JP5042687B2 - ミシンの下糸張力制御装置 - Google Patents
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Description
図7に示すように、下糸張力制御装置100には、中釜101に保持されるボビン102のボビンケース103内に永久磁石104が設けられ、この永久磁石104に対向する位置に当該永久磁石104から離間させて電磁石105が設けられている。そして、電磁石105に通電することにより電磁石105の周囲に磁界を発生させると、永久磁石104は電磁石105の磁界の影響を受けて、電磁石105に対して離間又は接近するように移動する。永久磁石104が電磁石105から離間すると、永久磁石104は皿ばね106を介して下糸が巻き付けられたボビン102を中釜101の底部に向けて押さえつけるのでボビン102は中釜101との摩擦により回転速度が落ち、下糸に張力がかかる。一方、永久磁石104が電磁石105に接近すると、永久磁石104は皿ばね106を押すことがないので、下糸が巻き付けられたボビン102は中釜101の底部に向けて押さえつけられることがなく、ボビン102は中釜101との摩擦の影響を受けることなく回転速度を維持し、下糸に張力はかからない。
このような原理を利用して、電磁石105に通電する電流の大きさや電流の流れる方向を適宜調節することにより、下糸に付与する張力を制御することができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、下糸が伸びてしまうことにより、下糸に張力を与えるタイミングが、下糸が伸びた分だけ時間的に遅れてしまうことから、ユーザが望むタイミングで下糸に張力を与えることができないという問題があった。
また、ボビンを中釜の底部に押さえつけた状態で下糸が引っ張られると、ボビンに巻き付けられた下糸がボビンに締め付けられてしまい、下糸を繰り出すのに通常よりも大きな力が必要となることから、それ以降の下糸の張力が増加してしまうという問題があった。
また、磁性体は、動作体の所定の軸線を通る直線を挟んで対向する位置で磁石に設けられていることから、回転制御装置で動作体の初期位置からの回転角度を制御することにより、糸調子バネに対向する磁石と磁性体の割合を自在に変えることができる。すなわち、磁石のみを糸調子バネに対向させるように動作体を回転させた場合には、下糸の張力を最も解放できる状態であり、磁性体のみを糸調子バネに対向させるように動作体を回転させた場合には、下糸に最も張力を付与できる状態となる。また、磁石と磁性体を交互に糸調子バネに対向させることができるので、糸調子バネに対向させる磁石の割合を動作体の回転角度により調節することで糸調子バネを引っ張る磁力を細かく調節することができる。また、動作体の回転速度を制御することにより、張力の付与又は解放のタイミングも調節することができる。
よって、ユーザの望むタイミングで下糸に適切な大きさの張力を与えることができる。
また、動作体を円柱状に形成することにより、動作体の回転角度の調節以外での糸調子バネに与える磁力の変動を解消することができる。
また、磁性体は、半円柱状に形成され、磁石は、先端側が磁性体より突出し、所定の軸線に沿って複数並んで設けられていることから、回転制御装置で動作体の初期位置からの回転角度を制御することにより、糸調子バネに対向する磁石と磁性体の割合を自在に変えることができる。すなわち、磁石のみを糸調子バネに対向させるように動作体を回転させた場合には、下糸の張力を最も解放できる状態であり、磁性体のみを糸調子バネに対向させるように動作体を回転させた場合には、下糸に最も張力を付与できる状態となる。また、磁石と磁性体を交互に糸調子バネに対向させることができるので、糸調子バネに対向させる磁石の割合を動作体の回転角度により調節することで糸調子バネを引っ張る磁力を細かく調節することができる。また、動作体の回転速度を制御することにより、張力の付与又は解放のタイミングも調節することができる。
よって、ユーザの望むタイミングで下糸に適切な大きさの張力を与えることができる。
また、動作体を構成するのに必要な磁石の量を減らすことができるので、動作体の軽量化を図ることができる。また、必要に応じて磁石の数を増減させることにより、糸調子バネの強さに応じてバリエーションに富んだ動作体を製作することができる。
(ミシンの下糸張力制御装置の全体構成)
図1〜図3に示すように、ミシンの下糸張力制御装置1(以下、下糸張力制御装置1という)は、ミシンの縫い針に通された上糸に対してボビンBに巻き付けられた下糸Tを絡ませる釜2の近傍に設けられている。
