JP5041836B2 - コンジュゲート繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ストッキング、パンティストッキング(PS)等のストレッチ衣料素材の製造方法に関する。
従来のパンティストッキング用繊維として、ストレッチ繊維が採用されている。このストレッチ繊維としては、例えば、ポリウレタン繊維に1本又は複数本のナイロン繊維を巻き付けたシングルカバードヤーン(SCY)、これらを撚り方向を変えて2重に巻き付けたダブルカバードヤーン(DCY)が主に採用されている(例えば、特許文献1、2等)。或いは、ストレッチ繊維(ポリウレタン等)と熱可塑性繊維(ポリアミド等)が繊維の長さ方向に連続して貼り合わされた構造を有するコンジュゲート繊維を捲縮させたものも使用されている(例えば、特許文献3〜7等)。これらの繊維に関して、目的とする衣料の伸縮特性、強度等に合わせて改良されたものが数多く報告されている。
しかし、SCYやDCYは、その高い伸縮性により優れたサポート性を有していることから幅広く使用されているが、生地厚みが大きくなりやすく、また透明感が低い。また製造方法は一般に、ポリウレタン繊維を2〜3倍程度に延伸し、1本又は複数本のナイロン繊維を1m当たり2000〜3000回転程度巻き付けるため時間すなわちコストがかかるという問題があった。
またストレッチ繊維(ポリウレタン等)と熱可塑性繊維(ポリアミド等)が繊維の長さ方向に連続して貼り合わされた構造を有するコンジュゲート繊維は、SCYやDCYと比較して生地厚みが少なく透明感が高いことを特徴としているが、捲縮によるサポート性、即ちコイル状の伸縮による弾性を利用しているため、一般にSCYやDCYと比較してサポート性が弱く、昨今の市場ニーズである高いサポート性の要求を満足させることは難しいという面があった。また製造方法は編立後熱収縮により捲縮性させるため、均一に捲縮させることが難しく、品質管理および製造歩留まりが悪いという問題があった。
特開昭47−19146号公報 特開昭62−263339号公報 特開昭61−34220号公報 特開昭61−256719号公報 特開平3−206122号公報 特開平3−206124号公報 特開2003−171831号公報 特開2001−131837号公報 特開昭57−112409号公報 特開2001−055634 特開2005−154994 特公平1−41723
本発明は、強度、伸長回復力及び透明性に優れたコンジュゲート繊維の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、2種類の異なるストレッチ繊維からなる芯鞘コンジュゲート繊維を複合紡糸した後、加熱処理、次いで延伸処理することにより、透明性を維持したままで捲縮性と伸縮性に優れたコンジュゲート繊維が得られることを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記のコンジュゲート繊維の製造方法を提供する。
項1. コンジュゲート繊維の製造方法であって、
(1)伸縮弾性を有するエラストマー樹脂(A)とポリトリメチレンテレフタレート(B)とをそれぞれ溶融し、複合口金を2個有した口金で、エラストマー樹脂(A)が芯部分にポリトリメチレンテレフタレート(B)が鞘部分になるように複合紡糸する工程、
(2)工程(1)で複合紡糸された繊維を熱処理する工程、及びまたは
(3)工程(2)で熱処理された繊維を延伸処理する工程、
を含むことを特徴とするコンジュゲート繊維の製造方法。
項2. 工程(2)の熱処理温度が40〜80℃である項1に記載の製造方法。
項3. 工程(3)の延伸処理における延伸倍率が1.25〜5倍である項1に記載の製造方法。
項4. 工程(3)において工程(2)における熱処理温度以上の温度で繊維を加熱して延伸処理する項1に記載の製造方法。
項5. 前記エラストマー樹脂(A)がポリウレタンエラストマーである項1に記載の製造方法。
項6.前記エラストマー樹脂(A)が架橋ポリウレタンエラストマーである項1に記載の製造方法。
項7. 前記ポリトリメチレンテレフタレート(B)に無機微粒子を含む項1に記載の製造方法。
項8. 前記コンジュゲート繊維の芯部分と鞘部分が偏芯円型又は同心円型である項1に記載の製造方法。
項9. 項1〜8のいずれかに記載の製造方法により製造されるコンジュゲート繊維。
項10. 項9に記載のコンジュゲート繊維を含むストレッチ衣料。
項11. 伸縮弾性を有するエラストマー樹脂(A)とポリトリメチレンテレフタレート(B)とを含むコンジュゲート繊維であって、芯部分に該エラストマー樹脂(A)を、鞘部分に該ポリトリメチレンテレフタレート(B)を含み、繊維断面における芯部分と鞘部分の面積比が97:3〜70:30であるコンジュゲート繊維。
