JP5042931B2 - 転造ボルト - Google Patents

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本発明は、緩み防止機能を有する転造ボルトに関する。更に詳しくは、並目ねじと細目ねじとを転造することで緩み防止を図る機能を備えた二重螺子構成の転造ボルトに関する。
近年、緩み防止機能を有する種々のボルト及びその製造方法が研究、開発されその結果の成果が種々提案されている。例えば、ボルト軸部の先端部から所定位置まで形成されたピッチPの並目螺子部と、少なくともボルト軸部の並目螺子部の全長もしくは先端部から並目螺子部の所定位置まで並目螺子部に重ねて形成されたピッチp(p=P/n、nは2以上の整数)の細目螺子部とを備えるボルト構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このボルトでは、ボルトの並目螺子部に並目ナットを螺合させた後、細目螺子部に細目ナットをこの並目ナットに重ねて螺合させて、ボルト及び両ナット間を締結させることができる。この際、細目ナットと並目ナットのピッチが異なるので、両者が一体になって同一方向に回転すると、両ナット間の接触面に反発力が働き、並目ナットが緩み方向に回転するのを防止することができる。
特許文献1には、このようなボルトが、旋盤による切削加工、並目平ダイス、細目平ダイスによる転造加工、並目ロールダイス、細目ロールダイスによる転造加工で加工できることが記載されている。
又、本発明者らは、螺子転造ダイスのうち少なくとも1つが並目螺子を展開した並目螺子山の山部と、並目螺子山の谷部に並目螺子と同一方向のつる巻き線を持ち並目螺子よりもピッチの小さい細目螺子(但し、並目螺子と細目螺子のピッチの比はa対bであり、aとbは、最小の整数比である。)をその谷底が並目螺子山の谷底よりも高い位置となるように展開したときに並目螺子山との位相ずれに応じて並目螺子山のb巻きごとに周期的に現れる細目螺子山に対応する突起とを有するボルトの製造方法および製造装置に関する技術などを開示している(例えば、特許文献2参照)。
更にこれに関する螺子転造ダイスの製造方法に関する技術も開示している(例えば、特許文献3参照)。
特許第3770320号公報 特許第3546211号公報 特許第3534117号公報
二重螺子構成の転造ボルトを製造するための螺子転造ダイスは、螺子転造ダイス材料に所定の切削を施し螺子転造部を形成し製造される。この螺子転造ダイスで、丸棒状のボルト素材に押圧し転造しながら転造ボルトを製造する。この螺子転造ダイスを用いると転造ボルトを大量に且つ短時間に製造できる。
緩み防止機能を有する転造ボルトは、例えば、前述のとおり、並目螺子と細目螺子の設けられた二重螺子構成の転造ボルトである。この転造ボルトを製造するため螺子転造ダイスで転造する際は、丸棒状のボルト素材に徐々に押圧し、丸棒状のボルト素材の外形形状を徐々に変形させ螺子形状にする。
螺子転造ダイスの周期的に変化する溝の深さは、並目螺子山の谷底の位置と突起を形成するために展開した細目螺子の細目螺子山の谷底の位置とが互いに最もよく重なり合う部分で最も深く、両者の位置が最もずれている部分で最も浅くなっている。このため、従来の螺子転造ダイスで二重螺子構成の転造ボルトを転造する場合、各角度位置における断面である溝部の断面積が異なるため、各断面における溝部への材料充填率に差が生じる。すなわち、溝部の断面積の小さい部位から順に充填し、溝部の断面積の大きい部位が最後に充填される。特に加工終期においては、溝部への材料の充填率が高いため、余剰材料の逃げ場がなくなる。
この結果、転造加工を行う場合、びびり振動、騒音等の原因となるおそれがあった。また、このびびり振動の程度によっては、精度不良を引き起こし、工具寿命を著しく縮め、製造装置にも悪影響を及ぼす可能性が生じるおそれがあった。
さらに、従来の螺子転造ダイス101では、並目螺子山の一部に形成される細目螺子山(小突起)106の形状に、部分的な小突起の凸部の両側に小谷部106A、大谷部106Bが形成される部位がある(図18参照)。このような部位では、転造の進行とともに、小谷部106A側が先に充填されてしまうため、小谷部106A側からの押圧力F1と大谷部106B側からの押圧力F2に差が生じる。そのため、転造ボルト103側では、転造ボルト103の螺子山形状が変形して精度低下が生じ、転造ボルト103が不良品となってしまうおそれがあった。また、螺子転造ダイス101側でも、細目螺子山の形状が変形したり、破損したりするおそれがあった。
また、転造ボルト103転造の際、びびり振動、激しい負荷変動等があったりすると、螺子転造ダイス101の弱い部分の損傷が生じる。そして、螺子転造ダイス101が損傷すると、新しい螺子転造ダイスとの交換を余儀なくされる。このことは、螺子転造ダイス交換に伴なう生産性の低下を招くとともに、転造ボルトのコストアップの要因にもなっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するために創案されたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、高品質に、生産性が高く製造することができる二重螺子構成の転造ボルトを提供することにある。
