JP5041159B2 - 化合物半導体の製造方法、半導体レーザダイオード及びAlGaN系超格子構造 - Google Patents

化合物半導体の製造方法、半導体レーザダイオード及びAlGaN系超格子構造 Download PDF

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本発明は、化合物半導体の製造方法、半導体レーザダイオード及びAlGaN系超格子構造に関し、更に詳しくは、青色領域で発光可能な半導体レーザダイオードのp型クラッド層などに好適な、低抵抗化を実現できるAlGaN系超格子構造に関するものである。
III−V族化合物半導体、すなわち、III族元素とV族元素からなる化合物半導体は、発光素子や電子デバイスの材料として広く用いられており、中でもV族元素が窒素(N)であるIII族窒化物半導体は、可能なエネルギーバンドギャップの領域が広いことから、紫
外から可視領域の発光材料として使用されており、例えばクラッド層としてAlGaN系の超格子構造を有し、活性層としてInGaN系の量子井戸構造を有し、青色領域で発光可能な化合物半導体レーザダイオード等が実用に供されている。
光ディスク光源用、ディスプレー光源用のAlGaInN系の化合物半導体レーザは最近、商業的入手が可能になってきたGaN自立基板上に結晶成長されることが一般的になってきている。上記の化合物半導体レーザのクラッド層としては、一例として特許文献1に開示されているように、AlGaNを含む超格子構造が用いられることが多い。
半導体レーザダイオードのクラッド層の担う役割は大きく2つあり、一つは活性層へのキャリア注入・キャリア閉じ込めの役割であり、もう一つは素子内部での屈折率分布による光導波路としての役割である。
クラッド層の組成や厚さは、これらの役割を十分果たせるように決定されるが、実際に製作する上では種々の問題が生じる。これら問題のうち、次に2つの問題を述べる。
一つは、基板とエピタキシャル成長層、あるいはエピタキシャル成長層同士の、格子定数や熱膨張係数の違いなどにより、結晶にヒビやクラックが入ったり、甚だしい場合には完全に割れが生じてしまうという問題である。これを防ぐために、例えば特許文献2で開示されているように基板上に予め溝を形成することにより応力を緩和してこれを防ぐ方法や、特許文献3で開示されているようにクラッド層内中にAlGa1−xN(0≦X≦1)なる緩衝層を単層または複数層形成することなどが提案されており、どちらも非常に効果的である。特許文献3の方法では、膜厚や組成を適当に選ぶことによって超格子構造からなるクラッド層とすることができ、クラック等防止の点以外からも素子設計の自由度を増すことができる。
もう一つは、特にpクラッド層の成長方向の抵抗を下げることが難しいという問題である。pクラッド層は、厚いp型AlGaN層とするか、あるいは極めて薄いAlGa1−xN(0≦x≦1)層とAlGa1−yN(0≦y≦1)層とが交互に積層された多層構造(以下、AlGaN系超格子構造と呼ぶ)で作製される場合が多い。p型AlGaN系超格子構造のほうが、厚いp型AlGaN層よりも素子抵抗を下げることが容易であることから、実際のデバイスではAlGaN系超格子構造がpクラッド層に適用されていることが多い。p型AlGaN系超格子構造をp型クラッド層に適用することで、2次元ホールガスによって生じる高いホールキャリア濃度が有効に働く。
p型AlGaN系超格子構造の抵抗を下げるためには、構成層の組成や厚さ、Mg等のアクセプタ不純物の濃度プロファイルの制御が効果的であり、多くの報告例がある(例えば、非特許文献1〜3)。
特開平10−335757号公報 特開2006−93548号公報 特開平9−55560号公報 Jpn.J.Appl.Phys., Vol38(l999), pp.L1012 phys.stat.sol., (a)l76(l999), pp.59 Appl.Phys.Lett., Vol.85(2004), pp.5275
ところで、超格子構造を基板上に成長し、表面に電極を形成した上で四探針法等で抵抗率を測定した揚合においては、構造にも依存するが、超格子構造の周期が大きいほうが抵抗率の測定値は低下する傾向を示す。しかしながら、上記の非特許文献2に開示されているように、実際の素子構造では超格子構造の成長方向(膜厚方向)に通電させるため、超格子構造の周期が小さいほうがむしろ素子の動作電圧を低減、すなわち低抵抗化できる。成長方向に通電する場合にはキャリアがヘテロ界面の障壁を超える必要があるが、超格子構造を短周期化することで共鳴トンネル効果により膜厚方向へのキャリア輸送効率が向上するためであると考えられる。つまり、成長方向に通電するタイプの素子に超格子構造を適用する場合においては、動作電圧を低減するために超格子構造を構成する各層の厚さをド・ブロイ波長程度とすることが好ましい。
