JP5040147B2 - 車両の制動制御装置 - Google Patents
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Description
このような車両において、協調制動モードから単独の摩擦制動モードへ移行する際の車両減速度が急変するという課題に対し、初回又は所定回数目の制動制御時に各車輪の制動力が摩擦制動による単独制動モードにて制御され、その際における車両の実減速度に対する車両の基準減速度の比として補正係数を求め、摩擦制動力を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
(a)補正係数取得回の前後において、例えば、ブレーキ摩擦材のμ変化によって、ブレーキフィーリングの変化が発生し、運転者に違和感を与える。
(b)ベースとなる回生制動制御に対して補正演算手段の開発および追加が必要となり、コストが増加する。
(c)初回又は所定回数目の制動時に回生が行われず、燃費的に不利になる。
各車輪に対して摩擦制動を行う手段であって、ブレーキ操作に応じて液圧を発生するマスターシリンダと各車輪に設けられたホイールシリンダとの連通を遮断した状態で、前記マスターシリンダから独立した液圧供給源により前記ホイールシリンダへ液圧を供給して摩擦制動力を制御可能な摩擦制動手段と、
回生制動を行う回生制動手段と、
前記摩擦制動手段による摩擦制動と、前記回生制動手段による回生制動と、を協調して制御する協調制動を行う協調制動制御手段と、を備え、
前記協調制動制御手段による協調制動モード、あるいは、前記回生制動手段による回生制動モードから、前記摩擦制動手段による単独の摩擦制動モードへ制動モードを移行する際、前記マスターシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮断した状態で摩擦制動力を制御すると共に、前記各車輪のうち少なくとも2つの車輪間で摩擦制動力に位相差を持たせ、車両減速度が大きいほど前記摩擦制動力の位相差を大きく設定したことを特徴とする。
すなわち、制動モード移行制御手段は、摩擦制動力に位相差を持たせるものであるため、ベースとなる回生制動制御に対して補正演算手段の開発および追加を必要とせず、従来技術に比べて低コストである。
また、制動モード移行制御手段は、単独の摩擦制動モードへ完全に制動モードが移行するまでは、減少させながらも回生制動モードを継続するため、初回又は所定回数目の制動時に回生が行われない従来技術に比べて燃費的に有利である。
さらに、摩擦制動の作動初期は、ロータの摩擦特性の変化等によりトルク伝達の応答遅れが生じる。このように、摩擦特性等に起因する所望の目標制動力と摩擦制動力の誤差は、回生制動モードを含む制動モード下では小さく、摩擦制動による単独制動モードでは大きく現れ、そのための摩擦制動力の誤差が大きい場合には、単独での摩擦制動モードへの移行の際に車両全体の制動力が急変し、その結果、車両の減速度が急変する。
これに対し、単独の摩擦制動モードへモード移行する際、各車輪のうち少なくとも2つの車輪間で摩擦制動力に位相差を持たせたため、摩擦制動力の誤差が各車輪間で分散され、運転者に違和感を与える車両減速度の変動幅を小さく抑えることができる。
この結果、回生制動モードを含む制動モードから単独の摩擦制動モードへモード移行する際、低コストで燃費的に有利でありながら、運転者に違和感を与える減速度変動を小さく抑えて良好なブレーキフィーリングを達成することができる。
図1は実施例1の制動制御装置が適用されたハイブリッド車両(車両の一例)の複合ブレーキ制御システムを示す全体図、図2は実施例1の制動制御装置が適用されたハイブリッド車両の協調ブレーキ制御システムを示す制御ブロック図である。
以下、液圧ブレーキ装置、回生ブレーキ装置、協調ブレーキ制御装置について、その構成を説明する。
運転者が希望する車両の制動力に応じてブレーキペダル5を踏み込むと、該ブレーキペダル5への踏力が油圧ブースタ6により倍力され、倍力された力でマスターシリンダ7の図示せざるピストンカップが押し込まれることにより、マスターシリンダ7は、ブレーキペダル5への踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmcをブレーキ液圧配管8に出力する。