本発明の他の目的は、螺子転造加工時に、びびり振動、負荷変動等が発生することがない螺子転造ダイスで転造された二重螺子構成の転造ボルトを提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の転造ボルトは、
標準的な第1のピッチの並目螺子と、前記第1のピッチより小さいピッチである第2のピッチの細目螺子とが、外周部に、転造により製造された二重螺子構成の転造ボルトであって、前記並目螺子の螺子山は、この螺子山の山頂と谷底との中間にある略中央部から谷底側にねじ面が形成された谷部を有するものであり、前記細目螺子の螺子山は、前記並目螺子の螺子山の前記略中央部から山頂側に、周期的に形成された突起であるとともに、前記並目螺子の螺子山に形成される前記細目螺子の谷部の両側の山部のうち、一方の前記山部が大山部に、他方の前記山部が小山部に形成される部位において、前記小山部側を、所定の角度範囲内において、前記細目螺子の螺子山の谷底部の高さに合わせた平坦部にしたものであることを特徴とする。
本発明2の転造ボルトは、本発明1において、
前記平坦部と、前記並目螺子のフランクとの境界部がR形状になっていることを特徴とする。
本発明3の転造ボルトは、本発明1または2において、
前記転造ボルトは、螺子転造ダイスで転造加工されたものであることを特徴とする。
本発明4の転造ボルトは、本発明3において、
前記螺子転造ダイスは、螺子転造ダイス材料に、並目螺子山に対応する山頂部を平坦にした形状を有する第1の除肉工具を、前記細目螺子山に対応する突起の最大高さ以下の位置まで送り込み、前記螺子転造ダイス材料の一部分を除肉することにより、前記螺子転造ダイス上に並目螺子山の山部が形成され、前記除肉後の螺子転造ダイス材料に、細目螺子山の形状を有する第2の除肉工具を、前記螺子転造ダイス上の並目螺子山の山部分の谷部から前記細目螺子山に対応する突起の形状に合わせて移動させ、前記螺子転造ダイス材料を除肉することにより、前記螺子転造ダイスの細目螺子山の谷部分、及び前記細目螺子山の山部両側に形成される谷部のうち小谷部側を前記細目螺子山の山頂部の高さに合わせて平坦になる突起が形成されたものであることを特徴とする。
本発明5の転造ボルトは、本発明4において、
前記細目螺子山の前記突起は、前記第1の除肉工具で一部分が除肉された前記螺子転造ダイス材料に、前記第2の除肉工具の先端形状より大きい半径の先端形状に形成された第3の除肉工具により所定の角度範囲内の細目螺子山の谷部分が形成された後、前記第2の除肉工具により残りの角度範囲内の前記細目螺子山の谷部分、及び、前記突起が形成されたものであることを特徴とする。
本発明6の転造ボルトは、本発明4または5において、
前記第2の除肉工具、及び、前記第3の除肉工具による加工は、前記螺子転造ダイスの軸線の周り方向、前記軸線と平行な方向、及び、前記軸線と直交する方向の位置及び速度を同期制御し、前記螺子転造ダイス材料を除肉する切削加工であることを特徴とする。
以上説明したように、本発明の転造ボルトである二重螺子構成の転造ボルトは、転造に伴なう負荷を均等化させるようにし、バランスのとれた状態で螺子転造ダイスにより転造加工され、機械的強度、耐久性を向上させた並目螺子山と細目螺子山とを形成することができる。従って、この二重螺子構成の転造ボルトは、大量生産が可能で、機械的強度、耐久性の向上した品質を有するものとすることができた。また、螺子転造ダイスによる転造加工で大量に製造することができるので、安価に供給することができ、経済的効果も大である。
以下、本発明の転造ボルトである二重螺子構成の転造ボルト(以下、二重螺子ボルトと記載する)の実施の形態について、図をもとに詳細に説明する。この二重螺子ボルトは、螺子転造ダイスによって転造加工され製造されたものである。
図1は、本発明の二重螺子ボルトを示す外観図、図2は、二重螺子ボルトの軸部のねじ形状の展開図である。図3は、第1の螺子転造ダイスで転造加工した二重螺子ボルトに細目ナット、並目ナットをねじ込んだ状態を示す断面図、図4は、第2の螺子転造ダイスで転造加工した二重螺子ボルトに細目ナット、並目ナットをねじ込んだ状態を示す断面図である。
二重螺子ボルト50、55は、頭部50B、軸部50Aとからなっている。なお、図1では、ボルト種類を六角ボルトとして図示しているが、四角ボルト、六角穴付ボルト、すり割り付きボルト、すり割り付き小ねじ、十字穴付き小ねじ等他の種類のボルト、小ねじ等であってもよい。
二重螺子ボルト50の軸部50Aには、ねじに関する規格で定められた標準的なピッチの並目螺子の螺子山(並目螺子山)53、並目螺子のピッチより小さいピッチ(この実施の形態では1/2のピッチ)の細目螺子の螺子山(細目螺子山)52、平坦部51等が形成されている。並目螺子は、並目螺子山53の略中央部から谷底53b側にねじ面53cが形成された谷部を有する標準的なピッチで形成された螺子である。細目螺子は、並目螺子山53の略中央部から山頂52b側に、並目螺子のピッチより小さいピッチで周期的に形成される突起からなる螺子である。
〔実施の形態1〕
二重螺子ボルトの実施の形態1を図1〜3に従って説明する。