しかしながら、これらの改善を行った半導体レーザダイオード素子の抵抗は依然として十分低いわけではなく、抵抗成分による電力損失が生じるだけでなく、その電力損失による発熱で素子の信頼性が低下する原因になっており、p型AlGaN系超格子構造の低抵抗化は今日にあっても重要な課題となっている。
このように、現在、半導体レーザダイオード素子の抵抗低減の観点から、p型AlGaN系超格子構造からなるp型クラッド層を低抵抗化することが強く望まれている。また、レーザ素子以外の素子でもp型AlGaN系超格子構造を用いることができるため、より一般的に言えば、p型AlGaN系超格子構造の抵抗を下げることそのものが広く求められている。
本発明は、上記要請に鑑み、p型AlGaN系超格子構造の低抵抗化を実現できる化合物半導体の製造方法、半導体レーザダイオード及びAlGaN系超格子構造を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、ホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のAlGaN層とホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のGaN層とが交互に積層された、Mgを含有しp型導電性を示すAlGaN系超格子構造を含む化合物半導体の製造方法において、前記AlGaN層の成長時にはMg原料を供給せず、前記GaN層の成長時に供給するMg原料の供給時間を前記GaN層の成長時間よりも短く設定したことを特徴とする化合物半導体の製造方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様の化合物半導体の製造方法において、Ga原料の供給を中断することなく前記AlGaN層及びGaN層の結晶成長を連続的に行うことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様の化合物半導体の製造方法において、前記AlGaN層及びGaN層の成長温度を同一温度に設定して結晶成長を行うことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれかの化合物半導体の製造方法により
製造された化合物半導体のAlGaN系超格子構造をp型クラッド層として用いて作製されたことを特徴とする半導体レーザダイオードである。
本発明の第5の態様は、ホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のAlGaN層と、成長時に一時的にMg原料供給がなされたホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のGaN層とが交互に積層された、Mgを含有しp型導電性を示すAlGaN系超格子構造であって、前記AlGaN層は、Mgが意図的にドープされていないAlGaN層からなり、前記GaN層は、Mgが意図的にドープされていない部分とMgが意図的にドープされた部分とからなり、前記AlGaN系超格子構造の抵抗率が1.4Ω・cm未満であることを特徴とするAlGaN系超格子構造である。
本発明によれば、p型AlGaN系超格子構造の低抵抗化を実現できる化合物半導体の製造方法、半導体レーザダイオード及びAlGaN系超格子構造が得られる。
以下、本発明のAlGaN系超格子構造を備えた化合物半導体の製造方法の実施形態を図面を用いて説明する。
図1に、本実施形態のAlGaN系超格子構造の結晶成長時におけるガスシーケンス等を示す。
図1に示すように、本実施形態では、ホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のAlGaN層とホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のGaN層とが交互に積層された、Mgを含有しp型導電性を示すAlGaN系超格子構造を備えた化合物半導体の製造方法において、前記AlGaN層の成長時にはMg原料を供給せず、前記GaN層の成長時に供給するMg原料の供給時間tMgを前記GaN層の成長時間tよりも短く設定すると共に、Ga原料の供給を中断することなく且つ成長温度を同一温度に設定して前記AlGaN層及びGaN層の結晶成長を連続的に行った。
Mgを含有するGaNは、Mg濃度の増加に伴い結晶欠陥密度が増大する(Mgを含有するGaNの結晶欠陥の典型的な例は、Materials Science and Engineering B, Vol.93(2002), p224などに開示されている)。我々の調査ではMg濃度を一定とした場合であっ