以下、本発明を詳細に説明する。
I.コンジュゲート繊維
本発明のコンジュゲート繊維は、伸縮弾性を有するエラストマー樹脂(A)とポリトリメチレンテレフタレート(B)を含むコンジュゲート繊維であって、芯部分に該エラストマー樹脂(A)を、鞘部分に該ポリトリメチレンテレフタレート(B)を含んでなるエラストマー系芯鞘コンジュゲート繊維である。本発明のコンジュゲート繊維では、これらエラストマー系芯鞘コンジュゲート繊維を延伸して引張強度および伸長回復力、透明性を高めたことを特徴とする。
さらに、これらのコンジュゲート繊維断面を偏芯円型にする場合、同心円型の場合と比較して、延伸、熱処理により、より捲縮がかかることでサポート性がより向上する。
本発明のコンジュゲート繊維の芯部分を構成する伸縮弾性を有するエラストマー樹脂(A)は、伸長してもほぼ元の長さに戻る(伸長可能な範囲で降伏点を有しない)性質、すなわちゴム弾性(ヒステリシス曲線において10%以内に戻る)を有する熱可塑性エラストマーであれば特に限定はない。エラストマー樹脂(A)としては、ポリウレタン、ポリスチレンブタジエン系ブロックコポリマー等が例示され、特に、ポリウレタンが好適である。
エラストマー樹脂(A)の引張強度(JIS K7311)は、30〜60MPa程度、さらに45〜60MPa程度の高強度のものが好ましい。また、引張伸度(JIS K7311)が400〜900%程度、さらに400〜600%が好ましい。また、表面硬度A(JIS K 6253)は、A70〜98程度、さらにA80〜90が好ましい。表面硬度Aが、A70未満であると強度の確保が難しくなり、A98を越えると伸度及び伸縮性が極端に悪くなる傾向にある。
エラストマー樹脂(A)の具体例としては、例えば、クラミロンU((株)クラレ製)3195、8175等、パンデックス(ディーアイシーバイエルポリマー(株)製)T−1185N、1190N、1195N等が挙げられる。
エラストマー樹脂(A)の製法一例として、ポリウレタンエラストマー樹脂の製法を以下に示す。ポリウレタンエラストマー樹脂は、例えば、芳香族ポリイソシアネートとポリオールから、ワンショット法、プレポリマー経由法等の公知の方法を用いて製造できる。
原料である芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、これらの芳香族ジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート変性物);およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、2,4'−および/または4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、4,4'−ジイソシアナトビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。このうちで、特に好ましいものはMDIである。
原料であるポリオールとしては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、脂肪族系ポリオール等が挙げられ、特にポリエーテル系又はポリエステル系ポリオールが好適である。
ポリオールの数平均分子量は、本材料から製造される繊維のソフト感の観点から好ましくは300以上、好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上であり、該繊維の弾性の観点から好ましくは4000以下、好ましくは3500以下、さらに好ましくは3000以下である。
さらにポリウレタンエラストマー樹脂の伸長回復力を増大させる方法として、紡糸中、すなわちポリウレタンエラストマー樹脂の溶融状態にポリイソシアネートを注入、混合することで架橋したポリウレタンエラストマーが得られる。これについては、例えば、特開昭57-112409号公報記載の方法が例示できる。これらに用いられるポリイソシアネートは分子量が500から5000の3までの官能度の水酸基を持つ多官能ポリオールと多官能イソシアネートとの反応物を挙げることができる。
なお該ポリイソシアネートの添加量はその組成により異なるがポリウレタンエラストマー樹脂に対して10〜35重量%が望ましい。10重量%以下では均一分散・反応で十分でないため、伸長回復力の増大効果が小さく、逆に35重量%以上では紡糸中で安定した反応が得られず物性が安定しない。
本発明のコンジュゲート繊維の鞘部分を構成するポリトリメチレンテレフタレート(B)の具体例としては、例えば、フィッティ(東レ・デユポン(株)製)、ソロテックス(ソロテックス(株)製)が例示できる。
