JP5043547B2 - 押出成形装置 - Google Patents
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Description
かかる成形材料の流動状況を制御する技術として、特許文献2には、ダイス内面に円錐体を設け、その円錐体基部の半径と成形材料が流れるシリンダの内径との関係を調整することによって、シリンダからダイス穴に向かう成形材料の流動を制御する技術が開示されている。
第2発明の押出成形装置は、第1発明において、前記凸状部を囲む位置における前記搬送手段の内面が、前記ダイス穴に向かうに従って前記凸状部の傾斜面に接近するように傾斜した傾斜内面となっており、該搬送通路の傾斜内面は、成形材料の流動方向に対する傾きが、前記凸状部の傾斜面と同じ傾きとなるように形成されていることを特徴とする。
第3発明の押出成形装置は、第1または第2発明において、前記搬送通路は断面円形の通路であり、前記凸状部は、その中心軸が、前記搬送手段の中心軸と同軸となるように形成された截頭円錐であり、該凸状部の中心軸上に中心を有する円周上に前記ダイス穴が形成されていることを特徴とする。
第4発明の押出成形装置は、第1、第2または第3発明において、前記凸状部の高さを、該凸状部の中心軸から前記ダイス穴の中心までの距離によって除した値が、0.04〜0.4以下であることを特徴とする。
第5発明の押出成形装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記凸状部の頂面の位置における前記凸状部の傾斜面から前記搬送通路の傾斜内面までの距離を、前記ダイス内面の位置における前記凸状部の傾斜面から前記搬送通路の傾斜内面までの距離で除した値が、1.1〜1.6であることを特徴とする。
第6発明の押出成形装置は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記ダイス内面の位置における前記凸状部の傾斜面から前記搬送通路の傾斜内面までの距離を、前記ダイス穴の内径で除した値が、1〜2.6であることを特徴とする。
第2発明によれば、傾斜面から傾斜内面に向かう方向において、ダイス穴を挟んでほぼ対称な流れを発生させることができるから、ダイス穴に成形材料をスムースに流入させることができる。そして、成形材料の流れが悪い領域が局所的に形成されることを防ぐことができるから、搬送通路内において成形材料が固化することを防ぐことができる。
第3発明によれば、全てのダイス穴に対してほぼ同じ流動状態の成形材料を供給できるので、全てのダイス穴からほぼ同じ状態で成形材料を排出することができる。また、搬送通路内に成形材料の流れを停滞させる領域がないので、搬送通路内において成形材料が固化することを防ぐことができる。
第4発明によれば、成形材料が凸状部の頂面からダイス穴まで移動するときにおいて、剪断効果を打ち消すことなく押し出すことができる。よって、成形材料の固化が発生することを防ぐことができ、ダイス穴の詰まりを防ぐことができる。
第5発明によれば、成形材料が凸状部の頂面からダイス穴まで移動するときにおいて、剪断効果を打ち消すことなく押し出すことができる。よって、成形材料の固化が発生することを防ぐことができ、ダイス穴の詰まりを防ぐことができる。
第6発明によれば、成形材料がダイス穴に流入するときにおいて、急激に成形材料が加圧圧縮されることを防ぐことができるから、ダイス穴内において成形材料の固化が発生することを防ぐことができ、ダイス穴の詰まりを防ぐことができる。
本発明の押出成形装置は、粉末原料に対して、加水・加熱等の前処理を行って流動性を付与し、流動性が付与された材料(以下、成形材料という)を搬送手段により加圧搬送してダイスから押出して成形体を製造する装置であって、ダイス内面に凸状部を設けたこと、および、この凸状部における頂面近傍に回転部材を設けたことに特徴を有している。
なお、以下の例では、スクリュー方式の搬送手段を採用した押出成形装置を代表として説明するが、成形材料の搬送方式(押出し機構)は、回転部材を採用できるものであれば、とくに限定されない。
図1(B)に示すように、このダイス3には、前記搬送部2内の中空な筒状の空間が連通するように、その右端から凹んだ断面円形の空間が設けられている。このダイス3の左端には、凹んだ空間と外部とを連通する複数のダイス穴3hが、搬送部2の中空空間の中心軸とに中心を有する円上に並んで形成されている。そして、ダイス3の内面であって、前記ダイス穴3hの内側の部分には、前記凹んだ空間に向かって突出した凸状部3pが形成されている。
なお、搬送部2内の中空空間とダイス3の凹んだ空間とが、特許請求の範囲にいう搬送通路に相当する。以下では、両空間を合わせて搬送通路2hで示す。