実施の形態1の二重螺子ボルト50は、並目螺子山53の谷部に、並目螺子である雌ねじが形成された並目ナット48の山部がねじ込まれる(図3参照)。細目螺子の細目螺子山52には、細目螺子である雌ねじが形成された細目ナット47がねじ込まれる(図3参照)。そして、細目ナット47と並目ナット48とはピッチが異なるので、両者が一体になって同一方向に回転すると、細目ナット47と並目ナット48との間の接触面に反発力が働き、並目ナット48が緩み方向に回転するのを防止することができる。
例えば、二重螺子ボルト50の中心位置を部位180°、上端位置を部位270°、下端位置を90°として図示すると、二重螺子ボルト50の形状は図1に示すようになる。図1において、部位135°及び部位225°の位置が、細目螺子山52が平坦部51になる境界位置である。又、並目螺子山53の谷部は、所定のピッチ(ねじに関する規格で定められた標準的なピッチ)で連続する螺旋形状となっている。この二重螺子ボルト50の軸部50Aに形成された二重螺子を展開すると、図2のようになる。
図3(a)は、図1における部位0°の角度位置を示す断面図、図3(b)は、図1における部位90°の角度位置を示す断面図、図3(c)は、図1における部位180°の角度位置を示す断面である。なお、部位270°の角度位置を示す断面図は、部位90°の勝手違いの形状のものであり、図示を省略している。部位90°の角度位置(図3(b))に示すように、細目螺子山52に形成される大山部、小山部のうち小山部52sを細目螺子山の谷部の谷底部の高さに合わせて平坦にした平坦部51が形成されている。二重螺子ボルト50の平坦部51と並目螺子山53のフランクとの角部は小さなR形状に構成されているとよい。
この平坦部51は、図1、2で示すように、部位135°から225°の位置を除く範囲において、前述のように小山部52s側に山部を形成せず平坦形状としている。この平坦部51は、図2に示すように二重螺子ボルトの一周分にわたって形成されている。
図3において、部位180°位置、及び部位180°近傍では、両方の山部の大きさが同じであり中間に谷部が形成されている。部位180°の位置を挟んで部位135°から225°の角度位置の範囲は、小山部側をなだらかに傾斜させ、部位135°及び部位225°の位置(または、部位135°近傍及び部位225°近傍)の位置で平坦になるように傾斜させている。このように平坦にしたのは、二重螺子ボルト50の機械的強度、耐久性を向上させるためである。
〔実施の形態2〕
二重螺子ボルトの実施の形態2を図1、2、4に従って説明する。
図において、実施の形態2の二重螺子ボルト55は、並目螺子山53a(実施の形態1の並目螺子山53に相当)の谷部に、並目螺子である雌ねじが形成された並目ナット48の山部がねじ込まれる(図4参照)。細目螺子の細目螺子山52a(実施の形態1の並目螺子山52に相当)には、細目螺子である雌ねじが形成された細目ナット47がねじ込まれる(図4参照)。
この実施の形態2の二重螺子ボルト55は、平坦部51a(実施の形態1の平坦部51に相当)と並目螺子山53aのフランクとの角部51bを大きなR形状にして構成したものである。角部51b以外の他の部位は、前述した実施の形態1の二重螺子ボルト50と差がない。従って、二重螺子ボルト55の外観図が図1に、軸部に形成された二重螺子の展開図が図2に相当する。
図4(a)は、図1における部位0°の角度位置を示す断面図、図4(b)は、図1における部位90°の角度位置を示す断面図、図4(c)は、図1における部位180°の角度位置を示す断面である。
前述したように、この二重螺子ボルト55は、細目螺子山52aと並目螺子山53aの谷部との間の平坦部51aの角部51bをR形状にした構成のものである(図4参照)。他の構成は実施の形態1と同一であり、説明を省略する。
〔二重螺子ボルトの製造装置〕
次に、本実施の形態の二重螺子ボルトを転造加工で製造する装置について説明を行う。
図5は、二重螺子ボルトの製造装置の基本構成を示す概略図、図6は、図3、4に示された二重螺子ボルトを転造製造する螺子転造ダイスの外観図である。図5、6に示すように、二重螺子ボルトの製造装置は、所定間隔で対向配置した一対の螺子転造ダイス1と、丸棒状のボルト材料(以下「ワーク」という。)3を所定位置で支持するボルト支持部(ワークレスト)2とで構成されている。
又、図6に示した螺子転造ダイス1は、円筒形状のダイス(丸ダイス)の外周に、二重螺子ボルト形成用のための螺旋状の凹凸である転写パターン4が形成されている。この転写パターン4は、二重螺子ボルト50、55にねじ込まれるナット形状に準じた螺旋形状のものである。螺子転造ダイス1に関する基本的な技術、構成は、特許文献2、3に詳細に説明されているが、本実施の形態の理解を容易にするために、その前提となる螺子転造ダイス1の構成の概要について説明する。
図7は、螺子転造ダイス1の外周の展開図で、転写パターン4を平面的に模式的に展開している。外周の二重螺子構成の異なる角度位置の部位を、二重螺子ボルト50一周の転写パターン4に沿い、A〜Fの6分割で示し、その各部位A〜Fに相当する断面図を図8の(A)〜(F)に示している。従って、図8の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)は、各々、図7のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図、E−E断面図、F−F断面図に相当する。