なお、ブレーキ液圧配管8を、図1では1個の駆動輪1(ここでは、前輪)に設けたホイールシリンダ2のみに接続しているが、図示せざる他の3輪に係わるホイールシリンダにも接続している。また、油圧ブースタ6およびマスターシリンダ7は、共通なリザーバ9内のブレーキ液を作動媒体とする。
前記油圧ブースタ6は、ポンプ10を備え、このポンプ10がリザーバ9から吸入して吐出したブレーキ液をアキュムレータ11内に蓄圧し、アキュムレータ内圧を圧力スイッチ12によりシーケンス制御する。
前記マスターシリンダ7からのマスターシリンダ液圧Pmcを元圧として作り出されるホイールシリンダ液圧Pwcは、アキュムレータ11のアキュムレータ内圧を用いて後述のごとくフィードバック制御可能とし、これがためブレーキ配管8の途中に電磁切替弁13を挿置し、該電磁切替弁13よりもホイールシリンダ2の側においてブレーキ配管8に、ポンプ10の吐出回路から延在すると共に増圧弁14を挿置した増圧回路15、およびポンプ10の吸入回路から延在すると共に減圧弁16を挿置した減圧回路17をそれぞれ接続する。
前記電磁切替弁13は、常態でブレーキ配管8を開通させることにより、マスターシリンダ液圧Pmcをホイールシリンダ2に向かわせ、ソレノイド13aのON時にブレーキ配管8を遮断すると共にマスターシリンダ7をストロークシミュレータ26に通じさせてホイールシリンダ2と同等の油圧負荷を与え、これによりブレーキペダル5に通常時と同じ操作フィーリングを与え続け得るようにする。
前記増圧弁14は、常態で増圧回路15を開通してアキュムレータ11の圧力によりホイールシリンダ液圧Pwcを増圧するが、ソレノイド14aのON時に増圧回路を遮断してホイールシリンダ液圧Pwcの増圧を中止するものとする。
前記減圧弁16は、常態で減圧回路17を遮断しているが、ソレノイド16aのON時に減圧回路17を開通してホイールシリンダ液圧Pwcを減圧するものとする。
ここで、増圧弁14及び減圧弁16は、切替弁13がブレーキ配管8を開通している間、対応する増圧回路15及び減圧回路17を遮断しておき、これによりホイールシリンダ液圧Pwcがマスターシリンダ液圧Pmcにより決定されるようにする。
また、増圧弁14または減圧弁16によるホイールシリンダ液圧Pwcの増減圧が行われる間は、切替弁13のONによりブレーキ配管8を遮断しておくことで、マスターシリンダ液圧Pmcの影響を受けることなく、ホイールシリンダ液圧Pwcの増減圧を行い得るようにする。
前記切替弁13,増圧弁14及び減圧弁16の制御は、液圧ブレーキコントローラ18により行う。したがって、液圧ブレーキコントローラ18には、運転者が要求する車両の制動力を表すマスターシリンダ液圧Pmcを検出する圧力センサ19からの信号と、液圧制動トルクの実際値を表すホイールシリンダ液圧Pwcを検出する圧力センサ20からの信号と、を入力する。
駆動輪1に歯車箱3を介して駆動結合された交流同期モータ4は、モータトルクコントローラ21からの3相PWM信号により直流・交流変換用電流制御回路(インバータ)22での交流・直流変換を介して制御される。
そして、交流同期モータ4による駆動輪1の駆動が必要な時は、直流バッテリ23からの電力で駆動輪1を駆動し、駆動輪1の制動が必要な時は、回生制動トルク制御により車両運動エネルギーをバッテリ23へ回収するものである。
前記協調ブレーキ制御装置は、交流同期モータ4により回生制動トルクを制御して主たる制動力を得る間に、ホイールシリンダ2へのブレーキ液圧を減圧制御することで回生エネルギーを効率的に回収することを趣旨とする。
前記液圧ブレーキコントローラ18及びモータトルクコントローラ21は、複合ブレーキ協調コントローラ24との間で通信を行いながら、該複合ブレーキ協調コントローラ24からの指令により、対応する液圧ブレーキ装置及び回生ブレーキ装置を後述のごとく制御する。
前記モータトルクコントローラ21は、複合ブレーキ協調コントローラ24からの回生制動トルク指令値に基づいて交流同期モータ4による回生制動トルクを制御し、また、駆動輪1の駆動要求時には交流同期モータ4による駆動輪1の駆動トルク制御を行う。