図1および図3に示すように、前記回転部材10は、回転軸11と、複数の腕状部12とを備えており、その中心軸がストレートスクリュー4aの中心軸と同軸となるように、その基端がストレートスクリュー4aの先端に固定されている。言い換えれば、回転軸11は、その中心軸が搬送通路2hの中心軸と同軸となるようにストレートスクリュー4aの先端に固定されているのである。
この回転軸11の先端には、複数の腕状部12が設けられている。各腕状部12は、ほぼ断面円形に形成された棒状の部材であり、その中心軸が回転軸11の中心軸と直交するように、その基端が回転軸11の外周面に連結されている。
すると、成形材料は、ダイス穴3hと同一断面に成形されてダイス3の表面(図1(A)では左側の面)から排出されるから、所定の断面形状を有する成形体を形成することができる。
図1(B)および図2に示すように、ダイス3の内面には、この内面から搬送通路2h内に成形材料の流動方向に突出した凸状部3pが形成されている。この凸状部3pは、その頂面3fからダイス内面3aまでの距離、つまり、凸状部3pの高さH1が回転部材10による剪断効果がダイス3のダイス穴3hまで維持され得る長さに形成されている。
すると、成形材料は、回転部材10による成形材料の剪断効果が維持された状態でダイス穴3hに流入するので、成形材料がダイス穴3hに詰まることを防ぐことができる。
この場合、搬送通路2hの軸方向において、頂面3fが尖っている場合に比べて、凸状部3pの頂面3fの位置における搬送通路2hの断面積が小さくなる。そして、搬送通路2hの断面積とダイス内面3aの位置における搬送通路2hの断面積との差も小さくなる。
すると、凸状部3pが尖っている場合に比べて、回転部材10による剪断後、この剪断効果をより確実にダイス穴3hまで維持させることができる。
しかも、凸状部3pの傾斜面3sと搬送通路2hの傾斜内面2sは、搬送通路2hの軸方向に対する傾きが、同じ傾きとなるように形成されている。
すると、両面の間において、ダイス穴3hの中心軸を挟んでほぼ対称な成形材料の流れを発生させることができるから、ダイス穴3hの中心軸を搬送通路2hの半径方向に沿って横切る流れの発生を抑制することができ、ダイス穴3hに成形材料をスムースに流入させることができる。しかも、成形材料の流れが悪い領域、例えば、流動速度の遅い領域等が局所的に形成されることを防ぐことができるから、搬送通路2h内において成形材料が固化することを防ぐことができる。
このH1/R1の値が、0.4よりも大きいと、凸状部3pの頂面3fの位置とダイス内面3aの位置との間において回転部材10による剪断効果が打ち消されるから、ダイス穴3h内で成形材料の固化が発生する可能性が高くなる。一方、H1/R1の値が、0.04よりも小さいと、凸状部3pの頂面3fの位置とダイス内面3aの位置との間において成形材料を加圧する効果が低くなり押出し力が弱くなりすぎる可能性がある。
よって、H1/R1の値は、凸状部3pの頂面3fの位置とダイス内面3aの位置との間において剪断効果を打ち消すことなく押し出すことができる範囲である、0.04以上0.4以下であることが好ましく、さらに0.08以上0.36以下がより好ましく、0.26〜0.27程度がとくに好ましい。
R2/R3の値が、1.6よりも大きいと、凸状部3pの頂面3fの位置とダイス内面3aの位置との間において回転部材10による成形材料の剪断効果が打ち消されるから、ダイス穴3h内で成形材料の固化が発生する可能性が高くなる。一方、R2/R3の値が、1.1よりも小さいと、凸状部3pの頂面3fの位置とダイス内面3aの位置との間において成形材料を加圧する効果が低くなり押出し力が弱くなりすぎる可能性がある。
よって、R2/R3の値は、凸状部3pの頂面3fの位置とダイス内面3aの位置との間において剪断効果を打ち消すことなく押し出すことができる範囲である、1.1以上1.6以下であることが好ましく、さらに1.12以上1.5以下がより好ましく、1.38程度がとくに好ましい。
このR3/Dの値が大きすぎると、成形材料がダイス穴3hに流入するときにおいて、急激に成形材料が加圧圧縮されてしまい、ダイス穴3h近傍やダイス穴3h内で成形材料が固化してダイス穴3hに詰まってしまう可能性がある。一方、R3/Dの値が1よりも小さくなると搬送通路2hからダイス穴3hに流入するときに成形材料の移動速度が低下して成形材料の固化が生じやすくなる。
よって、R3/Dの値は、1以上2.6以下であることが好ましく、さらに2.0以上2.5以下がより好ましく、2.3程度がとくに好ましい。
まず、回転部材10は、ストレートスクリュー4aとともに回転し成形材料を剪断するのであるが、このときに成形材料から加わる抵抗によってその形状が変化せず、その形状を維持できる程度の強度を有する材料、例えば、ステンレス等によって形成されている。
なお、成形材料中に腐食性を有する物質が含まれている場合には、成形材料と接触したときに変質したり腐食したりしない性質を有する材料で形成することがより好ましい。