ても、Mg濃度が一定以上存在すると、GaN膜厚の増加により結晶欠陥密度が増加し、抵抗率が増大してゆくことが分かった。例えば、Mg濃度が2×1019cm−3で厚さ1000nmのMgドープGaN層の抵抗率(体積抵抗率)は、およそ1Ω・cmであったが、Mg濃度が同じく2×1019cm−3で厚さ2000nmのMgドープGaN層の抵抗率は、およそ2Ω・cmとなった。
抵抗率の変化の原因は、結晶成長中においてMgが一定濃度以上存在する条件下では、成長方向(膜厚方向)に対して結晶品質が劣化するものであると考えられる。つまり、結晶品質の劣化を抑えるためには、結晶成長中におけるMg原料供給量を停止するか、あるいは一定濃度以下まで抑えることが効果的である。このことはMgドープAlGaN層においても同様である。注目すべき点は、結晶成長中のMg原料の供給量を停止するか、または抑えることが重要であるということである。
また、アクセプタの活性化エネルギーは、GaN層よりもAlGaN層のほうが大きく、Al混晶比が大きいほど活性化エネルギーが上昇することが知られている。このため、MgドープAlGaN層はMgドープGaN層よりも高キャリア濃度とすることは困難である。
AlGaN層とGaN層の多層構造からなるp型AlGaN系超格子構造において、Mgドーピングをどの層に行うべきかは、多くの検討がなされている。理論的な考察によれば、ヘテロ界面でキャリアが閉じ込められるバンド構造を有し、更にキャリア供給を行う層が存在し、更にこれらの層が共鳴トンネル効果を生じる程度のホールのド・ブロイ波長
近傍の膜厚であれば、高いキャリア濃度を有し、成長方向に対して電圧障壁が小さい超格子構造を製作することができると考えられる。
このような観点から考えると、キャリア供給層としては、アクセプタの活性化エネルギーが相対的に小さいMgドープGaN層が好適である。超格子構造を構成するもう一つの層について考えた場合、結晶品質の低下を抑えるという点からAlGaN層の成長時にMgを供給する必要は無く、Al組成を適切な値に選んだ上で、共鳴トンネル効果を生じせしめるために膜厚をホールのド・ブロイ波長近傍、例えば1〜4nm程度とすればよい。
ところで、GaN系半導体は一般に1000℃を超える高温で成長することや、格子定数差や熱膨張係数差に伴う応力が加わりやすいことを考慮すると、GaN層中やAlGaN層中の不純物は拡散により結晶内で移動しやすい。特にMgドープを行う場合には、およそ5×1018cm−3以上の多量のドーピングを行う必要があるため、ド・ブロイ波長近傍の極めて薄い層のみに選択的にMgをドーピングしても近隣層に拡散してしまう。実際、GaN層成長時のみMg原料を供給(tMg=tの場合)しながら作製したAlGaN層とGaN層の超格子構造において、Al及びMgの二元素の分布を調べたところ、図2に示すように、Alに関してはほぼ想定通りの周期構造が観察できた。しかし、Mgについては周期構造が確認できず、Mg原料を供給せずに結晶成長したはずのAlGaN層の部分にさえもMgが一様に入っていることが確認された。なお、周期構造の観察はスパッタ速度を十分落とした条件での2次イオン分析(SIMS)で行った。
AlGaN系超格子構造を結晶成長するときの成長条件としては成長温度、成長速度、V/III比(III族原料及びV族原料の気相比であって、一般にIII−V族化合物半導体の
成長条件では重要なパラメータの一つとされている)、Mg原料の気相比、AlGaN層とGaN層の成長界面におけるガスフロー条件、などが重要なパラメータとして考えられる。
まず最初に成長温度の検討を行ったところ、約1100℃を超えると超格子構造の周期性が崩れやすいことが明らかとなった。これは超格子構造のX線回折測定を行ったときのサテライトピークの−1次ピークの半値幅から判断したものである。回折面は(002)面である。評価した超格子構造は平均周期約14nm、平均Al組成約0.04のAlG
aN系超格子構造であったが、1030℃における−1次ピークの半値幅は約72arcsec(秒)、1070℃における値は約75arcsecであるのに対し、1100℃における値は約115arcsecであった。これらの試料はGaN層成長時のみMg原料を供給した(tMg=tの場合)。Mg原料とGa原料との気相比は約0.07%であった。後述するイ
ンターバル時間t、tは無しとした。X線回折測定の一例を図3に示す。但し、図3は後述する試料の測定結果の一例であって、平均周期約5nm、平均Al組成約0.05
のもの(実施例1のAlGaN系超格子構造)である。