さらに、モータトルクコントローラ21は、バッテリ23の充電状態や温度などで決まる交流同期モータ4に許容される最大許容回生制動トルクを算出して複合ブレーキ協調コントローラ24へ対応する信号を送信する。
これがために、複合ブレーキ協調コントローラ24には、液圧ブレーキコントローラ18を経由した圧力センサ19,20からのマスターシリンダ液圧Pmc及びホイールシリンダ液圧Pwcに関する信号を入力するほか、駆動輪1の車輪速Vwを検出する車輪速センサ25からの信号を入力する。
前記複合ブレーキ協調コントローラ24は、図2に示すように、目標減速度αdemを入力し、総制動トルク指令値Tdcomを演算する総制動トルク指令値演算手段31と、最大許容回生制動トルクTmmaxと車速VSPを入力し、最終回生制動トルクTmlmtを出力する回生制動トルク制限手段32と、総制動トルク指令値Tdcomと最終回生制動トルクTmlmtとを入力し、液圧ブレーキコントローラ18への前後輪ホイールシリンダ液圧指令値Pbcomf,Pbcomrと、モータトルクコントローラ21への最終的な回生制動トルク指令値Tmcom2を演算する液圧/回生制動トルク配分手段33と、を備えている。
制動モード移行制御手段とは、協調ブレーキ制御装置による協調制動モード、あるいは、回生ブレーキ装置による回生制動モードから、液圧ブレーキ装置による単独の摩擦制動モードへ制動モードを移行する際であって、図3のモード移行開始からモード移行終了までの間において、各車輪のうち少なくとも2つの車輪間で摩擦制動力に位相差を持たせる制御を行う手段をいう。
なお、図3の1点鎖線に示す特性は、液圧供給源からホイールシリンダへ至るブレーキ液圧回路の液圧剛性、あるいは摩擦材、ローターの摩擦特性の変化により、設計値と実際値の間にズレを持ち、協調制動モードあるいは回生制動モードから単独摩擦制動モードへ移行する際に、減速度変動を生じさせる状態を示す。
制動モード移行制御手段は、車両減速度(G)が大きいほど前記摩擦制動力の位相差T1を大きく設定し、かつ、前記摩擦制動力の位相差T1に上限値T1maxを持たせている。この点は、実施例1〜実施例5で共通である。
すなわち、図4に示すように、車両減速度(G)が-0.1以下の領域では、位相差T1をT1=0に設定し、車両減速度(G)が-0.1から-0.6までの領域では、位相差T1を0から上限値T1maxまで比例的に長い時間となるように設定し、車両減速度(G)が-0.6を超える領域では、位相差T1を上限値T1maxによる固定値で与える設定としている。
制動モード移行制御手段は、設定された前記摩擦制動力の位相差T1が大きな値であるほど、回生制動力の減少勾配ΔRegeと摩擦制動力の増加勾配ΔFricとを共に小さく設定するようにしている(図7参照)。この点は、実施例1〜実施例5で共通である。
実施例1の制動モード移行制御手段は、左前輪・右前輪と左後輪・右後輪の前輪軸/後輪軸の関係で前記摩擦制動力の位相差T1を持たせている(図7参照)。
一般に、電動機により回生制動を行うシステムでは、通常時には摩擦制動及び回生制動による協調制動モードにより制動を行い、必要に応じて協調制動モードより摩擦制動による単独制動モードへ移行し、単独制動モードより協調制動モードへ復帰する制御が従来より知られれている。
しかし、摩擦ブレーキ装置による制動では、例えば、ブレーキ液を供給源から各車輪に設置されたブレーキキャリパへ連通させて、当該キャリパに設置の摩擦材を車輪と共に回転する回転体に押圧することによって発生する摩擦力を用いて行われるので、摩擦材及び回転体の摩擦係数を含めた特性やブレーキ液供給源から摩擦材に至るブレーキ液回路の液圧剛性(消費液量:液圧)特性の値がその設計値と異なる場合には、供給するブレーキ液を正確に制御しても実際の摩擦制動力が所望の制動力にならない。
これら摩擦特性や液量特性のズレに起因する所望の目標制動力と摩擦制動力の誤差は、協調制動モード下では小さく、摩擦制動による単独制動モードでは大きく現れ、そのため摩擦制動力の誤差が大きい場合には、協調制動モードと単独制動モードとの移行の際に車両全体の制動力が急変し、その結果、車両の減速度が急激に変動し、乗員が変動ショックや違和感をおぼえる可能性がある。