その性質は、他のポリエステル系、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートと異なり、伸長回復力および初期モジュラスが低いために布帛にした際にソフトストレッチな風合いとなり、衣料用に好適な素材となる。
これは、ポリトリメチレンテレフタレートの分子構造におけるメチレン鎖の部分が大きく屈曲しており、その屈曲部の伸長・回復により高い伸縮特性を有することに起因する。
本発明におけるポリトリメチレンテレフタレート(B)は、極限粘度は0.5〜1.1のものが用いられる。極限粘度が0.5未満では、本発明の目的とする強度を得られない。一方、極限粘度が1.1を越えると延伸工程で引張張力が増大し加工性が低下する。極限粘度の好ましい範囲は、生産性、延伸工程をすると0.55〜1.05の範囲であり、より好ましくは、0.6〜1.0の範囲である。またその構成単位は90モル%以上がテレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分としたポリトリメチレンテレフタレートである。ただし5モル%、より好ましくは3モル%以下の割合で、他のエステル結合の形成可能な共重合成分を含んでいてもよく、コポリマーを少量ブレンドしてもよい。また、共重合可能な化合物として、例えばイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマ酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類を挙げることができるが、特にこれらに限定されることはない。
本発明のコンジュゲート繊維の芯部分と鞘部分は、偏芯円型、同心円型の他、熱収縮等により有意に捲縮性を発現できる点からサイドバイサイドも挙げられる。中でも、肌触りの点から偏芯円型が好適である。
繊維断面積に対するエラストマー樹脂(A)からなる芯部分の占有率は、70〜97%程度、好ましくは75〜90%程度であればよい。換言すれば、エラストマー樹脂(A)からなる芯部分とポリトリメチレンテレフタレート(B)からなる鞘部分との面積比が97:3〜70:30程度、好ましくは90:10〜75:25程度である。この範囲であれば、サポート性の高いコンジュゲート繊維にすることができる。芯部分の占有率が、70%未満だとポリトリメチレンテレフタレートの占有率が高くなるので、高いサポート性と透明性が得られず、また97%を越えると延伸した後、収縮が高くなるため、布帛としての安定した形状が得られない。
本発明のコンジュゲート繊維の直径は、特に限定はないが、通常、20〜100μm程度、好ましくは30〜80μm程度である。特に、パンティストッキング(PS)用の素材に用いる場合は、40〜70μm程度にするのが好適である。
上記したように、芯部分を構成する伸縮弾性を有するエラストマー樹脂(A)は、本発明の延伸倍率内での伸長範囲では降伏点、即ち、弾性域を超える伸長点を有さず、ポリトリメチレンテレフタレート(B)は、延伸後の破断伸長可能な範囲において伸長回復力を有している。そのため、本発明のコンジュゲート繊維にもこの特性が受け継がれる。つまり、本発明のコンジュゲート繊維は該延伸範囲で延伸した後、その後の破断伸長可能な範囲において伸長回復力が高く、また布帛形状も安定化する。通常、その破断伸長可能な範囲は100%程度、好ましくは50%程度である。一方で、エラストマー樹脂(A)は常に伸長された状態になり依然として伸縮弾性を有している。そのため、コンジュゲート繊維として、サポート性が格段に向上する。例えば、図1を参照すれば容易に理解できる。
従って、当該機能が特に求められるストッキング、パンティストッキング等の用途に好適に用いることができるが、当然これに限定されるものでなく、他の衣料用途にも用いることができる。
II.コンジュゲート繊維の製法
本発明のコンジュゲート繊維は、(1)伸縮弾性を有するエラストマー樹脂(A)とポリトリメチレンテレフタレート(B)とをそれぞれ溶融し、複合口金を2個有した口金で、エラストマー樹脂(A)が芯部分にポリトリメチレンテレフタレート(B)が鞘部分になるように複合紡糸する工程、(2)工程(1)で複合紡糸された繊維を熱処理する工程、及びまたは(3)工程(2)で熱処理された繊維を延伸処理する工程、を含むことを特徴とする。
工程(1)では、上記所定のエラストマー樹脂(A)及びポリトリメチレンテレフタレートとをそれぞれ紡糸に適した温度で溶融し、エラストマー樹脂(A)が芯部分にポリトリメチレンテレフタレート(B)が鞘部分となるように複合紡糸する。この様な複合紡糸が可能であれば、公知の紡糸方法、紡糸装置等を採用することができる。繊維断面における芯部分と鞘部分との面積比は、各樹脂の吐出量を変化させて適宜調整することができ、上記したように97:3〜70:30程度とするのが好ましい。