図7に示すように、螺子転造ダイス1の外周には、製造する二重螺子ボルト50、55に対応する螺子転造ダイス1の転写パターン4の螺子形状が形成され、螺子転造ダイス1の一周分は二重螺子ボルト50、55の16周分に相当する。従って、螺子転造ダイス1の外周において、角度位置の22.5度分が二重螺子ボルト50、55の一周分になり、それに合致する転写パターン4が形成されている。
図8に示すように、螺子転造ダイス1の転写パターン4は、並目螺子を丸ダイスの表面に展開した基準の螺子山となる並目螺子山の一部(以下、「並目螺子山部」という。)5と、この並目螺子山部の谷部5aに周期的(一定ピッチ)に形成された付加的な突起6とにより構成されている。突起6は、展開した並目螺子山部5の並目螺子と同一方向のつる巻き線を持ち、並目螺子よりもピッチの小さい細目螺子を展開した細目螺子山(図8に想像線6aで示す。)と、並目螺子山部5との位相ずれ7に応じて周期的な形状に形成されたものである。
ここで、並目螺子と細目螺子のピッチの比を2対1とすると、突起6は、細目螺子を展開したときに並目螺子山との位相ずれに応じて、並目螺子山部5の1巻きごとに、周期的に現れる細目螺子山の一部となる。図8に示すように、想像線6aで示す細目螺子山は、並目螺子山との位相ずれ7によって、この並目螺子山から突出した部分が、付加的な突起6として並目螺子山部5の谷部5aに現れている。
即ち、突起6は、細目螺子山そのものではなく、位相ずれ7に応じてずれた分だけ細目螺子山の想像線6aに対応するように、並目螺子山に対して付加的に突出させた突起である。並目螺子山の断面は、螺子転造ダイス1の表面に現れている細目螺子山の一部(突起6の表面)を除く部分である。
なお、図8(A)〜(F)の断面図に示す例では、基準となる並目螺子山の谷部5aの谷底5bと、突起6に対応させた細目螺子山の想像線6aの谷底6bとの位置を一致させているが、これに限るものではない。
次に、二重螺子ボルト50、55を転造加工するための螺子転造ダイスの製造方法について説明する。図9は、第1の螺子転造ダイス31、第2の螺子転造ダイス31Aの製造工程の概要を示すフローチャートである。図10(a)は、第1の螺子転造ダイス、第2の螺子転造ダイスの製造に用いる第1の切削工具(除肉工具)20を示す平面図、図10(b)は、第1の螺子転造ダイス、第2の螺子転造ダイスの製造に用いる第2の切削工具(除肉工具)25を示す平面図である。図10(c)は、第2の螺子転造ダイスの製造に用いる第3の切削工具(除肉工具)125を示す平面図である。
〔第1の螺子転造ダイス〕
図11は、第1の螺子転造ダイス31に形成されている並目螺子山の加工工程を説明するための説明図である。図12は、突起(細目螺子山)の加工工程を説明するための説明図である。まず、第1の螺子転造ダイス31の螺子山を切削加工するための切削工具について説明する。図10(a)に示すように、第1の切削工具(除肉工具)20は、その先端部(並目螺子山形状21の山頂部)22を平坦にするとともに、先端の両角部が丸みR1に形成された略台形状をしたバイトである。なお、図10(a)において、想像線23は通常の螺子転造ダイスに、並目螺子山を形成する際に用いられるバイトの形状を示す線である。想像線23によって示すように、本実施の形態における第1の切削工具20は、通常の並目螺子山の形状を有するバイトの先端部を、所要形状(平坦)に切り欠いたものに相当するものである。
図10(b)に示す第2の切削工具(除肉工具)25は、細目螺子山に相当する形状を有するバイトであり、先端部27には刃先の丸みR2が形成されている。すなわち、この第2の切削工具25の先端部(細目螺子山形状26の山頂部)27は、平面視で、円弧、又は曲線(平面視)に形成されているとよく、この実施の形態では、先端部に刃先の丸みR2が形成されている。図10(c)に示す第3の切削工具(除肉工具)125は第2の切削工具25の刃先の丸みR2より大きい刃先の丸みR3が先端部(細目螺子山形状126の山頂部)127に形成されたバイトである。
図9に示すように、第1の螺子転造ダイス31の製造に際して、まず、素材としての螺子転造ダイス材料30(図11参照)の旋削工程を行い(ステップS11)、続いて並目螺子山加工工程(ステップS12)及び突起(細目螺子山に相当)加工工程(ステップS13)を行う。
ステップS12の並目螺子山加工工程では、第1の切削工具(除肉工具)20を用いる。図11に示すように、並目螺子山加工工程では、主軸(図示せず)前端のチャックに把持等され主軸側に固定された螺子転造ダイス材料30を所定の回転速度(回転数)で回転させるとともに、螺子転造ダイス材料30に、第1の切削工具20を、図11のX軸方向(主軸軸線と直交する方向)に、「突起の最大高さ以下の位置」または「突起の最大高さ以下の位置」まで送り込み、並目螺子山のピッチで図11のZ軸方向(主軸軸線と平行な方向)に移動させる。このとき、主軸1回転に対して、第1の切削工具20が並目螺子山の1ピッチ分Z軸方向に移動する同期制御を行う。すなわち、主軸の軸線の周り方向とZ軸方向とは同期をとった制御がされる。この第1の切削工具20による切削加工(除肉加工)で、螺子転造ダイス材料30の一部分を切削する。言い換えると、螺子転造ダイス材料30に、第1の切削工具20による旋削加工が施される。これにより、螺子転造ダイス材料30に並目螺子山部5が形成される。