これは、例えば、協調制動モードにおける車両全体の目標制動力を10とし、摩擦制動の目標制動力と回生制動力との比が1:9であるとし、摩擦材等の特性ズレによる実際の摩擦制動力との誤差を10%であるとする。この場合、協調制動モードにおける目標制動力と実際の制動力の誤差は、0.1×0.1=0.01であり、1%であるのに対して、単独制動モードにおける目標制動力と実際の制動力の誤差は10%であり、協調制動モードから単独制動モードに移行した際には、図5に示すように、制動力誤差が1%から10%の変化により減速度変動を生じることになる。
また、実施例1の制動モード移行制御では、単独の摩擦制動モードへ完全に制動モードが移行するまでは、減少させながらも回生制動モードを継続するため、初回又は所定回数目の制動時に回生が行われない従来技術に比べて燃費的に有利である。
さらに、実施例1の制動モード移行制御では、単独の摩擦制動モードへモード移行する際、各車輪のうち少なくとも2つの車輪間で摩擦制動力に位相差を持たせたため、図6に示すように、摩擦制動力の誤差が各車輪間で分散され、運転者に違和感を与える車両減速度の変動幅を小さく抑えることができる。
この結果、回生制動モードを含む制動モードから単独の摩擦制動モードへモード移行する際、低コストで燃費的に有利でありながら、運転者に違和感を与える減速度変動を小さく抑えて良好なブレーキフィーリングを達成することができる。
以下、前輪軸/後輪軸の関係で摩擦制動力に位相差T1を持たせた実施例1の制動モード移行制御作用について説明する。
図7は実施例1の制動制御装置を搭載したハイブリッド車両で回生制動モードあるいは協調制動モードから単独摩擦制動モードへの移行時における車両速度・車両減速度・前輪回生制動力・後輪回生制動力・前輪摩擦制動力・後輪摩擦制動力の各特性を示すタイムチャートである。
また、位相差T1には最大値T1maxを設定して、制動モード間隔がある値を超えて大きくなり、変動−安定−変動と途中に安定状態が存在することで乗員が違和感を認識することを防止すると共に、不必要な回生制動モードの早期終了を防止している。
この位相差T1により、システムの構築状態に応じて設定される図7中のV2を参照してV1が定義される。
そして、車両減速度の大きさにより決められた位相差T1の時間が経過し、時刻bにて位相差開始車速V2に達すると、左右前輪への回生制動力の減少制御と左右前輪への摩擦制動力の増加制御が止められる。代わって、左右後輪への回生制動力を勾配ΔRegeにより減少させる制御を開始し、左右後輪への摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、ハイブリッド車両が減速し、時刻cにてモード移行終了車速V3に達すると、左右後輪への回生制動力の減少制御と左右後輪への摩擦制動力の増加制御が止められ、左右前輪と左右後輪の回生制動モードあるいは協調制動モードが終了し、単独摩擦制動モードへの移行が完了する。
実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
例えば、四輪同時移行時の減速度変動を100とする場合、車両の前後制動力配分を6:4とすれば、前輪移行時の減速度変動は60となり、後輪移行時の減速度変動は40となり、車両の減速度変動量として100から60へ、最大Δ40%の低減効果を得ることができる。
[制動モード移行制御作用]
図8は実施例2の制動制御装置を搭載したハイブリッド車両で回生制動モードあるいは協調制動モードから単独摩擦制動モードへの移行時における車両速度・車両減速度・右輪回生制動力・左輪回生制動力・右輪摩擦制動力・左輪摩擦制動力の各特性を示すタイムチャートである。
そして、車両減速度の大きさにより決められた位相差T1'の時間が経過し、時刻b'にて位相差開始車速V2'に達すると、右輪回生制動力の減少制御と右輪摩擦制動力の増加制御が止められる。代わって、左輪回生制動力を勾配ΔRegeにより減少させる制御を開始し、左輪摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、ハイブリッド車両が減速し、時刻cにてモード移行終了車速V3に達すると、左輪回生制動力の減少制御と左輪摩擦制動力の増加制御が止められ、右輪と左輪の回生制動モードあるいは協調制動モードが終了し、単独摩擦制動モードへの移行が完了する。