さらに、繊維に染色性を付与するために、鞘部分のポリトリメチレンテレフタレート(B)に染色可能な樹脂(例えば、ナイロン、ポリエステル等)をアロイ化したりして改質することも可能である。染色可能な樹脂としては例としてポリアミド系、ポリエステル系、アクリル系、ビニロン系など選択できるが、好ましくはポリアミド系、ポリエステル系が例示できる。これらの配合量はポリトリメチレンテレフタレートの染色性に応じて決定されるが、上記樹脂の含有量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は30重量%である。更に好ましい上限は10重量%である。1重量%未満であると、染色による発色性が低く、30重量%を超えると、繊維の強伸度が低下することがある。また紡糸性が悪くなる。
またこれらの作製方法としてはポリトリメチレンテレフタレートに上記樹脂を混合して押出機に投入することで出来るが、安定した物性を得るには均一分散をさせることが望ましい。このため、2軸混練機でコンパウンド原料を作製し押出機に投入することがより望ましい。
これにより、肌触りが良好でしかも種々の染色が可能なファッション性に優れたパンティストッキングを製造することができる。
また、本発明のコンジュゲート繊維においては、肌触りを改良するために、鞘部分のポリトリメチレンテレフタレートの表面に無機微粒子等を分散したりして改質することも可能である。
無機微粒子としては特に限定されず、例として軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム;炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム等の炭酸マグネシウム;カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、フェライト粉末、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、
焼成ケイソウ土等のケイソウ土;珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、無定形シリカ、非晶質合成シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ;コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、アルミノ珪酸塩、活性白土、ベントナイト、セリサイト等の鉱物質顔料等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。これらのなかでは、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカが好ましい。
また、上記無機微粒子の形状としては特に限定されず、球状、針状、板状等の定型物又は非定型物が挙げられる。
上記無機微粒子の平均粒子径の好ましい下限は0.20μm、好ましい上限は3.00μmである。0.20μm未満であると、湿潤時のベトツキ等の不快感を改善する効果が不充分となることがあり、3.00μmを超えると衣料にした場合、風合いや肌触りが損なわれたり、繊維の強度が低下したりすることがある。
上記無機微粒子の含有量の好ましい下限は2重量%、好ましい上限は30重量%である。更に好ましい上限は7重量%である。2重量%未満であると、湿潤時のベトツキ等の不快感を改善する効果が不充分となることがあり、30重量%を超えると、繊維の強伸度が低下することがある。また紡糸性が悪くなる。
またこれらの作製方法としてはポリトリメチレンテレフタレートに無機微粒子を混合して押出機に投入することで出来るが、安定した物性を得るには均一分散をさせることが望ましい。このため、重合段階で配合することが望ましいが、2軸混練機でコンパウンド原料を作製し押出機に投入してもかまわない。
一方、かかる無機微粒子を添加することで糸の透明感が変わるため、必要に応じその種類、量を変えることにより透明性に変化を持たせることができる。一般的には、添加量が増えるに従い、透明性は低下する。
工程(2)では、工程(3)の延伸処理に先立ち、工程(1)で複合紡糸された繊維を熱処理する。熱処理するのは、ウレタンエラストマーのエージングを行うためで、これにより、バックパワー(ストレッチバック性)が改善される。熱処理の温度は、40〜80℃程度の範囲である。80℃を越えると劣化が生じ、40℃未満であるとエージングが十分でない。好ましい条件としては、60〜70℃である。