ステップS13の突起加工工程では、第2の切削工具(除肉工具)25を用いる。この第2の切削工具25による突起加工工程を図示すると、図12(a)〜(h)のようになる。図12(a)〜(h)に示すように、突起加工工程では、螺子転造ダイス材料30を所定の回転速度(回転数)で回転させるとともに、並目螺子山加工工程において切削加工した後の螺子転造ダイス材料30に、第2の切削工具25を、X軸方向(主軸軸線と直交する方向)、Z軸方向(主軸軸線と平行な方向)に移動させて、並目螺子山部5の一部分の谷部5aから、細目螺子山の谷部及び突起6等の切削加工(除肉加工)を行う。すなわち、主軸の軸線の周り方向、X軸方向、Z軸方向の3軸を同期をとった同時制御することで、所望の形状の螺子転造ダイスの螺子山を製造することができる。言い換えると、螺子転造ダイス材料30に、第2の切削工具25による複合旋削加工が施される。
このような制御を行うことにより、螺子転造ダイス材料30に細目螺子山の谷部及び突起6が形成される。
図12(a)〜(h)は、主軸軸線の周り方向の45°毎の第2の切削工具25と螺子転造ダイス材料30の加工状態(細目螺子山の谷部と突起等の加工状態)との関係を断面図として示した図である。なお、図12では、細目螺子山を想像線で図示している。また、図12(a)の状態を主軸軸線の周り方向の0°とし、順次、(b)が45°、(c)が90°・・(h)が315°のように図示している。
このような第1の切削工具20、第2の切削工具25による加工は、NC(数値制御)旋盤、NC複合旋盤、ターニングセンタ等と呼ばれている工作機械によって施すとよい。すなわち、NC装置、CNC(コンピュータ数値制御)装置等の制御機能を使い、主軸軸線の周り方向、X軸方向(主軸軸線と直交する方向)、Z軸方向(主軸軸線と平行な方向)の3軸を同時に制御することで加工することができる。また、この加工に使用するNCプログラムは、自動プログラミング等と呼ばれている機能を使用すると容易にプログラムすることができてよい。
その後、(1)焼き入れ、(2)焼き戻しの熱処理工程(ステップS14)を行う(図9参照)。これにより、図に示す断面形状を有した第1の螺子転造ダイス31が得られる。
次に、第1の螺子転造ダイス31の構成の中で、特徴部分について説明する。図13は、第1の螺子転造ダイス31の断面図であり、図8に相当する螺子転造ダイスの断面図である。二重螺子ボルトに相当する一周分の部位を8分割し、異なる角度で180°範囲までの転写パターン32を部位0°、45°、90°、135°、180°の角度位置で示した断面図である。図13は、並目螺子山Bのフランクと平坦部(断面形状において)との角のR形状33が小さい場合の断面図である。
又、第1の螺子転造ダイス31の各部位225°、270°、315°の角度位置において、部位225°は部位135°の場合の勝手違いの形状パターンであり、部位270°は部位90°の場合の勝手違いの形状パターンであり、部位315°は部位45°の場合の勝手違いの形状パターンである。図13において、部位34は、第1の螺子転造ダイス31に形成された谷部を示し、符号39は、第1の螺子転造ダイス31に形成された平坦部に相当する部位を示している。
細目螺子山Aの山部両側に形成される谷部のうち、小谷部38側(図13)を細目螺子山Aの山部の山頂部の高さに合わせて平坦にしている。例えば、部位135°の角度位置の場合、図に示すパターンの並目螺子山Bとの境界の部位が従来であると、二点鎖線で示す小谷部38の形状になるべきところを図に示すように平坦にしている。
この平坦部39は、部位135°から225°の角度位置を除く角度位置において、前述したように小谷部38側に谷部を形成せず、突起側の上部を、即ち細目螺子山Aの山頂部を平坦形状としている。この平坦形状は、二重螺子ボルトの平坦部(断面視において)に相当するように設けられている。
図13の断面図では、部位180°の角度位置以外、部位0°、45°、90°、135°の角度位置の全ての小谷部側は、平坦形状としている。すなわち、所定の範囲内における小谷部側を、細目螺子山の山頂部に合わせた円筒面となっている。部位180°の角度位置の場合は、両谷部の大きさが同じであり両側に谷部が配置されている。又、部位180°の角度位置を挟んで、部位135°から225°の角度位置の範囲は、小谷部側をなだらかに傾斜させ、部位135°または部位135°近傍、及び、部位225°または部位225°近傍で平坦になるように傾斜させている。このように平坦にしたのは、平坦にしない場合に、部位90°近傍から270°近傍の領域(例えば、部位90°近傍の領域、部位270°近傍等の領域)に現れる細目螺子山Aの浅い方の溝(小谷部38)を取り除き、螺子転造ダイスで転造加工を行う際、その部分に発生する応力集中を緩和するためである。