さらに、実施例1と組み合わせ、例えば、前軸・後軸位相差に加えて前左・前右輪の3段階(後輪は左右輪同位相)、あるいは、前軸・後軸位相差に加えて後左・後右輪の3段階(前輪は左右輪同位相)で位相差を持たせても良い。
実施例2のハイブリッド車両の制動制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
例えば、四輪同時移行時の減速度変動を100とする場合、車両の前後制動力配分を6:4とすれば、前輪移行時の減速度変動は60となり、後輪移行時の減速度変動は40となり、さらに、左右輪で位相差を持たせた場合、前1輪当たりは30となり、後1輪当たりは20となり、車両の減速度変動量として100から30へ、最大Δ70%の低減効果を得ることができる。
[制動モード移行制御作用]
図9は実施例3の制動制御装置を搭載したハイブリッド車両で回生制動モードあるいは協調制動モードから単独摩擦制動モードへの移行時における車両速度・車両減速度・(右前輪+後左輪)回生制動力・(左前輪+後右輪)回生制動力・(右前輪+後左輪)摩擦制動力・(左前輪+後右輪)摩擦制動力の各特性を示すタイムチャートである。
そして、車両減速度の大きさにより決められた位相差T1'の時間が経過し、時刻b'にて位相差開始車速V2'に達すると、(右前輪+後左輪)回生制動力の減少制御と(右前輪+後左輪)摩擦制動力の増加制御が止められる。代わって、(左前輪+後右輪)回生制動力を勾配ΔRegeにより減少させる制御を開始し、(左前輪+後右輪)摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、ハイブリッド車両が減速し、時刻cにてモード移行終了車速V3に達すると、(左前輪+後右輪)回生制動力の減少制御と(左前輪+後右輪)摩擦制動力の増加制御が止められ、対角の回生制動モードあるいは協調制動モードが終了し、単独摩擦制動モードへの移行が完了する。
実施例3のハイブリッド車両の制動制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
例えば、四輪同時移行時の減速度変動を100とする場合、車両の前後制動力配分を6:4とすれば、(右前輪+後左輪)移行時の減速度変動は50となり、(左前輪+後右輪)移行時の減速度変動は50となり、車両の減速度変動量として100から50へ、最大Δ50%の低減効果を得ることができる。
[制動モード移行制御作用]
図10は実施例4の制動制御装置を搭載したハイブリッド車両で回生制動モードあるいは協調制動モードから単独摩擦制動モードへの移行時における車両速度・車両減速度・前輪回生制動力・後輪回生制動力・前右輪摩擦制動力・前左輪摩擦制動力・後右輪摩擦制動力・後左輪摩擦制動力の各特性を示すタイムチャートである。
そして、車両減速度の大きさにより決められた位相差T1'の時間の中間点a1に達すると、前右輪摩擦制動力の増加制御が止められ、代わって、前左輪摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、車両減速度の大きさにより決められた位相差T1'の時間が経過し、時刻b'にて位相差開始車速V2'に達すると、前輪回生制動力の減少制御と前左輪摩擦制動力の増加制御が止められる。代わって、後輪回生制動力を勾配ΔRegeにより減少させる制御を開始し、後右輪摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、時刻b'とモード移行終了車速V3に達する時刻cとの中間点b1に達すると、後右輪摩擦制動力の増加制御が止められ、代わって、後左輪摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、ハイブリッド車両が減速し、時刻cにてモード移行終了車速V3に達すると、後輪回生制動力の減少制御と後左輪摩擦制動力の増加制御が止められ、回生制動モードあるいは協調制動モードが終了し、単独摩擦制動モードへの移行が完了する。
実施例4のハイブリッド車両の制動制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