また、成長圧力はすべて大気圧とした。減圧成長とすることで成長炉内の気相反応を抑制し均一性の高い膜を高い製膜レートで育成しやすいメリットがあるものの、大気圧成長のほうが一般に転位密度を低減できることや、InGaN系量子井戸活性層(後述の実施例2で採用)の高品質化の観点からも大気圧成長のほうが好ましい。AlGaN系超格子の部分のみを減圧で結晶成長し、その他の層をより高い成長圧力で成長するという方法も考えられ、そのようにしてもよい。但し、成長圧力の変更時に成長炉内のパーティクルが試料表面に付着したり、あるいは炉内残留の不純物が試料表面に付着するという問題があるため、成長途中での成長圧力の大幅な変更は、工業的には、すなわち、高いレベルで安定した品質の膜を量産する、という観点からは、やや困難であろうと考えられる。
成長速度は、約0.15〜0.25nm/secの範囲に選んだ。製造コストを抑えるため、また結晶成長時の熱履歴の総量を抑えるために、超格子構造の成長速度は高い結晶品
質を維持しつつ、なるべく高速に設定したいところであるが、成長圧力を大気圧とした場合には成長炉内での気相反応がやや激しいため、この程度の成長速度が適切な値である。なお、成長速度をこれ以上落としてゆくと成長炉内の残留不純物、特にシリコン(Si)が結晶内に取り込まれやすくなるため、例えば0.1nm/sec以下とすることは、ほ
とんどメリットが無いといえる。
V/III比はAlGaN系半導体の条件として標準的と考えられる約3000〜100
00とした。10000を超えるV/III比では気相反応による成長速度の低下が著しい
。大気圧成長としたため、V/III比は数千程度あれば十分であった。
我々が特に注目したのは、AlGaN層とGaN層の成長界面におけるガスフロー条件である。AlGaN及びGaNは水素を含む雰囲気中で結晶成長を行うことが一般的であるが、水素の存在下では、気相中で結晶がエッチングされてしまうことが知られている。このためAlGaNやGaNを成長する場合においては成長中にも生じるエッチング量を補償できる以上の原料を供給しなければ実質的に結晶成長が行われないということになる。AlGaN層とGaN層の成長界面において、意図的にAl原料及びGa原料の供給を停止する停止期間(インターバルと呼ぶ)を設けた場合において、インターバルの時間とエッチング量との関係を調べた結果、例えば1180℃においてはGaNのエッチング速度は0.26nm/sec、Al0.1GaNのエッチング速度はほぼ一桁小さい0.02
6nm/secとなった。エッチング速度はインターバル時の温度に大きく依存し、また水素の供給量にも依存したが、いずれにしてもGaNのエッチング速度のほうがAlGaNのエッチング速度より大きかった。
GaNのエッチング速度のほうがAlGaNのエッチング速度より大きいので、例えば、インターバルを設ける場合には、GaN層成長終了からAlGaN層成長開始までのインターバル時間よりも、AlGaN層成長終了からGaN層の成長開始までのインターバル時間の方を長くするのが好ましい。
我々は、図4に示す上記インターバルも考慮した一般的なガスシーケンス及び成長温度制御シーケンスに基づいて、最適なAlGaN系超格子構造の製造方法の検討を行った。図4において、tはGaN井戸層(GaN層)の成長時間、tはAlGaN障壁層(AlGaN層)の成長時間、tはGaN井戸層の成長終了からAlGaN障壁層の成長開始までのインターバル時間、tはAlGaN障壁層の成長終了からGaN井戸層の成長開始までのインターバル時間、tMgはGaN井戸層の成長期間内におけるMg原料の供給時間、TはGaN井戸層成長時の成長温度、TはAlGaN障壁層成長時の成長温度である。
図4においてインターバル時間t、tを、t=t=0とし、更にGaN井戸層成長時とAlGaN障壁層成長時のGa原料供給量を同一とし、成長温度をT=Tとし、Mg原料の供給時間tMgをGaN井戸層の成長時間tよりも短くした場合が、図1に示した上記実施形態となるわけである。もちろん、成長装置にGa原料を供給する供給系を2系統準備しておき、GaN井戸層とAlGaN障壁層との成長時のGa原料供給量を同一としなくともよい。また、Mg原料の供給を停止する期間をGaN成長期間の中で、ずらしてもよい。図1の実施形態において、tMg<t、すなわちGaN井戸層の成長時にMg原料を一時的に供給停止することが重要である。
なお、前述の成長中の気相エッチング速度は、図4において種々のt=tにおいて作製したAlGaN系超格子に対して、X線回折測定による周期測定及び成長時間t、tより求められたものである。