最初に、釜2について説明すると、図3に示すように、釜2は、ミシンテーブル内における縫い針の下方に設けられ、縫い針を上下動させる駆動源となるミシンモータにより回転駆動する下軸(釜軸)3に固定されている。すなわち、縫い針の上下動作と釜2の回転が同期して動作し、縫い針が下降した際に、釜2が縫い針に通された上糸を捕捉して釜2に保持されたボビンBの下糸を絡ませる。
中釜5には、凹部(図示略)が形成され、ミシンフレームに固定された突起(図示略)がこの凹部に嵌め込まれるとともに、下軸3が回転することにより外釜4が下軸3の軸線回りに回転する。中釜5は、後述する磁石が形成する磁界の影響を受けないような非磁性体、例えば、アルミニウム等の材料により形成されている。
また、ボビンケースCには、糸調子バネ7により覆われる部分に下糸Tを通す糸通し穴Aが形成されている。糸調子バネ7は、弾性を有する薄い金属板から形成されており、その一端が止めネジ7aによりボビンケースCに取り付けられている。その際、糸調子バネ7は、糸通し穴Aを覆うように取り付けられ、糸調子バネ7とボビンケースCとで下糸Tを挟むことができるようになっている。
すなわち、糸調子バネ7は、一端が固定端、他端が自由端とされており、他端が後述する磁石によりボビンケースCの外周面に対して接離することで下糸TのボビンケースCへの押さえ付け力、いわゆる下糸Tにかかる張力を調節することができる。
動作体10は、所定の軸線回りに回転自在とされており、糸調子バネ7を磁力により当該動作体10に向けて引く磁石11と、この磁石11における当該回転軸線を通る直線を挟んで対向する位置に設けられた磁性体12と、磁石11及び磁性体12が固定され、軸回りに回転自在な軸体13と、を備えている。
磁石11は、フェライト磁石、ネオジウム磁石等の永久磁石から構成され、動作体10の回転軸となる軸体13に固定されている。
磁性体12は、鉄等の磁性体から構成され、動作体10の回転軸となる軸体13に固定されている。
制御装置20は、公知のCPUやメモリを備えて構成されており、メモリには、所望する張力と当該張力を下糸に付与するための動作体10の回転角度とが対応づけられてデータとして記憶されている。また、メモリには、ミシンの縫製に関する動作プログラムや、動作体10を回転させるための制御プログラムが記憶されている。
例えば、図1に示すように、動作体10のうち、磁石11が糸調子バネ7に対向する位置にある状態においては、糸調子バネ7を引く磁力は最大となり、下糸への張力を解放又は解放に近い状態まで弱めることができる。逆に、図1に示す状態から動作体10を180°回転させることにより、磁性体12が糸調子バネ7に対向する位置にある状態にすると、糸調子バネ7を引く磁力はなくなり、下糸には糸調子バネ7の弾性力によって張力が付与される。
従って、ミシンの縫製動作によって、下糸の張力を解放するときは動作体10の磁石11を糸調子バネ7に対向させ、下糸に張力を付与するときは動作体10の磁性体12を糸調子バネ7に対向させるように動作体10を回転させるべく、ステッピングモータ17を制御装置20にて制御すればよい。
以上のような下糸張力制御装置1によれば、ステッピングモータ17により動作体10を回転させると、磁石11と磁性体12が交互に糸調子バネ7に対向する位置に移動する。この場合において、磁石11が糸調子バネ7に対向する位置にある場合には、磁石11から発せられる磁力により糸調子バネ7が磁石11の方へ引っ張られ、ボビンケースCの外周から糸調子バネ7が離れることとなる。よって、この場合には下糸Tにかかる張力を解放することができる。一方、磁性体12が糸調子バネ7に対向する位置にある場合には、糸調子バネ7は磁性体12に引っ張られることはなく、下糸Tに張力を付与し続けることができる。
また、磁性体12は、動作体10の所定の軸線を通る直線を挟んで対向する位置で磁石11に設けられていることから、制御装置20で動作体10の初期位置からの回転角度を制御することにより、糸調子バネ7に対向する磁石11と磁性体12の割合を自在に変えることができる。すなわち、磁石11のみを糸調子バネ7に対向させるように動作体10を回転させた場合には、下糸Tの張力を最も解放できる状態であり、磁性体12のみを糸調子バネ7に対向させるように動作体10を回転させた場合には、下糸Tに最も張力を付与できる状態となる。また、磁石11と磁性体12を交互に糸調子バネ7に対向させることができるので、糸調子バネ7に対向させる磁石11の割合を動作体10の回転角度により調節することで糸調子バネ7を引っ張る磁力を細かく調節することができる。また、動作体10の回転速度を制御することにより、張力の付与又は解放のタイミングも調節することができる。
よって、ユーザの望むタイミングで下糸Tに適切な大きさの張力を与えることができる。