例えば、四輪同時移行時の減速度変動を100とする場合、車両の前後制動力配分を6:4とすれば、前右輪移行時の減速度変動は30となり、前左輪移行時の減速度変動は30となり、後右輪移行時の減速度変動は20となり、後左輪移行時の減速度変動は20となり、車両の減速度変動量として100から30へ、最大Δ70%の低減効果を得ることができる。
[制動モード移行制御作用]
図11は実施例5の制動制御装置を搭載したハイブリッド車両で回生制動モードあるいは協調制動モードから単独摩擦制動モードへの移行時における車両速度・車両減速度・前右輪回生制動力・前左輪回生制動力・後右輪回生制動力・後左輪回生制動力・前右輪摩擦制動力・前左輪摩擦制動力・後右輪摩擦制動力・後左輪摩擦制動力の各特性を示すタイムチャートである。
そして、車両減速度の大きさにより決められた位相差T1'の時間の中間点a1に達すると、回生制動力側では、前右輪回生制動力の減少制御が止められ、代わって、前左輪回生制動力を勾配ΔRegeにより減少させる制御を開始する。一方、摩擦制動力側では、前右輪摩擦制動力の増加制御が止められ、代わって、前左輪摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、車両減速度の大きさにより決められた位相差T1'の時間が経過し、時刻b'にて位相差開始車速V2'に達すると、前左輪回生制動力の減少制御と前左輪摩擦制動力の増加制御が止められる。代わって、後右輪回生制動力を勾配ΔRegeにより減少させる制御を開始し、後右輪摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、時刻b'とモード移行終了車速V3に達する時刻cとの中間点b1に達すると、回生制動力側では、後右輪回生制動力の減少制御が止められ、代わって、後左輪回生制動力を勾配ΔRegeにより減少させる制御を開始する。一方、摩擦制動力側では、後右輪摩擦制動力の増加制御が止められ、代わって、後左輪摩擦制動力を勾配ΔFricにより増加する制御を開始する。
そして、ハイブリッド車両が減速し、時刻cにてモード移行終了車速V3に達すると、後左輪回生制動力の減少制御と後左輪摩擦制動力の増加制御が止められ、回生制動モードあるいは協調制動モードが終了し、単独摩擦制動モードへの移行が完了する。
実施例5のハイブリッド車両の制動制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
例えば、四輪同時移行時の減速度変動を100とする場合、車両の前後制動力配分を6:4とすれば、前右輪移行時の減速度変動は30となり、前左輪移行時の減速度変動は30となり、後右輪移行時の減速度変動は20となり、後左輪移行時の減速度変動は20となり、車両の減速度変動量として100から30へ、最大Δ70%の低減効果を得ることができる。
2 ホイールシリンダ
3 歯車箱
4 交流同期モータ(回生ブレーキ装置)
5 ブレーキペダル
6 油圧ブースタ
7 マスターシリンダ
8 ブレーキ液圧配管
9 リザーバ
10 ポンプ
11 アキュムレータ
12 圧力スイッチ
13 電磁切替弁
14 増圧弁
15 増圧回路
16 減圧弁
17 減圧回路
18 液圧ブレーキコントローラ
19,20 圧力センサ
21 モータトルクコントローラ
22 直流・交流変換用電流制御回路(インバータ)
23 直流バッテリ
24 複合ブレーキ協調コントローラ
25 車輪速センサ
26 ストロークシミュレータ
Claims (9)
- 各車輪に設けられたホイールシリンダへ液圧を供給することで各車輪に対して摩擦制動を行う手段であって、運転者のブレーキ操作に応じて液圧を発生するマスターシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮断した状態で、ストロークシミュレータによりブレーキ操作に対して反力を与えつつ、前記マスターシリンダとは別に設けられた液圧供給源により前記ホイールシリンダへ液圧を供給して摩擦制動力を制御可能な摩擦制動手段と、
回生制動を行う回生制動手段と、
前記摩擦制動手段による摩擦制動と、前記回生制動手段による回生制動と、を協調して制御する協調制動を行う協調制動制御手段と、
