JP5043296B2 - 色収差自動補正方法及び装置並びに試料表面観察装置及び試料表面観察装置の動作方法 - Google Patents
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以下、非特許文献1に示す技術を例にとって説明する。公知技術である多極子による収差補正器を例にとって説明する。収差補正器6は系全体の色収差を補正しているが、実際に補正されてるか否かをSEM像より判断するのは難しい。というのも、試料表面上では収差を含んでいてもある程度前記電子ビーム2は収束しているからである。前記非特許文献1では、操作員がCRT14に表示されているSEM像から色収差の大きさを判断して手動にて前記収差補正制御器11を操作することで色収差を補正している。以下、手動にて補正されている色収差補正方法について説明する。試料面を0として電子源側を正として光軸上の色収差による結像点の移動量Δfは以下のような式で表される。
ここで、κは電子がエミッタ出射時に持つエネルギ分散で、ΔE/E(E:電子のエネルギ)で表される。CC及びKCはエネルギ分散に対する系全体の1次、2次の色収差係数を示している。前記収差補正器6は、(1)式において、1次の項の色収差を補正している。従って、(1)式において、3次以上の項は微小量として無視してよい。従って、(1)式は原点を通る2次式である。ΔEの大きさは、電界放出或いは熱電界エミッタでは、0.2eV〜0.9eVくらいである。
つまり、結像点の移動量Δfは、原点を極値とした2次関数となるが、今、前記エネルギシフト制御器10によって±ΔEaだけエネルギシフトした場合を考える。ΔEaの大きさがΔEの大きさより十分に大きい場合、つまり、ΔE±ΔEa≒ΔEaの時、(1)式より結像点はΔfa=CC(±ΔEa/E)+KC(±ΔEa/E)2に移動する。前記対物レンズ4の強度を前記対物レンズ制御器12によって、前記対物レンズ4の結像点をΔfaに合わせると、結像されたSEM像を得ることができる。
Aberration correction in a low voltage SEM by multipole corrector(Nuclear Instrument and Methods in Physics Research A 363(1995)316-325)
(5)請求項5記載の発明は、装置の色収差量を抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状の径の差とすることを特徴とする。
(7)請求項7記載の発明は、得られた色収差量にある定数を乗じて収差補正器又は対物レンズに対してフィードバックをかけることを特徴とする。
(9)請求項9記載の発明は、前記抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状の径の差が設定された閾値以内に入るまで、色収差自動補正処理を繰り返すことを特徴とする。
(11)請求項11記載の発明は、前記試料として金粒子を用いることを特徴とする。
(13)請求項13記載の発明は、装置の色収差量を、抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状のX方向径の差をX方向色収差量とし、Y方向径の差をY方向色収差量とし、X方向、Y方向独立に色収差を自動補正することを特徴とする。
(16)請求項16記載の発明は抽出された荷電粒子ビームのビーム形状と算出された色収差補正量とを表示部に表示することを特徴とする。
(18)請求項18記載の発明は、系全体の色収差を補正する収差補正器と、該収差補正器のレンズ強度を制御する収差補正制御器と、荷電粒子を放出するエミッタのポテンシャルをシフトさせるエネルギシフト制御器と、該エネルギシフト制御器に前記エミッタのポテンシャルをシフトするよう指示するビームシフト指示装置と、該ビームシフト指示装置と同期して荷電粒子ビームのビーム形状を抽出するビーム形状抽出装置と、色収差の大きさを定量化する色収差定量化装置と、前記収差補正制御器にフィードバック量を指示するフィードバック装置とを具備する荷電粒子を用いた試料表面観察装置の動作方法であって、前記ビームシフト指示装置の制御に基づき、前記ビーム形状抽出装置が、荷電粒子ビームのエネルギを現在値から+ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値から−ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値で得られる試料表面像とから荷電粒子ビームのビーム形状を抽出する工程と、得られた前記ビーム形状から、前記色収差定量化装置が色収差の大きさを定量化する工程と、該定量化された色収差から、前記フィードバック装置が前記収差補正制御器にフィードバック量を指示する工程と、を有することを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明によれば、通常の操作員が収差補正を意識せずに色収差補正を行なうことができる。また、荷電粒子のエネルギを現在値から+ΔEだけシフトした像と、現在値から−ΔEだけシフトした像と、現在値の像の3つの像を基にして色収差補正を自動で行なうことができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、2つの荷電粒子ビーム形状を抽出し、抽出した荷電粒子ビームにより自動色収差補正を行なうことができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、色収差量を2つのビーム形状の径の差にある定数を乗じた値とすることにより、より好ましい自動色収差補正を行なうことができる。
