JP2008029378A - ミシンの自動糸調子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大きなスペースを必要とせず、しかも安価に糸の張力を大きく変化させることができるミシンの自動糸調子装置を提供すること。
【解決手段】 相対的に接離し糸を挟持あるいは解放可能とされている1対の糸調子皿2,3と、これらの両糸調子皿2,3のうち一方の糸調子皿2,3の背面に当接可能な皿押え4bと、皿押え4bに接続された駆動ロッドを介して皿押え4bを一方の糸調子皿3に対して圧接する方向へ駆動する駆動手段10とを有するミシンの自動糸調子装置において、駆動手段10と同方向に前記皿押え4bを駆動する補助駆動手段25を配設したもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ミシンの糸の張力を調整するミシンの自動糸調子装置に係り、特に、大きな張力範囲を設定することができるミシンの自動糸調子装置に関する。
従来から、ミシンには、糸に張力を付与する糸調子装置が配設されている。このミシンの糸調子装置の一種として、糸に付与する張力を自動的に調節可能な自動糸調子装置が知られている。この種のミシンの自動糸調子装置100は、図4に示すように、駆動手段の一種であるボイスコイルモータ101、可動の糸調子皿(以下、単に可動皿と略称する)102、固定の糸調子皿(以下、単に固定皿と略称する)103および駆動ロッド104などから構成されている。
前記駆動ロッド104は、前記固定皿103の開口部103aに摺動自在に挿通されるとともに、その一端部104aがボイスコイルモータ101の可動部101aに連結されている。また、前記駆動ロッド104の他端部104bにはねじ部104cが形成されており、このねじ部104cには、位置決めナット105が駆動ロッド104の軸方向に位置調整可能に螺合されている。
そして、前記位置決めナット105の外周には、皿押え106が一体に固定されており、この皿押え106には、前記固定皿103に対向する前記可動皿102が取り付けられている。
このような構成によれば、ボイスコイルモータ101の可動部101aを右側に移動すると、駆動ロッド104を介して可動皿102が右側へと移動し、可動皿102は固定皿103から離間し、逆に、左側に移動すると、可動皿102は左側へと移動し、可動皿102は固定皿103に当接することになる。
また、図示はしないが、糸は糸巻き装置から可動皿102および固定皿103の間を通り、天秤を介して針棒の縫い針に導かれている。これにより糸は、可動皿102と固定皿103との間に所定の圧力をもって挟持されることになる。なお、この圧力は、ボイスコイルモータ101の可動部101aの駆動位置を変更することにより変化させることができ、これにより、糸に付与する糸張力が調整されることになる。また、前述した圧力は、前記駆動ロッド104のねじ部104cを駆動ロッド104の軸方向に移動させることによっても変更することができる。
特開2003−326053号公報
しかしながら、前述した従来のミシンの自動糸調子装置100において糸の張力を変化させるためには、固定皿103に対する可動皿102の位置を変化させて可動皿102および固定皿103間の圧力を変化させることになるが、糸の張力を大きく変化させるためには、駆動手段であるボイスコイルモータ101の可動部101aのストロークを大きくしなければならない。
しかしながら、可動部101aのストロークを大きくするためには、ボイスコイルモータ101を大型化しなければならない。
すると、この大型のボイスコイルモータ101のために大きなスペースが必要とされるし、高価なボイスコイルモータ101を使用しなければならない。
そこで、本発明は、大きなスペースを必要とせず、しかも安価に糸の張力を大きく変化させることができるミシンの自動糸調子装置を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するため、請求項1に係る本発明のミシンの自動糸調子装置の特徴は、相対的に接離し糸を挟持あるいは解放可能とされている1対の糸調子皿と、これらの両糸調子皿のうち一方の糸調子皿の背面に当接可能な皿押えと、前記皿押えに接続された駆動ロッドを介して前記皿押えを一方の前記糸調子皿に対して圧接する方向へ駆動する駆動手段とを有するミシンの自動糸調子装置において、前記駆動手段と同方向に前記皿押えを駆動する補助駆動手段を配設したことを特徴としている。そして、このような構成を採用したことにより、駆動手段あるいは補助駆動手段のいずれか一方あるいは駆動手段および補助駆動手段の両方により駆動ロッドを駆動することができるので、糸の張力を大きく変化させる際には両方の駆動手段により安定的に駆動ロッドを駆動することができる。