今回検討を行った成長条件とその結果を図5に示す。結晶品質はX線回折における−1次ピークの半値幅により、また電気的特性は試料表面に電極を形成し室温で四探針法によって測定した抵抗率により評価した。なお、全てのAlGaN系超格子構造の試料について、平均周期約5nm、平均Al組成約0.05、ペア数100、成長時におけるMg原
料の総投入量(100ペアあたり)は0.6μmolとした。すなわちtMgの値によっ
て単位時間あたりのMg原料の供給量を変化させることにより、Mg原料の供給量の総量は全ての試料で等しくなるようにして比較を行った。
図5より、成長温度が1030〜1070℃で、なおかつインターバル時間が短いほど、抵抗率が下がることが分かった。なお成長温度T≠Tとする場合には、成長炉内の温度を変更するための時間が必要であってインターバル時間を短くすることが困難なので、T=T、すなわち成長温度はAlGaN系超格子の全ての層で同じとした。
図5で最も抵抗率の下がった成長条件(t=t=0、T=T=1030℃、tMg=t)をベースとし、GaN層の成長時間tに対するGaN層成長時のMg原料の供給時間tMgを変化させて検討を行ったところ、図6のような結果が得られた。図6に示すように、−1次ピークの半値幅は何れの場合もほとんど同じであったが、抵抗率はtMg<tの場合には大きく低減できることが分かった。つまりAlGaN層及びGaN層は少なくともGa原料の供給を中断することなく、しかも同一温度で連続的に結晶成長し、Mg原料はGaN層成長時において一時的にのみ供給しながら、言い換えると、GaN井戸層の成長時にMg原料を一時的に供給停止して結晶成長を行うことによって、MgドープしたAlGaN系超格子構造の抵抗率を下げることができることが明らかとなった。
Mg<tの場合に、抵抗率が大きく低減する理由は、AlGaN層とGaN層との界面の劣化が抑えられるためと考えられる。特に、図1に示すように、Mg原料の供給を停止する期間を、GaN層の成長期間内の成長開始直後および成長終了直前に設けると、抵抗率をより大きく低減できる。
次に、本発明の実施例を説明する。
以下の実施例はMOVPE法(有機金属気相成長法)について示すものであるが、本発明の方法はMOVPE法に限るものではなく、HVPE法(ハライド気相成長法)、MBE法(分子線気相成長法)等、窒化物化合物半導体を成長させるために知られている全ての方法について適用できる。
[実施例1]
実施例1として、図7に示すように、GaN自立基板1上にGaNバッファ層2を介して、GaN層3とAlGaN層4とが交互に積層されたp型導電性を示すAlGaN系超格子5をMOVPE法により作製した。なお、基板1はGaN自立基板に限定されるものではなく、サファイア基板や炭化シリコン基板等、窒化物化合物半導体用基板として用いられる基板を用いても良い。
また、有機金属原料としてトリエチルガリウム(TEG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、Mg原料としてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用いたが、十分な純度を有する安定な金属化合物原料であれば上記に限定されるものではない。ガス原料としてはアンモニア(NH)、水素(H)、窒素(N)を用いたが、例えばアンモニアの代わりにヒドラジン系原料を単独で、もしくは混合して使用してもよいし、窒素等の代わりにアルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
MOVPE法によりGaN基板1上にGaNバッファ層2を2000nm成長させたのち、図1に示すガスシーケンスでAlGaN系超格子5を作製した。成長温度は超格子5の成長時に亘って1030℃としたが、温度そのものは必ずしも1030℃に限定されるものではない。但し結晶品質の観点から1100℃以上としないほうが好ましい。AlGaN系超格子5のGaN層3は厚さ約2.5nm、AlGaN層4は厚さ約2.5nmとした。AlGaN層4のAl組成は0.10とした。ペア数は100としたので、平均組成
0.05で全厚500nmとなった。AlGaN層4の成長時間t=13.3sec、G
aN層3の成長時間t=16.2secとした。但しtMg=10.2sec(tMg=0.63t)とし、GaN層3の成長時間の最初3secと最後3secはMg原料の
供給を停止した。成長時間t、tは成長速度によって適宜変えて良いし、tMgもt>tMgの範囲で適宜変化させても良い。Mg原料とGa原料の気相比は約0.11%
、Mg原料の総投入量(100ペアあたり)は0.6μmolとしたが、これらの値に限
定されるものではない。
このようにして作製したAlGaN系超格子構造を、酸素を含む雰囲気中にて約800℃で20分アニールし、Mgを活性化させた。この試料を四探針法で抵抗率の測定を行ったところ、0.85Ω・cmという低い抵抗率を有することを確認できた。