第1の螺子転造ダイス31による二重螺子ボルト50の転造過程の材料流動状態の説明を行う。
図14は、図1における部位0°、90°、180°の角度位置における断面図で、材料流動の進行状態をイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、トの7段階に分けて示した図である。すなわち、一対の第1の螺子転造ダイス31を、同一方向に回転させながら互いの間の距離を狭めていったときの材料の流動変化状態を模式的に示している。
図14イ〜ハに示すように、第1の螺子転造ダイス31がワーク3に徐々に押し込まれるに従い、ワーク3はまず第1の螺子転造ダイス31の並目螺子山Bの表面に沿って塑性変形しながら並目螺子山の谷部(断面の溝部)を埋めていく。すなわち、二重螺子ボルト50の並目螺子山53が形成されていく。
第1の螺子転造ダイス31は、図14ニ〜トに示すように、ワーク3が徐々に押し込まれ、細目螺子山A、並目螺子山Bの谷部を埋めていく。このとき、平坦部39の面等に沿って、変形しながら谷部を埋めていく。そして、部位180°、部位90°、部位0°の順に、溝部にワーク3が充填されていく。すなわち、二重螺子ボルト50の並目螺子山53、細目螺子山52が形成されていく。
従来は、部位90°の場合、図18に示すように、矢印で示す押圧力F1、F2がアンバランスになるので、二重螺子ボルト50の螺子山の変形、螺子転造ダイスの細目螺子山の変形または欠損が発生するおそれがあった。
しかしながら、第1の螺子転造ダイス31は、部位90°近傍の領域、部位270°近傍の領域等に現れる細目螺子山の浅い方の溝(小谷部38)が取り除かれており、転造時にその部分に発生する応力集中を緩和することができる。さらに、第1の螺子転造ダイス31の各角度位置での溝面積の差は、従来の製造方法で製造された螺子転造ダイスより縮小させることができる。このように溝面積の差を小さくすることにより、転造加工を行う場合のびびり振動、騒音等の発生を少なくすることができる。従って、このびびり振動による二重螺子ボルト50の精度不良、螺子転造ダイス31の工具寿命低下、製造装置への悪影響等の発生を抑えることができる。
〔第2の螺子転造ダイス〕
第2の螺子転造ダイス31Aの製造方法について説明する。第2の螺子転造ダイス31Aの製造工程は、第1の螺子転造ダイス31とほぼ同一であり、第1の螺子転造ダイス31の製造方法と突起加工工程S13が異なるのみであるので、その工程を中心に説明を行う。すなわち、第1の切削工具20による並目螺子山Bの切削加工と、第2の切削工具25による切削加工の間に、第3の切削工具125による切削加工を行い、所定の角度範囲における細目螺子山の谷部の加工の一部を行う。
図15は、第2の螺子転造ダイスの突起(細目螺子山)を加工する加工工程を示す説明図、図16は、第2の螺子転造ダイスの螺子転造ダイスの断面図であって、各角度部位毎に示した図、図17は、第2の螺子転造ダイスで転造加工を行ったときの流動状態を説明するための説明図である。
図15(a)〜(h)は、主軸軸線の周り方向の45°毎の第2の切削工具25、第3の切削工具125と螺子転造ダイス材料30の加工状態(細目螺子山の谷部と突起等の加工状態)との関係を断面図として示した図である。なお、図15では、細目螺子山を想像線で図示している。また、図15(a)の状態を主軸軸線の周り方向の0°とし、順次、(b)が45°、(c)が90°・・(h)が315°のように図示している。
図15(a)〜(h)に示すように、この製造方法による突起加工工程では、螺子転造ダイス材料30を所定の回転速度(回転数)で回転させるとともに、並目螺子山加工工程において切削した後の螺子転造ダイス材料30に、第3の切削工具125、第2の切削工具25を、X軸方向(主軸軸線と直交する方向)、Z軸方向(主軸軸線と平行な方向)に移動させて、並目螺子山部5の一部分の谷部5aから、細目螺子山部の谷部及び突起6等の加工を行う。すなわち、主軸の軸線の周り方向、X軸方向、Z軸方向の3軸を同期をとった同時制御することで、所望の形状の螺子転造ダイスの螺子山を製造することができる。言い換えると、螺子転造ダイス材料30に、第2の切削工具25、第3の切削工具125による複合旋削加工が施される。これにより、螺子転造ダイス材料30に細目螺子山の谷部及び突起6が形成される。
細目螺子山の谷部に相当する溝輪郭は、まず刃先の丸みR3(≧R2)の第3の切削工具125により、細目の溝輪郭に合わせて加工する。この場合、部位0°から90°、部位270°から部位360°の領域は細目の溝深さを一定とし、部位90°から部位270°の領域は細目の溝輪郭に合わせて徐々に浅くなるように加工する。
次に、部位90°から部位270°の領域の細目溝を刃先の丸みR2(≦R3)の第2の工具25により細目の溝輪郭に合わせて加工する。さらに、部位90°近傍の領域、270°近傍の領域等に現れる細目の浅い方の溝(小谷部38)を取り除くように加工する。この第2の切削工具25、第3の切削工具125での切削加工により、螺子転造ダイス材料30に細目螺子山の谷部及び突起6を形成することができる。