(9)請求項9記載の発明によれば、2つの荷電粒子ビーム形状の径の差が設定された閾値以内に入るまで色収差自動補正処理を行なうようにすることで、通常の操作員が収差補正を意識せずに色収差補正を行なうことができる。
(11)請求項11記載の発明によれば、試料として金粒子を用いることで、好ましい荷電粒子ビーム形状を得ることができる。
(13)請求項13記載の発明によれば、抽出された2つの荷電粒子ビーム形状のX方向径の差とY方向径の差をそれぞれ色収差量として、X方向と、Y方向独立に色収差を自動補正することができる。
(15)請求項15記載の発明によれば、抽出された2つの荷電粒子ビーム形状の面積の差を色収差量として色収差の自動補正を行なうことができる。
(18)請求項18記載の発明によれば、通常の操作員が収差補正を意識せずに色収差補正を行なうことができる。
図1は本発明の一実施の形態例を示す構成図である。図8と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、1は荷電粒子ビームを放出するエミッタ、2は該エミッタ1から放出される電子ビーム、3は該電子ビーム2に作用するレンズ、6はレンズ作用を受けた電子ビーム2の各種補正を行なう収差補正器、4は電子ビーム2を試料5上に収束させる対物レンズ、5は試料、7は該試料5から放出される二次電子、8は該二次電子7を検出する二次電子検出器である。
g0=s*p0 (4)
g2=s*p2 (5)
ここで、「*」はコンボリューションを表している。式(3)〜(5)をそれぞれフーリエ変換すると次のようになる。ここで大文字はフーリエ変換されたものを示している。
G0=S・P0 (7)
G2=S・P2 (8)
ここで、「・」はフーリエ空間上での積を示す。(6)式と(7)式からSを消去すると次のようになる。
ここで、P1/P0=P10とした。同様にして、(7)式と(8)式とでSを消去すると次のようになる。
ここで、P2/P0=P20とした。次に、(9)式と(10)式とを実空間に逆フーリエ変換すると次のようになる。
g2=F-1[P20・G0] (12)
ここで、F-1[]は逆フーリエ変換を示す。ここで、P10,P20は既知の関数であるからG0が分かれば、(11)式、(12)式によってビーム形状g1,g2を計算することができる。例えば、ジャストフォーカス時のビーム形状g0をガウス分布と仮定すれば、+ΔEaシフト時のビーム形状g1,−ΔEa時のビーム形状g2を計算することができる。
ここで、αは定数である。前記フィードバック装置13dでは、(13)式で求められた色収差の大きさCaから次式によって前記収差補正制御器11又は前記対物レンズ4に指示するフィードバック量Vnを算出する。
ここでβは定数である。また、定量化の方法として、X方向色収差量、Y方向色収差量と、X方向、Y方向独立に定量化してもよい。例えば、図6に示すように、前記+ΔEaビーム形状21aのX方向径をLpx,Y方向径をLpy、前記−ΔEaビーム形状21bのX方向径をLmx,Y方向径をLmyとして、現在の色収差の大きさをX方向色収差量をCax,Y方向色収差量Cayを次のように定義する。図6はX方向とY方向とをそれぞれ独立に補正したものである。
Cay=αy(Lpy−Lmy) (16)
ここで、αx,αyは定数である。前記フィードバック装置13dでは、(15)式(16)式で求められた色収差の大きさCax,Cayから次式によって前記収差補正制御器11にX方向フィードバック量Vnx、Y方向フィードバック量Vnyを算出する。ここで、前記対物レンズ4は、通常回転対称系なので、前記対物レンズ4にフィードバックをかける場合は(14)式に帰着する。
Vny=βy×Cay (18)
ここで、βx,βyは定数である。また前記非特許文献1に詳述されているように、本文献による収差補正器を用いた場合、荷電粒子のX方向の1次軌道は次式に従う。
Y軌道に対しても同様である。また、4極子電場強度にフィードバックをかけるとしても、(20)式の関係を満たすように4極子磁場強度を同時にかければよい。
2 電子ビーム
3 レンズ
4 対物レンズ
5 試料
6 収差補正器
7 二次電子
8 二次電子検出器
9 画像積算器
10 エネルギシフト制御器
11 収差補正制御器
12 対物レンズ制御器
13 色収差自動補正装置
14 CRT
Claims (18)
- 荷電粒子ビームを放出するエミッタのポテンシャルをシフトすることにより、荷電粒子ビームのエネルギを現在値から+ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値から−ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値で得られる試料表面像とから荷電粒子ビームのビーム形状を抽出する工程と、
抽出された荷電粒子ビームのビーム形状から装置の色収差を算出する工程と、
前記色収差量が所定の値以下になるまで収差補正器又は対物レンズに対してフィードバックを自動でかける工程と、
を有することを特徴とする色収差自動補正方法。 - 荷電粒子ビームを放出するエミッタのポテンシャルをシフトすることにより、荷電粒子ビームのエネルギを現在値から+ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値から−ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値で得られる試料表面像とから荷電粒子ビームのビーム形状を抽出する形状抽出手段と、
抽出された荷電粒子ビームのビーム形状から装置の色収差を算出する色収差算出手段と、