また、この熱処理は、ウレタンエラストマーのエージング過程によって異なるが、一般的には湿熱環境下で行うのが望ましい。具体的には、20〜80%RH、さらに30〜70%RHの相対湿度下、上記の温度で熱処理することが好ましい。
工程(3)では、熱処理された繊維を延伸倍率1.25〜5倍程度、好ましくは2〜4.5倍で延伸処理する。延伸倍率を上記の範囲としたのは、強度と伸度のバランスのためであり、倍率が低くなると強度が十分でなく、逆に倍率が高いと伸度が阻害される。かかる観点より、2.5〜4倍がより好ましく、特に3〜3.5が最も好ましい。
さらに、繊維を加熱しながら延伸すると、繊維の白化を抑制でき、捲縮性を十分に発現できるため好ましい。特に、工程(2)における熱処理温度以上の温度で繊維を加熱しながら延伸することが好ましい。
上記の製造方法で製造されるコンジュゲート繊維は、その引張強度は1.0〜4.0(cN/dtex)程度、好ましくは1.0〜3.5(cN/dtex)の範囲であり、引張伸度は20〜200(%)程度、好ましくは50〜100(%)の範囲で設定することができる。引張強度及び引張伸度は、エラストマー樹脂(A)及び(B)の種類、芯部分と鞘部分の割合、延伸倍率等を調節することにより、所望の範囲に調節することができる。
上記のようにして製造される本発明のコンジュゲート繊維は、強度及び伸縮弾性力及び透明性に優れているため、美観が良くサポート性に優れている。そのため、特に、ストッキング、パンティストッキングの素材として好適に用いられるが、同様機能を求められる他の用途にも好適に用いることができる。
本発明のコンジュゲート繊維は、従来のSCY及びDCY等のカバードヤーンに比べて、より細線の繊維が製造できかつ透明性が高いという利点がある。また、極めて簡便に製造することができるため製造コストを低減することができ高い生産性が達成される。
また、本発明のコンジュゲート繊維は、従来のストレッチ繊維と熱可塑性繊維からなるコンジュゲートヤーンに比べて、強度や伸縮弾性力が高くサポート性に優れるという利点がある。
つまり、本発明のコンジュゲート繊維は、従来のカバードヤーンとコンジュゲートヤーンの双方の欠点を補い双方の利点を併せ持った、優れたストレッチ衣料素材となる。
以下、比較例と共に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
熱可塑性ポリウレタン(ディーアイシーバイエルポリマー(株)製のパンデックスT−1190N、表面硬度A(JIS K 6253)90)を用い、ポリトリメチレンテレフタレートは、以下の方法により製造したものを用いた。
ジメチルテレフタル酸10.0kg、1,3−プロパンジオール7.8kgおよび触媒としてテトラブチルチタネートを使用し、約180℃でエステル化反応を行った後、さらに、240℃温度一定の条件下で4時間重縮合反応を行い極限粘度が0.63のポリマーを得た。得られたプレポリマーを120℃で1時間予備乾燥した後、1.0hpaの減圧下、200℃で5時間固相重合することにより、極限粘度が0.87のポリトリメチレンテレフタレートを得た。得られたポリトリメチレンテレフタレートは、融点が226℃であった。
上記の樹脂を、それぞれ単軸押出機によりバレル温度180〜225℃、および200〜260℃で加熱溶融し各ギアポンプで計量した後、240℃に加熱した複合口金を2個有した口金で、熱可塑性ポリウレタンが芯部分にポリトリメチレンテレフタレートが鞘部分になるように同心円型に複合紡糸した。複合繊維の断面における熱可塑性ポリウレタンとポリトリメチレンテレフタレートの面積比率は、各成分のギヤポンプによる吐出比で変化させた。
巻き取り速度は1000m/分で、シリコン系油剤を付着させて未延伸で巻き取り、その後、別工程で熱処理(60℃、55%RHの湿熱環境下)を行った後、70℃に加熱しながら、未延伸、3倍、4倍の各延伸倍率で延伸処理して繊維を得た。得られた各繊維の強伸度結果を図2に示す。また3倍延伸で得られた繊維の直径は59μmであり、繊維断面積に対する芯部分の占有率は80%であった。この繊維断面を図3に示す。
図3より鞘部は芯部周辺に薄く同心円状に配列していることが分かる。
実施例2
実施例1と同様にして、複合繊維の横断面における熱可塑性ポリウレタンとポリトリメチレンテレフタレートの面積比率を、各成分のギヤポンプによる吐出比で変化させ、70℃に加熱しながら3倍延伸を行った。繊維断面積に対する芯部分の占有率94%、繊維の直径は60μmを得た。
比較例1