図16は、第2の螺子転造ダイス31Aであり、図8の螺子転造ダイスの断面図に相当するものである。二重螺子ボルトに相当する一周分の部位を8分割し、異なる角度で180°範囲までの転写パターン32を部位0°、45°、90°、135°、180°の角度位置で示した断面図である。
図16は、並目螺子山Bのフランクと平坦部(断面形状において)との角のR形状33が大きい場合の断面図である。また、図16において、部位34は、第2の螺子転造ダイス31Aに形成された谷部を示し、符号39は、第1の螺子転造ダイス31Aに形成された平坦部に相当する部位を示している。
第2の螺子転造ダイス31Aでも、細目螺子山Aの山部両側に形成される谷部のうち、小谷部38側(図16)を細目螺子山Aの山部の山頂部の高さに合わせて平坦にしている。例えば、従来であると、二点鎖線で示す小谷部38の形状になるべきところを図に示すように平坦にしている。
この平坦部39は、部位135°から225°の角度位置を除く角度位置において、前述したように小谷部38側に谷部を形成せず、突起側の上部を、即ち細目螺子山Aの山頂部を平坦形状としている。この平坦形状は、二重螺子ボルトの平坦部(断面視において)に相当するように設けられている。すなわち、所定の範囲内における小谷部側が、細目螺子山の山頂部に合わせた円筒面となっている。
図16においての断面図では、部位180°の角度位置以外、部位0°、45°、90°、135°の角度位置の全ての小谷部側は、平坦形状としている。部位180°の角度位置の場合は、両谷部の大きさが同じであり両側に谷部が配置されている。又、部位180°の角度位置を挟んで、部位135°から225°の角度位置の範囲は、小谷部側をなだらかに傾斜させ、部位135°または部位135°近傍、及び、部位225°または部位225°近傍で平坦になるように傾斜させている。このように平坦にしたのは、第2の螺子転造ダイス31Aの突起部分の剛性を高めるためである。この平坦にする構成は、他の螺子山についても同様である。
第2の螺子転造ダイス31Aによる二重螺子ボルト55の転造過程の材料流動状態の説明を行う。
図17は、図1における部位0°、90°、180°の角度位置における断面図で、材料流動の進行状態をイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、トの7段階に分けて示した図である。一対の第2の螺子転造ダイス31Aを、同一方向に回転させながら互いの間の距離を狭めていったときの材料の流動変化状態を模式的に示している。
また、第2の螺子転造ダイス31Aは、図17イ〜トに示すように、ワーク3が徐々に押し込まれ、細目螺子山B、並目螺子山Aの谷部を埋めていく。このとき、平坦部39の面等に沿って、変形しながら谷部を埋めていく。すなわち、二重螺子ボルト55の並目螺子山53、細目螺子山52が形成されていく。図17イ〜トに示すように、第2の螺子転造ダイス31Aは、第1の螺子転造ダイス31より、各角度位置での溝面積の差を、さらに縮小させることができる。また、第2の螺子転造ダイス31Aは、部位90°近傍から270°近傍の領域(例えば、部位90°近傍の領域、部位270°近傍の領域等)に現れる細目螺子山Aの浅い方の溝(小谷部38)が取り除かれており、転造時にその部分に発生する応力集中を緩和することができる。
このように、第1、2の螺子転造ダイス31、31Aは、溝面積の差を小さくすることにより、転造加工を行う場合のびびり振動、騒音等の発生を最小限とすることができる。また、転造時に一部の部分に発生する応力集中を緩和することができる。従って、このびびり振動による二重螺子ボルト50、55の精度不良、螺子転造ダイスの工具寿命低下、製造装置への悪影響等の発生を抑えることができる。
従って、螺子転造加工時の付加変動等の発生を最小限とし、螺子転造ダイスが損傷し、その損傷した螺子転造ダイスの交換を頻繁に行う必要もなくなり、二重螺子ボルト製造の生産性を低下させることがない。
また、本実施の形態の二重螺子ボルト50、55は、転造に伴なう負荷を均等化させるようにし、バランスのとれた状態の螺子転造ダイス31、31Aにより転造加工され、機械的強度、耐久性を向上させた並目螺子山53と細目螺子山52とを形成することができる。また、この二重螺子ボルト50、55は、大量生産が可能で、機械的強度、耐久性の向上した品質を有するものである。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態で説明した内容に限定されないことはいうまでもない。例えば、二重螺子ボルトを転造する螺子転造ダイスは、平ダイスであってもよい。すなわち、丸ダイスの転写パターンを平面に展開したような形状の平ダイスを上下に配置し、上下の平ダイスを平行に移動させて転造を行ういわゆる平ダイスによる転造加工を行ってもよい。