また、請求項2に係る本発明のミシンの自動糸調子装置の特徴は、前記駆動手段および補助駆動手段は、それぞれ往復動しうるアクチュエータを有し、各アクチュエータには、このアクチュエータの移動に伴って回動される個別のリンクが連結されており、前記駆動手段のリンクは前記駆動ロッドに枢着されており、前記補助駆動手段のリンクは前記駆動手段のリンクに枢着されている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、それぞれアクチュエータの往復動をリンクの回動に変換して駆動ロッドを駆動することができる。
さらに、請求項3に係る本発明のミシンの自動糸調子装置の特徴は、前記両リンクのいずれか一方のリンクにはピンが突設されており、他方のリンクには、この他方のリンクの回動方向に延在し前記ピンが遊嵌される長孔が穿設されている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、長孔が穿設されているリンクに対応する駆動手段を使用しない場合にも、他方の駆動手段により駆動ロッドを円滑に駆動することができる。
さらにまた、請求項4に係る本発明のミシンの自動糸調子装置の特徴は、前記駆動手段が電磁ソレノイドとされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、往復動を容易に行うことができる。
また、請求項5に係る本発明のミシンの自動糸調子装置の特徴は、この電磁ソレノイドに、アクチュエータの行程における中間位置に行程を変化させても押圧力の変化しない安定領域が形成されている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、安定領域を利用することにより一定の押圧力を保持することができる。
さらに、請求項6に係る本発明のミシンの自動糸調子装置の特徴は、前記補助駆動手段が流体圧シリンダとされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、小さなスペースに設置することができる。
本発明のミシンの自動糸調子装置によれば、大きなスペースを必要とせず、しかも安価に糸の張力を大きく変化させることができる。
すなわち、駆動手段と同方向に皿押えを駆動する補助駆動手段を配設したので、糸の張力を大きく変化させる際には両方の駆動手段により安定的に駆動ロッドを駆動することができる。
また、前記駆動手段および補助駆動手段が、それぞれ往復動しうるアクチュエータを有し、各アクチュエータには、このアクチュエータの移動に伴って回動される個別のリンクが連結され、前記駆動手段のリンクは前記駆動ロッドに枢着され、前記補助駆動手段のリンクは前記駆動手段のリンクに枢着されるように構成すれば、いずれの駆動手段によっても駆動ロッドを安定的に駆動することができる。
さらに、前記両リンクのいずれか一方のリンクにはピンが突設されており、他方のリンクには、この他方のリンクの回動方向に延在し前記ピンが遊嵌される長孔が穿設されているように構成すれば、長孔が穿設されているリンクに対応する駆動手段を使用しない場合にも、ピンが長孔に沿って移動可能なので、他方の駆動手段により駆動ロッドを円滑に駆動することができる。
さらにまた、駆動手段を電磁ソレノイドとすれば、コイルへの通電方向を逆にするだけで往復動を容易に行うことができる。
また、電磁ソレノイドに、アクチュエータの行程における中間位置に行程を変化させても押圧力の変化しない安定領域を形成することにより、安定領域を利用して一定の押圧力を保持することができる。
さらに、補助駆動手段を流体圧シリンダとすることにより、小さなスペースに設置して、駆動ロッドを安定的に駆動することができる。
図1ないし図3は、本発明に係るミシンの自動糸調子装置の実施形態を示すものである。
図3において、ミシンの自動糸調子装置1は、可動皿2および固定皿3間に糸を挟持するようになっている。このうち、前記可動皿2は、前述した従来のものと同様、駆動ロッド(図示せず)の一端部に螺合されている位置決めナット4aに皿押え4bを介して装着されている。なお、前記駆動ロッドは、可動皿2を固定皿3に圧接する方向の力が作用しない状態においては、可動皿2は図示しないばねにより固定皿3から離間され、糸を解放するようになっている。
前記駆動ロッドは、回動可能に支持されているベルクランク5の一端部に枢着されており、このベルクランク5の他端部には、前記駆動ロッドの軸線方向とほぼ直交する方向の軸線方向とされている中間ロッド6の一端部が往復動しうるようにピン7およびワイヤ状留め具8により枢着されている。