前記色収差量が所定の値以下になるまで収差補正器又は対物レンズに対してフィードバックを自動でかけるフィードバック手段と、
を有して構成される色収差自動補正装置。 - 前記エネルギシフト量は1V〜10Vであることを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 前記試料表面像から2つの荷電粒子ビームのビーム形状を抽出することを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 装置の色収差量を抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状の径の差とすることを特徴とする請求項4記載の色収差自動補正装置。
- 前記色収差量を、抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状の径の差にある定数を乗じた値としたことを特徴とする請求項5記載の色収差自動補正装置。
- 得られた色収差量にある定数を乗じて収差補正器又は対物レンズに対してフィードバックをかけることを特徴とする請求項2又は請求項5又は請求項6記載の色収差自動補正装置。
- 装置の色収差が補正されたことを自動判定する場合、抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状の径の差に閾値を設けることを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 前記抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状の径の差が設定された閾値以内に入るまで、色収差自動補正処理を繰り返すことを特徴とする請求項8記載の色収差自動補正装置。
- 前記試料として円状の粒子を用いることを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 前記試料として金粒子を用いることを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 前記試料としてラテックスを用いることを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 装置の色収差量を、抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状のX方向径の差をX方向色収差量とし、Y方向径の差をY方向色収差量とし、X方向、Y方向独立に色収差を自動補正することを特徴とする請求項5又は請求項6又は請求項9記載の色収差自動補正装置。
- 荷電粒子ビームの1次軌道を変えないで、色収差のみを自動で補正することを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 装置の色収差量を抽出された2つの荷電粒子ビームのビーム形状の面積の差とすることを特徴とする請求項5又は請求項6又は請求項9記載の色収差自動補正装置。
- 抽出された荷電粒子ビームのビーム形状と算出された色収差補正量とを表示部に表示することを特徴とする請求項2記載の色収差自動補正装置。
- 荷電粒子を用いた試料表面観察装置において、系全体の色収差を補正する収差補正器と、
該収差補正器のレンズ強度を制御する収差補正制御器と、
荷電粒子を放出するエミッタのポテンシャルをシフトさせるエネルギシフト制御器と、
該エネルギシフト制御器に前記エミッタのポテンシャルをシフトするよう指示するビームシフト指示装置と、
該ビームシフト指示装置の制御に基づき、荷電粒子ビームのエネルギを現在値から+ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値から−ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値で得られる試料表面像とから荷電粒子ビームのビーム形状を抽出するビーム形状抽出装置と、
得られた前記ビーム形状から色収差の大きさを定量化する色収差定量化装置と、
該定量化された色収差から前記収差補正制御器にフィードバック量を指示するフィードバック装置と、
を具備したことを特徴とする試料表面観察装置。 - 系全体の色収差を補正する収差補正器と、
該収差補正器のレンズ強度を制御する収差補正制御器と、
荷電粒子を放出するエミッタのポテンシャルをシフトさせるエネルギシフト制御器と、
該エネルギシフト制御器に前記エミッタのポテンシャルをシフトするよう指示するビームシフト指示装置と、
該ビームシフト指示装置と同期して荷電粒子ビームのビーム形状を抽出するビーム形状抽出装置と、
色収差の大きさを定量化する色収差定量化装置と、
前記収差補正制御器にフィードバック量を指示するフィードバック装置とを具備する荷電粒子を用いた試料表面観察装置の動作方法であって、
前記ビームシフト指示装置の制御に基づき、前記ビーム形状抽出装置が、荷電粒子ビームのエネルギを現在値から+ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値から−ΔEだけシフトして得られる試料表面像と、現在値で得られる試料表面像とから荷電粒子ビームのビーム形状を抽出する工程と、
得られた前記ビーム形状から、前記色収差定量化装置が色収差の大きさを定量化する工程と、
該定量化された色収差から、前記フィードバック装置が前記収差補正制御器にフィードバック量を指示する工程と、
を有することを特徴とする試料表面観察装置の動作方法。
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