そして、複数の腕状部12は、回転軸11の基端をストレートスクリュー4aの先端に固定すると、ストレートスクリュー4aの先端から離間するように回転軸11の先端に連結されている。つまり、回転部材10の複数の腕状部12は、回転部材10をストレートスクリュー4aの先端に取り付けると、ダイス内面3aに形成されている凸状部3pの頂面3fとストレートスクリュー4aの先端との間であって両者から離間した位置に配設されるように設けられているのである。
さらになお、腕状部12の長さは特に限定されないが、その最大長L(図3(B)参照)を、ダイス3の凸状部3pにおける頂面3fの位置における搬送通路2hの半径R4(図2(B)参照)の8/10程度とするのが好ましい。かかる長さとしておけば、頂面3fの位置における搬送通路2hの断面の大部分を腕状部12が通過する。すると、頂面3fの位置とダイス内面3aとの間の搬送通路2hに流入する成形材料が局所的に固化することを有効に防止することができる。
さらになお、複数本の腕状部12は回転対称となる位置に設けなくてもよいが、回転対称となる位置に設けておけば、回転部材10が回転したときに、回転軸11に対してその中心軸と交差する方向に偏った力が加わることを抑えることができるという利点がある。
この一対の屈曲部17A,17Bは、その表面(図4では17a,17b)が曲面となるように、互いに逆方向に屈曲されている。そして、一対の屈曲部17A,17Bは、いずれもその先端の表面17a,17bが、板状部材17において屈曲されていない部分の表面と直交する程度にまで屈曲されている。言い換えれば、回転部材15をストレートスクリュー4aに取り付けたときに、一対の屈曲部17A,17Bにおける先端表面17a,17bはダイス内面3aとほぼ平行になる。
そして、今回の実験では、凸状部の高さを、0,1.5,3,6,12mmと変化させて穴詰まりの状況を確認した。
以上のことから、凸状部を設けることはダイス穴の詰まり抑制に効果的であり、しかも、凸状部の高さを適切に設定することが必要であることが確認できた。
2 搬送部
2h 搬送通路
2s 傾斜内面
3 ダイス
3a ダイス内面
3h ダイス穴
3p 凸状部
3f 頂面
3s 傾斜面
4 搬送手段
10 回転部材
15 回転部材
Claims (6)
- 成形材料が通る搬送通路と、該搬送通路から成形材料が供給されるダイスと、該ダイスに向かって成形材料を搬送する搬送手段とを備え、前記ダイスに設けられた複数のダイス穴から成形材料を押し出して成形する装置であって、
前記ダイスと前記搬送手段との間に、成形材料の流動方向と平行な軸回りに回転する回転部材を備えており、
該回転部材は、前記ダイスに向かう成形材料を剪断し得る形状に形成されており、
前記ダイス内面には、該内面から前記搬送通路内に成形材料の流動方向に突出した凸状部が形成されており、
該凸状部は、
その頂面が成形材料の流動方向と直交する平面に形成されており、
その頂面から前記ダイス穴に向かって傾斜した傾斜面を有しており、
前記頂面が前記回転部材の近傍に位置し、かつ、該頂面からダイス内面までの距離が前記回転部材による剪断効果が前記ダイスのダイス穴まで維持され得る長さに形成されている
ことを特徴とする押出成形装置。 - 前記凸状部を囲む位置における前記搬送手段の内面が、前記ダイス穴に向かうに従って前記凸状部の傾斜面に接近するように傾斜した傾斜内面となっており、
該搬送通路の傾斜内面は、
成形材料の流動方向に対する傾きが、前記凸状部の傾斜面と同じ傾きとなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の押出成形装置。 - 前記搬送通路は断面円形の通路であり、
前記凸状部は、その中心軸が、前記搬送手段の中心軸と同軸となるように形成された截頭円錐であり、
該凸状部の中心軸上に中心を有する円周上に前記ダイス穴が形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の押出成形装置。 - 前記凸状部の高さを、該凸状部の中心軸から前記ダイス穴の中心までの距離によって除した値が、0.04〜0.4である
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の押出成形装置。 - 前記凸状部の頂面の位置における前記凸状部の傾斜面から前記搬送通路の傾斜内面までの距離を、前記ダイス内面の位置における前記凸状部の傾斜面から前記搬送通路の傾斜内面までの距離で除した値が、1.1〜1.6である
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の押出成形装置。 - 前記ダイス内面の位置における前記凸状部の傾斜面から前記搬送通路の傾斜内面までの距離を、前記ダイス穴の内径で除した値が、1〜2.6である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の押出成形装置。
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