測された。このピークの半値幅は約0.07°と非常に狭く、カラムナー構造と比較して非常に高度な規則性を有する単結晶を形成していることがわかる。
[比較例1]
ポリマーをポリ(パラ−ヘキシルオキシフェニルアセチレン)とした以外は実施例1と同様に実験を行った。比較例1で得られた基板上の高分子膜のX線回折測定結果を図10に示す。このポリマーのカラムナー含有率は6%と算出された。得られたシリコン基板上の高分子膜のX線回折測定からシャープなピークは観測されず、単結晶は形成しなかった。
図7に基板上の高分子膜の偏光顕微鏡写真を示す。ポラライザとアナライザをクロスニコルにした状態で偏光顕微鏡の回転ステージを回した結果、45度ごとに明暗を繰り返す部分は偏光顕微鏡の分解能以下のサイズであった。用いた偏光顕微鏡の分解能は5μm程度である。
溶媒を蒸発させる工程を図4のようにポリマー溶液402を滴下した基板401をガラス容器403とガラス板404に囲まれた空間に設置し、ガラス容器403とガラス板404に少し隙間を設けながら行い、溶媒蒸発時間を6時間程度とした以外は実施例1と同様に行った。
図8に基板上の高分子膜の偏光顕微鏡写真を示す。ポラライザとアナライザをクロスニコルにした状態で偏光顕微鏡の回転ステージを回した結果、45度ごとに明暗を繰り返す部分801が一辺が5mm程度であり、この領域に一軸配向した単結晶が作製していることを確認した。
図5Aのように実施例1で得られた基板501上の単結晶503を含む膜502に対して図5Bのようにテトラヒドロフラン溶媒504を1ml程度滴下し、膜の一部を溶解させた。基板を少し傾けることにより図5Cのように膜の一部が溶解した溶液505を元の膜が存在しない領域に移した後、溶媒を蒸発させた。
図9に基板上の高分子膜の偏光顕微鏡写真を示す。元の膜が存在した領域の膜が901、溶媒を蒸発させて新たに析出させた領域の膜が902、その端部領域が903である。膜902の端部領域903において大きさ50μm程度の一軸配向した単結晶が観測された。顕微鏡観察から領域903では非晶を含む膜901のような赤色の非晶領域が観測されないことからほぼ無色の単結晶のみの領域が形成されていることを確認した。
本発明の螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜の製造方法は、電子デバイス等の製造に利用することができる。
201 螺旋高分子の円筒形のカラム
202 螺旋状の構造
207 カラムの束
501 基板
502 高分子単結晶含有膜
503 単結晶ドメイン
504 溶媒
505 高分子溶液
506 単結晶含有膜
507 単結晶ドメイン

Claims (3)

  1. 螺旋型ポリアセチレンと溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を製造する方法であって、前記螺旋型ポリアセチレンのカラムナー含有率が25%以上であり、前記単結晶のX線回折による半値幅が0.1度以下、且つ前記単結晶の一辺の長さが50μm以上であることを特徴とする高分子単結晶含有膜の製造方法。
  2. 前記溶媒の蒸発速度を制御して前記溶媒を除去することを特徴とする請求項1に記載の高分子単結晶含有膜の製造方法。
  3. カラムナー含有率が25%以上である螺旋型ポリアセチレンと、溶媒を含有する溶液から、前記溶媒を除去して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶を含有する高分子単結晶含有膜を得る工程、前記高分子単結晶含有膜を溶媒で処理して前記螺旋型ポリアセチレンの単結晶からなる高分子単結晶を得る工程を有し、前記単結晶のX線回折による半値幅が0.1度以下、且つ前記単結晶の一辺の長さが50μm以上であることを特徴とする高分子単結晶の製造方法。
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