図1は、本発明の転造ボルトを示す外観図である。 図2は、転造ボルトのねじ形状の展開図である。 図3は、第1の螺子転造ダイスで転造加工した転造ボルトに細目ナット、並目ナットをねじ込んだ状態を示す断面図である。 図4は、第2の螺子転造ダイスで転造加工した転造ボルトに細目ナット、並目ナットをねじ込んだ状態を示す断面図である。 図5は、転造ボルトの製造装置を示す概略図である。 図6は、図5の螺子転造ダイスを示す外観図である。 図7は、図6の螺子転造ダイスの外周の転写パターンの一部の平面展開図である。 図8は、図7に示す各部位の断面図で、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は、それぞれ、図7のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線、F−F線で切断した断面図である。 図9は、螺子転造ダイスの製造工程を示すフロー図である。 図10は、螺子転造ダイスを製造するための切削工具を示す部分平面図で、(a)は、第1の切削工具を示し、(b)は、第2の切削工具を示し、(c)は、第3の切削工具を示す図である。 図11は、螺子転造ダイスの並目螺子山を加工する加工工程を示す説明図である。 図12は、第1の螺子転造ダイスの突起(細目螺子山)を加工する加工工程を示す説明図である。 図13は、第1の螺子転造ダイスの螺子転造ダイスの断面図であって、各角度部位毎に示した図である。 図14は、第1の螺子転造ダイスで転造加工を行ったときの流動状態を説明するための説明図である。 図15は、第2の螺子転造ダイスの突起(細目螺子山)を加工する加工工程を示す説明図である。 図16は、第2の螺子転造ダイスの螺子転造ダイスの断面図であって、各角度部位毎に示した図である。 図17は、第2の螺子転造ダイスで転造加工を行ったときの流動状態を説明するための説明図である。 図18は、従来の転造加工の問題点を説明するための断面図である。
符号の説明
1,31,31A…螺子転造ダイス
2…ボルト支持部
3…ボルト材料(ワーク)
4、32…転写パターン
5…並目螺子山部
5a…谷部
5b…谷底
6…突起
6a…細目螺子山の想像線
6b…谷底
20…第1の切削工具
25…第2の切削工具
125…第3の切削工具
30…螺子転造ダイス材料
39…平坦部
50、55…転造ボルト
51、51a…平坦部
52、52a…突起(細目螺子山)
53、53a…並目螺子山
50A…軸部
50B…頭部
A…細目螺子山
B…並目螺子山

Claims (6)

  1. 標準的な第1のピッチの並目螺子と、前記第1のピッチより小さいピッチである第2のピッチの細目螺子とが、外周部に、転造により製造された二重螺子構成の転造ボルトであって、
    前記並目螺子の螺子山は、この螺子山の山頂と谷底との中間にある略中央部から谷底側にねじ面が形成された谷部を有するものであり、
    前記細目螺子の螺子山は、前記並目螺子の螺子山の前記略中央部から山頂側に、周期的に形成された突起であるとともに、前記並目螺子の螺子山に形成される前記細目螺子の谷部の両側の山部のうち、一方の前記山部が大山部に、他方の前記山部が小山部に形成される部位において、前記小山部側を、所定の角度範囲内において、前記細目螺子の螺子山の谷底部の高さに合わせた平坦部にしたものである
    ことを特徴とする転造ボルト。
  2. 請求項1に記載の転造ボルトにおいて、
    前記平坦部と、前記並目螺子の螺子山のフランクとの境界部がR形状になっている
    ことを特徴とする転造ボルト。
  3. 請求項1または2に記載された転造ボルトにおいて、
    前記転造ボルトは、螺子転造ダイスで転造加工されたものである
    ことを特徴とする転造ボルト。
  4. 請求項3に記載された転造ボルトにおいて、
    前記螺子転造ダイスは、
    螺子転造ダイス材料に、並目螺子山に対応する山頂部を平坦にした形状を有する第1の除肉工具を、前記細目螺子山に対応する突起の最大高さ以下の位置まで送り込み、前記螺子転造ダイス材料の一部分を除肉することにより、前記螺子転造ダイス上に並目螺子山の山部が形成され、
    前記除肉後の螺子転造ダイス材料に、細目螺子山の形状を有する第2の除肉工具を、前記螺子転造ダイス上の並目螺子山の山部分の谷部から前記細目螺子山に対応する突起の形状に合わせて移動させ、前記螺子転造ダイス材料を除肉することにより、前記螺子転造ダイスの細目螺子山の谷部分、及び前記細目螺子山の山部両側に形成される谷部のうち小谷部側を前記細目螺子山の山頂部の高さに合わせて平坦になる突起が形成されたものである
    ことを特徴とする転造ボルト。
  5. 請求項4に記載された転造ボルトにおいて、
    前記細目螺子山の前記突起は、
    前記第1の除肉工具で一部分が除肉された前記螺子転造ダイス材料に、前記第2の除肉工具の先端形状より大きい半径の先端形状に形成された第3の除肉工具により所定の角度範囲内の細目螺子山の谷部分が形成された後、前記第2の除肉工具により残りの角度範囲内の前記細目螺子山の谷部分、及び、前記突起が形成されたものである
    ことを特徴とする転造ボルト。
  6. 請求項4または5に記載された転造ボルトにおいて、
    前記第2の除肉工具、及び、前記第3の除肉工具による加工は、
    前記螺子転造ダイスの軸線の周り方向、前記軸線と平行な方向、及び、前記軸線と直交する方向の位置及び速度を同期制御し、前記螺子転造ダイス材料を除肉する切削加工である
    ことを特徴とする転造ボルト。
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