前記協調制動制御手段による協調制動モード、あるいは、前記回生制動手段による回生制動モードから、前記摩擦制動手段による単独の摩擦制動モードへ制動モードを移行する際、前記マスターシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮断した状態で摩擦制動力を制御すると共に、前記各車輪のうち少なくとも2つの車輪間で摩擦制動力に位相差を持たせる制動モード移行制御手段と、を備え、
前記制動モード移行制御手段は、車両減速度が大きいほど前記摩擦制動力の位相差を大きく設定したことを特徴とする車両の制動制御装置。 - 請求項1に記載された車両の制動制御装置において、
前記制動モード移行制御手段は、前記摩擦制動力の位相差に上限値を持たせたことを特徴とする車両の制動制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載された車両の制動制御装置において、
前記制動モード移行制御手段は、設定された前記摩擦制動力の位相差が大きな値であるほど、回生制動力の減少勾配と摩擦制動力の増加勾配とを共に小さく設定することを特徴とする車両の制動制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両の制動制御装置において、
前記制動モード移行制御手段は、各車輪を左前輪・右前輪と左後輪・右後輪とで分けた前輪軸/後輪軸の関係で摩擦制動力に位相差を持たせたことを特徴とする車両の制動制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両の制動制御装置において、
前記制動モード移行制御手段は、各車輪を左前輪・左後輪と右前輪・右後輪とで分けた左右輪関係で摩擦制動力に位相差を持たせたことを特徴とする車両の制動制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両の制動制御装置において、
前記制動モード移行制御手段は、各車輪を左前輪・右後輪と右前輪・左後輪とで分けた対角関係で摩擦制動力に位相差を持たせたことを特徴とする車両の制動制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両の制動制御装置において、
前記制動モード移行制御手段は、協調制動モード、あるいは、回生制動モードのときは各車輪を左右前輪と左右後輪とで分け、単独の摩擦制動モードへ制動モードを移行する際に各車輪を左前輪と右前輪と左後輪と右後輪とで分けた四輪独立関係で摩擦制動力に位相差を持たせたことを特徴とする車両の制動制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両の制動制御装置において、
前記制動モード移行制御手段は、協調制動モード、あるいは、回生制動モードから単独の摩擦制動モードへ制動モードを移行する際に各車輪を左前輪と右前輪と左後輪と右後輪とで分けた四輪独立関係で摩擦制動力に位相差を持たせたことを特徴とする車両の制動制御装置。 - 各車輪に対して摩擦制動を行う手段であって、ブレーキ操作に応じて液圧を発生するマスターシリンダと各車輪に設けられたホイールシリンダとの連通を遮断した状態で、前記マスターシリンダから独立した液圧供給源により前記ホイールシリンダへ液圧を供給して摩擦制動力を制御可能な摩擦制動手段と、
回生制動を行う回生制動手段と、
前記摩擦制動手段による摩擦制動と、前記回生制動手段による回生制動と、を協調して制御する協調制動を行う協調制動制御手段と、
を備えた車両の制動制御装置において、
前記協調制動制御手段による協調制動モード、あるいは、前記回生制動手段による回生制動モードから、前記摩擦制動手段による単独の摩擦制動モードへ制動モードを移行する際、前記マスターシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮断した状態で摩擦制動力を制御すると共に、前記各車輪のうち少なくとも2つの車輪間で摩擦制動力に位相差を持たせ、車両減速度が大きいほど前記摩擦制動力の位相差を大きく設定したことを特徴とする車両の制動制御装置。
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