一方、t=tMgとして作製した比較例の場合には1.4Ω・cmまでしか抵抗率を
低減できなかった。さらに、比較例としてのAl組成0.05で厚さ500nmのMgド
ープAlGaN層の抵抗率は2〜5Ω・cm程度までしか低減することができなかった。
[実施例2]
実施例2として、実施例1記載のp型の導電性を示すAlGaN系超格子構造を具備する、半導体レーザダイオードを作製した。
GaN基板上にGaNバッファ層を介し、SiドープAlGaNからなるクラッド層、ガイド層、InGaN系量子井戸活性層からなる活性層、ガイド層、MgドープAlGaNからなる電子ブロック層を順次形成した後、実施例1と同等のAlGaN系超格子構造をp型クラッド層として形成した。さらにp型GaN層からなるコンタクト層を形成した。
比較のために、t=tMgとして作製したAlGaN系超格子構造をpクラッド層とする半導体レーザダイオードと、Al組成0.05で厚さ500nmのMgドープAlG
aN層をp型クラッド層とする半導体レーザダイオードも作製し、半導体レーザダイオードの閾電圧を比較した。
実施例2の半導体レーザダイオードの場合には閾電圧は5Vであったが、t=tMgとして作製した比較例のAlGaN系超格子構造をpクラッド層とする半導体レーザダイオードの閾電圧は6Vであり、Al組成0.05で厚さ500nmのMgドープAlGa
N層をp型クラッド層とする半導体レーザダイオードの閾電圧は12Vであった。実施例1記載と同等のAlGaN系超格子構造をp型クラッド層とする半導体レーザダイオードは、閾電圧を低減できることが分かった。
本発明の実施形態の製造方法におけるAlGaN系超格子構造の成長時のガスシーケンス等を示す図である。 MgドープのAlGaN系超格子構造に対する2次イオン分析の結果を示す図である。 AlGaN系超格子構造のX線回折測定の結果の一例を示す図である。 AlGaN系超格子構造の製造方法で検討を行ったAlGaN系超格子構造の成長時のガスシーケンス等を示す図である。 検討を行ったAlGaN系超格子構造の成長条件とその結果を示す図である。 AlGaN系超格子構造の成長時においてtMgを変化させる検討を行った結果を示す図である。 実施例のAlGaN系超格子構造を示す断面模式図である。
符号の説明
1 GaN自立基板
2 GaNバッファ層
3 GaN層
4 AlGaN層
5 AlGaN系超格子
Mg Mg原料の供給時間
GaN層の成長時間
AlGaN層の成長時間

Claims (5)

  1. ホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のAlGaN層とホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のGaN層とが交互に積層された、Mgを含有しp型導電性を示すAlGaN系超格子構造を含む化合物半導体の製造方法において、
    前記AlGaN層の成長時にはMg原料を供給せず、前記GaN層の成長時に供給するMg原料の供給時間を前記GaN層の成長時間よりも短く設定したことを特徴とする化合物半導体の製造方法。
  2. Ga原料の供給を中断することなく前記AlGaN層及びGaN層の結晶成長を連続的に行うことを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体の製造方法。
  3. 前記AlGaN層及びGaN層の成長温度を同一温度に設定して結晶成長を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物半導体の製造方法により製造された化合物半導体のAlGaN系超格子構造をp型クラッド層として用いて作製されたことを特徴とする半導体レーザダイオード。
  5. ホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のAlGaN層と、成長時に一時的にMg原料供給がなされたホールのド・ブロイ波長近傍の膜厚のGaN層とが交互に積層された、Mgを含有しp型導電性を示すAlGaN系超格子構造であって、
    前記AlGaN層は、Mgが意図的にドープされていないAlGaN層からなり、
    前記GaN層は、Mgが意図的にドープされていない部分とMgが意図的にドープされた部分とからなり、
    前記AlGaN系超格子構造の抵抗率が1.4Ω・cm未満であることを特徴とするAlGaN系超格子構造。
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