また、下糸Tへの張力の調節にあたり、動作体10を回転させるだけでよいため、磁石を糸調子バネ7に接離させるような機構に比べて迅速に張力の調節を行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、図5に示すような動作体10aを備える下糸張力制御装置1aであってもよい。
図5に示すように、動作体10aのうち、磁性体12aに複数の磁石11aを所定間隔毎に設けてもよい。磁石11aは、円柱の先端が球面上に形成された形状をなしており、基端側が磁性体12aに埋設され、先端側が磁性体12aより突出している。磁石11aは、軸体13の回転軸線に沿って並んで設けられている。
このような構成の下糸張力制御装置1aによれば、上記実施形態と比べて動作体10aを構成するのに必要な磁石11aの量を減らすことができるので、動作体10aの軽量化を図ることができる。また、必要に応じて、軸体13に設ける磁石11aの数を増減させることにより、糸調子バネ7の強さに応じてバリエーションに富んだ動作体10aを製作することができる。
なお、磁石11aは、糸調子バネ7を当該磁石11a側に引き寄せるために必要な磁界を形成するだけの数が設けられていればよいため、糸調子バネ7の強さ等に応じて自由に数量を変更できる。
図6に示すように、動作体10bを円柱状に形成し、この動作体10bを磁石11b,11c及び磁性体12b,12cからなるように構成してもよい。
具体的には、磁石11b,11c及び磁性体12b,12cがそれぞれ動作体10bの1/4ずつの大きさに形成されており、これらの4つが軸体13に固定されることにより円柱状の動作体10bを形成している。
磁石11b,11c及び磁性体12b,12cは、交互に軸体13に設けられている。磁石11b,11cの両側には磁性体12b,12cが隣接して設けられ、磁性体12b,12cの両側には磁石11b,11cが隣接して設けられている。また、磁石11b,11c及び磁性体12b,12cは、それぞれ動作体10bの1/4ずつの大きさに形成されているため、それぞれを軸体13に設けた際には、磁石11bと磁石11cが軸体13を挟んで対向する位置に設けられ、磁性体12bと磁性体12cが軸体13を挟んで対向する位置に設けられている。
このような構成の下糸張力制御装置1bによれば、上記実施形態と比べて動作体10bを回転させた場合において、糸調子バネ7の磁石11b,11c側への引き寄せのON/OFFを迅速に行うことができるので、張力の調節が頻繁にあるような縫製において有用である。
1a ミシンの下糸張力制御装置
1b ミシンの下糸張力制御装置
7 糸調子バネ
10 動作体
10a 動作体
10b 動作体
11 磁石
11a 磁石
11b 磁石
12 磁性体
12a 磁性体
12b 磁性体
17 ステッピングモータ(回転駆動装置)
20 制御装置(回転制御装置)
C ボビンケース
T 下糸
Claims (2)
- ボビンケースの内周又は外周への接離により下糸への張力を付与又は解放する磁性体から形成された糸調子バネに対向するように配置され、磁力により前記糸調子バネを動作させる動作体と、
前記動作体を所定の軸線回りに回転させる回転駆動装置と、
前記回転駆動装置による前記動作体の初期位置からの回転角度を制御する回転制御装置と、を備え、
前記動作体は、
前記糸調子バネを磁力により、当該動作体に向けて引く磁石と、
前記所定の軸線を通る直線を挟んで対向する位置で前記磁石に設けられた磁性体と、
を有し、
前記動作体は、円柱状に形成されていることを特徴とするミシンの下糸張力制御装置。 - ボビンケースの内周又は外周への接離により下糸への張力を付与又は解放する磁性体から形成された糸調子バネに対向するように配置され、磁力により前記糸調子バネを動作させる動作体と、
前記動作体を所定の軸線回りに回転させる回転駆動装置と、
前記回転駆動装置による前記動作体の初期位置からの回転角度を制御する回転制御装置と、を備え、
前記動作体は、
前記糸調子バネを磁力により、当該動作体に向けて引く磁石と、
半円柱状に形成された磁性体と、
を有し、
前記磁石は、先端側が前記磁性体より突出し、前記所定の軸線に沿って複数並んで設けられていることを特徴とするミシンの下糸張力制御装置。
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JP2007097530A JP5042687B2 (ja) | 2007-04-03 | 2007-04-03 | ミシンの下糸張力制御装置 |
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JP2007097530A JP5042687B2 (ja) | 2007-04-03 | 2007-04-03 | ミシンの下糸張力制御装置 |
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