実施例1において、ポリトリメチレンテレフタレートに代えてポリアミド(ナイロン−6)を用いること以外は、実施例1と同様にしてコンジュゲート繊維を製造した。なお、延伸倍率は3倍とした。繊維の直径は60μmであり、繊維断面積に対する芯部分の占有率は79%であった。
比較例2
ポリウレタン弾性糸22dTを芯糸、ナイロン糸11dT/5フィラメントをカバリング糸としてS方向から巻き付けたシングルカバードヤーンを作製した。
実施例3
実施例1の3倍延伸で得られたコンジュゲート繊維を用いて、シングルシリンダ編機でシングル編(天竺編)により筒状の編地を編成し、常法に従って、つま先縫、パンティー縫合した後、染色(ベージュ色;カルロ)、足型にて熱セットしてパンティストッキング生地を作製した。
実施例4
実施例2のコンジュゲート繊維を用いて、実施例3と同様にして、パンティストッキングを作製した。
比較例3
比較例1のコンジュゲート繊維を用いて、実施例3と同様にして、パンティストッキングを作製した。
比較例4
比較例2のシングルカバードヤーンを用いて、実施例3と同様にして、パンティストッキングを作製した。
試験例1
上記実施例3、4及び比較例3、4で得られたパンティストッキングについて、次のような評価を行った。
<伸縮弾性力の評価>
パンティストッキング生地の伸縮弾性力は定伸長回復抵抗力(横伸び)にて行った。足首部分(アンクル部)に引張治具を取り付け、30cm伸長時、最大40cm伸長時と30cm回復時の抵抗力、単位:CNを測定した。
<透明性の評価>
円筒側面に直径40mmの穴を空けた黒色円筒(直径115mm、図4)にパンティストッキング生地を1枚被せ、円筒内に設置した光源よりパンティストッキング生地の透過した光量、単位:LUXを測定した。
生地を通過した光量/生地無し光量(ブランク、200LUX)×100を光源透過率すなわち透明性の評価とした。
表1より、実施例3及び4のパンティストッキングでは、比較例3及び4のものと比較して、定伸長回復抵抗力及び透明性が高い次元で両立できることが分かった。
以上の結果は、強度、伸長回復力及び透明性に優れた新規なコンジュゲート繊維として各種衣料用途に好適に用いることができる。特に、透明感の求められるストッキング、パンティストッキングに用いて好適である。
本発明のコンジュゲート繊維の伸縮挙動を示す模式図である。 実施例1で得られたコンジュゲート繊維の各延伸倍率における引張強度(a)及び引張伸度(b)のデータである。 実施例2で得られたコンジュゲート繊維の繊維断面写真 パンティストッキング生地の光透過性(透明性)を評価する測定機器の模式図である。

Claims (8)

  1. コンジュゲート繊維の製造方法であって、
    (1)伸縮弾性を有するエラストマー樹脂(A)とポリトリメチレンテレフタレート(B)とをそれぞれ溶融し、複合口金を2個有した口金で、エラストマー樹脂(A)が芯部分にポリトリメチレンテレフタレート(B)が鞘部分になるように複合紡糸する工程、
    (2)工程(1)で複合紡糸された繊維を熱処理する工程、及び
    (3)工程(2)で熱処理された繊維を、工程(2)における熱処理温度以上の温度で加熱して延伸処理する工程、
    を含むことを特徴とするコンジュゲート繊維の製造方法。
  2. 工程(2)の熱処理温度が40〜80℃である請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程(3)の延伸処理における延伸倍率が1.25〜5倍である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 工程(1)において、繊維断面における、前記エラストマー樹脂(A)からなる芯部分と前記ポリトリメチレンテレフタレート(B)からなる鞘部分との面積比を97:3〜70:30とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記エラストマー樹脂(A)がポリウレタンエラストマーである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記エラストマー樹脂(A)が架橋ポリウレタンエラストマーである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記ポリトリメチレンテレフタレート(B)に無機微粒子を含む請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記コンジュゲート繊維の芯部分と鞘部分が偏芯円型又は同心円型である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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