図1および図2に示すように、主駆動手段としての電磁ソレノイド10が配設されている。この電磁ソレノイド10は、ケーシング11内に配設されたコイル(図示せず)を有しており、このコイル内には、往復動可能に鉄芯のようなアクチュエータ12が配設されている。このアクチュエータ12の一端部は、前記ケーシング11の前面から外部に突出しており、前記コイルに通電することにより、前記アクチュエータ12は、前記ケーシング11内に後退する方向に移動されるようになっている。
なお、前記電磁ソレノイド10は、前記コイルを特殊な巻き方にされており、前記アクチュエータ12の行程における中間位置に、行程を変化させても押圧力の変化しない安定領域が形成されている。そして、このような構成を採用したことにより、安定領域を利用することにより一定の押圧力を保持することができる。なお、このような電磁ソレノイド10のコイルの巻き方は公知であるので、その詳細は省略する。
前記ケーシング11の前面の側方には、ブラケット13が突設されており、このブラケット13には、鉛直方向の軸線を有するピン14により第1リンク15の一端部が回動しうるように枢着されている。
前記ケーシング11から外部に突出している前記アクチュエータ12の端部には、上方に突出するピン16が植設されている。一方、前記第1リンク12の中間部には、この第1リンク12の長手方向に延在する長孔17が穿設されており、この長孔17に前記ピン16が嵌合されている。よって、前記アクチュエータ12の移動に伴ない、前記第1リンク12は、ピン16により長孔17の周縁を押圧されることになり、ピン14を中心として回動されることになる。
前記第1リンク15の他端部の側縁には、膨出部18が形成されており、この膨出部18には、ピン19が植設されている。一方、前記中間ロッド6の他端部には、円形孔20が形成されており、この円形孔20には、前記ピン19が嵌合されるとともにワイヤ状留め具21により保持されて、枢着されている。また、前記第1リンク15の他端部にはピン22が植設されている。
前記電磁ソレノイド10の近傍には、補助駆動手段としての空気圧シリンダ25が配設されている。なお、この副駆動手段としては、油圧シリンダなどの他種の流体圧シリンダでもよいし、電磁ソレノイドなどでもよい。
前記空気圧シリンダ25は、内部にピストン(図示せず)が空気圧により移動しうるように配設されているシリンダ本体26を有しており、前記ピストンには、前記シリンダ本体26の前端から外部に突出するピストンロッド27が接続されている。
前記ピストンロッド27の近傍には、図示しない固定部材に突設され鉛直方向の軸線を有するピン28に一端部が回動しうるように枢着されている第2リンク29が配設されている。この第2リンク29の中間部には、円形孔30が穿設されている。一方、前記ピストンロッド27の先端部には、ワイヤ状留め具31によりピン32が保持されており、このピン32が前記円形孔30に嵌合されている。よって、前記ピストンロッド27の移動に伴ない、前記第2リンク29は、ピン32により円形孔30の周縁を押圧されることになり、ピン28を中心として回動されることになる。
前記第2リンク29の他端部には、この第2リンク29の回動方向、すなわち、第2リンク29の長手方向に直交する方向に延在する長孔33が穿設されており、この長孔33には、前記第1リンク15の他端部に植設されている前記ピン22が遊挿されている。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
ミシンの自動糸調子装置1は、縫製開始時には、固定皿3に対し可動皿2を近接させて固定皿3および可動皿2間に糸を挟持して糸に張力を付与するが、特殊な縫製の場合には、縫製の1針ごとに張力を変化させたりする場合もある。また、糸切り時には、固定皿3から可動皿2を離間させて糸を解放して糸に対する張力を解除するようになっている。
このため、縫製開始時には、まず、空気圧シリンダ25にピストンロッド27を引き込む方向の空気を導入してピストンロッド27を引き込ませる。すると、このピストンロッド27に接続されている第2リンク29が、図1において反時計方向に回動され、第1リンク15に植設されているピン22に沿うように第2リンク29の長孔33が移動することになる。そして、長孔33の端縁がピン22に当接すると、その後は、長孔33の端縁によりピン22が第2リンク29とともに第2リンクと同方向に移動し、この結果、第1リンク15に従動して中間ロッド6が図1に太矢印で示す方向に移動する。
すると、図3に太矢印で示す方向に中間ロッド6が引張られ、べルクランク5の時計方向への回動を介して図示しない駆動ロッドが図3において右方向に移動する。これにより、可動皿2が固定皿3に圧接し、糸を可動皿2および固定皿3間に挟持して糸に張力を付与する。
その後、電磁ソレノイド10のコイル(図示せず)にあらかじめ設定した電圧を印加すると、コイルに生じた磁場によりアクチュエータ12が中間ロッド6をさらに同方向に移動し、可動皿2が固定皿3にさらに圧接し、糸を可動皿2および固定皿3間に強く挟持して糸の張力が高められる。
また、縫製に合わせて糸の張力を調整するには、コイルに付与する電圧を調整すればよい。
なお、前記電磁ソレノイド10は、前述したようにコイルを特殊な巻き方にされており、前記アクチュエータ12の行程における中間位置に、行程を変化させても押圧力の変化しない安定領域が形成されている。そして、このような構成を採用したことにより、安定領域を利用することにより一定の押圧力を保持することができる。
つぎに、縫製開始時に電磁ソレノイド10のコイルに電圧を印加するとともに、空気圧シリンダ25にピストンロッド27を引き込む方向の空気を導入して両者により駆動ロッドを移動させるようにすれば、駆動ロッドを迅速に移動して所望の糸の張力を早急に得ることができる。
また、必要に応じては、縫製開始時に電磁ソレノイド10のコイルに電圧を印加するのみで、空気圧シリンダ25にはピストンロッド27を引き込む方向の空気を導入しなくとも、電磁ソレノイド10のみ単独で駆動ロッドを移動させて、可動皿2を固定皿3に圧接するようにしてもよい。逆に、空気圧シリンダ25のみ単独で駆動ロッドを移動させることも可能である。
さらに、糸の張力を解除するには、電磁ソレノイド10のコイルに対する電圧の印加を停止するとともに、空気圧シリンダ25を使用しているときには、この空気圧シリンダ25に供給していた空気を放出する。すると、駆動ロッドを付勢している図示しないばねにより駆動ロッドは可動皿2を固定皿3から離間する方向に移動されるので、可動皿2および固定皿3は迅速に糸を解放して糸の張力は解除される。
以上説明したように、本実施形態のミシンの自動糸調子装置1によれば、主駆動手段である電磁ソレノイド10に加えて補助駆動手段である空気圧シリンダ25を有しているので、大型の電磁ソレノイドを設けることなく、電磁ソレノイド10と空気圧シリンダ25の相乗作用により大きな範囲の糸の張力を得ることができる。しかも、電磁ソレノイド10、空気圧シリンダ25とも大きなスペースを必要とせず、しかも安価に製造することができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
本発明に係るミシンの自動糸調子装置の実施形態を示す駆動手段部位の斜視図 図1の分解図 図1の糸調子皿部位の斜視図 従来のミシンの自動糸調子装置における糸調子部位の縦断面図
符号の説明
1,100 ミシンの自動糸調子装置
2,102 可動の糸調子皿(可動皿)
3,103 固定の糸調子皿(固定皿)
4,106 皿押え
6 中間ロッド
10 電磁ソレノイド
11 ケーシング
12 アクチュエータ
15 第1リンク
25 空気圧シリンダ
26 シリンダ本体
27 ピストンロッド
29 第2リンク

Claims (6)

  1. 相対的に接離し糸を挟持あるいは解放可能とされている1対の糸調子皿と、これらの両糸調子皿のうち一方の糸調子皿の背面に当接可能な皿押えと、前記皿押えに接続された駆動ロッドを介して前記皿押えを一方の前記糸調子皿に対して圧接する方向へ駆動する駆動手段とを有するミシンの自動糸調子装置において、
    前記駆動手段と同方向に前記皿押えを駆動する補助駆動手段を配設したことを特徴とするミシンの自動糸調子装置。
  2. 前記駆動手段および補助駆動手段は、それぞれ往復動しうるアクチュエータを有し、各アクチュエータには、このアクチュエータの移動に伴って回動される個別のリンクが連結されており、
    前記駆動手段のリンクは前記駆動ロッドに枢着されており、前記補助駆動手段のリンクは前記駆動手段のリンクに枢着されていることを特徴とする請求項1に記載のミシンの自動糸調子装置。
  3. 前記両リンクのいずれか一方のリンクにはピンが突設されており、他方のリンクには、この他方のリンクの回動方向に延在し前記ピンが遊嵌される長孔が穿設されていることを特徴とする請求項2に記載のミシンの自動糸調子装置。
  4. 前記駆動手段は電磁ソレノイドとされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のミシンの自動糸調子装置。
  5. この電磁ソレノイドには、アクチュエータの行程における中間位置に行程を変化させても押圧力の変化しない安定領域が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のミシンの自動糸調子装置。
  6. 前記補助駆動手段は流体圧シリンダとされていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のミシンの自動糸調子装置。
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